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kaz.

選出作品 (投稿日時順 / 全54作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


十一月、波打際

  はかいし

由比ヶ浜は沈んでいくときいつも産声をあげて泣いていた。はじまり、の詩句が似合う、弾けた鞠なんだ、追いかけるように後ずさる。泡。僕らはどこまでも形骸と化した空気を追いかけて、空に跳躍、する。

イカロスは翼があったから空を飛べたけど、鞠には翼はないから、僕たちの心臓の向こうに落ちて、ざぶんと飛沫を上げるんだろうね。穏やかな破水。空を仰ぐ間に押し寄せてきた。波。波。と注がれたかなしみに落ちる。

本当は留まっていたかったんだろう。鳴動。は薄れて、日暮れまで届かないうちに、距離は失われ、気がつけば心臓を通り過ぎていた。重なることはない。影たちに、あなたは、濡らされて。はじ、は恥、まり、は魔力だったんだ、空が遠くから、海も遠くから、見ていたんだろうな、

ざぶり、ざぶり、

跳躍は、深く沈むことを、どこかで望んでいたんだ、はじまりが、どこまでも続いて、はじまりで終わる、波打際が、残酷なやさしさで削っていった。わたし。は泡になって、はじけたまりで、はじのまりょくを、もう一度、見せつけられて、冬の海は、煩いほど胎動する、


かもめ

  はかいし

ながすぎたうたが
ながされていった
しぶきゅうふは
かもめになってそらをとぶ
わたしたちのすごしたはまべに

おとこたちのゆうべは
おんなたちのあしたで
くずされたすなが
ふたたびたましいをつくり
たてられたかさがうめつくす

ひとりきりですごした
しおみずのかおりが
おとこたちをかたむけて
おんなたちにそそがれていく
かさはとじられて
やってきたゆうべ

からになったうつわが
すなのなかにくずされて
すなはうみのなかにくずされて
うみはうたのなかにくずされる
うたはおんなたちのむねでねむる

やがてかもめのなきごえがきこえ
おんなたちはおりかさなって
うみにはいりこむかわのながれになり
としおいたおとこたちが
かさをふたたびひろげ
あさひがおぼろげなせなかに
かもめはほほえんでいる


  はかいし

向こうに布をかけて、道を閉ざしてしまうことにした。繊維の隙間から街々の影が覗いている。それが次々に増えていって震え出した頃に、わたしは布を撥ね除ける。布の下から青や赤が駆け抜けていって、部屋全体を染め上げる。それからつめたくなった彼女を見つけて、まど、と呼んだ。

いつも向こうから囁いているのは、やけるような夜景だ。彼女はそこに恥部をさらけ出して言う。物語の作り方を知りたい、と。それなら、とわたしはその背中に滑り込んだ。背中の上で燃えて、わたしは灰になる。ここには誰もいない。誰もいないんだよ。

(引き延ばして欲しい、もっと、影だけでも背伸びして、太陽に裸体を曝して、どこまでも続く背中の中に、)
向こうから、夜景の消えていく音がする。それは街路樹の群れをこえ、信号機の点滅をこえて、やがてわたしの鼓膜をこえて、中へと入ってくる。代わりに色彩が少しずつ短くなって部屋から抜けていく。

彼女は歯をわたしに向ける。日差しはそこかしこに散らばって、ぎらぎらと滾っている。彼女はわたしの物語のせいで、歯まで真っ黒だ。夜が更ける頃に、わたしはつめたくなった背中を探して、部屋中に広がるだろう。だから、また布をかけて、向こうからくるひかりを閉ざすことにした。


再誕した、明月は遠野に

  はかいし

行き先も告げずに走り、ただぼうっと霞んでいくだけの影がしなる草木に乱されていくやがて夜間が方々で燃やされて(こんな霜焼けみたいな野原をおれは歩いていた)彼女は何も告げずにその中に飛び込んで見えなくなった/対角線のない野原に突っ立ったままのあばら屋でじっとりとしめるような音を聴いて眠りたい


死者の道(化石)

  はかいし

石炭を詰め込んだ袋を背負い、夕焼けの帰路を歩く。丘をなぞるように続く細い道には足跡が続く。その中に昨日の雨水が溜まり、夕日がぽつりと溶け出す。二つ目の峠を下りた頃、炭鉱から帰る途中らしき女性を見つける。彼女の脚は長い丈の衣に隠され、何かの爬虫類、ニワトリ、と一歩一歩違った足跡が続く。それを指差して、これはあなたの足跡ですか、と聞く。いいえ、これはあなたの足跡でしょう、と苦笑される。丘のてっぺんまで来たとき、彼女は纏っていた衣を脱ぎ捨て、足元を指差す。踝から下が透けており、あなたは幽霊なのですか、そう聞くと、彼女は何かを答えようとして口を開く。その中では白骨が燃やされており、驚いて誰の声も聞こえないまま、喉の奥の暗がりへと飲み込まれていく。

(女の腹の中で、黒光りする液体を泳ぎ切り、家に帰り着く)

ぽつり、ぽつりと星が照り出したのを見計らって、私は家を飛び出し、街灯を避けて走り出す。時々私の口に羽虫が飛び込み、そのまま飲み込んでしまう。羽虫は喉の奥で何かをまさぐって、その度にぞっとしながら、闇へ。羽虫が唇を掠めることもなくなった頃、墓地に辿り着く。星だけが点在する、ピンで留めたように。まだ、喉に何かが引っ掛かっていて、ガビリと引っ掻いて全身に響く。ガビリ、ガビリ、辺りの墓石からも聞こえ出し、重たい石の戸を開けて骨だけになった影が立ち上がり、私の周りで踊り狂う、ガビリ、ガビリ、骨を鳴らしながら騒ぎ立て、耐え切れなくなり、もうたくさんだ!そう叫んだ後、喉につかえていたものを吐き出した、

(吐瀉物の中からツチボタルが這い出し、頭蓋骨に入り込む、)

頭蓋骨を棒に掛けて洞窟を進む。眼窩からは糸状の燐光が次々と放たれ、触れた岩肌から放射状に広がって暗闇を照らしていく。ツチボタルの松明。私が呼吸する度に光が通い、壁に張り巡らされた網が震え。進んでも進んでも辿ってきた道が輝くばかりで、少しも前を照らさない灯。やがて私は空腹を感じ、それに同調するかのように、頭蓋骨はいっそう青白い血液を滾らせ、四方八方に送り出す。急に強くなった光が背中を押していく。
ここで洞窟は二つの道に分かれている。一方はしんと静まり返り、もう一方からは石油が臭い、そちらに行くと、オレンジの燭台が見え、徐々にその半透明の影が広がっていく。見つけた!ひとりの男が叫び、すぐに何人かが集まってきて、化石だ、と口々に言い合って、渦巻いた塊が男の手の中で黒光りする。引き返して、もう一方の道に向かっていくと、ツチボタルの松明が弱まり出す。進めば進むほどに弱くなり、遂に消えてしまう。手探りで進み、ようやく洞窟を抜け、墓地に着く。死者たちがたき火をぐるりと囲んでおり、ひとりから、これを食べないとお前は消えてしまうよ、と言われ、握り飯をもらう。戻ろうとして振り返ると洞窟は跡形もなく消えている。手足が徐々に透け始め、消える前に握り飯を飲み込む。そして、家に帰ることもできないまま、仕方なくその人たちとずっと一緒に暮らすことにした。


銀の雨

  はかいし

やかましいほどの叫びを上げて小鳥たちが飛び立つのを暑さの中で聴いた。ひとつ、ひとつと逆光の中の影が深い青さの中に飲み込まれていく。一匹の猿が毛深い木の上へ駆け登りそれを見送った。ぼくはその猿を追い掛けて木に上る。揺さ振られた枝から肥大した芋虫が落ちてくる。太い胴体には紫の環が張り巡らされ模様をつくっている。猿は近くの葉にしがみついていた芋虫を拾ってモシャモシャ食べてしまう。それに倣って芋虫を口に含む。甘さが噛むうちに酸味に変わっていく。向こうの山焼けの火から煙が立ち上っては、風に当たって何度も消えていく。突然猿はぼくの顔を見て笑い出す。ぼくはしばらく不思議に思っていたが、その猿の舌が青く光っているのを見て思わず笑う。


