#目次

最新情報


泥棒

選出作品 (投稿日時順 / 全69作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


ザギミ

  泥棒

ザギミの花が咲いている
青い血管住宅の前、
傘の下、
雨の横、
点滴している

目の前のコンビニが潰れて詩ができた
二階建て
ありふれた二階建ての詩ができた
一階はクリーニング屋
ガラス張りのクリーニング屋
二階は病院
入ってはいけない病院
目の前にある詩が理解できない
病院には
入口さえ見あたらない

クリーニング屋のお姉さんに
来週ザギミの花を届けよう
何か知っているかもしれない


ギギギギギギギギギギギギギギギギギ

  泥棒

射で精した夜は
街のいたる所でギギギが
ゆれている。
そんなことを
名前も知らないギが
言っていた気がするよ。
あ、
正確には
ゆれている気がするって
言っていた気がするよ。
ギギ、
思いだした
フェラのチオを途中でやめた夜は
私のクリのトリスの下が
叙情的ギギギ、ギ、ギギ、
100回以上はギが繰り返されて
1000回くらい死んだ。
ギ、
この街のギギギギギギギギギは
風の吹かない夜も
どうやら
ゆれているらしい。
ギギギはギギがギーって
ギギギギギギギギギギギギだね、
ギギギだね、
笑い合うギギギギギとギ
でもね、
本当はね、
ギギギギギギギギギなんて
死ねばいい。
ギギィーってなって
何も残さず死ねばいい。
ギ、
優しくなりたい。
優しさってまるでギギギギギだね、
死ねばいいなんて
言いたくないよ
本当はね、
ギギギギギギ、今夜はギギギギギギをギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ、ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ
ギギギギギギギギギギギギ。ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギキキキ
ギギギギギギはキキキだと
ギギギギギだから法律違反です。
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ。ギギギギギギ「ギギギ」ギギギギギギギギギギギギだ、必ずギギギする。ギギ
夕方から夜にかけてたくさん死ぬ
ギギギギギとギギ。
ギギギ、ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギキキキギギギギギギギギギギギギギギギギギギキキキギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギの中にキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキギギギキギギギ。
水没した電卓で坪単価を計算しながらギギギギギギ。家を建てる。
ギギギ、キキキギギギギ。
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ、キギ。
(ギギギ+ギギ)×ギキ÷ギギ=ギギギギギギギ。
ギギギギギギ×ギギ=キキキギギ。
キキキに激突するキギギギギギギ。
ギとギギギギがキキキするから
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ。ギギギギギギギギギキキキギギギギギギキキキギギギキキキギギギ
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギッ、
キキキキキキキキキキキがいる。
ほら、
ギギギ心理学でいうところのギギギギギギキキキギタイプだね、
意味のあるギギギと
意味のないギギギがギギギギギギギギギしているからね、
わかりにくいギギギギギギギギギギギギギギギギギギだ、確かに。
ギギキキキギギギキキキキキキギギ
ギギギギギギギギギ、
ギギギ療法で
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギキキキ、
ギギギギキキキギギギキキキキキキキキキ。ほら、つまらないだろ、ギギギギギギギギギキキキキキキギギギキキキの羅列はつまらないだろ。
超つまらないだろ。
そして、読みにくいだろ。
しかも気持ち悪いし、でもね、
何かが崩壊する前には
必ずギギギギギギギギギギギギって
音がするんだよ。
普通だよ、普通、ギギ。
特別なんかじゃないよ、ギギギ。
気持ち悪いのが普通ギギギギギギ。
ギギギなんかよりギギギギギギギギギギギギギギギギギギなんかより
ギギギギギギギギギギギギギギギ
ギなんかより衝動がほしいでしょ?
あげないよ、ギギギ。
ギの半分は何かわかるかい?
ググってもギギってもわからない。
ギギの上に家が建ってギギギギギ。
どんぶり勘定で家が建ってギギギギギギギギギギギギッ。
徳川ギギギ、
知ってはいけないギギギギギギ、
カテーテルの先にキキキッ、
貫通する季節。
終わらない全身のキキキッ、
比と喩の間にギギギギギギギギ。
赤いギギギギやねん。
深読み禁止やねん。
関西のギギギギギギギギがほざく、
この世には
つまらないギギギも
読みにくいギギギギギギも
必要なギギギギギギギギギギなんだよ。ギギギが言っていたから
確かなこと。
ナンのセンスに亀裂、ギギギギっ、
同じギの中にも
やたら個性的なギがいるだろ?
わからない?
ギギ、
わからないよね、
ごめん。本当にギギギギギごめん。
今日はいないからね、
やたら個性的なギもギギギもギギギギギギもキキもいない。
あっちで頭から血を流しているのが二番目に個性的なギギギだけどさ、
わからないよね、
ギ、
ギギギ、
ギギギギギギ。
今日は面白いギギギもいない日だ。
昨日はいたんだけどね。
面白いギギギ。
ちなみにキレイなギギギギギは
存在しない。
これもギギギギギギギギが
言っていたこと。
ギギ、
ところでさ、
何人わかっているのかな、
正確には
フェラのチオの途中で
10000万個の
ギギギが
意味もなく
ぬれて
ゆれていたってこと。


空白の多い詩集

  泥棒

重い扉を開けると
錆びついた鉄筋や鎖が
死にそびれて転がっている
窓は割れ
小さな虫たちが
西日に反射しながら
音もなく消えてゆくから
完全犯罪を終えた猫が
静かに詩を書いています。
鉄に囲まれ
猫が空白の多い詩を書いています。

屋根の上で
確かに死んだ鳥たちに
猫が口笛を吹いています。
殺風景な午後
陽が暮れると
鉛のような雲の下
猫が冬の歌を日常にのせ
口笛を吹いています。

午前中の出来事は
比喩の少ない散文となり
空白の多い
午後の街を破壊します。
何もない、意味もない、
この街には
本当はもう午前も午後もないのに
懐中電灯を買い
焼けた未来を照らし
今日も夕暮れをきれいだと言う
言ってしまう
あなたがいます。
わずかに感じることができる
季節の中で
春の歌が
鉄と同じ冷たさで
夜風に乗る。
いつかみんな
それぞれに死ぬんだね。

あなたは夏に死ねばいい、
空白を上手く使って死ねばいい、
私は秋に死ぬでしょう、
機械より正確に必ず死ぬでしょう、

猫の詩集には空白が多い。
工場は半年前から
テナント募集中


姉のネーミングセンスについて、

  泥棒

朝、
ベランダで
台所で
居間で
階段で
玄関で
庭で
近所で
コンビニで
駅前で


昼、
職場で
ファミレスで
取引先で
トイレで
タクシーで
本屋で
スーパーで
包丁振り回してんのが
俺の姉
めっさ、かっこいい、
今日も
町のあらゆる場所で
ずっと包丁振り回してる

夜、
姉は部屋で静かに本を読んでいる
海のある町で
でも他には何もない町で
ひとりの少女が様々な困難の中で
人々との出会いを通じ
少しづつ成長し大人になるも
最後は鉄塔から飛び降りる話
少女と海と鉄塔
たしかそんなタイトルの
ありふれた
小説か詩集かノンフィクション
姉はいつもその作品だけを
何回も読んでいる

ところで、
俺の家には姉がわっしょいと名付けた犬がいる。とても賢いゴールデンレトリバーである。ちなみに散歩係は俺だ。わっしょいの毛なみはきれい。姉が毎日ブラッシングしているからとてもきれい。姉はわっしょいといる時だけ包丁を振り回さない。優しくわっしょいに話しかけてる。


日曜、
俺は早起きした。今日は天気もいいし、わっしょいを連れて車で2時間。海へとたどり着いた。砂浜でわっしょいと散歩しながら姉のことをすこし想う。今頃、部屋でノートに意味不明な詩を書いている。きっと書いている。そして、たぶん、ノーブラで書いている。何年か前にとある詩のサイトへ姉は作品を投稿していた。
俺はそれを知っていてこっそり覗いていたのだが姉の作品はボロカスに叩かれていた。

そして、
(意味わかんねぇよ
というレスに対して
私もわかんねぇよ、と切り返し
(ただのオナニー作品でつまらん
というレスに対しては
オナニーは毎日してます、
主に妄想でしているので
エロ動画とかは見ませんね、と
論点のずれた無駄に丁寧な返信をし
挙げ句の果てには
(とても面白かったです
という貴重なレスに対して
だから何ですか?と
謎の逆ギレして
最終的に
出入り禁止になっていた。
そんな姉だが
包丁振り回してる姿は
めっさ、かっこいい、
そして
俺の姉はネーミングセンスがある
褒めても逆ギレされるから
俺は何も言わないが
絶対にネーミングセンスだけはある
この前も
姉が留守の間に部屋に入り
最近書いている詩を読んだが
内容はやはり意味不明だったけど
タイトルだけは良かった。
森森の森というタイトルだった。
すこし引用してみる

冬の森で
置き去りにした耳を
かいじゅうたちにあげた
春の屋根裏で
言葉をこんがり焼いたのに
森はまだ寒い、
(俺の姉「森森の森」)

どうだろう、
まず何より意味がわからない
現代詩みたいなものに犯されている
つーか、
意味がない気がする
もちろん意味がなくてもいい派の人
そんな人もいるだろう
とにかくつまんないのだ
雰囲気だけなのだ
そりゃ、叩かれるだろうよ、
でも、やはり、
森森の森という
このネーミングセンスだけはいい
無駄にいい
意味あり気で意味ないところが
とにかくいい
いや、姉の中では意味あるんだろうけど。

日曜の海、
まだ人はあまりいない
わっしょいは太い枝をくわえて
嬉しそうに走り回る
俺も一緒にひたすら走り回る
しばらくして
近くのカフェで休憩していると
冬の砂浜にも人が増えて来た
ゆっくり時間をかけて
ランチを食べている俺の膝に
わっしょいが鼻をくっつけてくる
どうやらまだ遊び足りないらしい
もうちょっと待ってくれよ
そう声をかけると
わっしょいは足もとで
昼寝をはじめた
コーヒーを飲み終え
わっしょいの寝顔を撮り
姉に写メで送ってから
わっしょいと
もう一度砂浜へ行き遊んだ
疲れを知らないわっしょいである
途中でおばちゃんに
(かわいいわんちゃんですね
と言われ
わっしょいは照れながらも
嬉しそうに笑った
陽も暮れはじめた頃
猛スピードで
海岸線を救急車が走っていく
その爆音を
映画みたいに切り取ったら
1時間くらい耳鳴りが続いた



わっしょい、おいで!



大好物のササミジャーキーを
おやつに3本あげて
わっしょいの背中を撫でる
姉に負けないくらい丁寧に撫でる
夕暮れ
それよりきれいな
わっしょいの毛なみ
落ちていたペットボトルを
上手にくわえ
今度はこれで遊ぼうよって顔で
わっしょいが俺を見る
冷たい風が吹く
わっしょい、そろそろ帰ろうか

渋滞の海岸線、
車の窓をすこし開ける
波の音は聞こえない
となりのでかい
俺の車の10倍はでかい
ダンプカーのエンジン音だけが響く
わっしょいが助手席にいるから
俺は煙草を吸えないので
ポケットにあった
いつのかわからないガムを噛んで
なかなか進まない
渋滞の列をぼんやり見ていた
わっしょいは
何か言いたそうに
遠くの鉄塔をずっと眺めていた、


森が森に森は森と森の森を森で森

  泥棒

森森森森森森森森森森森森森森森森

崎崎崎崎崎崎崎崎崎崎崎崎崎崎崎崎

どーだろうか
森崎くんが主人公だから
こんな感じで
森と崎を並べてみたよ
もちろん意味はないんだけれど
つかみ。
これが大事だって
あの森口くんが言っていたから
できるだけ多くの森と崎をね、
もーね、
いろんな街から徹夜で探して
並べてみたよ
うん。
しかしあれだね、
森と崎って
もうほとんどないんだね、
知らなかったよ
これで全部だからね、
森と崎。
つーか
きれいに並べるってのは
それだけで気持ちいいもんだね、
せっかく読んでもらうんだからさ
きれいな方がいいよね、
あ。
ところで
僕の友達の森岡ちゃんは
ちゃん森岡って呼ばれてる
みんなに
そー呼ばれてる
僕が最初に
じょーだんでそー呼んだの
本人も
みんなも気に入ってるみたいよ
うん。
そんでね、
森野くんと森山さんは
詩とか興味ないんだってさ
森重くんは
すこし興味あるみたいだけど
森崎くんがね、
詩を読んだこともないし
何も知らないのに
どーゆーわけか
横顔が妙に文学的なんだよって
だから森崎くんを
主人公にした方がいいよって
森口くんに言われた。
やっぱ森口くん、すげーなっ
何でも知ってるもん
現代詩とかさ
バッキバキに読んじゃうもんね、
比喩なんてね、
森口くんの前では死ぬよ
いや、ほんと、まじで死ぬって
あ。
そー言えば
ここだけのはなし
僕はみんなにあだ名をつけてる
もちろん意味はないんだけれど
森崎くんは森
森口くんは森
森岡ちゃんは、ちゃん森岡
森野くんは森
森山さんは森
森重くんは森
たまにさ
ややこしくなるけど
ちゃん森岡が
いー感じにアクセントになって
何の問題もない
あ。
誰にも言わないって約束できる?
できるなら教えてあげる
実はさ
この前ね、
森が森と森で森を森に森してさ
まじかよって思ったら
ちゃん森岡が
森と森を呼んで
森の森に森で森を森が森だったのよ
あれはシャレになんないよ
でもさ
一番ビビったのは
もう次の日にはさ
森が知ってたからね、
いや、だからさ
森で森が森したじゃん?
あの森は森のことだよ、
わかるよね?
この詩がどんだけ意味ないかって
わかるよね?
いやいや、違う違う、
そうじゃ、そうじゃないっての
あれ?
何かこんな感じの歌あったよね?
だぁかぁらぁー
森は途中で帰ったから
違うんだよっ
いやっ
森なんて最初からいねーし
え?
森でもねーし
あくまで主人公は森ね、
そー、森崎くんのことね、
あ。
もひとつ意味のない話していい?
森崎くんが
俺が俺がってノリで
森が森がって騒いでさ
公園でさ
ゾウのすべり台のある公園でさ
碇シンジのモノマネしたじゃん?
逃げちゃダメだ逃げちゃダメだって
あれ、まったく似てなくて
みんな笑ってたのに
あの時さ
森だけが森を見ていた。
森と森と森と森と森と森の間から
小さな ぁ が飛び出してきて
そのすぐ後に
大きな あ も飛び出してきて

ぁ 、あ 、ぁ 、あ 、ぁ 、あ 、ぁ 、

ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

ああああああああああああああああ

ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

ああああああああああああああああ

どっちもきれいだなって
森が呟いて
ちゃん森岡の肩に鳥が止まって
もちろん意味はないんだけれど
意図はある森が燃えた
発狂する季節
森が発狂する季節の到来
森に森を伝える前に燃えてしまった
あ。
逃げた
主人公が逃げた
森が言う
この森は他の森とは違うって
そー言って
表現から逃げた
表現って
死んでも使いたくない言葉だね、
でも使う
二酸化炭素や表現が
まるで
伝わらない
森の終わりに
森が森に吠える
意味がなくてもいい派の森に吠える
意図がないとダメ派の森に怯える
そして
枝は折れる
森が森を駆け抜ける
ゾウの鼻が伸びて
森の意図が縮む
森に意味は最初からなかった
だから
ヒントもなかった
本当に、まるでなかった
あ。
森口くんの口が口と口に口を挟んで
口口口口口口口口
口口口口口口口、口口口
口口口してる
あ。
こんな感じの詩を
最近読んだ気がする
森と森で
読んだ気がする
あ。
森が森でうなだれている
口の中は空っぽだね、
森が森へ帰った
森も帰った
森も森も森も森も森も森へ帰った
ぁ、
みんな帰ったのかな
それとも
みんな死んだのかな
あれ以来
森を見ていないし
枝の折れる音もしないし
誰も最後まで読んでいないし
ぁ、

あ。


引用ロードSHOW

  泥棒

私は
(泥棒/引用ロードSHOW)

私から
(泥棒/引用ロードSHOW)

引用する
(泥棒/引用ロードSHOW)

あなたからも
(泥棒/引用ロードSHOW)

引用する
(泥棒/引用ロードSHOW)

雑誌からも
(泥棒/引用ロードSHOW)

テレビからも
(泥棒/引用ロードSHOW)

映画からも
(泥棒/引用ロードSHOW)

引用する
(泥棒/引用ロードSHOW)

そして
(泥棒/引用ロードSHOW)

傘はないけれど
(泥棒/引用ロードSHOW)

ドアを開け
(泥棒/引用ロードSHOW)

町へ出る
(泥棒/引用ロードSHOW)

この部屋は
(泥棒/引用ロードSHOW)

グレーゾーンだから
(泥棒/引用ロードSHOW)

町へ出る
(泥棒/引用ロードSHOW)

この部屋は
(泥棒/引用ロードSHOW)

引用の雨が降ると
(泥棒/引用ロードSHOW)

濡れるしかないから
(泥棒/引用ロードSHOW)

町へ出る
(泥棒/引用ロードSHOW)

風景とか
(泥棒/引用ロードSHOW)

感覚とか
(泥棒/引用ロードSHOW)

引用できないものを
(泥棒/引用ロードSHOW)

丁寧に描写しろと
(泥棒/引用ロードSHOW)

あなたは言う
(泥棒/引用ロードSHOW)

今日もあなたは正しい
(泥棒/引用ロードSHOW)

でも
(泥棒/引用ロードSHOW)

逆に
(泥棒/引用ロードSHOW)

傘が売っていない町で
(泥棒/引用ロードSHOW)

逆に
(泥棒/引用ロードSHOW)

グレーゾーンを
(泥棒/引用ロードSHOW)

逆に
(泥棒/引用ロードSHOW)

丁寧に描写するから
(泥棒/引用ロードSHOW)

逆に
(泥棒/引用ロードSHOW)

あなたに
(泥棒/引用ロードSHOW)

逆に
(泥棒/引用ロードSHOW)

読んでもらおうと
(泥棒/引用ロードSHOW)

逆に
(泥棒/引用ロードSHOW)

引用する
(泥棒/引用ロードSHOW)

んで、
(中村一義/犬と猫)

突然なんですけどね
(おぎやはぎ/結婚詐欺師)

本当にこのやり方でいいのか
(浦沢直樹/20世紀少年)

胸の中でつぶやいた
(川上弘美/どこから行っても遠い町)

ごめんなさい
(新井素子/おしまいの日)

たぶん
(スチャダラパー/ヒマの過ごし方)

私はもうだめです
(手塚治虫/ファウスト)

いただく物はいただいて
(内田百〓/八十八夜は曇り)

そろそろ寝るか
(伊藤潤二/よん&むー)

なんとなく
( / )

二秒間宙を見つめていたが
(町田康/パンク侍、斬られて候)

あっという間に
(吉行理恵/湯ぶねに落ちた猫)

私は激突して壊れるだろう
(舞城王太郎/みんな元気)

そして
(絲山秋子/逃亡くそたわけ)

すぐにバターのように溶ける
(中上健次/賛歌)

いや、そういうんじゃありません。
(モリエール/人間ぎらい)

その逆の場合もありますので
(猫田道子/うわさのベーコン)

少し怖かったけど
(前田司郎/夏の水の半魚人)

私は本当に何もしなかった。
(阿部和重/グランド・フィナーレ)

そんな馬鹿な話があるか
(高橋源一郎/恋する原発)

ある
(鳥山明/ドラゴンボール)

やりたきゃやればいいよ
(浅野いにお/うみべの女の子)

だったら
(立川談志/M-1グランプリ2002)

はっきり際だたせて
(ジャン・ジュネ/泥棒日記)

言葉なんか
(奥田民生/何と言う)

殺してやる
(庵野秀明/エヴァンゲリオン劇場版)

すぐに
(七尾旅人/天使が降りたつ前に)

殺してやる
(庵野秀明/エヴァンゲリオン劇場版)

神経を集中させて丁寧に
(shing02/焦燥)

殺してやる
(庵野秀明/エヴァンゲリオン劇場版)

とても長い伝統を
(中沢新一/三万年の死の教え)

許可が下りたら
(白輪剛史/動物の値段)

殺してやる
(庵野秀明/エヴァンゲリオン劇場版)

必ず
(諌山創/進撃の巨人)

殺してやる
(庵野秀明/エヴァンゲリオン劇場版)

上から頭ごなしに
(大竹伸朗/テレピン月日)

殺してやる
(庵野秀明/エヴァンゲリオン劇場版)

合法的に
(BOSE/明日に向かって捨てろ!!)

