#目次

最新情報


2018年03月分

月間優良作品 (投稿日時順)

次点佳作 (投稿日時順)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


sukuware

  田中恭平



日常、

不在性を
置いて
皿の上
春の雨がふりしきり、跳ねる
私はそれを
視ていなかった
聞いてもいなかった
ただ
とおくある
あなたの声を
聞いていた、
霊性が踊る、
よじれる
笑う
途端
トタン屋根に打つ雨の音が
近づいて
視れば竹たちは元気です

いって
この語り部を
信用してはならない、
大分
弱っちまっているからさ、
ノイズ
の所為で
頭を
掘った穴の中に(ほんとうに?)
入れたいくらいなのさ(やれやれ)
かよわい動悸で
火にゆるされる
その火は
鬼火だった
その夜に
救出されて
川辺はきれい
輝いていたから
ふるえて
たゆまぬ努力も(ほんとうに?)
無駄ではなかったが(していたの?)
救われて
それに酔うということはできない
それはゆるされてない
ただあなたの笑顔が
ズームに記憶され
くりくりの眼が
うれしかった、
ので
喪服のサイズを確認し
目にとめたボタン
銀のボタン
ではないが
においを
喪服の匂いを嗅ぐと
落ち着きます
も、
濡れて
漂着していた
カムパネルラ
じゃないけれど
さよならも言わずに
猶予だけ
与えて下さって有難かった
雨は更に
近づいて
溜息は
壁の隙間に入り
もう出てくることは
ありません
いつまでも
平穏無事ではいられない
だって
力が
尽きていくから、
カラーフィルムの
世界を丹念切ってゆくと
母が
居た
それは欲しいものだったので
ポケットへ入れて
三日の内三日寝る
起きると
まだ雨が降っていた


寂しさの領域

  霜田明

  I 

川端康成のみずうみという小説に
道端ですれ違っただけの女の人に恋をしてしまったとき
どうやっても自然な方法で彼女と知り合うことはできないという
現実に関係することの奇妙さが描かれている

たまたま隣人になったり
たまたま同じ職場になったり
たまたま同じ家族として生まれる
それだけのきっかけで十分なのに

疲れ切ったり
もう十分だと感じたときにも
その向こう側がある
他者の顔の奥に向こう側があるように
冬の空のように

正しさを追い求めることは
正しさの力を求めているんだ
(生命力のあるところに生命がある)
(生命力とはバイタリティのことだ)

いまちいさな街を
充溢した活気が行き交っている

身体はいれもので
街を歩き回っている人も
私を叱りつける人のように
身体だから
その中には何でもいれられる

心理学の浸透のせいだろうか
それとも古代から続く
社会というものの閉鎖性の流れだろうか
他者に心を信じすぎている
人の心がわかること、わからないことよりずっと前に
そこにあるとも分からないものを
(信じられないことの――)
信じることの次元が重要だ

  II

能動的に生きることは満ちている
正しさへの意識がこのまぶしい領域を汚さない限り
(寂しさにまつわる行為にはつねに)
(向こう側が本質的に関わってくる)

(さようなら)
(あしたとよばれる幻のほうへ)
(社会が君をみがかないまま)
(自然が君をくもらせる)

みずうみという小説では不思議な技法が使われていて
作品の様々な場面にみずうみのイメージがばら撒かれている
だから直接語られていないのに
読み終えたあとその光景に気がつく

(とどまりのない労働体の)
(車窓をいくつもあぶれだし)
(そしてここまで)
(雨はおされてやってきた)

子供には親の万能性が
信仰者には神の万能性が
彼らにとっては信仰の可能性が
そのまま行為の可能性になる

そのどちらでもない僕らにとっても
可能性は信仰の中にある

(信じることは)
(信じられないから起こるもの)

正しさへ向かおうとする僕らの可能性は
他人の反応の中に送り込まれている

褒められることの可能性
欲望されることの可能性
他者の中に信じられる内部が
私に可能性を見出すことの可能性

  III

完璧に見えるということは
快適な形態を取っているということで
完全性を意味してはいない

作品でも行為でも人格においても
要求と羨望とそれらに応えようとする次元で
完璧さはあらわれる

点滴を打ったら身体が楽になるとか
UFOが見えるとか
死後の世界を信じるということは
いくらでも正しく あるいは正しくない

世界はそれがどのような水準にあっても
象徴作用としてしか精神の内部へは入っていけない
(必死さとは 熱心さとは)
(具体的に何だろう)

何かを否定することは
正しさという空想上の力を
他者へふるおうとしていることだ

僕は一度も自分の思いや考えが間違っていると思ったことがない
これまでに一度たりとも
それでも間違ったことをたくさんしてきた

たくさんのことを
よくわかっているひとが
なにもわからないような周囲の人たちに
無理解を被る経験の積み重ねによって
攻撃的にならざるをえないことはありうる

身近な犬や猫を親しみ愛したり
可愛がったりしている人が
国や市による犬や猫の殺処分を
当然のことだと考え感じることはありうる

政治家が「首吊って死ね」とヤジを飛ばしたことは
お笑い芸人が女子校に侵入して何百枚もの制服を盗んだことは
四肢欠損で生まれてきた男の不倫は
一体何を意味するのか
(誰がわかっているのだろう)

  IV

ひとりきりになれる気がするけれど
本当を言うとなれないんだ
僕らはひとりきりだと思っている時も
ひとりきりになれないことで傷ついている

自殺するより仕方ないという状況はありうる
僕は自殺しようと何度も思い
でも結局できないまま青年期を終えてしまったから
自殺した人と自殺しなかった自分の違いが
どこにあるのかはわからない

もう死にたいと感じたり
消え去りたいと思うことには
(その向こう側がある)

フロイトはなんでも性的なものにこじつけようとすると
知りもしない人が冗談をいうけれど
彼にとっての「性」は恥ずかしい行為の領域のことではなくて
たとえば古典哲学や古典経済学が考えるように人は
自分の利益だけを追っていくもののはずなのに

どうして贈り物をしたり
子供を天使と見誤ったりするのか
自分だけの苦楽に関わる領域でない
人のために振る舞ったり
人と関係したいという領域がある
それがフロイトの性の領域だ

ヒステリックに聞こえるせいで
人の笑い声がずっと苦手だった
それが破滅的であったとしても
笑うことは爽やかじゃないか

宮崎駿がドキュメンタリー番組の中で
映画をたくさん作ったからなんなんだ
作ったものなんかどこにもないじゃないか
映画のフィルムが僕の周りにありますか
そんなものはどこにもないんだと言っていた

もちろん謙遜だとか冗談だとか
宮崎駿ほどの業績のある人だからそんなこと言えるのかもしれないが
自分がしてきたことなんて
どこにもないんだという感覚は
何もしてこなかった僕にもわかる
過去は現在において空白で
未来へ視線を向けるときに色合いとして現れるばかり

あらゆる行為は向こう側へ消えていく
何もしなかったということとして
一日中空を眺めていても
漠然と街を歩き回っていても
一生懸命働いたとしても
沢山のことを学び続けることも

無効だから可能性なんだ
有効であるということがないから
あらゆる行為が同じように無効だから
みんなが同じように無効だから
それがひとりひとりにとっての可能性なんだ

川端康成はノーベル賞を取ったあとのハワイでの公演で
今朝ホテルの窓辺に積んであったガラスのコップに朝日があたって
コップのふちがきらきらと輝いて
それが美しくてたまらなかったという話をした
そんな些細で無意味なことに
囚われているのは病的だという
自嘲を含めて話をした


  渡辺八畳@祝儀敷

猫と戯れ
猫と遊び
猫引きちぎり
猫死ぬ。
思えば
元から猫を嬲っていただけで
元から猫は死ぬ未来だったわけで。
猫死んだ。
かわいい猫死んだ。


白桃の缶

  山井治

白桃の缶がそこにある
ごろんと倒れている
円筒形をしているので
少しの揺れで転がりだしそうだった

その周囲に蟻が群れている
人間と呼ばれている生物が
社会性を持つと指摘する生物だが
世界観を持っているかは知らない

ごろんと倒れた白桃の缶は
いまにも転がりだしそうだが
随分な重さがあると見えて
その場から動きそうにない

蟻の群れは白桃に目もくれず
缶を中心として円環を構築し
より速度を求めて周回運動している
弱った蟻は振り落とされていく

縁が赤く錆び始めた白桃の缶から
シロップが漏れ出す様子は一向にない
蟻のほうも回転の速度に合わせて
脚は退化し体も平板になっていく

そして人間が滅びるほどの時が過ぎ
白桃の缶が球体になって
蟻たちが化石の輪になったころ
太陽系で一番小さな惑星が誕生した

ついにシロップは惑星から漏れ出さず
蟻たちがシロップの存在に気付かぬまま
新しい生命が白桃の惑星の上で
生まれようとしていた


引用の詩学。

  田中宏輔



なんて名前だったかな?
(ロン・ハバート『Battlefield Earth 1 奪われた惑星』第三部・4、入沢英江訳)


そしてそれはここに実在する。
(ロン・ハバート『Battlefield Earth 1 奪われた惑星』第一部・11、入沢英江訳)


それはまったく新しいものだった。
(ロン・ハバート『Battlefield Earth 1 奪われた惑星』第二部7、入沢英江訳)


「意味」が入った四角のもの。そう考えるだけで、ゾクゾクしてくるじゃないか。
(ロン・ハバート『Battlefield Earth 1 奪われた惑星』第一部・11、入沢英江訳)


(…)地下鉄で乗り合わせたユダヤ人の横顔が、ひょっとすると、キリストのそれであるかもしれないのだ。窓口で釣り銭をわたす手が、ひょっとすると、かつて兵士たちが十字架に釘付けしたそれの再現であるかもしれないのだ。
 ひょっとすると、十字架にかけられた顔のある特徴が、鏡の一枚一枚に潜んでいるのではないだろうか。ひょっとすると、その顔が命を失い、消えていったのは、神が万人となるためではなかったのか。
 今夜、夢の迷路のなかでその顔を見ながら、明日はそれを忘れていることも無くはないのである。
(J・L・ボルヘス『天国篇、第三十一歌、一0八行』鼓 直訳)


本質的なものは失われる、それは
霊感にかかわる一切のことばの定めである。
(J・L・ボルヘス『月』鼓 直訳)




 ボルヘスのこの言葉から、つぎのような言葉が思い浮かんだ。どんなにささいな行いのなかにも、本質的なものが目を覚まして生きている。




──お前の中にあって、今ものを云っているのは、
滅びゆくお前の中の滅びない部分なのだ。
(バイロン『カイン』第一幕・第一場、島田謹二訳)




 バイロンのこの言葉から、つぎのようなことを考えた。展開し変形していく数式のなかで、保存されているのは、いったいなにか。法則が保存されているというか、法則のなかにおいて数式を展開し変形しているのだが、法則の外に置かれた数式がいったいどのような意味をもつのか。たとえば、1>2 とかだが、ああ、間違っているという意味があるか。しかし、これが言葉だと、意味に含みが多いため、論理的に間違った言葉であっても、また、その言葉のつくり手の思惑からはずれたものであっても、重要な意味をもつことが少なくない。もちろん、それは読み手の読み方に大いに依存することではあるが。




つねに新しい花にかえる
(エズラ・パウンド『サンダルフォン』小野正和・岩原康夫訳)


新しい言葉を与え、
(エズラ・パウンド『サンダルフォン』小野正和・岩原康夫訳)


愛が去り、
(エズラ・パウンド『若きイギリス王のための哀歌』小野正和・岩原康夫訳)


昨日という日が、まるで私の誤った人生をひっくるめたよりも長い時間であるかのように、私のかたわらを通り過ぎてゆく。
(ゲルハルト・ケップフ『ふくろうの眼』第二章、園田みどり訳)


(…)しかし世界から出ることはどこの場所でもできるのであって、そこに崩壊時の星のような力のある打撃を加えればいいのである。こうした制約のために不完全に見えるものは物理学だけであろうか? あらゆる体系はその中にとどまる限り不完全で、そこからもっと豊かな領域に踏み出したときに初めて理解できるという、あの数学のことがここで思い浮かびはしまいか? 現実の世界に身を置きながら、どこにそんな領域を求めることができよう?
(スタニスワフ・レム『虚数』GOLEM XIV、長谷見一雄訳)




 レムのこの言葉から、つぎのようなことを思った。自分の体験をほんとうに認識するためには、自分の体験のなかにいるだけでは、不可能なのではないかと。「定義し理解するためには定義され理解されるものの外にいなければならない」(コルターサル『石蹴り遊び』向う側から・28、土岐恒二訳)という言葉がある。「マールボロ。」という作品において、ぼくが友だちの言葉を切り貼りしてつくった詩句のように、ぼくが他者の体験を通して、他者の体験を、解釈したり理解したり、あるいは想像したりするというプロセスにおいて疑似的に体験することによって、その他者の体験という、ぼくの体験ではない体験にある精神状態から、つまり、いったん、自分の状態ではない他者の精神状態から、ぼくの体験を眺める目をもつことができるようになってはじめて、自分が体験したことの意味がわかるのだと思われるのである。もちろん、他者の精神状態はぜったいに知ることはできないが、他者の精神状態を想像することはできる。その想像した他者の精神状態に、いったん自分を置くということである。置いてみるということである。その他者の精神状態を想像するもとになるものは、直接的にその他者の体験を目の当たりにする場合もあるが、多くの場合が、その他者が体験したことをその他者が書いた文章であったり語った言葉や雰囲気であったり映像に撮られたものであったりするのだが、そういった他者の体験を、その他者自身が表現した場合とそうでない場合があるのだが、いずれにせよ、そういった、ぼくではない人間の「ものの見方」や「感じ方」や「考え方」を通してこそ、自己の体験をほんとうに知ることができると思われるのである。自分のなかだけでは、堂々巡りをするだけで、自分の状態をほんとうに知ることなどできないであろう。他者の体験を知るということが、唯一、ほんとうに自己の体験を認識する手段なのである。このことは、たいへん興味深いことである。言語で表現されている場合、言語は言語である限り、言語であることから由来するさまざまな制約を受けている。おもに、語意や語法のことである。一方、意識や思考は、語意や語法に完全に縛られているわけではない。不適切な文脈で使うこともできるし、間違った語法で言葉をつづることもできる。ヴィトゲンシュタインは、言語の限界が思考の限界だと書いていたが、言語が意味をもつ限り、正しかろうと間違っていようと、意味からは逃れられないが、意味に限界はない。したがって、言語に限界は存在しないはずで、思考の限界が言語の限界であるなら、思考には限界がないということになる。このぼくの主張は正しいだろうか。ぼくという詩人の仕事の一つに、このことの解明という文学的営為が含まれていると思っている。
 言葉を換えて言えば、そして、端的に言えば、こういうことであろう。他者の体験に一時的に同化することによってのみ、自分の体験を外から見るという経験を通してのみ、ほんとうに自分の体験したことの意味を知ることができると。ここで、ふと思ったのだが、「ほんとうに自分の体験したことの意味を知る」というのと、「自分の体験したことのほんとうの意味を知る」というのが、まったく同じことかと言えば、まったく同じことではないと思うのだが、感覚的にはほとんど同じようなものであると感じられる。




ああ、ぼくはそんなことをすでにみな話をしていたな、ちがうか?
 どうだか、わからない。心の中であまりに多くのことが動きまわっているので、これまでに起こったことと、まだ起こっていないことと、心の中以外では絶対に起こらないことについて、ぼくはいささか混乱している。
(フレデリック・ポール『ゲイトウエイ3』上・9、矢野 徹訳)




 フレデリック・ポールのこの言葉から、つぎのような文章が思い浮かんだ。自分と話している人間が自分の言っている言葉をどう思うのか、といったこととは無関係に、自分のこころのなかに生じた期待や不安を、成功への絶対的な確信や望みのないこころ持ちといったようなものを、ふいに投げつけるようなタイプの人間がいる。ぼくがそうだった。




 感情の発展過程で、ある点以上には絶対成長しない人がある。かれらは、セックスの相手と、ふつうの気楽で自由な、そしてギブ・アンド・テイクの関係をほんの短いあいだしか続けられない。内なる何かが、幸福に耐えられないのだ。幸福になればなるほど、破壊せずにおけなくなる。
(フレデリック・ポール『ゲイトウエイ』20、矢野 徹訳)