山焼けに驚いた鳥たちの群れが煙を避けて次々飛んでいく。猿がその群れのひとつを指差して興奮の声を上げる。青い瞳をした灰色の翼が整列してこちらに真っ直ぐ飛んでくる。ぼくはそれが何という鳥だったか思い出せない。この辺りに住むようになってから始まった物忘れは今でも続いている。頭より先に手が動く思考に、記憶は反復される機会を失った。これは、物の名前を覚えたり、誰かと会話することもなくなったせいだ。こうして木の上で暮らしていればいいのだから。そして群れはぼくらの上を通り掛かり糞の雨を降らして去っていく。ぼくも猿も体中銀色にまみれ、笑いながらお互いの体を嘗め合う。仄かに甘く水分が豊富に含まれている。そうだ、この雨林に住まう前、ぼくはあの群れを『銀の雨』と呼んでいたのだった。ぼくらはもうかなり後ろに行ってしまった『銀の雨』に向かって大きく手を振った。『銀の雨』は甲高くゲラゲラ笑いながら小さくなりやがて霧の中へと姿を消した。


猿はすっかり満腹になり太い幹にもたれ掛かり眠っている。ぼくは周りに敵がいないかどうか見張る。例えば、まだらの黒点を纏うあの獣や、大空から襲ってくる猛禽類。この辺りの森も開発の影響を受け多くの木々が伐採されているため数はそう多くはない。住家を奪われた獣たちの行き場はなく大抵はその場で死ぬ。木に跡を付けて数えていたその個体数も今ではただの引っ掻き傷にしか見えない。変化を、記憶できないのだ。動物たちの数が、減っているのか、増えているのか分からない。思い返せば、この森に入ったときに持っていた道具があった。歳月がその道具の使い方を失わせ所在は色褪せていく。名前などなかったかもしれない。その穴の空いた先端部分を向けられた相手はあっという間に血を吹いて死んでしまう。覚えているのはそれだけだ。だからぼくらはそれを持っている人間、あるいは持っている気配のする人間には決して近付かない。


不意に風圧が強くなり頭上に影が過ぎる。ぼくは猿を揺すり起こし戦闘の体勢に入る。翼の内側だけが深紅に染まった巨大な黒鳥。上空を旋回しながら隙を見て襲いかかる気だ。ぼくらは長めの枝を折りしきりに振ってこちらの警戒を示す。いつもより殺気立っており逃げようとはしない。急降下し、ぼくらの側に突っ込んでくる。木の枝と拳を振るう。素早く交わし怪鳥は鈎爪をぼくの腕に噛ませようする。猿が枝を繰り出す。怪鳥はそれでも諦めない。大声で威嚇して猿を襲う。すかさずその頭部を殴る。怪鳥は獲物を諦め飛び去っていく。ひどい空腹だったのだろうと思う。そして、今度はぼくが眠る番になる。


夢の中に飛び込む。今日浴びた銀の雨の中に沈んでいく。重たい水を掻き分けて顔を出す。水銀の海が広がり照り付ける陽射しを反射する。雲の切れ間にあの芋虫たちがへばり付く。少しずつ皮を脱いで蛹化し、食べようとするぼくの手は届かない。水位が次第に増し液が体の中に染みて身動きができなくなり溺れかけたところで目が覚める。
夜の雨林は憂鬱の景色。星たちが青白く輝きながら無数の雲の裏側を抜けていく。ぼくはかつてその名前と位置をすべて覚えていた。今はその数を数えるだけ。途中でどこまで数えたのかが分からなくなる。いつか、分からないということさえも、分からなくなるかもしれない。あるいは気付かないだけで、既にそうなっているのかもしれない。
ここでは、ただ、危険なものを避けていればいいのだ。危険なものが何なのか分からなくなるということは、それが危険である限り一生ないだろう。危険は目に見えるものであり、耳に聴こえるものだ。そうして毎晩少しずつ忘れていく。


aoi

  南 悠一

彼女の背中越しについた
ため息のぬるさが
午後過ぎのお茶の温度に近似する時刻
俺はまどろみという背中越しに投げ掛けられた毛布に身を包む
見せてみろ、いつからか憂鬱に染まり出した地帯では
この銀色のチンチラが世界の一角を覆う布に変わる
地球の表面に観察される銀の突起の群れに
俺は微熱を感じる、その正体を見せてみろ

乳房の温もりに挟まれた掌を曝す窓際に
冬のひび割れた地面のような皹が伝って
ガラスごと割れてしまいそうだ
間延びした言葉をぶつけ合うやり方は
少年たちのコマの硬さをもっている
どうして僕は同じところばかり回っているんだろう
なんて 考えもしないで遊びほうけている
俺にもそんな時代があったが
過ぎ去ってしまったのだろう
ずっと眺めていなければ気づかないような微妙な変化を
空は繰り返していた
繰り越すことの重荷のために割れそうだった

少女が家にくる 俺は決まって毛布を着込む
毛皮の隙間から差し込んでくる
彼女の瞳は
いつもブルー、ブルーがベリー、
ベリーマッチ、
なんて 下手くそな英語で
果実の名前を連ねても
空は青い
陳腐化してるんだ
重なっても重なっても青いまま
俺は透明過ぎる空の下で
色の少ない貧しい絵を描いてみる
そう、パンにバターで書いたデリダの署名や
積まれた本の上の幻のアフリカから
少しずつ色彩を奪って自分のものにする
この微妙な差がよく見える気がするから
青を目に焼き付けて
より深いブルーを探す

やがて空に浮かぶ羊が勃起し
射精して雨が降ってくる
俺は毛布を脱ぎ捨てて
屋根の下で雨宿りする
脱ぎ捨てた毛布は世界へ羽ばたいて
空へと混じっていった
板の溝から降ってくる水滴に
眼球を映し出すとき
俺の網膜の中で羊の精子が受精して
視界は分裂を始める
縦に分かれ、横に分かれ、生まれる新しい世界は、aoi、母音を三つ刻んで
目覚めが始まっていく

* メールアドレスは非公開


憂鬱録より “火”

  南 悠一

身体を吊るし上げることから始めなければならない。女の足に縄をかけていくとき、彼女
は彼女なりの必死な表情をして、逃れようとする。形作られた表情自体、酷く歪んだもの
だ。嫌気がさして鞭打つ。注射した薬剤のために筋力が衰え、女は動くことができない。
植物のようにおとなしく、あたかも一つの生命体を成しているかのよう。だが、この女は
もはや生きてはいない。生かされているのだ。胸を覆う、細い指先の茂みを荒らすように、
私は手の甲を包み込み、愛撫する。女は自分の手で自分自身の乳をまさぐる格好になる。
やがて、それは私なしでも続いていく。

自涜とはこんなふうに、誰か他人から教えてもらうものなのだ。女の表情が快楽に変わっ
ていく。それが奇妙に歪んでいる、不自然に垂れた顔面の筋肉がそれを覆い隠していく。
あたかも女のもつ羞恥心の外皮がそれを覆うように。私は激しく鞭打って破壊することも、
棘で血だらけにすることもできた、せずにいたが。薬の効き目の悪さにがっかりして、そ
うした気力も起こらなかったのだ。筋弛緩剤の作用、先に注射したものが全身を巡ったこ
とによる、部分的な筋肉の解放に過ぎない。女の表情を止めることができないのは、薬に
よって解放されるのが理性のほんの一部でしかないという、よい一例だろう。アルコール
や覚醒剤が、薬、と概括されてしまうのは、それらが解放するのが、同様に部分でしかな
いからだ。そうしたものに思索を向けていなければならないほど、私は掻き乱されていた。
顔面筋肉の緊張と弛緩の領域、つまり表情を作った部分と作ろうとする部分が、モザイク
状に配列され、隣り合い、お互いに浸蝕しながら共存している。あたかも虚像が真実を覆
い隠すかの如く。それが恐ろしかった。