殺してやる
(庵野秀明/エヴァンゲリオン劇場版)

中学二年の本棚を
(泥棒/引用ロードショー)

昇華することなく
(泥棒/引用ロードショー)

殺してやる
(庵野秀明/エヴァンゲリオン劇場版)

サブカルが
(岡村靖幸/あの娘と、遅刻と、勉強と)

シンクロしまくった
(大根仁/中春スケッチブック)

昼過ぎから
(野坂昭如/ぼくの死の準備)

強弱をつけて
(二ノ宮知子/のだめカンタービレ#5)

殺してやる
(庵野秀明/エヴァンゲリオン劇場版)

ドーナツショップでフレンチクルーラーを食べながら
(宮崎誉子/セーフサイダー)

殺してやる
(庵野秀明/エヴァンゲリオン劇場版)

くしゃくしゃの紙くずのように
(宮沢賢治/注文の多い料理店)

殺してやる
(庵野秀明/エヴァンゲリオン劇場版)

すべての人間の頭上を
(立川昭二/死の風景)

水と光を
(唯野未歩子/走る家)

あの空白を
(アンドレ・デュ・ブーシェ/氷河)

数冊の本を
(本間洋平/家族ゲーム)

数々の思い出を
(ルネ・シャール/眠りの神の書)

仕事しながら片手間に
(山本直樹/テレビを消しなさい)

普通の感覚で
(森達也/スプーン)

殺してやる
(庵野秀明/エヴァンゲリオン劇場版)

時には
(ユニコーン/時には服のない子のように)

スローモーションで
(水森サトリ/でかい月だな)

殺してやる
(庵野秀明/エヴァンゲリオン劇場版)

比喩的な言い回しであるという前提を
(斎藤環/ひきこもり文化論)

殺してやる
(庵野秀明/エヴァンゲリオン劇場版)

終った前衛と呼ぶしかない無惨さを
(金井美恵子/スクラップギャラリー)

編集が終ったところで
(桑野茂/ドキュメンタリーの世界)

皆殺しにしてやる
(高橋ヨシキ/悪魔が憐れむ歌)

こんなひどいものがあっていいのか
(中原昌也/死んでも何も残さない)

詩的でない言葉ではとても表現できない
(ジョルジュ・バタイユ/文学と悪)

言葉をなくした
(後藤まりこ/sound of me)

ほんでね
(チュートリアル/鳥将軍)

あなたを殺して私も死ぬ
(東京03/あるがままの君でいないで)

逆に
(泥棒/引用ロードSHOW)

皆、優しく、きれいに
(太宰治/女生徒)

逆に
(泥棒/引用ロードSHOW)

笑って答えた
(谷崎潤一郎/刺青)


来週の女子会メンバーリスト

  泥棒

昭和

平成5年生まれの最年少メンバー。しかしかなり年上の兄がいるせいか昭和ネタの話しが多い。なので、ついたあだ名が昭和。お喋りでムードメーカーであるが披露するギャグは昭和のギャグ。故にオヤジっぽい。好きな芸人は兄の影響により加藤茶である。最近のお笑いにはまるで興味がなく、むしろ嫌っている。漫画やイラストが趣味であるため休日はほとんど家にいる。黙っていれば可愛いのでメンバー中、1番モテる。

爆死

私のあだ名です。昭和ちゃんの2コ上です。映画やドラマや漫画の爆破シーンが好きであり、口癖が(もう死んでやる!であるため二つを合わせて爆死になりました。結構気に入ってます。会社のみんなには内緒で詩を書いたりしています。ちなみに詩を書いている人たちからは(あんたの書いてるのは詩じゃないよ、とたまに言われます。と言うか最近はもうほとんど毎回言われてます。プライベートでも仲の良い昭和ちゃんからはバクちゃんと呼ばれてます。ちなみにBカップです。昭和ちゃんは、たぶんDはあります。

捻挫

やたらスピリチュアルな世界の話しをするため最初のあだ名は宇宙だったのですが、酔うと必ず学生時代にキャプテンまで務めていたバレーボール部の試合でウォーミングアップをしている時に捻挫をして大事な試合に出れなかった話しばかりを何回もするので捻挫というあだ名に変わりました。177cmある高身長がコンプレックスのようです。ちなみに声もでかい。私の勤めている会社の上司。みんな捻挫姉さんと呼んでます。普段は優しくて頼れる捻挫姉さんですが年齢の話をすると急に不機嫌になりますので、そこは要注意です。

魔法

私と同期入社した、ほんわか系です。メンバーの中で唯一、いわゆる女の子っぽいです。しかし見た目とは裏腹に実はかなりの酒豪なので酒女って呼んでましたが本人が絶対に嫌だと言うので、天然なところもあるし世界と書いてワールドはどうかとすすめましたが、それも本人が気に入らないため、すったもんだの結果あだ名は魔法になりました。すこし、ぽっちゃりしています。なかなかのアニメ声です。

以上、
この四名で来週女子会やります。
そして来月は
このメンバーで合コンをしたいです。
男子四名募集中です。
メンバーリストを送って下さい。

ちなみに補欠メンバーで元ヤンキーの新築という子もいます。お父さんが大工をやっている子なので新築と呼んでます。美人です。呼んだら来ると思いますが新築と魔法があまり仲良くないので新築を呼ぶなら魔法は呼びません。こんな感じですがよろしくお願いします。メンバー全員、彼氏募集中ですので。^_^


詩集を燃やしに

  泥棒

ガードレールに
夜露死苦ってスプレーしてから
詩集を燃やしに行く
夜の公園へ
夜のザリガニ公園へ
不良が
詩集を燃やしに行く

ザリガニ公園は
中央にある大きな池のまわりに
ザリガニがいるから
ザリガニ公園なのではない
誰も
この公園で
ザリガニを見た者はいない
いないのだが
夕暮れ時になると
ブランコや鉄棒やシーソー
池のまわりのジョギングコース
入口にある梅の花やベンチ
学校と同じ作りの水飲み場
隣りのテニスコートなど
公園のどこにいても
死んだザリガニのような匂いが
すこしするから
みんな
ザリガニ公園とよんでいる

夜のザリガニ公園は
とても静か
人はもちろん
梅の花に鳥もいない
夜風が
死んだザリガニのような匂いを
ゆっくりと消して
春を連れてくる
不良はいつも
この季節になると
詩集を燃やす
大人になる前に
必ず
すべて燃やす

右肩に根性
左肩に青春って刺青をして
ザリガニ公園の脇道を抜けて
向かいにある
ケーキ屋のシャッターに
喧嘩上等ってスプレーして
自分の詩集をすべて燃やしきって
大人になる

詩人は右腕に比喩って刺青をして
左手首には
誰も読めやしない
雰囲気だけの
桜の花のような刺青をして
大人にはまだならない
なれない
詩は常に詩の対極にあるのに
夕暮れ時に捕まえた
巨大な比喩を
丁寧に描写してしまう
それは
とても危険なこと
そして
泳ぎ方を知らない不良は
比喩の海に溺れる
さらりと
泳ぎきった詩人は
ザリガニ公園の茂みに捨てられた
鉄パイプで
ずぶ濡れの不良にぶん殴られる
流れる血が
まるで詩のように
西日に反射してしまうから
今度は
血の海に溺れる
それは
絶対に誰も泳げない
ザリガニ公園は
陽が沈み
深夜になると
濃い霧と
小さな竜巻が
映画のように演出され
当たり前のように
血の匂いがする

題名が燃える

名前が燃える

十代が燃える

空白が燃える

改行が燃える

数字が燃える

比喩が燃える

技術が燃える

素朴が燃える

感性が燃える

深夜のザリガニ公園
死んだザリガニのような匂いは
しない
ベンチに座り
燃えきった詩集を眺める不良
帰り道
ガードレールに
青春を世威瞬ってスプレーして
歌うように
急いで帰る
詩人はそれを
白いペンキで消して
巨大な空白をつくり
遅れて
やっと大人になる

ザリガニ公園の出口には
散りきった桜の木が
はやくも
六月の雨に打たれ
誰よりも
主役のように
突っ立っている


中原中也になりたくて

  泥棒

私の彼は
中原中也になりたくて
でも
なれなくて
夕暮れに
カップ焼きそば食べている
内定をもらえた
中の上の中の会社から
電話があって
内定取り消しになって
泣きながら
カップ焼きそば大盛り食べている
私が
コンビニへ行って
期間限定の
プレミアム瓶ビールを買ってきて
(これのんで元気だしなよ
って、
そう言ったら
ひと口だけのんで
ビールを丸いテーブルに
コンっと置いて
ズボンとパンツを
さっと脱いで
彼は
すこしだけ笑った

狭いお風呂に
一緒に入りながら
小さな鏡に映る
彼の
大きくなっている
おちんちん
そっと触りながら
(こんな日も勃起するんだね
って、
私は
良かれと思って
そう言ってみたのに
彼は
暗い顔をして
お風呂を出て行き
無言で服を
さっと着て
そのまま二度と帰って来なかった
言葉は
私の言葉は
こうやって
人を傷つけてしまう
あれから
もうすぐ一年が経ちます

私の彼は
中原中也になりたくて
でも
なれなくて
今は
串原串也って芸名で
全国をまわっています
小さなライブハウスで
朗読コントをしたり
詩人あるあるネタとかをやっています
そして
詩を書いている人達からは
失笑されています

私の彼は言っていました
もっと
詩をよんでもらいたいって
漫画や小説のように
普通によんでもらいたいって
つき会っていた頃
本当に
よく言っていました
その頃の私には
詩は
すごく
ものすごく
超ものすごく
特別なものだったから
普通によんでもらいたいって意味が
その感覚が
あまりわからなかったけれど
今は
すこしわかるのです
あれは
いつの日だったか
風が
急に強い風が
音を立て
何よりも先に
街を
丁寧に描写しながら
吹き抜けて
もう
誰も何も書くことが
できないねって
二人で
ただ
焼きつけるしかないねって
思いながら
近所の小川まで歩いた
春の日

トタンがセンベイ食べて
春の日の夕暮は穏かです
アンダースローされた灰が蒼ざめて
春の日の夕暮は静かです

(中原中也/春の日の夕暮)


今でも
月に一回くらいメールがきますが
ごくたまに
そのメールが
偶然かもしれないけれど
抒情的な
やけに抒情的な
一行詩になっている時があります
そんな時
私は
あの日に
彼が食べていたのと同じ
カップ焼きそば大盛りを
スーパーで買ってきて
ひとりで食べます
あの日
勃起していた彼に
何も言わず
お風呂で
セックスしていたら
いつものように
セックスしていたら
今年の春も
二人でお花見したり
電車に乗って
ツツジを見に行ったり
していたのかな

夕暮れ
ブックオフで
100円で売っている
知らない人の詩集を
パラパラめくり
なんとなく
よんでしまう
春の日の
夕暮れ

(串原串也/詩人あるある)


今だって
私にとって
彼は
串原串也などではなく
中原中也なのです
顔は
西郷隆盛みたいだったけれど
まったく
中性的ではなかったけれど
それでも
中原中也なのです
デートの時だって
いつも
ユニクロの服だったけれど
それでも
絶対
中原中也だったのです

春の日の夕暮れは
いつだって
急に強い風が吹いたり
人の気配がして
切ない
(こんな日もシャンプーするんだね
って、
私は私につぶやく
こんな日は
お風呂場の小さな鏡が
まるで深い意味があるかのように
抒情的に
やけに抒情的に
くもってゆきます
私は何になりたいのかな


二島由紀夫のポテンシャル

  泥棒

四島由紀夫と五島由紀夫が殴り合う午後。
陽射しだけが美しい影をつくる午後。
草原で殴り合う2人の、
その影を見る限りはバレエのよう。
七島由紀夫は自宅の庭で筋トレをするのが日課。
丁寧に刈られた芝生の上に寝転んで陽を浴びる猫。
ホースで水をまき
その猫に虹を見せてやるのも日課。
三島だけが
どこにもいない。
六島由紀夫は
ネットで取り寄せた数種類の茶葉を独自にブレンド。
夕暮れ。その香り。
こだわりの紅茶で
仮面をつけた九島由紀夫と
ティータイムを楽しみながら
三島の話しに花を咲かせる。
少年少女が
マクドナルドを爆破する物語を書いてみようと思うんだ
いつかね。
そう言い残して
九島由紀夫は、思わせぶりに、
ゆっくり、消えた。
痛みを感じなさい、
肉体を傷つけ合うことでしか分かち合えない。
亡霊たち。
肉体のない三島の亡霊たち。
腹を、かっさばく、痛み。
早朝の新宿駅。
八島由紀夫が白線の内側で
文庫本を読みながら一島由紀夫を待っている頃
二島由紀夫が憂国で
鮮やかなロングシュートを決める。
そのポテンシャルの高さ。
二島が三島になる日も近い。
初夏の風。
枝の先端に着地する鳥。
その鳥のまばたき。
待ち合わせの予定を忘れて金閣寺。
存在しない左手首を、
ピッて、切る、空気の読めない、
一島由紀夫。
それらを
十島由紀夫がリリカルに切り取ってゆく現代。
肉体はないのに見える影。
靖国通り。
その印象だけをコミカルに描写する
技巧派の七島由紀夫。
誰の声にも耳をかさない。
そのメンタルの強さ。
描写の弱さ。
春の雪が全身を貫通する。
その見えない肉体美。


弟の闇について、

  泥棒

地獄/

弟は美術の専門学校へ行きながら地獄でアルバイトをしている。
週2日、
地獄でハチマキを巻いて生ビールや梅サワーを
何百杯も何千杯もつくり
夕方から夜中まで働いている。
弟は地獄でドリンカーと呼ばれている。
ひたすらドリンクをつくる係の事だ。
そして、ほぼ毎回のようにドリンカーズハイになっているらしい。
駅前のカラオケ屋の隣りにある地獄は365日いつも混んでいる。
夕方の開店と同時に
たくさんの人々が地獄へ押し寄せて来る。
地獄の見た目はどこにでもある普通の居酒屋だが
店員もお客さんもみんなこの店を地獄と呼ぶ。
店名が地獄だから。

店長/

地獄の店員はみんな
店長のことをブラピ店長と呼んでいる。
それは店長がブラッドピットに似ているからではない。
店長の好きな俳優がブラッドピットなわけでもない。
店長が
(俺をブラピと呼べ
そう言っているから、それだけの理由で
みんなとりあえずブラピ店長と呼んでいる。
店長は角刈りでルックスは地味なのだが
自らハードルを上げる、そのズレたストイックな姿勢は
店員やお客さんから時に失笑されつつも
レモンサワー10円の日や
唐揚げ100円で食べ放題の日
ポロシャツの襟を立てて御来店の方、全品半額の日
ピアノが弾ける方、アルコール類すべて15円の日
さらには
詩を書いている方、焼き鳥2本サービスの日
きれいな比喩を使いこなせる方、グラスワイン一杯無料の日
描写が丁寧な方、次回500円引きクーポン券プレゼントの日
作品のタイトルにセンスがない方、お通し千円の日
改行が下手な方、罰金五万円の日
顔がオダギリジョーに似ている方、お断りの日
死にたいと考えている方、全額無料の日
すべてにおいて自意識過剰な方、コーンスープおかわり自由の日
テキーラサンライズって言いたいだけの方、出入り禁止の日
北原白秋が男か女か知らない方、全品459(地獄)円の日
日本史とエヴァンゲリオンが好きな方、店長おすすめサラダ半額の日
今だにビートルズが最高のバンドだと思われている方、半殺しの日
ピカソを天才だと信じている方、国外追放の日
酔うと服を脱いで笑いを取ろうとする方、春巻一本サービスの日
落語や歌舞伎に詳しい方、私語禁止の日
童貞と処女の方、地獄オリジナルストラップをプレゼントの日
詩とは絶対にこうであると定義している方、論破の日
詩を書いたことがない方、日本酒無料の日など
その意表を突くアイデアで実際に店を繁盛店にしているため
細かい事に関して弟はもちろん、誰も何も言えない。

油絵/

弟は油絵を描いている。
様々なアイデアや方法で
どうやら自分の心の奥にある
闇らしきものを表現しているらしいが
基本的なデッサン力がないせいなのか
そもそもセンスの問題なのかわからないが
ただわけのわからない抽象画としか思えず
正直、退屈しか感じない。
そして何より、とにかく雑で純粋に下手すぎて
とても芸術とは思えない。
弟が、もしも、あえて、
いわゆる芸術とは真逆の方向を目指しているとしても
同じ印象にしか感じられない。
しかし、そんな弟が夕飯時に
頼んでもいないのに三ヶ月に一度くらいのペースで
不意に披露する古畑任三郎のモノマネはむちゃくちゃ上手い。
そして誰の古畑任三郎より面白い。
それを見た日は確実に、ご飯がいつもより美味しい。
その無駄にクオリティーの高い古畑任三郎を見る度に
弟が、どのような闇を抱えているのかわからないが
たとえ同じ家に生まれ同じ環境で育ち
同じような物事を経験してきても
それは本当にわからないが
こいつ、これを油絵で表現したらいいのにって
いつか弟の抱えている闇が
ユーモアや、日常にある普通のリズムや素朴さ
そのあるのかないのかわからない
ブラピ店長のようなセンスで
油絵の中で昇華できたらいいなって
その時は地獄へ冷やかしに行ってやろうかなって
来月に合コンがあるから
それを地獄でやるのもいいかなって
みんなに弟の古畑任三郎を見せてあげたいなって
そんなことを思いながら
私はいつもより美味しいご飯を
キャベツの多い野菜炒めと肉じゃがをおかずに食べているのです。


落選なう

  泥棒

暗い夕暮れ
選ばれなかった鳥たちが
羽根をたたみ
闇に落ちて
ひっそりと死んでゆく
なう。
真夜中
やわらかい雨にうたれ
七月の街は
細部まで光り輝かき
朝には
選ばれなかった鳥たちの羽根も
きれい
なう。

次の月の
次に吠える
明るい夕暮れ
公園で
子供たちが水鉄砲で殺し合う
誰も死なない物語
なう。
若葉の香らない夏に
もうすぐ
闇が降り注ぐ
(お化けなんかいないよ
それは
死んでいる鳥たちの羽根
夏の終わりの
花火大会
なう。
夜空を飛ぶ
選ばれた鳥たち
みんな
八月に生まれた花

白い白い花が咲いたよ
(からたちの花/北原白秋)

白い秋は
まだイメージできない
赤い秋なら
もう目の前にある
比喩が
比喩とかいう
気取った表現がまだあるならば
それはもう
後はもう
(街の夜空で爆破されるだけだよ
比喩なう。
芸術なう。
引用なう。
批評なう。
爆破して、
落選なう。

2010年に生まれ流行り
2015年に死んで終わる
なう現代詩なう

ひとり
もう春を待ちながら
疑う夜
自分の羽根を疑え
選ばれた鳥も疑え
散らばって
もっと砕け散ってしまえ
鳥よ鳥たちよ
個性なんてくだらない
自分らしさなんて消えればいい
新しくて
美しく咲く九月の花のために
みんな
死んでしまえばいい、


文学的やあらへんで、

  泥棒


嫁の騎乗位。


嫁の騎乗位より美しい夕焼けなど
俺は見たことがない。
だから俺の詩には丁寧な描写など
一切必要ない。
そう、
俺の詩は深い闇で
太陽は敵でしかないから
俺の詩は
誰も励まさないし
何にも寄り添わない。
そう、
俺の詩は泣き言ではない。
陽が昇り沈むまで
そう、
夕焼けまでの九時間
そこで
俺は眠る
やっと眠る
笑いながら眠る。
そして
夢の中で
嫁の背中をなぞる
どんな比喩より繊細に
なぞりながら眠る。


旦那の現代詩。


旦那の現代詩より
意味のわからないものはない。
だから私は、
詩について考えたり定義したことなど
一度もないし
詩に励まされるつもりも
一切ない。
旦那は今夜も眠らずに
私の裸でオナニーをしている。
だから私は、
言葉の闇に包まれて
ひとりでセックスをしている。
私は美しい夕焼けを
二人で見たいだけなのに
今夜もひとりでセックスをしている。
だから私は、
現代と名の付くものを言い当てる。
当てたくないのに
すべて言い当ててしまえる。
近い将来
旦那の指が
終わりを告げる。


ポリフェノール。


せやろ
なんも文学的やあらへんで、
こりぁよ
芸術ちゃいまんねん。
離婚でんねん。
いわゆるひとつの離婚でんねんて
ワインちゅうより
レンガみたいな色しとるやろ
町のすべてがよ
ポリフェノールがありそうな夕陽を浴びて
2人はよ
線路沿いを歩いとったわけや
2週間くらい前かな
なんも喋らんと
ただ歩とんねん。
後ろから快速電車きよったら
2人はよ
赤と白に別れるで、
間違いないで、
離婚や
そんな感じしたんや
風に引き裂かれとるんちゃうかな、今頃。
ほんでな
でもな
あれやで、
もしかしたらな
最後にセックスしたかもわからんで、
ありゃあやしいな
あの2人は
やけに文学的なセックスしたかもわからんで、
なんせ最後やからな
しっかし仲良い夫婦やったわ
よう散歩しとったわ
この辺、なんもないけどな
手ぇつないで散歩しとったわ
さびしなるなぁ
ん。
前に一度な
奥さん、ドーナツつくりはってな
わしの家に持って来てくれたんや
ほんでな
旦那さんが詩集を出した言うてな
わし、それ、もろたんや
ちゃんと買うで言うたんやけどな
ほんでな
感想聞かせてくれ言うて
でもわしな、詩なんて読んだことないし
困ってもうたんやけど
読んでみたんよ。
ほな、めっさおもろいやんけって
わしの思てたんとちゃうのよ
やれ、孤独やとか
さびしいだの苦しいだの
死ぬとか
暗いもんやと思てたんや
もしくは、あれや、
がんばれ、みたいな
平等がなんたらかんたら
人間だもん、やればできるよ、みたいな、
詩って、そういんもんやと勝手に思ってたんやなぁ。
ちょっとな
わしには
なんやようわからんかったとこもあるけどな
めっさええやんて思たんや。
比喩とかな
バシッと決まってると、めっさかっこええやん。
現代詩って言うんか
ん。
それな、たまにな、
すらすら読める時があんねんて
ほんまやで、
でな
わしもな
最近な、詩を書いとんねん。
ん。
あんた東京から来たんか?
へー、弟さんかい
確かにちょっと似とるわな、いや、顔やなくて
喋り方とか。
連絡つかんのかいな?
お姉さん見つかるといいな
はよぉ見つかるといいな
ん。
ところでわしの喋り方、ちっと変やろ?
わしな、生まれは埼玉やねん。
そうや、だ埼玉やねん。
でもな、池袋とか、めっさ近いねん。
ま、どうでもええか
でな、お姉さんにもし会ったらな
わしの書いた詩な、読んでくれって伝えてな
ん。
ほれ、これやねん。
てかよ、今、ちょっと読んでくれや
感想聞かせてくれへんか?
ポリフェノールって題名やねん。
どや、かっこええやろ?
えらいシャレとるやろ?
ん。
ダサいか?
逆にダサいか?
だ埼玉ってか?
ん。
誰が川島なお美やねんっ。
ワイン好きちゃうし
比喩やねん。
悲しい比喩やねん。
でもな
内容は悲しないねん。
ん。
てか、のまれへんしな
わしな、ビール党やねん。
知っとるか?
ビールはな、グラスで味が変わるねん。
発泡酒もな
めっさええグラスでのむとな
エビスビールやねん。
いや、ほんまやでっ、
でもな
めっさええ詩ってのはな
グラスでは変わらへん。
どや、ええこと言うたやろ
なんか、それっぽいこと言うたやろ
ん。
たまには、ええこと言うねん、わし。
どや、池上彰みたいやろ
ん。
はよ読めや、感想言えや
ほんで何か質問とかしてくれへんか?
(いい質問ですね、
とか言わせろや
わし、池上彰ちゃうけどな