 フレデリック・ポールのこの言葉から、つぎのような文章を思いついた。いまある幸せがいつかはなくなるものだと思って、あるいは、いまつかまえられるかもしれない幸せをいつかは手放さなくてはならないものだと思って、そういう不安なこころ持ちで生きていくことに耐えられずに、いまある幸せを、いまつかまえられるかもしれない幸せを、幸せになるかもしれない可能性を、自らの手で壊してしまう、そんなことを繰り返してきたのだった、このぼくは。京大のエイジくんとの一年半の付き合い方が、この典型だった。おそらく、彼も、ぼくと同じような性質だったのであろう。お互いに、相手を好きだという気持ちをストレートに出せなくて、会うたびに相手を傷つけるような言葉を投げかけ合っていたのであった。相手を侮辱し、挑発し、怒りや憎しみを装った悲しみを投げつけ合っていたのであろう。二十年近くたって冷静に自分の言動を見つめていると、しばしば哀れみを感じてしまう。愛情をストレートに表現する能力が欠けているために、どれだけ相手を、また自分を傷つけてきたのだろうかと思わずにはいられない。




神とは最初の遠い昔の細胞が死んで以来の細胞たちの中に累積された知である。
われわれはその知の中に住む
(ジェイムズ・メリル『ミラベルの数の書』9.9、志村正雄訳)


夢想で作り上げたものは現実で償わなければならないと思う。
(ジェイムズ・メリル『イーフレイムの書』I、志村正雄訳)


(僕はめったに感じられないことであるけれど、
 世界が現実(リアル)であると見える人々を僕は愛す)。
(ジェイムズ・メリル『イーフレイムの書』O、志村正雄訳)




 メリルのこの言葉から、愛するものは生き生きとしていると思った。愛する者は生き生きとしているでもいい。ディックの小説に、「「ねえ」と映話をすませたマルチーヌがいった。「なに考えてるの?」/「きみが愛するものは、生き生きしてるってこと」/「愛ってそういうものなんでしょ?」とマルチーヌはいった。」(フィリップ・K・ディック『凍った旅』浅倉久志訳)といった言葉のやりとりを描写した箇所がある。愛の絶頂というのが、肉体的なことに限りはしないことなのだけれど、かつて、肉体的な絶頂がもたらせる充足感が、自分の生命のありったけの喜びを集めて放射したように感じることがあった。もっとも生き生きとした瞬間というものが、あれだったのかなと思われる。愛するものはリアルである。愛する者はリアルである。愛するものは現実である。愛する者は現実である。現実はリアルである。愛は現実である。現実は愛である。




今こうしてここにきみはいる、新しい型の中の旧い自我。
あの根の何本かは強靱になったようだ、死んだのもあるが。
語れ、僕に語れ、僕はきみに頼む、
瞬間の一つ一つが何をするのか、したのか、するつもりなのか──
(ジェイムズ・メリル『イーフレイムの書』S,志村正雄訳)


ユングは言う──言わないにしても、言っているに等しい──
神と<無意識>は一つであると。ふむ。
(ジェイムズ・メリル『イーフレイムの書』U,志村正雄訳)




 メリルのこの詩句が、いかに自由な精神から書かれたものか、想像するしかないが、かなりの自由度を有した精神が書いたものとしか思われない。ここまで自由になるには、よほど深い思索が行われなければならなかったはずである。ぼくの精神がメリルのような自由度をもつためには、あとどれだけ知識を吸収し、思索をめぐらせなければならないか、これまた想像もつかない。しかし、先人がいるということは、それにつづけばいいだけで、先人が苦労して獲得したものを、後人は、先人より容易に入手できる可能性が高い。先人がいるということを知っているだけでも、エネルギーギャップは、かなり低くなったはずだ。がんばろう。




一切の表現は本来嘆きである、と大胆に論断することができる。
(トーマス・マン『ファウスト博士』四六、関 泰祐・関 楠生訳)


痛い とわかること は つらい こと
(ヤリタミサコ『態』)


当時はなお表現し得なかった一つの意味、後になっては
忘却どころか、血の出るほどに傷ついた
刺。だがそのときすでに貴女は死んでいた、
どこで、どのようにか、ぼくはとうとう知らずじまい。
(エウジェーニオ・モンターレ『アンネッタ』米川良夫訳)


ならば僕は君を創造するとしよう。
(ヴァージニア・ウルフ『波』鈴木幸夫訳)


それは悲しみであった。
(リスペクトール『G・Hの受難』高橋都彦訳)


だが 悲しんでいることも
これがわれらの悲しみであることも われらは知らない
(エドウィン・ミュア『不在者』関口 篤訳)


一冊の本は、どんなに悲しい本でも、一つの人生ほど悲しくはあり得ません
(アゴタ・クリストフ『第三の嘘』第一部、堀 茂樹訳)


不幸だけがほんとうに自覚できる唯一のものである
(マルロー『征服者』第I部、渡辺一民訳)


おそらく我々はそういう瞬間のために生きてきたのではあるまいか?
(ガデンヌ『スヘヴェニンゲンの浜辺』8、菅野昭正訳)


ヤン・フスが火刑に処された際、一人の柔和で小柄な老婆が自分の家から薪を持って現われ、それを火刑台にくべる姿が見られた。
(カミュ『手帖』第六部、高畠正明訳)


神は愛である。
(ヨハネの第一の手紙四・一六)


愛だけが 厳しい 多くの苦痛をもっている
(キーツ『ファニーに寄せるうた』6、出口泰生訳)


愛はいつまでも絶えることがない。
(コリント人への第一の手紙一三・八)


神は、すべての人が救われて、真理を悟るに至ることを望んでおられる。
(テモテへの第一の手紙二・四)


神さまは、それをゆっくりお待ちになることができるからね
(マルロー『希望』第一編・第二部・第二章・1、小松 清訳)


ひとが愛するものについて誤らないつてことは、むづかしいことだよ。
(ワイルド『藝術家としての批評家』第一部、西村孝次訳)


誰しも自分の流儀で愛するほかに方法はなかろうじゃないか
(三島由紀夫『禁色』)


彼女はただ偶然に行動した。
(スタンダール『パルムの僧院』第十四章、生島遼一訳)


愛よりなされたことは、つねに善悪の彼岸に起る。
(ニーチェ『善悪の彼岸』第四章・一五三、竹山道雄訳)


愛とは、学んで得られるものではありませんが、にもかかわらず、愛ほど学ぶ必要のあるものもほかにないのです。
(教皇ヨハネ・パウロII世『希望の扉を開く』三浦朱門・曽野綾子訳)


愛の道は
愛だけが通れるのです。
(カルロス・ドルモン・ジ・アンドラージ『食卓』ナヲエ・タケイ・ダ・シルバ訳)


偏執病者の経験する愛は憎悪の変形なのである。
(フィリップ・K・ディック『アルファ系衛星の氏族たち』7、友枝康子訳)


わたしにはこの病気の本質を説明することはとうていできないとしても、
(ズヴェーヴォ『ゼーノの苦悶』5・結婚のこと、清水三郎治訳)


愛に報いるためには、この道を通るしかないという気がした。
(ターハル・ベン=ジェルーン『聖なる夜』17、菊地有子訳)


人間はあっというまに地獄へ行ける
(アン・マキャフリー『歌う船』歌った船、酒匂真理子訳)


自由がなにかを教えるというなら、それは幸福というものは幸福であることのなかにあるのではなく、自分の不幸を選びうることのなかにあるということなのだ
(レイナルド・アレナス『ハバナへの旅』第三の旅、安藤哲行訳)


地獄を選ぶということが可能なのは、ただ救いへの執着があるからこそである。
(シモーヌ・ヴェイユ『重力と恩寵』悪、田辺 保訳)


ほかに選択の道がありますか?
(アイザック・アシモフ『ファウンデーションへの序曲』大学・13、岡部宏之訳)


森へ行こう
(マルグリット・デュラス『太平洋の防波堤』第2部、田中倫郎訳)


詩は森のなかで行われる
(アンドレ・ブルトン『サン・ロマノへ通じる街道の上で』清岡卓行訳)


とりわけおもしろいのが、この森さ。
(アガサ・クリスティー『火曜クラブ』第二話、中村妙子訳)


ようこそ、一九六一年に
(ロバート・シルヴァーバーグ『時間線を遡って』7、中村保男訳)


過去はふくろう(、、、、)の巣のまわりにある骨のようなものである。
(ギマランエス・ローザ『大いなる奥地』中川 敏訳)


おや! 破片(かけら)だ! 水瓶(みずさし)が壊れている!
(フロベール『聖アントワヌの誘惑』第二章、渡辺一夫訳)


見るかい?
(マイク・レズニック『キリンヤガ』3、内田昌之訳)


むしろそれは祈りに似たものだった。
(ジョイス・ケアリー『脱走』小野寺 健訳)


彼は「自分はもう二度と自分自身になることはあるまい」と語るのである。
(キェルケゴール『死に至る病』第一編・三・B・b・α・2、斎藤信治訳)


汝(なれ)はそも、涙を持てる、憂わしき甕なるか?
(ジイド『贋金つかい』第三部・七、川口 篤訳)


世のなかには元来、ただ一冊の「書物」だけしか存在せず、その掟が世界を支配しているのではないか。
(マラルメ『詩の危機』南條彰宏訳)


ただ一つの文章しか存在しないのだ、それがいまだに読み解かれていない。
(アンドレ・ブルトン『ただ一つのテクスト』安藤元雄訳)


離反は信仰の行為です。そして一切は神のうちに存在し、神のうちで起るのです。特に神からの背反がそうなのです。
(トーマス・マン『ファウスト博士』一五、関 泰祐・関 楠生訳)


罪の反対は信仰なのである(、、、、、、、、、、、、)。それゆえに、ローマ書第十四章二十三節には、すべて信仰によらないことは罪である、と言われている。
(キルケゴール『死に至る病』第二編・A・第一章、桝田啓三郎訳)


苦悩とは疑惑であり、否定である
(ドストエフスキー『地下室の手記』I・9、江川 卓訳)


彼は神に対して不幸な愛を抱いている。
(キェルケゴール『死に至る病』第二編・A、斎藤信治訳)


ひとは雨雲を覚えていて、思い出すだろうか。
(モーパッサン『ピエールとジャン』5、杉 捷夫訳)


雲は過ぎさるが、天はとどまる。
(アウグスティヌス『告白』第十三巻・第十五章・一八、山田 晶訳)


「すべては流れる」
と賢者ヘラクレートスは言う。
(エズラ・パウンド『「わが墓をたてるために」E・Pのオード』III、新倉俊一訳)


私はある男を知っていました。彼はミツバチの羽音はその死後には響かないと確信していました。
(ヴォルテールの書簡、ドフォン公宛、一七七二年、池内 紀訳)


読んだこともない詩の一節が
(フィリップ・K・ディック『ユービック』5、浅倉久志訳)


その詩の最後の行を忘れることが出来ない。
(カポーティ『最後の扉を閉めて』2、川本三郎訳)


もしあのとき……もしあのとき。
(三島由紀夫『遠乗会』)


ぼくの白い柵、ぼくの家の囲いの格子垣、ぼくの樹々、ぼくの芝生、ぼくの生まれた家、そして玉撞き部屋の窓ガラス、それらは本当にそこにあったのだろうか?
(コクトー『ぼく自身あるいは困難な存在』ぼくの幼年時代について、秋山和夫訳)


みんなそこで生まれたの。
(マルグリット・デュラス『北の愛人』清水 徹訳)


空の上には一片の雲も掠(かす)め飛んだことはなかった。
(ニーチェ『この人を見よ』なぜ私はかくも怜悧なのか・5、西尾幹二訳)


魂とはなにものか?
(ジャン・ジュネ『葬儀』生田耕作訳)


人間とはいったいなんでしょう、
(ホフマンスタール『チャンドス卿の手紙』檜山哲彦訳)


まことに人間そのものが大きな深淵だ。
(アウグスティヌス『告白』第四巻・第十四章・二二、山田 晶訳)


われわれの内部には、じつに奇怪で神秘的なものがあるんだ。いったい、自分自身のなかにいるのは自分だけだろうか?
(アンリ・ド・レニエ『生きている過去』11、窪田般彌訳)


僕たちの背後で嘲笑している何かがあるのだ。
(ヴァージニア・ウルフ『波』鈴木幸夫訳)


死んだ腹から聞こえる笑い
(エズラ・パウンド『「わが墓をたてるために」E・Pのオード』IV、新倉俊一訳)


俺は死人たちを腹の中に埋葬した。
(ランボオ『地獄の季節』悪胤、小林秀雄訳)


魂を究極的に満たすのは魂自身のほかにはない、
(ホイットマン『草の葉』分別の歌、酒本雅之訳)


深淵と深淵とが相對しているのであつた。
(バルザック『セラフィタ』一、蛯原徳夫訳)


また苦しみの森
痛めつけられた白骨
(ジャン・ジュネ『葬儀』生田耕作訳)


僕のまわりに冷淡な広い余白が拡がる。今僕の眼に好奇に満ちた数千の眼が開く。
(ヴァージニア・ウルフ『波』鈴木幸夫訳)


qualis sit animus,ipse animus nescit.
霊魂は如何なるものなるか、霊魂自身はそれを知らず。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』より、キケロの言葉)


いったん灰になることがなくて、どうして新しく甦(よみがえ)ることが望めよう。
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第一部、手塚富雄訳)


埋葬されなかったものは、どのようにして復活したらよいのであろう。
(カロッサ『ルーマニア日記』十二月十五日、金曜、三時四十五分、登張正実訳)


墓のあるところにだけ、復活はあるのだ。
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第二部、手塚富雄訳)


生きのびるとは何度も何度も生れること
(エリカ・ジョング『飛ぶのが怖い』19、柳瀬尚紀訳)


生まれるとは、前とは違ったものになること
(オウィディウス『変身物語』巻十五、中村善也訳)


ただ、新しく造られることこそ、重要なのである。
(ガラテヤ人への手紙六・一五)


詩は言葉のために言葉を語る。
(ホフマンスタール『詩についての対話』檜山哲彦訳)


無限に語りつづける、
(ボルヘス『伝奇集』結末、篠田一士訳)


この書物はまだ終わったわけではない。
(ジャン・ジュネ『葬儀』生田耕作訳)


まだずいぶんかかるの、詩を仕上げるのに?
(レイナルド・アレナス『夜明け前のセレスティーノ』安藤哲行訳)


小さな森の中に、ひとりの贋詩人が現われる。
(アポリネール『虐殺された詩人』12、鈴木 豊訳)


君は、詩が好きかい?
(ジイド『一粒の麦もし死なずば』第一部・八、堀口大學訳)


でもこれがほんとに詩なんですか、それよりも判じ物じゃないかしら?
(プルースト『失われた時を求めて』第四篇・ソドムとゴモラ、井上究一郎訳)


ある晩、帰りがけに小石をいっぱい包んだハンケチを、背中にぶつけられました。
(バルザック『谷間の百合』二つの幼児、小西茂也訳)


民衆があなたに石を投げつけてもちっとも不思議はない。
(ペトロニウス『サテュリコン』90、国原吉之助訳)


半分は嘘で、半分はふざけてるんだから
(ロバート・A・ハインライン『地球の脅威』福島正実訳)


おっしゃるとおりです、まったく。
(テネシー・ウィリアムズ『欲望という名の電車』第三場、小田島雄志訳)


わらいの口

  あおい

首筋がわらう、
背中がわらう、
指先がわらう、
わらいごえがうるさくて
今夜も眠れない

わらいごえから意識をずらすと
今度は空間がわらう
空間には顔のない顔がある
顔のない顔は目のない目を
口のない口を開いたり閉じたりしている

顔のない顔の
口のない口から
赤い舌が伸びる
赤い舌は地面を這って
自分と同じ息吹を探す

髪の毛がわらう、
身体中がわらう、
私のなかの世界のわらいが
ガラス窓を突き破って
いくつもの爪になって地に傷をつける

傷をつけられた地は
雨を滲ませるまもなく
からからとわらいだす
いつのまにか地は
わらいの口のなかにある

わらいの口は傷だらけで
赤い血を滴らせながら
自分の背中を這って歩く
わらいの口の足跡が残した
卵が孵化してわらいがうまれる


やぶにらみ改善体操

  たなべ


嵌め込まれたひとみは頭蓋の中を旅した
いろんなところをめぐった
沙のさらさら無限におちる惑星
とおく燃えるそらいちめんに頭を垂れた 川縁の絶息のみじろぎ
森の匂いが窓から二階の一室に
ひそやかなおしゃべり
ああ、網膜にうつるひとの
生まれるまえに切りすぎた前髪!

