波音を聞いて、
(ヘンリー・ミラー『暗い春』夜の世界へ……、吉田健一訳)
足元を振り返った。
(マーク・ヘルプリン『シュロイダーシュビッツェ』斎藤英治訳)
僕が見たものは、
(ラディゲ『肉体の悪魔』新庄嘉章訳)
四角く切り取られた
(トム・レオポルド『誰かが歌っていう』29、岸本佐知子訳)
海だった。
(ジュマーク・ハイウォーター『アンパオ』第二章、金原瑞人訳)
四角い海は
(ステファニー・ヴォーン『スイート・トーク』大久保 寛訳)
見るまに
(ロジャー・ゼラズニイ『ドリームマスター』2、浅倉久志訳)
大きく
(トム・レオポルド『君がそこにいるように』土曜日、岸本佐知子訳)
部屋いっぱいに
(スティーヴ・エリクソン『黒い時計の旅』68、柴田元幸訳)
ひろがっていった。
(フォークナー『赤い葉』4、龍口直太郎訳)
小さな花がひとつ、
(スーザン・マイノット『セシュ島にて』森田義信訳)
さざ波といっしょにぼくのほうへ漂ってきた。
(ギュンター・グラス『猫と鼠』VIII、高本研一訳)
まるで海のように青い
(日影丈吉『崩壊』三)
濃い青。
(ピーター・ディッキンソン『エヴァが目ざめるとき』第一部、唐沢則幸訳)
僕の見たことのない花だった。
(リルケ『マルテの手記』第一部、大山定一訳)
目の前につまみ上げて
(トム・レオポルド『誰かが歌っていう』5、岸本佐知子訳)
近くで見ると、
(スーザン・マイノット『セシュ島にて』森田義信訳)
その瞬間、
(志賀直哉『濁った頭』三)
一波(ひとなみ)かぶって
(泉 鏡花『化鳥』十)
はっと目をさました。
(リルケ『マルテの手記』第一部、大山定一訳)
すぐ後ろから声をかけられたのだ。
(リルケ『マルテの手記』第一部、大山定一訳)
妹が
(志賀直哉『児を盗む話』)
ハンカチをさし出した。
(ハイゼ『片意地娘(ララビアータ)』関 泰祐訳)
なんだい?
(キャロル『鏡の国のアリス』7、高杉一郎訳)
思い出せない?
(ロジャー・ゼラズニイ『ドリームマスター』4、浅倉久志訳)
どうかしたのかい?
(ジュリアス・レスター『すばらしいバスケットボール』第二部・2、石井清子訳)
思い出せないのね?
(カフカ『城』20、原田義人訳)
わからないよ。
(トム・レオポルド『誰かが歌っていう』3、岸本佐知子訳)
覚えてないんだ。
(サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』25、野崎 孝訳、句点加筆)
子供たちが並んでバスを待っていた。
(スーザン・マイノット『シティ・ナイト』森田義信訳)
どうしても解けないのよ、
(トーマス・マン『ブッデンブローク家の人びと』第二部・第七章、望月市恵訳)
うん?
(スタインベック『二十日鼠と人間』三、杉木 喬訳)
バス・ステーションから一台のバスがゆっくり這うようにして出てきた。
(ゴールディング『蠅の王』10・ほら貝と眼鏡、平井正穂訳)
そうだ、思い出した。
(ロジャー・ゼラズニイ『ドリームマスター』4、浅倉久志訳)
ふと、
(谷崎潤一郎『産辱の幻想』)
思い出したよ。
(ロジャー・ゼラズニイ『ドリームマスター』4、浅倉久志訳)
青い
(トム・レオポルド『誰かが歌っていう』20、岸本佐知子訳)
花が真ん中に描かれている
(リルケ『マルテの手記』第一部、大山定一訳)
白いハンカチ
(川端康成『山の音』島の夢・二)
そのハンカチを
(ハイゼ『片意地娘(ララビアータ)』関 泰祐訳)
ぼくは
(バーバラ・ワースバ『急いで歩け、ゆっくり走れ』吉野美恵子訳)
結んだことがあった。
(グレイス・ペイリー『サミュエル』村上春樹訳)
いまもそのままかい?
(ギュンター・グラス『猫と鼠』II、高本研一訳)
妹は
(カフカ『村の医者』村の医者、本野亮一訳)
死んで生れた
(志賀直哉『母の死と新しい母』七)
袋児であつた。
(川端康成『禽獣』)
見ると、
(スタインベック『贈り物』西川正身訳)
結び目はそのままだった。
(ピーター・ディッキンソン『エヴァが目ざめるとき』第二部、唐沢則幸訳)
そら。
(トーマス・マン『ブッデンブローク家の人びと』第二部・第二章、望月市恵訳)
これでいいかい?
(ヘミングウェイ『われらの時代に』第四章・三日間のあらし、宮本陽吉訳)
ぼくは
(サルトル『一指導者の幼年時代』中村真一郎訳)
ハンカチを解(ほど)いて
(ヘミングウェイ『われらの時代に』第一章・インディアン村、宮本陽吉訳)
妹に
(夏目漱石『三四郎』三)
渡した。
(志賀直哉『母の死と新しい母』六)
バスが待っていた。
(ジャン=フィリップ・トゥーサン『浴室』直角三角形の斜辺、野崎 歓訳)
僕は
(リルケ『マルテの手記』第一部、大山定一訳)
妹と一緒(いつしょ)に
(シェイクスピア『ハムレット』第五幕・第二場、大山俊一訳)
バスに乗った。
(日影丈吉『緋文』一)
バスは
(ロラン・バルト『恋愛のディスクール・断章』不在、三好郁朗訳)
音を立てて
(ロジャー・ゼラズニイ『ドリームマスター』4、浅倉久志訳)
動き出した。
(ヘミングウェイ『われらの時代に』第一章・インディアン村、宮本陽吉訳)
妹が
(志賀直哉『児を盗む話』)
ページを繰り
(ジイド『贋金つかい』第二部・二、川口 篤訳)
父の真似(まね)をして
(エレンブルグ『コンミューン戦士のパイプ』泉 三太郎訳)
詩のように
(シャーウッド・アンダスン『南部で逢った人』橋本福夫訳)
聖書の言葉を
(カポーティ『草の竪琴』5、大澤 薫訳)
呟(つぶや)き
(芥川龍之介『報恩記』)
はじめた。
(ジイド『贋金つかい』第二部・二、川口 篤訳)
僕は
(リルケ『マルテの手記』第一部、大山定一訳)
視線をそらして
(ゴールディング『ピンチャー・マーティン』14、井出弘之訳)
窓の外を眺めやった。
(サリンジャー『大工よ、屋根の梁を高く上げよ』野崎 孝訳)
最新情報
2017年10月分
月間優良作品 (投稿日時順)
- Corpus/Grain Side Version。 - 田中宏輔
- 記憶 - 深尾貞一郎
- Spinal Cord / Nappy Sphere Edit。 - 田中宏輔
- サイクル - ゼッケン
- The Dead was Born - アルフ・O
- 砂 - kaz.
- 砂時計 - 芦野 夕狩
- なつやすみ - あやめ
- ニーゼ - 无
- ありがとう、ごめんなさい、許してください、愛してます - 北
- z - あさぎ
- 中学生はみんなバカ。 - 泥棒
- 白夜 - 无
- 優しい残響 - 游凪
次点佳作 (投稿日時順)
- distance - 完備
- 開花 - 朝顔
- まがいもの - 失意夏雪
- #09(回想タクシー) - 田中恭平
- 疲れたときに行くオタクショップ - 祝儀敷
- Mein Sohn, was birgst du so bang dein Gesicht? - atsuchan69
- 習慣の結像 - 鷹枕可
- #10(キープ・ザ・ローリン) - 田中恭平
- 十五夜・寒露 - maracas
- アベッグ変奏曲 - lalita
- link - 完備
- 理由 - 深尾貞一郎
- 気に入らないハーブティーの詩 - 佐久間直子
- 別れ - 芦野 夕狩
- サリー - 女衒小僧
- 風のためいき - 山人
- 線文字Aの女 - atsuchan69
- 雨 - いかいか
- 光に照らされて(太もも) - 中山中
- ひにらや?やゆ る - ゆあさ
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
Corpus/Grain Side Version。
記憶
高い、空は、
海に浮いた、油のよう。
熱の
残る路に、トンボが、ポッと落ちる。
オニヤンマの複眼に残る、
うねりを帯びた敏捷さで、
丸い小金虫らが、クヌギの老木に群れる。
ふりむいたお母さんが、
四枚の薄羽根をひとつまみに、笑う。
僕はオニヤンマの歯ぎしりしている牙を凝視する。
鮮やかな黄色の胸の浮き出た筋肉は、
森の静寂さを気づかせる。
免疫細胞のように虹は
水銀や、コバルトブルーを食べる。
虹は、今、炎になった。
目をつむれば、
オニヤンマの複眼に残る、
うねりを帯びた敏捷さで、
丸い小金虫らが、クヌギの老木に群れる。
トンボの、輝きに触れたくて
紙飛行機のように、空にかざす。
心に、
はじけるものがあり、樹液を
手につけて、
匂いを部屋に持ち帰ろうと、思う。
とり残されてしまった気がするから、
今はもう、道路脇の縁石の上、
ステップを踏みながら、唐突に、
走り出す。坂を越えて、
シャボン玉の内側に、この世はあって、
川を越えて。ぶーうぅーん。
空は頭上にだけあって、木々の隙間に刺しこむ虹に
向けて、群れは飛んだ。ぶーうぅーん、ぶーうぅーん。
ざわめく、アメジスト色が、
無数にうつる
太陽は、どこを探しても見当たらず、
空全体が、夕暮れのように、
羽音と、発光している。
羽音が、
Spinal Cord / Nappy Sphere Edit。
●学校の子供たちに数学を教えている●わたしは●数学の教師●学校が済むと直ぐ帰って●二階へ上がって●二階の書斎で●読みかけの本を読んでいた●やがて●暗くなり●窓の外を●夜の間にひどい雨が降った●そのうち●わたしは●その本を読んでいると●ページをめくるごとに●うとうととして●そのままぐっすり●眠りこんでしまった●真夜中になっていた●ふと●目をこらして見ると●小さい蟻が●机の上に●コーヒーを持って現われた●蟻は●暗い階段を匐ふやうに昇って●コーヒーをはこんできたのだった●いつ目をさましても●目覚めるたびに●かならず同じ場所に現れた●蟻は●ものがたる●新しく生まれかわるために●ハンカチを探しつづけていた●という話であった●どのハンカチ?●どんなハンカチなの?●コーヒーをかきまわしながら●私は言った●ぼくのハンカチ●汚れたハンカチ●哀れな小さなハンカチよ●刺繍で縁取りされた●あのハンカチの隅っこには●ぼくの頭文字と紋がついているんだ●しかしどうやって見つけるのか?●いまでもみつかると思うかい?●忘れるのだ●しかし●返事がない●その蟻の●話はつづいた●蟻は●私の眼を見つめながら●語りつづけていた●くりかえしを聞かないうちに●聞こえないふりをして●立ち上がると●わたしは●窓のところへ行って、外の眺めを見た●雨はもう降っていなかった●じきに夜が明ける……●そのままなにも聞かないようなふりで立っていた●いつものやうに●蟻の●話はつづいた●朝といえば●太陽が出るか出ないころ●部屋には●隅々にまだ夜明けの暗さが漂っていた●そのおぼろな薄明りの中に●部屋の中央に●仄白いものが●あった●電話が鳴った●どうやってこの話から抜け出す?●どうやってこの部屋から出る?●壁に穴をあけて、そこから出て行く●行くがいい●わたしは●窓ぎわを離れて●机に●歩み寄ると●蟻を●つまんで●ぎゅっと圧しつぶし●ハンカチに包んで●ポケットに収めた●電話が鳴りつづけている●私は受話器を取りあげた●はい?●もしもし?●もしもし?●電話線の向うで●沈黙がつづいた●一分間近くの沈黙が続いた●わたしは●受話器を戻した●うしろでかすかな音がした●半開きになっていた扉のほうへ振りかえった●獣?●その獣は●猿だった●それは●亡霊のように●つぎつぎに現われたが●みんな●おなじ顔つき●うり二つ●そっくり同じだ●いったいお前たちは何者だ?●どうしてここへ来たのだ?●沈黙か?●何でお前たちは黙っている?●なんという不可解な猿なんだろう●話しかけても●それはなにも語ろうとはしない●猿どもは●じっと黙っていた●黙ったまま●立っていた●なぜ黙っている●さあ、黙ってないで言ってくれ●そうすればどこへでもついて行こう●すると猿どもは●あとについて来いという合図をした●どこへ行くのか?●いったいどこへ連れて行くつもりなんだ?