しくしく啜り泣く声。吊され、逆さまになった顎の輪郭に沿ってできた渓流が、髪から滴
り落ちていく。その肌は耳まで赤い。その源流は股間から波打つように震え、垂れていく。
オナニーの最中におしっこを漏らしてしまった、うぶな娘の様。苦い表情は尿に洗い流さ
れていく。私は動脈のある部分に針を刺す。血の噴水が顔に掛かり、女はまだ生きている、
視界は仄かに紅く遮られ、血塗られた窓の向こうの景色であるかのように錯覚する。遠近
感が失われていた。何か、途方もなく遠いものさえ、私の手元に、そう、この女の肉体に! 
この細い肉体が私にとっての真理ならば、どうしてその束縛に癒されるのだろう。“それ
は女が真理ではないからだ。女は、もはや形骸である。女というのは一つの形式である。”
という声。だが、私は否定しよう、これは真理だと。真理、それは血の美しさだ。血のも
つ、硬質な感じ、それはヘモグロビンの構造の中心から回帰する鉄の記憶、つまり歴史な
のだ。この血の中には悠久の時が流れている。溶鉱炉の中で燃えるとき。兵舎の冷たい夜
が更けていくとき。そうした印象の中でもとりわけ目立っているのが、戦地を飛び交う弾
丸として兵士の心臓の中に食い込み、血が噴き出すときだ。鉄が、鉄を散らしている。
もし私が錬金術師なら、女から金属を取り出すことを考えたかもしれない。地下から噴き
出したマグマのように、血は情熱、パトスを形容するメタファとして結晶した。それは真
理探究の精神と深く結び付いて、未だに「智」と「血」の発音の中に、その痕跡を残して
いる。

“消さねばならぬ。火を消さなければならぬ、女の内に眠る炎を消さない限り、私は……”
と、いくらかつぶやくのが聴こえた。狂気と錯乱が私を私から引き離していた。もはや、
つぶやきは私のものではない。私のつぶやきを後から繰り返し、何か耐えようのない痛み
に耐える仕草をする女のものだ。私は隅にあった消火器を持ち出して、力いっぱい殴り付
けた。鳩尾への衝撃、嘔吐、それらはすべて、予定されていた。私が殴る度、女は吐き出
す。反吐を生む機械。規律を遵守し、精神を喪失した機械としての肉体。外見上の美しさ
は衝撃の対価として失われていく。私は吊した縄は、部屋のフックに引っ掛かり、たった
一枚の戸で外界と隔てられているが、そこに決定的な形で破壊要素を導入すれば――戸を
叩く音が聴こえる、女の子たちが帰ってきたのだ――人目に曝され、芸術作品と化す。私
は物陰に身を潜めた。思えば、ここから侵入し、中で着替えていた女の子を襲撃したのが、
そもそもの発端なのだ。

女の子が二人、部屋に入ってくる。二人はその惨事に唖然とする、吊された女、吐瀉物、
消火器、傷痕、血、それらを目の当たりにして。直ちに物陰から飛び出して女の子たちを
いっぺんに縛り上げる。悲鳴。私には聞こえない。口を覆う掌にはその息だけが吹き掛か
る。“この二人には媚薬だ。”二人は背中合わせに縛られているのだが、そのうちの一人
を抱き寄せ、ワセリンを丁寧に塗って、愛撫し始める。メンソールを添加したワセリンは、
女の汗と混じり合い、膚が張り裂けるような強い爽快感を与える。女の喘ぎは、あまりに
も静かだ。けれども快楽の絶頂期において、やはり尿をちろちろと腿に這わせるのだった。
私はそれらをうまく紙コップに掬い上げて、媚薬を滴下し、程よく揺らして混ぜ、二人に
飲ませる。むせ返りながらも、なんとか飲み込む。最後に私もその残りを飲む。焼け付く
ような熱さが喉、食道、胃に浸透し、今にも破裂してしまいそうな激しさで血は踊った。
私は消火器を手に取り、弱々しい抵抗を続ける女たちの股間に向けて、発射した。悲鳴。
寂しすぎるほどに聞こえない。爆発の衝撃が陰部を貫いた。高濃度に圧縮された気体が、
一人、一人、と確実に消火していった。火は消えた。


  南 悠一

魚は、青かった、
とめどなく、
どこかに消えていった、矛先が
盾に重なって、
鱗ができた、
私はその衣で、
とめどなく、
青かった、

歯止めのかからない、青さに、
私、私、
もう、しにたい、さけたい、
死に、咲け、
鯛、鯛、
止まらない連句、
もう、しにたいなんていわないで、
さけておくれ、転じて、
遅れ咲け、

桜の真っ直中、
青かった、私は青かった、
青いということが、
裂けて、内臓が飛び出した、
続けて、死にかけた、魚が、
跳ね回る、祝宴の鯛、
おまえは、やりたい放題、

桜吹雪に虚ろな瞳、
青かった私は死んだ、
肋骨を食い破って、
鯛が肺にかじりつく、
呼吸が、止まらんよ、
止まらんから、
苦しいのさ、
尽きるまで、その衣で、
私の顔を覆え、


やぶ蚊の群れ

  一洋

抹茶フラペチーノを啜りながら立ち上げたウィンドウズからアクセスすると、脳髄のシンボルと一緒に『文学極道』というタイトルが飛び出してくる。文学極道は、ここカナダのコンピューターからでもアクセスできるのが特徴だ。「投稿の際は、必ず各掲示板の投稿規定をお読みください」という指示に従って、投稿規定のページを開ける。「芸術としての詩を発表する場、文学極道です。糞みたいなポエムは貼らないでください」から始まるこの投稿規定に関して、特記すべきことは三つ。一つ、作品は一人につき、月に二度までしか投稿できない上、同じ週に二つの作品を投稿することはできない。二つ、毎週日曜日は合評促進との名目で、一切の投稿が出来ないことになっている。三つ、投稿前に既存の作品にレスポンスを返さないといけない。この三つのルールを守るのは意外と難しい。例えば、土曜日に夜遅くまでタイプし続け、ようやく完成した作品を投稿しようとしたら、もう夜一時を過ぎていたために二つ目の規定に引っ掛かり弾かれた、そんなことが何度もあった。僕は、それら三つの項目の重要性をマークするために、「一人につき月に二度まで(同じ週には一度まで)、月曜〜土曜日の間」から「既存の記事への返信投稿」までを、ドラッグして反転させる。教科書に引かれたラインマーカーのように、白地を青く染め上げて、文字色を反転させる、そしてまた別の箇所をクリックすると、青地が消えて白地に変わり、薄っすらと灰色掛かった文字が再び現れる。この行為には別にこれといった意味合いはないのだが、字を白くする機能だけになれば、雪原のように真っさらな白を生み出す、そのときあらゆる強調的性格は失われ、もはや規定は規定としての意味をもてなくなってしまう。そうこうするうちにフラペチーノの容器が空っぽになり、そのクリームの白さと甘さが、攪拌され野草の青色に混じっていったのを思い出すのだ。

ところで忘れがちなことと言えば、機能メニュー、新規投稿フォーム、返信フォームなどに直接つながったショートカットキーが設定されていることだろう。記事を探しながら自分がどこにいるのか分からなくなったときは、これらのキーを利用すればいつでも自分の行きたい場所に移動できるので便利だ。僕はこの箇所も同じようにドラッグで反転させようとするが、マウスのカーソルがどこにも見当たらない。マウスのカーソルが自分の場所を指し示すのに、それが時々どこに行ったか分からない。仕方なく、マウスをぐるぐると回して、自分の居場所を探し出してやらねばならない。思えばネットの世界だけでなく、実際の生活でも、僕という人間は大変な方向音痴だ。授業の質問のために哲学棟に向かったとき、そのあまりに広大な大学敷地のために、何度も道に迷ったものだ。一番最近道に迷ったとき、地面という地面に雪の降り積む中を、グレーのフリースを身に纏い、あまりに長いこと凍えながら彷徨い歩いた。マウスカーソルに、自分が道に迷っているという意識はない。彼は、全く自分の居場所が分からないままだから、見失った自分の道を再び僕に見出してもらうために、画面上をやぶ蚊のように煩わしく旋回しているだけなのだ。そのうちにカーソルは幾つもの方向に分散し始め、この文学極道という空間を過っていった幾億のマウスカーソルの亡霊までもが、視界に現れる。砂嵐のように画面全体を隈なく覆い尽くすカーソルの群れ。今にも画面から溢れ出して、自分の位置を聞き尋ねて来るんじゃないかと、僕は恐ろしくなる。ああ。僕だって、自分の居場所なんか、少しも分かりやしないというのに。