この暖かい部屋の中でひとつの不具者だ
五感は危険を予知するためにはなく
ただ精神ひとつが
この世の断崖に追い込まれている

坂の勾配を無視するようだ
頂上から夕方の濃淡に接続するようだ
でも遠くへ行きたいと思うのは
元点があるからだよな?

おれは旅路を虚ろの海とした
はるか昔におまえが髪を切った日を
思い出していたのだ
なあ愛なんて適当なものだと
そう思わないか
あのときおれはすらりとした黒い髪に
愛をささやくことばかり考えていた
今になって
風にあそぶ金の髪
ざんばらに陽をすかすおまえの姿を
冬の日の種火のように思い出しているのだ

平明な救いに手を伸ばして
ほほえみを湛えるその姿は
もう糸が切れた人形みたいかい
それとも真理に触れた幸せな人?
いつまでもあるように錯覚する
見た目には呼吸しない呼吸する数々
何か忘れていることがあるの?
夕暮れをもっとしっかり見ようとして
風のせいに涙が
引き攣れた口角には愛は宿らないのか?
平明な救いに手を伸ばして

水のなかに遊ぶ泡の足取りを
真似したいと思ったけど
賢しらな唄は瞼をようしゃなく引き摺る
誰のせいだ?
空がこんなに重いのは
誰のせいだ?
軛がこんなに重いのは
石を打ち欠いていたころの夢は
消えてさよならして死んだ
襞が必要だ
きっと涙が折り畳まれていて
朝になると声をあげてぬるく溢す
何かが見えてるはずでしょう?
見えざる手に胸を掴まれたのでしょう?
不死身の体は
もういらない

弥終にたどり着いたとても
おまえの笑んだ顏をもう
瞳にみることはないのだ
ただまぶたの後ろにだけある
約束したいではないか
塵のおれにはもう約束しか
残されていない
おまえはどうだったろう
あるいはどうだろう
約束をしてもいいと思うか?
それが涙を拭うなら、と言うだろう

悪いことを数えても
焚き火する榾にもなりやしないわ
雲ひとつ追いかけたほうが
ずっとましだと
言ったのにあなたは死んだね
湖の周りには薄水色の花が咲いた
腐ってしまう目に見えない臓器
涙で治癒できるなら
とうにしているのだ
蹄の数をかぞえることで
意味を見つけようとした
もう森の中には入れない

言葉を言いながら
言いながらする顔をみせてくれたなら
もしももう一度ひとつだったら
太陽であり風のように
始めから言葉などいらず
海であり波のように
こうはならなかったのに

まだ夜にはほど遠い
涯にいることを信じたいのだ
善悪ごときに唆されないように
みじかくながい息をしてみる


朝の街灯

  朝顔

あなたの精液を根こそぎ搾り取った朝
井の頭公園の夏というより春めいた街灯を歩き
各停の始発はゆっくりとよろめき
セーラー服の少女の出立姿を見つめている学生服の少年の
視線にきらめくような陽光が浮かび上がり
そうあれはわたしでした
三十年前の予感がはっきりとした記憶になって
家の家紋は穂積です
歩くときはいつもスマートフォンはマナーモードに設定し
SEXの最中に携帯を見ないで下さいと言わずに
ゆるやかになだらかに背中に手をまわし
屹立した性器に手を触れ
導いてゆくのは私の方です
二人前のそばと帆立はおいしかったですか
と聞く間もなく古びた便器が目の前にあり
くずれてゆく腹部のシルエットが重なり
呑み込もうともしない喘ぎがたぶん階下にも聞こえていて
濃い桃のカクテルはバッドトリップしますよ
物事は安心感を持って一歩一歩対処しましょうという臨床医の声が響き
ああうるさいうるさいと
ネットサーフィンの中に水没してゆくわたしの快楽が
ありとあらゆる男根にも波及してゆく
デパスは頭痛薬の代わりにいつも携帯していて
五十代向けのアイシャドウで隠れた目元の皺が
あけひろげに開かれていて今も
早死にする前にもう一度お会いしましょうと
時候外れの挨拶を交わして
鳩尾のフィルムに焼き付いている
早朝の改札口に何事もなかったかのように消えてゆく男の影法師が
気がつけばいつもそこにあります


自己申告

  松本末廣

エネルギーが雑に飲み込まれた
私の中の感情がひどく細かく統合されていく

叩け

雷を憑依させて 分かりましたとつき離す
トントン ごとりと心臓が動くと
挨拶をほのめかす寄生虫が
ふたたび眠れと食いあらす
色彩を気にしすぎている貴方の真顔は
私の唇を引き剥がそうとする
棺桶に類似している
ルメールの言葉通り
白色と不倫の融合は難しく
義理の妻であるにも関わらず
接触せんとするその志は
どこへ隠すつもりなのか
落ちたコラムは
包括した本能と衝突を繰り返し
瓶詰めにされた現実を
受け入れることが出来ずに 母となった
生命を逆説的にとらえるラベンダーには
痛覚を失う事は 必然の理であるといえる

そうか 僕は落下している
生死はもう 関係性を手離した
水滴が球体を恐れるように
不可思議数を観察し
残すところ三秒足らずで
縛られていたことに気づく
これが印象深く
自由を嘲る事が正義だと言い放った
後の再生を確信した瞬間だった
忘れもしない 十月二日十四時から
山頂と労働を差し引いた数に
僕は生まれた 永い思考を失った


早朝

  

早朝の穏やかな水面に
無意味な言語を浮かべれば
正しい方向を指し示して
いつかは真実にたどり着く
あるいは失ったものたちを
何もかも取り戻せる
などとという
蜃気楼のような幻想が
僕たちの信仰する
永久機関の正体だ

カビ臭い神の箱庭で
笑えない冗談ばかりを
ぶつけ合っている少女たちは
絶望をオブラートに包む巫女で
本当は本当の本当を教えてくれない
それを百も承知で僕たちは
遠浅の眠りの中に言葉を浸し
薄闇の去りゆく世界へと
心拍のリズムで波紋を広げる

(そこでようやく
 自分が目覚めていないことに気づく)

また過ちを犯すのだろうと
心の隅では認めているのだが
水が氷になる瞬間のような
眩暈にも似た高揚感に包まれて
またしても僕たちは真実を否定する
とても容易く、躊躇いもなく
ノラネコに餌を与えるかのように

いつだって悪魔は魅力的に演説する
いつだって大衆は熱狂的に歓迎する
遠い過去の方角から
行進の足音が近づいてくる
高尚な何かを考えているつもりで
実は何も考えていない僕たちは
憎んでいるはずのものを愛し
葬ったはずのものと婚約する

そして再び朝がやってくる
同じ愚行を繰り返すために
僕たちは覚醒したふりをして
遠ざかる薄闇から悪夢を引き戻す

今度という今度こそ
夜にたどり着けないかも知れないのに


(((Echo-Noise)))

  NORANEKO

針金の母の底、逆しまに
しずめる太陽を摘まむピンセットの先
時制を反転した記憶に凍てつき、染まる
その色は、(((Echo-Noise)))

掻き消された、音のなぞる形も
きっと、無かったことには出来ないの

二十数年後、レストランの窓際の席で
あなたは逆光に塗りつぶされて、黒く
何でもないように笑う。卓上、
置かれた一枚の写真に、私の
見えない兄弟、あるいは姉妹が
沈黙している。退屈な笑顔を浮かべ
整列する私と家族の背景の庭に
しずかな重力を加え、歪む、
その形は、(((Echo-Noise)))

視力が落ちて、滲む景色の
溶けかけた輪郭をなぞるように歩く
「その時間が、慰めでした」
針を飲み下すような顔で笑う、私を
曖昧な消失点の彼方で、じっと見つめる
(((Echo-Noise))),うらめしいかい?
背中を丸めた私ですらも、
「どうしておまえなんだ」って。


Fixing you, messing me(Wilder than heaven)

  アルフ・O

 
 
 
掴めば壊れてしまう程の
細い手首
耳鳴りにもう飽きてしまった
不感症に
つける薬はないと吐き捨てる
灯りを消してみる夢と
消さずに見る夢
「まだだめよ、って
 声が連なって聴こえる」
彩度まで揺らぎ始める
平行線の上
何をすれば喜んでくれるの、

「キーワードは?
「風紀委員とかドレッサーとか、
 うーん、それくらい、
「まだあるでしょ、リンゴとか
 カボチャとかラズベリーとか。
「あと2人無視しないでね。
「逃げ回ってるだけの人に用は無いよ、
「孵化できないことにも気づかないでいる、

(懺悔は砂時計の後に。

(眠りに就くアメジスト、かしら、
溢れる淀みの中で
彼女たちの影だけが芽吹くのが解る
(浮腫む花、
 フィルムにも映されずに唄う、
(骨になっても介錯してくれるのね、
「貴女のいる地獄に
 この手は届きそうにない、
 何度繰り返したって、
そう呟く背に
含み笑いが応えた気がして
振り向くけれどその合間に
理は(貴女に)
(もしくはあたしに)
都合よく収斂され
変性されて
綻びは書き換えられてしまった
(噛み砕かれ、
残っているのはその
耳飾りだけ、

(歯車の軋みに気づかないふりをしてる、
(貴方だけね、剣を突き立ててくれたのは
(迷わないただ一つの方法は、迷い続けること、
(埒あかないね。
(あたしにその勇気がないから、

「天気予報は外れ、
「切れ端の散文が夕闇に溶けてく。
「もう誰にも読まれない、
「彼女の言うことが本当なら、
「遠くない将来、
 あたしたちもそこに回収される、
「壁の外側から
 干渉の外側から
 また聴こえた、」
(そして“もう大丈夫”と
 彼女たちは
 闇を裂き天を射抜く)
湖を揺らす音が
解いた髪とリボンを伝って
肌を断ち切るように
並べたひとりがけの椅子が
朽ちてゆくのを拒むように
 
 
 
*These words are dedicated to H.A., K.S. and...

(ねぇこの但し書き、必要?まぁいっか。)
(ずいぶん野蛮で、身勝手な楽園ですこと、)
(頼んでもいない時に限って、空は美しくなるよね。
 いっそ、いっそのこと、
 塵も残さないほど葬って欲しいのに、)
 
 

 


悪魔祓い

  朝顔

私の頑固な顎があなたを追い出してしまった。テーブルに
は、桃色のローストビーフが客の肥えた舌という祭壇に捧
げられるのを待っている。煌めくグラスの連なりが、被災
した悲劇のスピーチを細断する。曰く、「食べ物がありま
せん!どこにもありません!」。詩人たちは優雅に、己の
功績をお互いに裁断しつづける。

サーモンピンクのドレスで昨夜の情事による痣の付いた肢
を包みつつ、絢爛たるシャンデリアの光の下に、大学教授
の脹脛が上に乗っている有田焼のインディゴブルーの皿を
発見して私は世界と繋がれた。この瞬間、逆子で出生する
筈であった私の姪を流してしまった、あなたの暗緑色の臟
を思い切り壁に叩き付けたのである。

生きるべきか死すべきかと激しい論争を戦わせながら、あ
なたはロビーで隣のソファーに座った肩に漆黒のブラジャ
ーの紐の透けた淑女を犯したいという欲望と闘っているら
しい。窓の中の下弦の月は、どこまでも私を追いつつ検閲
している。遠く北東の汚染された海では、群れからただ一
匹離れた鮭が南へと泳いで行った。


ゆびきり

  榎本いずみ

まだ息をする花を棺に込めて、
焼死させる自己満足の美しさはいつも
眉を顰める人たちの計画通り。
マニュアルで読み上げられていく
とても優しい人でした
が、眼球にこびりつき
ハンカチは乾いている。
白檀の煙は気管支を圧迫-闘争
幼い甥は声高く笑い、
指に力が入らなくて
溢しきった砂糖をアリが辿る
引き出しの隅の追憶が浮遊し始める。
私の知らないあなたを
Eureka/やっと見つけた
望んでいたのは存在し続けること
小指を差し出し千本飲ませば
祖母は、嘘つきの幼い少女になる。


entre chien et loup

  kaz.







想像力粒子A】


いけぶ黒い赤坂 トントンと
シンゴジラ渡る
流星
それを
/創造する
あなたは私を想像する
大気圏に衛星から粒子を突入させて
私たちは流れ星を作る
「観念が先走っている」
「並走者は」
「兵器?」
「雲」
みんなの足跡と一緒に渡さないで



砂の女に対するオマージュ】


あるイスラエル人が言った
あの日本人作家のイメージには驚嘆したと
何もない砂漠、砂嵐、蟻地獄、女
それが彼を惹きつけたのだという

その彼とは新幹線で出会った
私はパーティーでのかい君との
ポケモン遊びに夢中になっていた
かい君はお台場で遊び続けていたという

折しも阿蘇山の噴火から逃れ
プルーストを読みながら
新幹線で東京へと移動していたイスラエル人
彼の目にどんなイメージが映ったか

私はイメージの氾濫の時代を感じたのか
私は詩を世界に浸透させられるだろうか
私は北島のように逃げ出すだろうか
私は飯島のように沈黙するだろうか

二つの島が重なるように時を救えよ
砂時計の中の女よ



ビリー・ジョエルは超特急の夢を見るか】


バスが着く
僕は酔っ払いを掻き分け
新幹線に乗り込む
時刻は22時11分
お新香という言葉を教えてくれた人のもとへ
帰っていくのだ
23時36分に迎えに行くからね
メッセージを送る彼女
僕は返す
23時36分に僕がそこに居られるように祈っていて欲しい
そう
僕は教授にメールを送り
パソコンを研究室から持ち出し
時速200キロで彼女の元へ帰る途中なのだ
どうかその速度を維持したまま
僕のことを誰も記憶しないで欲しい
ビリー・ジョエルは超特急の夢を見ている
その夢から僕はいなくなるだろう
水槽の中のアインシュタインの脳も夢を見ている
その夢からも僕はいなくなるだろう
彼女は時折僕の夢を見る
その夢からも
僕はいなくなるだろう
そしてすべてが終わった後で
僕の腐った骨肉は異邦人たちに発見され調査され
夢ではなかったことがわかるだろう
そう、僕はいなくなるのだ
覚悟は決めたのだ
どんな永遠も無もそのことは口にできない
観念に唇はないからね
だから口づけするしかない
夢の中で



携挙】


如仏の判決
柿のガラス張りの部屋
緑の特急


王になれ王になれ応仁の乱

六根清浄
櫓で引き裂かれた石目色の空
I like a roring stone.
新世界よりがかかり出す、蒸気機関の音で
I like a roring stone.
I like a roring stone.

