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2017年02月分

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* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


全行引用による自伝詩。

  田中宏輔



 それはぼくの口をついて出たけれど、そのたびにまぎれもない呪いとしてできるだけ離れたところへ遠ざけ、忘れようとした。もっとも不当な予感だったし、書きつけることによって、それが現実のものになるのを恐れたからである。「ぼくたちには不幸が襲いかかる必要があったのだ」なんということだろう、ぼくの本が陽の目を見るためには、不幸が必要だったのだ。
(エルヴェ・ギベール『ぼくの命を救ってくれなかった友へ』75、佐宋鈴夫訳)

 鳥と会話することを学び、彼らの会話が想像を絶するほど退屈なことを発見した。風速、翼長、馬力対体重比、木の実の公平な分配のことしか話さないのだ。ひとたび鳥語を学んでしまうと、たちまち、空中には四六時中、馬鹿なおしゃべり鳥どもがいっぱいいることに気づくのだった。
(ダグラス・アダムス『宇宙クリケット大戦争』エピローグ、風見 潤訳)

 いわゆる模範的なもの、賞讃に値すると認められているものが、この世にいかに益をもたらさないかということ、いや、むしろ害があるといっていいくらいだということについて、いずれそのうちだれかが一冊の本を書く必要があると思う。
(ノサック『弟』2、中野孝次訳)

『こんなことをしたってなんにもなりはしない』のである。
(ノサック『弟』2、中野孝次訳)

まるでそんなことは一度も存在しなかったみたいに。
(ノサック『弟』2、中野孝次訳)

わたしに語れるのはけっきょく自分自身の体験だけだ。
(ノサック『弟』2、中野孝次訳)

〈われわれと愛する者のあいだには、誤解などいっさいない。ところが人間たちは、愛する者を想像ででっちあげ、ベッドをともにする生身の相手の顔にその仮面をかぶせるのだ〉
〈それが言語をもつ者の悲劇なのだ、わが友よ。象徴的な概念でしかおたがいを知りえない者は、相手のことを想像するしかない。しかも、その想像力が不完全なために、彼らは往々にしてあやまちをおかすのだ〉
〈もとはといえば、それが彼らの苦悩のみなもとだ〉
〈同時に、それは彼らの強さのみなもとでもあるのだろう。あなたの種族も、われわれの種族も、それぞれ独自の進化論的な事情にもとづいて、はるかに落差のある相手を伴侶にえらぶ。われわれはつねに、知性の点ではるかに劣った相手を伴侶とするのだ。人間たちはといえば、自分の優越性をおびやかしかねない相手を伴侶にえらぶ。人間の男女のあいだに葛藤があるのは、意思の疎通がわれわれに劣っているからではなく、彼らが相手と深く交流しているからなのだ〉
(オースン・スコット・カード『ゼノサイド』上巻・2、田中一江訳)

「誰もすんなり退場なんてできないのよ」ローラが静かに言った。「人生っていうのは、そういうふうにはできてないの」
(マイケル・マーシャル・スミス『ワン・オヴ・アス』第1部・6、嶋田洋一訳)

 どんなものも、過去になってしまわない限り現実味を持たない。それまではただの踊り回る影でしかないからだ。"今日"というのは冗談であり、偶発的で流動的だ。高らかに歌を歌うのは"きのう"だけだった。
(マイケル・マーシャル・スミス『ワン・オヴ・アス』第2部・13、嶋田洋一訳)

「でも」と彼はブルーノに言った。「もうぼくは以前のぼくではなかったんです。そして、二度ともとのぼくに戻ることはないでしょう」
(サバト『英雄たちと墓』第I部・1、安藤哲行訳)

(…)脳裏に残っていたのはとりとめのない言葉、ちょっとした表情や愛撫、そして柱の断片のように響いたあの見知らぬ船の憂鬱げな汽笛の音ぐらいのものだったが、ただ一つ、びっくりしたせいではっきり覚えていた言葉があった、その出会いのとき彼女は彼を見つめながらこう言ったのだ、
「きみとわたしには共通する何かがあるわね、とても大切な何かが」
 その言葉を耳にしてマルティンは驚いた、というのも、自分とこの並外れた人間とのあいだにいったいどんな共通点があるのかと思ったからだ。
(サバト『英雄たちと墓』第I部・3、安藤哲行訳)

彼は若く、おそらく(それはほとんど確かなことと言ってもいい)彼女が好意を寄せ、関係を持つことのできる最後の男だろう。大事なのは、そのことだけだ。もしも、後で彼女が男に嫌悪感を催させ、その脳裡にあった記念碑を破壊したとしても、そんなことはどうでもいい。なぜなら、その記念碑は彼女自身の外側にあるものだから。この男の考えや思い出が彼女自身の外にあるのと、同じことだ。そして、自分の外側にあるものなど、すべてどうでもいいではないか。
(ミラン・クンデラ『年老いた死者は若い死者に場所を譲ること』14、沼野充義訳)

ハヴェル先生は、伝聞や逸話もまた、人間そのものと同じく老化と忘却の掟に従うものだということをよく知っていた。
(ミラン・クンデラ『ハヴェル先生の二十年後』3、沼野充義訳)

 彼女が歩くとき、あの脚がまさしく何かを語っていることにもう注目していたのかね? きみ、あの脚がいってることがきみにきこえたら、きっと顔が赤くなるだろうよ。
(ミラン・クンデラ『ハヴェル先生の二十年後』8、沼野充義訳)

これは人生においてよくあることなのだが、私たちは満足しているとき、傲慢にも私たちに差し出される好機をみずから拒み、そのことでますます幸福な充足感を確かめようとするものだ。
(ミラン・クンデラ『ハヴェル先生の二十年後』10、沼野充義訳)

 神として、あらゆることを知って永遠に生きるというのは、存在のありかたとしてはかなり退屈なものに思える。すべての文章をおぼえている本を読むようなものではないか。読書の楽しさは不確定性にある──まだ読んでいない部分でなにが起きるかわからないということだ。神は、神であることにすっかり退屈しているにちがいない。だから、宇宙をもっとおもしろいものにするために時間を発明したのだ。
(ジェイムズ・P・ホーガン『ミクロ・パーク』26、内田昌之訳)

誰が、おまえを作ったか?
(フレデリック・ブラウン『未来世界から来た男』第二部・いとしのラム、小西 宏訳)

だれがきみを作ったかは知らないというのか?
(R・A・ラファティ『このすばらしい死骸』浅倉久志訳)

どういう意味があるのかしら?
(ジェフ・ヌーン『未来少女アリス』風間賢二訳)

(…)「数知れぬと言ってもいいが、この地上における一切の不幸のなかでも」と、エレディアは身振りをまじえ、宮殿の避雷針を見つめながら語る。「詩人の不幸ほど甚だしいものはないでしょう。さまざまな災悪よりいっそう深く苦しめられるばかりでなく、それらを解明するという義務も負うているからです」詩人はわめくような声で、自己弁護を続けた。自分も不平の声をあげていたにもかかわらず、修道士は聞き咎めて詩人のほうを見、おしゃべりをやめずに心のうちで思った、泣き虫だな、この男、自分の苦しみと馴れ合っている、いつも死を口にしながら、ひどく用心深く庭園の石段を降りる。
(レイナルド・アレナス『めくるめく世界』34、鼓 直・杉山 晃訳)

一度に考えることはひとつにしておけ。深淵(しんえん)にせまるには、そっと手探りで行くのだ。
(ブライアン・オールディス『外がわ』井上一夫訳)

 不安になって、ハーリーは部屋のなかをうろついた。寄(よせ)木(ぎ)細工の床が、彼の足どりの不安を反響する。彼はビリヤード室にはいった。矛盾する意図に板ばさみになった彼は、緑の布地の上の球を一本指で突きやった。白い球がぶつかって、離れた。心の動きもそのとおりだった。
(ブライアン・オールディス『外がわ』井上一夫訳)

そこで何かが彼女をマントルピースの上のチューブに目を上げさせた。
(ブライアン・オールディス『黙劇』井上一夫訳)

 暖かな日には窓を少しあけて、そよ風にカーテンをはためかせる。喘息患者の浅く不規則な呼吸のように起伏する、ふくれあがってしぼむそのカーテンは、凝視するものはみなそうであるように、彼女の人生を物語っているように見えた。ほかのカーテンやシェードやブラインドの背後には、もっと悲しい物語が隠されているのだろうか? ああ、そうは思えなかった。
(トマス・M・ディッシュ『334』334・第二部・12、増田まもる訳)

 一台の車というものは、ロッティがいくら呟いてみせたり不服を言ってみせたりしたところで、しょせん理解できないような、一つの生き方を表しているのだった。
(トマス・M・ディッシュ『334』334・第三部・21、増田まもる訳)

愛が彼女を狡猾にしていた。
(トマス・M・ディッシュ『334』334・第三部・24、増田まもる訳)

(…)そんな音に耳をかたむけ、外の美しい光景を眺めながら、ぼくは思った。
(このすべてが永久に失われてしまうのか?)
その問いに、どこからともなくアイネイアーの声が答えた。
(そう、このすべてが失われてしまうの。それこそが、人間であることの本質なのよ、愛しい人)
(ダン・シモンズ『エンディミオンの覚醒』第一部・10、酒井昭伸訳)

「ぼくはいまその原因について、かなり思い当たることがあるんだ」と彼はおもおもしげにいった。
 そういうのは当たり前の話だが、その思い当たることというのが、一時間ののちには、別の考えになるかもしれないのだ。
(ジョン・ウィンダム『ポーリーののぞき穴』大西尹明訳)

そんなこと、ぼくの知ったことかい?
(ジョン・ウィンダム『ポーリーののぞき穴』大西尹明訳)

ジミーをいらいらさせるのは、そういうこまかい話である。
(ジョン・ウィンダム『ポーリーののぞき穴』大西尹明訳)

だが、フェリシティ・フレイにはそうさせるな。
というのは、きょうはきのうの一部だからだ。そしてきのうときょうとは、生きていることの一部なのだ。そして生きているということは、それぞれの日が大時計の振り子のように、カタン、コトン、カタン、コトンと過ぎて行くだけのことではない。生きているということは、なにかずうっとつづいていて、くり返しをしないものである。(…)
(ジョン・ウィンダム『野の花』大西尹明訳)

(…)彼はもの憂げにもう一度あたりを見まわした。「もっとしばしば町に来るべきだな。人間は飽食していると、他の喜びをすっかり忘れてしまいがちだ」ため息をつく。「ビリー、おまえにわかるか? 大気に満ち満ちているものが?」
「なんでしょうか?」サワー・ビリーはいった。
「生命だ、ビリー」ジュリアンの微笑は彼をからかっていたが、ビリーはどうにか微笑を返した。「生命と愛と欲望、豊富な食物と豊富なワイン、豊かな夢と希望だ、ビリー。それらすべてがわれわれの周囲に渦巻いている。可能性だ」彼の目がぎらぎらと輝いた。「美人ならいくらでもいるというのに、どうして通りすぎていった美人ひとりを追わねばならないのだ? 答えられるか?」
「わたしには──ミスター・ジュリアン、わたしにはわかりません」
「そうだろう、ビリー、おまえにはわかるまい」ジュリアンは笑った。「わたしの気まぐれが、これらの家畜どもの生であり死なのだ、ビリー。おまえが心からわれわれの一員になりたいと思うなら、そのことを理解しなければならない。わしは快楽だ、ビリー、わしは力だ。そして現在のわしの本質、快楽と力の本質は、可能性のうちに存在するのだ。わし自身の可能性は広大であり、無限である。われわれの歳月が無限であるように。だが、家畜どもにとってわしは、彼らのあらゆる希望と可能性の終わりなのだ。
(ジョージ・R・R・マーティン『フィーヴァードリーム』10、増田まもる訳)

 だが、やがて不安感がしだいに頭をもたげてきた。漠然とした、どこかおかしいという感覚が生まれ、見慣れた事物が新たな姿をとるようになった。
(ジョージ・R・R・マーティン『フィーヴァードリーム』12、増田まもる訳)

急にそれらの言葉がまったく新しい意味を帯びた。
(ジェイムズ・P・ホーガン『仮想空間計画』34、大島 豊訳)