まるで詩人のような雰囲気で

  泥棒

今年の春から
高校生になった僕は
まるで詩人のような雰囲気で
電車通学をしています
窓の向こう
花々は
きれいです
新しい友達は
まだできていないけれど
新しい花々は
もう咲いています
とても
きれいです
僕は
みんなの名前
おぼえられるのでしょうか

最近
駅でよく見かける
きれいな目をした
ショートカットの女の子と
やたら目が合います
でも
よく考えてみれば
僕が
その女の子を
見ているだけなのかもしれない
夏の風が吹いて
僕は映画の主人公になりきって
女の子に
話しかけてみた
女の子は
詩集を読んでいた
チャンスなりっ
僕は
詩なんて読んだこともないし
まして書いたこともないけれど
まるで詩人のような雰囲気で
詩人が主人公の
映画のワンシーンのように
(詩が好きなんですか?
と聞いてみた
女の子は黙ったまま
僕を見つめて
一瞬
笑ってから
僕の顔を殴りつけてきました
そして
僕は前歯が折れました
自分に
いったい何が起こったのか
その時は
何もわかりませんでした

女の子は
空手黒帯で
関東大会二連覇をしているらしい
駅員と警察官が
僕に
苦笑いしながら教えてくれました
悲惨なりっ
誤解がとけて
女の子は
僕に
ひたすら謝ってくれたけれど
僕の前歯は
ぐらぐらして
心は静かに
もう止まっている
冷静なりっ
僕は学校へも病院へも行かず
近くの河原へ歩いて行った
リア充って言葉
誰が言いはじめたんだろう
やりきれない想い
いつもこうじゃん
いっつもこうじゃん
告白する前に
こうなるじゃん
告白さえ
僕はさせてもらえないのか
ツイッターなんて
童貞にとって
本当につぶやきたいことは
おっぱいもみたい。
とかばかり
毎日
同じことばっかり
だから僕は
この想いを込めて
生まれてはじめて詩を書いた
そして
ブログに載せた
中学の友達から
イイネ!と言われた
何がいいのかわからない
なにが、イイネ!だ、ばかっ。
詩なんて
もっとわからない
たぶん
僕が書いたのは詩ではない
そう思った
イイネ!なんて言われたら
終わりだ

川の向こう
花々が咲いている
名前なんて知らない
あの子
誰の詩集を読んでいたのだろう
夕暮れ
もう秋の気配がする夕暮れ
遠くで学校のチャイムがきこえる、


あなたの詩にはセンスがない。

  泥棒

夕陽が
巨大な刃物に見えると
あなたは言う
浴衣の袖に
夏の終わりをぶら下げて
つま先で感じる
感じているらしい
闇とか、それ、本当か。

八月の深い所で
あなたが書いた詩は
センスのない刃物だった
夕陽に反射して
そこらじゅう光輝いていたけれど
あなたの詩が
輝いたわけではない
勘違いして
つま先で蹴り捨てる
蹴り捨てたらしい
石とか、それ、比喩か。

とても大切なことだから2回書きます

あなたの詩にはセンスがない。
あなたの詩にはセンスがない。

比喩の雨など降らないのに
ほとんどない技術の傘を広げ
ユーモアの風に吹き飛ばされ
まるでセンスのないあなたが
今日も詩を書いている
夜の海を泳ぐ
さかなみたいな詩を書いている
そう、
あなたはまるで
削られた山のよう
急斜面に造られた墓地のよう
つま先が濡れている
あなたの
その思わせぶりに青いつま先が濡れている
そう、
あなたはまるで
まだ詩を書いていない詩人のよう
九月に咲くムクゲのよう

詩はセンスで書くものではないと
センスのないあなたは言うだろう
夜空の下で
私に言うだろう
(あなたにもセンスはありません
と言うのだろう

あなたから
詩だけを切り取れば
見えてくる景色
はじめて夕陽に反射する
ムクゲに詩を感じる
今日も揺れながら
しぼんでゆく
夜空の下で
説明できない距離を歩き
技術の石につまづくならば
その石で
距離をはかればいい


警察

  泥棒

雨が降るかもしれない日に
雲を見ていた
駅前で
噴水のない駅前で
雲にしか見えない雲を見ていた
バスは
ロータリーをまわる
ちいさな出来事を
ひとつひとつ
丁寧に確かめながら
ゆっくりロータリーをまわる





携帯電話



が鳴る。




駅から15分
静かに歩く
透明人間みたいに静かに歩く
太陽が挫折して夕暮れになる
耳をすまし
低く流れる不協和音
遮断機
響く
線路沿い
314号室

私は裸になっても裸になった気がしない
1分が90回すぎて
私はまた
駅へ向かう
警察とすれ違う
方向を変えて
図書館へ向かう
小雨が降る
別館AとBの上空
鉛色の雲が止まっている
これは雨ではない
街全体が噴水になる
湿気で
うねる髪を束ね
高層ビルをイメージで絞り上げる
乱用された雑な比喩が
雑に並べられた風景
公園のベンチ
海よりも圧倒的に広い公園のベンチ
カビの生えた詩集
カビの生えた題名のない詩集
一行も読まないまま
夕暮れを読破
それを閉じて
先入観を捨てながら
また雲を見る
雨が降るかもしれない日も
雨が降らないかもしれない日も
同じ日のように
夜空には
画鋲みたいな星
決して画鋲ではない
画鋲みたいな星

夜の駅前では
ちいさかった出来事たちが
おおきな物語となって
さらに巨大化して
街をのみ込む
最終電車が
発狂しながら駅に到着すれば
すべての物語は
最終回に突入して
バスは混雑する
運転手のいないバスは混雑する
警察が
鉄のドーナツをぶら下げて
あらゆる闇を
右から順に捕まえる
私は
左から順に潰していく

自首します
私は透明ではないのです
伏線だらけの街
ほとんど回収できないまま
私は動けなくなった
朝までほとんど動けなくなった


芸術なんてメッタ刺しでんがな

  泥棒

んあ?
そりゃそうでんがな
草木が風にそよいでまんがな
秋ですやん
秋の小道でんがな
んあ?
枯れ葉が
ざらざらって
音たててますやん
やたらめったら感傷的になりまんがな
ありふれた情景が
ぼんやり浮かびまんがな
そりゃそうでんがな
んあ?
自転車で秋の小道
ぐんぐん
駅から離れて
もう
何もないですやん
人なんて
おりまへん
畑でトマト育ててますやん
おじちゃん
んあ?
おばちゃんですやん
どないやねん
フェイントかいな

ぬぬ、
雨上がりですやん
この町
さっきまで雨降ってたんやな
雲が濁ってまんがな
湿気をおびた土の香りしてはりますやん
めっさええやん
地味でもええやん
めちゃんこ抒情的ですやん
ローファイな町
ほどよく死の香り出てまんがな
暗い感じになってますやん
何もない町
二丁目の角にできたんは
新しい喫茶店でんがな
カフェちゃいまんがな
喫茶店ですやん
地元の方しか
お客さんおれへんやん
入りにくいがな
ぬぬ、
髭の店主が
こだわりの珈琲豆を仕入れてますやん
あれ、どっかの国の限定豆でんがな
さっきから焙煎してまんがな
せやのに
この店
めちゃんこ不味い珈琲ですやん
どないなっとんねん
美味しい珈琲のんで
窓から見える景色をやで
めちゃんこ丁寧に描写してやで
芸術なんて
つまりメッタ刺しでんがな
ぬ、
メッタ刺し日和でんがな
めちゃんこ刺したるで
せやのに
あかんて
なんやねん
この店の珈琲
これで一杯600円かいな
しゃあないな
ほな
お会計
どこ行こかな
ぬっ、
また雨降りそやな
どないしよ
ぬぬ、
もう一回、店入ろ
よし
コーラのも
今度はコーラのも
よし
コーラなら不味いとかないやろ
ぬぬぬ、
コーラないんかい
他に何があるっちゅうねん
ぬあ?
メロンソーダやと
誰がのむねん
おじちゃんとおばちゃんしか
この町
おらんやん
原宿ちゃうねんから
メロンソーダって
考えられへん
ぬぬぬぬ、
あのおじちゃんみたいなおばちゃん
入って来たで
何を頼むねん
ぬぬぬぬぬ、
トマトジュースやと?
メニューにないやん
なんや
裏メニューかいな
てか、あれ、レッドアイでんがな
畑仕事の後に
レッドアイのんでるがな
採れたてのトマト絞って
レッドアイのんでるがな
めちゃんこかっこええやん
てか
おばちゃん
よう見たら
逆に、めんこいやん
何気にストライクゾーンでんがな
良く言えば
大人ボーイッシュですやん
ぬあ?
そんなん
どうでもええねん
水でええわ
とりあえず水くれ
ぬぬぬぬぬぬぬ、
麦茶あんの?
アットホームやな
ええやん
家庭的な喫茶店、ほっこりするやん
(麦茶ひとつお願いしまぁす
これのんで
どえりぁ詩を書いたるで
遠慮せえへん
メッタ刺しやで
ちょうど陽も暮れてまんがな
窓から
ええ感じの西陽が入ってますやん
めちゃんこええ抒情詩
これで書けますやん
ぬぬぬぬぬぬぬぬ、
雨かいな
やっぱ雨降ってきたんかいな

んあ?
この店の雨音めちゃんこええやん
抒情詩でんがな
この感じは抒情詩でんがな
もう何も小細工いらんがな
この感じをやで
このまま書いたらええやん
のんびり書いたらええやん
めちゃんこええやん
窓の向こう
雨の町
広がる畑
あんれ?
自転車
盗まれとるやん
のんびりしてる場合ちゃうで
この町
この店
んあ?
よう見たら
髭の店主
刺青してるがな
ぬあ?
そんなんどうでもええがな
お会計や
ぬぎゃ!
麦茶一杯、500円するんかいっ
ぼったくりですやん
二度と来るかいな
店の名前、何やねん
ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ、
喫茶飯店。
んあ?
飯店?
喫茶店ちゃうんかい
ほな
ラーメンとかチャーハンとか
あったんかいな
てか
こんなんが
この抒情詩のオチで、ええんかいな
オチには、ちょいと弱いな
てか
オチって何やねん
落語ちゃうで
これ、抒情詩やで
めちゃんこ抒情詩やで
あのな
この際やから言うとくわ
ギャグなんか書いてへんねん
笑わせる気なんてないねん
こちとら抒情詩書いとんねん
詩に興味ない人にもな
今やで、今、
ちゃんと読んでもらえるようにやな
ユーモアをやな
抒情詩にユーモアをやな
ねじ込んでんねん
ぬあ?
いつ読んでもらえんねん
今やろ
わかっとんのか
詩をこねくりまわしてるわけちゃうで
メッタ刺しやで
芸術なんてメッタ刺しでんがな
ほんでな
ホームラン打つねん
覚せい剤は打たんで
どやさ
すべったやろ
あえてすべる技やねん
最近な
あえてすべる技を身につけたんや
ブラックジョークや
どやさどやさ
ぬあ?
あかん
脱線しすぎや
あかん
こんなん絶対あかん
こんなんじゃ
読者が納得してくれへんがな


世界は冬の夕方

  泥棒

どのような世界に住めば
窓の向こう
詩を書くこともなく
比喩など使う必要もなく
あなたに
花や
歩道の水たまり
そのままに
伝えられるのでしょう。
いつか見た
夕方に降りはじめた雪
おぼえていますか、
あなたの花は
あなたの世界で
まだ咲いていますか、
私は
私の世界でならば
誰よりも速く走れます
お許しください
言葉では
もう何も
伝えられはしないでしょう。
世界の残響は遠すぎて
冬の夕方は冷たすぎて
いちだんと美しいのに
それなのに
私の足は速すぎて
風景が歪んで
もうどこにも
あなたが見えない
雪が
すべてとけて
春が
ゆっくり来たとしても
世界は冬の夕方のままで
きっと私には
もう二度と
あなたが見えないのでしょう。


それにしてもリリカルやな、

  泥棒

ほう、
お前さん
そうゆう感じに切り取ったんやな
なるほどな
それにしてもリリカルやな、
お前さん
はじめてちゃうやろ?
とぼけんなや
何を狙っとんねん
答えろや
刺したろか?
これ、オモチャちゃうで
聞いとんのか?
ほう、
お前さん
何も答えへんつもりやな
もうええ
黙っとったらええ
ほな、さいなら

/
昨日の夜から
熱が下がらなくて
ほとんど眠れてないし
でも
変な夢は見るし
体も顔も
ボロボロだけど

病院へ行って
薬をもらって
それから
会社へ行ったけれど
熱が下がらなくて
使っていない
会議室みたいな倉庫で
いや、
倉庫みたいな会議室で
寝ていた。
(何しに会社来たの、お前
同期入社の三島くんが
笑いながら怒って
いや、
怒りながら笑って
ポカリ買って来てくれた。
(今日は帰れよ
三島くんがゆっくりしゃべる
俺が課長に言っとくから
つーか
今日さ
課長見てないんだけど
来てんのかな?
とにかくさ
今日は帰れよ

三島くんは優しい
私は三島くんが好きだ
超好き
彼女いるみたいだけど
私の予想だと
巨乳のかわいい彼女いるみたいだけど
関係なくね?
いや、逆に、関係なくね?
てか、ないって事にしないと
話し
進まないし。
やばいやばい
予想っつーか
こんな妄想してる場合じゃない

どうせ
告白なんかできないし
そんな勇気ないし
やばいよやばいよ
出川哲朗みたいな感じで
心の中で叫ぶ
やばいよやばいよリアルにやばいよ!
もうやだ
熱も下がらないし
化粧してないし
三島くんのこと
好きすぎて
苦しいな。

/
結局
倉庫みたいな会議室で
夕方まで寝てしまったのだ。

課長がいないから
三島くんに挨拶して
会社を出て
近くのコンビニへ入ろうとしたら
課長がいた。
(あ。課長、今日はすいませんでした
あれ?
聞こえなかったのか
課長は
そのまま隣りのビルとビルのすきまに
入って行く
夕陽のあたらない
暗い
ビルとビルのすきまの
裏階段に腰掛けて
課長が
ひとりで
闇に向かって
何かしゃべっている

/
ほう、
お前さん
そうゆう感じに切り取ったんやな
なるほどな
それにしてもリリカルやな、
お前さん
はじめてちゃうやろ?
とぼけんなや
何を狙っとんねん
答えろや
刺したろか?
これ、オモチャちゃうで
聞いとんのか?
ほう、
お前さん
何も答えへんつもりやな
もうええ
黙っとったらええ
ほな、さいなら

/
目が覚めると
まだ倉庫みたいな会議室に
私はいた


(夢か、


もしかしたら
課長は
私が仕事中に
会社のPCで
いつも
詩をかいているのを
知っているのかもな。
だとしたら
もうクビだな。
課長
仕事人間だし
それでいて
意外と芸術とかに
うるさいし
やばいよやばいよ
これはリアルの方だって!
私の中の出川哲朗が
大声で叫ぶ
夢じゃないって!
リアルにやばいって!

背後から課長の声が聞こえる

ほう、
それにしてもリリカルやな、


既読スルー

  泥棒

目に精子が入れば
充血して
水色に見える街
キタノブルー
映画を観て
徹夜自慢した朝に
人間失格
それでいて
国家試験合格したような
澄みわたる
冬の空
しかしながら
私は何の資格も持っていません。




(えりちゃん、
君が私を呼ぶ
ふぅ、
君はかわいい
去年まで童貞だった君はかわいい
私に会いに来ていたのか
私のまんこに会いに来ていたのか
今はもうどっちでもいい
ふう、
かわいい君は
春も夏も
何回も会いに来てくれたのに
秋には一回も来てくれなかった
休憩室で
目薬をさして
詩を書いていたら
店長が
(暖冬らしいよ
って
つまらない世間話しをはじめる
ふぅ、
つまらないな
私の書く詩も
つまらないものだろうか
夕方は悩んだ方の負け
絶対に負けだね
ふっ、
週二日
今まで私は
何人のちんこ
くわえたんだろ
かわいい君
本当の名前なんて知らない
かわいい君
それでも
君の趣味や性格は知っているよ
また
会いに来てほしいな
今年の冬で
このバイト
もうやめるし
ふう、
かわいい君
今年は暖冬らしいよ
って
そんな
つまらない世間話しなんてしない
君の好きな詩の話しや
私の好きな漫才を
ふたりで
ユーチューブで見たいな
裸で
お互い裸で
君のちんこ
さわりながら見たいな
いつも
コンビニのケーキふたつ
買ってきて
ふたつとも君が食べる
私は
イチゴだけ食べる
ふっ、
ペットボトルの水をのんで
(水の味がしない
って
かわいい君は
いつも言っていたね
ふー、
かわいい君
私のことなんて
もう忘れたのかな
忘れたんだな
ふぅ、
かわいい君
あの試験どうなったの
約束したよね
合格したらしてあげる
って
君のなら
精子ごっくんしてあげるよ
(君の味がする
って
ふざけながら言いたい
ふー、
もう夜だよ
負けたまま夜だよ
悩んだら
それが文学になるのか
(ばかっ
なるわけない
窓の向こう
それにしても
めっさでっかい月
夜の街に激突するかもよ
ほら
みんな死ぬんだ
かわいい君も死ぬんだ
暗い詩ばかり書いている人の感性を
今夜も私は
クズのようだと思っています
星座を見つけて
お前らの詩なんか
誰にも読まれなければいいと
いつも願っています
ふぅ、
いつか必ず死ぬ
みなさん
私の詩を読んでください
そして
軽蔑してください
ふー、
月に吠えたい
見てるかな
どっかで
何の資格も持っていない私から
かわいい君へ


最近、どんな詩をよんだ?


送信
っと。


志賀直哉のパクリのような

  泥棒

つまりそれは
暗い夜道に浮かぶ言葉のような
つまりそれは
死ぬほど美化された現代詩のような
つまりそれは
骨折した後の夕暮れ、山の途中、
つまりそれは
志賀直哉のパクリのような
つまりそれは
詩が直哉に取り憑いたような


ドンッ!


犯罪みたいな漫才をして
半沢さんは半笑いされている
常に
すこし遅れて
流行を追うから
壁ドン失敗して
突き指して
変なハシの持ち方して
うどん食べている。
そんで
お腹いっぱいにならなくて
帰り
牛丼食べて
あ、
なるほど
東京は砂漠ではなく
プラスティックなんだね
と、
悟りをひらく
中略、
君を殺すこと
文学が
指より
細くて白い骨のように
パキッて
折れ
中略、
あれは夏の日
夜のプール
中略、
太宰治が生きていたら
ツイッターで
何をつぶやいていたのだろう
中略、
三島由紀夫が生きていたら
インスタで
ドヤ顔していただろう
中略、
志賀直哉が生きていたら
世にあるパクリ作品を
見抜いていただろう
中略、
カラス、ハト、ツバメ
電線に
並んでるとこ
見たことないよね
それです
中略、
毒とユーモアとナンセンス
この
みっつが
バランスよく含まれていると
カラス、ハト、ツバメ
太宰、志賀、三島
のように
ホップ、ステップ、自殺
と、
なるわけだね
うん。
てめえが
いかに
無難なことしか書いていないか
考えれば
すぐに
わかるだろう
中略、
技術なんて
いつでも捨ててやるから
みんな
生きてください
読んでください
中略、
てめえは
もう死んでいる
中略、
ゴッホのひまわり
永遠に枯れないなんて
残酷ですこと
中略、
誰にもわからない比喩を
どんだけ使えば気が済むのか
どんだけぇーって
先細りして
ポキって
折れ
中略、
リズムを刻む
各駅停車は
未来をパクりながら
進みます
中略、
わたし
中学二年までは詩人だったのに
今は
ちいさな魚です。
中略、
ゴッホが耳を
切り落としたように
中略、
メランコリック
中略、
サディスティック
中略、
戦闘機のように飛ぶ鳥
中略、
指パッチンで
目の前に海をつくりだす
中略、
何もできないエンターティナー
中略、
サンタクロースの引用詩
中略、
世代交代の季節
中略、
冬の夕方に面接しました
中略、
ともだちがAVに出ました
中略、
ぶっこわれました
中略、
詩が
まったく書けません
詩が
直哉のパクリのように
詩が
まったく書けません
詩が
直哉の影響により
詩が
まったく書けません
夜の海で
いつかみんな死ぬ物語
和解できないまま
必ずいつかみんな死ぬ物語
わたし
誰よりも
最低の詩を書きたいの

そう、
毎日生まれ変わる
ラスボスがいない文学の世界へ
ようこそ
読者諸君!


かっくかくしかじかっ!