●猿どもは●黙っている●箒をもった●一匹の猿が●先に立って歩き出した●猿たちの●あとについて階段を降り●行列に加はって●私はついて行った●猿どもは●ずうっと一列にならんで●黙ったまま●ぞろぞろと●歩みつづけた●獣の歩みにつれて●太陽が●昇ってくる●わたしは●一行の行く所へ何処までも従いて行った●行列は●海を見下ろす海岸の高い道を歩いていた●暫くすると●森に辿りついた●猿どもは●どんどん●森の中へはいっていった●一体どこまで私を●連れて行くつもりなんだ?●森は●たえず登りになってつづく●それを登りつめると、高い丘の頂きに出た●丘の頂上に出た●さびしい場所だった●猿どもは●いつのまにか姿を消してしまっていた●どこへ行ってしまったのか?●気がつくと、ひとりきりだった●ここにはわたしだけがある●ねむけがおそってきたので●わたしは●すこし盛りあがった地面を枕にして●あおむけに横たわり●この光景を眺めていた●真上にある太陽が眩しかった●反り身になって●頭をのけぞらせ●太陽に●陽の光に●身を曝していた●過ぎ去った日のいろんな場面が、つぎつぎに目さきにまざまざとよみがえった●わたしの幼いころの想い出にはいつも太陽がつきまとっている●太陽は●私を●散々な目にあわせた●私は●日の光を見るのが、いやになった●あっ●あれは何だろう?●つぎつぎに●太陽が●昇ってくる●一つ一つ●数えて行く●太陽はますます高くなり●見ていると●太陽という太陽ことごとく●ゆっくり円を描いて●回り出した●すると猿ども●が●また現われ●わたしを●とり囲み●円を描いて●ぐるぐるまわりはじめるのだった●見ていると●いかに父に似たることか●そうだ●父ではないのか?●父よ●父たちよ●同じ一つの顔が●円を描いて歩いている●そうだ●猿どもは●父たちなのだ●わたしへとつながる●父たちなのだ●そうだ●みんな、みんな、この丘に眠っている●遠い祖先なのであった●光の渦●光の輪が●急速に廻転し始めた●すると猿どもは●一匹また一匹と●また消えて行った●光はますます烈しくなり●わたしは●頭をのけぞらした●すると●太陽が●回転を止め●一つまた一つと●空から落ちてきた●太陽という太陽ことごとく●一直線に落ち始めた●苦しい、おお苦しい!●頭が焼ける●頭が焼ける、心臓も●心臓も?●心臓は生きていた●まだ心臓の鼓動が感じられた●心臓の脈管は百と一つある●血管の一つ一つが●波の音になる●心臓は知っていた●永遠に海は呼ぶのだ●ああ●体全体が急激にどんどん小さくなっていく●人間の姿がわたしから奪われて行く●さあ、わが目よ、これが見おさめだ●その目はくらむ●いまに見えなくなる●一段とからだを反らし●両の腕をさし伸べ●私は●ふり返る●海だった●突然、海が見え出した●海が見えた●目を凝らして見ると●海のほとり●波打ち際で●つぎつぎに●土がもりあがり●地雷が●出て来る●どうしてこんなにたくさん?●どうしてこんなに夥しいのか?●それは●地雷が埋めてある●海だった●どれくらいいたのか●夥しい●地雷が●動いていく●ああ、苦しい、苦しい●もうたくさんだ●何もかも●もう●これっきり●これをかぎりの光景●わたしには最後の光●ほら●爆発!●とつぜん●目の眩むような光線が●るるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる●電話?●電話が鳴っているのが聞こえる●ぼくは●目をあけた●爆発があった●爆弾?●なんの夢を見ているの?●ん?●ぼくのこと?●ねえ●坊や●教えてくれない?●教会はどちらにあるの?●ん?●どこに?●ぼくに言ってるのかい?●聞こえないの?●聞いてるよ●なぜぼくにそんなこと聞くんだい?●どうして教えてくれないの?●ねえ●どこ?●どこにあるの?●このバスでいいの?●ぼくは知らない●何も知らない●知ってれば教えてあげる●ぼくが知っているのは●せいぜいのところ●こうなったことだ●今日も●また●take the wrong bus●間違ったバスに乗る●ところで●ほかのひとたちは?●ルルル●ルルル●電話のベルが鳴り響いたので●ふりかえって見た●猿が●また●亡霊のように現われた●電話のベルが鳴るたびに●沈黙の●猿が●わたしを●運ぶ●あっ●バスが●角をまがった●ほら●見て●窓のほうに顔をむけた●バスがとまった●ポケットからはバイブルが出て来た●さあ●坊や●どうしたの?●どうしたんだっけ?●ぼく、いったいどうしたんだっけ?●ぼくは?●ああ●ぼくはなにをしたらいい?●ぼくがやりたかったのは……●ああ、そうだ、ぼくは●ぼくは●バスを降りて●戦場に行こう●戦場?●戦場!●戦争だって平ちゃらさ●で●今度のバスは何時?●あっ●電話が鳴った●もういかなきゃ●おら行くよ●さようなら●
Reference
●ノサック『弟』中野孝次訳●ヨブ記四・一六●原民喜『狼狽』●志賀直哉『濁った頭』●原民喜『沈丁花』●志賀直哉『邦子』●志賀直哉『児を盗む話』●ガルシン『四日間』小沼文彦訳●ヨエル書三・一五●原民喜『破滅の序曲』●志賀直哉『城の崎にて』●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第三十章、鈴木幸夫訳●ヨブ記四・一六●コルターサル『石蹴り遊び』17、土岐恒二訳●コンラッド『ナーシサス号の黒人』高見幸郎訳●志賀直哉『濁った頭』●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第三十一章、鈴木幸夫訳●コレット『牝猫』工藤庸子訳●バルザック『ゴリオ爺さん』三、水野亮訳●原民喜『雲雀病院』●バルガス=リョサ『緑の家』IV・一章、木村榮一訳●川端康成『十七歳』●スタンダール『パルムの僧院』下巻・第二十三章、生島遼一訳●コルターサル『石蹴り遊び』17、土岐恒二訳●サン=ジョン・ペルス『讃』多田智満子訳●原民喜『魔のひととき』●ラリイ・ニュートン『地球からの贈り物』12、小隅黎訳●バルガス=リョサ『緑の家』IV・一章、木村榮一訳●オラシオ・キローガ『羽根枕』安藤哲行訳●原民喜『吾亦紅』昆虫●サン=ジョン・ペルス『讃』多田智満子訳●ツルゲーネフ『岩』神西清訳●ヘッセ『デーミアン』吉田正己訳●ゾラ『ナナ』安東次男・関義訳●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第五章、鈴木幸夫訳●シェイクスピア『オセロウ』第三幕・第三場、管泰男訳●ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』第II部、水野忠夫訳●ビオイ=カサーレス『豚の戦記』18、荻内勝之訳●ブレイク『天国と地獄との結婚』土居光知訳●ギュンター・グラス『ブリキの太鼓』第III部、高本研一訳●ジュネ『ブレストの乱暴者』澁澤龍彦訳●ギー・シャルル・クロス『あの初恋』堀口大學訳●ガルシア=マルケス『族長の秋』鼓直訳●ゾラ『ナナ』安東次男・関義訳●ゾラ『ナナ』安東次男・関義訳●プルースト『失われた時を求めて』スワン家の方へ、鈴木道彦訳●カルヴィーノ『むずかしい愛』ある写真家の冒険、和田忠彦訳●ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』下、河島英昭訳●リスペクトール『G・Hの受難』高橋都彦訳●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第一章、鈴木幸夫訳●ヴァレリー『セミラミスの歌』鈴木信太郎訳●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第四章、鈴木幸夫訳●『イソップ寓話集』蟻、山本光雄訳●バタイユ『眼球譚』猫の目、生田耕作訳●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第十八章、鈴木幸夫訳●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第二十九章、鈴木幸夫訳●ギマランエス・ローザ『大いなる奥地』中川敏訳●プルースト『失われた時を求めて』囚われの女、鈴木道彦訳●箴言八・二七●オースティン『自負と偏見』四三、中野好夫訳●フロベール『ボヴァリー夫人』第一部・二、杉捷夫訳●コレット『牝猫』工藤庸子訳●オースティン『自負と偏見』二〇、中野好夫訳●原民喜『鎮魂歌』●『イソップ寓話集』蟻と甲虫、山本光雄訳●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第四章、鈴木幸夫訳●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第六章、鈴木幸夫訳●シェンキェーヴィチ『クウォーヴァーディス』第一巻・第二〇章、梅田忠良訳●オースティン『自負と偏見』四五、中野好夫訳●シュトルム『みずうみ』高橋義孝訳●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第三十四章、鈴木幸夫訳●フェリスベルト・エルナンデス『水に浮かんだ家』平田渡訳●原民喜『溺没』●ル・クレジオ『海を見たことがなかった少年』豊崎光一訳●三島由紀夫『禁色』●ポール・オースター『幽霊たち』柴田元幸訳●ポール・オースター『幽霊たち』柴田元幸訳●エゼキエル書一二・一二●ジョン・ダン『目覚め』篠田一士訳●ヨハネによる福音書一九・二八●シュトルム『みずうみ』高橋義孝訳●シュトルム『みずうみ』高橋義孝訳●オースティン『自負と偏見』二〇、中野好夫訳●レイ・ブラッドベリ『たんぽぽのお酒』北山克彦訳●レイ・ブラッドベリ『たんぽぽのお酒』北山克彦訳●ランボー『七歳の詩人たち』堀口大學訳●ル・クレジオ『モンド』豊崎光一・佐藤領時訳●アーヴィング『ガープの世界』15・ベンセンヘイバーの世界、筒井正明訳●アーヴィング『ガープの世界』13・ウォルトの風邪、筒井正明訳●スタニスラフ・レム『ソラリスの陽のもとに』飯田規和訳●ポール・オースター『シティ・オヴ・グラス』山本楡美子・郷原宏訳●プイグ『赤い唇』野谷文昭訳●プイグ『赤い唇』野谷文昭訳●ノーマン・メイラー『夜の軍隊』第一篇・第一部、山西英一訳●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第二十一章、鈴木幸夫訳●原民喜『魔のひととき』●ヨハネによる福音書一九・二八●カルヴィーノ『むずかしい愛』ある会社員の冒険、和田忠彦訳●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第一章、鈴木幸夫訳●アンリ・バルビュス『地獄』V、田辺貞之助訳●ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』上、河島英昭訳●ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』上、河島英昭訳●オラシオ・キローガ『羽根枕』安藤哲行訳●シルヴィア・プラス『オーシャン一二一二−W』徳永暢三訳●コレット『牝猫』工藤庸子訳●イバニェス『血と砂』会田由訳●マースターズ『丘』衣更着信訳●パヴェーゼ『月とかがり火』米川良夫訳●シェイクスピア『ハムレット』第一幕・第一場、大山俊一訳●アンリ・バルビュス『地獄』VII、田辺貞之助訳●ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳、疑問符加筆=筆者●ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』第I部、水野忠夫訳●ゴットフリート・ベン『ノクターン』生野幸吉訳●プーシキン『ボリス・ゴドゥノフ』佐々木彰訳●トーマス・マン『トニオ・クレーゲル』高橋義孝訳●志賀直哉『雨蛙』●ボルヘス『ウンドル』篠田一士訳●ヘッセ『青春彷徨』山下肇訳●フロベール『ボヴァリー夫人』第二部・一、杉捷夫訳●ラリイ・ニーヴン『地球からの贈り物』2、小隅黎訳●オースティン『自負と偏見』二〇