(…)あの午後の静けさの中、下を流れる川の穏やかな呟きを耳にしながら、彼は雲が予言者の顔、雪原を進むキャラバン、帆船、雪の入江と絶え間なく変身する様子を眺めていた。あのときはすべてが安らかで穏やかだった、そして、まるで目覚めのあとの空ろなぼんやりとした瞬間のように、静かな快さに包まれて彼はアレハンドラの膝の上で何度も頭の位置を変えながら思っていた、項(うなじ)の下に感じる彼女のからだはなんて柔らかく、なんて優しいんだろうと、そのからだは、ブルーノが言うには、肉体以上の何か、細胞や筋組織、神経でできた単なる肉体以上に複雑で曖昧なものだった、なぜなら、それは(マルティンの場合には)すでにもう〈思い出〉でもあったからだ、そのため、死や腐敗から守られたもの、透明で儚(はかな)いとはいえ永遠性、不滅性を具えた何ものかであったのだ、それはミラドールでトランペットを吹くルイ・アームストロングであり、ブエノスアイレスの空や雲、(…)コメガの二階のバーから眺めたブエノスアイレスの屋根であった。そうしたものすべてを彼は柔らかな脈うつ肉体から感じたのだ、たとえその肉体が湿った土塊やみみずに引き裂かれる運命にある(というのはブルーノの典型的な考え方)とはいえ、そのときには彼は一種の永遠性を垣間見させることになったのだ、なぜなら、これもいつかブルーノが彼に言うことになるが、わたしたちはそんなふうにして、このもろい死すべき肉体を通して、永遠を仄かに見ることができるように作られているからである。そして、そのとき、彼が溜息をつくと、彼女は『どうしたの?』と訊いた。彼は『何も』と答えたが、それはわたしたちが《ありとあらゆること》を考えているときにする返事と同じものだった。
(サバト『英雄たちと墓』第II部・4、安藤哲行訳)

「困難なことが魅惑的なのは」とチョークは言った。「それが世界の意味をがらりと変えてしまうからだよ」
(ロバート・シルヴァーバーグ『いばらの旅路』1、三田村 裕訳)

 ロナの足がロナ自身に告げた。アーケードへ行って、この雪の夜の光とぬくもりに包まれながら、しばらく歩きまわろう。
(ロバート・シルヴァーバーグ『いばらの旅路』4、三田村 裕訳)

 一九三〇年一月の末、カピタン・オルモスでの休暇を終え、カンガージョ通りの下宿に荷物を置くと習慣からほとんど機械的にカフェ・ラ・アカデミアに向かった。なぜそこに出かけたのか? それはカステジャーノスが、アロンソが一日中延々とチェスをやっているのを見るため。いつものことを見るためだった。そのときはまだ、理解するに到っていなかったからだ、習慣は偽りのものであり、わたしたちの機械的な歩みはまったく同じ現実に導くとは限らないということを、なぜなら、現実は驚異的なものであり、人間の本性を考えれば、長い眼で見れば、悲劇的でもあることにまだ気づいていなかったからだ。
(サバト『英雄たちと墓』第IV部・3、安藤哲行訳)

彼の精神は死後でさえ、わたしの精神を支配しつづけている。
(サバト『英雄たちと墓』第IV部・3、安藤哲行訳)

(…)そして彼女はフェルナンドのそんな仕草をもどかしそうに待っていたみたいだった、まるでそれが彼の愛情の最大の表現ででもあるかのように。
(サバト『英雄たちと墓』第IV部・3、安藤哲行訳)

人間のもっとも親密な部分に向かう道は常に人や宇宙を巡る長い周航にほかならない
(サバト『英雄たちと墓』第IV部・3、安藤哲行訳)

 教会の鐘が一度だけ鳴り、なにか不思議なやり方で、それが風景全体を包みこんだように見えた。ジョンにはその理由がわかり、心臓が跳びあがった。鐘の主調音から切れ切れにちぎれたぶーんと鳴る音の断片がこれらの色になったので、基本的なボーオオオンという音は白のままだ。さまざまな色がぶーんと鳴り、渦巻いて、神の白色となり、分かれて、もう一度戻ってくる。なんであれ、神はそれとどんな関係があるのだろう? いや、ここのローマでは、そんなことをいってはいけない。(…)
(アントニイ・バージェス『アバ、アバ』4、大社淑子訳)

想像力は、魂の一部じゃないのか?
(アントニイ・バージェス『アバ、アバ』6、大社淑子訳)

「きみのいってることがわかったらいいのになあ」
(アントニイ・バージェス『アバ、アバ』6、大社淑子訳)

「自分の良心に耳を傾ければ、答えてくれるはずだよ」
「神の声のように静かに囁く声のことですか」
「ように、ではないよ、メグ。良心は神の声そのもの、内部に宿る聖霊の声だ。聖霊降臨祭のための集祷文には、全てのことに正しい判断ができますようにと祈る箇所がある」
 メグは穏やかな口調で食い下がった。「でも、その声が自分の声ではないと、自分の潜在的な欲求ではないとどうしてわかるのでしょう。その声の言っていることは、自分の体験、個性、遺伝体質、内的欲求を通して考え出されたものにちがいありません。人間は自分の心の策謀と欲望から自由になれるものなのでしょうか。自分が一番聞きたいと思っていることを良心が囁くということはありませんか」
「私の場合はそういうことはなかったね。良心は大体の場合、私の希望に反した方向に指し示した」
「あるいは、その時、自分の希望だと思い込んでいたこと、かもしれませんね」
 だが、これは食い下がり過ぎだった。コプリー氏は静かに坐ったまま、古い説教や法話、よく使う聖句からインスピレーションを得ようとしているのか、せわしなくまばたきした。ちょっと間を置いてから、彼は言った。「良心を楽器、たとえば弦楽器として考えるとわかりやすいと思うね。伝える内容は音楽にあるわけだが、楽器をいつも修理して、定期的にちゃんと練習しないと、まともな反応は得られない」
 メグはコプリー氏がアマチュアのヴァイオリニストだったことを思い出した。今は手のリューマチがひどくて、ヴァイオリンを持つどころではないが、楽器は隅のタンスの上に今もケースに入ってのっている。
(P・D・ジェイムズ『策謀と欲望』第六章・51、青木久恵訳)

(伯爵夫人に向かって)おまえが"宇宙の魂"と呼ぶものについて、わたしが、あの独裁者が自分自身のことを知っている以上に、よく知っているとは、思わなかったのかね? おまえのいう"宇宙の魂"だけでなく、多数のもっと下位の諸力も、その気になれば、マントのように人間性を着るのだよ。そういうことは、われわれほんの二、三の者にしか関係ない場合もあるがね。とにかく着られているわれわれは自分は自分のままだと思っているから、めったにそれに気づくことはないが、他人から見れば、やっぱり創造神(デミウルゴス)であり、慰め主(パラクリート)であり、悪魔王(フイーンド)であるのだ。
(ジーン・ウルフ『調停者の鉤爪』24、岡部宏之訳)

 彼女は低い天井を見つめていた。わたしはそこにもう一人のセヴェリアンがいるように感じた。ドルカスの心の中だけに存在する、優しくて気高いセヴェリアンが。他人に最も親しい気分で話をしている時には、だれもが、話し相手と信じる人物について自分の抱いているイメージに向かって、話をしているものだ。
(ジーン・ウルフ『警士の剣』10、岡部宏之訳)

 水が笑い声を立てている川のほとりで、われわれがいかに真剣だったか、少年の濡れた顔がどれほど真剣で清潔だったか、その大きな目の睫にたまった水の雫がいかに輝いたか、それを描写できればよいのだが。
(ジーン・ウルフ『警士の剣』17、岡部宏之訳)

 死の十年前、フロイトが人間を総括して何と言っているか、御存じになりたくありませんか? 「心の奥深くでこれだけは確かだと思わざるを得ないのだが、わが愛すべき同胞たる人間たちは、僅かな例外の人物を除いて、大多数がまず何の価値も持たない存在である。」今世紀の大半にわたって大部分の人たちから最も完全に近く人間の深奥を理解した人と認められている人物の言がこれなのです。いささか当惑せざるを得ないのじゃないでしょうか?
(ジュリアン・バーンズ『フロベールの鸚鵡』10、斎藤昌三訳)

 彼がわたしに望んでいたのは、もちろん、できる限り彼のように書くということなんです。こういう自惚れを持った作家たちはこれまでにもよく見かけたものよ。卓越した作家であればあるほど、この種の自惚れがはっきりしたものになりがちなようね。彼らは、誰もが自分と同じように書くべきだと信じているんです。もちろん、自分と同じように書けはしまいが、(…)
(ジュリアン・バーンズ『フロベールの鸚鵡』11、斎藤昌三訳)

 ナポレオンは死の直前、ウェリントンと話がしたいと願った。ローズヴェルトに会いたいという、常軌を逸したヒトラーの懇願。体から血を流しながら、一瞬でいいからブルータスと言葉を交わしたいと願ったシーザーのいまわのきわの情熱。
 自分を破滅させた相手の胸にはなにがあるか?
(オースン・スコット・カード『キャピトルの物語』第一部・4、大森 望訳)

人の心の邪まな情熱だけが、永く残る印象をきざむことができるのです。これに反して、善い情熱はいいかげんな印象しかのこしません。
(アルジャノン・ブラックウッド『妖怪博士ジョン・サイレンス』邪悪なる祈り、紀田順一郎訳)

「ガラス魔法がなくてもゴブリンに変わる人もいるのよ」とフロー伯母さん。「まっとうな世界よりも壊れた世界のほうが好きな人たち。そういう人たちは、自分たちだけが壊れていることに耐えられないのよ」
(ジェイムズ・P・ブレイロック『魔法の眼鏡』第十四章、中村 融訳)

人間は、自分の才能(ちから)を生かせる場所に行くしかない。
(オースン・スコット・カード『神の熱い眠り』3、大森 望訳)

「ポール」と彼女はもう一度わたしの名を呼んだ。それは新しいわたしにも古いわたしにも手の届かない、いや、わたしたちを形作った長官たちの目論見も手の届かない、彼女の心の奥底からのせつない希望の叫びだった。わたしは彼女の手をとっていった。
(コードウェイナー・スミス『アルファ・ラルファ大通り』浅倉久志訳)

いまやどんなことも起こりうる。
(コードウェイナー・スミス『アルファ・ラルファ大通り』浅倉久志訳)

すべての物事が新しく生まれ変わる前には。
(コードウェイナー・スミス『アルファ・ラルファ大通り』浅倉久志訳)

別の雲。
(コードウェイナー・スミス『アルファ・ラルファ大通り』浅倉久志訳)


五十雀

  玄こう


山へと渡る四十雀
わだちにかたまる
ユウスゲの
アケスゲ射す陽春
訊ねてまわる小鳥ら
喜怒哀楽をしのばせ
ヒョリヒョリ流れるくちばし
妻楊枝も
針刺しも
息つくカノン

ひっそりした町に居て
陽に誘われた春雨が
沢のトンネルをくぐり
一面の桜花を祓いつ
行き交う鳥らはつらなり
つらなる空へと羽ばたく
立ち止まった景色はいつも
私の故郷だったから
後につられていつしか空へと渡った

ほんの僅かな時を残し
彼岸の不帰(ほととぎす)
はもうとっくに暮れた
陽春不帰
よこつらを
ラムゼイルイス・トリオ


音身体の隅々へ
行き渡らせ
歯にくるむ
往復ピンタのカマ
くぐもるラジオ
クロードチアリ
疲れた雛壇を
飾りなおす少女が
華やぐ歌の
白い洞窟が
陽光の差す
小型の風に
煽られ
桃尻と
海月を隠し
太く静かに息をする
蝋燭の火が
音もたてずに揺れる
弾む毬もエプロンも
オタマジャクシも
せせらぎ
きをひかせてコヨーテ
のお貌もぺっちゃんこ
かぶってこちへおいで
スライドしていくから
何故だろうか?
口から流れでた
肌を抜けていく


Another Day。

  田中宏輔



別の少女
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[3]・IV、鈴木克昌訳)

別の男の子
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第二部・15、茂木 健訳)

別の世界
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[4]・I、鈴木克昌訳)

別の場所
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[4]・I、鈴木克昌訳)

別の誰かの夢

(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[4]・I、鈴木克昌訳)