  泥棒

お母さんっ!
あなたの命日に
ネットで
そう
インターネットで
わたしっ!
詩を書いています
うい、
たそがれては
いません
わたし
酔っています
うい、
相も変わらず
頭のかたい
めっさ
かったいかったい人たちからは
詩ではない
とか
言われています
う、うい、
あれは
いつの日か
お母さん
あなたが
チャーハンを
チンして食べてね
と、
メモをテーブルに
置いて出かけた日に
わたし
お母さんが
いつか
死ぬってこと
わかりませんでした
うい、
お母さんっ!
あなたが
いつも書いていた
日記のように
わたしや
弟のことを書いていた
あの日記のように
わたしはっ!
詩を書いてみたいです
うい、
お母さんっ!
あなたの残した日記は
日記ではなく
詩でした
うい、
改行もなく比喩もなく
そのまま書いてある
あなたの
ただの日記は
私にとって
紛れもなく詩でした
ごめんね
こんな日に
ほろ酔いで ごめんね
うい、
もうすぐ
クリスマスですね
街が
ざわついてます
お母さん
あなたの好きだった
チョコとレーズンのケーキ
わたしも好きになりました
う、うい、
いつのまにか好きになりました
うい、
夕暮れを
そのまま描写したい
お母さん
あなたの命日に
見えるもの
思うこと
そのままに
詩にしてみたい
うい、
さっき
公園の
すべり台の上から
冬を眺めました
ふと
比喩の風が吹きましたが
おもいっきり
ガン無視してやりました
うい、
お母さん
あなたはいつも
何を眺めていたのでしょうか
家の台所の窓から
この公園が
すこし見えますね
う、うい、
そうそう
サンタクロースの
コスプレをした犬が
さっき
散歩をしていました
かわいい
とてもかわいい犬でした
うい、
お母さん
私と弟が子供の頃
(犬を飼いたい
って、
よく言っていたこと
おぼえていますか
今ねっ!
私と弟で
犬を飼っています
うい、
知ってるよね
名前は
わっしょい
って、
変わった名前です
うい、
弟は
リボルバーとか
アンディとか
かっこ良さげな名前を
つけたかったらしいけど
ださいよね?
なんだよ、リボルバーって
そうでしょ?お母さん
男って、子供だよね
うい、
わっしょい
いい名前でしょ
うい、
お母さんっ!
弟は今日も
バイトで帰りが遅いと思います
でもねっ!
心配しなくていいよ
あいつ
まだ子供っぽいけど
意外としっかりしてるからね

(うぃ、

かっくかくしかじかっ!
お母さんっ
あなたの日記のように
わたしっ!
まだ詩が書けませんっ
酔ってるから
大声で、
ごめんね。


未、未成年の詩

  泥棒




あなたが
手のひらに海をつくる
わたしは
迷わず魚になる
夕方からは
豪雨になるから
花々は
その前に閉じてゆく
わ、わたしは
それを
ゆっくり
こじ開けてゆく
その時のわたしは
魚ではない
きっと
夜の街で
死にかけている
17才



部活帰りの少女たち
コンビニ前は
春の極景
夕方5時から6時までの
巨大な比喩に
誰も気がつかないまま
次々と
ペットボトルは潰されて
誰も主役ではないまま
信号機だけが
規則正しい
ギブスをしたひとりの少女が
ひっそりと
主役になる夕方の終わり
自転車の電気が
揺れながら
消えてゆく先に
それぞれの
物語があるから
そこで
みんな主役になる
ギブスの少女だけが
ここで
このコンビニ前で
朝をむかえる
今日は
ギ、ギブスの少女だけが
17才



死ね、
その言葉だけでつくられた
高層ビルがある
この街は
見上げた場所に
赤い光が
たくさんある
星は
自分でつくらなければならない
それを
集合住宅のように
夜空の
あらゆるところに
できるだけ集め
星座をつくれ
き、きみだけの星座をつくれ
大人になったら
もう
二度とはつくれないよ
まして
詩なんか
いつか書けなくなるかもよ
17才



街が斜めに見えるなら
君は
できるだけはやく
飛べるようになった方がいい
それ以外は
何もできなくていいし
何も知らなくていいし
世界とか
関係ないし
鳥は
青空に
青空そのものになりたくて
でもなれなくて
花になったと
仕方なく花になったと
風のうわさで聞きました
海が
どこにもない
陸も
ひとつもない地図を見て
何か書かなければならない
き、きれいな何かを
書かなければならない
そんな日が
いつかくるよ
17才


君が、挫折してから、死ぬまで、

  泥棒

ビルが、高いのは、
飛びおりたときに
確実に死ねるためではなくて
夕暮れを前に
君が何もできないクズであること
それを
ちゃんと思い知るためだよ

君が、挫折してから死ぬまで、
そのスピードは
日が暮れるよりはやく
ビルが崩壊するよりおそく
ユーチューブで
何回も再生されている

さあ、逃げなよ、
どんどん加速しなよ
ここには
何もないんだ
平凡を海水に浮かべるために
君は
東京を離れた
ありあまる才能を砂浜に埋めて
いつもひとりで
暗い考えが
その暗い考えだけが
悩んだら
悩んだ分だけ
それが
芸術になると
ずっと信じて
どこまでも逃げなよ

海が、広いのは、
圧倒的な実力の差で
君が負けた時
世界をみせつけるため
そのために広い

いつか、君の咲かせた花が、
いっせいに
すべて枯れる日がくる
叩きつけた言葉が
はね返り
君の首に突き刺さるだろう
勘違いしてはいけない
それは痛みではない
きれいな首飾りにして
君は
何度でも挫折して
何万回でも死んでいい


君、


君は正しい

その正しさで

君には死んでほしい

君が間違っていてくれたら

そう願った夜が

何回もある

僕は

君が好きです

君は芸術です

それだけは譲れない

君が挫折してから死ぬまで

君は芸術だから

その正しさで

そのまま必ず死んでください

海が

うたっている

そんな気がした夜も

数えきれない

君が挫折してから死ぬまで

僕が

君の死を何万回でも描く

あきる事など

ありはしない

東京で

君が死ぬ

それは

今夜かもしれない

ほら

ビルが

いつもより高い


大きな大きな悪い悪い花

  泥棒



祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、
僕が小学生の頃、本当に本当に、その花が怖くて怖くて仕方なくて、本当は本当は祖母の家には行きたくなかったのだけれども母に連れられて週に三回くらいは行っていました。




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、
僕が中学生になって、サッカー部に入って毎日毎日部活で部活で土日はほとんど試合で試合で、祖母の家に行くことは年に三回くらいになりましたが、悪い花は年々、見れば見るほど大きく大きくなっていったのです。




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、
僕は高校生になった春に、ひとりで、電車で、祖母の家に遊びに行って、その花の、やや青い花びらを数えてみたら、数え切れなくて、しかも突風が吹いて、大きな大きな悪い悪い花は、その優しい優しい香りを街へばらまいたのです。




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、
それは祖母が死んでからも咲き続けている。それに比べ僕は、今でもたったひとつの花さえ咲かせることができないのです。




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、
いつか僕にも詩を書く日がきたら、僕には僕のやり方で、毎日毎日水をやって、それを最初の一行にして、僕の花を咲かせてやるのです。




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、


10

祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、
僕が死んだら、祖母の家の、この庭に、僕を埋めてほしい。そう願うのです。あなたなら、きっと、花びらを数えられる。いつか、花束にして、あなたの好きな人に届けてください。




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、
100年以上前から毎日毎日その上を透明な電車が走っている。花は潰れることも枯れることもなく咲き続けている。その窓から見える景色が僕にはわからない。けれども、その窓に射し込む光が、最後の最後の一行になればいいと思うのです。もちろん、あなたの。


毒を編む

  泥棒


先生、
私の胸を見てください
毒があります
くるしいのです
先生、
よく見てください
毎日くるしいのです

先生、
先生はいつも
あなたの胸には何もないですよと
優しく言うけれど
私の胸には
毒があります

先生、
みんなが
私の言葉を
きたないと言います
私の胸に
毒があるからです

毒を、ぬいてください。

きれいな花を
しずかに切り取った
きれいな詩さえ
私には
きたなく見えてしまうのです

毒を、ぬいてください

先生、
私には限界があります
それを
数字に表すこともできます
だから急いで

毒を、ぬいてください

先生、
骨が砕ける音がします
あばら骨が
私のあばら骨が砕ける音がします
先生、
きこえますか

毒を、ぬいてください

先生、
ぬいた毒で
それを縫いつけて
空洞になった私は
新しい詩を書きたいのです
それは決して
悲しいものではありません

先生、
私の言葉は
今日もまだ
きたないですか
暗いですか
私の胸を見てください
砕けた骨が
暗い未来に突き刺さる前に
お願いします

毒を、ぬいてください


傑作と盗作と迷作と優作

  泥棒




「林檎病」

休みの日
電車に乗って
小川へ行く
小鳥が
花や
枝の先や
緑の茂みから
顔を出す
雲を眺めるって
こういうことね、
ね。
君が死んだら
できるだけ
夜の街から遠く離れて
僕は泣くでしょう
君が死んだ日に
悲しい詩なんて
僕は絶対に書かないよ
星座を見つけるって
こういうことね、
ね。
いつも
ポケットに
林檎ひとつ持っていた君
いつも
(憂鬱だ憂鬱だ
って言っていた君
軽々と
空を飛んでみせた君
静かに笑う君
頭のいい君
不眠症だった君
傑作を書いた気になっていた君
魔法が使えた君
知らぬ間に自爆していた君
いろんな君を
僕は知っています
今夜こそは
君に
僕の詩をよんでもらいたい
本当に
本当は
君のことが
好きなんです



「プレミアム殺人鬼」

お疲れ様です、殺人鬼です。
調子はどうですか?殺人鬼です。
ドラマ初出演の、殺人鬼です。
パティシエ役の、殺人鬼です。
セリフなら頭に入っています、殺人鬼です。
クリーミーな、殺人鬼です。
こんにちは、殺人鬼です。
ご無沙汰しております、殺人鬼です。
サラサラヘアーの、殺人鬼です。
生ビールいただきます、殺人鬼です。
いいお天気ですね、殺人鬼です。
お世話になりました、殺人鬼です。
お食事中にすいません、殺人鬼です。
チーズが入った、殺人鬼です。
たこ焼き大好き、浪速の殺人鬼です。
家族全員、殺人鬼です。
女子力高い、殺人鬼です。
パクりパクられ、殺人鬼です。
崖の上の、殺人鬼です。
ウクレレ弾けます、殺人鬼です。
肩でもモミましょうか?殺人鬼です。
殺人鬼専門学校殺人科の、殺人鬼です。
次期大統領候補の、殺人鬼です。
どこでも明るい、殺人鬼です。
誠心誠意がんばります、殺人鬼です。
トンネルを抜けると、殺人鬼です。
ダイエット中の、殺人鬼です。
のび太とゆかいな、殺人鬼です。
縦5メートル横3メートルの、殺人鬼です。
シャレの通じない、殺人鬼です。
美容室で働いていました、殺人鬼です。
趣味でイラストやってます、殺人鬼です。
だいたいいつも、殺人鬼です。
なんとなく、殺人鬼です。
地球に優しい、殺人鬼です。
限りなく透明に近い、殺人鬼です。
耳をすませば、殺人鬼です。
酷評お待ちしております、殺人鬼です。
いらっしゃいませ、殺人鬼です。
この度は申し訳ありませんでした、殺人鬼です。
他の殺人鬼と一緒にしないでください、プレミアム殺人鬼です。



「全世界の終わり」

君の世界も
僕の世界も
そして、
いわゆる世界も
そう
いよいよ
全世界の終わりです
芸術が
世界を救うって
誰か言ってたよね
あれ
嘘だったのかしら、
詩なんて書いたら大変だ
誰かに読まれたりしたら大変だ
とてもとても大変だ
ほら、
どっかのアホが
新しい世界で
僕の痛みを
嬉々として読み上げている、



「ブラックレイン」

スズメがチュンチュン
素晴らしい朝
目が覚めて
鏡を見ると
僕は松田優作になっていた
ビビったけど
ビビっている暇はない
今日は
朝からバイトの日なのだ
遅刻したら
店長に怒られるのだ
てか、
(次、遅刻したらクビだからな。
って、
言われてるし
スズメがチュンチュン
やかましいわ!
てか、
玄関開けてら
あら、
どゆこと?
みんな松田優作じゃん
学生も
会社員も
散歩中の犬も
あら、
スズメも
いつの間にか
松田優作じゃん
てか、
自転車がバイクになってるじゃん
ラッキー!
これなら間に合うよ
道行く人々
みんな松田優作
あら、
もしかしたら
これ夢かな
てか、
雨降ってきたよ
てか、
夢の中でも
雨って降るのね
しかも黒い雨じゃん
いいね、
黒い雨
なんか暗喩っぽくて
いいね、
傑作を書いた気になるよ
うん。
でもさ、
そんなのは
いつだって気のせいで
あっ!
という間に
黒い雨が止み
あっ!
という間に
バイト先に到着
で、
晴れわたるコンビニ上空
店長は
店長だけは
大きな鳥になって
青空を
ゆっくり飛んでいる
ああ、
やっぱこれ夢だわ
遅刻だわ
完全にクビだわ


最悪の詩

  泥棒



a

夕方
伝えたい言葉が
次々と
君を
君たちを
奏でるように傷つけてしまう
不協和音は
夕方の空と同じ速度で
自分に似ていると
君は
君たちは言うのか
ほら
見上げたら
見上げた分だけ空がある
それは
ありがたいことなのか
本当なのか
消えそうな月よ
もしくは
消えそうな月のような少女よ
君を
君たちを傷つけるために
私は存在する


a

星より輝く錠剤で
何を深めるのか
それは闇か
少女よ
私は
誰かを励ますような詩だけは
死んでも書けない
自分の言葉なんていらない
絶対に
この世界にひとつしかない
お前の詩が
最悪
そう言ってくれ
新しい場所へ
道連れにしてあげるから
1秒で過去になる言葉
未来とは1秒後の
君の
君たちの言葉だ
私の知っている暴力では
もはや
君たちを傷つけることが
できない
本当に
それは申し訳ないと思う


a

少女よ
君たちの詩集は花のように美しい
美しいから
いつか枯れるのだ
その日がきたら
私は
君たちを傷つけるために
花束を贈ろう
枯れる日が
君たちの本当の誕生日だ
それを
最悪と言って
星のように
ばら撒いてほしい
見上げたら
見上げた分だけ作り物がある
あるのに
標識も痛みもない
暗い道で
君たちは共感に殺されるのだろう


a

詩なんて書いている奴
みんな死ねって
どうして
そんなこと思っていたのか
罰がほしい
ギザギザした花の首飾りは
私を絞め殺すのにちょうどいいのです
少女よ
君たちの詩が
ギザギザした花であるなら
何回でも
私は読むだろう
夕方
何にも似ていない月が
消える
無傷のまま
逃げるように消えるなら
私は
それをつかまえて
1秒後
必ず君たちに伝えよう
少女よ
君たちの傷は
どんな花より美しい


あの街この街その街

  泥棒



「強い風の歌を聴け」


去年の春頃かな
絶望www
君が
そうツイートしてから
僕は
もう一年近く
絶望をストーキングしている
液晶画面に映る文字だけでは
本当の君を知ることができないけれど
僕は本当の君より
やっぱり
本当の絶望を知りたい
絶望www
そこに芸術があるだなんて
そんな考えは持っていないけれど
絶望www
僕は
もしかしたら
絶望より
www
こっちの方が気になっているのかもしれないね
絶望www
ほら、
東京郊外
その上空
wwwに見えなくもない雲が
いや
鳥が、一羽、いる、いた。
戦闘機もミサイルも見えない
鳥が撃ち落とされて
ワイファイが飛んでいる
僕は
誰のフォロワーでもない
絶望www
手軽なショートムービー
僕の詩では
伝わらない情景
いかにもな夕暮れを激写
絶望www
青い黒歴史
もしくは
黒い青歴史
(な、なんて、かわいい街なんだ、
殺伐とした郊外
それでも
だって
君がいるんだぜっ!
行けば
風に吹かれて
強い風に吹かれて
めっさ強い風に吹かれて
あっけなく
僕は泣いてしまうだろう
あの街はかわいい
君がいる
そう思うだけで
あの街はかわいいのです
君が好きすぎて
行くと死にたくなる
それが、あの街なんです。


「ミスター不謹慎」


にぎやかな街
ここで
俺はみんなから
あ、
みんなっつっても
ま、
3人か4人くらいだけど
みんなから
ミスター不謹慎って
そう呼ばれてるんだよね
そ、
詩なんか書いてる場合じゃないっつって
無駄に吠えて
そ、
月には吠えない
で、
海が汚れた春も
詩なんか書いてる場合じゃないっつって
ビルが崩れた夏も
詩なんか書いてる場合じゃないっつって
入院した秋も
詩なんか書いてる場合じゃないっつって
もちろん何かあった気がする冬も
詩なんか書いてる場合じゃないっつって
いつも
お前は逆に不謹慎だと
そう言われながら
生きてきたんだよね
そ、
不謹慎か
不謹慎じゃないかで言ったら
そりゃもう不謹慎
めっさ不謹慎
そ、
だから俺の出番
ね、
芸術は
そもそも不謹慎なものだって
フランスかどっかの哲学者が言ってたじゃないの
え、
知らない?
日本にもいたよね
小説家だっけ
そ、
芸術は弱い者の味方だとかなんとか
そ、
祈るばかり
そ、
役に立つ詩なんか
それ、
もはや詩じゃないよっつって
そんな
ミスター不謹慎な俺が
生まれ育ったのが、
にぎやかな街
そ、
つまり
この街である。


「水槽より浅く海より深く」


比喩禁止令が電線に止まっていた鳥やロータリーにいた人々に発令されたのは夜だった。鳥は消え去り人々は言葉を失い最終電車の窓に映る生きている者は皆、電車から降りられなくなった。そして、その街に限らず、どの街もいずれ編集されるだろう。朝がくる前に様々な出来事が形となり伝えられるだろう。水槽よりも、はるかに深い闇。その表面で静かに折れる光。風はいつものように孤独を奏でながら吹き抜ける。誰のためかは、わからない。街よ、どこが痛む。海は泣いているのか。祈ることしかできない。あの街この街その街。むきだしの街。それが海にかこまれている一夜明けた、その街の姿である。


早漏とか爆弾とか距離とか友達とか時間とか

  泥棒

(早漏のお客さんはありがたいね
って、
マリちゃん
ニコニコしながら喋る
待合室
カーテン閉めたまま
お菓子
食べかけのまま
誰も最後まで食べない
しける
心閉じたまま
何も変わらない
そのまま
待合室
次々に変わる顔
名前なんて
おぼえる前に忘れる
私たち


(しつこい客だったなあ
って、
マリちゃん
うんざりしながら喋る
遠いとこ行きたいね
そうだね
どこがいいかな
いつも
わかんない
行きたいとこがわかんない
私たち


(イクっ
って、
マリちゃん
イってないのに言う
完全にイったみたいに言う
演技派
さすがだなあ
マリちゃん
指名ケタ違いだもん
毎回イクのに
どこにも行けないね
私たち




あ、
爆弾に会ったよ
え、
この前
そ、
駅の反対側
ん、
交差点
あ、
全身入れ墨
怖、
慌てて逃げたよ
そ、
悪いことなんてしてないのに
ね、
そもそもどこに逃げればいいんだろ
ね、
熊みたいな顔してた
笑、
凶暴な熊みたいな顔してた
汗、
生きてる気がしない
ね、
生きてるのに
ね、
死んでるのかな
や、
生きてるよ
そ、
生きてるよ
ね、
痛いし
そ、
ちゃんと痛いし
ね、
こころ
と、
まんこ
そ、
全部痛いし
ね、
お菓子食べる?
や、
食べない
え、
何も食べたくない
そ、
カーテン開けていい?
や、
頭も痛いし
あ、
髪ぺったんこだよ
え、
洗ってる?
ん、
きれいになりたい
ね、
コーヒーのむ?
む、
今日はもう終わりでしょ
ん、
おしゃれな店見つけたよ
お、
一緒に行こ
ん、
すぐ近くだし
え、
最近できたんだって
さ、
カプチーノ
お、
クーポンあるし
さ、
帽子かぶろ
そ、
こっから5分くらい
ね、
5分で行ける場所
そ、
どこへでも行けるよ
ね、
私たち
そ、







(カプチーノ、お待たせ致しました。







マリちゃん

カップの中

かわいいクマさん

5秒見て

スプーンで混ぜた


暗い桜は錯乱し咲く裂く昨夜未明っ明るい桜が散る春の歌

  泥棒




「こじらせて、春。」

あの人は
常日頃から
異世界で生きていたような人だから
風に耳をすませては
あらゆる種類の
出会いや
色彩や香りとか
今も感じながら
どこかで生きているのかもね
いや、
生きている。
そう、
世界にあふれる
誰かの言葉を引用して
それが栄養になって
また来年も
桜が咲いてしまうから
もう今年で
終わりにしよう
本当は誰も見ていないんだ
10月頃の桜の樹
それと同じだよ
僕の理想が崩れる時
その時
その音は
桜が散るより
繊細な音であってほしい
誰が耳をすませても
聞こえないくらい
僕は
何の栄養にもなりたくないよ
目を閉じても
一切
何も浮かばない情景。
そう、
優しい言葉が
いつも僕を傷つけてきた
確実に
僕の中心を傷つけてきたんだよ
ほら、
優しい言葉から順番に
死んで栄養になっていくなら
僕は
いつまでも死なないよ
来年も桜を見て
他人事のように崩れる様を
僕自身に重ねて
きっと
いつかは死ぬのだろうけれど
春。
こじらせて、
僕は中心から死んでいく