、中野好夫訳●シェイクスピア『マクベス』第二幕・第三場、福田恆存訳●シェイクスピア『ハムレット』第二幕・第二場、大山俊一訳●シェイクスピア『夏の夜の夢』第二幕・第一場、福田恆存訳●ヘッセ『青春彷徨』山下肇訳●ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』1、鼓直訳●ギマランエス・ローザ『大いなる奥地』中川敏訳●ドノソ『ブルジョア社会』木村榮一訳●ヘッセ『青春彷徨』山下肇訳●アンリ・バルビュス『地獄』XI、田辺貞之助訳●シモン『ル・パラス』平岡篤頼訳●リルケ『マルテの手記』生野幸吉訳●原民喜『幻燈』●フォースター『インドへの道』第一部・第四章、瀬尾裕訳●アーヴィング『ガープの世界』13・ウォルトの風邪、筒井正明訳●原民喜『冬日記』●志賀直哉『祖母の為に』●ヘッセ『青春彷徨』山下肇訳●トマス・ハーディー『テス』第三部・再起、竹内道之助訳●ラリイ・ニーヴン『地球からの贈り物』2、小隅黎訳●原民喜『暗室』●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第三十二章、鈴木幸夫訳●サン=ジョン・ペルス『讃』多田智満子訳●ダンテ『神曲』浄罪篇・第七歌、野上素一訳●ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳●フィリップ・K・ディック『ヴァリス』10、大瀧啓裕訳●志賀直哉『真鶴』●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第三十章、鈴木幸夫訳●志賀直哉『真鶴』●原民喜『心願の国』●カルペンティエール『この世の王国』第二部・II・大いなる契約、平田渡・木村榮一訳●ヘッセ『青春彷徨』山下肇訳●ギマランエス・ローザ『大いなる奥地』中川敏訳●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第十五章、鈴木幸夫訳●セフェリス『わが歴史の神話』十六、秋山健訳●ドノソ『ブルジョア社会』木村榮一訳●オースティン『自負と偏見』四三、中野好夫訳●ヘミングウェイ『二心ある大川その一』谷口陸男訳●オースティン『自負と偏見』四三、中野好夫訳●ヘミングウェイ『日はまた昇る』第二部・第十二章、大橋吉之輔訳●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第二十章、鈴木幸夫訳●ヘッセ『青春彷徨』山下肇訳●コレット『牝猫』工藤庸子訳●シェイクスピア『マクベス』第一幕・第三場、福田恆存訳●パヴェーゼ『三人の娘』河島英昭訳●ガブリエラ・ミストラル『夜』荒井正道訳●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第十七章、鈴木幸夫訳●ニーチェ『ツァラトゥストラ』手塚富雄訳●トーマス・マン『魔の山』第七章、佐藤晃一訳●トーマス・マン『魔の山』第七章、佐藤晃一訳●ドストエーフスキイ『カラマーゾフの兄弟』第一巻・第二篇・第八、米川正夫訳●原民喜『潮干狩』●ジュネ『花のノートルダム』堀口大學訳●シモン『ル・パラス』平岡篤頼訳●カミュ『追放と王国』客、窪田啓作訳●ベールイ『銀の鳩』第I部、小平武訳●ギュンター・グラス『ブリキの太鼓』第II部、高本研一訳●イバニェス『血と砂』会田由訳●ズヴェーヴォ『ゼーノの苦悶』清水三郎治訳●ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳●プルースト『失われた時を求めて』スワン家の方へ、鈴木道彦訳●ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳●プルースト『失われた時を求めて』スワン家の方へ、鈴木道彦訳●シェイクスピア『マクベス』第五幕・第六場、福田恆存訳●ロブ=グリエ『嫉妬』白井浩司訳●ジョイス『ユリシーズ』13、ナウシカア、永川玲二訳●ギュンター・グラス『ブリキの太鼓』第I部、高本研一訳●クローデル『真昼に分かつ』第一幕、鈴木力衛・渡辺守章訳●ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳●ベルトラン『夜のガスパール』第三の書・六・鐘楼下の輪舞、及川茂訳●ベルトラン『夜のガスパール』第五の書・一・僧房、及川茂訳●ガルシン『ナジェジュダ・ニコラーエヴナ』小沼文彦訳●ヨハネの黙示録一九・一七●アラゴン『エルザの瞳』橋本一明訳●ロブ=グリエ『嫉妬』白井浩司訳●トーマス・マン『トニオ・クレーゲル』高橋義孝訳●ヘッセ『青春彷徨』山下肇訳●ダンテ『神曲』天堂篇・第三十三歌、野上素一訳●シェイクスピア『ハムレット』第一幕・第一場、大山俊一訳●ロラン・バルト『恋愛のディスクール・断章』こころ、三好郁朗訳●ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳●ヨブ記二六・一〇●プルースト『失われた時を求めて』スワン家の方へ、鈴木道彦訳●ヨハネの黙示録一九・一七●エウリピデス『ヘラクレス』川島重成・家内毅訳●サルトル『嘔吐』白井浩司訳●ビョルンソン『人の力を超えるもの』第一部・第一幕・第六場、毛利三彌訳●ヨハネによる福音書一七・二●ヨハネの第一の手紙二・一三●『ラ・ロシュフコー箴言集』考察III・顔と挙措について、二宮フサ子訳●ロブ=グリエ『嫉妬』白井浩司訳●サルトル『嘔吐』白井浩司訳●ヘッセ『青春彷徨』山下肇訳●リルケ『ドゥイノの悲歌』第三の悲歌、手塚富雄訳●マリー・ノエル『哀れな女のうた』田口啓子訳●リルケ『ドゥイノの悲歌』第三の悲歌、手塚富雄訳●サルトル『嘔吐』白井浩司訳●マースターズ『丘』衣更着信訳●ユイスマンス『さかしま』略述、澁澤龍彦訳●ベールイ『銀の鳩』第II部、小平武訳●ベールイ『銀の鳩』第II部、小平武訳●原民喜『幻燈』●ヘッセ『青春彷徨』山下肇訳●ロートレアモン『マルドロールの歌』第六の歌、栗田勇訳●ブロッホ『ウェルギリウスの死』第II部、川村二郎訳●ダンテ『神曲』浄罪篇・第三十三歌、野上素一訳●ヨハネによる福音書一九・二八●スタニスラフ・レム『ソラリスの陽のもとに』飯田規和訳●ヘッセ『魔術師の略伝』西義之訳●クローデル『真昼に分かつ』第一幕、鈴木力衛・渡辺守章訳●セフェリス『ミケネー』秋山健訳●プルースト『失われた時を求めて』ゲルマントの方、鈴木道彦訳●マイケル・ムアコック『この人を見よ』第一部、峯岸久訳●アラゴン『エルザの瞳』橋本一明訳●ヤーコブレフ『花むこと花よめ』宮川やすえ訳●シェイクスピア『リア王』第五幕・第三場、大山俊一訳●ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳●ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳●ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳、疑問符加筆=筆者●トーマス・マン『トニオ・クレーゲル』高橋義孝訳●オウィディウス『変身物語』巻一、中村善也訳●死神の秘教『カタ・ウパニシャッド』第六章、服部正明訳●シェイクスピア『ハムレット』第一幕・第四場、大山俊一訳●志賀直哉『真鶴』●ブロッホ『ウェルギリウスの死』第III部、川村二郎訳●ゴットフリート・ベン『唄』II、生野幸吉訳●イェイツ『塔』出淵博訳●ジェイン・アン・フィリップス『ファスト・レーンズ』篠目清美訳●オウィディウス『変身物語』巻二、中村善也訳●シェイクスピア『ロミオとジュリエット』第五幕・第三場、大山敏子訳●エレミアの書一四・六●メーテルリンク『青い鳥』鈴木豊訳●ゾラ『ナナ』安東次男・関義訳●ゾラ『ナナ』安東次男・関義訳●プルースト『失われた時を求めて』スワン家の方へ、鈴木道彦訳●リルケ『オーギュスト・ロダン』第一部、生野幸吉訳●ナボコフ『キング、クィーンそしてジャック』出淵博訳●原民喜『不思議』●スタニスラフ・レム『ソラリスの陽のもとに』飯田規和訳●ユイスマンス『さかしま』第十一章、澁澤龍彦訳●ロートレアモン『マルドロールの歌』第一の歌、栗田勇訳●プルースト『失われた時を求めて』囚われの女、鈴木道彦訳●ギュンター・グラス『ブリキの太鼓』第I部、高本研一訳●ジョン・ダン『恍惚』高松雄一訳●ガデンヌ『スヘヴェニンゲンの浜辺』菅野昭正訳●ジュネ『屏風』第八景、渡邉守章訳●ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』第I部、水野忠夫訳●ホーフマンスタール『人生のバラード』川村二郎訳●シルヴィア・プラス『オーシャン一二一二−W』徳永暢三訳●ガデンヌ『スヘヴェニンゲンの浜辺』菅野昭正訳●ナボコフ『キング、クィーンそしてジャック』出淵博訳●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第三十二章、鈴木幸夫訳●ホーフマンスタール『人生のバラード』川村二郎訳●ガデンヌ『スヘヴェニンゲンの浜辺』菅野昭正訳●ガッダ『アダルジーザ』腋、千種堅訳●ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳●メーテルリンク『青い鳥』鈴木豊訳●リルケ『神さまの話』見知らぬひと、手塚富雄訳●イェイツ『女のこころ』尾島庄太郎訳●リスペクトール『家族の絆』バラに倣いて、及川昭訳●ブロッホ『ウェルギリウスの死』第IV部、川村二郎訳●オウィディウス『変身物語』巻一、中村善也訳●クローデル『真昼に分かつ』第一幕、鈴木力衛・渡邉守章訳●アイザック・アシモフ『神々自身』第二部・3c、小尾芙佐訳●マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』第二十九章、鈴木幸夫訳●モーパッサン『テリエ館』青柳瑞穂訳●草野心平『春殖』●ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』22、鼓直訳●アーヴィング『ガープの世界』12・ヘレンのできごと、筒井正明訳●ホセ・ドノソ『この日曜日』ある日曜日の夜、内田吉彦訳●ザミャーチン『われら』小笠原豊樹訳●ビオイ=カサーレス『豚の戦記』41、荻内勝之訳●フィリップ・K・ディック『逆まわりの世界』12、小尾芙佐訳●ホセ・ドノーソ『閉じられたドア』染田恵美子訳●タニス・リー『死の王』巻の一・第三部・六、室住信子訳●ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』10、鼓直訳●ヘミングウェイ『日はまた昇る』第一部・第四章、大橋吉之輔訳●リスペクトール『家族の絆』財産づくり、高橋都彦訳●ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』23、鼓直訳●リスペクトール『家族の絆』財産づくり、高橋都彦訳●タニス・リー『死の王』巻の一・第三部・六、室住信子訳●エイチ・ディー『キプロスよりの歌』II、安藤一郎訳●コルターサル『石蹴り遊び』41、土岐恒二訳●コルターサル『石蹴り遊び』41、土岐恒二訳●ビオイ=カサーレス『豚の戦記』28、荻内勝之訳●コルターサル『石蹴り遊び』46、土岐恒二訳●ホセ・ドノーソ『この日曜日』ある日曜日の夜、内田吉彦訳、疑問符加筆=筆者●ハックスリ『恋愛対位法』第七章、朱牟田夏雄訳●ヘミングウェイ『日はまた昇る』第二部・第十一章、大橋吉之助訳●ルードルフ・アレクサンダー・シュレーダー『餘韻』淺井眞男訳、疑問符加筆=筆者●ナボコフ『キング、クィーンそしてジャック』出淵博訳、疑問符加筆=筆者●アンリ・バリビュス『地獄』XIV、田辺貞之助訳●パスカル『パンセ』第六章、前田陽一・由木康訳●タニス・リー『死の王』巻の一・第三部・六、室住信子訳●アンリ・バルビュス『地獄』XIV、田辺貞之助訳●ジイド『背徳者』第二部・一、淀野隆三訳●ジイド『背徳者』第二部・一、淀野隆三訳●ヴェルレーヌ『三年後』堀口大學訳●エウジェーニオ・モンターレ『蜃気楼』米川良夫訳●三省堂『カレッジ・クラウン英和辞典』●三省堂『カレッジ・クラウン英和辞典』●ボリス・ヴィアン『墓に唾をかけろ』伊東守男訳●コレット『牝猫』工藤庸子訳●コレット『牝猫』工藤庸子訳●コレット『牝猫』工藤庸子訳●コレット『牝猫』工藤庸子訳●ヘミングウェイ『日はまた昇る』第二部・第十七章、大橋吉之輔訳●リルケ『マルテの手記』生野幸吉訳●アンリ・バルビュス『地獄』III、田辺貞之助訳●コレット『牝猫』工藤庸子訳●ケッセル『昼顔』桜井成夫訳●アンリ・バルビュス『地獄』III、田辺貞之助訳●リルケ『マルテの手記』生野幸吉訳●ロラン・バルト『恋愛のディスクール・断章』こころ、三好郁朗訳●ヘミングウェイ『武器よさらば』第三部・第二十七章、石一郎訳●ロブ・グリエ『嫉妬』白井浩司訳●ヘミングウェイ『日はまた昇る』第二部・第九章、大橋吉之輔訳●ヘミングウェイ『日はまた昇る』第二部・第九章、大橋吉之輔訳●クローデル『真昼に分かつ』第一幕、鈴木力衛・渡辺守章訳●志賀直哉『山科の記憶』●コレット『牝猫』工藤庸子訳●ヘミングウェイ『日はまた昇る』第二部・第十三章、大橋吉之輔訳●原民喜『焔』●スタンダール『カストロの尼』桑原武夫訳●リスペクトール『家族の絆』財産づくり、高橋都彦訳●三島由紀夫『禁色』●コレット『牝猫』工藤庸子訳●コレット『牝猫』工藤庸子訳●アンリ・バルビュス『地獄』I、田辺貞之助訳●ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳●ヘミングウェイ『日はまた昇る』第二部・第十六章、大橋吉之輔訳●コレット『牝猫』工藤庸子訳●コレット『牝猫』工藤庸子訳●コレット『牝猫』工藤庸子訳●W・C・ウィリアムズ『パターソン』第一巻・巨人の輪郭I、沢崎順之助訳●『エラの神話』第1部、杉勇訳●『エラの神話』第1部、杉勇訳、疑問符加筆=筆者●『エラの神話』第1部、杉勇訳、感嘆符加筆=筆者●G・ヌーヴォー『恋人』福永武彦訳●ボルヘス『他者』篠田一士訳●志賀直哉『山鳩』疑問符加筆=筆者●ロブ=グリエ『嫉妬』白井浩司訳●三島由紀夫『禁色』●ヘミングウェイ『日はまた昇る』第一部・第四章、大橋吉之輔訳●ゴーリキイ『どん底』第四幕、中村白葉訳●ヘミングウェイ『武器よさらば』第二部・第十九章、石一郎訳。
サイクル
太陽の昇らなくなった世界で今日は
半年続いた冬の最後の一日だった、おれは
5歳の息子を肩車に乗せて歩いている
ざくざくと霜を踏む足音が前後に連なって大勢の人間が
広場へと続く、両脇に湯気の立つ屋台の並んだ道を埋めている
息子は重くなった、零下50度に近い外気を遮断する耐寒服の下でおれは汗ばんでいる
厚い手袋をはめた息子の手がおれの頭をフード越しにぽんぽんと叩く
夜店からはもうもうと白い湯気が立ち昇っており、熱い麺を売っている
おれは体の向きを変え、流れを横切って一軒の屋台の前に立つ
なじみの親爺が湯気の向こうでにこりともせず、しかし、すばやく
麺を釜から揚げ、おれたちを待たせることなく耐熱スチロールの器を差し出す
おれは麺とたっぷりの汁で満たされた器を持って屋台の奥の天幕の中に進む
中央にはストーブが赤々と焚かれ、おれは息子を降ろし、服の氷と霜を払ってやる
ゴーグルとマスクをはずし、おれたちはすし詰めのテーブルに身を割り込ませる
皆がすこしずつ身体をずらしてくれた
息子は不器用な手つきで箸を持ち、器用に
麺を絡めとって口に運ぶ おれは息子の頭越しになる形で
麺をすする 冬の終わりまであと一時間だった
広場は石畳が敷き詰められており、つま先はどうしても冷えて痛みを覚える
広場に到着したおれたちは止まらない人々の流れに押されて中央に進まざるを得ないが
もはや中心部は人々の身体が互いに密着して物理的に支えあうかたちになり、
足が石畳から半ば浮き上がっている、怒号と悲鳴と体温の塊が膨れ上がる
肩車に乗せた息子の身体がぐったりとおれの頭上に覆いかぶさっている、おれは
息子の身体が背後に落ちないよう、頭を下げてこらえる
酸素が足りない!
菌体のようにコロニーを形成したおれたちはこめかみに力を込めて耐えなければ
ならない、気を失えば群れの底に沈み、踏み殺されるしかない、構造体の一部として
立ち続けること、身体を全体の揺れに委ねながら、圧力に対抗すること、一部が崩壊し、
将棋倒しが始まればおれと息子は死ぬしかない、頭上で
ドン
と炸裂音が響き渡り、冬と夜が終わる
漆黒の天蓋が割れて欠片は大気圏の外へ飛び去り、
静止軌道上で点火された人工の太陽が正午を告げる
いっせいに降り注いだ光によって生じた地表のわずかな温度変化が
系全体のパラメータを夏の軌道に跳躍させ、吹き始めた強い風が
広場へ酸素を送り込む
おれと息子はともに青空を見る
動脈血が鮮やかな朱色に染まる
人々はふたたび外側へ広がり始め、思い思いに散り始める
おれの頭上で息子が指さした方向には海がある
氷山の割れた塊が海面に落下するにはまだ早いが
白い水しぶきの柱は濃紺の空へと届くだろう
息子を肩車に乗せて歩くのはこれが最後になる
The Dead was Born
降ってこない、降ってくる
流転の繰り返された心臓
抵抗を強めては
身体の中で錆びた螺子が
舐められたと騒ぐ
堰き止めることに慣れたんだって
生贄と電線が笑う
とりもなおさず
「今のお前は使い物にならない
危惧される謂れは無い
不眠?不朽?不屈?
棄てちまえよ 棄てさせてよ
―――定点、
「唐突にオメガ扱いしないでよね、
「じゃあ、噛みつかせてよ。
「蜂蜜の溢れる、斑らと、
「感応しなくなっただけのアンテナを
薙ぎ倒す仕事をあげる、
「やっべーよ、進入禁止?
「カラコン似合ってんじゃん。
「どうしても“匂い”に落ち着くんだね、
「平行線、エモい。
「調子狂うな、
「産卵と大して変わらないだろ。
「苗字は覚えなくていいよ、
普通読めないから。
「2ml。もう少し頑張りなよ、
「体質だから。
「白衣着ると印象全然違うね。
―――不定点。
代替品の蒸気
それはおそらくは、
もがく度にみずから
ヤニを塗り固めていくかの如く
そしてとうとう無関係の
時間軸で
無関係の音沙汰が
還るのだ、と
宿主に諭すかの如く
(だから、返すの、
(だから、返すの、
(返すの
―――定点、
「Speed of flow.
「鍵よこしな、突っ切るからこの群れ、
「泥濘に舵を取られて、
「女王蟻の階層まで、あと、
「そしたら当然俺らはお払い箱ね。
「伏せてなさい、
「切れたらそれで構わない。
「尻尾巻いて逃げたっていいんだ、
「押さえてりゃ治るよ、
「どうせ単細胞だって侮ってんだろ。
「Drive my fate.
「それはこっちの合言葉でもあるのさ。
―――不定点。
(僕達が要らなくなるまで
あと何万年かかりそうなのか、
訊いてみたかっただけなのにな
風の止んだこの要塞で
浅葱色に覆い尽くされるのを
待ち焦がれている、猫、
―――不定点、
「甘いところ、視せてよ、
「うるさい、舌噛むよ。
「臆病な魔法使い、
「でも起きているよりはマシだよね、
ずぅっと、
「すぐ帰るのになんで縛るの。
「どうせまた、今日も吐瀉が始まる、
「トラウマ二人がかりで消せないのかな。
「賽の河原行き最終。
「拾われたのが運の尽きだったね、
「あ、飛ぶっ。
「身体だって手放すもんか、
「耳が良いね、うんざりするくらい。
―――定点。
「How silly?
「何かがまた流れ落ちてる、背中に、
「折れたんじゃない。
「まごつくなよ、大将、
「使い勝手悪いったらないね。
「君たちが満足しないからでしょ、
「それじゃ忠誠誓って寝てればいいわけ?
「How silly? (reprise,
「りぴーとあふたーみー。
「プリズムに封じ込む深緋。
「ごめんね、また同じ話してるよ。
だから構わないで、
「provoked,
「全部リセット。
「このまま色彩を失っても、
堕ちていく
堕ちていく中で、
気休めに
最後の契約を交わして
眼を 閉じる、
いずれ
死にはしなくとも
折れて、崩れて
無感動に拾い集められ
似たような形に
磨き上げられるから
砂
新憶の潰えたる肴の味したる新大久保にいたりて、皿が流れていく回転寿司の文様にふとしたことからじりりと醤油を詰めていった、傘の柄に地中海の絵を描きてトピカのひくりかえるありさま、素直な道のりを辿るようにしてそば粉の話題に移るのです。
「カメレオン戦争、人はそう呼びます。」
「ガラスの薫風が人の心を引き裂くのです。」
「ここには壮大な比喩もなく、文字もありません。」
「顔から滴り落ちる朝顔の汁をひたひたと渡していきましょう。」
ケーブルを引き抜き、トイレに入ります。電気をつけ、ズボンを下ろし、かがみこみ、力むと、過去が見えてきます。そこから先は、記憶へと続く長い道のりとなっていて、私にも判別がつきません。3Dプリンターを買った後に百均のクオリティに感動するような具合で、私の中の幻も現実と比較され、森を抜けてひらけた場所に出てきたときのような不思議な痛覚の底を辿り、流れる水の音を聴きながら射出した人工物のまどろみに耐え難き耐えを耐えゆくのです。
砂時計
ゆううつの広がりが壊れながら吸い込まれていくあなたの手をとり
携えたのが8月のあかい空に焦がれていく一粒一粒のはまべの砂が
あなたとわたくしの手の隙間からひとつぶひとつぶ零れていくのを
モンシロチョウの白い鱗粉のなかから数えあげたしろいかなしみの
浮遊のなかでするどく、
こうして窓から見える小さな海の中に波頭のしろいろが飲み込まれ
なんどくり返しても同じ青さのままで風は強く、朱にそまることも
なく、その見えない運動に目をこらしているままわたしたちはすな
のなかに埋もれていく、硬く
そして10月のまだあわいくれないのきせつに熊手のなかで終って
いくものたちのいのちを数えあげること、なまあたたかいふぶきに
抱かれるようにしあわせにこの手をたずさえたままこおってしまう
ためにきせつがうつろうそのみえないうんどうをいつまでもみるこ
ともなく、きくこともなく、だけど感じているのです
このくにでいちばんさむいふゆをください、といのるゆびさきから
こぼれおちるすなつぶのひとつひとつをかなしみとよびよろこびと
よび、とおりすぎるきせつ、かぜ、モンシロチョウのしろい浮遊を
うたいながら、そうです、うたいながら、
なつやすみ
ゆめのなかをひらく水辺のような襖だ
その先も またその先にも
傾斜したふうけいが見える
ねむるようにひたされた草花はいくども
記憶をひきついでそこに生まれ
まぶたのなかをただよう暈が その色や質感が
ただひとりのものでないことに驚く
とぎれとぎれの冒険にうきあがる月のように
やみくもに たとえばきみとかわたしが
流れていくうえで
どこにも投函されない
などということがあるのだろうか
ニーゼ
「ニーゼ」(パターン1)
おおニーゼ
君がいれば何でも買える
美味い酒
美味い食べ物
高級腕時計に高級車
自家用ジェットにクルーザー
広大な敷地の豪邸
いくつもの別荘
欲しいものは何でも買える
美女だって選り取り見取り
愛だって買い叩ける
おおニーゼ
君がいれば何でもできる
世界中どこにでも行けるよ
その気になれば宇宙から
地球を見下ろすことも
テレビ局のスポンサーになり
愚民共を洗脳することも
ニーゼがあれば可能になる
それだけじゃないんだぜ
この命を永遠にすることも
不可能なことじゃない
今は無理でも冷凍保存で
遠い未来に復活さ
ニーゼがあれば医学も科学も
SFの向こう側へ突き抜ける
地球より長生きして
やがて外宇宙へ出発だ
この宇宙が終わる時は
別の宇宙へジャンプするのさ
たくさんのニーゼがあれば
すべての夢が現実になる
おおニーゼ
君がいれば神にもなれる
ニーゼを空へ積み上げれば
天国の扉もノックできる
ニーゼで買えないものはない
え? 何だって?