別の小路
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[4]・I、鈴木克昌訳)

別の国や別の地方
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[4]・I、鈴木克昌訳)

別のもの
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[4]・I、鈴木克昌訳)

別の言葉
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[4]・I、鈴木克昌訳)

別の見方
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[4]・I、鈴木克昌訳)

別の人間
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[4]・I、鈴木克昌訳)

別の問題
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[4]・I、鈴木克昌訳)

別の階段
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[2]・III、鈴木克昌訳)

別の場所
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[2]・III、鈴木克昌訳)

別の手段
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[2]・IV、鈴木克昌訳)

別の方向
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[2]・III、鈴木克昌訳)

別の扉
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[2]・III、鈴木克昌訳)

別の人間
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[2]・IV、鈴木克昌訳)

別の形
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[2]・IV、鈴木克昌訳)

別のあるもの
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[2]・IV、鈴木克昌訳)

別の理由
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[2]・IV、鈴木克昌訳)

別の人
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[2]・IV、鈴木克昌訳)

別の意味
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[3]・I、鈴木克昌訳)

別の場所
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[3]・II、鈴木克昌訳)

別の種類
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[3]・II、鈴木克昌訳)

別の考え
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[3]・II、鈴木克昌訳)

別のブロック
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[3]・III、鈴木克昌訳)

別の頁
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[3]・III、鈴木克昌訳)

別の場合
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[3]・II、鈴木克昌訳)

別の文字
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[3]・IV、鈴木克昌訳)

別の通り
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[3]・II、鈴木克昌訳)

別の夢
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[3]・IV、鈴木克昌訳)

別の物
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[3]・IV、鈴木克昌訳)

別の感情
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』I・[3]・III、鈴木克昌訳)

別のところ
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第一部・2、茂木 健訳)

別のルール
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第一部・2、茂木 健訳)

別の星
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第一部・5、茂木 健訳)

別の手
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第一部・6、茂木 健訳)

別の椅子
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第一部・7、茂木 健訳)

別のアーチ
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第一部・7、茂木 健訳)

別の筋(すじ)
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第二部・10、茂木 健訳)

別の方法
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第二部・10、茂木 健訳)

別の砂漠
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第二部・12、茂木 健訳)

別の生活
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第二部・13、茂木 健訳)

別の反応
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第三部・15、茂木 健訳)

別の仕事
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第三部・17、茂木 健訳)

別のベッド
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第三部・17、茂木 健訳)

別のなにか
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第三部・19、茂木 健訳)

別の質問
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第三部・20、茂木 健訳)

別の問題
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第五部・33、茂木 健訳)

別の脳細胞
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第五部・28、茂木 健訳)

別の考え
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第五部・28、茂木 健訳)

別のこと
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第六部・35、茂木 健訳)

別の人格
(R・C・ウィルスン『連環宇宙』第二章・5、茂木 健訳)

別のいい方
(R・C・ウィルスン『連環宇宙』第四章・2、茂木 健訳)

別のテーブル
(R・C・ウィルスン『連環宇宙』第五章、茂木 健訳)

別の話
(R・C・ウィルスン『連環宇宙』第五章、茂木 健訳)

別の鍵
(R・C・ウィルスン『連環宇宙』第二十四章・2、茂木 健訳)

別の意味
(R・C・ウィルスン『連環宇宙』第二十四章・2、茂木 健訳)

別の物語
(R・C・ウィルスン『連環宇宙』第二十七章、茂木 健訳)

別の人生
(R・C・ウィルスン『連環宇宙』第三十二章、茂木 健訳)

別の歴史
(R・C・ウィルスン『連環宇宙』第三十二章、茂木 健訳)

別の生き物
(R・C・ウィルスン『連環宇宙』第三十二章、茂木 健訳)

別の声
(R・C・ウィルスン『時間封鎖』上、茂木 健訳)

別の声
(スティーヴン・キング『霧』8、矢野浩三郎訳)

別の時と場所
(スティーヴン・キング『霧』5、矢野浩三郎訳)

別の男
(スティーヴン・キング『霧』4、矢野浩三郎訳)

別の箱
(スティーヴン・キング『霧』4、矢野浩三郎訳)

べつの避雷針
(スティーヴン・キング『霧』6、矢野浩三郎訳)

別のビール
(スティーヴン・キング『霧』10、矢野浩三郎訳)

別のネズミ
(スティーヴン・キング『ジョウント』大村美根子訳)

別の客
(スティーヴン・キング『ジョウント』大村美根子訳)

別の考え
(スティーヴン・キング『ジョウント』大村美根子訳)

別の心
(スティーヴン・キング『ジョウント』大村美根子訳)

別の車
(スティーヴン・キング『ジョウント』大村美根子訳)

別の惑星
(スティーヴン・キング『ジョウント』大村美根子訳)

別のもの
(スティーヴン・キング『トッド夫人の近道』山本光伸訳)

別の要素
(スティーヴン・キング『トッド夫人の近道』山本光伸訳)

別の女
(スティーヴン・キング『トッド夫人の近道』山本光伸訳)

別の美しさ
(スティーヴン・キング『トッド夫人の近道』山本光伸訳)

別の眼鏡
(スティーヴン・キング『しなやかな銃弾のバラード』山本光伸訳)

別の人間
(スティーヴン・キング『しなやかな銃弾のバラード』山本光伸訳)

別の部分
(スティーヴン・キング『しなやかな銃弾のバラード』山本光伸訳)

別の部屋
(スティーヴン・キング『ウェディング・ギグ』山本光伸訳)

別のやり方
(スティーヴン・キング『入り江』山本光伸訳)

別の声
(スティーヴン・キング『入り江』山本光伸訳)

別の眼
(スティーヴン・キング『やつらの出入口』高畠文夫訳)

別のもの
(スティーヴン・キング『人間圧搾機』高畠文夫訳)

別の部屋
(スティーヴン・キング『子取り鬼』高畠文夫訳)

別のレコード
(スティーヴン・キング『トラック』高畠文夫訳)

別の男
(スティーヴン・キング『やつらはときどき帰ってくる』高畠文夫訳)

別の何か
(スティーヴン・キング『呪われた村〈ジェルサレムズ・ロット〉』高畠文夫訳)

もう一つ別の声
(スティーヴン・キング『呪われた村〈ジェルサレムズ・ロット〉』高畠文夫訳)

別のもの
(パトリシア・ハイスミス『ヒロイン』小倉多加志訳)

別の本
(パトリシア・ハイスミス『ヒロイン』小倉多加志訳)

別の人間
(パトリシア・ハイスミス『アフトン夫人の優雅な生活』小倉多加志訳)

別の階段
(パトリシア・ハイスミス『アフトン夫人の優雅な生活』小倉多加志訳)

別の場所
(パトリシア・ハイスミス『モビールに艦隊が入港したとき』小倉多加志訳)

別の場所
(ジョン・ランチェスター『最後の晩餐の作り方』夏、小梨 直訳)

別の例
(ジョン・ランチェスター『最後の晩餐の作り方』春、小梨 直訳)

別の意識の世界
(ジョン・ランチェスター『最後の晩餐の作り方』夏、小梨 直訳)

別の言い方
(ジョン・ランチェスター『最後の晩餐の作り方』秋、小梨 直訳)

別の機会
(ジョン・ランチェスター『最後の晩餐の作り方』秋、小梨 直訳)

別の目的
(ジョン・ランチェスター『最後の晩餐の作り方』秋、小梨 直訳)

別の目的
(ジョン・ランチェスター『最後の晩餐の作り方』秋、小梨 直訳)

別の角度
(ジョン・ランチェスター『最後の晩餐の作り方』冬、小梨 直訳)

別の方向
(アンナ・カヴァン『われらの都市』I、細見遙子訳)

別の船
(アンナ・カヴァン『あらゆる悲しみがやってくる』細見遙子訳)

別のとき
(アンナ・カヴァン『ベンホー』細見遙子訳)

別の場所
(アンナ・カヴァン『輝しき若者たち』細見遙子訳)

別の力
(アンナ・カヴァン『輝しき若者たち』細見遙子訳)

別の不幸
(フリーマントル『フリーマントルの恐怖劇場』第3話、山田順子訳)

別の広間
(フリーマントル『フリーマントルの恐怖劇場』第3話、山田順子訳)

別の子
(フリーマントル『フリーマントルの恐怖劇場』第2話、山田順子訳)

別のところ
(フリーマントル『フリーマントルの恐怖劇場』第7話、山田順子訳)

別の音
(ホイットリー・ストリーバー『ラスト・ヴァンパイア』10、山田順子訳)

別の声
(ホイットリー・ストリーバー『ラスト・ヴァンパイア』14、山田順子訳)

別の世界
(ホイットリー・ストリーバー『ラスト・ヴァンパイア』18、山田順子訳)

べつの世界
(スティーヴン・バクスター『タイム・シップ』上・第三部・10、中原尚哉訳)

べつの入り口
(スティーヴン・バクスター『タイム・シップ』上・第三部・14、中原尚哉訳)

べつのきみ
(スティーヴン・バクスター『タイム・シップ』上・第三部・5、中原尚哉訳)

べつの可能性
(スティーヴン・バクスター『タイム・シップ』上・第三部・10、中原尚哉訳)

べつのとこ
(ロバート・ブロック『かぶと虫』仁賀克雄訳)

別の理論
(ロバート・ブロック『未来を抹殺した男』仁賀克雄訳)

別のもの
(ル・クレジオ『アザラン』豊崎光一・佐藤領時訳)

別の場所
(ル・クレジオ『アザラン』豊崎光一・佐藤領時訳)

別の部分
(ダン・シモンズ『夜の子供たち』上・17、布施由紀子訳)

別のドア
(ダン・シモンズ『夜の子供たち』上・17、布施由紀子訳)

別のもの
(グラント・キャリン『サターン・デッドヒート』1、小隅 黎・高林慧子訳)

別の人間
(グラント・キャリン『サターン・デッドヒート2』第二部・7、小隅 黎・高林慧子訳)

別の出入口
(キリル・ボンフィリオリ『チャーリー・モルデカイ1』4、三角和代訳)

別の約束
(キリル・ボンフィリオリ『チャーリー・モルデカイ2』11、三角和代訳)

別の酔っ払い
(アンリ・ミショー『日本における一野蛮人』小海永二訳)

別のもの
(ヴァージニア・ウルフ『自分だけの部屋』6、川本静子訳)

別の力
(バリントン・J・ベイリイ『時間帝国の崩壊』9、中上 守訳)

べつの詩
(リチャード・マシスン『下降』小田麻紀訳)

別の銀行支店長
(キリル・ボンフィリオリ『チャーリー・モルデカイ4』X、三角和代訳)

別の学生
(キリル・ボンフィリオリ『チャーリー・モルデカイ4』XI、三角和代訳)

別の目
(キリル・ボンフィリオリ『チャーリー・モルデカイ4』XX、三角和代訳)

別の社員
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第一部・4、茂木 健訳)

別のリスト
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第一部・5、茂木 健訳)

別の考え方
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第一部・8、茂木 健訳)

別の人間
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第一部・8、茂木 健訳)

別の誰か
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第一部・8、茂木 健訳)

別の隠喩(メタフアー)
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第一部・8、茂木 健訳)

別のこと
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第一部・11、茂木 健訳)

別の意味
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第一部・11、茂木 健訳)

別の質問
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第二部・12、茂木 健訳)

別の会話
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第二部・12、茂木 健訳)

別のもの
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第二部・13、茂木 健訳)

別の声
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第二部・14、茂木 健訳)

別の車
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第二部・14、茂木 健訳)

別の問題
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第二部・17、茂木 健訳)

別の露天商
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第三部・18、茂木 健訳)

別の店
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第三部・18、茂木 健訳)

別の担当者
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第三部・20、茂木 健訳)

別のデッキチェア
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第三部・21、茂木 健訳)

別の人生
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第三部・23、茂木 健訳)

別の本
(R・C・ウィルスン『アブラハムの森』1、茂木 健訳)

別のアンデルセン
(R・C・ウィルスン『アブラハムの森』2、茂木 健訳)

別の遊び方
(R・C・ウィルスン『アブラハムの森』2、茂木 健訳)

別の次元

(R・C・ウィルスン『アブラハムの森』3、茂木 健訳)