「ちんぽ大爆発」

綾子ちゃん離婚したんだって。先週の火曜日。そ、夜遅くに電話あっ
て。綾子ちゃん、泣きながら(旦那とはもう終わりって、めっさ泣きな
がら電話あって。でね、とりあえずファミレスへ行ったの。綾子ちゃ
んに呼ばれてさ、朝までずっと話し聞いてたの。別れた理由。ま、そ
りゃね、夫婦の間にはさ、ま、そりゃね、いろいろあるでしょ。原因
はさ、ひとつじゃないみたいだし。そ、綾子ちゃんもさ、自分にも悪
いところはあったって、そう言ってたけどさ。ま、とにかくさ、私は
聞き役。朝までずっと話し聞いていたの。でね、どうやら、旦那。仕
事辞めてさ、またバンドやるんだって。バンド。しかも激しい系?私
さ、音楽とかよくわかんないけど、パンクとか、そういうのやるみた
いよ。でもさ、旦那、38でしょ?38だったよね?確か。バンドや
るのは別にいいんだけどさ、仕事辞めてまでするか?しかも38でパ
ンクはないだろパンクは。もっと、こうさ、静かなのやれよって。ア
ンビエントなさ。ちゃんと仕事やりながらさ。え?いやいや、もちろ
ん、そんな余計なこと、綾子ちゃんには言ってないよ。私はとにかく
黙って聞き役。うんうんって。朝まで頷いていただけ。基本、私は喋
ってなくてさ。でさ、綾子ちゃんもさ、いっぱい喋っていっぱい泣い
て、だんだんおちついてきてさ、(今度またみんなでのもうよって、ち
ょっとだけ笑顔になったからさ、朝7時頃にファミレス出て、ほら、
駅の向こう側の土手、桜満開じゃん?今。でね、綾子ちゃんと二人で
コンビニで缶ビール買ってさ、花見したの。平日の昼間っから。アラ
サー二人。もうさ、バカな女子大生ですよ。気分だけは女子大生です
よ。でね、ところで旦那のバンド、どんなバンド名なの?って聞いた
らさ、綾子ちゃん、めっさ小さい声で、

(ち、ちんぽ大爆発、

って。そう言ったの。私さ、(おいおい、お前の旦那マジかよ!って、
全力でツッコんだのね。めっさ大声で。満開の桜の木の下で。ほら、
夜から朝まで、私さ、ずっと黙ってたから、自分でもびっくりする
くらいの大声がでてさ。そしたらさ、桜、すこし散ったよね。私の
声で。いや、本当だって、この話し、盛ってないからね、


鳥は鳥、君は君、だから君は絶対に飛べない。

  泥棒




鳥は鳥、


ビルの屋上から飛んで
すぐっ
鳥は改行をはじめる。
交差点には
急ぐ人が
必ずひとりはいるから
この散文的な交差点の信号は
いつも
うすいうすい赤、
すぐっ
家には着かないようにと
立ち止まれと
夕焼けは命令する。
そのために
夕焼けは赤いのだと知る。
街にある比喩なんて
気にしなければいいのに
ひとつひとつ丁寧に拾い集めた後
公園で
すぐっ
鳥にばら撒く時
ぜんぶわかる。
飛べないという事実が
いつも
勇気みたいなものをくれた
想像したら
すぐっ
世界は半分になる。
そして
折りたたまれ
羽根のように折りたたまれ
世界がひとつになる時
ぜんぶわかる。
物語は
いつも僕の目の前で改行されてきた
たとえば花を
よりきれいに見せるために
でも本当は
花なんて咲いてはいなかった
世界に
今まで一度も
花は
咲いたことなんてなかった
誰もわからない物語の中
その中だけで
花は咲いていた
その事実っ
その事実だけが素晴らしい、
右に咲く花
左に咲く花
どこが似ているのか
すぐっ
ぜんぶわかる。
わかったら
すぐっ
ぜんぶ枯れる。
そういう世界に雨が降る時
ぜんぶわかる。
花が咲く理由
絶対って
本当に絶対なのか
絶対ならば
もっとたくさんの花が咲いていいはずなのに
今日も
どこかで
すぐっ
悲しい出来事が流される。
悲しいかどうか
自分では決められない速度
たくさんの誰かが
悲しいと言えば
それは悲しいのか
そうなのか
この世界はそうなのか
そうならば
世界は優しくない
君の物語が終わる時
その時でさえ
なにもわからないまま
すぐっ
改行される。
鳥が飛ぶ時
遠く
それを見上げながら
アスファルトの上を歩き
すぐっ
君は君になる。
世界の折り目を歩く時
ぜんぶ青になる。
わからない
飛べない
青い空に確かにある。
あの空行は
滑走路ではない
だから鳥は
すぐっ
改行をくりかえす
君はまっすぐ歩いて
いつか家に着く
着いたら
すぐっ
詩を書くだろう
誰にも改行させない
まっすぐな詩
君が
君だけが決めることができる。
その一行が
鳥より高く飛ぶ時
ぜんぶわかる。
それは
本当に飛ぶことより素晴らしい
もう
すぐっ
君の家は近い





君は君、


僕は、詩とか書いている人が嫌いです。
春の終わりに吹く風はあまりに強すぎ
て、すべて吹き飛ばすから、夜空がい
つもより暗くなると、みんなそう言う
けれど、僕は詩とか書いている人のせ
いだと思っています。朝がきて、孤独
にもそれぞれ個性が必要だと、太陽は
みんなを照らすけれど僕は詩とか書い
ている人が、憂鬱という漢字を都合の
いいように使っていると思っています。
僕は、詩とか書いている人が嫌いです。
書いてない人はもっと嫌いです。命の
大切さとか詩で教わりたくはない。僕
はもう知っています。いつか死ぬこと。
憂鬱という漢字を知らなかった頃から
憂鬱はどんなに強い風が吹いても誰の
中にもあったから、いつか僕のせいで
詩を書いていない人が詩を嫌いになる
くらい読んでくれたら僕はもうみんな
好きになれます。孤独を語って共感な
んてされたら終わりだ。僕の孤独はい
つだって新しい。最新。僕の孤独と君
の孤独は違うから離れていれば同じに
みえます。僕は詩が好きです。詩とか
書いて好きな人や空を飛んでいる鳥に
ずっと嫌われていたい。




だから君は絶対に飛べない。


ひとつの惑星を潰せるくらいに汚れたい。お前は何に影響を受けたのかと、そう聞かれたら、迷わずに君だと答える。草や花は文字にされたいわけではない。写真もいらない。風よ、黙れ。君以外の誰かなんてビニール袋みたいに飛んで消えろ。個性よ、死ね。羽根よ、ちぎれろ。言葉よ、集まるな、散れ。誰も愛をうたうな。すべての正解を否定したい。感謝されるよりお前の詩なんか役にならないと言われたいよ。そういう詩を書きたい。読みたい。静かな朝に君に会いたい。生きている間に君に会いたい。君に読まれたい。世界の半分は嘘がいいね。残りの半分を肯定できる。君の孤独が誰よりも深くありますようにと僕は願う。今日も君は孤独だ。鳥が上空から君の家を探しているよ。見つかるわけがない。君も僕も絶対に飛べない。世界の半分も飛べやしないんだ。


黒い柳に徹の子が、いる。

  泥棒






黒柳徹子が存在するならば黒柳徹男だって存在する
かもしれないよね。つまり可能性だ。それについて
書く。今回のテーマだよ。うん。君が(おはようって
言った時に、おはようって返事をする人が隣りにい
なくても、おはようは存在する朝。今日も一日、君
のこと嫌いな人が、君のこと好きな人と同じくらい
存在したらいいのにねってことだよ。昼から雨が降
ってきてさ、傘がない人は濡れる。濡れながら歩く
。もしくは雨が止むまで外へ一歩も出ない。窓も開
けない。雨をまっすぐひねれば虹になるよね。この
素晴らしい世界。もちろん、ならないって意見も大
事。ならない可能性だって、かなり高いからね。





黒柳徹美っているのかな。例えばモノマネタレント
とかで。調べてないからわからないけど。つまり斬
新の意味。それの本当の意味。僕が知らないだけで
本当はたくさんある斬新なもの。例えば窓のデザイ
ン。僕が今までに見たことがある窓より、たくさん
の窓がある。さらに開けたり閉めたりしたことがな
い窓は数えきれない。この素晴らしい世界。何百種
類もある柳の向こう。黒柳徹美が新しいタマネギを
きざんで何か料理を作ったとしよう。キッチンの窓
からは虹が見えるはずだ。





黒柳徹子がいるってことは、もしかしたら白柳徹子
もいる可能性だってでてくるよね。うん。この話し
外人さんにはわからないかもね。まず黒柳徹子を知
らないと意味がわからないよね。この素晴らしい世
界。もしかしたら僕が知らないだけでスイスやアフ
リカやベトナムにも黒柳徹子はいるのかもしれない
ね。可能性は低いけど、否定はできない。それは似
ているとか似ていないとか関係なくて、例えば僕が
(おはようって言った時、日本語を知らない外人さん
にも、これは朝のあいさつだなって、わかる可能性
が高いって話しだよ。もちろん、低いって意見も大
事だよ。どんな意見も同じくらい存在したらいいの
にね。





ハロー。この素晴らしい世界。僕は、それをまっす
ぐひねる。朝、隣りに誰もいない日は、おはようっ
て、世界に言ってみる。今日はいい天気だね。誰も
いないし、みんないる、誰でもない君がいる、赤柳
に青柳、徹也に徹郎。みんなみんな、黒い柳で生ま
れた子。この素晴らしい世界。見たこともない存在
すら知らない窓を開けよう。素晴らしい世界の反対
って、どんな世界なのかな。そう、素晴らしくない
世界。そこにも黒柳徹子がいる可能性はあるよね。


かっこいい扇風機

  泥棒






うねる
いや、
音楽のことではなく
いわゆる
グルーヴのことではなく
そんな
かっこいいことではなくって
髪の毛
ほら、
湿気でね
うねる
(それ新しいドレッドヘア?
って、
友達に言われる季節
そう、
毎年恒例のやりとり
友達がボケで
私がツッコミ
誰に見せるわけでもない
しょうもない漫才
これ、
毎年やってるから
無駄に
完成度が高くなってきた漫才
明日
一緒に
かっこいい扇風機を買いに行くから
きっと
友達は言うのだろう
(それ新しいドレッドヘア?
って、
今年も
飽きもせず言うのだろう
私はそれを
絶妙の間で返す
いや、
待てよ
もしかしたら
友達は
ボケではなく
ツッコんでいるのだろうか
(それ新しいドレッドヘア?
このセリフは
そもそも
ボケではなく
ツッコミなのかもしれない
どっちなのだろうか
梅雨空の下
そんな
どっちでもいいことを考えると
決まって
弱い風が吹く
うん、
漫才って
かなり難しいね。





友達は
私服がダサい
けっこう
いや、
そこそこ
かっこいい文章書く子なんだけど
私服がダサいから
がっかり
でも、
コラムとか書かせたら
めっさおもろい
で、
プラマイゼロ
そんな友達が好きだ
私が
(どんだけ私服ダセェんだよ!
って、
ツッコむと
いつも笑う友達
(笑ってる場合かよ!
って、
もう一回ツッコむと
大爆笑する
そんな友達が大好きだよ

飽きない
中くらいの丘の上で
叫ぶ
扇風機に向かって
口を
大きくあけて
あああああああああああああ
って、
やる時よりも大声で
叫ぶ
で、
今日
私服がダサい
その友達と
かっこいい扇風機を買いに行く。






昨日
家電量販店で買った
かっこいい扇風機
一番安いのに
一番かっこいい扇風機
シンプルで
飽きのこないデザイン
風量
強にして
昨日が今日になる
で、
今日が強になる
いや、
ダジャレじゃなくて
これ、
現代詩だよ
しょうもない現代詩だよ
これは
今年はじめての
難しくない現代詩なんだよ
って、
私が本気でボケたら
友達は
ツッコんでくれるのか
くれるなら
それは
いったいどんな言葉なのだろう
うねる
音楽のように
グルーヴが生まれ
飽きのこない
そんな
そんなかっこいい言葉だったらいいな。


酷評の嵐

  泥棒



僕の生まれた街は
梅雨が明けると
酷評の嵐がやってくる
簡単に超高層ビルも崩れるし
電車は止まり
車は爆破され
街は死体の山となる。


僕の生まれた街は
梅雨が明けると
酷評の嵐がやってくる
純粋すぎて
歪んでしまった感性に
耐えられない者は去り
染まらない物は潰され
共感の花は散り
山はけずられ
鉄が飛び交い
壊れたロボットのようなビルが
過去を美化しはじめる。



酷評の嵐が過ぎ
誰もが最初に見る景色は
それぞれの故郷に似ているなら
みんな
この街を呪えばいい
それを栄養に
ビルは高層ビルとなり
やがて超高層ビルとなる。




酷評の嵐が過ぎ
君と僕の関係が
今より複雑になれば
この街で
いつか出会えるよ
超高層ビルの屋上から
2人で
この街のすべてを酷評しよう
君と僕は
2人ではない
永遠にひとりだから
きっと誰からも
共感なんてされない。


(仮)現代詩(汗)現代詩(笑)現代詩(涙)

  泥棒


覚せい剤が入っているのかな( ^ω^ )

ら、
未来が
空に浮かんでいる郊外
その夕方。
僕は電車の窓から
過去を見つけてしまうのら、
鳥、
着地して、
うたっている。
線路は
どこまでも続いていない。
いないのら、
キャベツや白菜を育てている畑に
びくともしない鉄塔に
建売住宅に
ひとつの世界が
ぐわっ
ぐわわっと
生まれるのら、
線路は
世界に続いていない。
鳥になりたいと
鳥が、
うたうわけがないのら、
僕は
着地して、
明日も
どこかに
着地して、
たぶん様々なことに感動して、
その直後。
君を軽蔑しなければならない
尊敬とは
そういうことなのら、
電車は未来を過ぎてしまう。
ら、
覚せい剤が入っているのかな(汗)
景色にも。
ら、
すり潰した葉は
風に飛ばされ
今夜あたり
僕、
飛べそう
飛ぶ気もないのに
乙、
僕の世界は
こんなにも狭い
君が入るすきまもない
すきまもないのに
未来が
未来だけが
今、
ここにあるのら、





女の子を泣かせるために\(^o^)/

西にかわいい女の子がいれば(かわいいね。と声をかけ
東にかっこいい現代詩があれば(かっこいいっすね乙!と言い
僕は僕で一日に一編の詩を書き上げ誰からも褒めらることなく
そもそも読まれることもなく
森へ向かい悪魔を退治し海で魚を捕まえる。
すこしのユーモアと現金を持ち平日の昼間から本屋へ行き
何時間も立ち読みしては店員から(変な奴がまた来てる。
と噂され
雨の日は部屋から一歩も出ないで風の日には勢いよく空を飛ぶ。
そういう発想は僕にはない。
女の子を泣かせるために
僕はロマンチックな詩を書きたいけれど(笑)
もはや女の子は
女の子たちは詩では泣かない。
泣かないらしい(ネット調べ)
だから僕は南へ向かい北にたどり着く。
国境のない魚たち。
こうなったら
雨にも負けず風にも負けず
歩いて歩いて歩きまくって
僕の歩いた距離で女の子を笑わせたい。





地球滅亡(=゚ω゚)ノ

誰かが笑った日に誰かが死ぬ乙!地球は
君のために回っていないのに君を中心に
回っている乙!行こう過去へ乙!日本語
が死ねば未来を引用する猫たちは爆発し
ないバスに乗り確かめ合う乙!行こう過
去へ乙!未来は正論でできているから誰
も行かない乙!君を連れて行こう過去へ
乙!中心からズレて地球が爆発したら君
と僕のこと猫のこときっと未来の誰かが
詩にしてくれるよ乙!それをさらに未来
の誰かが現代詩と呼び過去の引力で新し
い日本語が生まれるのさ乙!おはよう誰
もいない地球(涙)さよなら出会えなかった
人類(涙)書こう未来へ乙!僕は今日もみん
なの敵だよ(涙)望んでこうなったのさ乙!
すべてが僕の想像を越えていくのかな乙!


加筆修正と読者と海より広い本屋のために

  泥棒




狭い海

職員室みたいな街で
君と僕は出会ったのさ
廊下に流れている川
そこで
君は魚になって
僕は岩になって
みんなは鳥になって
もう誰もいない
教室は
博物館と同じだね
案の定
君と僕には終わりがない



毒にも薬にもならない。

情緒を殺害、して
血まみれになる、夕方、
俺には
何の達成感も、ない。
太陽が
まるで正論のように、沈み、
雲は
やけに散文的な雨、を、
釘のように降らす
打ちつけられ、て、
毒にも薬にもならない。
終わった発想、で、
お前ら全員
何を奏でる、のか、
俺は静かな草になる。
遠慮はいらない
踏み、潰してくれないか、
新しい花
そうさ
お前らのため、に、



メンヘラバスターズ!

りゃお!
頭ポンポンからの誹謗中傷
この落差、
この落差で
メンヘラどもをやっつけちょる
わし、
メンヘラバスターズのリーダーやっちょるんよ
趣味は山登りっちゃ
りゃお!
今日も明日も明後日も
メンヘラども
情け容赦なく叩き潰すっちゃね。
じゃのに
最後は仲良おなっちまう
にゃぜか
必ず最後は仲良おなっちまうんよ
じゃから
わし、
リーダー失格
そんじぇ
今、
メンヘラとつき合っとるっちゃね
彼女の手首
その傷を褒め殺す
りゃお!
頭ポンポンして
しゃらに
頭ポンポンポンして
しゃらにしゃらに
頭ポンポンポンポンポンポンポンして
ほっこり
いや、
もっこりしているっちゃね
わし、
このまま
じぇっとバカでいたいっちゃ
彼女のために
誰よりもバカでいたいっちゃね
そんじぇ
休日
山の頂上で
孤独をうたうんよ



論外

真実などない
明日
草の上で
戦争がはじまる頃
君の思想が
通用しなくなる
他人の思想と入れかわる
そのくり返し
いつか
戦場に花が咲く
誰も死なない戦争をしよう



リコピン

こんにちは、
お元気ですか?
僕は
光速で
情報に轢かれながら
死んでいます。
朝のひかりで
リコピンを摂取しながら
ひとり死んでいます。
線路沿いの花が睨んでいる午後
その殺伐とした美しさで
巨大な妄想を
ちぎれるまで咲かせている
美しいのは認めるから
はやく散れ、
君も
なるべくはやく散って
死んだ方がいいよ
こんにちは、
お元気ですか?
トマトジュースを
半分ください、



何を見ても何も見た気がしない

優しさで汚された街が人をのみ込む午後。次から
次へとみんな高い場所へ消えていく。君が今まで
集めてきた言葉や数字が砕け散る日も近い。きれ
いな名前をつけられて少しづつ汚されていく夜。
個性的な景観が無機質になる瞬間を見た。この街
のどこかで野蛮な題名の音楽会が開かれている。
正しい手錠の使い方を知らないから。もう朝が近
いのさ。僕の知らないところで光が生まれている
らしい。何を見ても何も見た気がしない。闇を闇
で語る君が光を信じるようになるまで僕はきれい
だ。昨夜の出来事が加筆修正されて朝がくる。海
へ行こうか。ひろい海。そこで何を見ようか。最
初に見た印象とは違う世界。今日だけは加筆修正
を誰にもさせない。終わりのはじまりを見るよ。
拾った海で新しい街をつくるのさ。それが世界。



全員詩人

登場人物が全員詩人の映画があったなら
それは間違いなくコメディ映画である。
内容はどうでもコメディとして見なければならない。
どんな事件が起きようがサスペンスにはならない。
なってはいけない。
そしてハートフルなヒューマン映画にだけはならないように
監督には注意してもらいたい。
いや
監督も詩人だったなら観客も全員詩人でなければならない。
これは問題だ。
やはり詩人は少ない方がいい。



毒針

咲いている花の中でも
一番咲いている
死んでいる人の中でも
一番死んでいる
夏の終わりに
ボードレールの本が
逆さまに
本棚にあるのを見た
僕は
この本屋には
このひろい本屋には
もう二度と来れないだろう
夢の中で
夢の中の本屋で
理想的な背表紙の並びを見て
毒針が
時計みたいに規則正しく
胸を刺してゆく
真夜中


メンタルヘルスディストーション

  泥棒


風景が
やわらかくならない。
いつも
鉄のようなゼリー感覚
ガードレールは楽器だと思うんだよね。
叩くと
鳥が消えるから
ね。
何もしないで日が暮れる頃
病みツイートより深く
もっと深く
太陽がプラスティック爆
うあ。
人気のない漫画のように急に終わる
うあ。うああ。
連載しろ
速攻で
辞める辞める詐欺
鳥が戻ってくる
病める病める夕方
世界を一望する
うあ。
ちっちゃ!
お前の世界、その小ささ
東京ドームの半分の半分の半分の半分の半分くらい
その100億分の1
うあ。
攻める攻める日常
君は個性的だね
うあ。
君より個性的な人がいるよ
もう
君のとなりに
いるかもしれないね
右にも左にも
100メートル先にも
たぶん
いるんだろうね
100年先にもいる
ね。
君の100メートル先にいる小鳥が
よく見えるけれど
本当は
小鳥の100メートル手前に君がいるだけなのかもね
ね、
理屈の森で
みんな競う
燃やしてはいけないものを
燃やす
となりを刺し
うえを落としたら
やっと個性がなくなる
ね。
100メートル先くらいまでなら
すべて潰せるよ
世界だって
ね。
代々木から歩いて五分
実家はレゴブロック(実話
地下鉄でポエムが歪む
うあ。
手首に貯金してまあす
うあ。うああ。
誰も注目してくれない夜
貯金くずしまあす。
うあ。
コンビニで闇を買う
買った闇を
ネットで売りつける
一年後
それが戻ってくる
闇。
鳥は戻ってこない
うあ。
自分大好き
みんな大好き
アボカド大好き
コレステロール死ね
自撮り棒に刺さって死ね
うあ。
真夜中
白馬に乗った二次元が
落馬して三次元になる
言わんこっちゃねー
スマホで
世界征服だ!
戦争だあ
ポエスとポエムで戦争だあ
錠剤と地雷ばかりの街
戦車で行くコミケ
うああ。
東京っメンタルヘルスディストーション!
うあ。
戦争だあ
水色だあ
炎上だあ
味のない泥のんで
生きるでやんす(^-^)
全滅!
うあ。うああ。
処女を守れ
兵隊ども
比喩に負けるな
ひるむな
つぶやくな
てやんでいっセンチメンタル!
ナースの格好で
注射針の先で
未来を刺すでやんす(^ ^)
しゃらくせいっリストカット!
塩まいとけ!塩。
デリカシーのない奴ら
この指とまって折れ
折ってみろ
あることないこと
書いて書いて
伝書鳩で一斉送信
名誉毀損で訴えてやる
調教っメンタルヘルスディストーション!
傷なんかねえから
包帯いらない
ガードレールに座りながら
楽器の練習
エアで。
うあ。
やっと
やっとだ
やわらかくなる
風景。