沸々とわしはわし上がる湧き上がる涙がる泣きがある破断面測定器により森林の生活を/雨を・山火事を・月の満ち欠けを読み解く

スルメイカ並みのシュールレアリスと尻尾の付け根に住めばいいか
空海
ドストエスキモー



回帰】


おおベルフェゴール素数の美しい均等性よ
お前の思い煩うことなく見開かれた目の中は
光の一つも靴の中に落ちて滞るだろう
世界像を塊のようにすり替える静かな時間帯
虹彩の向こう側に見える古い地平
そのまた向こう側にある
蒼さの立体
おお呼吸よ おお呼吸よ おお呼吸よ
お前はいつだって届かない
あなたの元へ
キスのときしか
いやキスのときさえそうだ
何か!
何か! 何か! 何か!
何か遠くで素っ飛ばしてきたような顔で
こちらを振り返らないで



反響】


運河すべての偶然を決める
これだけでは無内容なので
(胸板を)
背びれのように翻し
翻案する汽水湖のざわめきを(潮騒を)
函南だ!
地名論2を僕は描こうとしている
不思議な不思議な国のアリスで
漠然としたサイバーパンク
迫りくる魔の手
矢田じゃなくて矢口じゃね?
じんかさんですか?
ジンギスカン!
汗の匂いでベトベトンヘクタール
トルエン劣る円
社会人は新しい
概念
なのだろう
反響を聞きたかったのに
絶望を訊いてしまっていた



パラレルポエム】

私たちは鳥であり、花であり、木々である。私たちは分化し、成長する。すると鳥は水の中を泳ぎ、深く潜るようになり、やがては溺れて死ぬまで進化する。花はもはや虫たちを使って養分を取ることをあきらめ、空を飛ぶ鳥を捕らえて溶かして吸収するようになり、木々は緑を捨てて青空へと溶け込むような青色に発光するようになる。ここには私たちしかいない



なんとかなるか

メヤモ・ペテロ
矢口蘭堂
電撃文庫と結婚した



が咳の

パラレルポエム

というわけで私たちは深夜帯の言葉となり声となり空となり熱帯となり艦隊となり花粉と視線による銃撃戦を行う。私たちは手足を伸ばす。大の字になって電車の中で横たわる。すると人々はそれを踏んでいくのだが、それは私たちが鳥であり、空であり、花であり、木であるからで、すなわち空間であり、コスモポリタンであるからだ。サバルタンであるからだ。不思議なポッケで叶えてくれる恫喝(地走りのように声は澄む)その色は何色だ。言葉になら、かりがねが効いてるよ。海の中の言葉。陸の上の言葉。その対比。



entre chien et loup】


黄昏時とはよく言ったものだ
言葉が沈んでいく品川駅の構内で
けたたましいアナウンスとともに
ジリリリリリジリリリリリと
サイレンが鳴る 悲鳴が聞こえる
サリンが撒かれたサリンジャー
おお ああ 神様の震え そして愉快
記憶 僕らは夢の通路に立ち止まり
春風に物思いました 夏の夕闇に
捧げられた供物 いや貨物かしら
煮え湯のような行為に 滾らせなさ
い 沈める寺の引用 悲しいかな
世界はあなたの顔を忘れている だが
構わないのだ ライムを踏む
歪んだ文字の配列 マグマであくまで
トランペットの練習に付き合わさ
れて れてて れてててて
韻 in すごい韻律になればいいのさ
春香さん、あなたはゼーバルトの
記憶から彼方に燃える旅人だと
水辺の森 みんなが耳を塞ぐ 不作
アイシング 疲労骨折 国家 不作
不作 不作 不作 不作 不作不作不作不作不作
爆風よ、瀑布よ、爆発せよ、砂漠!


生の賭博師

  lalita

om ah vi ra hum kham



さきわえ給え



すべてのなかに宿りすべてを動かしすべてであるものに敬礼す。



om amogha vairochana mahamudra mani padma jvala pravrttaya hum.



上手くいっている日常ほどうすっぺらいものはない。



やはり錯乱が必要だ。



あの子供のような天真爛漫さだけが、詩の世界に人を誘う。



ま、君程度の人間にはわからんだろうが。



幸せなんていらない。ぞくぞくしたいわけでもない。



髪の毛を逆立てるくらい覚醒したクリシュナのように。



性愛は清らかだ。



ただ零れ落ちる雫のような、愛液の滴りの上に罪深い月光をはらんで、



そしてすさまじい物音のする崖崩れのように、心の垢を落としてくれさえすればよかったのに。



あの日あの時、こんなに愛を誓い合った僕らが



今では、互いに無視を決め込んで、窓ガラス越しに距離をとるまでに至った。



俺は彼女にたえられなかったんだ。



それは俺に問題がある。



一人の少女を愛した。



少女はなんたことはないかわいい子だった。



運命が、錯乱した目で髪の毛を振り乱して私に牙を剥いた。



なぜだろう、私は理想の女しか愛せないのは。



時代がそういう女を減少させたという面もあれば、



単にもともとないものを追い求めているという面もあり、



また、究極的には、どんなものでもいらだたず愛せるというのが安らぎの条件ではある。



すべてを愛しえたとき、すべてをあるがままに受け入れたとき、



あなたは安らぎに満ちるだろう。



kastritilakojvala kastripujanarata



kasutripujakalaya kastrimrigatoshini



愛せない。愛そう。という二元性の努力そのものが葛藤だ。



愛せないのなら、愛せないことにとどまるべきなのだ。



そのとき愛せるだろう。



そもそも、現代社会は、男も愛することを求められる。



いわば、女性化することさえ求められる。



一方で女の男性化も顕著である。



性別が中性化してきている。



女性解放というのは、女性の経済的自立のことであって、それによって女は女でなくなった。

つまり、愛とは虜になることであり、



解放された女にはもはや、愛する能力が十分にのこってるとはいえない。



仏陀は、色即是空 空即是色といったが、女性原理である色と、男性原理である空は互いに相互類似的であり、時代や、地域により、それらは多様な特性を見せるという意味にも解釈できる。



見せ掛けの下にあるのは、無であり、それゆえ見せかけは無に等しい。



見せ掛けは存在しないがゆえに、無である。これは女性的視点だ。



般若心経が、女性形で始まるのはそのためだ。



女性は、見せ掛けの下には、何も存在しないことを知っている。



om namo bhagavati prajnaparamitayai



色即是空 空即是色のさらに奥には、色即色 空即空がある。



迷いの視点から見ると、解脱と輪廻は差がない。



しかし、悟りの視点からすると、両者は絶対にまじわらない。



輪廻は輪廻だ。涅槃は涅槃である。



それゆえに煩悩即菩提であり、煩悩は決して悟りではないのである・・・




権力だって芸術だって、なれれば飽きる。



それらは少しばかりの陶酔は与えてくれた。



命がけの生き方が必要だ。



それは一般的には、男性にとっては天職であり、



女性にとっては恋愛である。



社会も社会じゃなく、男も男でなく、女も女でない現代において



生きるということは失敗してもいいから



自分の実存を賭けて正しく生きることなのだ。



それが自然にかえる道である。



時は満ちた。今がそのときだ。そして、君がそのときになりさえすれば、いつでも道は開かれていたんだよ。そして、その気になることすらも運命の悪戯という偶然の中の必然だったのだ。



いや、偶然などない。必然の中の偶然だったのだ。



正しく生きるとは、間違えてそれに気づいたら即座にあらためることである。



om hrim shrim jvalamukhi mam sarvashatrun bhakshaya bhakshaya hum phat svaha



海岸線の向こうからは、海と交わる太陽がダイアモンドの空に向かって挨拶するのが見えた。


(163・67・21)×(179・93・42)

  田中宏輔



(163・67・21)×(179・93・42)   I


●こっちは、178×92×42で、京都在住です。フォトメッセージを見てメールしました。もとめられてる趣旨とは異なりますが、もしよければ連絡ください。
○メールどうも! 京都のどちらからですか?
●北山です。植物園がすぐ近くです。
○そちらは、関西のどこなんでしょうか?
○市内なんですね。僕は関西じゃないですよ。つくばです。
●関西かなって思ってました。理系なんで、てことはないですけど、つくばって、茨城ですか? だったら、お会いするのは難しいですね。といっても、そちらがこちらをどう思ってらっしゃるか、こちらは特殊な仕事をしているので(文学です。)もし、興味がおありでしたら、パソコンで、「田中宏輔」で検索してみてください。同姓同名の者がいますが、文学をしているのは、ぼくだけなので区別はつきます。
○つくばは茨城です。東京からバスで45分くらい。詩を書いてるのかな?
●そうです。ありがとう。とてもうれしかったです。
○どうして僕なんかにメールくれたんですか?
●もしも、こんなおっさんでも好意をもってくれたら、と。いやいや、好意をもってもらえると     
 は思ってませんでした。ほとんどあきらめていました。フォト、とても魅力的でしたので。
○かっこいいなって思いましたよ。関東でもよかったら、よろしくお願いします! どんな感じの人か、いろいろ教えて下さい!
●音楽は80年代のソウル、ジャズが好きです。名前を訊くのはタブーでしたね。わるかったです。メールで呼びかけるときの名前を教えていただければうれしいです。
○そちらは本名でしょ? だから本名を教えたんですよ。僕はそういうの気にしないんで。
●そうなんだ。ごめんでした。気をわるくせんといてください。
○いえいえ、で、あそこは仮性包茎かな?
○いや、気なんて悪くしないですよ。ところで、あそこって仮性包茎? いきなりだけど。
●なぜ? わかるんですか? 顔で?
○小説を読んでみたんだけど、この人は仮性包茎かなって思っちゃった! 僕は仮性好きなんですよー!
●仮性包茎が好きだと言われてよろこんでいいのかどうか。ちょっと半泣きです。
○少なくとも僕は仮性が好きなんだから、喜んでいいんじゃないですか? あそこの画像見てみたいです!
●いま出先で、居酒屋なんで、あとでトイレでとります。だけど、たってないのでですか? 多分そうなんでしょうね。ぼくにはおくってもらえるんでしょうか?
○僕のカメラ付じゃないんですよ。載せてた画像も友達に撮ってもらったやつで。立ってるのと立ってないの見たいです! 被ってるやつを。
●めちゃくちゃはずかしんですが、ほんとにこんなちんぽがええんですか?
○めちゃくちゃいい感じです! イカ臭いのとか好きなんだけど、匂いします?
●それ、ほんまですか? 泣きたいです。そんなこと言わんとってください。洗わんかったら、においますけど、ほかのひともそうやないんですか?
○画像一つしか来てないっすよー。むいてあるのだけ。むいてないの見たい!
(ちんぽ画像のみ送付)
○いいっすねー。匂いするのマジ興奮します。自分のも洗わないと匂うね〜。
(しばらく中断)
○立ってて被ってんの見たいです!
●ちょっと待ってください。でも、ほんまなんですね。ほんまにはずかしいですから、ちょっと待ってください。
○恥ずかしいなんて思わないで欲しいなあ。僕はそういうのが好きなんだから、あんまり恥ずかしいって言われるとなんか淋しいなあ。
●わかりました。もう言いませんね。ほんとだってわかりました。いまからトイレに行ってきます。
●いつか画像くださいね。とても魅力的ですから。もしかしたら、Sッケすこしありますか?
(ちんぽ画像添付)
○いい感じですね! 匂いも嗅ぎたい! 今も匂いするかな? てか今度京都に会いに行くよ!
●ぼくも会いたい。めちゃくちゃ会いたい。ほんとに会いたい!!!
○じゃあ会いに行くよ! 浪人の身分だから、時間はどうにでもなるからね! 交通費さえどうにかなれば行けるから。
●交通費のことは、心配しないでほしい。
○心配しないでって?
●失礼な書き方をしました。すいません。交通費はぼくがもつべきか、あるいは折半だと思ったので。でも、年齢から言うと、ぼくがもつべきだと思うのですが、間違ってますか?
○わかりました! 京大卒?
●同志社です。大学院を出たあと、30才まで聴講しながら、同志社国際高校で10年教えていました。(注、この書き方はおかしい。28歳から10年間教えていたのだが、聴講していた期間は5年間で、教えていた時期と重なるのは、数年間だけである。)
○同志社なんだー! 敬語じゃなくていいっすよ。敬語でメールしたりするの慣れてないんで、なんかぎこちなくなるから。
●ふだんは、予備校で数学を教えています。京都と奈良で。昼の授業だけなんで、、六時半には帰ります。
○****っていいます。一度会ってみたいですね。
●会いたい! ****に会いたい! 九月半ばの連休は四連休やけど、
○いや、悪いかなーって。実際の所、僕は無職なんで、お金は無いんですけどね。いきなり親に、京都に行くって言ってもお金もらえなそうだから、少しずつ余ったお金を貯めれば行けるかなーって思いました。出してもらっても平気なんですか? それならいつでも行っちゃいますよ。
●うん。交通費のことはまかしとってほしい。会いたいんは、ぼくのほうの気持ちもめちゃくちゃつよいから。
○じゃあマジで遊びに行くよ?
●うん。めちゃくちゃうれしい。
○じゃあマジ行くよ! あそこ洗わないでおいて欲しいな! どんな人なんだろう。どんな人がタイプなの?
●フォト見てびっくりしたんよ。ほんまに好きなタイプやから。メールしてても惹かれてる自分がようわかるし。****のほうは、どうなんやろ?
○僕もかっこいいと思ったよ。なかなか遠方の人と知り合う機会ってないからなんだか新鮮だよ! 会ってみたいねー。
●会いたい。九月十日から十五日まで連休なんやけど、十一日の晩からOk。めっちゃOk。ちょっとでもはやく会いたい。
○じゃあ行っちゃおうかなー!
●こんどの金土日は急やろか?
○構わないけど、切符とかどうしたらいい?
●来てくれるときのお金はなんとか都合つけてくれるかな。あとで往復の切符代を受け取ってほしい。それともほかになんかええ方法があるやろか?
○分かった。親にはちょっと言えないから、近所の友達に頼むよ。どんな手段で行ったらいい?
●まず東京駅に行って、新幹線か、夜行バスに乗って京都駅に来て、京都駅に着いたら、そこで地下鉄に乗り換えて北山駅に来てくれたら、北山駅に向かいに行く。行くからね。
○金曜日の朝に着けばいいかな?
●今度の金曜日やったら晩でないと帰ってないけど、十二日の金曜日やったら、朝からOkやで。
○あさっての金曜日に行くよ。大丈夫?
●Ok。あさっての金曜の晩。六時半には帰ってる。京都駅に着く時間がわかったら連絡してほしい。こっちのTELは、***********やからね。北山駅では、4番出口で待っててほしい。そこで電話くれたら迎えに行くから。
○了解。僕のは***********だよ。会うまで、あそこは洗わないで欲しいんだけど。今日はもう風呂に入った?
●はいってないよ。
○じゃあ、会うまであそこは洗わないで! 皮剥かないでおいて!
●うん。約束するよ。
○嬉しいな! 匂い想像してたら立って来ちゃった。
●見たい。
○会ったら見れるよ! 自分でやって出しても、皮の中はふかないでそのままにしといて。カスとか付いてベトベトのとかめちゃくちゃ興奮する。臭ければ臭いほど興奮するから。
●うん。これから帰って、ちんぽ、こする。いっても、びちょびちょのまま寝ることにする。
○嬉しいな! 自分は一発やっちゃった。笑
●見たかった!!
○会えば見れるじゃん!
●うん。ほんとや。はやく会いたい。会いたい。
○行くからね! 楽しみだなあ。京都はほんと久しぶりだよ!
●近くにすごいいい雰囲気の居酒屋があるけど、酒は飲める? ちなみに、ぼくはたばこはすわんけど、酒は飲むほう。
○強くはないけど、少しなら飲めるよ。嫌いってことは無いし。雰囲気のいいお店とか好きだなー!
●じゃ、たべもの中心にしようね。いっしょにいられるんやあ。めちゃうれしい。ひそかに泣きたいくらいや。
○大したこと無い奴だから期待しないでよ〜。
●すごいタイプなんよ。メールしてほんとによかったなあって思ってる。

(以上で、9月2日のメールは終了。)