別のところ
(R・C・ウィルスン『ペルセウス座流星群』茂木 健訳)

別の声
(R・C・ウィルスン『ペルセウス座流星群』茂木 健訳)

別の収穫
(R・C・ウィルスン『街のなかの街』茂木 健訳)

別の道
(R・C・ウィルスン『観察者』茂木 健訳)

別の楽しみ
(R・C・ウィルスン『薬剤の使用に関する約定書』茂木 健訳)

別の薬
(R・C・ウィルスン『薬剤の使用に関する約定書』茂木 健訳)

別の反応
(R・C・ウィルスン『寝室の窓から月を愛でるユリシーズ』茂木 健訳)

別の話
(R・C・ウィルスン『プラトンの鏡』茂木 健訳)

別のあなた
(R・C・ウィルスン『無限による分割』茂木 健訳)

別の宇宙
(R・C・ウィルスン『無限による分割』茂木 健訳)

別の世界
(R・C・ウィルスン『無限による分割』茂木 健訳)

別の生物
(R・C・ウィルスン『無限による分割』茂木 健訳)

別の不気味な階段
(R・C・ウィルスン『無限による分割』茂木 健訳)

別のいいかた
(R・C・ウィルスン『無限による分割』茂木 健訳)

別のビーズのカーテン
(R・C・ウィルスン『パール・ベイビー』茂木 健訳)

別の階段
(R・C・ウィルスン『パール・ベイビー』茂木 健訳)

別の本
(R・C・ウィルスン『パール・ベイビー』茂木 健訳)

別の疑問
(R・C・ウィルスン『パール・ベイビー』茂木 健訳)

別のなにか
(R・C・ウィルスン『パール・ベイビー』茂木 健訳)

べつのいばらの冠
(デイヴィッド・マレル『オレンジは苦悩、ブルーは狂気』浅倉久志訳)

別の虫
(チャールズ・L・グラント『死者との物語』黒丸 尚訳)

別の色合い
(ジャック・ケイディ『暗黒を前にして』黒丸 尚訳)

別の理由
(ジャック・ケイディ『暗黒を前にして』黒丸 尚訳)

別の位置
(ジャック・ケイディ『暗黒を前にして』黒丸 尚訳)

別の連中
(ジョー・ホールドマン『怪物』中村 融訳)

別の診察室
(チェルシー・クイン・ヤーブロ『とぎれる』宮脇裕子訳)

別の連続殺人事件
(ウィリアム・ノーラン『最後の石』宮脇裕子訳)

別のサイレン
(ウィリアム・ノーラン『最後の石』宮脇裕子訳)

別の人格
(ホイットリー・ストリーバー『苦痛』白石 朗訳)

別のやじ馬
(クライヴ・バーカー『魂のゆくえ』宮脇孝雄訳)

別の通路
(ジョン・クロウリー『雪』畔柳和代訳)

別の部屋
(ジョン・クロウリー『雪』畔柳和代訳)

別の朝
(ジョン・クロウリー『雪』畔柳和代訳)

別のねぐら
(アンナ・カヴァン『あなたは誰?』二、佐田千織訳)

別の形
(アンナ・カヴァン『あなたは誰?』五、佐田千織訳)

別の鳥
(アンナ・カヴァン『あなたは誰?』十二、佐田千織訳)

別のチャバラカッコウ
(アンナ・カヴァン『あなたは誰?』十二、佐田千織訳)

別の自分
(アンナ・カヴァン『あなたは誰?』十九、佐田千織訳)

別の一日
(アンナ・カヴァン『あなたは誰?』二十、佐田千織訳)

別の決まり文句
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[4]・II、鈴木克昌訳)

別の糸
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[4]・II、鈴木克昌訳)

別の状態
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[4]・IV、鈴木克昌訳)

別の一人
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[5]・I、鈴木克昌訳)

別のバス
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[5]・IV、鈴木克昌訳)

別の話
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[5]・IV、鈴木克昌訳)

別の見方
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[5]・IV、鈴木克昌訳)

別の脚本
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[5]・IV、鈴木克昌訳)

別のやり方
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[5]・IV、鈴木克昌訳)

別の活動
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[5]・IV、鈴木克昌訳)

別の燃えさし
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[5]・IV、鈴木克昌訳)

別の性格
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[6]・I、鈴木克昌訳)

別の弾き方
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[6]・I、鈴木克昌訳)

別の生活
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[6]・I、鈴木克昌訳)

別の魔法
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[6]・II、鈴木克昌訳)

別の季節
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[6]・II、鈴木克昌訳)

別の結論
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[6]・III、鈴木克昌訳)

別の光景
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[6]・III、鈴木克昌訳)

別の立場
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[6]・III、鈴木克昌訳)

別の一面
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[6]・III、鈴木克昌訳)

別の太陽系
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[6]・III、鈴木克昌訳)

別の姿
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[6]・III、鈴木克昌訳)

別の様相
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[6]・III、鈴木克昌訳)

別の事態
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[6]・III、鈴木克昌訳)

別の人
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』II・[6]・III、鈴木克昌訳)

別の報告書
(フランク・アッシャー『ヴェルサイユの幽霊』南波喜久美訳)

別の売春婦
(コリン・ウィルソン『殺人の哲学』第四章、高儀 進訳)

別の物件
(R・C・ウィルスン『時に架ける橋』第一部・1、伊達 奎訳)

別の部屋
(R・C・ウィルスン『時に架ける橋』第一部・1、伊達 奎訳)

別の味わい
(R・C・ウィルスン『時に架ける橋』第一部・4、伊達 奎訳)

別の問題
(R・C・ウィルスン『時に架ける橋』第一部・5、伊達 奎訳)

別の意味
(R・C・ウィルスン『時に架ける橋』第二部・9、伊達 奎訳)

別の管理人
(R・C・ウィルスン『時に架ける橋』第二部・13、伊達 奎訳)

別の時代
R・C・ウィルスン『時に架ける橋』第二部・14、伊達 奎訳)

また別のおとぎ話
(R・C・ウィルスン『世界の秘密の扉』第二部・第十一章・2、公手成幸訳)

別の声
(R・C・ウィルスン『世界の秘密の扉』第二部・第十一章・2、公手成幸訳)

別のホーム
(R・C・ウィルスン『世界の秘密の扉』第三部・第十七章・3、公手成幸訳)

別の表情
(R・C・ウィルスン『世界の秘密の扉』第三部・第二十六章・3、公手成幸訳)

別の宿
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』上巻・第一部・5、佐藤高子訳)

別の小屋
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』上巻・第一部・5、佐藤高子訳)

別の株
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』上巻・第二部・7、佐藤高子訳)

別の一人
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』上巻・第二部・14、佐藤高子訳)

別の道
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』上巻・第二部・15、佐藤高子訳)

別の表情
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第三部・1、佐藤高子訳)

別の航海
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第三部・3、佐藤高子訳)

別の密偵
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第三部・3、佐藤高子訳)

別の乗組員
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第三部・4、佐藤高子訳)

別の顔
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第三部・5、佐藤高子訳)

別の魂
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第三部・5、佐藤高子訳)

別の種族
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第三部・5、佐藤高子訳)

別の島民
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第三部・5、佐藤高子訳)

別の姿
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第三部・8、佐藤高子訳)

別のツタ
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第三部・9、佐藤高子訳)

別の存在
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第三部・11、佐藤高子訳)

別の部屋
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第三部・12、佐藤高子訳)

別の女性
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第四部・1、佐藤高子訳)

別の一本
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第四部・1、佐藤高子訳)

別の件
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第四部・7、佐藤高子訳)

別のお告げ
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第四部・6、佐藤高子訳)

別の地区
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第四部・6、佐藤高子訳)

別の時
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第四部・7、佐藤高子訳)

別の場所
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』上巻・第一部・7、佐藤高子訳)

別の球
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』上巻・第一部・6、佐藤高子訳)

別の力
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』上巻・第一部・9、佐藤高子訳)

別の夜
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』上巻・第一部・10、佐藤高子訳)

別の身体
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』上巻・第一部・15、佐藤高子訳)

別の男
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』上巻・第一部・15、佐藤高子訳)

別の肉体
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』上巻・第一部・15、佐藤高子訳)

別の方法
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第五部・14、佐藤高子訳)

別の夢
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』下巻・第五部・14、佐藤高子訳)

別の事実
(ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』22、池 央耿訳)

別の状態
(ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』23、池 央耿訳)

別の夢
(ロバート・シルヴァーバーグ『〈教皇〉ヴァレンタイン』上巻・第一部・1、森下弓子訳)

別の色
(ロバート・シルヴァーバーグ『〈教皇〉ヴァレンタイン』上巻・第一部・12、森下弓子訳)

別の群れ
(ロバート・シルヴァーバーグ『〈教皇〉ヴァレンタイン』上巻・第二部・6、森下弓子訳)

別の故事
(ロバート・シルヴァーバーグ『〈教皇〉ヴァレンタイン』上巻・第二部・9、森下弓子訳)

別の説
(ロバート・シルヴァーバーグ『〈教皇〉ヴァレンタイン』上巻・第二部・9、森下弓子訳)

別の意見
(ロバート・シルヴァーバーグ『〈教皇〉ヴァレンタイン』下巻・第五部・1、森下弓子訳)

別の作家
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』7、朝松 健訳)

別の話
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』10、朝松 健訳)

別の客人
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』12、朝松 健訳)

別の廊下
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』12、朝松 健訳)

別の部屋
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』12、朝松 健訳)

別の問題
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』12、朝松 健訳)

別の場所
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』13、朝松 健訳)

別の階段
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』13、朝松 健訳)

別の機会
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』13、朝松 健訳)

別の食堂
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』14、朝松 健訳)

別の衝撃
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』14、朝松 健訳)

別の理屈
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』14、朝松 健訳)

別の姿
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』14、朝松 健訳)

別の影
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』14、朝松 健訳)

別の腕
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』17、朝松 健訳)

別の箇所
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』17、朝松 健訳)

別の音
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の幻影』19、朝松 健訳)

別のある男
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の妖宴』1、江津 公訳)

別の集まり
(フィリップ・ホセ・ファーマー『淫獣の妖宴』20、江津 公訳)

別の手
(フィリップ・K・ディック『ヴァルカンの鉄槌』8、佐藤龍雄訳)

別の女
(スタニスワフ・レム『泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕』深見 弾・大野典宏訳)

別の少年
(スタニスワフ・レム『泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕』深見 弾・大野典宏訳)

別の下水道
(スタニスワフ・レム『泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕』深見 弾・大野典宏訳)

別の意味
(スタニスワフ・レム『泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕』深見 弾・大野典宏訳)

別の観察者
(スタニスワフ・レム『泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕』深見 弾・大野典宏訳)

別の層
(スタニスワフ・レム『泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕』深見 弾・大野典宏訳)

別の脇道
(スタニスワフ・レム『泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕』深見 弾・大野典宏訳)

別の不幸
(プッツァーティ『竜退治』脇 功訳)

別の包み
(プッツァーティ『聖者たち』脇 功訳)

べつの名前
(チャールズ・ストロス『アイアン・サンライズ』金子 浩訳)

別の感覚
(ジャック・ヴァンス『ノパルガース』6、伊藤典夫訳)

別の要素
(ジャック・ヴァンス『ノパルガース』10、伊藤典夫訳)

別の通路
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』上巻・第二部・16、日暮雅通訳)

別の男
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』上巻・第二部・17、日暮雅通訳)

別の部屋
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』上巻・第二部・23、日暮雅通訳)

別の車
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』上巻・第二部・25、日暮雅通訳)

別の仕事
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』上巻・第二部・30、日暮雅通訳)

別の抜け道
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』上巻・第二部・31、日暮雅通訳)

別の形
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』上巻・第二部・38、日暮雅通訳)

別の罪
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』上巻・第二部・38、日暮雅通訳)

別の仕事
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第四部・48、日暮雅通訳)

別の何か
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第四部・48、日暮雅通訳)

別の考え
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第四部・49、日暮雅通訳)

別の餌
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第四部・49、日暮雅通訳)

別の自己
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第四部・51、日暮雅通訳)

別の通り
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第四部・51、日暮雅通訳)

別の通り
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第四部・54、日暮雅通訳)