クズどもの残暑

  泥棒





密室で石鹸の香り
窓の外
嘆きの街路樹
通りの向こう側
鍵盤に囲まれた家があるだろ
誰かが死んだのさ
こんな夜は
星なんか見ないで
落ち葉を見るといいよ
クズども
映画のようにはいかないさ
君は
死にたくなる度に
その度に
きれいになってしまうから
みんなに呪われている
かも、しれない
街をぬらすためだけに降る雨


いつも雨、

その雨、
音楽のようにはいかないさ
渇いた花よ
さよなら
一度も死にたくなったことのない
僕と同じようなクズども
違うクズども
普通のクズども
死にたいクズども
死ぬ直前のクズども
最後に
やり残した事があるだろ
落ち葉を見たか
誰に笑われてもいいさ
褒められて
ただよろこぶ方法を
教えてほしかった


それにしても雨、


この雨、
夏の終わりの
この雨、が止んだら
君が好きな暗いだけの詩を
僕が明るく
誰よりも明るくよんであげる


死にたがりボーイズ 脱ぎたがりガールズ

  泥棒

「死にたがりボーイズ」


今年の夏、俺はついに、ついに、
死にたがりボーイズを結成した。
したのだが、だが、
その日の夜に
早速メンバーのひとりが死んだ。
次の日も、そのまた次の日も
メンバーは死んでいった。
結成した日には15人いたメンバーだが、だが、
なんてこったい。
結成してからわずか2週間で今は俺ひとりである。
みんな死んだ。
オーマイガッ!
これでは何もできない。
本当ならメンバー全員でバーベキューしたりボーリングしたり、
秋になったら
栗拾いとか紅葉を見に行ったりしたかったのだが、だが、
全ての計画は中止である。
オーマイガッ!
また最初からメンバー募集するのもめんどくさい。
いや、募集して、また集まったとして、
ちゃんと生きてくれる死にたがりはいるのだろうか?
みんなでバーベキューしながら
(死にたいね?(だよねぇ!
とか言ったり
ボーリングしてハイスコアだしつつも
(もう死にたいなあ(ま、そのうちね!
とか言いながら盛り上がってくれる奴はいないのだろうか?
ちゃんと仕事して、ご飯をしっかり食べて、よく寝て、
ちょいちょい死にたがるおもしろい奴はいないのだろうか?
もちろん死にたがるだけで本当に死んでしまったら困る。
あくまで死にたがりの奴。出てこいや!
俺は叫ぶ。
オーマイガッ!
月に吠える。
オーマイガッ!
よし、こうなったらカラオケだ。ひとりカラオケだ。
今夜はうたうぞ。朝までうたうぞ。暗い歌をうたいまくるぞ。
またいつかメンバーが集まったら
誰よりも上手く暗い歌をうたえるように練習だ。
(さすがリーダー!暗い歌、超うまいっすね!
とか言われたりしてな。な。
そんで、あれだ、今度は女性も募集しよう。そうしよう。
グループ名は死にたがりボーイズだが女性大歓迎。
冬はスノボやったり鍋やったり。楽しいぞ。ぞ。
これからはアクティブに死にたがらないとね。ね。
もちろんメンバーのみんなには長生きしてほしい。
みんな、死んだらだめだよ!絶対にだめだ。生きていこう。
いこうぜ!いこうぜよ!
俺は死なない。絶対に死なない。
みんなも死なないでくれ。約束だ。絶対に死なないでくれ。れ。
下に書いてあるのは
メンバーに必ず読んでもらいたい注意事項だ。だ。

死にたがりボーイズ注意事項

1 絶対に死なないこと

2 ポエムとか書かないこと

3 メンバー間で恋愛禁止

4 最低でも年に一度は死にたがること

5 みんな仲良くすること

6 ユーモアを忘れないこと

7 詩とかばっかり読まないこと

8 むやみに人様を傷つけないこと

9 合言葉はオーマイガッ!



「脱ぎたがりガールズ」


脱いでも脱いでも裸になれない
そうつぶやきながら
君が脱ぎたがりガールズを脱退した日
その日の夜は雨で
街を叩きのめす雨で
要塞みたいな雲が浮かぶ雨で
このまま世界が終わるような雨で
でもやっぱり
世界は終わらなくて
君は泣きながら洋服を何枚も何枚も重ねて
小さな小さな自分の世界に入って
こころがこわれたと
小さな小さな声でつぶやきながら
いつか
世界を本当に終わらせるだろう
自分の世界なんて
かんたんにこわせる
君らしさなんて
君の手で終わらせればいい
花や草が
孤独を語りはじめたら
この世界は本当に終わってしまうよ
だからね
君の孤独がなるべく長く続けばいい
長生きしてね
君が君を終わらせる日
その日は晴れで
きっと街全体が晴れで
ビルの向こうまで晴れで
遠く遠く知らない街まで晴れで
雲ひとつない青空が見える
おはよう
裸になれた
春、
新しい君が
きっとはじまる


全国の女子高校生のみなさん

  泥棒


こんにちは

全国の女子高校生のみなさん

僕は変態です

みなさんは文学というものに興味はありますか

僕はありません

正直まったくありません

がっ、

どうやら文学というものは

日常にあるそうです

そう

例えばコンビニ前とか

線路の向こう側とか

普通にあるそうです

みなさんも学校帰りや部活帰り

遊びへ行く途中など

コンビニへ寄ることがありますよね

そこにあるんですって

文学がっ。

店内ではありません

店の前です

そこから見えるいつもの風景の中に

あるんですって

すでに

もうあるんですって

なので

全国の女子高校生のみなさん

もう図書館などへ行く必要はありません

勉強もしないでよろしい

街へ出ればいいのです

本当です

変態の僕が言うことに間違いはありません

そう

僕はたくさんの本を読んできました

いわゆる文学作品です

そこには胸に刺さるたくさんの文学がありました

読めば読むほど

僕は変態になりました

ある日

いつものように本を読み

ますます変態になった僕は泣きながら家を出て

コンビニへ行きました

春でした

さっきまで読んでいた本の中は冬でした

街は春でした

本の中では

コートを着た主人公が自殺しておりました

つらかったろうに

寒かったろうに

雪の上でした

僕はコンビニ前から見えるその風景の中に

花をみつけました

手にとって

そのまま家へ帰って

死んでしまった主人公のページに

その胸に

花を刺しました

冬でした

本を閉じました

閉じても本の中は冬でした

僕は変態です

全国の女子高校生のみなさん

みなさんは生きてください

生きて

たくさんの本を読んで

勉強して

いつかたくさんの花にかこまれて

死んでください

文学はみなさんのそばにあります

全国の女子高校生のみなさん

みなさんの孤独は

ひとつとして同じものはありません

孤独とは秋の空です

きれいです

共感とは夜の細道です

きけんです

全国の女子高校生のみなさん

僕は変態です

線路の向こう側で

いつかお会いしましょう

全国の女子高校生のみなさん

安心してください

みなさんにお会いする頃には

僕はもう変態ではありません

文学です

文学そのものです

ほら

線路の向こう側は夏です

もう夏なのです

まぶしい

きっとたくさんの花が咲いているでしょう


銀行へ行こう!

  泥棒


[福]

雨が降る日は
福沢諭吉に会いに銀行へ行こう
きっと
みんな死んでいるから
傘で
中心を刺しながら銀行へ行こう

[沢]

世界が
平日の昼間に終わるなら
あの太陽は
お金で買えるのかもしれない
行こう
沢のほとりから銀行へ行こう
雨の日に見る太陽は
抽象画のように
銀行の壁に飾ってある

[諭]

君よ
まるで洗練された文章のように
雨が降っているではないか
しかも無料
このまま
もっと濡れてみたい
そんな気分だよ
優れた批評はできないけれど
こんな日は
芸術を買うために銀行へ行こう
月よ
口座番号を照らせ
お金で買えない芸術は
傘の下で
そっと守られているから
比喩の中で
今夜
新たな芸術が生まれるのだろう
ごらん
諭吉の諭が
比喩の喩になり
やがて大金の雨が降るのさ

[吉]

共感という名の闇よ
みんな
それを狂気と呼ぶのか
素晴らしいね
ならば君よ
これから
その狂気の値段について
君と僕と福沢諭吉の3人で
食事でもしながら
ゆっくり話そうではないか
共感だけでは
僕の財布は開かないけれど
今夜は僕がおごるよ
凶とでるか
吉とでるのか
さらば芸術
手数料込みで陽がのぼるまでに
必ず
君の闇を買い取ろう


NO PANTY , NO POEM , CAR SEX !

  泥棒


車で、
どこへ行っても
同じような街ばかりで、
とりあえず
海岸沿いで、
君は
情景をスルーして
ノーパンで、
水平線を斜めに見ていた。
僕には
君が
君の存在そのものが
世界の比喩に見えはじめたから
とても
一緒にはいられない。
これ以上
ふたり
一緒にいれば
骨まで透けてしまうから
もう
君がノーパンでも関係ないのさ
ほら
そろそろ陽が落ちて
海が
悲しい歌をうたいはじめるだろう
あ!
流れ星
さあ
今ここで、
最後のセックスをしよう
世界に
とり残された気がする君と僕
もちろん
それは錯覚
この惑星は
セックスする場所が多い
なるほどね
どこで、
セックスしても
同じようなセックスになるんだね
不思議だね
不思議じゃないね
星が降る
海に捨てたブラジャーは
クラゲのように漂い
君のパンティは
いつの間にか
あの星よりも小さくなり
同じように
やがて消える

優しいだけのポエムなんていらない
この夜に
骨が砕けるまで
君と僕は抱き合って
それで終わり
新しいね
新しくないね
月の輝かない夜
あ!
差別とキャベツ
似てるね
似てないね
さあ
僕の喉仏を切ってごらん
最初から
自分の言葉なんてないのさ
鋭くない破片
散らばる
効いてないメタファー
いつか
君が一枚の絵になる
それは地図かもしれないね

そんな夜の海岸沿い
誰のために
海は
同じような悲しい歌ばかり
どうして
いつまでも
うたっているのか
選べるなら
僕は
こんな夜も
楽しい歌がいい
あ!
潮騒と詳細
くだらないね
くだらないね
あ!
同じような感覚
また錯覚かな
海岸沿いで、
悲しいね
悲しくないね
あ!
メリークリスマス
メリークリスマス


コピペの街で、

  泥棒


パピプペポみたいな
そんな感じの街に住みたい。
楽しそうだもんっ!
僕は
コピペの街に生まれ育ち
ここにいる。
みんな似ているけれど
同じ人はどこにもいない
みんなでみんなを
ずっと無視したりされたりしながら
ずっとずっとこの街にいる
コピペの街には
存在しないものがない
いや
ひとつだけある

そう
絆だけが存在しない
昨日
僕は人助けをしたけれど
そこに
絆はなかった
風だけが吹いていたよ
そこに、

ガギグゲゴみたいな
そんな街には住みたくない。
ガラが悪そうだものっ!
やあ、
みんな元気かい
それとも死んでいるのかい
僕は相変わらずだよ
今日も
僕と君に絆なんて存在しない
そうやって
いつも心に
僕は砂漠をつくってきた
それなのに
そこには君の足跡だけがある
消えないんだなこれが
今も
そこに、

なにぬねのみたいな
そんな街は嫌だね。
きっと理屈っぽいからねっ!
わざわざ立ち止まって
いちいち感じていられない
コピペの街で、
何かひとつ理解しても
新しい謎がふえるだけ
いろいろな街から
さまざまな話題が無題のまま
つぎつぎに消えてゆく
海の向こうでは
透けて見えるらしいよ
感情のない表現とか
そこに
何か込めないとね
そこに、

さしすせそ
料理のさしすせそ
それを知っていても意味はないよっ
コピペの街
食料はすべてレトルト
蛇口から水がでる
それを当たり前だと思うなよ
道にヒビが入った
草よ
お前は踏まれて何を思うか
皮肉な比喩が
やがて雨になり
コピペの街も
どしゃ降りになるだろう
さよなら
僕もそこに行くよ
そこに、


ピピピピピピピピ
何かをしらせる音がする
鼓膜の奥で
それが潰れる音にかわる
コピペの街で、
毎日のように
新しい悩みができるから
僕には
もう悩みがないのかもしれない
もはや
悩みが僕に追いつかないのさ
君が
どこか遠く
らりるれろみたいな国から
ここへ来るなら
僕が案内してあげるっ
言葉が通じなくても大丈夫だよ
コピペの街で、
君が孤独を語るなら
朝も夜も
ずっと好きなだけ語ればいい
僕が
最初から最後まで無視してあげる
何も聞かなかったことにして
コピペだけしてあげる
感情まで汚染されたら
個性が邪魔をする行間から
君が見える
今日も君だけはきれいだよ
この街には絆がないから
君の孤独が
もしかしたら永遠に続くよ
ここに、


天使の羽根をちぎる仕事

  泥棒


・天使

風俗やめたんよ。うち、鬱になってもうてな。自分だけは大丈夫やと思っとったんやけどなあ。不動産屋の社長さんにえらい気に入られてな。しょっちゅう指名してくれてな。優しい人やったわ。せやから優しすぎて辛くなんねん。普通がええねん。まあ、普通が何なのか、もうわからへんけどな。うちがフェラしとる間にも世界は動いてんねんなあ。とか考えはじめたら終わりやん。ちんちんに集中でけへん。ほんでなあ、今な、うちな、知り合いの知り合いに頼んで違う仕事しとるんよ。二週間前から天使の羽根をちぎる仕事しとるんよ。街でな、天使を見つけたら声かけんねん。気ぃつけなあかんのはな、たまにな、悪魔おんねん。見た目は天使やねんけど。最初はわからへん。何回も悪魔に声かけてもうてな。しんどいわ。死ぬ思いしたわ。どんな仕事もそりゃしんどいわな。今はちょいと慣れてきてな。天使を見つけたらな、しばらく様子見んねん。歩き方とか表情とか、よう見んねん。ほんで間違いなく天使やったら声かけんねん。ほんでな、バレへんように羽根をちぎんねん。ほんでな、それな、募金すんねん。天使の羽根な、未来に役立つねん。どう役立つんかは、うちにはわからへんけどな。ちなみにな、うち悪魔やけど、羽根あんねんで。ま、誰もいらんやろうけど。役に立たへんし。ただの飾りやからな。

・羽根

風俗やめた
鬱になった
自分だけは大丈夫だと思った
不動産屋の社長に気に入られた
何回も指名してくれた
優しい人だった
優しすぎた
優しすぎて辛かった
普通がいい
普通がわからない
フェラしてる間にも世界は動いていた
そう考えた
終わった
ちんちんに集中できない

違う仕事している
二週間前から
天使の羽根をちぎる仕事
街で
天使に声をかける
気をつける
悪魔がいる
最初はわからない
何回も悪魔に声をかけた
しんどい
死ぬかと思った
慣れてきた
天使の様子を見る
歩き方
表情
よく見る
間違いなく天使だった
バレないように羽根をちぎる
募金する
未来に役立つ
悪魔にも羽根はある
役に立たない飾りの羽根

・ちぎる

風俗、
鬱、
大丈夫、
社長、
指名、
優しい、
辛い、
普通、
フェラ、
世界、
考える、
終わる、
ちんちん、
集中、
今、
仕事、
二週間前、
天使、
羽根、
ちぎる、
仕事、
街、
天使、
悪魔、
最初、
悪魔、
死ぬ、
慣れる、
天使、
様子、
見る、
天使、
募金、
未来、
悪魔、
羽根、
飾り、

・仕事

三年くらい前にな、雑誌かネットか、ま、ようおぼえてないんやけどな、
なんや、コラムっちゅうんかな、そんなんで読んだんよ。
ゴッホが耳を切り落とした日な、その日は雨やったとか書いてあってな。
ま、嘘かもしれんけどな、ま、なんちゅうか、うちな、ゴッホとかよう知らんし。
でな、今な、思い出すとな、あれ、コラムとかちゃうくて、
詩だったんかなあって。そう思うんよ。ちなみにな、うちな、風俗やめたんよ。鬱になってもうてな。
ま、自己判断やけど。
ほんでな、風俗やめた日な、雨でな、急にな、思い出したんよ、ゴッホの詩。
いや、コラムか詩かわからんけど。ほんでな、不動産屋の社長さん、確かな、詩とか好きや言うてたからな。
なんとなく聞いたんよ。ほんならな、そのコラム書いたん自分や言うて。
そうなん?ほんまに?社長さん、いつも冗談ばっかりやから信じられへん。
耳ちぎったら、あかんやん。
うちの耳な、飾りちゃうで。ちぎらんよ。そんなんしたら社長さんの優しい声、もう聞かれへんもん。
ちゅうか、あれ、コラムなん?詩とちゃうん?
ほああ。疲れてきたわ。なんもしとらんのに。なんでやろ。ほああ。
オランダ行こかな。天気予報だとオランダ、今日も雨らしいんよ。ネットでなんとなく調べたんよ。
暇やし、することないねん。ほああ。
そや、うちもな、弟おんねん。まあ、関係ない話しやわ。ほあ。
どっか行きたいわあ。天使も悪魔もおらん場所へ行きたいわ。ほんま。
知らん人に会いたい。ほああ。ちゅうか、あんた誰やっけ?


すみれ

  泥棒















あ、

今日は風が強いな

もう一枚

なにか着てくればよかったな

うんっ

残念なことに

僕が知っている眺めは

その辺りまでだよ

向こうまでは

とてもわからないな

コンクリートに耳をあてると

なつかしい歌がきこえるんだ

この景色の中で

君のために咲く花があるだろうか

あるとして

その花のために降る雨はどうだ

君に名前がなかったとして

誰が君の名前を呼べる

詩なんてものがあるから

君と僕は隣りにいてもひとつになれない

それは本当だろうか

本当ならば

とても気持ち悪い

いっ

線路沿い

ただ咲いている花になって

風にはならない

君の隣りで

雨にうたれて死にたいと

誰が言うのか

優劣のついた風が強く吹き抜ける

そんな午後を

すべて笑いとばすアプリがあるとして

いらねっ

猫にアプリ

君にサプリメント

世界をコンプリート

わおっ

その辺りの世界

メメントッ

うっ、

心臓麻痺しそう

誰よりも深く傷つく才能がない

芸術なんて口にするから

浅い川のほとりで

意味もなく

石を数えてしまう

その石を並べるように

誰よりも正確に

感傷的になってろよ

あほんだらっ

共感なんてされたら

そこは地獄になる

反感なら

それはアクセサリー

ひかり

耳鳴り

寒っ

夕暮れ

深くなってしまう夕暮れっ

本当にそうなのか

闇って

そんなに単純なのか

優しい言葉って

どんな言葉なんだろう

優しさのかけらもない

そんな言葉も必要だとして

いつ使うんだ

だっ

何を読んでも理解できない

見ても聞いても信じられない

すべての直感は

見事っ

的を外す

いったい何をしたら

経験したことになる

君を見ても

君ではない気がする

なんじゃこりゃっ

悩んだ順に

みんな

きれいに終わる

みんなみんな

主人公

脇役

お姉さん

社長

雑魚キャラ

ラスボス

みんなみんなみんな

いつか死ぬよ

それは本当らしいよ

この胸の景色

最初から自分のいない景色

いないから

死ねない

いない人は

死なない

七色の

狂気っ

玄関開けたら

無知っ

誰もが一度は使う

比喩っ

すぐ潰されるメンタル

弱っ

そんな君にホイミ

間違って

メガンテ

きれいな悲しみに

汚れなかった

とってもきれいな悲しみに

ぶつからない

君と僕

あちゃー(棒読み

じゃ何っ

いったい何にぶつかって倒れたのか

わっからない

わっ

頭が悪いわけではないのです

頭がないのです

なっ

心臓の上を電車が通る

ガタンゴトンッ

孤独という名のもとに

君の痛みがすりかえられて

一瞬だけでも

世界中の詩が全滅する

そんな日がいつかくると信じているのか

君よ

確かにいるはずの君よ

そこからの眺めはどうだ

何が見える

言葉で叩き

叩かれ

風のない日に揺れる花を見たか

すみれ

アスファルトのヒビを行間として

そこから何を感じたらいい

こんにゃろっ

背景のない夜に

置き去りにされた未来

詩っ

だまらっしゃい

うっ、

心臓が痛い朝

春を告げる雨が

ただ降っている

誰のためでもなく

その辺り一面に降っているよ。


軽蔑くん。微熱さん。世界ちゃん。

  泥棒



軽蔑くんは
誰も軽蔑していないのに
毎日みんなに軽蔑されている
ある雨の日
あえて洗濯物を外に干し
部屋で自分を殴り倒す
痛っ
倒れたら
天井には青い空
死んだら
虹が出る部屋
グッジョブ!
想像してごらんよ
世界中の人たちが
みんな個性的になったら
とりあえず
戦争が終わる
終わって
またいつかはじまる
平凡な戦争
明日から
みんなを軽蔑するために
濡れた洋服に着替え
今夜は眠る
軽蔑くん
グッナイ!