(163・67・21)×(179・93・42) II


●おはよ。これから仕事に行ってきます。訊きたいことがひとつあるんやけど、いま身体がめちゃくちゃ臭いと思うねんけど、あそこは洗わへんけど、頭ぐらいは洗ってもいいの? 身体は拭くことにするけど。
○おはよう! 頭とかは普通に洗っていいよ。あそこだけ洗わないで欲しいだけだからさ。
 (注:約八時間経過。)
●いま仕事終わったよ。これから地下鉄に乗るとこ。けさ階段の上り下りで、自分の身体の臭い匂いがした。
○お疲れ様! 仕事ってのは数学教える仕事? 匂い嗅ぎたいな! 臭いんだ。興奮しちゃうよ。
●きのう言ったけど、数学講師だす。
○そうなんだ。どこで教えてるの? あさって楽しみだなー! 匂いも嗅げるし!
●******ってとこだよ。だけど、もう臭いは限界みたい。自分の汗とかが醗酵してるような臭いが、歩いてて、鼻の先に立ち上ってくる感じ。おまけに、大しようとして便器にかがんだら、うんこの臭いまでして。これじゃあ、生徒からの評判ガタオチになっちゃう。シャワー浴びたらあかんやろか? **くんと会うの楽しみやねんけど、ううん。
○尻とかは普通に洗っていいよ。あそこの匂いさえすればいいからさ! 皮はむかないでおいてね。僕も会うの楽しみにしてるよ。
●おしっこは、ちんちんの皮むいてするんやけど。
○小便の時はむいていいよ。自然の臭いのが好きだから。わざと大量の尿を皮にためると尿の匂い中心になっちゃうからさ。少し残った尿が、皮の中にたまったくらいがいいよ。僕は精子が皮の中で時間がたったときの匂いが好き。これがいかにもイカ臭い匂いなんだよね。尿の匂いは イカ臭いのとは違うからね。熱弁しちゃった。笑
●オナニーのときもむかないでするの?
○皮の中に出して欲しいな! いくときに、皮の口をつまんで、その中に出すの。もれないように。で、あとはあまって出てくるやつだけふいて、皮の中は拭かずに放置。こうすれば完璧!
●はあ。なるほど、わかりやした。
○あの説明で意味分かった?
●わかるよ。コンドームのなかでイッて、そのままにしといたら、ゴムくさいやろか?
○うん、コンドーム使ったらゴムの匂いしちゃうしね。パンツはどんなのはいてる?
●トランクスかな。ところで、ぼくは山羊座のO型なんやけど、**くんは?
○僕は双子のBだよ。トランクスじゃなくて、ぴっちりしたのはいてほしいな! その方が臭くなるんだよね。
●そうなんや。じゃあ、ぴっちりしたの買いに行ってくるね。
○わざわざ買わなくていいよ! ないならいいからね。
●いや、ちゃんと買って、はいとくよ。音楽は好き?
○まぁ好きだけどね。笑
●ぼくは、やっぱりロック、ポップス、ソウル、ジャズ、ブルース、っていったとこかな。
○僕は槇原敬之好きかな。まぁ誰とは限らず、いいと思った曲は何でも!
●ヨーロッパ系のプログレなんかも好きでね。かなりマニアックなものも聴くよ。
○僕は、グロリア・エステファンのスペイン語版、セリーヌ・ディオンのフランス語版、シルビー・バルタンとか好きだよ。あとはマイナーなんだよなぁ。スペインのアナベレンとか。日本では知ってる人ほとんどいないだろうなぁ。
●アナベレンって人は知らんなあ。ところで、今度の金曜日は大丈夫?
○うん、大丈夫だと思うよ!
●いま、何してんの?
○今、カラオケに来てるよ。演歌ばっか歌ってる。笑
●**くんの歌ってるとこ見たいなあ。どんな声してんだろ?
○自分の声には自信ないけど、絶対音感には恵まれてたみたい。小柳ルミ子、石川さゆり、槇原敬之を歌ったよ。
 (注:**くんは、あとでわかったんだけど、ショパンの難曲も弾きこなすピアノの名手だす。)
●小柳ルミ子とか石川さゆりって、ぼくの年代じゃないかな? 槇原はわかるけど。カラオケって、よく行くの?
○カラオケって行ったことなかったんだよ。ほんと最近行くようになったんだ。まだほんの数回目だよ。
●そうなんや。はやく**くんに会いたいな。**くんのことが好きやねん。
○まだ会ってないんだし、好きだと思わないでよ。僕も、もし気に入ってもらえなかったらって緊張しちゃうから。京都くらいならいくらでも遊びに行くって!
●来てや。いま、エアロスミス聴いててん。ハードロックも大好きやねん。
○エアロスミスは名前なら知ってるかなあ。ハードって、どんな曲? けっこう疎いんだよね汗 あそこはもうけっこう臭いの?   
●臭い! さっきまでツエッペリンやイエスを聴いてたんやけど、知ってる? まあ、ハードロックって、うるさ系の感じかな。イエスは、プログレハードって感じ。
○うるさ系とか僕は聞かないかな。静かな曲のほうがどっちかといえば好きかも。ツエッペリンって聞いて、飛行船の名前以外に思い浮かばないし。イエスってのは知らないなぁ。
●時代が違うんかなあ。それとも、ぼくがマニアックなだけなのかも。
○そっか。あんまり曲とか聴かないから詳しくないんだよね、ごめんね。ところで京都生まれ京都育ち?
●そうだよ。一年くらい実母が生まれ育った高知にいたんやけど、赤ん坊のときやったから、なんもおぼえてへんしなあ。やっぱり、ずっと京都って感じやな。**くんの方は?
○生まれてからずっとつくばだよ。常総のある土浦市の隣。バリバリ茨城弁だよ。同系統の方言を話す人以外の人と話すときは、基本的に標準語を話してるかな。宏輔さんは京都弁だよね?
●たぶんね。そやけど、継母が岡山やし、父親は京都といっても、丹波の笹山ちゅうド田舎やし、純然たる京都弁ちゃうかもしれんなあ。それに、家は商売してたから、いろんな土地で生まれ育ったひとがいてたしなあ。まぜまぜなんちゃうやろか。ときどき広島弁に近い言葉が口に出ることもあるけど、継母がたしか、広島にもいたことがあるって言ってたような気がする。
○そうなんだ。まあ岡山の言葉と『比較的』近いよね。東京に近い割りに(都心まで50キロ弱)、関東東部の方言圏(茨城、栃木、千葉がそう)だから、東北南部の方言に近いよ。だからずーずー弁だよ。
●そうなんや。**くんは、ふだんは、どう過ごしてんの?
○気ままに過ごしてるよ。街をぶらぶらしたり、チャリで出掛けたり。本当は勉強しないといけないんだけどね。タイプっていうのはどんな人なの? 具体的に聞きたいな!
●**くんのように、自分の意見を持ってて、はっきりとそれを口にすることができる人かなあ。
○じゃあ、臭くしといて、とか、はっきり言う方がいいんだ? 好きなのに、言わないより。
●そうだね。
○そっか。じゃあはっきり言うよ。臭くしといてね。僕のが臭かったらどう? 人の匂いは嫌い?
●あまり嗅いだことがないし、好きではないかも。いや、まだ体験したことないからわからんけど、好きな相手のだったら、大丈夫かもしれない。。
○僕時間経つとすぐ臭くなるんだよなー。でも人にかがれたら興奮しそう! イケてないって思われたらやばいね。汗
●思わないよ。あのフォト、ほんとかわいいもん!
○よかったら話してみる? よければ電話もらっていい?
●いいよ。
○電話お願いします!
 (注:一時間と四十分ちょっと、電話で会話。)
○遅くまでごめんね。声が聞けてよかった! 会うの楽しみにしてるね。明日も予備校がんばって! おやすみなさい。

                          (以上で、9月3日のメールは終了。)




(163・67・21)×(179・93・42) III


●仕事が終わって、いま帰りです。北山を歩いてる。なんか、ちんぽこの先がぐちょぐちょだよ。きのうオナニーして、**くんの言ってたようにしたから。めちゃくちゃ臭いんちゃうやろか。ところで、**くん、新幹線もあるけど、高速バスってのもあるよ。
○高速バスは眠れない派なんだよね…。まぁ一日くらい平気なんだけど、今晩は友だちと約束があって、どっちみちバスの時間に間に合わないんだ。ごめんね。わざわざ皮の中に出してくれたんだね、ありがとう。匂い楽しみだな! 僕ってほんと変態。笑
●変態とまではいかんと思うけど、ちょっと趣味があるって感じかな。そやけど、いま、部屋戻って、ちんぽこの先に触った指の臭い嗅いだんやけど、めっちゃ臭いで。
○いいね。くさいのか。やばいな、いまプールにいるんだけど半立ちだよ。汗
●それはやばいね。**くんの半立ちも見たいな。きのう、ボクサーブリーフ買ったんやけど、ビキニは、さすがにはずかしくて買えへんかってね、きのうからはいてる。
○そのボクサーブリーフはぴっちりしてるのかな?
●してるよ。太もものとこぴっちり。
○よかった。わざわざ買いに行ってもらっちゃってごめんね。ありがとう。今度はビキニ姿も見せてね!
●なんとか買うてみる。
○明日楽しみにしてるよ。
●ぼくもめちゃくちゃ楽しみにしてるよ。
○これからイタリア語のサークルだよ!
●プレーゴ!
○TU COMPRENDI L’ ITALIANO? DO YOU UNDERSTAND ITALIAN?
●いや、イタリア語は、ちょっとかじっただけで、ほとんどできないよ。
 (注:あとでわかったんだけど、**くんは、中学生のときから二ヶ月に一回くらい海外に行ってて、いま現在八ヶ国語を話すことができる。ううん、ぼくとはえらい違いでおます。)
 (注:約三時間経過。)
○家に着いたよ。今日はこっちは涼しいよ。いま22度。京都は26度だって暑いね。
 (注:**くん、パソコンで気温とかしょっちゅう見てるらしい。)
●暑いね。イタリア語は、ダンテの神曲を原文で読むために、一年ぐらい勉強しただけで、ほとんどできないんだよ。
 (注:第二詩集でイタリア語を使うからってのが、第一の理由だったんだけど、たしかに、神曲もイタリア語で読みたかったから、まんざらまるっきりの嘘じゃないけど、ちょっとわざとらしい。)
○イタリア語版を読んだの?
●翻訳三種類は全文読んだけど、原文は、地獄篇と天堂篇の一部しか読んでない。英語の解説文つきの原文でね。四行の本文に対して2ページの解説がついてるやつ。わざわざ京大の近くにあるイタリア会館に行って借り出してコピーしたんだ。ところで、イタリア映画は好き? 何年か前の映画で「イル・ポスティーノ」ってのがあったんだけど、いい映画だったよ。
 (注:翻訳三種類持ってるけど、ちゃんと読んだのは二種類だけ。ほんのちょっとだけど、どうして嘘が混じっちゃうんだろね。)
○見てないなぁ。映画は好きなんだけど、なかなか行けなくて。地元にけっこうでかめの新しい映画館があるんだけど、音響最高だし、新しいし、あの空間にいると、異次元の世界に来た感じがする。
●さっき書いた映画、いい映画なんだけど、ちょっとおしつけごましくて、いただけないとこもある。
○おしつけごましく、←どんな意味? 僕は語彙が少ないんだよね…。
●あ、おしつけがましく、の間違い。
○そかそか。僕はほんと難しい単語が分からないから、ちょっとびびってしまった。汗 明日の今頃は一緒にいるね。楽しく過ごせますように!
●楽しく過ごせますように!
○明日はよろしくね! おやすみなさい!
●おやすみ。

(以上で、9月4日のメールは終了。)


誰もいなくなった。

  あおい

あなたのその
心を持たない目が
見つめる先は
虚像の悦びにくるまれた
未来という過去だ

あなたは気がついていない
死体を愛しているということを
抱き合った瞬間
それは死に変わったのだ
あなたの右手は冷たく鋭い爪が伸びている

その爪で、
生まれたばかりの
老いた男を
あたためながら殺した
男は安らかな顔で感じたばかりの生涯を終えた

あなたは友人がいなかった
なぜなら、
愛したものすべてを
殺してしまうから
あなたに殺された者たちに涙はなかった

それはあなたの
希望という過去だから
光よりも闇を愛しながら
あなたは過去を愛している
これからも愛し続けるのだろう

あなたから、誰もいなくなった。


haru

  田中恭平

 
 
ささやきを
おとなしくさせて
コーヒーカップのように静か暮らしてる、
パワーや
霊性は
そこらに散漫して、
春の庭先は穏やかです、
とまるで
サナトリウムからの
手紙のような詩を書く
こころは割れてしまっている。
楽しいことの余韻が
さめないうちに出掛けよう
瓶ビールを
川辺に冷やしにいこう
飲めないけれど、
楽しいから御金を払おう

そう考えたあとに
必ず溜息をついている
薪ストーヴ
火はついていない
火にゆるされることはできない
腹に手をあててみると
病が沈殿している
胃袋はくすりで冒された、
多分ね
スコール
彷徨う足取りは深く
一歩
一歩
溜息をつく

雪山山間のきれいな川に
これもきれいだが
こころない魚たちが泳いでゆく

林の
木と木の間に朝の月は在って
座していると聞こえる
こころない魚たちの唄、

突き動かされて
しかし何かに呼び戻されて
歩道に立ちすくみ
ついに瓶ビールを買いにいけない、

ふと
梅の花が咲いている
ひかりを受けてその枝先までの醜さを
反転、
させてうつくしい。

香を嗅ぐ。
目に映る草木すべての
帰するところが
観えたような気もして
からが、
春だ

こころない魚たちは
こころ捨てたことにより自由であるなら
わたくしは不自由で宜しい

確かに地に脚は着いて
車の走行音に目覚める、
痛みを持って
生を確認する
春だ!



 


人格攻撃の詩。

  泥棒




あなたの胸の中を歩いたら
そこは春の木漏れ日
悲しい人影もなく
血管を泳ぐ比喩たち
夜の海のよう
誰もいない心臓
にぎやかな廃墟でうたう小鳥たち
を連れ去る
意味ありげな
改行
本当の意味は
胸の奥へ流れる川
その川は深く、
傷は浅い、

低空飛行する詩句はありふれた散文となり
やがて雨が降る
攻撃的な風は枯れ葉と遊び
灰の庭をつくり出すのでしょう
嫌われて輝く
あなたの心臓を止めるために
そのためだけに
誰よりも
あなたを軽蔑しなければならない
そんな夜もあるとして
歩く、
歩けば、
丘の上には
鎖骨のような枝
折る、
折れば、
あたり前のように花が咲き
明日の予報では
雪が降る
優しいあなたが
胸を痛める夜
そばにいたいのです。

わたしは
悲しいと叫ぶ人など見たことがない
死にたいとつぶやく人なら
毎日いるよ
灰の中で
みんなもっと汚れたらいいのにね

お元気ですか
今も
あなたより好きな人なんて
私にはいません


革命

  霜田明

君が死んだ身体が
ふたつの意味を喚び起こす
短命は罪だという意味と
短命は徳だという意味を

死は生きることの内部にある
生の外へ出ていくものはなにもない
死は生の逆さまにあるものではない
死は生を逆さまにするものだ

死んだ身体の顔を通って
自分が死んだ世界が見える
自分が死んだ世界のなかで
世界はすべて逆さまになる

くだらないと思っていたものを
素晴らしいと思うようになる
素晴らしいと思っていたものを
くだらないと思うようになる

死んだとき
世界が逆さまになるのではない
世界が逆さまになったとき
死が起こる

(生の外へ出ていくものはなにもない)

夕陽が昇るようにみえる場所
朝日の沈んでいくことがわかる場所
未来が正確な過去の世界を表し
過去が未来の姿を見せる場所

重さを持つ死の経験のなかで
生は少しずつ逆さまになる
ついに逆さまになりきったとき
いまこの場所が死にかわる


数学以前

  

それは小学生の時のこと
ある日、学校から帰った僕は
算数の宿題を冷蔵庫に入れて
友だちの家に遊びに出かけた
(僕は算数が苦手だったから)
帰宅後に冷蔵庫を開けてみると
庫内はひどいことになっていた
タマゴはひとつ残らず割られ
マヨネーズやケチャップの中身が
野菜や果物にかけられていた
飲みかけの牛乳には水が足され
算数の宿題は逃げ出した後だった
僕は顔から血の気が引くのを感じた
パパやママに怒られるということよりも
算数から見放されたことが悲しかった
人生という時の長さを考えたなら
学歴というものの価値は無視できない
それはエリートとしてのルートを
確実に保証してくれるものだからだ
でも僕は算数の怒りに触れてしまった
それは昨日今日の話ではなかった
堆積していた僕の算数への不満は
とっくの昔に見抜かれていたのだ
幼い子どもの心情は免責にならず
こうして数学にたどり着く前に
僕は失格者の烙印を押された
生まれた甲斐がないという気持ちが
僕の中に分子レベルまで浸透して
センチな気分へと変換されていく
どうしてこんなことになったのか
どうすれば算数を愛せたのか
あの日から繰り返される問いに
僕は今も回答を見つけられずにいる


Bijou in a beehive

  アルフ・O

 
片眼鏡の貴女が云う
「深呼吸するには
 少しも向かない街だね、
アッシュグレイの髪を
機械のように掻き上げながら
テレパシーの混線する音が
方向感覚を今も狂わせている
やや間をおいて首肯する、
そして問い返す
「私は良いサンプルになり得たのかしら
Yes/Noで答えられる問いであれば
貴女にはより好まれることを知っていたが
返ってきたのは曖昧な微笑と
困ったような仕草だけだった