死んだ命は買い戻せない?
どうせ命の値段なんて
下がり続ける一方じゃないか
死ななければ問題ないさ
そのためのニーゼなのさ
おおニーゼ
僕はニーゼを愛している
心の底から愛しているんだ
だけどニーゼは知らんぷり
僕のことなど見向きもしない
何て悲しい片思い
今日もカップ麺をすすりながら
安い酒をチビチビ飲みながら
三畳一間のボロアパートで
ハローワークのトイレで
競馬場の馬券売り場で
僕は君を恋い焦がれる
ニーゼ、ニーゼ、僕の女神よ
決して手に入ることのない
残酷すぎる万能の女神よ
「ニーゼ」(パターン2)
西行きのチケットを買って
旧式の列車に乗った
行き先は「ニーゼ」という小さな町
地図にも時刻表にも載っていない
そこに行けば死者と会えるという
もう一度だけ顔が見たい
もう一度だけ話がしたい
あの時のことを謝りたい
旅立った理由が聞きたい
いつまでも日が沈まない荒野を
列車は蛇のように進んでいく
乗客の姿はまばらで
誰もが口をつぐんだままだ
どれだけの時が過ぎたのか
数分のようでもあり
数年のようでもある
やがて列車は小さな駅に着く
僕の他にも数人が降りたが
たちまち四方へ消えていった
僕はニーゼの町を歩き回り
彼のことを必死で探した
けれど噂とは違って
いくら探しても見つからない
ついに僕は諦めて駅に戻り
今度は東行きのチケットを買い
再び旧式の列車に乗った
駅を離れてすぐに
広い河にかかる鉄橋を渡った
窓からニーゼの方を見ると
河の土手に人影が見えた
(彼だ)
僕は窓を開けて身を乗り出し
大声で彼の名を呼んだ
小さくなっていく彼は
黙って手を振り続けている
ああ、そういうことか
まだ早いのか
まだ残っているのか
まだ終わらないのか
僕は彼の名を呼ぶのをやめて
遠ざかっていく影を見つめた
どこからか医者や看護師の声が
エコーを伴って聞こえてくる
いつかまたニーゼの町に来るまで
僕は呼吸しなければならないのだ
ありがとう、ごめんなさい、許してください、愛してます
昨夜は鮫と眠りました。
愛で小銭を貢いだ話を聞いてください。
思い出です、交差点に折り重なるアルバムです。
めくると沸騰します。温泉のような、
湯煙はため息です。声を求めて旅に出ます。
まどろみは、緩やかなカーブで、
哀しみは硬水のように隆起していました。
枯葉の船に乗せた宝物は、
海の骸になりました。深く沈んだ遺言です。
私の遺体を十字架に磔。ください。
ヒノキ、香木が良い。
焼香を終えた後、参列者は磔の私とハグをするようにお願いします。
これを「ハグ葬」と名付けます。
中には拒否する人もおられるだろうから、
私と二人きりになれるよう、個室で行うようにお願いします。
それでも、拒絶する方がおられれば、
「後になるほど、ハグで遺体が崩れてゆく。」
お伝えください。
それは、まるでプラネタリウム葬です。
私をプラネタリウムの天井から吊るし、
空中ブランコのように宙を舞い、
大きく弧を描き、揺れる星空から、
舞い降りてくる私を受けとめ、
そして、
ギュッと抱きしめてください。
私は大勢の、一人一人の方々に、
抱きしめていただき、
喜びでボロボロになっているのです。
ボロボロになった身体は、
グズグズになるまで、
その場で煮込み、
最後は、
私をスープにして飲んでください。
砂漠の赤い月のしたで、
深海魚に片足を食われています。
痛いより重い、
お母さん、こんなに敷居が高いとは、
始めて気がつきました。
見えないから形を知る。
見えないから、
見えていないのではなかった。
見えていないことは、
見えていることを離れられないだけだった。
墓地に座って薄暗く脅えている。
もう、どうしようもない。
山も、木も、獣も、この墓標も、
私が作リ出した、
消しゴムで消せる現象でした。
これから、
愛と書いて消せないならば、
海を削り、
メモ帳へ投身します。
消しゴムで消せない名前、
私を受けとめた人達の胸の内へ。
z
味気がない、の代名詞だなんて
誰が決めたんだろう
なんて
ボンヤリ
思った
り
しながら
爪の間に犬歯を立てる
昼行燈のワイドショーの中に
眩しさは欠片も見当たらない
つまらないという思いすら
気化し
浄化し
飽和する
夏だか秋だかわからない移ろいゆく平日
やりたいと思っている洗濯物は
見た目だけに惹かれた機能性無視のランドリーバスケットの中
もう2週間は放置していて
いつも通りに
外置きの洗濯機置き場と
中途半端に寂れて栄えた駅前商店街と
そこにある筈の所在不明なコインランドリーと
「もう少し前にはもっと暮らしやすい街に引っ越してる筈なのに」と
「大体、生まれた環境が悪かったんだ」に押し付けて
意識の端へ追いやってやり過ごす
右下1の前歯
親指の爪に沿わせて
こそぎ取る
砂利、と立てる厭な音
口の中
落ちた
動き出した時間が呆気なく追い越していく
嘘じゃなかった言葉だと信じていたかった言葉
留め処なく降り注いでいたもの
降り積もっていたもの
埋め尽くされていたと信じていたもの
硝子、なんて 本当はなかった
それも何処か知っていた
形を創っていたものは想念
そこにいたいという祈り
だって、それも、本当は、
ね
1度も会った事のない
よく顔を知った政治家が
街宣車の上 がなり立てている
まだ昼過ぎ
洗濯
しなくちゃ
今日はまだ雨じゃない
まだ、間に合う
4.5リットルで一気に洗えない
外出着と汚れ物
分けて
洗う意味がわからない
実家に帰れば未だにいっしょくただし
そんなこと 教わりもしなかった
否定と罵声と無反応と「弱者にやさしく」という一般常識
365日 朝と晩
絶え間なく食べ続けたのはそれ
痛くはなかった
笑って過ごした
ただ いつも 休みたかった
何かに酔っていたかった
歩き続けていくために
虚空の夢で構わなかった
それがゆめだとわかっていたから
本当とか
現実とか
未来とか
真実
、
とか
いらなかった
いらないはずだった
脱水終了のアラームがチェーンロックをいつも忘れる玄関先から忍び込む
今日のドアロックは忘れていない
鍵を忘れても大丈夫な
意外
外干しのおひさまの匂いが好きと
笑ったあの子に
それ埃の匂いとの化学反応なんだってって
どこで拾ったかわからないような返事
しなかったのが良かったのかもわからない
止めたもの
動き出すもの
どちらも苦しいものならと
動かす方を選んだのだから
奥歯で
潰す
舌
の
上
シャリ
……
中学生はみんなバカ。
馬と鹿にかこまれて
校舎に激突した思想が
さらさら血を流しているよ
先生の眼鏡はきっと
ブラジャーが透けて見えているのに
未来はまるで見えないんだね
夏だもの
中学生はみんなバカ。
女の子たちは
スカートの短かさで
男の子たち
皆殺しにするよ
夏だもの
中学生はみんなバカ。
日本語が空に溶けて
月がきれい
世界中のブラウスが揺れて
夏が終わる
比喩が飛躍しすぎると
花火が落ちる仕組み
つまり
半殺しです
今。
教科書に
二次元の友達がいて
放課後
四次元に消える
夏だもの
中学生はみんなバカ。
自転車を盗まれて
傘も盗まれて
液晶にヒビが入って
泣いている子がいるよ
テニスコートに転がっている
小さな青春
にわか雨
黒く
死んだふり
夏だもの
中学生はみんなバカ。
教室の窓から宇宙が見える
ミサイルが
ピンポイントで心臓に命中
優しい他人の言葉に
共感したことは一度もないです
夏だもの
中学生はみんなバカ。
あの子はあの子に影響受けて
あの子があの子になったのです
あの子にあの子が影響与えて
理科室
暗い廊下の前で
爆発したよ
夏だもの
中学生はみんなバカ。
非常階段で
月の光に刺されては
文学から
どんどん離れていく
白紙をひたすら読むような体験
芸術の秋なんて
どこにもないのか
なっ
冬がきたら
もっとバカになれるのに
大人だって
子供だって
みんな黙る季節
英語で喋れ
飛行機が止まって見えるならね
夏だもの
中学生はみんなバカ。
花壇に水をやり
方程式を解いても
人並みがわからない
選挙権より
10ギガ欲しい
今だけ
中学生は
校庭三週まわって
いつか
みんな
頭の中だけ
天才になってしまうんだね
馬も鹿もいなくなる
卒業するまで
君が君を束縛し続けるだろう
よく見ろよ
鉄棒が錆びている
戦闘機は
青い空を飛んでいる
白夜
真夜中にキッチンへ旅立ち
冷蔵庫の国境を越える
食べ残しのパイを頬張り
白夜の道を歩いていく
そこかしこで若々しい暴力が
ボールのように弾んでいる
(
聞く耳を持たない純粋さ)
道は続いていく
絶望的なほど遠くまで
どうして道など作ったのか
どうせ辿り着けないのに
(アスファ
(ルトの亀裂から
草が伸びて花を咲かせている)
私たちはずっと昔から
果たせないと分かっている約束に
「きぼう」などという
ふざけた名前を付けて
使えない遺伝子のように
子どもたちへ託してきた
(!