別のレンガ
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第四部・56、日暮雅通訳)

別のカーペット
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第五部・57、日暮雅通訳)

別のライト
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第五部・57、日暮雅通訳)

別の書類
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第五部・58、日暮雅通訳)

別のコース
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第五部・59、日暮雅通訳)

別の部屋
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第五部・59、日暮雅通訳)

別の小さな瓶
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第五部・60、日暮雅通訳)

別の人影
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第五部・62、日暮雅通訳)

別の声
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第五部・62、日暮雅通訳)

別の準備
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第六部・67、日暮雅通訳)

別の街灯
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第六部・60、日暮雅通訳)

別の人間
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第六部・71、日暮雅通訳)

別のメッセージ
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第六部・76、日暮雅通訳)

別の標本
(チャイナ・ミエヴィル『クラーケン』下巻・第六部・80、日暮雅通訳)

別の人間
(エルナン・ララ・サバーラ『イグアナ狩り』柴田元幸訳)

別の人生
(セルゲイ・ドヴラートフ『カーチャ』柴田元幸訳)

別の気持ち
(ベル・コーフマン『日曜日の公園』小川高義訳)

べつの方角
(コナン・ドイル『シャーロック・ホームズの思い出』かたわ男、延原 謙訳)

別の事件
(コナン・ドイル『シャーロック・ホームズの思い出』入院患者、延原 謙訳)

別の考え方
(コナン・ドイル『シャーロック・ホームズの思い出』入院患者、延原 謙訳)

別の言い方
(ロイ・ブラウント・ジュニア『ファイヴ・アイヴズ』村上春樹訳)

別の原理
(ゴードン・リッシュ『はぐらかし』村上春樹訳)

別の死体
(フィリップ・クローデル『ブロデックの報告書』XXVI、高橋 啓訳)

別の質問
(マイク・レズニック『スターシップ─反乱─』5、月岡小穂訳)

別の感覚
(ナボコフ『翼の一撃』二、沼野充義訳)

別の紙
(ナボコフ『翼の一撃』二、沼野充義訳)

別の目的
(R・C・ウィルスン『楽園炎上』第三部・24、茂木 健訳)

別の感慨
(R・C・ウィルスン『楽園炎上』第三部・30、茂木 健訳)

別の実験
(ジャック・ヴァンス『ノパルガース』10、伊藤典夫訳)

別の説明
(フェルナンド・ペソア『不穏の書』95、澤田 直訳)

別の街
(フェルナンド・ペソア『不穏の書』98、澤田 直訳)

別の野原
(フェルナンド・ペソア『不穏の書』121、澤田 直訳)

別の太陽
(フェルナンド・ペソア(リカルド・レイス詩篇)『(暁の青白い光が…)』澤田 直訳)

別の道
(フェルナンド・ペソア(アルヴァロ・デ・カンポス詩篇)『シボレーのハンドルを握り…』)澤田 直訳)

別の夢
(フェルナンド・ペソア(アルヴァロ・デ・カンポス詩篇)『シボレーのハンドルを握り…』)澤田 直訳)

別の世界
(フェルナンド・ペソア(アルヴァロ・デ・カンポス詩篇)『シボレーのハンドルを握り…』)澤田 直訳)

別の恋
(フェルナンド・ペソア『婚約者への訣別の手紙』澤田 直訳)

別の記念碑
(フェルナンド・ペソア『ペソアと歩くリスボン』近藤紀子訳)

別の庭園
(フェルナンド・ペソア『ペソアと歩くリスボン』近藤紀子訳)

べつの人間
(フェルナンド・ペソア(アルヴァロ・デ・カンポス名義)『Lisbon Revisited (1923)』池上〓夫訳)

別の記録
(トマス・スウェターリッチ『明日と明日』第一部、日暮雅通訳)

別の通路
(トマス・スウェターリッチ『明日と明日』第一部、日暮雅通訳)

別の生き残り
(トマス・スウェターリッチ『明日と明日』第一部、日暮雅通訳)

別の機会
(トマス・スウェターリッチ『明日と明日』第一部、日暮雅通訳)

別の写真
(トマス・スウェターリッチ『明日と明日』第一部、日暮雅通訳)

別の言葉
(シャーリイ・ジャクスン『逢瀬』市田 泉訳)

別の歌
(シャーリイ・ジャクスン『男の子たちのパーティ』市田 泉訳)

別の雲
(ペソア『不安の書』第二部・10、高橋都彦訳)

別の性格
(ペソア『不安の書』第二部・51、高橋都彦訳)

別の言葉遣い
(ペソア『不安の書』第二部・85、高橋都彦訳)

別の青
(ペソア『不安の書』第二部・119、高橋都彦訳)

別の舞台装置
(ペソア『不安の書』第二部・147、高橋都彦訳)

別の思い出
(ペソア『不安の書』第二部・147、高橋都彦訳)

別の自分
(ペソア『不安の書』第二部・161、高橋都彦訳)

別の窓
(ペソア『不安の書』第二部・227、高橋都彦訳)

別の過去
(ペソア『不安の書』第二部・51、高橋都彦訳)

別のゴルゴタの丘
(ペソア『不安の書』第二部・252、高橋都彦訳)

別の視線
(ペソア『不安の書』第二部・254、高橋都彦訳)

別の思考
(ペソア『不安の書』第二部・254、高橋都彦訳)

別の心
(ペソア『不安の書』第二部・254、高橋都彦訳)

別の地球
(ペソア『不安の書』第二部・263、高橋都彦訳)

別の芸術
(ペソア『不安の書』第二部・264、高橋都彦訳)

別の実体
(ペソア『不安の書』第二部・273、高橋都彦訳)

別の感覚
(ペソア『不安の書』第二部・274、高橋都彦訳)

別の結果
(ペソア『不安の書』第二部・309、高橋都彦訳)

別の現実
(ペソア『不安の書』第三部・410、高橋都彦訳)

別の日
(ペソア『不安の書』第三部・435、高橋都彦訳)

別の色
(ペソア『不安の書』第三部・435、高橋都彦訳)

別の夢
(ペソア『不安の書』第三部・452、高橋都彦訳)

別の体位
(ペソア『不安の書』第三部・452、高橋都彦訳)

別の黄金
(ペソア『不安の書』第三部・452、高橋都彦訳)

別のわたし
(ペソア『不安の書』第三部・453、高橋都彦訳)

別の花
(ペソア『不安の書』第三部・455、高橋都彦訳)

別の姿
(ペソア『不安の書』第三部・455、高橋都彦訳)

別の名前
(ケリー・リンク『妖〓のハンドバッグ』柴田元幸訳)

別の開け方
(ケリー・リンク『妖〓のハンドバッグ』柴田元幸訳)

別の気分
(ジョン・バース『暗夜海中の旅』大津栄一郎訳)

別の言葉
(ジョン・バース『暗夜海中の旅』大津栄一郎訳)

別の存在
(チャイナ・ミエヴィル『都市と都市』第1部・第6章、日暮雅通訳)

別の道
(チャイナ・ミエヴィル『都市と都市』第1部・第6章、日暮雅通訳)

別の電話
(チャイナ・ミエヴィル『都市と都市』第2部・第16章、日暮雅通訳)

別の人生
(マイケル・カニンガム『めぐりあう時間たち』ミセス・ブラウン、高橋和久訳)

別の、
(チャイナ・ミエヴィル『ペルディード・ストリート・ステーション』上巻・第二部・12、日暮雅通訳)

別の新たな存在
(チャイナ・ミエヴィル『ペルディード・ストリート・ステーション』上巻・第二部・17、日暮雅通訳)

別の力
(チャイナ・ミエヴィル『ペルディード・ストリート・ステーション』上巻・第三部・19、日暮雅通訳)

別の存在
(チャイナ・ミエヴィル『ペルディード・ストリート・ステーション』下巻・第六部・45、日暮雅通訳)

別の青
(J・L・ボルヘス『鏡』鼓 直訳)

別の夜
(J・L・ボルヘス『天恵の歌』鼓 直訳)

別の夢
(J・L・ボルヘス『詩法』鼓 直訳)

別の愛
(J・L・ボルヘス『バルタサル・グラシアン』鼓 直訳)

別の現実
(J・L・ボルヘス『His End and His Beginning』鼓 直訳)

別の手
(J・L・ボルヘス『短歌』3、鼓 直訳)

別の海
(J・L・ボルヘス『ハーマン・メルヴィル』鼓 直訳)

別の顔
(J・L・ボルヘス『鏡』鼓 直訳)

別の術、忘却
(J・L・ボルヘス『シャーロック・ホームズ』鼓 直訳)

別の迷宮
(J・L・ボルヘス『寓話の森』鼓 直訳)

別の過ち
(マルセル・プルースト『ある少女の告白』III、山田 稔訳)

別の中庭
(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『スロー・ミュージック』伊藤典夫訳)

別のイメージ
(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『たおやかな狂える手に』伊藤典夫訳)

別の結末
(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『たおやかな狂える手に』伊藤典夫訳)

別のベンチ
(アン・レッキー『叛逆航路』5、赤尾秀子訳)

別の感情
(アン・レッキー『叛逆航路』14、赤尾秀子訳)

別の自分
(アン・レッキー『叛逆航路』23、赤尾秀子訳)

別のスイッチ
(ジャック・ヴァンス『奇跡なす者たち』IV、酒井昭伸訳)

別の魂
(R・A・ラファティ『第四の館』柳下毅一郎訳)

別の体験
(ベーア=ホフマン『ある夢の記憶』池内 紀訳)

別の力
(ハインリヒ・ベル『長い髪の仲間』青木順三訳)

別の夢
(フラナリー・オコナー『強制追放者』横


血と血

  3P

針の上を伝う一輪の花が
        呼吸を始める
    水槽の色
影の落ちた対称に
    瞳を蜜蜂よりも遠くへ


蛹に眠る中央の滝
渇いた火薬が辿っていく


冬が産まれる
 香水の視線は走る


一滴の道が
 そして数歩の橋の入り口が
動き回る
   中で
  鳥


右側の光
    と
 救いようのない
 火と溢れた死と
     机と答えと口


雲を洗い流す海の波が
             が
       と
         そして空中の声は
触れた


印の奥、崩れた都市
        の山積みの
と隣り同士に抱き合う
       布製の食事
  は歯のように
  生きた


実に注がれる悪臭にも
 古い指は止まる



木々に出来上がった運
 に乗る唾液と賛成は掴んだ
 曜日は白
 に裏返されると
      太陽


名前 舶来品 等
   または 尾
吸う道具
    接近した位置は飛ぶ


触れる 差
   無風の状況
   タンパク質の書籍
忘却は住みついた
       糸の上
     それも切断された通行人の


語る死す、語る生まれる

  kaz.