もはやどうしようもなく、茫然としてそのコンピューター画面を眺めていると、そのカーソルの動きに、ある規則が見られる。彼らは、「迷い子」というキーワードを反転させ、それを強調するようにその周囲に群がる。次に、「冬の軌道から逸れていく」を青く染め上げて、白文字に変えてしまう。「レール」「束」「雪」を選択し、それぞれ、レールの切断面であるイニシャルIの字形、束ねられた花、降りしきる雪を、カーソルの群れが纏まって、その形態を丁寧に模写をする。「つばさ」では、海辺に見たカモメを、「骨」では髑髏を、擬態する亡霊たち。最後に、詩中に現れる一連の光景を、マウスカーソルの白と黒とが再構成していく。海沿いを走っていく列車、線路上に置いた、砕けた団栗を取り去る栗鼠たち、その列車と栗鼠を含む島、島が沈んでいく様子、それを写真に撮ったiPad、島の映る写真を指差すiPadの上の指先、その指先が拡大する虹の輪、そのiPadの上に降ってきた雪の結晶。すべては雪に覆われ、沈む、水底の栗鼠の骨、そこから伸びてきた水草の茎。それからチロチロと水が流れ出して、空っぽになる水槽。その水槽を入れた室内で響くチェロの音。それらすべてが、マウスカーソルの集合によって築き上げられている。そこで強烈なインスピレーションを得た僕は、AltとNを同時に押し、投稿ボタンまで限りなく漸近する。無数のカーソルが、ただ一つ僕のマウスカーソルへと収束し、藪蚊の群れが一瞬で死滅し、画面は閑散としている。ここは芸術としての詩のサイト、Artに限りなく近くまで行き届かねばならない。投稿ボタンをクリックして、空間へと昇華していく僕の詩篇は、『冬の虹』というyukoさんの詩を押し退け、その上に鎮座した。コンピューターの電源を落とし、僕は立ち上がる。一つのマウスポインタが、スタートメニューの終了をクリックする。画面が明滅を始め、シャットダウンする瞬間、画面上には誰の眼差しもなく、抹茶フラペチーノの空容器が、ゴミ箱の中で静かに光っている。


(文学極道の『掲示板のつかいかた』、yuko『冬の虹』より部分引用)


数の病

  はかいし

 例の男が置いていった一億円のトランクを
開けっ放しにしたまま、ぼくは連絡橋にじっ
と立っていた。足のすぐ下を車が過ぎていく。
男のおかげで、ぼくは確かに一億円を手に入
れはした。だがその日を境に、ぼくは奇妙な
病を発症した。ぼくは自分のうちにとある不
自由を抱えるようになった。それは数に関す
るもので、一介の数学者としては全く恥ずか
しいので、誰にも知られないように、ここで
その病ごと、さっさと始末するつもりでいた。
だが、その場所に連絡橋を選んだのは、明ら
かに間違いだった。車がいくつも通り過ぎて
いくのを見ると、それを数えずにはいられな
くなってしまったのだ。
 一つ目を数えるのは上手くいく。でも、も
う一つ目の、その次の数を思い出すことがで
きない。その次の次の数は分かる。十一を超
えたら、またあの十の次の数がやってくると
思うと、もうそれだけで頭がいっぱいになっ
てしまう。それで、結局いくつなのか分から
ないまま一に戻り、またもう一度数え直して
は一に戻る、その繰り返し。一の次にある、
あの一と一を組み合わせた、あの数、一の隣
にある、一の次にあるやつ、ああなんて言え
ばいいんだ、とにかくあれだ、あの数! そ
れが出てこないのだ。
 気がつくと、もう何時間も経ってしまって
いた。だが時計を見た訳ではない。時計はも
う何も教えてはくれない。日が暮れ掛けてい
るので、そのことが分かるというだけだ。も
う、ぼくの頭には何もない。このトランクみ
たいに、数に関する知識はぎっしり詰まって
いるが、いざ何かを数えようとしてしまうと、
全く言いようのない違和感が起こってくるの
だ。じゃあ、この話はここで終わりだ。ぼく
はここから飛び降りて、この絶望感を解決し
てやらねば。ぼくは欄干を乗り越える。ぼく
は世界を乗り越える。ぼくの足が、一瞬、宙
に浮いた、と思う間もなく、真っ逆さまにな
る。加速する。その途端、身体の感覚がなく
なる。重さが、すっと消えて、かわりにぼく
のいた場所には、何かの手品みたいに、紙幣
がひらひらと舞っている。ぼくはこの世界か
ら、消え去った。
 今、ぼくは紙幣の一つ一つに描かれた、夏
目漱石の瞳の奥にいる。不思議なことに、こ
うした論理的に不可能な表現のほうが、この
状況を言い表すのに適している。というのも、
それは、閉ざされたまま、もうどこにも行け
ないということを意味しているからだ。漱石
の瞳が放つ鄙びた光の中に、自分がいる。こ
の世界から出せ、出せ! と叫ぶが、それを
見ているのもまた、自分のようだ。ぼくが紙
幣になったのか、あるいは漱石の瞳の中に住
んでいるのか。ぼくは瞳の中にいる自分を見、
その自分の瞳の中にいる自分、さらにその自
分の瞳の中に、……と永遠に続いているから、
何時まで経っても、「ぼく」を辿ることしか
できない。全くうんざりする。……ああ、ま
ただ。また「ぼく」がここに何人いるのかを、
数えたくなってしまった。

 ふと、誰かがぼくの身体に触れて、我に返
った。ぼくは自分の背丈ほどの高さしかない
小さな直方体の中にいた。四方の壁が、全く
紙幣そのものの絵をしている。そして夏目漱
石の顔が描かれるべき場所に、ぼくの顔があ
る。壁のその部分が鏡になっているのだ。い
わばぼくは無限に続く紙幣の狭い部屋の中に
いた。ぼくの姿が映った後ろにもぼくの姿を
映す鏡がある。夏目漱石の顔が、ぼくの向こ
うにずっと続いているように、見えなくもな
い。そういえば、ぼくは夏目漱石そっくりの
顔をしていると、友人たちによく言われたも
のだった。いったいここには何人の夏目漱石
がいるのだろう。ぼくはたまらず数え始める
が、またあれだ。あれが出てこない。数の悪
魔に取り憑かれているとしか言いようがない。
一の次の数が出てこないのに、その次の数を
思い出そうと脳が勝手に働き出して、もう頭
が割れそうだ。そこで意識が途切れる。
 今、ぼくの意識は、もとの世界にぼんやり
と漂っている。ぼくの身体は紙幣になり、世
界に散らばった。散らばった身体の部分が、
それぞれの紙幣が、誰かに拾われている。麗
しい指先の女性の手、ニスの匂いのするゴム
手袋、古めかしい革手袋もあれば、あるいは
浮浪者らしい湿った掌もある。拾った人々は
みな一様に、透かしの向こう側に黄金がある
と信じているらしい。ぼくには奴らの考えて
いることが、受け取られたものの手を通して
伝わってくるのだ。黄金を得るための暗号は、
この旧い千円札の漱石の瞳の部分に穴を開け、
穴を通してその向こうにある夕焼けを望むこ
と。
 ついに、紙幣を手にした人たちのあらゆる
手によって、それが執行される。コンパスや
画鋲で穴を開けるものもいれば、あるいは単
なる指先、爪の先で引っ掻くようなものも、
みなすべて、紙幣の漱石の瞳を貫く。そのと
きぼくは、眼球に焼けつくような痛みを感じ
る。ぼくは叫ぶが、声にならない。叫びを上
げるための喉がないのだ。目を押さえようと
するが、眼球も目蓋もない。押さえるための
手もない。ぼくは透明でどこにも姿をもって
いない。痛みだけが空中を漂っている。ぼく
は血を流す。だが血しずくは見えない。その
血は透明で、陽の目に混ざり合い金色に輝く。
晩照に染まる西の海が、ぼくの全ての血潮だ。
そしてぼくの瞳は太陽なのだ。
 人々に光を分け与えよう。肉体のすべてと
引換に、差し上げよう、ぼくを犠牲にした黄
金の錬金術。ぼくの身体から数字が溢れ出し、
世界の経済を破壊するのだ。彼らは黄金を手
に入れる。彼らは地上のありとあらゆる富を
享受する。自分を大富豪と信じている人々の
嬉々とした顔。翌日、ハイパーインフレーシ
ョンの号外と共に、その顔は土気色に変わる
ことだろう。あの夕潮はぼくの流した血の大
河、その流れは水平線の彼方で途切れている。
そのぎらぎらした照射の下、穴の開いた無数
の紙幣が水面に浮かんでいる。