(「克服あれ、と
 叫ぶ聲を聞く
「ヤー。必ず、


中枢に届かないと知ってなお
細胞は平常通り分化して
フラスコ代わりの穴を埋めていく
左眼窩を犯されてから
一夜明けたけれど
予告どおりの惨状を
直視できるくらいには
感覚を失っているらしい
閉ざそう
ハツカネズミの本能で
足跡から根ひとつも遺せないで
群がるしかないんだって
「でも匂う闇を〓ぎ留めるに充たないよね、

(眠り方を忘れた時はいつも
  貴女は飽きるほど
   この頬を撫ぜてゆくから
  それに甘えてしまう、
心臓に繋がる鎖は
いずれ幾重にも編みこまれ
手首から離れなくなる


ゆるさない、
  」

(十字路に無数のクローンが詰め込まれ、
(疑心暗鬼の挙句、コキュートス行きの
 片道切符ツアーと
 ユーズレスペイン、
(脚はもう硬化しかけていて
 鍵を呑み込ませる喉
 目減りする復元力
 頬に血の気が戻り
 掴まった壁を壊す
 砂嵐に蟲が暴れ
 とうに摩耗した感情をカップリングして
 呼吸する度
  黒と白が踏み砕かれて循環
   針状結晶も摩擦しながら循環
 サーキュレイト
 そう サーキュレイト

 %^}
∽ 〜

(鎖を、ひっぱる、
 見開いた眼に、よく似たお互いをいっぱい映して。

これから今のままじゃ薄着過ぎるからと
徐ろに手に取ったモッズコートが
貴女のキャラをもってしてもあまりに厳つく
袖が余っていて
「逆に、少し近づきやすくならない?
滅多に見せない困り眉で
循環から鮮やかに掬い上げられる、意識
あぁもしも、私がその臍になりたいなんて
燻んで捻れきった願いが叶うならば、
「──いいんじゃない、一着くらいなら。
同時に振るいつく、
弾ける、クロエの香り、

(』》

  “【

 「ねぇ。
  闇って決めつけちゃえば、楽だと思わない?
 「あたしの汚染、消しに来てよ。
  今度は消波ブロックの先端で待ってるから、

$

ゆるさない、

(ゆるさない。「
  )ゆるさない、赦すものか
』 ゆ【るさ、】ない
ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない克服あれゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない必ずゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない償いなさいと彼女は云ったゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない細い指とアップライトベースの嬌声ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないFC世界の魔女を刺すことができないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない そして このなかの かたくあつくたぎるもの ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないどぼぢでごんなごどずるのゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない首吊りの庭ゆるさないゆるさないゆるさないヤーファーターゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない

(神様、知ってる?
 今、ようやくこの手の中にいるんだよ、

[◎
〓 @

(終末時計が鳴り
 克服あれと叫ぶ聲がする
((ヤー、
 
 
 
 
*Partially inspired by “EUREN SPIEGEL” , Tow Ubukata
 


ホトトギス考

  

はじめまして。北の影武者です。北の影武者は私を含め、詳しく発表出来ませんが、現在数十名存在します。過去には戦国時代に数名、あと月と火星に数名います。結論から申しますと、オリジナルの北は他界しています。ですので、今日は、私が北の影武者代表として発言しているのですが、そもそも北という存在は、ひとつの一環した志によって生かされているので、仮に、私の影武者が1000人いても、北は一人なのです。それは、エネルギーそのものには、意思がないようなものです。燃えたり消えたりする、純粋で、且つ公平な力です。

戦国の世では、北は、島左近の影武者をしていました。実は小早川秀秋を、東軍に寝返らせたのは北です。家康殿は、伊賀や甲賀の忍者がお好みでしたが、影武者もいましたよ。オリジナルの家康殿は、三方ヶ原の戦で死にました。そのときの御遺言が、家康は脱糞し命からがら逃げ落ちた、その恐怖した形相を絵にして、末代まで伝えよということでした。多くの武将に比べ、家康殿には虚栄心がありませんでした。天下をとるのに、多くの武将は、語り継がれる為の、甲冑をデザインしたりするものですが、大権現さまにとっては、それも天下人になり、その後、徳川家を存続させる為の、単なる手段に過ぎませんでした。ところで、島左近の影武者、北の方は、小早川を寝返らせた後、黒田殿の鉄砲隊に撃たれ死にましたが、オリジナルの左近殿は、京へ逃れ、日蓮宗の僧になりました。

秀吉さまが、太閤になられたあと、秀吉さまの影武者をしていました。実は、秀頼さまは、北の子供です。つまり、ねね殿が、お子を宿すことが出来なかったのではなく、秀吉さまが、種無しだったのです。このことには、秀吉さまご本人も、気がついておられていましたが、そんなことが噂になれば、豊臣家の家督に関わりますので、最後までふせておられました。秀吉さまから、このご相談を頂戴したとき、お子を宿すなら、正室の、ねね様の方がよいのではないかと、ご進言しましたが、長年連れ添うた、ねね殿を他人に寝取られるのは嫌じゃ、と仰っていましたし、亡きお市さまのことを想うと、せめて浅井の血を残してやりたい、それがお市さまへの供養になるとも仰っていました。

織田信長さまの代わりに、北が本能寺で死にました。織田さまは神父さまになられました。明智殿の謀反は、織田さまがお考えになられた芝居です。又、明智殿は、山崎の合戦で、秀吉殿に撃たれていません。事前にこのことは、織田さまから、秀吉さまへ、「光秀を撃つな。」と密命があり、備中高松城で、秀吉さまが、手柄を独り占めせずに、のろのろと、水攻めを仕掛け、織田さまを、お待ちになった本当の理由は、織田さまが、神父になられるための、海外渡航用の船の支度の為でした。一方、明智殿はその後、比叡山延暦寺に学び、そして天台宗の僧、天海となり、家康さまの片腕として仕えることになります。なぜ、織田さまが、そのような芝居をしてまで、天下を諦め、宣教師を志したかと申しますと、延暦寺の焼き討ち、長嶋の一向一揆をはじめとする、虐殺に対する負い目があったからです。織田さまは、家康殿とは異なり、勝利そのものよりも、勝利の方法、勝ち方、プロセスに拘るタイプでした。うつけを演じた幼少の頃から、その内心には、強い虚栄心を秘めておいででした。


メンヘラ

  いかいか

私は自分自身の説明を誰かに宛てており、私の説明を誰かに宛てながら、私は、貴方に曝されいるからだ。
ジュディスバトラー 自分自身の説明すること

この国で、
精神病者、
が、発見されるのは、
近代だ、
ロシア皇太子の、
来訪の際に、
東京で、
一掃された、
、人々は、
さらに、古い時代では、
巡礼、などの、
群れに、
紛れたが、
名が与えられる、
定義された、
ものの、
名が、
冷たい、

狐が、
ついて、
人になる、
から、
名が与えられ、
新しい、
病が、始まる、
夜明けに、
私は、
君をぶち殺しにいかなければならない、
窓は、開けた、
あらゆる、水を、
汲む、人の、
手が、赤く、
ひび割れた、
この、国土のように、
燃えろ、

おしえてやるよ、
君らが言う読む、の、
浅さについて、
憑依される、身体から、
病む身体に定義された、
わたしたちの、
こころは、
獣と、
人に、
分かれた、
まま、まだ、
獣は、
今だ生きている、

ここでも、
柳田の、人類学が、
邪魔をする、

俺の詩は、
知識を前提とするよ、
でも、それを、求めないように、
作っているが、
君らは、読めるんだろ?
しねよ、ばか

新しく、
精神を、語る度に、
病が生まれた、
狐は、今だ生きていると言うのに、
私は、私を、
定義するもの、の、
名を知らない、
内に、
私は、私ではなくなる、
朝が繰り返される、

朝が来た、
早くに、蛙が、燃えている、
剥奪された、
狐の、名は、
病に置き換えられ、
貴方は、
精神を、
個人に、押し込める、
様に、
息をのむ、

ここでも、やはり、
大本、が、
出てくる、
大本は、
日本近代のあらゆる、
問題を、
抱えている、
のに、君らは知ろうともしない、
よくある、批評的な語彙や、
思想的性格の強い概念で、
安易に、型にはめて終わりが、
読めてるなら、そいつは、
本気でばかだろ

心理学は、
れいこんを、
否定しながら、
現れて、

なんで、俺が突然こんな、
ことを言うかわかるか、
近代文学は、
個人を、前提とした、
精神も
同じように、
個人を、前提として、
定義されなおしたからだ、
精神医学も、そうだ、
精神の、
ありかは、
個人の、内面と、
されてきた、
そして、それは、
わたしたちの、文学をも、
定義してきた、

私たちには、
もはや、旅はない、
漂泊は、
許されない、
路上は、
なく、人々は、
住む、ことを、
強制された、
家族の、
内に、投げ込まれ、
未定住は、許されない、
何者かでならなければならない、
私たちの、
何者でもない、
可能性は、
とうの昔に、
焼き払われている、
ことすらしらない、
ものが、
病を、書いている、
病を、書く、
ことが、
規律的権力を、
物語る、
らざるを、
得ない、
もはや、私たちには、
自分の、言語はない、
定義された、
言語は、
私たちを、語りながら、
私たちでないものを、
語る、度に、
私は、
私を失いながら、
私を、その、一瞬に、
立ち上がらせる、
が、それも、
貴方でない

路上徘徊から、
始まり、
娼婦、犯罪者、非行少年、
を、精神病と、殲滅し、
病院へ、押し込んだ、
時代から、なにもかわってない、
古い時代の、
民間療法院が、
精神病院に、
置き換えられて、
行くなかで、
また、わたしたちの、
精神も、
管理されるように、


俺にはできる、
存在の、
言葉を、
君にはない、
せいぜい、
どうでもいい、
リスカや、odや、
自殺未遂や、
どうでもいい、かなしみや、
くるしみ、
ばかり、
で、
それすら、
君は言わされて、
いるかもしれないのに、
何かを語っている、
つもりの、
ばかなんじゃないのまじで

俺はメンヘラが大嫌い、
メンヘラである、
苦悩を書きながら、
メンヘラであることを、
利用している、
人の、かなしみなど、
くだらない、と、
言い切る、

本番だ

花が咲いた、
花には、
人の、
こころが、
憑かない、
獣が、生まれた、
獣には、
人の、
こころが、、
憑かない、
私には、
私の、こころが、
憑かない、
かなしみは、
言葉の、
中にしかない、
だから、
貴方が、泣いている
姿が、
泣いている、
と、かなしい、
にしか、
置き換えられない、
私は、
何が、失われたか、
を、知る、ことがあっても、
何が失われるか、は、
わからない、まま、
私の、こころは、
私と言う、
存在に、剥奪されて、
暴力に、曝されている、
雨が、憑く、
母の、香りに、
私の父に、
濡れた、ものだけが、
はっきりと、
たちあがり、
揺れ動くのを、
ずっと見ている、
限りなく、
かなしいことを、
限りなく、
少ない、音の、ない、
言葉にして、
こころを、
呼ぶ、

こころは、
私じゃない、


一生一句

  玄こう



 あんたんたるや
  うるけるねんねん  

┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘
 ワラシノ
 稿紙の路を
    ミチ
 徘徊の ワラジ
 ハイカイ 草鞋
 羽根無し ハネナシ 
  ドリ 鳥の
 、ざらつく頭
 砂のまじる掌
 もやもする
 生命 EXE 亀甲晶
 骨格の鉛筆が、
 柵の手すりに
 もたれる
 牽牛のあばら骨が
 寝台に横たわる
 聴診器をあて、る
 砂礫のかすかな寝息が
 音もたてずに
 聞き、もれる
 どこにも在るワタシという他人が
 今ここに有るワタシという稿紙に
 這いつくばっている、
 その…詩句を書きながら
 うつ伏せ涎を垂れている
 口から出た
 (稿紙は涎で浮き上がり 
 口から出た
 文字の地べたを
 口の舌から
 転げでた
 寝ぼけた亀虫が
 涎でふやける
 稿紙のうえを
 這って歩いていたのだ
 前足、中足、後ろ足、
 調子を合わせ、
 6足、6歩、
 乱雑な机のうえを、
 触角を揺らし
 四方(ヨモ)一寸先を
 歩いていた、、
 、 暗澹たる夜
  潤ける念念  





 おいたちきえさらばえば
  なすなのひととなりにけり

┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘

 繰り返して流れる川や,海や,一陣の風の,降る雨のなかに混じる砂粒が,大地を磨きあげていく,微塵の大気を虹のように空を彩る,空と地の境をうごめき,どよめく砂たちが軋むようにして,人の気の失せた死の,神のその生きた自然の発する音の中に ──
 消え去らば,「キエサラバエ」「ナスナビト」,とコトバを添える,生い立つ者の人・在の,生い立つ者の為人(ヒトトナリ)に,シに,消え,さらば え ば な 砂人(スナビト) ヒトトナリ 二 シ キエ サラバ エ バ ナ ナスナビト  繰り返し,そう繰り返し,諳んじながら,だんだんとこの句が出来あがる ───

 生い立ち消え去らばえば
   ナ砂の為人にけり


鉄拳制裁の詩。

  泥棒


雨が、釘になったら、痛い。
釘が、雨になったら、怖い。

詩が、張り付けられた、未来で、
君は、何も読まないで、表現を、
空に、浮かべもしない、夕方に、

悲しい、こだまかな、いいえ、遮断機の音。
楽しい、あおいかな、とばり、飛躍の途中。

まるで、夜景のような、文章で、
あえて、早朝のような、比喩を、

無駄に長文で、

その散弾銃は、おもちゃだから、平気です。
この散弾銃は、おもちゃだけど、死にます。


言葉より、遅い、映像が、流れる、川で、
溺れなよ、丸い、太陽を、眺めて、心が、
丸くなり、風は、歴史と、数学で、果て、
気持ちは、悪く、思想も、最悪で、頭も、
共感なら、外で、演奏し、鼓膜を、破れ、

殺伐とした、中にも、ユーモアが、ひとつ。
ありふれた、テンポ、アイデアは、ななつ。

実は、たいしたこと、書いてないような、
無駄、ばかりの展開、それが逆に効いて、
いる、わけもなくて、黄昏てしまう犬と、
棒に、ぶつかりつつ、歩く東京郊外の道、
遠く、超高層ビルに、激突した飛行機の、
破片、言葉にすれば、あざとい芸術の闇、
今も、形式に合わせ、答えを探す批評家、
雨は、叙情的になり、深い霧で猫が消え、
女は、パンケーキの、甘い香りにやられ、
男は、本棚から一冊、詩集を取り出して、
皆に、珈琲と菓子と、リズムを届けつつ、
戦慄、のような旋律、のような雨降らす、

少年は、大志を抱き、少女を見る。

少女は、現実と夢を、同時に見る。

言葉が、言葉に遊ばれ、れ、

言、葉、派閥を、派、罰を争う。

フォルムが、崩れ、はじめ、射精の、
タイミングは、ずれ、、れ、れ、はずれ、
レタスを、頭に、乗せ、その場を、しのぎ、
笑わせるつもり、が、笑われ、て、
彼女は、さよなら、を、言い残し
言い逃れの、きかない、状況で、凍りつく、
生ぬるい、夏、の、花は、椿、ではなく、
ガラスのような、もしくは、は、
海月のような、花。


と、ところで、あなた、
読書で、射精、したこと、ありますか、

違う意味で、

おお、おるがずむ、

真夏、目、漱石が、お坊っちゃん、お、お嬢、
ちゃん、親戚、戚の、おっちゃんに、
猫の名前を、勝手に決められ、た、
バッファロー!
と、名付けられ、た、か、かわいい猫よ、
手品を、見せてあげよう、
春の、はじまりに。
ほら、、ら、コインが消え、た。

中也が、中原で、髪金の、ギャルと、
あんなこと、や、こんなこと、した、らしい、
汚れちまったり、うっかり、
くだらない、韻、
み、みんな、ごめん。ん。んん。


床屋で、(モヒカンに、して、ください、と、
言った、のに、
なぜか、逆モヒカンにされ、て、
落武者みたい、に、なって、しまった、た。
これじゃ、女の子にモテない、と、
思ったのだ、けれど、
普通の、モヒカンに、して、いたら、
モテていた、のか、と、そう問われれば
答え、は、ノー、
、、。涙
帽子、が、ないから、ヘルメット、を、かぶり
ヘッドスピンで、世界一周、。