2011/11/14 23:47
夜道、ひっそりと息吹く新芽のことを思いやる。手のしわから生え出た薄緑の突起が、寒さで枯れてしまわないよう温もってやる。ポケットに突っ込んだ手の握りは優しい。握った手の隙間から漂う新芽の甘い香り……殴られたときの痛みを知らない人たちのように、という例えを使う。そうすれば世界が血の気に満ちているのが分かるだろう。ただ一つ、安息があるとすれば、握り締めた拳の中の汗くささだけだ。

(……沈黙。「香りは、闇のなかで最も多くのことを語りたがる。どうやって語るのかを、最も知らずに。」という一節を挿入する。その隣に、月の出る晩の澄み切った空気ほどに張り詰めた気迫を描こうとして、放射状の線分を描く。)

「さらに続けて、太陽の輪郭を描こうとするが」
「皿に続けて、血の滴る獲物を載せようとするが」
「さら、さら、さらり、」
「懐を掠めた」
「封筒から手紙が落ちた」
「中身がこぼれ落ちた」
「ぱさり」
『ぼくは、語ろう』
『ぼくは、で語ろう』
『ぼくは、という代名詞を添えて』
「ぼそり」
「ひどくやせ細った」
「と連想した」
「という連続」


K先生「これは失礼、自意識過剰に見えたかね。生憎、代名詞では言及しえないものを、君たちはもっているのだが。むしろ、代名詞という存在そのものが、言及しえないものを指示するために存在しているのだと、君たちは」

レタス「はーい、キャベツみたいに、シャキシャキ動いて!」

爆弾犯「みんな、徒党を組んで、人生設計をエンジョイしよう。計画は実行しないことに楽しみがあるのだから」

K先生「……と、このように、口にされた途端、本来言及していたはずのものを失って、本来指していたものとは全く違う意味を抱えてしまうかもしれない。だから……」

(世界の憂鬱を語り尽くしてしまったのだという崇高さが降り立ち、獣の嗅覚で月夜をかぎ分ける。ハイエナの孤独。)

今日はここまでにしよう、と君たちは言う。ぼくは壁掛け時計を回転させて(そこには文字盤がなかった)、もう少し今日の時間が増えないかどうか試してみる。それからは、いつも決まった時間に眠る男が、定刻前に時計が止まってしまって眠れないときにどうすればいいか、延々と議論するように言われる。ぼくは、時計から数字を引きはがすコツについてくだくだと説明する。チャイムが鳴る。帰宅の号令が終わり、いっせいに君たちは走り出す。窓の向こうには夕陽が照り映えている。グラウンドを走る生徒たちはみな夕陽に向かっていく。

(「君たちは一つの誠実さに向かっているのだよ」。夕陽だけが、時間に嘘を付かない。教室中に太陽の香りが充満している、飢えたハイエナだけだ、光から誠実さを感じられるのは。)


2011/11/15 22:39
「方陣は裂け、語が流産する」
「生まれたのか、そいつは」
「死んだのか」
「いいや、食われたのさ」
「聞いていたのか」
「いいや、開いていたのさ、口が」
「奴の最期の一言はこうだ。」
『ぼくは、何かを伝えたい』
『ただ語りたいだけ』
『ぼくは、何を伝えるべきか知らない』
『語るべきことがないと語りたい』
『ぼくは、何を伝えるべきか知らないということを伝えたい』
『語るべきことがないと語ることもない』
『何を伝えるべきか知らないということを伝えたいと伝えるべきかどうかを知らないということを……ぼくは、語りたいと語ることもないと語るべきということを……』
「知ることと語ることが交雑している」
「あてもない混雑」
「あられもない交接」
「醜態」
「糞、糞、糞、どいつもこいつも、俺の言いたいことをみんな言ってやがる」
「俺の言いたいことをみんな言ってやがるということを言ってみやがれ!」
「糞が更に増える」
「呪文で」
「蘇生しちまえ!」
「あんちゃん、奴はソーセージから、自分の身体を作るのさ」
「腸詰がねじれて蝶に」
「蝶がねじれてつがいに」
「蝶つがいがねじれて」
「扉が開く」
「扉は背中に」
「花開く」
「花びらがあそこのビラビラに」
「紙吹雪」
「くす玉」
「くすくす、笑い声が」
「魂が繁茂して、裸に降り注ぐ」


映画が始まる。皿、皿、皿、と並べられる。続けて添えられる、サラダ、サラダ、サラダ。格闘家が手刀でかち割り、破片ごと喉に流し込む。格闘家の首は皿の破片で膨れ上がり、血を飛ばしながら炸裂する。「桜だ。桜」君は言う。飛び散った皿に血糊がついて、レタスとアボカドの混ざった濃い緑で、君は死体の首に接吻しながら、「私のほうが、ずっと美しく啜れる」。いつの間にやら花開く、君は。

(……見れば、いつの間にやら「桜だ。桜」という一文を挿入している。ぼくが呼びたかっただけだ。冷たくなっていただけだ。あの惨禍を、華と、花と、鼻と、……味わいたかった。そしてハイエナは肉を漁る。)

『ぼくは、語れるが、綴れない』
『ぼくは、騙れるが、揺すれない』
『ぼくは、嗄れる、啜れないせいで』
「口の隣で、夏が閉じる。いいや、口が閉じれば、夏が隣。口の隣で、頬は赤らみ、重く垂れる」
「秋が待っているよ」
「空きができたよ」
「ほうら開いた。口が開けば、飽きが来る」
「紅葉し、枯れ落ちる頬」
「熟れ切った果実」
「その果実に描かれた、顔」

(……ぼくは続けて、「鼻の中に、家。答えは?」と書き込もうとするが、露骨すぎてやめる。彼らは繊細なのだ。いつだって、死体と友達でいたいから。)

「桜が、『く』の一文字をかかえ」
「桜が、『くの一』文字をかかえ」
「鼻の中に、家をかかえ」
「とっかえとっかえして」
「ハイエナが逃げ出す」
「逃げ出すことからも逃げ出す」
「おかげで、ぼくはいつも……」
「秋の隣にいる」
「夏の隣に」
「いいや、秋の傍にいる」
「孤独と飢えの季節に口付けされる」
「じゃあ、キスをしたのは?」
「冬」
「春」
「秋」
「くの一」
「さくら」
「それとも、かおり?」

「ハイエナが、答えを漁っていく」
「明後日いく」
「と言い残した日に」
「彼女はいなくなり」
「いなくなり、と書き残した日に」
「戻ってくる」
「きっと、キスするんでしょう」
「好きなんでしょう」
「でも明後日にしよう」
「今日はここまで」


(友達といえば、ぼくの知り合いはいつも裸だった。見ていて恥ずかしい顔をしていた。少しも隠そうとしない裸の顔。言ってごらん。「踵を返し、踏み込んだところから腰を返して蹴れ」って。ほうら、地面に奴の鼻の跡が残ったろう……。)

「あそこに芽があった」
「目が合ったときには」
「まぶたが閉じていた」
「開いたときには」
「芽はなくなっていた」
「手のひらの中に」
「あったはずのものは」
「掻き消されていた」
「光のようだ」
「あることがわからない」
「手をかざしてみれば」
「真っ赤に流れるぼくらの血潮」


地面には足跡が続き、そこから草が生え、生えては枯れていく。枯れていくのを見送るあいだに、どれほどの時が経ったろう。時が経ったことを感じようとすれば、かえって感じることができないものだ。夜、夢を見ようとするが、見ようとすることでかえって見ることができない。という夢を見たような気がする。夢を見たのかどうかさえ、ぼくには分からない。分からないということが夢の中身であるような気さえしてくる。

「眠りたくなる」
「眠りたくなくなる」
「眠りたくなくなくなる」
「眠りたくなくなくなくなく……なる」
「眠りたくなくなくなくなくなく……泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く……ことなくほどなくわたしとおしていた糸をこちら側に引っ張ってくると、歩いていた足が攣って、ルアーになっていた耳が引き千切れそうになる。そう、お前は百足だ。電子の群れにムニエルを食わせて、三半規管の様子をずっと中継していふ。if.素早い走りを始めた指先がノーパソを〓き毟る。かどうか。竈馬。ハルヒ。長門との対峙。エスパー襲撃。oui, oui、お疲れ様。ミレニアム群れになるオムレツカツレツ交渉決裂高所から僕は僕はボカロいだ。Yes, yes, Joyce. のノートを引き裂いて足元に置くのだ。僕らは、わたしらは、そこから掻き出すだろう。さあ!→

(どっちでもいい。どっちだっていい。いいわけない。いいわけないわけない。もう、どうだっていい。ぼくは、そこで筆を折る。「そのときの怪我で、彼はピアニストとしての資格を失う」という一文が挿入されて、主題は変わってしまう。本当に折ったのか、あるいはただ書くのを辞めたのか、もう区別できない)


2017/1/24 18:57
なーんてな。
無の創造だ。
激しい雨が降り出す。
上下線を香水で塞ぐ雨だ。
息が詰まりそうだ。
言葉通りに。


2017/1/24 18:58
「病んでる村上」なんて歌詞をどうしてブッダブランドは挿入したのだろう。鍵盤検便叩けば潰れるのは痔なんです。だから長男威張ってるんです。走り書きした。新幹線の中を。手袋をはめたまま、わたしは書いている、描いている、海底を、改定を、かいていいんですか? かいていいんですよ。そうして僕は腹の底を掻き出して、ハイエナを羊水の丘から引っ張り出した。だからここからは未来の言葉になるだろう。


2018/1/22
今日僕は25歳になった。昔は聴こえなかったミリカノールの電荷音が聴こえる。ω。死んでみたまへ、屍蝋の光る指先から、お前の靈がよろよろとして昇發する。その時お前は、ほんたうにおめがの青白い瞳を見ることができる。それがお前の、ほんたうの人格であつた。というのが。ω。の瞳からの引用だ。作、萩原朔太郎。否。サクサクパンダ。
窓の向こうには彗星が見える。君の名は。


2118/1/22
今日『紙の名は。』を見た。紙には、名前がない。鉛しかない時代の物語で、鉛を削って訛りを記録するのに紙を使っていたはずが、紙に名前がないということが理由でできなくなっている。窓の外には合衆国国旗が舞える。いや? よく見ると日の丸と融合して、世界国家になっている。今日も彗星が降ってくる。あの彗星の分裂が紙の名前を奪い取り、紙の民の一員であったサルバドール・ダリを打ち倒し、『パン屋再襲撃』が道行く本屋の文庫本として出され、電子書籍はもっぱら人工栽培された人工知能の生命体であるキュリアス・ライバーが担っている。「そんなことを書いている新幹線は雪のために遅れて、空飛ぶバイクの市場占有率がもっぱら支配的だ。トランプタワーはビル管理人が失踪して以来誰も入らなくなり、『わけがわからない ってことですよ』と言っていた友人が托鉢のために出入りするようになった。韓国人の恋人と結婚したアリスは大丈夫だろうか。飛ぶ」

っっっっっ
     っ
      っ○ ←新しい生命の誕生の図
     っ
っっっっっ

僕はアリスの腹に出た性液を紙で拭い取り、ゴミ箱に捨てた。それが最後の紙の民の末裔だった。しかし漏れ出たうちの一匹が鏡の国に逃げ込み、ハイエナとなってアリスの腹から産まれる。
ハイ、エナ
杯、衣奈
はい、エナ
肺、胞衣
灰、絵凪
吹き飛ばさなきゃ、吹き飛ばさないで、皿を、さらに攫う風。
キュリアス・ライバーは我々のDNAを修復して老化も防いでくれる。しかも地面から個体を構成するのに必要な金属類を自ずと吸収する人工知能生命体だ。
今日、僕は125歳の誕生日を迎える。


鉛の部屋部屋を抜けてゆく彫塑と彫刻家の影像にまつわる七つの噂に附いて

  鷹枕可

_I,黒い白樺の森へ


立ち枯れた 樹々の間を 死者たちの聯祷が 滅びてゆく
白い花々は 厳冬に 凍りついては 夜の縁に遊ぶ 蜉蝣たちは 死の翼に抱かれた おまえを連れ去る
なにゆえに おまえは 悲しい顔を 私に向けるのか 十字架のもとに築かれた 石の花々よ 
炎は竈にとどまり 青い眼は 寝台に蟠る かけがえのない 私だけの 書物
虚飾の教会が また一人 去り行くもののうえに 標を捺す 今は滅びた 死の首府にも
咽喉は 旧い葬歌は 嗄れたまま 立ち竦み 瞋っている 樹々を吹き抜けてゆく 死の嵐の様に

静かに見送られた 柩の上に 静かに 時刻を錆び果てた 釘が降る まるで永遠のように
樹々の約束のまえに 羽搏く 幾つもの橄欖と 幾多の鳩が 
洪水を 四十日を逃れた 一週間を弛緩した 花籠を 蠅は飛び交い 頑なな死を 懼れている 迎えられながら
傷んだ包帯を 巻きつづける 手指は 失われた城砦を 死の夢を見ては 履みとどまる 
喪われた人々の 沸き立つ声を 生きた光芒へと 差し展ばしながら


_III,光冠


光冠を戴く鶉の聖母が
血の濁流を
肉塊を抱擁する時
蘭を鬩ぐ死者達の怨嗟が私達の糧となる
無窮の丘陵の聯なりからは
埋葬された炎の鏑が透かし見える
侵食された港湾
食餌の写らない現像室
それらが咽喉を迫り上がる様に
溺死の羽蟻は
石鹸液に
緻密な吐瀉物の白紙謄本に痙攣していた