逆転

  はかいし

――本の上でのあの素晴らしい眠りを与えてくれたサルトルに捧ぐ


 お前は女に出会った。運悪くそこはベッドの上だった、初体験で風俗という、いかにも吐き気がしそうなことをお前は試みていた。もちろんすべての人々がそう感じるとは思わない、しかしお前は感じたのだ、その吐き気を、その初々しさを、おのれの若さを。そしてうんざりした。お前はうんざりする自分を感じた、そう言い直してもいいだろう。お前は真っ直ぐに愛を表現できる相手が見つからなかったために、つまりどこかひねくれたところがあったために、そうなってしまったのだ。お前は暑さの中で、くねくねした路地裏を抜けて、その店へ入っていった。
 そこに夢があった。愛する。これはなんだろうか? ここに乳房がある。ここに谷間がある。鎖骨がある。肩がある。愛する、これは奇妙なものだ。この体のどこに、そんなものがあるのだろう? 股の間には物静かな陰毛しか生えていないし、うなじには甘い汗の一滴もない。これを愛と呼ぶならば、果たして人々は何を味わうのだろう? そんな快い眠りを開かれた目に見続けていた、女の夢だった。お前は愛すると同時に、その体で哲学してしまうのだ。お前が愛しているまさにその体で生き抜いてしまうのだ。
 すべてが終わると、今度はもう来ないぞという気持ちがした。もう来ないぞ。もう二度と。そして、それをいつかまたどこかで言い聞かせてしまうのかもしれないと思ってしまう。お前は愛について数多くの比喩を知っていたが、愛することと愛そのものとの違いについて、深く考えたことはなかった。

 一ヶ月もしないうちに、また別の女のところへ行った。今度はアパートだった。女は姦通の最中に気分が悪くなり、嘔吐した。お前は、それが女のものであるとは思わず、自分のものであると考えた。お前は前回の経験を思い返していたのだ。お前は立ち上がり、吐き出されたものを、まるで自分のものであるかのように扱って、女をますます気分悪くさせた。女は突き刺されたまま、洗面所とベッドの間を行ったり来たりしなければならず、またお前は突き刺したまま、雑巾で床を拭かなければならなかった。お前は、ちょうど直立した女に対して、逆立ちするような体勢でいた、女が動くたびにお前はペニスを軸にしてぶら下がり、女の動きに合わせてどこまでも行ったり来たりすることができた。一通り吐瀉物がなくなると、お前はこう言った。「あのいきのいい魚や野菜が、ゴミになっちまうなんてなあ。俺が持っていくからな」もちろん、お前は冗談のつもりで言ったのだ。しかし、お前は逆さまだった。すべての言葉、お前が口にするすべてのことは、女には反対の意味に受け取れるようだった。女はお前の過剰なユーモアを、自分に別れを告げる深刻なメッセージと勘違いした。「自分よりも魚や野菜の方が大事なの? 信じられない……」また吐いた。仕方なく、お前は自分と女を逆にしてみた。つまりお前は直立し、女が逆立ちするのだ。こんなことをしたらかえって逆効果なのではと思うかもしれない、そしてそれはじっさい逆効果だった。女は吐きまくり、それは止まらなかった。辺り一面が吐瀉物の海になった。その吐瀉物の中の酸のせいで、女は溶けてしまった。お前は吐瀉物に溺れながら女を探したが、見当たらない。ここには乳房もない。ここには谷間もない。鎖骨もない。肩もない。しかしお前は納得した。なるほど、愛が女をとろけさせるとは、このことか。いつの間にやらお前も溶け出した。その日のうちに、アパートの住民たちは異臭のためパニックに陥り、ドアの郵便入れから吐き出される吐瀉物にびっくりして、大家さんまでもが逃げ出す始末だった。直ちにアパートに包囲網が張られ、これを解体するべきかどうかという議論が持ち上がった。多くの人々が反対した。しかし議論している間に、その集会場にも吐瀉物が押し寄せてきているという誤情報が入り、慌てた人々が窓を扉を閉めて隙間を粘着剤で塞ぎ、自分で自分たちが閉じこもる密室を作ってしまった。密室殺人が起こる準備は万全と言えた。外部の様子を確認しようと思ったら窓を割るしかないが、あの異常な酸っぱい匂いを我慢しなければならず、また酸っぱさのために目が潰れてしまうというデマが流布していて、誰にも手のつけようがないのだ。誤情報を流した犯人探しが始まったが、それ以前にどの情報が正しく、どの情報が正しくないのかを、判断できる人間がその場にいなかった。一人が発狂し、一人が何者かに殺害された。やがて、議論は哲学的な方向に進み出した。この極限状態において、そもそも正しさとは何か、と言い出す厄介な輩がいたのだ。「考えてみれば、我々もひょっとすると、もう溶けていて、この世界には存在していないのかもしれないぞ」「いいや、存在することと、存在するものはまったくの別物だ。たとえ我々が溶けてしまったとしても、我々は存在する」こんな調子で、集会場にいた人々は極端なニヒリズムに陥ることになった。「すべては存在しないのだ。すべては無だ。おそらくその言い分が最も我々にとって説得的だろう」吐瀉物が住宅街を埋め、山々を溶かし、マグマと混ざって海を蒸発させ、全世界を浸食しつつあったが、この密室の人々はもはや自分から存在を否定していたので、溶けようが溶けまいが関係なかった。他の家々でも、これと同じことが起き、いくつも密室が生まれていた。人々は閉じこもり、乱交にふけり、殺し合い、それで快楽を増やしていた。世界のあらゆる愛はこうして終わることとなった。どこかに出かけることもなくなったので、「もう来ないぞ」と言うものは誰もいなかった。もちろんこの吐瀉物の大陸に、誰かが出かけて船で近づいてくるなんてことはあり得ないし、その意味でこの愛を邪魔するものはいないのだった。