無駄に長文で、、、。

み、みなさん、この、詩は、長いです。

猫が、裸になるまで、野球拳をする、
みたいな、感じで、

無駄に長文ですから、ここで、
まだ、半分くらい、です。

しか、も、読みにくい、

にくい、まま、まだ続きます、よ。

道端の芸術
速攻で回収
右脳に栄養
暗闇の文学
孤独な毒書
草原へ移動
逆光と逆説
心臓を創作
反感の売買
脈打つ数字
金属の性質
耳潰す静寂
派手な礼服
前菜と若鮎
言葉を実食
男子は紺色
女子は水色
恋人は灰色
週一で透明
月末は温泉
理屈の敗北
海辺へ一歩
傷口が熟成
無料の珍味
名物の饅頭
六個か七個
欲張り詩人
満腹で嘔吐
店先で失笑
罰金で黄昏
孤高の布石
理解は墜落
昭和の感性
平成で炎上
陽気な壁画
懺悔と拘束
胡蝶の波乱
精密な老化
腰鼓で招魂
百年と十年
突拍な引用
左脳で誤解
批評を削除
戦争の歴史
広島の夕方
八月の機械
上空の鉛色
舌上の青空
口笛で射殺

ごらんよ、
崩れ落ちた屋根の上に極彩色の日常を
言葉より速く飛ぶ鉄の冷たさを
世界を次々に引き算してゆく過程を
優しい茜色が出番を見失う姿を

も、もはや、最後まで、読む人は、いない。

いない、のに、まだ続く、鉄拳制裁、
の、ような、苦痛、の、ような、読書、
みなさんの、おかげで、

語彙が全滅や、
共感の砂嵐や、

全文を表示。

若葉が砂になるまで待つ季語
矢印と地雷ばかりの地図
365日うねり続ける言葉と髪
ケーブルに絡まり千切れた運命の糸
私のレントゲンに写る現代詩の影
精神が崩壊して的中させる針の先
カテーテルで注入する言葉の渦
ベッドの上から天井に撒き散らす星
夜空しか飛ばない鳥の羽根
目の前の過去を飲み干し美化
題名のない散文に対する批評と見栄
歩いても飛行機でも縮まらない距離
印象のない爪先につける流行の色
携帯から発信する約400の嘘
魔法が使えた5才の夏
使えなくなった7才の冬
未来の屋根が剥がれ落ちる町
鎖骨が折れて極彩色に輝く未詩
別々に動く身体と心と指
景色をひっくり返す水死体
君の詩を左脳以外で理解したい
コンビニ前で不意に出くわす闇
すべり台の上から見える鬼
匂いつき消しゴムをくれた君
机の上に白紙の辞書
遠くから聞こえてくる野球部のかけ声
黒板に三角定規を擦り付け奏でる音楽
舌の上では完成と未完成は同じ味
(
嘆きの風に耳を切られ独白
こだまする盗作された口笛
心を五七五と切り分ける音律
一日中検索しても見つからない本音
窓の向こうで名前を浮き彫りにする黒煙
地下に埋まっている言葉の裏の歴史
感情移入できないオモチャの刃物
美しい草原に散らばる鉄の破片
それが錆びて紅茶になる夕方
懐中電灯で照らす3月の後半
罪と罰が逆になる瞬間


卒業

  ゼッケン

すまん、娘よ、パパはこのおカネを持って逃げるよ

3000万円の身代金が入ったバッグを持って、
おれは誘拐犯の指定した遊園地の観覧車に向かって歩く
中身の金は新聞紙にすり替わっている
おれが行きの車中ですり替えたのだ
夜のメリーゴーラウンドが電飾を灯して回っている
変装した刑事たちが見張る中、前から来るカップルを避けて
おれは観覧車に向かってゆっくり歩く、娘は高校の卒業式当日に誘拐された
一緒についていったママから離れてひとりで駅のトイレに入り、
そこから出てこなかった
狼狽した妻から電話があったとき、おれは事務所で帳簿をつけていた
この会社は義母の所有で不動産投資の他に数軒のガソリンスタンドを経営していた
おれは電話を切り、タバコに火をつけた
すぐに誘拐犯から身代金要求の電話があった
おれはタバコを吸い終わり、警察に電話した
義母が用意した3000万円を持って遊園地へ向かうことになった
回るメリーゴーラウンドには小さかった頃の娘が乗っていた
上がり、下がり、馬の背で白いワンピースのすそがふわりふわりと揺れている
指示された通り、観覧車に乗り、一周してバッグを置いたまま観覧車から降りる
遊園地の駐車場で車に乗り込むと、 後部座席から変装したままの娘が身体を起こして言う
ママってばかだよね、わたしがメイク変えてトイレから出てきたら気づかないんだもの
ママをバカと言ったら許さない
お金は? 
助手席の下。だけど、何に使うの、これ?
さあ? 脱税じゃないの? おばあちゃんのことだから
娘は義母から1000万ほどお小遣いを貰う約束をしたらしい
だが、いま、警察は新聞紙の詰まったバッグを載せた観覧車を見張っている
そのバッグが警察に監視される観覧車から消えるというマジックが起きない限り、3000万円は動かせない
じゃ、行ってくるね、娘は車から降り、遊園地のゲートをくぐる
おれは娘におれの乗った観覧車のゴンドラの番号を教える
筋書きでは娘はゴンドラに乗り込むとバッグの中の新聞紙を燃やす
焦らず、すべてを、確実に灰にする
観覧車は一周15分、3000枚の紙切れを燃やすのに余裕はないが間に合う時間だ
火をつけたら、窓は開けろよ、と、おれは言う。娘はピースして踵を返す
おれはタバコに火をつける
つまり、仕事ばかりで自分を顧みない父親に復讐するために仕組んだ娘の狂言という設定だ
娘は警察に叱られるだろうが、執行猶予はつくだろう
おれはタバコを吸い終わると、キーを回し、車のエンジンをスタートさせる

すまん、娘よ、パパはこのおカネを持って逃げるよ

アクセルを踏み込んで駐車場を出る。二度と戻らないよ、ィヤッホー!

目的のゴンドラに乗り込み、背負ったリュックからステンレスの円柱を取り出し、
手早く小型の焼却装置を組み立てる。一束100枚の新聞紙に火をつける
これが30個か。楽勝。
ゴンドラの窓から立ち昇る一筋の煙に地上は異変に気付いて大騒ぎになっているだろう
パパは逃げたかな?
おばあちゃんはカンカンになって怒るだろうけど、ママもごめんね、
パパを自由にしてあげてね、パパ、卒業おめでとう。


(無題)

  Migikata

柔らかい大きい金塊を発掘して、わしょわしょと食べるために行く。お腹に金を詰め込んで、これから影に変換される実体経済の人柱になるんだよね、楽しく。さらに楽しく。
手を握ろうよ。握り合おうよ、君たち。
お皿に月が載っている。あの日の涙がこぼれてる。
ロマンチックなメロディがピンク色に肌を染めて、ツバサを振っている。
ロココな空を飛ぶ限り、もう決して血は流れないよ、と。笑って。

ただし、冒険はヤスリのように夢の表皮を削るのさ。

僕の未来はゴールドに輝いて、輝きすぎて言葉にならない。リボンも結べない。
ボートは揺れて皿のスープに浮いた月。
閑雅な食欲ってこれか!
過去と未来はあるけれど、ハレーションを起こして見えないし、肝心の現在がないんだって。死んだおばあちゃんが言っていた。そりゃあそうだ。


兵器少女とシティロマンス

  渡辺八畳@祝儀敷

夜になったらおこたにはいろう
そこから一緒にビデオを見よう
ぷにぷにしたいね 猫の肉球を
欽ちゃん見ながらあったまりながらさ

昼間は敵を殺してきたのだから
夜中はTSUTAYAさんで借りてきた
面白いビデオを二人で見よう
冷えないようおこたにはいってさ
敵の上顎を骨ごと引き千切って
どす黒い血にまみれた手を洗ってさ

君の背中のハッチの縁が
オレンジがかかった蛍光灯に照らされる
クロ子とグレ子が元気いっぱいに
ブラウン管の中で跳び跳ねている
このテレビももう古いね
だけどまだ使えるよ

戦場で君は泣かない
兵器と徹して惨殺を極める
両腕は落ちて中から散弾が飛び出し
敵を粉砕する 彼らの断末魔を聞きながら
戦場で君は冷酷だ
命あるものを容赦なく肉片へ化していく
悪魔と形容されたこともあった
戦場から帰っても君は泣かない
やるべき仕事をしてきたまでだと言うように
声色も変えずに戦果を報告するね
今日は何人殺したかって

それを命じているのは僕だけれど

まずはお風呂にはいろう
硝煙の匂いを流し落とそう
なんなら僕が頭を洗おうか
柔らかくて細い髪を丁寧にね
小さな君さ すぐに洗い終わってしまうだろう
白い泡たちにさわさわ撫でられながら
昼間の眩い射光を落としてしまおう
その後おこたにはいってさ
借りてきたビデオを見よう
今日はドリフターズにしようか
たまにはモンティ・パイソンにしようか
チャップリンやバスター・キートンもあるよ
そういやビデオの中身だけが
なぜだかウラトラセブンだったこともあったね

ぷにぷにしたいね 猫のおなかを
おこたで丸くなっているのをひっぱりだしてさ
猫と僕と君とで面白いビデオを見よう
大掛かりなコントを楽しもう
綿密に作り上げられた笑いの世界を楽しもう
おこたであったまって少しのぼせたかな
君のほっぺはすこし赤いよ
(そのほっぺもぷにぷにしたいよ)
猫はずっと寝ているけど
僕たちはみかんを食べながら大笑いさ
ブラウン管の中の活喜劇は
まるで夢の王国の出来事だなんて
ふと少しだけ思ったりして

ぷにぷにしようよ 寝ている猫を
気持ちよさそうに寝言を鳴いているね
君は戦場から帰ってきたのだから
汚れは落としたのだから
朝にはまた戦場へ向かうのだから
そこでは兵器に徹するのだから
そしてまた敵を無慈悲に殺すのだから
小さな体を展開して銃口を開放するのだから
敵がひれ伏して命乞いしてきても殺すのだから
僕にそれを命令されるのだから
ぷにぷにしながら ビデオを見ようよ
君と僕とで楽しく見ようよ
おこたにはいってさ


区別

  松本末廣

こころの線から分けられた

分別と 文脈と
ひどく薄い水の領域が
金魚を必死に浮かせている

掘り出した瓶に詰め
生命の瞬間を詰め
笑う人面蝙蝠と化した
母 を 妻 にして
妻籠め と 妻籠め を
押して 押して

こころの線が見えている

僕が与えた刃物の葉と
その根を労って
回りから ぐるぐると

こころの溝を深くして

底が見えた頃にはもう

線は区別となり

下にあったマンホールは
僕らを食べることに
必死になるよ

飛び込んで

区別が過去になっていくよ


深まりゆく春の日に

  宮永




この春は、本当によくジュリアンを見かけた。
窓枠に腰かけているジュリアン。
スーパーの前で自転車に乗っかっているジュリアン。
昨日は玄関先で天気をうかがっていた。
見かける度に違う色や背丈をしていたけれども、あれは紛れもなくジュリアンだった。

この春は、ジュリアンばかりでなく、マラコイデスやオブコニカさえ頻繁に見かけた。
そして僕はきまって熱に浮かされたようになる。
…ジュリアン…マラコイデス…オブコニカ
ジュリアン、マラコイデス、オブコニカ
ジュリアンマラコイデス…

帰るなり本棚を探す。
古い手帳を出してめくる。
あるいは手っ取り早くスマホで検索。
そう。そう、「プリムラ」
プリムラ・ジュリアン。
プリムラ・マラコイデスだ。
プリムラ、だ。
と繰り返し、繰り返す忘却。
どういう訳か、「プリムラ」の名は、僕の記憶から消えてしまう。





春も深まったある日、
僕は意を決して暗い階段を降りてゆく。
たどり着いた足が踏んだ、乾いた土の底…



          そこにはまだ冬枯れた庭があり、

          レンガで囲まれた花壇があって、

          少年が1人しゃがんで、手には

          銀のスコップと苗を持っている。

          緑の葉に包まれた、小さな赤い、

          プリムラ



それは温室育ちの鉢植えの花。
地に植えて、晴れた数日保てはするが、
春先の、冷たい雨風に耐えられない。
薄い花弁は雨に破られへばりつき
葉は茶色くまるまって落ちる。
待ち受けるそんな未来も、
また、この花に、
どれだけの明かりを託しているのかも、
彼は知らない。

知らないんだ。


森の密売人

  kale

一匹のたぬきと出会ったときの話をしよう。
その公園はひとつの山を利用してつくられた空間で
一周するのに一時間近くかかるであろう池を入口の正面に据えていた
奥まで続く遊歩道を往けばまだ暑くなる前の時季の夜に
星や月の瞬きが打ち寄せる水辺の際に
ゲンジボタルも誘われ姿を見せる。
都会の外れの片田舎にあっても稀有な公園だった。

急激に肥大してきた腹回りの肉を
<自我>と呼んで久しく
後輩からは
妊娠何ヵ月目ですか?www
などと言われたこととは関係なく
休日の早朝にその公園を散歩するようになってからのことだ。
朝晩はまだ冷える春のなかにあって
戦士たちは鋼鉄の船に乗り込み
愛する者たちのために戦う。
戦う相手はいつだって
他者の他者性ではなくて
他者に投影された自己の他者性だ。
それは
車窓に映る誰かの顔の影を凝視しながら
人波を縫って改札から北口へ
逆走する月曜の朝みたいなもので
駅前から目的地までを貫くプロムナード
銀杏並木を通り抜け
等間隔に植えられた
歩行者用の信号が
赤から青へ
いっせいに移り変わる
季節の商店街をすり抜けていく。

永く緩い上り坂を考慮して
あきらかに釣り合わない
短く急な坂道を下ればひろがる。
緑、緑また緑。
深い藍と浅黄の勾配
防砂林から染み出した
微(そよ)ぎは葉鳴りと耳に触れ
到着までの道のりを労う。
駐車場脇の入口から敷地に滑り込めばあらわれる
広大な水面はさざめきに千切られて
またひとつとなろうと四散する
片割れたちを追いかけて
早朝の白い光を乱反射させながら
内側の構造を無防備に晒していた。
いつも決まって時計回りに遊歩道を歩く。
この池にまつわる河童の民話(※1)を思い出しながら。
珍しく人の気配のない道を十分ほど行った時のことだ。
雑木林の斜面に自生する植物の種類を調べていると
脱兎のごとく転がる丸い影が目の前で大の字に広がった。
(正確にはのびて気絶していたのだが)
はじめは犬だと思ったそれは
よくみればたぬきだった。

見て見ぬふりをして死なれては夢見が悪いと
しばらく介抱してやる。
変な病気や寄生虫を持っていたらいやだなと
思っていると突然飛び起たそいつは
しきりに後ろ足を気にしていた。
(二足歩行をしていたから単に『右足』でもいいのだけれど便宜上ここでは後ろ足で)
罠にでもかかってしまったのかって
持っていたペットボトルの水(以下、クリスタヴォルヴィク)を投げてやると
ちいさな顔や短い手の全身で追いかけて
つかみ損ね
池の縁に落ちたそれを拾って
器用にキャップを捻り開けると
浴びるように飲み干す。
人間とは違う口の構造的に
比喩ではなく本当に頭から浴びていた。
それからたぬきは鼻先に到達しかねないほど深いシワを眉間につくって
アメリカ人みたいにおおげさに肩をすくめてから
「取引相手に報復されたのさ」って。

最近は葉っぱをお金に換えても偽造防止の技術が発達して
自販機ひとつ騙せやしない。
だから投機やリスクヘッジの意味合いで
《テロりすト》なるものに銃弾を密売してた。
もちろんこの国じゃ所持することも
銃砲刀剣類所持等取締法に抵触するから
銃弾(実包)そのものは時間が経てば葉っぱに戻る細工をしたうえで、ね。
そこまで説明して
たぬきは不敵な笑みを浮かべた。
元に戻った葉っぱにはどんぐりや道知辺(ミチシルベ)(※2)
金縷梅(キンルバイ)(※3)の花びらと
キンクロハジロの糞に似た
植物の種を包んであるのさ。
クマドリ(※4)の顔の模様を真似て施した化粧の変装で
いかにも怪しかったそいつは
宮崎駿(※5)ばりの好々爺の古だぬきだった。

pararararararararararararararararararararararararararararararrrrrrrrrrrrrrrrrrrr
rrr...