若し自由というものが在るとすれば
それは血の通わぬきみたちの鑑の亡き骸である

錆鉄の鍬は
鉛の季節へと枯れゆき
放射線写真に被曝の檸檬花を晒した
美しい継母の様に
逞しい父親の椅子の様に
決して彼等は
毒の蜘蛛を
毒の紡績車を
建築体を見向きもしない
それは風景の絵葉書を燃やす焼却炉に
縺れた嬰児の腸臓を
青い包装紙の遺骸の様に
救済を踏みながらそびえる
花崗岩の記念碑に
縊られた鉄錆の死の実像は
その柵に荊のダンテルが脆く硬く印象を鎖すように、


_III,死者と不死者への花束


ごらん、あんなにも馨しく春の花々が揺れている!
落ち窪んだ溪谷のあてもなく掠れた呪詛のただなかで――。

その金髪は麗しくまるで少年期の颯爽たる秋風の様に、
威嚇を怖れ慟哭の様に諸手を震えている花々を績みながら――。

あなたの歌声は歓喜にうち震えている!夢を観る修道尼の耳にも、
こわばりつつ萎れ朽ちるまでを唾棄されつづけた鏡の石像の様に――。

春の肖像を綻ぶ帆船はだれをどこへ運んでゆくのだろうか、
肉体像を糧を奪われ、苦しみながらひとつぶの干潟に餓え乾されては――。

透き通ってゆく運河の辺縁、夜の窓を開けばそこは――
そこは血の償いに飢えた天使群像に抱かれた幾多の死者達がやがては到るところ――、

    /

荘厳の虚飾を威厳としながら
淡湖の底に教会建築は綻び 弔鐘の聴こえうるかぎりを聳つ 鍾乳筍 復は慈善納骨室より、視えざる現象体の後衛へ


自責

  霜田明


こんな街角の
いつも歩いてくるほうを
帰り道から 反対側から眺めると
うつむきながら歩いている私の
なんて貧弱な歩き姿だろう

より良く苦い私であろうとして
それでもこんなに水っぽい
私の積み上げてきた
考え事の紙くずたちが
(大きな川へ向かう 生臭い総括の匂い
例えば浮浪者の鞄の底には水の溜まり)
風に乗って運ばれていく

  (生きているということに
   どれだけ浸透できるだろう
   この街に この暮らしに この人たちに
   どれだけ融和できるだろうと思う
   この木に この自動販売機に
   どれだけ親和できるだろうか
   この排水溝に この夕方に
   どれだけ同化できるだろう)

人が死んだら
自分がいずれ死ぬということさえ
わかったようになってしまったり

人が笑っていたら
自分が笑うということを
おぼえたようになってしまう

眠っているときには
まるでそのまま死んでしまうかのように
眠りに同化しきってしまうんだ あるいはきっと

  (僕が夕方の帰り道を
   こんなに静かでは
  あまり本気でないような
  自責とともに帰るとき)

生きているということに同化するということ
死んでいくということに同化するということ
ということが とても恋しくなってくる
とても恋しくなってくる
とても恋しくなってくる


拍動

  花一匁

羽を広げた深海の溝に花弁の顔が横たわる
静かな不眠の道を乳房の破片が渡っていく

排気口の結晶が血を流す
金属的な肺の匂い
 その中に鳥の巣に編み込まれた欲望の
  地殻の底に反転した葉の生涯がうかがえる

十字路を西から南へと流れる保育器は
 石の弾ける音を聴きながら
  30歩目の糸の上で
   赤いアイスクリームの生誕を待っていた

揺れる車輪とともに
跪く体温の底へと飛び降りた緑色の風が
 噴水に匙を投げ入れ、ブランコで宙返りをする
息を止めて20秒経つまでの酸素

革靴に浮かぶ観客のような模様の染みは
 右と左の横隔膜に
 ふしだらな魚たちの結婚式に
等身大の液体性の標本はフライパンの上を踊っている

薬漬けの春という季節
溶けた砂糖が雨の上を歩いていく様子
植物の涙から凍ったうさぎの耳元の地帯まで
 骨でできた繭の中に幼虫たちの眼は隔離されている

シャーベット状の鏡が血液の中を遡る
時計の振り子が耳の奥へ杭を打ち付けると
 水差しの内に溜まった空間がそこへ流れ込んだ
炭色の海洋が繊維を洗っていく

降り積もった光化学と楕円形の内臓の匂い
人肌にまで温められた水族館のバリケード
火葬場の真新しい窓の中に
 鳥の鳴き真似をする犬が眠っている

地下道の白い鉄道が走る広間の奥で
 砂城に立つ一本の足が崩れていく
鉄の砕かれる音が貝殻を孕ませる

横断歩道に擬態した干し草の群れと
伝う樹液の目指した
 冷たい火薬の埋まる在りか


すみれ

  泥棒















あ、

今日は風が強いな

もう一枚

なにか着てくればよかったな

うんっ

残念なことに

僕が知っている眺めは

その辺りまでだよ

向こうまでは

とてもわからないな

コンクリートに耳をあてると

なつかしい歌がきこえるんだ

この景色の中で

君のために咲く花があるだろうか

あるとして

その花のために降る雨はどうだ

君に名前がなかったとして

誰が君の名前を呼べる

詩なんてものがあるから

君と僕は隣りにいてもひとつになれない

それは本当だろうか

本当ならば

とても気持ち悪い

いっ

線路沿い

ただ咲いている花になって

風にはならない

君の隣りで

雨にうたれて死にたいと

誰が言うのか

優劣のついた風が強く吹き抜ける

そんな午後を

すべて笑いとばすアプリがあるとして

いらねっ

猫にアプリ

君にサプリメント

世界をコンプリート

わおっ

その辺りの世界

メメントッ

うっ、

心臓麻痺しそう

誰よりも深く傷つく才能がない

芸術なんて口にするから

浅い川のほとりで

意味もなく

石を数えてしまう

その石を並べるように

誰よりも正確に

感傷的になってろよ

あほんだらっ

共感なんてされたら

そこは地獄になる

反感なら

それはアクセサリー

ひかり

耳鳴り

寒っ

夕暮れ

深くなってしまう夕暮れっ

本当にそうなのか

闇って

そんなに単純なのか

優しい言葉って

どんな言葉なんだろう

優しさのかけらもない

そんな言葉も必要だとして

いつ使うんだ

だっ

何を読んでも理解できない

見ても聞いても信じられない

すべての直感は

見事っ

的を外す

いったい何をしたら

経験したことになる

君を見ても

君ではない気がする

なんじゃこりゃっ

悩んだ順に

みんな

きれいに終わる

みんなみんな

主人公

脇役

お姉さん

社長

雑魚キャラ

ラスボス

みんなみんなみんな

いつか死ぬよ

それは本当らしいよ

この胸の景色

最初から自分のいない景色

いないから

死ねない

いない人は

死なない

七色の

狂気っ

玄関開けたら

無知っ

誰もが一度は使う

比喩っ

すぐ潰されるメンタル

弱っ

そんな君にホイミ

間違って

メガンテ

きれいな悲しみに

汚れなかった

とってもきれいな悲しみに

ぶつからない

君と僕

あちゃー(棒読み

じゃ何っ

いったい何にぶつかって倒れたのか

わっからない

わっ

頭が悪いわけではないのです

頭がないのです

なっ

心臓の上を電車が通る

ガタンゴトンッ

孤独という名のもとに

君の痛みがすりかえられて

一瞬だけでも

世界中の詩が全滅する

そんな日がいつかくると信じているのか

君よ

確かにいるはずの君よ

そこからの眺めはどうだ

何が見える

言葉で叩き

叩かれ

風のない日に揺れる花を見たか

すみれ

アスファルトのヒビを行間として

そこから何を感じたらいい

こんにゃろっ

背景のない夜に

置き去りにされた未来

詩っ

だまらっしゃい

うっ、

心臓が痛い朝

春を告げる雨が

ただ降っている

誰のためでもなく

その辺り一面に降っているよ。


つめたく燃えるもの、そは椅子のうえの花壜なるとも

  鷹枕可

たとえ
血の荊と罰のなかで青い花々が涸れても 
露壇に錫の涙が燃え残るように
君達は
ひとつの家族にもなれたのかもしれない

寄せ集めた切絵も肖像紙も 
要らないのに
本当は全てなのに
嘘偽りの家族なんて決して幸福になんかなれはしないのに
夏は昼の様に隠れてしまって
私達の罰も、
喪葬の花殻も救済されてしまった
呪いの様に消費せられるまで

あなたは憶えるだろうか
麗しい偽兄妹達が
世界線から離れた、
砂の骨壺一つ残さずに

淋しい喪章を抱き竦めては
雨のなか肩を震わせる
火葬場のベルが鳴る時刻に
そして母が死に、
終戦記念日に君達も産まれ落ちた
運命紡績の子供達
それは
生れから死んでいたか
誰にも成れず
脆くも繋がれた肉声の向うに
寄り添いながら

冬霜花が結実し薔薇が散り終えた姿勢鏡のなかに世界卵は静かにも渦巻く、

名前を呼んではならない
怨嗟が死者を
十日目の麺麭の様に悪くしてしまうから
喪われた名前は
朧げな白い花より
昏く婚礼に逃れ逃れてゆく

花崗丘陵に手指が彫刻され
生々しい死後を、殉葬者達の救いもなき絶望を
地下階を指し示す

互いを憎しみ
追うこともせず
私達は
自らの手を繋ぐことなく
だれを追うていたのだろう

ドゥーブルの鏡像に触れても
硬く
複製の陶像が
蹂躙花とも融け合わない様に
心臓が刻限を薔薇の様に鬩ぐ時
夜は昼の様に昏くなり

あなたであり世界であるすべての現象に
今でもあなたは開かれている


(無題)

  匿名

機械的機械的機械的機械的
メメント・モリ。或いは、シグニフィカント。
先天性の弁護は言うなれば刹那に於ける最終結論の発火、死してなお紡ぐベロニカの…。

曼荼羅は笑った。総数を奇っ怪な双曲線が表す意味の無い言葉の羅列。
淘汰されたは誰の事か。
申し申し、キャンディーの缶を耳に当てるワタクシ達。
空に浮かぶは我らが雷電!正に、世界システム!
今や哲学は思考実験に成り下がった。
脳みその電気信号はココロを定義した。
無限に広がり続ける極限を我々は構成している。
ならばこそ……。



蝉が、雪の下で鳴いている。


雪と少女

  Jupiterから来たンゴ

朝に雪の降る中で 少女を見た
彼女は微笑みをたたえたまま
おもむろにドリルを取り出した

激しい金属音が 冬の街に谺響する
都会に珍しく積もった雪は
瞬く間に溶けて消えていく

金属音が止み彼女がこちらを一瞥した
ぺこり、と頭を下げる様子は
若干の幼さまでも感じさせた

雪はいつの間にか止んでいた
彼女は何処へかに消えてしまっていた
私はふと思った

彼女のように可憐な少女に
私のだらしねぇケツの穴をかっぽじってもらったら
どれだけ気持ちいいのだろうか、と


余裕は無い

  祝儀敷

スクランブル交差点のあちらこちらで
余裕無い人達が両手をぶるぶる
すれ違い行き交う人の流れの中で
置き石のよう立ち留まり焦っている

黄信号 腕の残像 照り返る熱気
鳴り重なる足音 靴底の硬い音

四方に主要道 各斜めに細長いビルが乱立
摩天楼は濃密に空を埋めていく
それらの行間を人々の群れ塊は
石の裏にひっついているような
湿った虫のようわらわら進む
だけど余裕無い人達だけは足が固まったのか
前に進めずぶるぶるぶるぶる

クラクション 排気ガス 赤信号
日射に溶けるアスファルトはゆっくり垂れる
横断歩道は縞模様 各斜めに辿り着き
人々はざわつく午後一時

ゆらり人の流れに乗って
平穏にやり過ごせばいいものを
余裕無い少数の人達
彼らはその場にすくんでしまって
巨大なスクランブル交差点に点々と点在
紅潮した顔面に汗だけは絶えず噴き出ていて
無用の運動 ぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶる

男も女も老いも若きもいる
カロリーが消費されていく
眼球は小動物のよう泳ぎ狂っている
一体全体の大渋滞に騒音ばかりが増していくが
ただただ物も言えず移動もできず手を振るだけ
手のひらを下向きに手首を軸にして往復するだけ