ハンドジャンプ

  はかいし


ホップ、ステップ、ハンドジャンプ! 君がそう言ったからぼくは逆立ちしてやってみた、ところが君はハンドジャンプじゃなくて、アンドジャンプと言ったのだった。それだけだ。本当はそうなる予定だったんだ。ところが、逆立ちしてしまったのが運の尽きだ。ぼくの長すぎる足が木の枝に引っかかって、取れなくなってしまった。君はまだ同じことを繰り返す。ホップ、ステップ、ハンドジャンプ! おかげで、ぼくは眠りたくても眠れないんだ。ぼくは翼を折り畳んで、そのままの体勢でいる。君がホップ、ステップ、ハンドジャンプ! それを何回も何回も繰り返すせいで、ぼくは全然眠れない。ぼくは特別耳が良くて、口から出した超音波を聞き取れるぐらいの耳の良さなんだ。しかもそれだけじゃない。これは反響定位って巷では言われているらしいが、ぼくはその超音波を使って物の位置も形も理解することができる。それで君がさっきから言い続けているホップ、ステップ、ハンドジャンプ、これがまたものすごい音の塊になって飛んでくる。漫画で言うなら、ホップのところでビールの泡みたいなのが飛んできて、ステップでバスの段差で転げ落ちたお婆さんが飛んできて、ハンドジャンプで逆立ちしたままの筋肉男が飛んでくる、そんな感じだ。そして、君がその口を閉じない限りは永遠にビールは泡を吹き出し続けるし、お婆さんは段差を転がり続けて血を流すし、逆立ちしたままの筋肉男は汗を流し続ける。やがて泡と血と汗とが混ざり合った液が、辺り一面に広がっていって、逆さまになったぼくの頭すれすれのところまでせり上がってくる、こりゃあとんでもないことになったと、ぼくは無理やり起き上がって飛び立とうとする、でも足は相変わらず木の枝に引っかかったまま取れそうもない。それで仕方が無いから、長いこともがき続けていたら、いつの間にか木の枝を軸に体がぐるぐる遠心力をつけて回転していて、頭があの液を何度も跳ね飛ばしている。君の顔にかかっているそれが、めまぐるしく変転する視界の中で何回かちらつく。それに気づいたとき、どうしてぼくはこんなことになっているんだろうとようやく考え始めて、こうなる前は、ひっくり返っていて、頭に血が登っていて、目を少し上げればすぐそこには液がせり上がっていて、でも考えてみれば液がせり上がっているはずがなくて、それは漫画を前提に考えていたせいで、そう気づいたときやっと漫画の世界から抜け出せて、さっきまでコマを吹き飛ばさんばかりに思えていた音の塊が嘘くさく思えて、そしたらその前には眠りたかったのだと思い出して、それじゃああの漫画はなんだったんだと思って、そうだあれは夢なんだと思ったら、どこからどこまでが夢だったんだろうと思って、そうかぼくは反響定位していたんだな、それじゃあ蝙蝠だったんだと思って、ということは蝙蝠なのに思考があるのはおかしいから、その辺については少なくとも夢で、すると夢じゃなかったところは多分逆立ちした辺りかなと思って、そうしたらもう君がホップステップハンドジャンプを繰り返している意味がわからなくって、なんのためにそんなことを言うんだろうと思って、君はきっと無意味に生きているんだと思ったら、なんだか虚しくなってきて、どうして夢は夢なんだろうという答えようもない問いが生まれてきて、やっぱりこれも頭に血が登っているせいなのかな、もう頭がめちゃくちゃにフル稼働して、そうだ夢は夢だから夢なんだと思ったら、木の枝が折れてズドンと頭をぶつけた。漫画ならここで頭がバネになって、ホップ、ステップ、アンドジャンプをちゃんとやり遂げるんだろうな。


ブルー

  はかいし

ブルーの絵の具で辺り一面塗りたくって、何も見えないようにしてしまえばいいと君は言う。ぼくには返す言葉がない。きっと君の目の中まですっかり青くなっていそうだから。君の目は地球のように青く、世界を包み込んでいるだろう、辺り一面がブルーになってしまったときには。対話とは何か、と君が言う。そのときまでに考えておかなくてはならない、君が沈黙し続けた分の時間が、ブルーの色彩となって辺りを埋め尽くすその理由を。ぼくには返す言葉もない。これはさっきから繰り返していることだ。どうしても君の質問の意味がわからないからね。本当のことを言うなら、君が喋っているのかどうかさえわからないんだ。君のブルーの唇はその周りのブルーに溶け込んで、白い歯がちらちらと見えているけれども。ただそれだけで、ぼくには何も聞こえない。何も聞こえない状況におかれた人間の不安について君は語るだろうか? 語るより先にこの青々とした道を渡ってみせる方がずっとたやすい。もちろん青を背景に青い体の君の姿はよく見えないけれども。これは見せ物じゃないんだ。これこそが本当の対話なんだと君はぼくを説得しようとする。けれどもぼくにはやはり返す言葉がない。答えてしまったら説得されてしまったのと同じことになってしまうからね。ブルーと言えば昔、青色本というのがあったけど、ひょっとするとこの青々とした世界観は、その本から少しだけ色を借りてきているためなのかもしれない。そう思ったところで何も変わらない。語り得ないことについては沈黙しなければならない。でもそれでもこの青さについては語りうるような気がしている。いやもう十分語ってしまったからこれ以上語れないのだという気がする。なあもう少しだけ口にしてもいいんじゃないか? そう君は言う。そうだなこの哲学的な青さの中で、君は何を語り得るだろう……。


私は見た。光を

  はかいし

 ねえ、聞こえる? 聞いてるよ。何だい? なんでもない。ただなんとなく、気になってさ。何が? 聞いてるのかってこと。聞いてなかったらどうするの? 死ぬの? 死にやしないさ。でも気になるんだ。気にしてくれるのはうれしい。でもね、ただなんとなく死んでいくのかって思うとつらくってさ。つらいって、何が? ただなんとなく、死んでいくのが。同じことを何度も言わせるなよ。誰もがただなんとなく死んでいくだろう? この世界じゃあそういうことは日常茶飯事だ。嘘つけ。そんなはずはない。それはお前の思い込みにすぎない。誰もが必ず何かしらに生きがいを見出だしてそれに打ち込む。そうだろう? ねえ、聞こえる? 聞いてるのか? 聞くとはどういうことか? 教えてやろう。耳の穴の中に、言葉たちを引き連れて入っていけばいいのさ。何を? 言葉たち。ねえ、それだからもう一度言うよ、どうして聞こえるんだい? 君が聞いているのは何だい? 音楽かい? 声かい? ねえ、聞いてるの?

 明日も冷めやらぬうちに
 帰りなさいとあなたは言った
 言ったところが傷になって
 残った。残った、はっけよい

 いいか? 耳の穴の中は、とても複雑な構造をしている。そこに波だけ連れていってもいけない。音を連れていくんでもいけない。言葉だ。言葉を連れていかなければならない。おっと、もう帰りの時間だ。明日の朝から夕にかけての日の光のことを君は忘れてはいけない。そうしなければ、ただ……なんとなく死んでいってしまうだろう。君を忘れない。最後まで。最期のときに君は何と言ったろう?

 昨日のことが忘れられない
 明日になってしまったら
 ぼくはますます死にたくなるよ
 傷だらけのポエマーになって

 君は見たんだ、その姿を。傷だらけのポエマーの姿を。でもそのことを告げてはならない。ただこう言いなさい。私は見た。光を。こう言いなさい。それですべて終わる。終らせなければならぬ。ただなんとなく死んでいったものたちのために語り終えねばならぬ。そうだろう? なあ、そうだろう?
 こうして言葉だけが残った。はっけよい