(みんな知っている
(それこそが
(不幸の種子である
ことを)
曇り空の下で
赤い色をした花だけが
世界からはみ出している
だから私は泣きながら
彼女を刈り取った
(大切なのは
(命じられる前に済ませること
(これで
(これからも続くだろう
道は)
白夜は)
うんざりするくらい)
(どこまでも
(いつまでも
涙が乾くまで
無色の空を見ている
鎌の刃に付いた血は
耐え難いほど
懐かしい香りがしている
優しい残響
路地裏の電柱の下にしゃがみこんで
空色の吐瀉物を眺めてる
パクパクと口を動かしてみる
ここから出たものは汚くも美しい
飛ぶ鳥であり枯れかけの花である
その生温かい声を拾い集める
無造作にポケットに突っ込むと
小銭とコンビニのレシートが音を立てた
錆びた看板の店の前には
欠けたプラスチック製の植木鉢に
名前の知らない植物が並び
アルコールとネオンを咀嚼している
ポケットは心臓くらいの重さになった
残った吐瀉物は風に吹かれていった
届けられることのない遺失物
夕闇がそれを見ている
懐かしい記憶のように、或いはこれから見る幻のように
路地裏を出た先の公園で
野良犬のように徘徊する老人を見ながら
ペンキの剥げたベンチに座る
もう残り少ない煙草に火をつけて月が出るのを待ち続けた
それは一瞬のような永遠
月は優しい残響
太陽の残り香のする遊具は静まり
薄く脱色されていく
街頭に集る虫たちも声をひそめた
煙草は美味くもないが
吐き出したという行為が目に見えることが重要だった
何も残らない残せないこの存在の
薄い雲の向こう月は響く
嫌いだった喧騒も実は羨望の裏返し
塗れたかった手垢は古い詩集で掻き集めた
街に溢れてる言葉には目を瞑って耳を塞いだ
涙が浮かぶのは煙が目に染みるからって
ヘビースモーカーになっていった
ポケットをまさぐって
空色の吐瀉物を取り出す
これは自分自身か最早わからない代物
すっかり温度を失い
手のひらを徐々に冷やした
ぎゅっと握りしめると
僅かな光が拳から漏れ出た
これは飛ぶ鳥であり枯れかけの花である
拳を開いたら電球が切れるように消えた
しかし消失でないのは知っていた
吐瀉物は空色の鉱石であった
それは飛ぶ鳥であり枯れかけの花であった
それは空を映す脈打つ心臓であった
それは温度のある獣の声であった
何度吐き出してもそれは空を映すだろう
汚くも美しい生命の色を
誰もいない公園を出て
切れた街灯の下、夜空を見上げれば
月は優しくを今を照らしていた
* メールアドレスは非公開
distance
かれは先月免許を取った
死んだらごめんね、と
冗談めかした笑顔でわたしを助手席に乗せ
2000年代のJ-POPを流しながら
海沿いを走らせていく
かれは10代のころ小説を書いていた
詩も読んでいたらしい
自殺するくらいなら詩でも書いたら、と
16歳も年上のわたしに
勧めてくれたのもかれ
かれは小説を悪く言う
詩のことは、もっと悪く罵る
やりたいことがあるんです
そう言って彼は大学に入り直した
友達はできた?
いいや、あんまり
どこに行くつもりなの?
さあ
エーッ、ちょっと怖いんだけど
はははは
もー
ねえわたしを
どこに連れていくの、
鴎かな
鴎だと思いますよ
海沿いを走っている
けど、ここは
目的地じゃないから
先日『ヒカルの碁』を読んだんです
良かったですよ
ぼくもあんな風に青春を生きたかったなあ
好きなこと見つけて
切磋琢磨して……
小説は好きじゃなかったの?
どうだったんでしょうね
当時の感情はもう思い出せなくて……
かれは10代のころ小説を書いていた
詩も読んでいたらしい
小説の世界から足を洗って
詩も読まなくなって、やっと
J-POPの歌詞を良いと
思えるようになったんです
ずっと生きやすくなりましたよ
わたしは
わたしは、39歳になった
わたしは、
何をしているのだろう
何を、したいのだろう
……これいつの曲?
多分、ちょうど10年前ですね、2007年
10年前の自分はもう見えない
かの女もわたしのことは見えていないだろう
それでもかの女よりなお若いかれと
結局どこに行くの?と、笑い合いながら
わたしは
新しい詩を
想像しはじめていた
開花
山を越えて
はるかにふたり。
父は死に
わたしはいきる。
ほんとうにだましたのは
どっち。
雪のように
怨念がつもる。
母の悪戯に
あなたの手がかさなり
わたしは女を
のみ込んだ。
激しく乳房を噛まれ
あなたに突き動かされて
薄紅色の
Baby―Gの文字盤が
わたしの咎を
計る。
わたしはどんどん
まあるい林檎になる。
苦しいような
間隙が
体にのこる。
円柱は
むなしくそこに立つ。
また一匹
蛇を
殺した。
まがいもの
あたしの11歳がニコニコする写真を破かれたのは、門前に立つ教団幹部が意地悪に準備していた通過儀礼だ。
立派に笑うあたしの写真が教団の広告になる頃には、酷く信者を苛め、新しく救いを求める無能な人々を束ねていた。
特別な存在ながらも、昼の間は凡人になりすまし仮宿で暮らす。
夜になると獣に戻り夜叉が跋扈する修行に救世を想った。
聡明な女たちに慈悲を説き、男性信者の前では決して笑いを纏わない女を選ぶ。
あたしに充てがわれた部屋へ閉じ込める。
天狗の面を挿入器具としてコンドームを被せ、ちんぽのように擦り付けてやるのだから濡れるに決まっている。
けれども、それは嘘だ、それは嘘だと、あたしの初潮を父親が瞬きを失くした顔で否定したように、女たちは信じない。
上等なまがいものだと見破りながらも、正義に溺れるというのに。
#09(回想タクシー)
焼け爛れた腹の底から礼を言うよ
(否定──、黙認、馬鹿野郎ふざけるな、という怒号
キャンディを舐めている
キャンディを
ミルキー・ウェイなキャンディで
気分宇宙旅行)
そして孤独
さびしいという感情を俺は知らない、
そもそも論さびしいがどういう状態を
こころの状態を指すのか、
俺は知らない
否──こころがわからない、そもそも論。) ガクッとオチる運転手
信号は赤
24時間、信号は赤
なーんだ、心臓か苺のことですか 週刊誌をめくる運転手
俺はフレディ・マーキュリーの動画を眺めている
すると
口のなか、一杯に練乳が放出されて耐えられなくて出しちゃった
(ごめん! 誰に謝っているんだろう、すいません! この罪悪感はどこからくるの?)
死んだ木を奏でていると、自分が多重化する、
ひとりがふたりになる
右と左になる
保守と改革が牽制しあって、ギターは奏でられる
フィ―――ド、バック・ギター!!
「兄ちゃん、なんやそんなけったいなもんもって、田舎じゃまるでチャカやがな」
タクシーが赤信号に飽きて発進
僕らはトラックにぶつかって粉々に砕け散った、
路傍に放り出される苺たち。私の死んだ国で買ったんだった、私の死んだ国で、俺──
兎だった。
人間の言葉?を、話せる虎達に食われてしまった兎だった。絶命の瞬間思い出した、
絶命の瞬間が、一番浄土に近いからか、色々なことが解ってはすぐに死んでいく。
(大学で哲学を専攻しつつ「脳病になる」といって辞めた正岡子規は晩年
それこそ死期が近づいたとき、あのときのわからなかった哲学がまっさらわかった、
と言ってのけただか、書いたりしていたそうである。参照先はない。参照なんてつける
偉く見せたがり屋じゃ、俺はない。)
なんの話だっけ?
そう、俺には臨死体験が三度ある。
仏に好かれる身を持ち辛い。
一度目は、時速三十キロの道を六十キロで飛ばしてきた自動車に轢かれた。
自転車は粉砕し、僕はスローモーションで中空を飛んだことを覚えている。
その日のデートは行けなかった。長い髪のあの娘の肌は白くて夜に栄えていた。
その透明性に触れることなく、ふられてしまった。果実。果実のように恥ずかしい。
二度目はK寮にいたとき、ジャック・ダニエルを半分飲んで眠ったのだが
煙草の火をしっかり消したのかどうか忘れた。夢のなか、僕は幽体離脱していた。
K寮は豪快に燃えていたので、嗚呼、これ死んだわ、と思った。
目を覚ますと、いつもの天井だったが、もうこれ以上酒を飲むのはやめようと考えた。
冷汗をかいていた。部屋の壁中が汗をかいていたのだ。煙草も濡れていたが今でも辞められない。
三度目の臨死体験は、過酷なギョーカイに入って不眠症になりながらも激務をつづけたことで、統合失調症の起因は多分このケースだと思う。三日眠れないで、三日眠れないと死ぬと思っていたが、医者には行かなかった。精神科の「せ」の字も知らなかったし、まさか自分が狂っていっているなんて信じられないくらい元気だったから。花が小指のようにうつくしかった。公園に向かい、一晩中花を見つめて過ごした。幻覚は道の起伏からはじまり、気づいたときには町全体が波打っていた。ドラゴンの地下活動だった。パートナーが田舎まで俺を送り届けてくれた。新幹線の中で俺ははっきりとヤハウェを見た。僕はあの町を去ることでドラゴンの地下活動は終わる、やった、俺は町を救ったんだ、と感涙の涙と笑顔でパートナーに「愛してる」と告げた。
彼女は黙ったまま何も言わなかった。
何の話をしているんだ?
本当の霊能力者、宮沢賢治さんとの魂の邂逅、家の北東のクーラーの中に住んでいる鬼の小僧、隠密、中島らもの幻影、南無阿弥陀仏に悪人正機説、ニルヴァーナの海賊版のライヴ版CDコレクション、carinという名の小さなギター、グッド・ウィル・ハンティングのDVD、磁場がおかしい場所に建っている家、スクラッチ音、ほったらかしのジャック・ダニエル、おくすりカレンダー(全然使っていない!!)、パートナーとの朝晩二回のTEL、ペロスピロン、タスモリン、リボトリール、それから労働。馬鹿だと思われたくないので何も喋らないで黙々体動かしてもうすぐ一年。最近出たラッキーストライクの新しい青い煙草良くね?アイコスいいけど高くね?
の、
中で僕は言葉を紡ぎつづける。
ストレス、
ストレスを食べて、
正しく体を壊してゆく、
反対、
ストレスに耐え、
正しく体を鍛えてゆく、
バランスだといえばそうだが
分裂とも言えそうだ、
星、
田舎から観る星はいいぜ。
夕焼けは都会人の絶命の赤い血なのさ、
凝り固まったその魂が星なのさ、
墓ばかりある
墓ばかりある
デイサービスばかりある
(サニーデイサービスばかりある、CDラック、クラック)
まるで人生のロードマップ
今走り抜けている道路そのものが人生じゃないか
原チャに乗ってる、
待ち侘びたTEL、
鳴らないBell。
次の一行の冒頭が俺の直感で
それにつづくフレーズが俺の理性だ、
スカッド、
スカトール、
便器に首を突っ込んで死ぬまで、
書きつづく、
涙に強く、
タフに、
しかしどうしようもなく脆弱なままで、
竹がしなって、
何か失って、
気づかないで。
忘れないで。
ほしかったのか
また言葉を書いている、
ここに一つの携帯がある。
きみの着信があった、
携帯がある。
きみを目覚めさせる為に、まずは僕が目覚めよう。
疲れたときに行くオタクショップ
平面に印刷されたフリルはやわらかさを感じることを強要してくる
どの方向へ目を背けても過重力に巨大な眼が私の横顔を覗き込んでくる
疲労が溜まったが故のほころびを災いにして
カラフルな髪らが私の中へとうねり這って侵入してくるのが見えてしまった
タンパク質で合成されていない 人間の肉身が拒絶反応で焼けていくのを感じる
色同士が混濁したそれは背反の津波
見られるためのものが見られることで攻撃をしかけてくる
内臓から遡ってきた髪の束が気道を詰まらせる
嘔吐しようにも穴が塞がっているから脳がはち切れ続ける
うふふ
どのむすめたちもがわらいながら
ショップへの階段はところどころタイルが剥げているのだが
意図的にか偶然にか それが結界を張る配置となっていて
他フロアからの空気の流入を阻害しているのだろう
普段は平気どころか楽しく通っていたのが信じられない
循環せずに煮詰められた空気は濃硫酸に近い
酸欠だったからこそ私は何も思わないまま彼女たちを消費する側に回れたのだ
今は私が彼女たちに消費される 使う側が使われる側に消費される
私の目はその冒涜的な状態を見て離さない
意識は解かれることのない呪縛だ
ふらふらと
歩くしかない
狭い通路を
競売にかけられる奴隷のように
両側からか細い腕が伸びて私を味見してくる
低い天井に頭をべろべろに舐められる
その度に私の肉身が削れていくのを感じ
私の体積は減っていく ゼロの厚さへと近づいていく
アイドルも女子高生もメイドも人外も
棚という棚という棚という棚に
隙間無く陳列されながら絶えず訴えてきた
買って買って私を買って
消費して消費して私たちを消費することで愛して
陵辱と化した欲求
お前たちは絡みついて木を枯らす蔦だ
その依存はもはや主従を覆している
縋り寄りよってくる彼女たちの爪は致死量の傷痕を簡単に残すことができるというのに
単行本はその圧倒的な紙の密度で逃げ場を潰してくる
缶バッチ同士はぶつかり合って冷たい喧噪を場に満たしてくる
大きすぎる瞳のその中にある黒目が
私以外を沈ませながら
キャラ
キャラ
キャラたちが笑う
キャラ
キャラ
キャラたちが笑顔を表す
キャラ
キャラ
キャラたちが描かれた笑顔を示してくる
キャラ
キャラ
キャラたちが人間によって描かれた笑顔を剥き出しにして見せつけてくる
Mein Sohn, was birgst du so bang dein Gesicht?