轢かれない轢かれない 余裕無い人達
目立つ目立つ 道路に立って焦るだけ
轢かれない轢かれない 車は進めない
余裕無い人達が要石のよう
そこに立ち止まっているから
そこから動けないでいるから


#02

  田中恭平

2017年2月9日
17:47

 早朝の四時間の労働のために、わたしの二十時間が費やされていることは
まるでブラック・ホールに放り込まれたような気がしてならなかった。
携帯をパカッと開くときみの簡素な顔文字付きのメールが問うんだ、「何してるの〜(‘ω’)ノ?」。
脚から足かせがスッとはずれたように体軽くなって、それで僕は返信する。「ベッドで横になって、つかれを癒してるよ」。
想起すれば、きみは新鮮な空気を与えてくれる木。僕は歩いていく。日が射している。
明日のことなんて頭からメルト・ダウンして忘我こそして
不眠症の僕は眠りにつくことができるんだ。距離が離れていようと、きみに寄りかかる。
風の滋養を得る。しかしすぐに新鮮な空気は汚されてしまう。
それを成すのは悪人でも善人でもないただの人間たち。僕はアートについて頭の中に酒がまぶされるように悟るけれど
フカフカなベッドの中ですぐに忘れ、生きている木に対しまるで死んだ木のように
春先冷たい風に痛めつけられメソメソ泣いているようにまた文章を書いている。
雪がふるように、魚がふるような演出は昨晩行われ、それは神によってなされた。
しかしそのことについて誰一人だって覚えていないし、僕は嘘をでっちあげて書くだけだ。
嘘を書いているんだ、渇いているんだ。路傍にフワリと浮く神様の握手のようなコンビニエンスストアのビニール袋。
眺めつつ渋茶はまだかと苛々しつつ、仏壇に置いたままの携帯電話をまだ捜している。
まず眼鏡さえ見つからないこの暗闇の中で、幽体なんだ。
幽霊になってもきみを愛したい。僕は悪人だ。だから救われその間世に悪がはこびることになる。
まるで烏のように風葬されるまで、善人は軽んじられるなら、僕は悪人のままでかまわないし、進んで毒だって飲むさ、
とラッキー・ストライクに火を点けた。ピカドン、メタドン、今日の昼食はあまりおいしくないファミリーマートの中華丼だった。
罪の意識によって浮かばれない魂は、この穢土をさまよい病者を増やしていくだけ。
オカルティストを増やしていくだけ。
グシャッ、と蛙の卵たちを掴んで地面に叩きつけた。
でも実際には悪人であるからこそ救われるという説を疑われる。
それはやはり木のおかげで。揺れる葉音のおかげで。あなたのおかげで。
オゾン層は回復に向かっているらしい記事を読み、古い本は捨てた。
古い本は悪い。古いからだ。古いくせに死なないからだ。
死んだ木に新芽が生えて、裏返せば得体の知れない茸だって生えていると
眼鏡を見つけてかけたら希望が見つかった。決して光ではなく、ただの暗さに過ぎなかったが、普通の暗さだったから
比喩すらいらない暗さだったから良かった。
それから仏壇の携帯電話を見つめたときには、何か新しい発見でもしたときのように嬉しかった。
ガリガリと猫が開かない襖を齧っているのを見た時はまるで自分を見ているような気がしたよ。
夜、暗さと暗さが重なり合い、蛍光灯の明るさ、きみとたのしく話をした。
頭の中からポトポトと窓辺を濡らす、酒のような雨がふる。僕は歩き出す。歩くこと、動くことからは逃れられない。
十字架に白い鳩が止まり、ルソーの本は五十円で売れた。
水に濡れたルソーの本は五十円なんだな、と思った。
見回してみると、人間たちが全員同じ顔をしていて同じ方向を向いて歩いていた。
僕とは反対の方向だった。唇が青くなっていく。
行かなくちゃ。あの木のもとまでいかなくちゃ。時間が二十時間経っていた。
そして僕はホット・コーヒーにクリープを雑に落とし、指を舐めたら甘かった。またあなたに電話しようと考えた。
 
 


労務の顔

  霜田明

今日の空には遂に
でくわさなかった
(僕の身体は空洞
 個人の来訪を妨げる)
  僕の身体は
  豊かな音の空洞

   来訪に
  現存在が
  現存在らしいみっともなさが

    僕の思想は感温の思想
    こんなときこそ緊張が要る
    関係上の思想の――
    朗らかさとはその緊張なので

   謝罪することよりも
   露呈することのほうが恐ろしい

  (その他人の顔)
  顔はいつでもごく個人的な
  三角関係を内包している

僕の若さはまだ信じられている
現実僕は明日の空に
(冬の電線 緑青の錆)
今日には少し出くわした


こわれた日

  

その日、
空がこわれた
その前から季節もこわれていた
いつの間にか人々もこわれていて
雨上がりの路面には
心のかけらが散乱していた
それなのに
誰もが見て見ぬふりをしていたのだ
雨上がりの路上に横たわる
子猫の死骸に対するように
見えないふり
聞こえないふり
そんな行為には
何の効力もないというのに

ずっと流れ続けていた音楽が
ついに終わりへ近づいて
すべての輪郭が崩れはじめる
永遠を構成する
「美しい細胞」であったはずの
わたしたちも崩れはじめる
こわれて燃えだした空を
みんながスマホで撮影している
だって頭がこわれているから

みんな腕を伸ばして
ぽかんと口を開けながら
こわれる世界をスマホで撮影している
焼け落ちていく空を
スマホ
スマホで
たくさんのスマホ、スマホ、スマホ……

撮影する母に抱かれた赤子や
幼い子どもたちや
機械が苦手な老人たちだけが
肉眼で見ていた
焼け落ちていく空を
肉眼
肉眼で
無力な肉眼、肉眼、肉眼……

最後の音がEコードで終わると
空の炎が人々へ燃え移った
スマホを通して見ている者も
肉眼で見ている者も
みんな平等に燃えている
人が、その歴史が
愛が、憎悪が
不安が、やすらぎが
あらゆる記憶と記録が
砂紋のような文明が

やがて炎は
人以外にも燃え移った
空を飛ぶ鳥も
水に潜む魚も
大地を駆ける獣も
始まりの記憶を持つ微生物も
みんな平等に燃え尽きていく

こわれた神様だけが
泣きながらそれを見ていた


六花

  atsuchan69

望み、儚く
残す轍 遠い道程
荷の重さつらく
そぞろ立ち止まっては
見上げる空の哀しみの果て

日ごと、無惨に、
鞭で打たれる、背の
痛みさえ忘れるような
僕(しもべ)らのゆめ、
また夢のゆめ

艶めく花に狂う、
春の野を駆けめぐり
いつか散る瞬く間の色
ふたたび、冬
永い、ながい静寂――

薄墨の空を舞う、
白くつめたい六花の
勢い吹雪く枯野に
罪科を載せた荷車を牽く
凍える手指、埋れて

やがて溌剌な
若人の声が虚空にひびく
湧き立つ山あいの霞
深雪をも溶かし
春の風そよぐ 幻


    ※


ゆめ、夢でなく
曖昧なことばに心託して
なおも修羅の轍をゆく
忘れられた人々の祈りが
不義の舌に火を燈す

深々と降頻る花弁雪が
吾等の咎をやさしく覆う
火炎で焼かれる、背の
深き淵の灼熱の裁きさえ和らぐ
穏やかな春の日を待ち望んで 

幾たびも、

幾たびも、

冬。


緑衣のレースに被われた切り箱

  アラメルモ


君、きみね、収集した言葉なんて本棚に飾って置くものじゃないんだよ。

あれは食べた後からトイレに座り込んでは流される、つまり消化するものじゃないのか?

次の日の朝も快晴だった。いや、もう少しで昼時を迎える時刻だろう。
理由もなくだらだらと夜更かしが続いていた。
眠らないのではなく、眠れないのだ。
きまって食事の後には居眠りをしてしまう獣のような癖。
充満する一酸化炭素に雨上がりの湿気。この重苦しさは誰かが祈祷する呪いの黒煙に違いない。
昨日の夜は心臓に違和感を感じてまた神に誓ってしまった。
目覚めればきっと喫煙を止めるでしょう。
「山積みにされた粉塵」を、と
箱書きにはそう記してある。

人混みの中を行く快感は何かべつのモノを身に付けているからだ。
虚栄心に満たされているときほど私の周囲も明るい。
賑わうデパートの階段を、パリッとした詰め襟の学生服で歩いている。
白いひかりに包まれた世界の、挿し挟む闇を支配する旅人である。
洋服売り場の混雑を比較すれば、古本市の催し場はまるで戦場の跡だった。
さっそく物見遊山と上下左右に眼が翻る。
古い函に収められた書物の前で立ち止まるが、漢字が読めない。外国語で書かれたモノも多かった。
ルイ,アラゴン、19世紀末、巴里、ランボウetc.
どうやらここが詩集や思想史のようだ。
このような書物には何故か魅力を感じてしまう。
何冊か手当たり次第に掴み出した。
持ちきれないのでどうしたものかと迷っていたら、傍に果物入れを横に切ってある箱が置いてあった。
本を斜めに積み重ね、そのままレジに持って行こうと起き上がれば、一人の紳士が私に声をかけてきた。
(おやおや、これはまたお高い書物をお買い求めなさる。)
値札をまったく気に留めてなかったことに気がついた。
改めて見れば一桁数が多いではないか。
一瞬あたまから汗が引いたが、私はその箱を紳士に授けて逃げ出してしまった。
北向きの風は強く、翌朝も快晴だった。
何かに追われるものも無いと悟る。いや、悟ってもいない。
忘れ去るだけで、何も残ってはいないだけだろう。
そう、考えれば考えるほど手元に置いておきたくなる遺物を
、持て余すのはオレンジ色の網目。
神に誓う度にまた同じ嘘を吐く。
珈琲が喉元を過ぎる頃には煙草に火をつけていた。


(無題)

  匿名

そういえば、彼の者は阿呆であった。
いや、それは。

明け方の真冬というモノは未だに鬱蒼とした暗さに支配されているものだ。
吐き出す息の白さといったら、そこにのみ雪が積もっているのではないかと錯覚する程だ。
挙句、震える拳をどうにか鎮める事すらかなわないときたら、この苦痛をどうすれば良いのかとうとうわからずじまいである。
駐車場には今にも消えそうな柔い光を出す街灯が設置されている。
夏ならば蛾でも群れているのだろうが、今やそこには空しかない。
着込んだジャンパーの中には申し訳程度の温みを持ったカイロが入っていて、だがしかしそれすらも酷く頼もしく感じる程の冷たさを外界は発していた。

そうして、暫く歩いていると、ふと奇妙な物が目に写った。
蜜柑の木である。
何が奇妙かというと、そこに青い実がなっているのだ。
普通、この寒さでそのような光景に巡り会う事などありえないだろう。
なんだかとても不吉な事に思えて仕方ない。
極寒に実る蜜柑の果実。
アンバランスさに反吐が出そうだった。

有給を消化する為に私は昼間から布団の中で眠っていた。
昨夜、調子に乗って呑み過ぎたせいで帰ったのは早朝だ。
酒のせいであやふやな記憶の中でも、あの蜜柑の木の事はハッキリと覚えていた。
のっそりと布団から起き上がる。
ポストに溜まった郵便を取りに行くついでに、あの蜜柑の木を見に行こう。
何となくそう思った。
私はジャンパーを着込み、袋から出したばかりのカイロをポッケに入れた。


津川と俺

  イロキセイゴ

遺灰の感謝に
私は聖モニカをたたえる
内部の人間だった私は
津川を夫婦岩で殴る
伊勢神宮を参拝し
おかげ横丁で昼餉をとった後だった
娘を誘拐された腹いせに
神を呪うと効果覿面(てきめん)で
津川は夫婦岩で殴られる
遺灰の感謝の記号学だった
聖モニカをたたえて
内部の人間となると
ターゲットの津川の娘がさらわれて
案の定神を呪って居る(津川)
ほれ引っ掛かったと
津川を夫婦岩で殴ったわけだ
キノの大冒険も控えていたし
バサラ大名も控えていた
私(俺)のやる事はサミーで
レンタルビデオを借りる事だけでは
無かったと言う訳だ

さえて来た聖モニカを
私はますますたたえる

文学極道

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