  はかいし

・2/4 12:27
つかみかけの砂糖をばらまいて、歌う鳥たちに捧ぐ、辺りに散らばった雪化粧、ならぬ砂糖化粧と呼ぶべきものが、起こる、クリステヴァ、読んだことはないけど、きっと君は知っているはずだ、フィリップ・ソレルスが傾倒したマオイズムには間違いがあったこと、そんな現代思想の文脈に合わせないで語りたい、でも出てくるのは美しい記号ばかり、バタイユのバター、ここで一旦席を立つ、父の電話を取るため、父は家の鍵がかかっているかどうかを聞いてくる、それを実際確かめるため玄関へ向かい、戻ってくる、ぼくは狂ってない、入院したけれどもちゃんと戻ってきた、そして美しい記号をまた探しに出かけたい、でもどこへも立たない、国家の成立のために捧げられたものたちの声を、ぼくは高行健の文脈から読み取る、でもすべて読んだわけではない、もういっそのことすべて忘れ去ってしまいたい、でも忘れられない、だから図書館に行く、そこでベケットをちょっと読み返す、これも全部読んだわけじゃない、ああなんてぼくは中途半端なんだ、けっきょくどれもこれも中途半端だ、どこにも完全はない、その点について責め立てられる心配はない、また美しい記号を探しに出かける、『ある男の聖書』をほんの少しだけ手にとってめくってみる、それで聖書が読みたくなってくる、どうせここに書かれているのは自分の話だけだ、そう思うことにする、そしてやめる、もうやめだ、宝なんてものはなかったんだ、そんなの最初からわかってたことだ、シャンデラの鐘が鳴り出すとき、ぼくは目が覚める、ああこれは夢か、それとも死か、これが死というものなのか、だとすればぼくの体はどこへ行った、精神はどこへ行った、ぼくの心の中では未だに本を探し続ける私がいる、と彼は言った、やがて天地が創造された、ぼくは歩けるようになった、何も読んでないけど、今なら歩ける、ここで一旦手を休めた、体力が280回復した、最大HPは300だ、これでもう十分だ、まだ先へ進める、書ける、書けるぞ俺は、そういやポケモンにもシャンデラってのがいたな、全然やったことないからわからないけど、どこかに置き忘れてしまったポケットモンスター金のソフト、あれは今どこにあるのだろう、ところでつかみかけの砂糖はどこ行った、もうどこにも行かない、やあ、君は何人の殺しをしたことがあるか、数えてみてごらん、きっとすぐにわかる。何が? 知らん。関係ないけどミトコンドリアの内膜にはクリステという構造がある。

・帰り道


彼女のこぼした
ため息のぬるさが
全速力/一生懸命/           する時刻
水はとても明るかった
ミトコンドリアの内膜のなかでクリステヴァが吠える
 軽かった/カルカッタの石は
        転がる、転がる

(水は変態する、氷へと、雪へと、さらに明るくなる、光の反射がまぶしい、雪道から窓へ抜ける光の/)

私は今図書館にいる
記号/彼女を探すため
私の名前はあい/赤
       ために
      ハウメニー/

(二つの色彩が、
分極する、)

さようなら、私の本よ
サイダーハウス・ルール
幸福な無名時代

 (おはよう、私の小説
 アウトサイダーよ
 マルケス、丸消す
 あとはもう知らん)

合わせて、合わせ/て、
 浴室/これは読んだことがある
これを読んだ翌日、小説を/小説を/小説を/

ある男の聖書のとなりにある黄泥街
インドラの網
そしてぼくは歩みをやめる
PCに向かい
ジョージ・レイコフの『詩と認知』を予約/する

///書こうとしたけどできなかったんだ、なぜなら書いたときにはもう小説ではなくなってしまっていたから、そしてぼくは発狂した、光の中で何をすることもできずに、閉ざされた闇の彼方へ向かおうとした、

(クリトリスにバターを)

 襞/ライプニッツ
 私の私の隣の家の鍵がかかっているかどうかを聞いてくる、やあ、やあ、君は知っているはずだ。新雪にどうもありがとう。残雪読んだことあるかい? 糞まみれな小説さ!
 Das Gefu¨hl eines Daseins(私は存在するという感じ)

(そう、ここがただひとつの栗捨て場だ
ぼくは栗の皮をむきむき捨てていく)

私は雪の中を帰ってゆく
他の誰にも知られることのない雪の中を

(藍と、赤とが
ここで戻ってくる、
どちらも生まれ変わったばかりの双子のようで、
ぼくは安心を隠せない)

私のおびただしい記憶の中を/私は通っていく

(あめゆじゆとてちてけんじや あめゆじゆとてちてけんじや)

私はバスに乗る
多くの人々の中で
私は揺れる


置いてき堀

  はかいし

山道を父とともに走りながら、目に写るものを少しずつ言葉にしていく。葉の落ちた落葉樹の群れの中で、静かな光を放つ常緑樹。走る私の喘ぎ。このままくずおれてしまいそうだ。ならばいっそ自分から、くずおれてしまえ。前を走っている父が言う。大丈夫だ。あともう少しで家に着く。父よ、言っておくが私はもう無理だ。限界だ。走り切れない。走りにキレがない。父よ、だが大丈夫だ。私はダメかもしれないが、お前は大丈夫だ。お前なら私をおぶっていける。ダメだ、それでは共倒れになる、と父。ならばいっそのこと共倒れてしまえ。走り去る父。私は置いてきぼりを食らう。むしゃむしゃ。なかなか味がある。こいつはいけるぞ。なんて名前の料亭だろうか。置いてき堀? いい店を見つけた。少なくとも、休むにはいい。紹介してやろうか。結構だって? まあそう言わずに。注文は? オムライスにしよう。なんかいつも俺って小村いすおとか言いたくなるんだよな、と父が言う。それって食べれるの、と突っ込む。グレイトだからな、何でもありだ、と父。グレイトも父の口癖だ。グレイト・ギャツビーはさぞかしグレイトだったんだろうな。あんなののどこがグレイトなんだ、と私。皮肉なんだよ、あれは。まあ、なんでもグレイトだよ、と父。さてこっからどうやって進めようか。オムライスがやってきて、店を後にする父と私。最後に見たものを言葉にしよう。山道を抜けたところにある、老人会のチラシが貼られた掲示板。この辺も老人だらけになってきたなあ、と父。お父さんはまだだよ、と私。


再誕した、春は遠野に

  はかいし

行き先も告げずに走り、ぼうっと霞んでいく街を見送ったときの、あなたが忘れられないのはどんなときですか、という一言が忘れられなくて、思い返してはサイコロのように転がしてみるけれども、いつまで経ってもゼロの目が出ないように、あなたはいつしか忘れ去られて、風とともに消えゆくのですか、と問い尋ねる私はどこにもなく、無と化している。

昨日あなたは野里を離れ、遠くの方へ行きました。そしてそこから帰ってきませんでした。これはまれに見る盗作劇です。ねえ、皆さん、私は盗作をしているんですよ、虫かごの中に埋めていた光るたんぽぽの花花が散りゆく景色の中を、盗作者の手つきでもって歩いているんです、手だけでタップダンスを踊るようにして、ね。

「私だって、波動の一部ぐらいは使えるんだ」
「お前のせいでアド損しまくっているんだけど何かいい手札ないの?」
「ないね」
「馬のことをちゃんと考えてあげなきゃダメでしょ」
「ばんえい馬部の裏方で働きたい」
「やっぱりヨーロッパとかあっちの方の感受性っていうものにすごい魅力を感じるんですよ」
「ヒスチジンのイオン化の問題」
「波動を使えるなら、使ってしまえばいいんだ」
「私は波動を感じる、それもとてつもない生の波動を。パジャマ姿のままで」
「昨日ジャック・デリダの『ヴェール』を読んだんだ。小説みたいな書き出しで驚いていたら、それは他の人との共著だったんだ」
「何が書いてあったの?」
「もう覚えていない。出だしだけでひどく遠ざけられたような気がしたよ」

遠ざかっていくものたち、それらに向けて差し出した挨拶は、途方に暮れてしまうほど長いので、忘れないように、紙にしっかりと書き写して、声に出して読み上げてみるけど、その声は遠ざかってしまったものたちには決して届かず、滞留を起こしている、そんな気がしている。


遥か彼方に浮かぶ雲を

  はかいし


遥か彼方に浮かぶ雲を追いかけるように、私たちは成長していく草花となって、どこまでもゆく、ゆらりゆらりと揺らめきながらさざめく、日照りの明日にあのノエシスとノエマが鳴り出す美しさは愛だと確信して、そんな風に生きていたいのを誰が知っていようか、いや誰も知らない、それでいいのです。

太陽と月とリチウムイオン電池とその光沢とを見比べながら、駆け出すのですまだ見ぬ明日の愛の日のために、荷物はすっかり赤く染まって夕暮れの街に溶け込んでいく、という夢を見たという夢をと延々と繰り返しながら、穏やかな春のざわめきを信じているのです、未だに生をうごめくものと信じているから、待つのですその先にある確かな光を。

論理実証主義とパラドックスと永遠という名の永遠と、真実という名の真実に近づき過ぎたために発狂した日の夕暮れを、腹の中で抱えながら笑っているのですいつの日にかすべてが蒸発して、トートロジーしか残らなかった日の訪れを待ちわびて、私たちの師匠アラン・フィンガーは言いました、魂はその日ごとに違う色をしている! ならばどうすればいいのでしょうか、どうしようもなくどうしようもないのでしょうか。

雨が降り始め、散文は桜の花びらのように散っていきます花冷えという言葉が似合う空の中を私たちは駆け巡り天馬の降臨を待ち受け、やがて蹄の音が世界を踏破する中を散り散りになった枯れ葉を集めて綴りながら私たちは行くのですゆく果てのない道のりを師匠! 私たちに旅をさせてくださいこの途方もないざわめきの中をこの嵐の中をこの静寂というものの静寂を静けさが静かになった無の境地を私たちは行きたいのですお願いします、師匠様!