錆びたトタンの切れ端を腹に巻いた彼には、まだ、顔がなかった。二十もすぎて今更もう顔なんて要らないよォ、という。が、顔がないので当然、話すのにも口がない。にもかかわらず、「家に住むのに屋根がナインだよ」とでも言いたいそぶりで小指を一本失った右手を左手と揃えてパーをニギニギしてみせる。きっと自分の頭のなかが、世界中の誰もと同じだという類の酷く大きな勘違いをしているのだ。「トタンの切れ端が、アンタのいう『屋根がナイン』そのものだったのに」と、きっぱりとボクは本当のことを言ってやりたいのだが、彼はよく澄んだ秋空を両腕で大きく仰いで【魔王】の「♪かわいいぼうや ぼくのところへおいで 一緒に遊ぼうよ 楽しいよ!」のくだりをテレパシーで歌いはじめた。やがて哀しみの時間が一枚、そして一枚、硬い鱗を剥がすように相対論理言語の深い闇の淵へと落ちてゆく。「それでジジイと孫との近親相姦のホモってどうなの? ランボーとヴェルレーヌみたく、最後にはどうしよーもない刃傷沙汰の修羅場が待っていてさ」――あーん、バキューン! 「さきっちょ、ぺろぺろ」ということで、何? ボクの発言は恐ろしく真面目でユーモアなんて1ミリグラムも含まれちゃいない。また、作品に向かう姿勢を明確に定義している以上、参加者にもユーモアなど一切認めない。例えば、あのとき鳴海清も若かったが、むろん組織的には制裁を止めることなど出来なかった。二十歳の峠を越えたら十分「大人」である。それにたぶん、ここからは別の話になるのだが、軍部の連中の大半はといえば、志は高いのだが、いささか感情年齢が低すぎて困るのである。――あっ、言っちゃった。 削除だ! 削除! 旧帝国陸軍の悪口は言ってはいけなかった。じゃあ、戦後生き残った【あいつら】なんか錆びたトタンの切れ端を腹に巻くどころか商業用原発50基を地震の巣の真ちかくに建てて「ぜったい安全です」なんて言っているそばから数基が重大な事故を起こし、放射能ダダ漏れなのに平気で毎朝牛乳飲んでいるし、そりゃあもう諸外国からみたら核爆弾を腹に巻いて「やれるもんなら。やってみろ、バカ野郎」って感じで世界最終戦争へたった一人参加する可笑しなチンピラに他ならないわけだよな。だから結局、全世界に散らされた忍者だとか徳川家へ行きついちゃうんだけど、超ウラン核種を含む放射性廃棄物の消滅処理が可能になれば、【あいつら】は自分たちの未来の崇高な役割を知って少しばかり興奮するだろう。こうして、誰もが信じたものが奇怪な真実となって歴史は捏造され、赤字だらけの特殊法人等の隠れ家を知らない錆びたトタンの切れ端を腹に巻いた彼には、まだ、顔がなかった。
習慣の結像
殉教花被、燦々、暗澹たる季候下に
中世創造動物図鑑を
婦像柱の
臓内投影機が確かめ
開胸鏡への切離を棘の籾殻に露見している
地下階解剖つまり秘匿
硬き静物花を擱く
聖人機械、
自動恍惚装置としての瞬間
終端の運搬車輌
死を刻む、
刻む物象の死を
未死の神経-被覆繊維として
鹹き血漿時計を
静像-塑像とも均しく看過する地球像の影と影、
編成流刑地に欹てる
円錐鉄杭の拡声、伝達
植物模像-人体模像
その鋭角を飛翔する
私達それは血統の様に馨り
懐疑に産み乾され濫觴滑車を統べるもの
貨物車に倒れ
奴隷船に運搬を担う、愚人とは
錆鉄酸の地層を綯う向日葵を、
蟻酸拇指壜を湛えつ
戦慄く飢餓人物、孤燭と孤絶
成果と欺瞞
その恩讐を掻き別けつつ
視界内現象は
鈍い腐朽像へ
被磔刑者へ
残酷偽劇を移管遷移せしめ
惑溺を常とする瓦斯麻酔医が緋色の胸膜を覗く
階段から階段へ
峰から伝染病へ到るまでの現実を
死の鍵盤は軋みつつ
それら敬意を
簡素な映像投影機は鏡像裡に逆立ちて存続し
一般的堕落の少年は既に放縦な外世界よりの逃走を砥ぐだろう
#10(キープ・ザ・ローリン)
怖気づいた僕は呼ぶ、
お父さん、おとうさん!
ぬかるみはうつくしい蓮の華を咲かせた、
夏も終わり
終わったんだよ
恋焦がれている、オン・ザ・道路
説明書を読まなかったのかい
説明書は読めなかった、
日本語って難しくて
ぬかるみだろ、
ザクザクと裂かれて落ちる新聞紙
自由、
より甘い言葉知らないよ
この世、はあの世
否、
あの世でこの世は地獄だったって気づくのかなあ、
一切皆苦、瞑想のようにギターを撫でて、
ギターの愛液に蜂が寄ってきます
秋の蜂が寄ってきて、
その眼のなかに
すすきっぱらと秋津蜻蛉の群れが飛んでる。
僕はピーッとハーモニカの高い音を出す、
夕暮れ、
青春の終わり、
どこまで走れば。どこまで走れば人に会える?
いい人に、良い人に会いたい。
水晶世界の洞くつで死んだように眠る、
毎朝毎朝、夢をたべて生きる、
書けるよ、読めるよ
ともだちできるよ
人生変わるよ
ハハッ、すくいの言葉は苦行の顔を連れて
あお鯖のようにそれは煙ったい、
くすぐったい。
さやさやしているから、すやすやしているから
落葉のなかに宝物を隠してあります
それは死です
おとうさん、おとうさん!
詩ではありません、と忠告する詩人
飽和する粘菌、すすき野原に雪の気配、
お祭りがあります、
僕は労働しているのでいけませんから
人生をお祭りにするばかりです。
仮装しても
制服を着ても
正しい自分にかえるだけ、
だからといって裸になると捕まりますので、
川魚を釣って満足するのです、
電子タバコを吸って
満足するのです、
できっこないけれど、だからああ苛々する
あそこの樹に苛々する、
人間に苛々する、
自分に苛々して、
日々に苛々して、朽ちるときとても後悔しそうなので
寝室をきれいにして
キース・ジャレットを流して
一抹、
一抹の安心を中くらいまで大きくして、
鏡の向こうの鏡
出られそうか、
生きることが難しくって、
息ができれば奇跡だぜ──ボブ・ディラン
ヒートしていく自画像、凍傷で、
黒い色をぶちまけろ
夜の花より黒く!
一匹の蚊への謀殺が人生にオイルを塗ってしまう、
もがく!
ぬかるみ
信仰していますか、あなたは信仰していますか
行と信ならばどちらの座敷に座りますか、
このフェーズで
生きているだけでいいという境地に僕はいますが?
十五夜・寒露
十五夜
踊るだろう
光をふりながら
菓子を食べながら
ぶるぶると
頭をふってしまうだろう
満月がようやく震えている
光のような痛みを感じる草草の
震える手を取って
回転する椅子に座り
舞い踊る山伏たちの残像を
頭のなかでつなぎ合わせながら
食べた菓子のことを
未練がましく思い出している
わたしの
手に草を
草に手をさしのべる
寒露
沈むお餅のなかに
眠っている
あたためられて治癒される
たたなづく青垣
芽の奥で読みとおす一雫
遠方の岬が揺らめいている
日の出のころ
アベッグ変奏曲
マゾッホは支配者だった。
これほどの洞察力をもった倒錯者も少ないだろう。
仏陀が、実際に、仏像のとおりイケ面だったとは限らない。
たぶん、仏像はほとんど、ゴータマ王子ににていなかったのだろう。
いいじゃないか、にてなくても。
隣の家の、ベランダにほした布団が、風にたなびいている。
官能の傷を優しくなめてくる風よ。
他星からきた双子の魂である僕ら。
どいつこいつもも言葉で語りたがる。
けっ、男根主義者どもめ。
クリエイトすることは、これ以上ない精細さを必要とする。
俺は、梵天の足元に手を伸ばした。
火曜日にカーリーの名前を唱えるものは偉大な詩人になる。
集められたくしゃくしゃの紙くずは、くしゃくしゃにされたことに不快感を感じている。
古ぼけた娼家が、過去のものに見えた。
あらゆる真理は方便であり、このありのままの世界こそが法なんだよ。
荒き御霊よ、スサノオよ!
万有よ!
ある日、私は、月であった。
名もない、月の上のウサギたちは、星星と太陽の光を受けて不気味に私のまわりを飛び回っていた。
ある日、私は、風であった。
お嬢さんのスカートの中にはいって、スカートを捲り上げた。
それでも、痴漢でつかまることはなかったが、路上でお尻さわったオジサンは捕まった。
ある日、私は、ラブホテルのベッドであった。
数多くの、カップルが、私の上でパンパンやってのけた。
ある日、私は、黒人の飢餓地帯にうまれた少年だった。
兄弟はみんな、飢餓で死んだ。
お姉さんは、僕の見てる前で、犯されて殺された。
ある日、私は、戦場の戦死だった。
瀕死の仲間になくなくとどめを刺した。
ある日、私は、裕福な家の娘だった。
おまんこという言葉も18までしらずに育てられ、反動で過激なフェミニストになった。
ある日、わたしはさえない鉄道員のおじさんだった。
わたしが死んだとき、その立ち上る煙にむらがって来たカラスが骨をついばんだ。
それは、若いとき、食べた秋刀魚を焼いた煙そっくりだった。
どれほど多くの人が、ふとした瞬間に悲しそうな顔を見せるか。
シヴァよ!絶対無よ!
官能の美しい詩を書こうとすれば、悲哀な詩しかでてこない。
恋人ってみんなどこか苦しそうだね。
イエスが、復活したとき、一緒においてあった十字架がしゃべったらしい。
十字架はペニスだ。
ペニスは、独自の意志を持っている。
人体に比して小さいが、時に人体全体を支配しているのがペニスである。
昔、神は小人として地上にうまれ、三歩で全世界をまたいだ。
三日で復活した男がいるくらいだから、ありえないこともない。
ごめんなさい。声を聴くと淋しくなるので。。。勘弁してくださいね。
付き合いをさせていただいていた時は、本気でTさんを愛していました。
大好きでした。ごめんなさいね。服薬してるから赤ちゃんも産めないので。。。さようなら。
元気でいてね。
Kちゃんのこと思い出してたら狂おしくなってきて全身を悦楽が貫いた。
link
バス停に
つっ立っているあなたの
足元で咲く花々
蝶々を数える患者や
のらねこを撫でる女児から
ほどけたリボン
が、ふと
空に流れて
青年がニスを塗るように
憧れをなぞるぼくらは
遠いの?