言葉をすべて弾に変え
焼き切れるまで嗄れ果つるまで
映るすべてを撃ち尽くすまで
自動小銃小脇にかかえて
お前はAK-47な、ななな
俺はIMI社製のGalilっと
おっとっと
弾倉から
夢やら希望が零れ落ち
大匙いっぱいの命が今日も死ぬ
朽ちた果実と合成樹脂の
おおきな花に添えられた墓標の上で
また新しい命が落ち葉とともに降り積もる
何もかもが許せるのなら
そのまま墓標を
埋めておくれよ
そしたらまた
だれとも知れない墓標の上で
だれとも知れない
腐れる先から匂う臓物
一つひとつを蒔き散らす
お前と遊べる
俺とお前が死んだなら
また
だれとも知れない
だれかとだれかが
戦舞する
千切られた
血肉を掻き集め
ながら
端(は)のない節を捩じる円環
表裏のつかない自我の上
弾倉に残る
希望のかたちをしたそれを込め
踊る踊る 踊れ
後ろ足を引き摺り
ながら

隠花は
   種を蒔き散らし
  鮮やかに
 駆けていく
チアノーゼ色に
  溺れる翼果が
 浮き上がる
廻る光の鎮静に
  旋回する
 忌枝の
鳥葬

少女は花を間違えて
花は間違いを間違える
いつしかおおきな花となり
空白は鮮やかに咲き誇り
いつも花は少女を間違える

傷む骸に悼みをしつらへ
花の眠りに痛みをつたふ

ひかりのなかを静けさが昇っていきます。花のゆるやかな(性質としての)傾きが射影を発熱させて、座標のひとつとしてたたえています。見知らぬ空の内側をやさしく綰(たが)ねて撚りあわす、痕跡としての色彩をひかりのゆるしに埋(うず)めていきます。夜を伝う形状のさ青の海に飽和する記号は嘴に融け、翳の群生に紛れる影は記号のひとつと、さ青のなかを昇っていきます。

 花が咲いていた
知らない花弁の
知らない時刻の
知らない場所の
知らない彼等の
知らない原子の
知らない空白の
知らない化石の
知らない色彩の
知らない隙間の
知らない構造の
 構造を知らない
 隙間を知らない
 色彩を知らない
 化石を知らない
 空白を知らない
 原子を知らない
 彼等を知らない
 場所を知らない
 時刻を知らない
 花弁を知らない
花が咲いていた



うぅるいあそびにあいたなら
しまいにゃだまっこぬうちまう
そんうちみぃんなやってきで
よりみつつうでのわるかごの
みんとぅちとおめにわらはでみえた
せこはかわるぅにさそはでくった
みんとぅちとおめにわらはでみえた
せこはかわるぅにさそはでくった(※6)

はぁ、っとため息をつくだけで
誰かが傷つく
言葉ならなおさらに
マイノリティに忖度してから
臭い言葉は抹殺しよう
厠にトイレはもう臭いから
w/cにしちゃえばいい
cでwを割れば
他者性の内臓が露わになって
赤くて白くて黒くて甘くて
臭い言葉は
抹殺しよう

parararararararararararararararararararararararararrararararrrrrrrrrrrrrrrr
rrr...

ばとかが禁止になります
しとねが禁止になります
じとさとつが禁止になります
つとんとぼが禁止になります
つが被っちゃった
えとたとひとにが禁止になります
きとちとがといが禁止になります
しとじとんが禁止になります
しもじもんもぜんぶ被っちゃった

pararararararararrarararrararararararararrrrrrrrrrrrrrr
rrr...

パンダを殺せ
お前らの考えてる
それじゃない
マスコット的マスカット
イチゴのレモンを殺せ
形而上の概念の
器のない白と黒
マスカット的レモンを貪る
イチゴのマスコット
たぬきを殺せ

parararararrararrrararararrrrrrrr
rrr...

赦せないのか?
許しているよ

知ってるだろ?
疑っているよ

良い天気だろう?
贈り物をしろよ

車内で ふたり
 互いの 両手
冷ゆく 熱を
奪い 合いながら
未来に ついて
語り あった

星について話をしていた
星をめぐる物語について
夜明けの星が波打ち際に
打ち上がるその時刻まで

parararararrararrrarararrrrrrr
rrr...

あなたの面倒臭さは
       永劫回帰ね
おまえの顔面は
  一回性の連続だろ

parararrarrararrarararrrrr
rrr...

ふたりの距離を測ってみようよ
時間と速さの関係で
この線の延長上には
永遠がありまーす
ここからそこまで紛争地帯
補助線、引いちゃった
まじめにやれや
点と線を結ぶことなく排列すると
反転した鳥たちが
永遠を反芻しているよ
モールス信号?
ひゃあ、ひゃあ、って
左におおきく流されて
関数とかわっかんねぇ
未来にながされていくよ
過去へ、じゃないのか
うみかぜの匂いとさざなみの音
Pとかdをぜんぶさらって
途中式は省略するのか
空間が時間を再生するように
  ひゃあ、ひゃあ、
 ひゃあ、ひゃあ、
って
点と線を結ばない最短距離の沿面に
ああ、鴎が塒(ねぐら)に帰っていくよ

違うよ

嵐がきたんだよ

pararararrarrarararrrr
rrr...

前提を違える二人の永遠に
真実の愛など訪れないね

pararrrarrrrrr
rrr..

分離した剥き出しの
春は何処までも音色だったから
主旋律を忘れてただ響きあう

pararrrrrr
rrr..

pとaも禁止

rrrrrrr
rr.

量子化されることを嫌う
流れる体液は赤白黄緑黒紫と
雑じり気ばかりの感情に
変圧と分光を繰り返す遠心性の
340.29 w/cの回転数で

rrrrr
r.

それはまだ春が春になりきる前の
足の痛みに出力されて歌うたぬきの話
早朝の大気と音と光のなかを
一切の音を盗まれたようにして歩けばあらわれる
転がるように移ろう季節と同じ回転速度で
転がって来るたぬき
時折こちらを振り返り
目と目が合えば
肩をすくめる
二人(一人と一匹)の間のわずかな距離に
どんぐりが点、点、点、と落ちていて
足元には実包型のキーホルダーが落ちていた
腰を落として土を払って
視線を上げた時にはもう
たぬきはいない

ロアナク・アリアロ・デリーサ

太陽は
海を残して
行ってしまった(※7)

rrrr
r.

後ろ足で
びっこをひく
春は
四散する片割れを
追いかけながら

そんなことを考えながら
月曜の早朝の
光のなかを歩いていけば
聴こえてくる
忘れさられた
古い響きの
遊び歌が

rrr
r.










rも禁止










※1 子供が河童に水のなかに引きずり込まれて死んでしまう、というよくある妖怪伝説

※2 野梅系のバラ科サクラ属 梅、らしい
   バラなの?サクラなの?とかわざと言いたくなる

※3 キンルバイ、マンサクとも マンサク科の落葉小高木
   早春に咲くことから、「まず咲く」「まんずさく」が
   東北地方で訛ったものともいわれている

※4 自作の空想上の動物 日本の固有種 鳴き声の発声法が独特
   感情が昂ったときや悟ったときに体の動作を止め
   首を大きく回してから睨む、そんな習性をもつ

※5 言わずと知れた日本のアニメクリエーター 

※6 自作の遊び歌

※7 ランボー「永遠」のオマージュ


報復

  ねむのき

(R.I.へ)

色鉛筆の
溺れていく画用紙も
万年筆に絡まっている筆記体も
すべて消えてしまえばいいのにね

星空のした
眠る戦闘機に乗って
アフリカにいこう
ぼくはもう生きていたくない


黒薔薇水晶の代償

  鷹枕可

――ぼくは永遠が欲しい。


死の果に死が有り、
黒薔薇馨る慈愛の箱庭に
恩寵を受けた、
アウシュビッツの地下隧道に眠る
幾千、幾万の亡骸を
火葬柩の
黒薔薇の印章が
異邦人の咽喉の様に壮麗に赤黒く、拘縮していた

死の秘密、
常夜、蝙蝠の斧翼下を闊歩する婦像の陽傘、
街燈の書言葉、
瞬時、脳髄受く花籠の中
蜜蜂の樹花は爛熟し、
瞋りを尊厳死に
生誕の隷属、既成存在に
喚き立てる係争の、血縁附録

昇降室
骨壺の髄-風葬を受けて愈々優麗と為り
喪葬果を受ける死の
拡声器と乾草、
その遺骸、瘢痕
敬虔者
一縷血脈の籠に錆び続ける黒薔薇、
酪乳翰は吐露の額縁に凝り
交叉階段、
死のベルを聞く
瓦礫下の心臓、腐蝕銅鉱
葬像を
偶像と呼び慣らす
墓碑銘の丘陵

死の翼、猖獗を錚錚と讃えつ
鶴嘴と鍬の凱歌
一粒の種子
その起源、天球像周縁を隈なく
世界無く
万物のみを踏襲し
諸々の虚実
孵卵器を蘂奥を蜜蝋に拠る鋳物にて
分身、鏡の葛
双嬰児を孵るまで俟ちつつ


私のうつろ、鈍い血苦の蜘蛛、
死骸として、死に続く死を

   痴夢する痴夢
    今際の果てに
     
死の舞踏、ペストの話言葉
 葛藤、断頭記録の様に
       影像、嵐絵、蜂窩、解剖学
咽喉を潰す劇薬を下さい
/海縁の邸宅に/
網膜を剥がす
 剥がす禽舎の壁を、
   骨壺の薔薇の名前は

被告人アドルフ、迷宮、窃視、絵箱庭、
 窓硝子、越しを、家畜列車、が

 剃髪されたる実母の、愉悦し、狂奔たれ
象徴、白亜十字架が
   忌々し、頸筋にダヴィデの、痕なかれ


          君達、さえを


潮騒の耳鳴りとChimeraの紅い羽根

  竜野欠伸




   ――ちょうど3月11日夜半過ぎ。
   ある女友達より電話が終わり、
   「少しのあいだ、Chimeraの秘密を聞いてから、
   遠い春の潮騒みたいな耳鳴りがするの」
   と妻が云っていました。
   その秘密とは、妊娠する願望の果てを逝く
   雌雄により合成される子等を託した
   鳥獣の化身のことなのでした。
   僕も妻に「昔だけどChimeraを見たことがあるよ」
   と伝えたのです。




凍りつく真夜中に
ちょうど臨月のまえでは
早春を伝える月夜を迎えたはずなのです
生命として悦びをえる姿を届けるとき
放射能に染まる幻のような痛みがあることに
少し似ているかもしれない
嘴が告白するようにしっかり呼吸しながら

産声で目覚める朝みたいな
遠雷の直ぐ後には
言葉の奥深い疼きのように
小さな愛に宛てた沈黙が続きました
冬空を越えて逝く早春の海辺には
ようやく暗夜でも
月影が届いていました
たとえ妻の面影からChimeraの化身が
離れるときがあったとしても

まるで さよならをする挨拶のように
透ける真っ白い肌が冬の終わりへと
切ない雪融けを待つみたいにして
すでに遠い海辺の夢では
Chimeraがとても妖しく絶望をぬぐうのです
誰しもの不幸ですら探しながら
夜空の果てに広がる羽根を
揺らぐ海平線の向こうに伸ばして
そっと翼を羽ばたかせるのです
巨大な地殻の変動により歪んでしまった
人間たちが飲み込まれた過去があっても
いつもChimeraには宙を奏でる翼があるのです
ちょうど岸壁で聴こえる潮騒のように
人間にとって宿命の音楽があるのかもしれない
誰しもにとって
海鳥の鳴き声とも思えない
哀しい記憶とはもはや虚ろな街並みを映す
残骸の追憶でもありません
消えて逝ったChimeraの裸身には
去就があるだけなのです
おぼろげな未来を
海辺の夢として朽ち果てた廃炉する発電所にも
今しがた捧げていた
真実の言葉があるのです

その曲想にとってその音楽とは
Chimeraにより誰しもの不幸を遮るために
告げられる言葉なのです
翼に紅い羽根を残した日々が
もう終わるかもしれない
いつでも両腕で抱きしめさせてほしいと
幼い我が子を慈しむと云う願いも
小さな愛であるのかもしれません
生命の行方は忘れることはできないのです

無数にある別れの理由のまえには
いくつもの悲しい恋ですら
Chimeraが現れる幻には
果てがあるかもしれないと気付きます
七年前に遠い海の波間に連れて逝った
大津波に手向けた花言葉があったとしても
それらは誰しもの祈りにとって
哀しい夢の冷たい輪郭が
深海に沈んでいるだけなのかもしれない

すでに過ぎて逝く早春の跡では
人間たちにとっても再び想いを交えた季節に
忘れていた草花の名前を
見つけてしまうたび
それらを微かな愛として
乏しさですら想い出すのです
遠い潮騒のような産声もあるのですから
颯爽とした幼い声を運びながら
Chimeraの紅い羽根とは
厳冬を往く夢を継ぐ子供たちに宛て
静かで鮮やかな音楽を海辺に残すだけなのです


神の名前

  atsuchan69

火の年に、
大水の声を描く
詩人は、
自ら指を燃やして、

轟く稲妻にも似た

 その声を、

陽に焼けて古びた愛と、
数々の秘密と背徳を埋めた土に
透明な色のインクを滴らせ、
尖った刃のような大人しくない言葉で

斃れた灰色の建物の壁に
地響きのような大水の声を描く

やがて神々しい声とともに
もくもくと立ちのぼる
白く巨大な原子雲の見下ろす、
かつては美しい街だったこの世の地獄

人々の営みはもうなかった

 それは、

インディアンたちにしたように
容赦なくベトナムで行ったように
イラクで大勢の人たちを殺したように
広島と長崎で女や子供たちを焼き殺したように

 平和を纏った狼どもが、街中に火をつける

台本通りの戦争のために
敵にも味方にも武器と弾薬が配られる
純朴な羊どもを戦わせるために、
さまざまな事件やテロを繰返した

 それは、まさしく残虐、非道だった
   


          ※


うたう声が、
彼処できこえる

その歌に、
大水の声が重なると、
力づよい音のひびきが
多くのことばと結ばれて
やがてそれは
異言でつづられた
祈りのハーモニーへとかわった

すべての思想や宗教が、
牢獄の足枷だということも
うたう人々は、
歌いながら自然に悟った
歴史は、
支配者にとっての
都合のよい嘘で固められていた

姦淫を行うのと
姦淫を行う者を殺すのと
いったいどちらが罪なのか? 
理解できる者は、手に持った石を捨てなさい

同性愛を行うのと
同性愛者を殺すのと
いったいどちらが罪なのか? 
理解できる者は、手に持った石を捨てなさい

神を信じないのと
信じない者を殺すのと
いったいどちらが罪なのか? 
理解できる者は、手に持った石を捨てなさい

 全地を統べる神々は、けして強大ではなかった

むしろ彼らの怯えが
「残虐、非道」だった

この世界に在るものが
一切、彼らの所有する財産ではなく
全人類が共有するものだと
世界中のすべての人々が知ってしまった時、
神々の支配はその効力を失う

 見よ、新しい天国が降りてきた
 煌びやかな宝石を散りばめた天国の門には
 「神の名前」が記されているという
 その名は――

 言葉にはできない

という意味の‥‥

文字通り、
とても言葉にはできない
涙で描かれた、
崇高な文字が記されている





引用:ヨハネによる福音書8章7、8、9節


蜘蛛

  山人

古いたそがれが落ちている
窓の桟、ガラスの汚れ、あなたの後ろ姿
アリが、本能のまま
きちがいのように動き回っている
坩堝のような夏
アリは動き回ることしか許されていない
私たちはそのように
温度さえ失われた世界の初めから今日まで
きちがいじみた日々を
呪文のように生きていた

手枕で横たわるあなたという置物が居る
セミの声すら失われた夕刻
家屋の中には数えきれない溜息が滞り
か細い体躯の蜘蛛がそれを齧っている

文学極道

Copyright © BUNGAKU GOKUDOU. All rights reserved.