微熱さんは
いつも微熱で笑っている
高熱をだした夜こそ
微熱の笑顔を大切にしている
例えばこんな感じ
(^_^;)
微熱さんは走る
電車よりはやく
自転車よりおそく
夜の街をひたすら走る
街は
意味もなく輝いているので
街路樹が
たまに化け物に見える
幻聴だって
もはや
ひとつのジャンル
小鳥のさえずり
それも音楽として
熱っ
生きているものは
みんな
微熱
寒いのに
空は八月のようだね
もう帰ろう
微熱さんの後ろには
ロキソニンの雨
しかも
どしゃ降り


世界ちゃんには
未来がない
友達もいない
誰が誰を傷つけても
どんなに他人事でも
世界ちゃんは
胸が苦しくなる
綺麗事で終わる午後に
おそらく
世界ちゃんは悲しくて悲しくて
いつか自殺するだろう
どうか
死なないでほしい
世界ちゃんが死んだら
みんな
あれだから
なんか
こう
あれだから


中学生はみんなバカ。

  泥棒


馬と鹿にかこまれて
校舎に激突した思想が
さらさら血を流しているよ
先生の眼鏡はきっと
ブラジャーが透けて見えているのに
未来はまるで見えないんだね
夏だもの
中学生はみんなバカ。

女の子たちは
スカートの短かさで
男の子たち
皆殺しにするよ
夏だもの
中学生はみんなバカ。

日本語が空に溶けて
月がきれい
世界中のブラウスが揺れて
夏が終わる
比喩が飛躍しすぎると
花火が落ちる仕組み
つまり
半殺しです
今。
教科書に
二次元の友達がいて
放課後
四次元に消える
夏だもの
中学生はみんなバカ。

自転車を盗まれて
傘も盗まれて
液晶にヒビが入って
泣いている子がいるよ
テニスコートに転がっている
小さな青春
にわか雨
黒く
死んだふり
夏だもの
中学生はみんなバカ。

教室の窓から宇宙が見える
ミサイルが
ピンポイントで心臓に命中
優しい他人の言葉に
共感したことは一度もないです
夏だもの
中学生はみんなバカ。

あの子はあの子に影響受けて
あの子があの子になったのです
あの子にあの子が影響与えて
理科室
暗い廊下の前で
爆発したよ
夏だもの
中学生はみんなバカ。

非常階段で
月の光に刺されては
文学から
どんどん離れていく
白紙をひたすら読むような体験
芸術の秋なんて
どこにもないのか
なっ
冬がきたら
もっとバカになれるのに
大人だって
子供だって
みんな黙る季節
英語で喋れ
飛行機が止まって見えるならね
夏だもの
中学生はみんなバカ。

花壇に水をやり
方程式を解いても
人並みがわからない
選挙権より
10ギガ欲しい
今だけ
中学生は
校庭三週まわって
いつか
みんな
頭の中だけ
天才になってしまうんだね
馬も鹿もいなくなる
卒業するまで
君が君を束縛し続けるだろう
よく見ろよ
鉄棒が錆びている
戦闘機は
青い空を飛んでいる


おっぱいの揉み方がかっこいい奴

  泥棒

彼女が
Bまでしか駄目だと言う
今は
絶対にBまでしか駄目だと言う
受験が終わるまで
何があっても駄目だと言う
僕は
もうっ待てない
僕は
はやくCまでいきたいっ
もしも
この世に
めっちゃかっこいい、
おっぱいの揉み方があるならば
誰か教えてほしい
僕は
おっぱいの揉み方がかっこいい
そんな奴になりたいんだ
かっこよく
それが出来たら
彼女も
きっと今すぐっ
Cまで許してくれるだろう
そして
受験が終われば
ついに
Dまでいける
僕にとって
Cは通過点にすぎない
誰か
はやく教えてほしい
僕に
かっこいい、
おっぱいの揉み方を。

僕には
もうイメージできているんだ
DやEやFも
はっきり言って
QやWのあたりまで
もう
完璧にイメージできているんだ
参った
勉強が頭に入らない
なんで
Bは
こんなにも難しいんだ
高い高い壁
その向こうへ僕は生きたい
誰も見たことがない
Zの風景
そこに咲く花々は
きっと
おっぱいよりも
おっぱいだと思うんだ
誰もいない空地で
おっぱいに挟まれながら
イメージだけが
炸裂して
誰にも届かない
すべての共感はまぼろしだ
押忍!
僕の悩みは
文学にならないから
世界よ、
ありがとう
すでに
見渡す限りのおっぱいが
風に揺れているではないか。


みらい

  泥棒

思わせぶりな詩が好きだ
窓の向こうに
基地が見えるラブホテルで
不意に
君がそんなこと言うから
いや、
言った気がしたから
もう何も
返す言葉はない
今までおぼえた言葉では
君に伝えることができないなんて
なんだか
誇らしい気がするよ
まだ出会っていない言葉たち
未来に吠える
私は
思わせぶりな詩が嫌いだ
思えば
この部屋に
窓なんてなかった
冷蔵庫に君の頭蓋骨を入れて
目を閉じる
不意に
戦闘機の音がする


ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ

  泥棒

ピザって
10回言おうとしたら
8回言ったあたりで
血を吐いた
病院行った方がいいかしら。
肘と膝を間違えて
点と線がつながる
あ、雨だ、
点みたいな雨が線みたいに
ざあざあ
点滴は
ぽつぽつ
退院したら
まるい面になる
今夜こそはピザ食べたい
かっこよく言えば
ピッツァ!
年末年始
鳥は飛ぶよ
どこまでも
渋滞知らずの青い空
Siri
炊飯器が壊れました
Siri
ポエジーって何?
Siri
ピザって10回言って
その後
1回深呼吸して
ピザって永遠に言い続けて
この前
激しいカーチェイスの映画を見たよ
主人公の男が
ラスト
車から降りてきた相手に
信じられないくらい
フルボッコにされてたよ
年末年始
地元の神社で甘酒もらって瞬間移動
大陸で、
枯葉をペンキで塗ったような芸術が
砂浜で、
新しい季節を注文するらしいよ
噂では
鈍い犯罪は鮮やかな生姜の味
siri
意味わかるでしょ?
ひな菊を食べながら
逃亡する無意味が
情緒を語り自分を語り
やがて死ぬ。
すべての意味よ、
てめえが最初に死ねばいいのに
てめえはいつも必ず
最後まで生き残る、残りやがる、
食物連鎖が胃の中で破裂するから
順番も法則も無駄に難解で
誰も解けないまま溶けて消える
他人のさびしさを握り潰して
意味が無意味に犯される頃
言葉のない中庭に咲く空白の花、
咲いてはいけない花、
現代の真ん中に咲きやがる花、
とげとげした見えない花、
siri
意味わからないでしょ?
比喩が比喩に包まれると
語彙が語彙に囲まれて
死んで死んで死にまくる。
斬れないものを
斬って斬って斬りまくる。
こんにちはこんにちはこんにちは、
私は今日から学びます
哲学以外を学びます
入口のない学校へ通います
顔のない先生に
名前のない生徒が私です
ハイ!みなさん
ここでひとつ自慢します
私の得意な楽器はバイオリンです
一度も弾いた事がありませんから
きっと得意です
スカートをめくると
そこにはもう性欲がありません
あるのは殺意です
もしくは新しい季節です
つまり軽蔑された感性です
てめえの言葉が
処女膜を貫通するだなんて思うなよ
こんな午後は情報を遮断して
もう変身できない昆虫に手紙を書く
殺してください
自意識の楽譜を舐めると
演奏が止まります
その前に殺してください
夕焼けが戦車を照らし
環境が死ぬ。色彩が死ぬ。
想像していた街が死ぬ。
冷蔵庫の中にバイオリンを入れて
私は生き返ります
それしか方法を知らないし
魚も肉も腐るだけ
本当の意味で
世界中の詩に包まれたいし
だけど現実にはいつも
世界はだいたい渋滞している
空白という名の渋滞
ハイ!みなさん注目
CG一切なしの現代詩が今ここにあります。
シャラップ!
あるわけねえだろ
あるのは
そう!
立体感のある自意識
カーチェイスのような雑談ですわね
VFX
哲学が肉や魚や野菜と革命を起こし
薬品が売れる仕組み
siri
意味わかるでしょ?
文字が炸裂して点と線が面になる
弦が切れて素晴らしい音色が
大陸に響きわたる
錠剤は透明な味
ピザって10回言った夜に
1回だけ
全員死ねって
つぶやいた人がいるらしい
siri
大陸で、
ピザ食べながら
君の詩をずっと読んでいたい
空白で道に迷いたい
siri
意味がなくなったでしょ?
さようならさようならさようなら、
浮かび上がる情景
テーブルの上にはピザ
地球の未来は球体のピザのようになるとかならないとか
噂が渋滞している
フリーズ!
さあラスト二行だよっ!
現代人のみなさん
退院おめでとうございます


ビール瓶と比喩とゾンビ

  泥棒

「今からビール瓶で殴りに行きます。」



好きだから
君のことが好きだから
今からビール瓶で殴りに行きます。
愛の雨が
どしゃ降りの午後に
傘もささずに
思いきり殴りに行きます。
ゴッ!
君は気絶するだろう
頭から鮮やかな血を吹き出すだろう
それでいい
何も間違えてはいない
君は横になって
読みはじめたら止まらない
私の詩を
血が流れるように読んでくれたら
それでいい
ひとつの恋が終わる
ガッシャーン!
ビール瓶の破片は
恋模様のように散らばるかしら
嘘が反射して真実になる時間
ひとりよがりの夕方五時
愛してます


「わけのわからない比喩」



雨が降ったって槍が降ったって
カレンダーはいつも同じだろうね
火曜日みたいな月曜日があったって
やることは同じなら
なんだか変な感じ
右にいる人も左にいる人も
同じような顔している
そか、
そもそも君に届けたいものが
僕にはないのかもしれないね
それでも
暗い空に浮かべたいものが
わけのわからない比喩では
君に悪いなって思うんだ
言葉なんて信じないように信じてほしい
形あるものは必ず何かに似ているって
それなら言葉だって思想だって
同じだろうね
どこかの街で
すれ違うように出会いたい
君と僕しかいない世界
悲しい予感しかしない世界
そこで
偶然みたいに
右でも左でも真ん中でもいい
春に咲く花を見つけなきゃ


「あなたがゾンビになっても」



死んでしまいたいなんて
あなたは
たまにつぶやくけれど
雨の日に
予定が変わって
おいしいコーヒーを淹れてくれる
/
春に咲く花になりたいと
ガード下の草が
みんなにうたっているようね
意味なんてないのに
誰にも届かないうたなんて
存在しないらしいわ
//
私は超高層ビルの向こう
焼けおちる夕陽に噛み殺されて
ゾンビにでもなりたい気分
///
好きな人も
知らない人も
みんな
驚かせながら
噛み殺したい気分だよ
////
楽しかった思い出が
川のように流れていく
悲しみは
流れないまま
ずっと胸の中にあるから
私には
共感というものが
ひどく汚れてみえるのです
/////
私のためだけに書かれた詩など
存在しないから
他人を他人のまま
好きになれるんだよ
あなたがゾンビになっても
たぶん大丈夫
//////
血を吐きながら笑っている
あなたの笑顔が
今日よりも
圧倒的に
明日の空を青くする


人格攻撃の詩。

  泥棒




あなたの胸の中を歩いたら
そこは春の木漏れ日
悲しい人影もなく
血管を泳ぐ比喩たち
夜の海のよう
誰もいない心臓
にぎやかな廃墟でうたう小鳥たち
を連れ去る
意味ありげな
改行
本当の意味は
胸の奥へ流れる川
その川は深く、
傷は浅い、

低空飛行する詩句はありふれた散文となり
やがて雨が降る
攻撃的な風は枯れ葉と遊び
灰の庭をつくり出すのでしょう
嫌われて輝く
あなたの心臓を止めるために
そのためだけに
誰よりも
あなたを軽蔑しなければならない
そんな夜もあるとして
歩く、
歩けば、
丘の上には
鎖骨のような枝
折る、
折れば、
あたり前のように花が咲き
明日の予報では
雪が降る
優しいあなたが
胸を痛める夜
そばにいたいのです。

わたしは
悲しいと叫ぶ人など見たことがない
死にたいとつぶやく人なら
毎日いるよ
灰の中で
みんなもっと汚れたらいいのにね

お元気ですか
今も
あなたより好きな人なんて
私にはいません


鉄拳制裁の詩。

  泥棒


雨が、釘になったら、痛い。
釘が、雨になったら、怖い。

詩が、張り付けられた、未来で、
君は、何も読まないで、表現を、
空に、浮かべもしない、夕方に、

悲しい、こだまかな、いいえ、遮断機の音。
楽しい、あおいかな、とばり、飛躍の途中。

まるで、夜景のような、文章で、
あえて、早朝のような、比喩を、

無駄に長文で、

その散弾銃は、おもちゃだから、平気です。
この散弾銃は、おもちゃだけど、死にます。


言葉より、遅い、映像が、流れる、川で、
溺れなよ、丸い、太陽を、眺めて、心が、
丸くなり、風は、歴史と、数学で、果て、
気持ちは、悪く、思想も、最悪で、頭も、
共感なら、外で、演奏し、鼓膜を、破れ、

殺伐とした、中にも、ユーモアが、ひとつ。
ありふれた、テンポ、アイデアは、ななつ。

実は、たいしたこと、書いてないような、
無駄、ばかりの展開、それが逆に効いて、
いる、わけもなくて、黄昏てしまう犬と、
棒に、ぶつかりつつ、歩く東京郊外の道、
遠く、超高層ビルに、激突した飛行機の、
破片、言葉にすれば、あざとい芸術の闇、
今も、形式に合わせ、答えを探す批評家、
雨は、叙情的になり、深い霧で猫が消え、
女は、パンケーキの、甘い香りにやられ、
男は、本棚から一冊、詩集を取り出して、
皆に、珈琲と菓子と、リズムを届けつつ、
戦慄、のような旋律、のような雨降らす、

少年は、大志を抱き、少女を見る。

少女は、現実と夢を、同時に見る。

言葉が、言葉に遊ばれ、れ、

言、葉、派閥を、派、罰を争う。

フォルムが、崩れ、はじめ、射精の、
タイミングは、ずれ、、れ、れ、はずれ、
レタスを、頭に、乗せ、その場を、しのぎ、
笑わせるつもり、が、笑われ、て、
彼女は、さよなら、を、言い残し
言い逃れの、きかない、状況で、凍りつく、
生ぬるい、夏、の、花は、椿、ではなく、
ガラスのような、もしくは、は、
海月のような、花。


と、ところで、あなた、
読書で、射精、したこと、ありますか、

違う意味で、

おお、おるがずむ、

真夏、目、漱石が、お坊っちゃん、お、お嬢、
ちゃん、親戚、戚の、おっちゃんに、
猫の名前を、勝手に決められ、た、
バッファロー!
と、名付けられ、た、か、かわいい猫よ、
手品を、見せてあげよう、
春の、はじまりに。
ほら、、ら、コインが消え、た。

中也が、中原で、髪金の、ギャルと、
あんなこと、や、こんなこと、した、らしい、
汚れちまったり、うっかり、
くだらない、韻、
み、みんな、ごめん。ん。んん。


床屋で、(モヒカンに、して、ください、と、
言った、のに、
なぜか、逆モヒカンにされ、て、
落武者みたい、に、なって、しまった、た。
これじゃ、女の子にモテない、と、
思ったのだ、けれど、
普通の、モヒカンに、して、いたら、
モテていた、のか、と、そう問われれば
答え、は、ノー、
、、。涙
帽子、が、ないから、ヘルメット、を、かぶり
ヘッドスピンで、世界一周、。

無駄に長文で、、、。

み、みなさん、この、詩は、長いです。

猫が、裸になるまで、野球拳をする、
みたいな、感じで、

無駄に長文ですから、ここで、
まだ、半分くらい、です。

しか、も、読みにくい、

にくい、まま、まだ続きます、よ。

道端の芸術
速攻で回収
右脳に栄養
暗闇の文学
孤独な毒書
草原へ移動
逆光と逆説
心臓を創作
反感の売買
脈打つ数字
金属の性質
耳潰す静寂
派手な礼服
前菜と若鮎
言葉を実食
男子は紺色
女子は水色
恋人は灰色
週一で透明
月末は温泉
理屈の敗北
海辺へ一歩
傷口が熟成
無料の珍味
名物の饅頭
六個か七個
欲張り詩人
満腹で嘔吐
店先で失笑
罰金で黄昏
孤高の布石
理解は墜落
昭和の感性
平成で炎上
陽気な壁画
懺悔と拘束
胡蝶の波乱
精密な老化
腰鼓で招魂
百年と十年
突拍な引用
左脳で誤解
批評を削除
戦争の歴史
広島の夕方
八月の機械
上空の鉛色
舌上の青空
口笛で射殺

ごらんよ、
崩れ落ちた屋根の上に極彩色の日常を
言葉より速く飛ぶ鉄の冷たさを
世界を次々に引き算してゆく過程を
優しい茜色が出番を見失う姿を

も、もはや、最後まで、読む人は、いない。

いない、のに、まだ続く、鉄拳制裁、
の、ような、苦痛、の、ような、読書、
みなさんの、おかげで、

語彙が全滅や、
共感の砂嵐や、

全文を表示。

若葉が砂になるまで待つ季語
矢印と地雷ばかりの地図
365日うねり続ける言葉と髪
ケーブルに絡まり千切れた運命の糸
私のレントゲンに写る現代詩の影
精神が崩壊して的中させる針の先
カテーテルで注入する言葉の渦
ベッドの上から天井に撒き散らす星
夜空しか飛ばない鳥の羽根
目の前の過去を飲み干し美化
題名のない散文に対する批評と見栄
歩いても飛行機でも縮まらない距離
印象のない爪先につける流行の色
携帯から発信する約400の嘘
魔法が使えた5才の夏
使えなくなった7才の冬
未来の屋根が剥がれ落ちる町
鎖骨が折れて極彩色に輝く未詩
別々に動く身体と心と指
景色をひっくり返す水死体
君の詩を左脳以外で理解したい
コンビニ前で不意に出くわす闇
すべり台の上から見える鬼
匂いつき消しゴムをくれた君
机の上に白紙の辞書
遠くから聞こえてくる野球部のかけ声
黒板に三角定規を擦り付け奏でる音楽
舌の上では完成と未完成は同じ味
(
嘆きの風に耳を切られ独白
こだまする盗作された口笛
心を五七五と切り分ける音律
一日中検索しても見つからない本音
窓の向こうで名前を浮き彫りにする黒煙
地下に埋まっている言葉の裏の歴史
感情移入できないオモチャの刃物
美しい草原に散らばる鉄の破片
それが錆びて紅茶になる夕方
懐中電灯で照らす3月の後半
罪と罰が逆になる瞬間


暴言を吐いて炎上させる奴の髪型について、

  泥棒


うん、
思うんだよね、
暴言を吐いてさ、
やたら炎上させる奴の髪型って、
だいたい変な気がするって。

いや、
根拠なんてないよ、
もちろん証拠もね、
ま、
しいて言うなら
頭ん中が爆発しちゃってるわけだから
髪型も
ま、
それなりに変だろうなって。

暴言を吐いて、
やたら炎上させる奴は
江戸時代にも
きっといただろうね、
頭ん中がアフロで、
斬って斬られて
江戸の町を走っていたんだろうね、
ま、
ネットがなくても
同じだよ、
てか、
紙のほうがよく燃える
なんてね、
おっと、
落語みたいなこと言っちゃった。
ソーリー

あれ、
あれれ、
地球って本当にまわっているのかな
フランス人の友達に
ドラゴンボールの孫悟空の髪型は
爆発してるのか
って、
そう聞かれたことがあるんだけど
その時、
なんて答えたか
もう思いだせないな
つい先週の話しなのに
ね、
なんだか眠くなってきたな。


















あ、









あれ、











君に言いたいことなんて
絶対に
ひとつもないはずなのに









、あ






あれれ、












なんだか
あったような気がするのは
なんでかな、












君、
ひどく寂しい夜に
君の孤独が
誰かに笑われていないように
僕は願うよ
君の頬を撫でるのが
春の風ではなく
誰かが投げて爆破した
あのレモンのように
文学と共に
砕け散ればいいのにね
君の孤独は
今夜も君だけのものだ
誰にもわかりはしないよ
それって、
最高に
すてきなことだと思うんだよね。














あ、







久しぶりに髪でもきろうかな








春だし、ね。














)あ、朝だ、







(おやすみ


一条二条三条四条五条六条七条八条九条十条

  泥棒




一条



ワンワン吠えている
ツーツーとは吠えない
やたらかわいい犬が
猫を背に乗せ
歩いている。
あ、
なるほどね、
休め、メロス
走れ、キリギリス
読書を終え
君は走り出すだろう
本に囲まれた
その部屋から走り出すだろう
犬は休憩中だろう
にゃあ。



二条



薬を2錠のんだよ
意味と無意味の薬だよ
黄色と青
で、
赤はない
立ち止まれない街で
君は
音楽のように
日記をつけている
誰もいない料理屋で
運ばれるのは
運命



三条



三丁目の八百屋の前で
殴る蹴る
ドカッ。
バキッ。
ゲホッ。
詩人を大根で殴り倒し
キャベツをバリバリ食べ
陽が沈む、
むむ、
嫌われたっていいじゃない
天才だもの
野菜が嫌いだっていいじゃない
ライオンだもの
何も知らなくたっていいじゃない
賢者だもの
くだもの好きなんだもの
くだらない
あまりにくだらないこと
魔が差して
つい書いてしまった
反省!
痛す痛す(いたすいたす
もう寝よう
眠す眠す(ねむすねむす
星の夜
寒す寒す(さむすさむす