遠いよ
遠くても
遠いから
会おうよ
待ち合わせは
夢のなかで見る夢
理由
人民に罪はあるのか
。
今の幸せの 、
政策的
な国民
の白痴化によって 、
キルケゴールの
希望を
見せ続け 、
人生を
買い物計画にして 、
絶望させないから
。
人間が
動物だから
。
食物連鎖
の弱肉強食の
世界しかないのに 、
民主主義とは
理念と
それにもとづく制度があります
。
言わ
ば 、
人間の理想 、
脳内妄想 、
共同幻想です 、
昔 、
カンボジアでの共同幻想 、
キャタピラー
が軋んだ音をたて 、
無数の頭蓋骨
を踏み潰しました
。
エゴイズム
の
元凶
は
文明 、
社会 、
テ
ク
ノ
ロ
ジー
。
格差 、
渇望 、
羨望 、
貧困 、
差別
。
教育を破壊せよ
。
ライフラインを粉砕しろ
。
知識人を殺せ
。
本を焼け
。
データーバンクを壊せ
。
政治家 、
官僚 、
企業家 、
医師 、
技術者 、
宗教家 、
芸能人 、
文明
の全容
。
殺せ 、
殺せ 、
皆殺
し
。
破
壊しつくせ
。
都市を消滅させろ
。
貴様等の生首
でウエディングケーキ
を作
ってやる
。
鉄斧で入刀 、
叩き割る
。
田園に苗を植えればいいんだ
。
誰もが 、
貧しくともかまわない
。
人民に罪はあるのか
。
きっと 、
動物である人間は罪であると思います
気に入らないハーブティーの詩
歩けば、植物の葉が降ってくる。
心は死んだように移ろい、
苦しみは息を切らしながら走る。
ティザーヌの色は変わる。
暗い青色が薄れていっても
ピンクになることは知らないが、
知らないのは待たないからだ。
「彼の気持ちは変わった。私にも変われというのだろうか。」
昔の信念は、氷上の回路。
溶けてしまえば、終わり。
「貴女はそれを許せますか?」
「赦すことで人は幸せになれるのなら、赦すしかないのだろうか。」
「生きることは枷、枷とは生きることの…」
全て散っても、
灰色になることは許せない。
小さなカップの中では好きになれないのも当然だろう。
移ろわないものはない。
それを人は虚ろと呼んだ。
「出来ることなら乾いた色を樹脂に浸したい。そしたら綺麗に戻るだろうか。」
袋に残った花弁を、
どうすることもできず紅いお茶を飲んでいる。
ただただ、もて余している。
別れ
もうどうしようもないような
三角と四角がいた
季節よりも花よりも
アイスクリームを愛していた
ふいに二人は夕暮れに出会ってしまった
取り返しのつかない金色に
どうしようもなく染まりながら
互いの涙をぬぐってやることができなかった
そんなありふれた二人の話
カーテンのレースが風にそよぐ音よりも
小さな声で君に話したかった
話してあげることができなかった
三角はもうダメだった
人間が取り決めた社会的なあれこれに
もう返事をすることができなかった
分かるだろうか
四角は別れを告げた
まるで、世界で一番
さよなら、が得意なやつみたいに
クールに決めなければならなかった
もうどうしようもないような
三角と四角がいた
一緒にいればたちまち癒えてしまうような
痛みを頑なに守り続けている
サリー
男にもらった 
ディアドロップのサングラス 
太陽が眩しすぎるせいでいつでもかけてた 
治す気のない不眠症 
ねえサリー 
そいつで隠してるんだろうね 

ストロベリードロップ吐き出す 
甘すぎて舐めてられない 
たばこに火をつけ紫色の煙にまかれる 
ゴミ箱行きになったのは 
ねえサリー 
君だったんじゃないだろうね 

この街を離れて遠くの国へ行きたい 
涙の筋が透き通るような頬を伝った 
生温いコーラの炭酸抜ける音 
二人だけの部屋で確かに聞こえた 
ねえサリー疲れているんだろうね 

お気に入りのサングラス 
踏みつけてコナゴナにした 
男と別れたから必要がなくなったの 
ねえサリー僕のことはなんとも思っていないんだろうね 

サクマドロップの缶をカラカラと振る 
甘いものが好きになった 
たばこは控えた 
ドロップはだんだん少なくなる 
前の男の声は忘れた 
僕が取って代わった 
ねえサリー 
ドロップを買いに久しぶりに街へ出かけようね 

遠くの国へ行くのはやめた 
必要なのは 
正確なメルトカル図法で描かれた本物の地図だ 
そして二人で次々と宝の箱を開けよう 
運命という世の中へ 
ねえサリー 
僕ら一緒に生きて行くんだろうね
風のためいき
初冬の初雪の舞う中
風が木立ちの間を勢いよくすり抜ける
山の頂きから頂きに掛けて
送電線の唸る音が聞こえる
人造湖は波打っている
一瞬ふわっとしたかと思うと
空は洗われ 雑木林は明るく広がる
すでに枯れた黒花エンジュから
スズメが生まれるように飛び立つ
突然 風はふっとためいきを漏らす
雪はまだ降っては いる
けれど 風のためいきとともにあたりは静止し
一枚の暖かく 白と黒の明るい絵となる
ふんわりとしたやさしい空間が生まれる
まだ間に合うかもしれない
だって風がやみ 風の吐息が感じられたから
するとまた パラパラと霙交じりの雪が
普通の呼吸に戻った風に押されて吹き付けた
とてつもない遠い山から山へと
木々の間を縦横無尽に吹き付ける風
じっと風を見回している私がいる
木の葉のように飛ばされたりはしない
風はまた ためいきを吐いて
落ち着くはずだ
線文字Aの女
血と、ローズダストの色彩が濃く染みた粗い石英の粒子。そしてジルコンを含んだ研かれた花崗岩の階段がつめたい光沢をともなって果てしなくオリンポスの山の頂から薄紫の色に滲んだ淡い雲の間にのびている。エーゲの海を見おろし、輝かしい青に散る島々の宮殿と天にまで届いた大理石の円柱。それらの、白い柱の側面にふかく刻まれた「線文字A」による神々の名前。沈黙したままの火山の島を眺め、眩しい光と異教の女たちの濡れた唇が、淫らな私の欲望を募らせる。肥沃な大地と紺碧との泡立つ水の境に、切立った今にも崩れそうな崖の、垂直に剥きだした土(テラロッサ)の赤と紫とを混ぜた逞しい地肌が、まるで目の前にいる一人の謎めいた女の底抜けに陽気で残忍な気性をあらわに露出させているかのようで少し怖かった。潮風のはこぶ甘い誘惑が虚空に目覚めを呼びおこす砕けた波の飛沫とともに、すでにテーブルにならんだクリスタルグラスへと、つまり半月状の薄切りの檸檬と女性器そのものを想わせる殻付きの生牡蠣を盛ったステンレス製の皿をまえに鈍く光る黒真珠の耳飾をした巻髪の女が笑うと、私は指を鳴らして若くハンサムなウェイターにワインを注がせた。
いつしか富と名声がテラス席を離れて、帆船のうかぶ海の小波に煌びやかな輝きを与えていた。食事のあと、白い壁と、白い階段のつづく町をふたり歩く。恐ろしく急こうばいの狭く不条理な坂道のそこかしこに、鮮やかなピンクのブーゲンビリアが植えられていた。「君は何を‥‥何をしたいのか? それとも‥‥」
「例えば、触媒核融合型のような純粋水爆なら複雑な国際間においてさえ小国の戦術核として眼を瞑ってもらえる可能性があるかも。しかもそれは戦争屋たちに絶好のビジネスチャンスを与えることになるわ」
「考えてもみて。自分たちをも殺しかねない大規模殺傷型の使えない兵器と、ピンポイントで確実に敵を殺す事の出来る小型軽量かつクリーンなそれとどちらに大勢客が付くかを」
夕日を浴びたネア・カメニの山は、しかし沈黙したままだった。世界とは、幾つもの文明によって支えられた戦いの神々の住まう家なのだ。いや、神々とは、隠された富と名声‥‥。女の手が、私の口を塞いだ。「戯言は止しましょう。――やがて訪れる漆黒の闇は、もしかして私たちにとっての秘密を覆うベールかもしれないわ」「OK、君と取引しよう、たとえ北半球の多くの国々を滅ぼすとしても‥‥」「そのまえに共に哀れな人間であることを互いに確かめたいわね」「ああ、同感だ」
この夜。けして私は、卑しい武器商人などではなかった。少なくとも、戦いの神であるアレウスの情婦のまえでは。
雨
夢の、
中に、
涙のような、
雨が降り、
洗われては
編まれる
私は、
晴れたもの、たちの
間を、縫って歩く、
この、踵が、
踏まれないように、
家族と言う、
句読点が、
白紙に、滲む、
ような、額は、
熱く
流れる、
この、水域は、
人が、見た、
ことによる、
毒に、
満たされて、
綺麗だ、
ゆめの、
中に、雨が降るから、
私は川になる、
私の、中を流れる、
川が、
貴方へと、
流れ出る、
時に、
台所に、
光が指して、
クレタ、の、
朝が、
どしゃぶりの、
ように、降る、
光に照らされて(太もも)
夜の底で最終電車を待つ
きみの太ももが
プラットホームの蛍光灯に照らされ
卵の黄身みたいにひかえめな金色で
輝いている
光り輝く二本のふくらみが
やけに神々しくて
もはや太ももであるとは
思えないほどだけど
でもやっぱり神々しいのは
それが太ももだからなのだろう
きみを照らす蛍光灯には
虫たちが群がっている
すぐ近くのきみの耳にまで届かないほどの
小さな羽音を立てながら
ぼくがそのなかの一匹のハエなら
味気ない蛍光灯のもとは去って
輝くきみの太ももへと飛んでいきたい
その眩いなだらかな丘の上で
這いずり回ることができたなら
ぼくは全身で
そのふくらみ
そのあたたかみ
そのなめらかな皮膚の微細な感触を
知ることができるだろう
そしてもしそのとき
きみがぼくをはたいてくれたなら……
粉々になったぼくの体の断片が
きみのそのきらめく肉体の上にへばりつき
もろいぼくの命は尽きる
そこに訪れるのはささやかな歓喜であり
小さな祝福であるに違いない
だってそれは
ぼくという闇がきみという光に
照らされて消えてしまった
それだけのことなのだから
ひにらや?やゆ る
君の腕を伝って
流れてくるしろいはな
花 君の腕を伝って 流れてくるはな はな 花 はなびら
はなびら/君の腕を伝って 流れてくる流されてくる 流れてくる君のはな 花 .,
はな 君の腕を伝って みず 伝うつたう
はなびら .
つたう伝う歌ううたうつたう
. 君の腕を伝って流れてくるししろい白いはな 流れてくる 流れてくる 流されてくる ながされてくる., ! 流される!る!る!る!階乗!
生きていないのでもうここにいなくていいです。夜は流体なのに動かないで凝り上の方には馬鹿/みたいに北極星が象/徴されている 記号でしかなかった君が紫の飴/細/工に加工された理由、閉じ込めておきたかったから ら ら 好き,
いなくなる前に教えてって言ったじゃん ., もう届かない知ってることをは/がれる 通り過ぎた会えないねもう もう会えないねきらいきらいきれいだよきみはきれい一人でいるときの の
の びりや びりやりやらり り
日に透かして見るのはお勧めできませんよ失明
します。花びらは毒です可溶だから水に
おめめちゃんが増えてしまい ます!
ええてる!いいかん じ!
流れる君の手を伝って 滴る匂い近い はな びら でした まだどこにも存在しなくて 暗い部屋を射してた てたよ しないから存在 もういなくならないでね固定されて、根
からみずを吸い上げてねからみずのね ,
鏡に吸い込まれてく 耳 が
花びらがかわいそうです
仮象のし シ
シ