四条



夕方四時
ホームセンターへ行って
電動ドリルを買って
頭に穴を開けて
街の流れを見ていたよ
痛くて
とても痛くて
頭蓋骨が砕ける音は
激しい音楽のようではなく
逆に静かでした
血が止まらないから
帰りに薬局へ行って
包帯と痛み止めの薬を買って
コンビニへも寄って
ビールとお菓子を買って
今夜
たまには詩でも書いて
寝ます
おやすみなさい



五条



これで
五回目だが
もう一度言う
君はクズである
それは紛れもない事実である
さらにはクソでもある
そんなクズでありクソでもある君が
花を咲かせるなら
その瞬間に
私はそばにいたい
その花の名前を知りたい
君のこと
もっと知りたいんだ



六条



ガラス箱の中みたいな街で
彼と出会った。
地下鉄で
恋人たちは見つめ合う
かのように
出口を探している
正しいね、
終わりのない恋愛なんて
あるのかしら。
私が少女だった頃
親戚のお兄ちゃんが
スカートの中に顔を入れて
こちょこちょして
ふざけながら笑っていたけど
殺してやろうかと思ったな。
お祭りで
親戚みんなが集まって
お酒をのんで
わいわいしていたから
誰も気にしていなかったけれど
あれ、
今にして思うと大問題じゃん。
地下鉄でひとり
うたた寝していたら
思い出したんだ。
あ、
あれ、
違うな、
親戚のお兄ちゃんじゃなくて
自分だったな、
自分で自分のスカートの中に入ったのね。
どゆこと?
夢って脈略ないのね、
お兄ちゃん
ごめん。
池袋駅西口交番から
彼の家までダッシュで六分
うりゃっ、
ガラスを割るみたいに
ページをめくる
詩集は
そうやって読む
それが鉄則。
彼は
ベランダで
指の骨を
ポキポキッと鳴らしていた。



七条



戦場で、
朝食をすませ
創造は、
他人にまかせ
肝臓は、
春をむかえる。

酒豪、あるいは、貧弱の胸、
やや深めのノスタルジーが貴様を襲い
クリスマスが七月にやってくる
それは病という意味で
創造は、やはり、他人にはまかせられない。
そう、貴様は大声で、つぶやく、だろう、

共感、もしくは、破壊活動、
同時進行で始まる
今季マストな誤字脱字を鮮やかにちりばめ
終わりのない物語を
強引に終わらせるのが私の仕事である。

(やあ、諸君、

ピエル·パオロ·パゾリーニ監督の作品を
ひとつでも見たことがあるか
大島が渚で
映画を批判している
貴様のさびしさ
あふれかえる、夕闇、
静かな森で、もしくは、アスファルトの上で、
胸に、個室をつくり、上映する
監督のいない映画のような
物語、
夏の陽射しが
冬の街に
間違えて、降り注ぐ、物語。
できるだけ、はやく、終わらせてやる。

余韻の、ない、世界に、
咲いた、花の、名前は、
強すぎて、誰もが、目を閉じる、
赤い花を
まるで、青い花を見るような目で、眺め、
終わらせなければ、ならない、
私の仕事は、今日も、
誰もいない風景に、
気配だけを
きれいに、もしくは、雑に、並べ
鳥や、猫や、虫に、
主役をまかせ
人間は、皆、エキストラ
助監督は、ラブラドールレトリバー



八条



昼下がり
タバコを買いに行く
マンションの前
大通り
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ
遊歩道
工事中で
ぐるっと
遠回りしないとコンビニへ行けない
タバコを買うのに
8分かかる
スニーカーはナイキ



九条



憲法九条を守ろうぜ!
そう叫ぶ隣人が
現代詩における隠喩を全否定した夜に
超高層ビルの向こうから
ゆっくり叙情が浮かぶ
共感する者は
みんな渋滞にまきこまれる、
朝が近い



十条



批判の雨が降っている
ビニール傘の下で
君は朗読をはじめる
僕は犬の散歩へ行かねばならない
犬とおそろいのレインコートを着て
さらば芸術
海まで10km
近いような遠いような、


深い意味はないけれど、、、、、、、、、、。

  泥棒




ビルが崩れ落ち
山肌に
ルビが咲いたよ

僕ら
揺れながら
ゆっくり深呼吸をして
眺める

個性なんて
一瞬で流されて
みんな同じように
いつか死ぬ

この街に
深い意味なんて
きっと
ないのだろうけれども
何か残さなきゃ

強迫観念の雨
が降る夜
人を好きになるって
地獄だね

浅い川のほとりに咲くのは
優しい花ばかりではない
君が教えてくれた
あの花で
いつか見送る

真夏なのに
かじかんだ指で

説明より飛躍を選んだ女の子がいる
正しさより美しさを優先した男の子がいる
花を踏み潰したあいつらも
みんな消えたよ

見知らぬ街で
他人と他人として
すれ違い
すべて忘れたふりをして

たまに
僕のこと思い出して
笑ってくれたら
それでいい


友達の友達の友達の友達の友達の友達の友達

  泥棒


手首を切っている
陽のあたる坂道で
暗い場所を探しながら

街路樹には今日も鳥がいない
枝葉の方角
暗くなったら幽霊がいる

友達がキオスクで
不意に
死にたいって言った午後

レモンがあればいいのに
レモンがないから
リンゴジュースを買う

電車が運ぶのは液晶
もしくは比喩
思い出は交差してみんなを連れ去る

好きな色は青なのに
街に思想が激突して出血
全身の骨が砕けた誰かがいる気がする

優しさで友達を傷つける夕陽が冷たい
超高層ビルの上
やけに大きな鳥を見ました

枝を切っている
来年咲く花の新しい名前を考えたよ
友達の友達を探しながら


DVDVDVDVDVDVDVDVDVDVDVDVD

  泥棒


V
午後
ビルの窓に死体が映って
みんな立ったまま死んでいるの
V
映画みたいに
空を飛んでいる奴らも
もうじき死ぬのかな
V
夕暮れに出勤して
鏡の前に立つ
そして座る
V
泡を見て
きれいだねって
誰かが言っていた気がするな
V
この部屋に
きれいなものなんてひとつもないのに
だってほら窓もないよ
V
シェイクスピアも
ドストエフスキーも
チェーホフも最後まで読んだことはありません
V
読破して独白
みんな知っているのかな
読書の秋なんてないんだよ
V
帰宅
深夜のコンビニでプリンを買う
誰も死んでいない
V
ベランダに立つ
夜景よりきれいな伏線
最後まで見たい気もするな
V
暴力は
映画の中で美化され一時停止
やがて芸術になるなんて本当か
V
もう一度ベランダに立つ
取り出したディスクで
小さな朝焼けが超高層ビルに反射
V
時間と共感を殴り倒し
すべての気配を消したら
最後にはきっと優しくなれるよ
V
涼しい夜は誰も死なない
秘密の戦争へ行く
そこで誉め殺しの雨が降ればいい
V
おはようございます
おやすみなさい
死体のように眠るのさ


ローディング........


黒い百合

  泥棒












さみだれに、みんな殺してしまった















六月















七月















八月















ひ、















ひこうき雲、















ゆっくり
鎖骨に刺さるのは
秋晴れ
刺さらないのは
叙情
ちいさな公園で
長袖、着て、ぽつん。

姉妹のように咲いている
百合を見ていたら
他人の孤独が
直射日光で
すべて嘘に感じる
そんな、午後に、おおきな犬と、あそぶ。

この街を
いただいては
夕方の地面に対しての
答えを知る
それは
上空で
風に乗るピアノ
ぬるい竜巻で
揺れる
百合
リズム狂って
気分は、もう、透明、人間で、そっと、うかぶ。

この街で
雲にしか見えない雲を見つける
それが生きがい
ならば
電線に音符を見つけたら
そこで死ぬ
それが正解なのか
あらゆる比喩を潰し
後は、なるべく、冷たい、水を、のむ。

胸元のあいたセーター
夜になったら
白い百合に
黒い名前をあげる
それから
誰の孤独を倍にしようか
鎖骨よ
砕け散れ
優しい時間に
ほら、退屈が、ひかって、ひろがる。


.

  泥棒




電車の中で本を読んでいた
次から次へと人が死んでゆく物語

恋人は僕の隣で眠っている
本の中ではもうほとんど誰も生きていない

海へ行くつもりはないけれど
この電車はきっと海へ行くのだろう

夕暮れが優しく恋人を照らす
髪が茶色くきれいにひかる

最後のページを読む前に本を閉じた
僕も目を閉じてすこし眠る












































.



















































そろそろ海へ着くだろうか
もしかしたら
恋人はもう死んでいるのかもしれない


僕はどうだろう
このままずっと
海に着かなければいいと思う


削って削って削って削って削っても私が私が私が私が私

  泥棒



私の書いている文章をどう受け止めるかは
あたなの自由です。ですが私はあなたの書
いた文章を決めつけます。私が基準です。
私はわかっているから。そう、私は基本が
できているのです。根拠はないですが私は
あなたよりわかっているのです。比喩も引
用も句読点も叙情も改行もすべて空白の使
い方もできています。そして何より私はい
つも冷静です。私の書いている文章は読み
難いとよく言われますが、あなたが読めて
いないんです。私は頭がいいので、読めな
いのはあなたに問題があります。自己否定
や自己批判をしてみてください。私はしま
せん。私が正解だからです。私に言わせれ
ばあなたの文章には指摘する箇所が多いで
す。私の文章にはありません。私の文章に
は意味があります。わからない人がいるの
はしょうがないです。私は頭がいいので、
もうしょうがないです。わかります?ここ
までの意味がわかります?読めてますか?
まだ途中ですが、読めない漢字とかありま
したか?あったら言ってくださいね。私が
あなたに教えてあげますよ。あ、ちなみに
私はちょいちょい騒ぎますがあなたが騒ぐ
のは注意します。あなたは自分が好きで自
分語りをする時があるようですが、やめた
方がよいですよ。みっともないですよー。
あ、でも、私は誰よりも自分語りします。
誰にも聞かれてないけど、私はします。私
は好きなこと嫌いなことたくさんあります
ね。趣味でフラメンコやってます。それと
ヨガもやってます。深呼吸は大事ですよ。
みなさんに教えてあげてもよいですよ。私
は教えるの上手いです。あ、後はモノマネ
教室にも通ってます。最近は長澤まさみの
モノマネができます。教室のみんな、爆笑
してます。上手い!面白い!ってよくほめ
られます。後、関係ないけど、バク転がで
きます。ふー。きりないな。で、あなた、
理解してます?伝わってます?わからない
方は基礎からやってみてください。読み書
きの基礎。基礎は大事ですからね。私が教
えてもよいですが、私は忙しいので、やる
こといっぱいあるんで、ごめんなさいね。
今日はこれからマイブームのあれをやるん
です。何かは言えませんが。とにかく忙し
いんで、ここまでにしときます。あ、でも
最後にこれだけは言っておきます。私は無
神経です。平気で人を傷つけます。でも、
無神経な人がいたら、攻撃します。許しま
せんよ。平気で人を傷つけることは最低の
ことですからね。ま、私は無意識に人を馬
鹿にしてしまいますが、それなりに反省も
しますよー。私は頭がいいので。これ、と
ても大事なことなんで、三回言いますね。
私は頭がいいです。私は頭がいいです。私
は頭がいいです。私の書いていることわか
らないレベルの人もいると思うんで、もう
一回だけ最後に言いますね。私は頭がいい
です。これを読んでどう受け止めるかはあ
なたの自由です。あ、忘れてた、それとね
私はすごくよく食べます。たくさん食べま
す。あなたがメロンパンをひとつ食べてい
る間に私はよっつくらいもう食べてます。
胃と腸がすごいんです。とにかくすごいん
ですね。食べる量もスピードも違うんです
よ。たがらついつい食べすぎちゃう。で、
カロリーオーバーです。で、フラメンコや
ってヨガやってたまに腹筋もしてますよ。
では、長澤まさみの練習してから出かけま
すね。やることあるんで。









すー






はー



深呼吸を表現してみました。
わかります?












あ、

この作品を読んで
よくわからなかった方もいると思うんで
かなり削って書くと
ま、
すべてに意味があるんで
本当はどこも削れないんだけど
ま、
つまり
削って削って三行でまとめると
私はバク転もできるし
よく食べるし
とにかく頭がいいってことです。
理解できましたか?


ちんちんのポジションを気にしながら、

  泥棒





地獄の丘で

ひとり

夜景を眺め

悦に入る

まわりはみんな恋人同士

地獄の夜景は

天国のようだね

僕も

この地獄で

好きな人ができたらいいな

まわりにバレないように

ちんちんのポジションを気にしながら

ひとり

悦に入る

僕にはもう

悲しいという感情がわからない

あ、

死体には急所がない

生きているのに

死んでいる

ちんちんのポジションを気にしながら

さらに深く

悦に入る

ちなみに

ちんちんのポジションを

略して

ちんポジと言うけれど

なんかさ

ちんちんがポジティブな感じで

すごくいいよね

それにしても

三年前つきあっていた彼女のこと

何ひとつ思いだせないんだ





ん、





地獄の壁って

意外と白いんだね

壁ドンしたら

向こうが天国なのかな

悲鳴がきこえるもん

天国の夜景は

地獄なのかもしれない

ちんちんのポジションを気にしながら

考える

世界から見て

僕はごらんの位置にいます

距離感はない

ここは地獄だ

最高っ

血の海で勃起する

射精っ

悲しみを見つけたら

それに新しい名前をつけて

壁に飾りたい

彼女の急所

思いだせるかな


未来の痛みをめしあがれ

  泥棒



固定されたツイートには
固定するほどでもないことがあるように
夜空には星が
と、
ここまで書いて
ミカちゃん!
って、
名前を呼ばれた。
オプションの準備は
自分でやらなければならない。
カバンに
チャイナドレスとローターを入れ
車の後部座席に乗り
移動。







/  







店長はいつも
村上春樹の小説を読んでいる
読み終わると
待機所の本棚に捨てるように
雑に置く
私は読んだことがない
同じ頃に入店した
ほんわか系のまなみちゃんは
たまに読んでいるみたいで
店長に感想を伝えている
なんだか死にたくなりましたね
とか言っているのを
何度か聞いた。

真夏の夜
まなみちゃんと一度だけ食事へ行った
池袋の居酒屋
左手で
エビとアボカドのサラダを食べながら
右手で
スマフォを見ている
ミカちゃんツイッターやってる?
んんん、やってないよ
そっかそっか
まなみちゃんの両手首は
傷だらけ

真冬の昼
部屋へ入ると
常連の村上さんがロープを持っていた
私は固定され
両手が動かせない
私の両手は固定するほどでもないくらい
そもそもたいしてせめることも
できない
完全拘束
いいのいいの
村上さんはそう言って笑う
知ってるでしょ、俺、Sだから
そっかそっか
村上さん、村上春樹って知ってる?
知ってるよ、読んだことないけどね
今度持ってきましょうか
いや、いらない、てか、読むんだ、小説とか
んんん、私も読んだことはないだけどね
せっせと縛る村上さん
手際よく縛られる私
村上さん、村上春樹と同じ名字ですね
ま、偽名だけどね
ですよね
ミカちゃんは本当の名前なんていうの?
言えませんよ
だよね
この仕事、本名でやると壊れますからね
そっかそっか
そうですそうです
こころまで拘束できるかな
んんん、どうでしょうね
ミカちゃん、好きな人いるの?
死にました
あ、ごめんごめん
平気平気
ほんとごめんごめんごめん
いつかみんな死にますよ
ま、そうだね、リカちゃん、手首、痛くない?
大丈夫です








/







車から降りる
ホテルのエレベーターの中で
スマフォを見る
つぶやきたいことが
私にはない
まなみちゃんは
本名で生きている
それは
本能と言い換えてもいいのかもしれない
まなみちゃんのツイートには
きれいな詩が
固定されていた


百年前の夜か、千年後の朝に、姉を殺す。

  泥棒



骨で突き刺す
赤い街
スカートを知らない姉に
春を見せて
売って、買って
四月に
カーディガンをかける
手放しで
ほめられ
ひきさかれ
冬が、終わる、
電車は、来ない、
来るのは、チンピラ、
憂鬱は、いつも、青で、表現され、消費され、
去年の憂鬱は、もう、笑われ、
価値が、繰り返され、また、来年に、
最新の憂鬱を、
売って、買って、
ばらまいて
骨で突き刺す
姉の心臓
青すぎた街に
カーディガンをきている人はなく
みんな、裸で、
けなされ、
うたっているのは、りんご
だまっているのは、れもん
いつか、また、血が、
トンネルを抜け、
そこには、ただの、今日が、ある
咲いているのは
花、
だけではない。
姉は
この街で、生まれ、飛んで、
超高層ビルに、
頭から、激突、して、
無傷で、育ち、
舌の、上で、百年、ころがした、
文学の、呪文を、間違って、唱え、
一度、死んだ。
朝、
その朝、あの朝、今、この朝。
お気に入りのスカートを、はいた、姉に、
かける、言葉は、箱に、入りきらない、
花柄に、複雑な、花言葉を、つけて、
単純な、さよなら。
レモン色に、統一、された、未来の、孤独が
遅れて来ては
爆、破、さ、れ、
鼓、膜、は、破、れ、
街に、さよなら、が、千年、響きわたれば
姉を殺す。


ラズベリー

  泥棒


令和に
酸味のつよいジャムをぬって
考える

指の骨を
パキッと折って
それを
改行とすれば
もう
生きているだけで
俺は
芸術なんじゃないかなって
錯覚する

傘に穴があいたら
新しい表現を考えなくちゃ
虹なんて
煙草に火をつけている間に消えるからね

天気が安定しない三月
直喩で降る雨
君のこと
やっと忘れられる


スカートの中は夕暮れ

  泥棒

ドレスを着た男の子が
手をふっている
かわいい弟よ
紅茶が冷めないうちに
ここへおいで
夕暮れは
一瞬で終わるよ、
好きだった人の名前も忘れる頃
スカートが風にゆれるから
毎日を
違う角度で抱きしめなくちゃ
ね、
何を見ても
ほめる人はいて
そういう人を
私は信じることができないな
こぼした紅茶が
そのまま
ビルの向こうまでつながって
夕暮れになるのは
見ていて
とても悲しいかい、
夜になる前に
もっと
悲しいこと教えてあげなくちゃ
ね、


選評の雨

  泥棒


あなたが
好きって言葉に
濡れてしまわないように
黒い傘をあげる

あなたは
空の青さを疑って
個性を潰しながら歩いて
ここへ来て

美しい詩集は
閉じられたままでも美しいから
安心してよ
私はあなたが嫌いです

共感の風に
吹き飛ばされて
あなたがいなくなったら
その日が記念日

何も選ばないし
誰にも選ばれない
花になって
あれもこれも切り離すように降る、




























あなたの闇が
誰かにとっては
宝石だよ


よお、お前ら、貴様ら、皆様、諸君、 よく聞け、俺の妹はかわいい、可愛い、クソ可愛い、それが理由で死人がでるって、そういうレベル。

  泥棒




逆ディストピア。



賢者んなって歩いちょる
欲しがりどもが
自分の手首に
おまじない
それ、
ちょんぎりたい
星、
ガン見して、
閉館しよった美術館で
賢者の骨
飾るけんね
これ、
拡散希望
ちゃうねんな
凝縮希望
ぎゅっと!
バズって候、
無防備で
欲しがり
星、
狩りへ、
語呂合わせのためだけに
韻を踏み
はずし
世界遺産
はずれ
ひっちゃかめっちゃかの
胸。
シーンは
防弾ガラスの向こう
壊滅的被害を右脳に与える表現
どうも、
あほんだらども、
即死やん。
で、
お前ら、
貴様ら、
皆様、
諸君、
賢者タイムでも
射精、
どないなっとんねん。
フォロワー
射殺して
0人
やっぱ、秒で、全滅、
ここでクエスチョンクエスチョン
パラレルやん
これ、
あげる
空白をプレゼント企画
いらんの?
それ、
それな、
かわいちまった深読みに
妹が濡れへんように
よろ。
空が暗くなる
数分前、
俺の
死ぬほど可愛い
世界レベルで
クソ可愛い妹が濡れへんように、
右脳から左脳へ
地面から宇宙へ
Bluetooth
脳内で決め!
お前ら、
よく聞け、
妹を泣かす奴は
俺が殺す
マジ絶対殺す








逆メランコリック。




みなさんごめんなさい。私のお兄ちゃんは
馬鹿です。昼夜問わず中也を読み、仕事は
しているのかいないのか微妙な感じ。深夜
よく燃える花を探し、どこか遠く知らない
街へ知らない国へ歩いていきます。ちなみ
にお兄ちゃんは海を歩けます。沈まないの
です。理由はわかりません。すいません。
これはもしかしたらだけど、たまに思うん
ですけどお兄ちゃんは死んでしまって本当
はもういないんじゃないかって、、、、、
怖っ。お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんが
死なないように私は願う。紙製の世界で、
液晶を見つめながら、海にとかす、紙。
アキレス腱、きれたみたいに泣いた、神。
脱線して電線してさようならする水槽の中
の吹奏楽。流れ落ち。自律神経のアプリで
世界を眠らせる。いつかお兄ちゃんが死ん
でしまって、星にでもなったら私が最初に
見つけなければならない。そ、そんな気が
する。私はただの水槽になって、魚もいな
くて、水もなくて、奏でる。花よ、苦しい
かい。人よ、死にたいかい。あの星もこの
星もその星も、ゆがむ。時間が、のびる。
るあ、ある、右脳も左脳も爆発するって!
あ!わあああああああああああああああ、
私、伝えたいことがやっと見つかりました
お兄ちゃんを馬鹿にする奴は私が殺します
本当に絶対必ず殺しますのでよろしくお願
いします。

文学極道

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