17時発熱海行き

  はかいし

失われた時を求めて、どこまでも旅をする私がいた、私はカッパに出会ったばかりの少年、私は山へ消えゆく少年、私は川へ流れゆく少年、夜、ブログのところはもう少し削ったほうがいいと思った、(この詩は旅の物語なのに、カッパの話が出てくる)(もう終わらせてもいいかい? まだだよ)(このコメントは管理人だけが閲覧できます)(それというのも作者がカッパの出てくるアニメを見たからで。もうしばらく付き合って欲しい)(嫌だなあ)(旅の途中に見た夢の夢のまた夢夢)(覚書によれば十二月二十日)(燃える火の中を通り抜けても平気な化け物になって何度も通り抜けた)(はじめから終わりまで一本道だった)(プルーストのように長い回廊を通り抜けて)(今私はごろごろしている、布団の上で)(プルーストのように)(ごろごろしている)(終わることのない流行り病がまたやってくる)(戦士のポーズをとった人々が近づいてくる)(釘宮君が部屋を出ていく)(胡桃谷君が部屋に入っていく)(あやめが出ていく)(ありがとうございました間もなく東田子の浦 田子の浦です)(隣に座っていた人の本の中にある「そのことから、一つの疑惑が生まれた」という文)(ドアを閉めます ご注意下さい)(自由にもってこれない)(余白とかも両端3ミリずつ自分で決めたら使えますよ)(英語もよくわかんない)(すごいな)(一人で行って動ける?)(明るい)(やべえやべえ)(冷蔵庫入って)(めちゃくちゃ勉強したっつってたから)(違うんじゃない?)(日本へそ攻撃)(人工衛星)(何を話しているのかよくわからない)(ご飯美味しいところ行きたいなあ)(これが列車の中での会話だと誰がわかるだろう)(喫茶店)(オリジナル)(静岡行って帰ってくる)(キャラとかやっちゃったら)(それしか使えない)(次は沼津 沼津です)(誰かわかるよね)(アンケート)(一階に大きな……(……のところはよく聞き取れなかった))(三時間!)(お出口は右側です)(前方と左右から会話の声を感じる)(お疲れ様です)(右側の集団が消えた)(オレンジっつった)(列車の出入りがあった)(リクルートスーツを身にまとった人々の群れ)(が前方から左手にかけて見える)(不審な荷物などございましたら……車掌までお申し付け下さい)(間もなく三島 三島)(階段上らされてる)(階段)(階段使えてるんでしょうか)(リクルートスーツを身にまとった人々が降りていった)(電車が線路の上を過ぎていく音が心地よい)(間もなく函南 函南です)(バイバイ)(ドアを閉めます ご注意下さい)(僕はどうしてこんなことをしているんだろう)(次は終点 熱海 終点 熱海です)(前に座っていた学生がセーターを着こんだ)(携帯の電波表示が圏外になった(トンネルをくぐっているせいだろう))(僕はしたいからこういうことをしているんだ)(学生がセーターの腕を捲って時計を見た)(17:38)(こう表示されたことだろう)(あるいは少なくともそれに近い値が出たろう)(というのも僕の携帯がそうだからだ)(あの学生もじきに降りるだろう)(僕も降りて乗り継ぎの列車を探すだろう)(そして降りた学生と一緒に東京行きに乗った)(というよりは偶然一緒になってしまった)(坊主頭のその学生と目が合った)(威圧するような、そして意志のこもった目だった)(彼はスマートホンをいじくっていた。きっとラインでもやっているのだろう)(何を話しているのか)(いいや僕が気にすることじゃない)(さて列車は湯河原へ向かっている)(湯河原でその学生が降りた)(そのまましばらく眠りこけていた。気がつくと列車は二宮に向かっていた)(ふと山手線のことを考える。あの循環する線路はきっと退屈ではないか?)(窓の向こうを見る。人、人、人、目に写るのは人ばかり)(屋根、ビニールハウス、竹林、畑、家、家、列車、家、家、……)(次は平塚)()(いったい何を書いたらいいんだ!)(何を書いたら気がすむんだ)(気は休まることがない)(気、気、気、気は休まる気配がない)(ちょっとだけ気になる)(一日一行……くらい……)(喋らないと息が臭くなる)(喋らなければならない)(Green Card)(Gracias a la vida)(次は茅ヶ崎 茅ヶ崎)(笑い)(……笑うと思うけど……)(あれ……)(四月と……)(終電……)(で頭なんか……)(違う違う……)(……ろしく)(……でもまだ……)(……トレーニング……)(君は何を目指しているんだ)(重い言葉がきたね)(笑い)(顔が怖い)(話してみて)(総合的な)(ああでもちょっと似てるかも確かに)(いい人だよ)(……)(期待されても……)(それ大事だよ)(……スナックは……)(ここで途切れている。作者の体力が限界だったのだろう)(さて、カッパはどこへ行ったんだろうか?)(答えはどこからも返ってこない)


フローラ

  はかいし

今Hector ZazouのButterfly Plaintifを聴いている。気分がいい。小説の一本でも書けそうな勢いだ。試しに何か書いてみている。悲鳴に近い叫びが音楽の中に挟まれている。それがいい。歌詞の意味はわからないが、その辺はどうでもいい。とにかく何かが書けそうなんだ。それがいい。音楽が次の曲に移る。Vespers of Saint Katrina。蛇が這うような音。電子音だろう。それがなんともいい。「泡沫の海は」という詩句を思いつく。それをどう使ったらいいか考えている。結局採用せず、捨てることにする。Loveless Skyに移る。「雨の海は」という詩句を思いつく。これも使い道がなさそうだ。二つつなげてみる。

泡沫の海は雨の海は

「愛のない空」だろうか。Loveless Skyの訳は。泡沫の海は雨の海は愛のない空に吸い込まれていく。なんとも心地がいい。これを書いている今、うん、いい感じだ。Agony of the Roseに移る。トランペットの音がよい。いやひょっとするとブリューゲルホルンかもしれない。「海の底に横たわるブリューゲルホルンの音色は」を思いつく。

泡沫の海は雨の海は
海の底に横たわるブリューゲルホルンの音色は

ひょっとするとブリューゲルホルンなどという楽器は存在しなかったかもしれない。それは僕がまだ若かった頃に好きだった発音を組み合わせただけの産物だったのかもしれない。そう思うとブリューゲルホルンという詩句は使えない。海の底に横たわる……何にしよう。今「…」を入力しようとして、「・フローラ」という言葉が出てきた。フローラ。フローラとは誰だろう。いったいいつそんな言葉を使ったろう。この詩のタイトルは決まりだ。フローラにしよう。Ice Flowerに移る。トランペットがまた良い。最初に流れていたApostropheにしてもそうだが、このアルバムはトランペットがとても良い音を出している。こういうとき、「とてもいい仕事をしている」と言いたくなる。

泡沫の海は雨の海は
海の底に横たわるブリューゲルホルンの音色は
とてもいい仕事をしている

氷の花。Ice Flowerの訳。それにしても、いかにもIce Flowerらしい曲だ。いい詩が書けそうな感じ。ここで僕はトイレに立つ。戻ってくると、アルバムの最後の曲「Symphony of Ghosts」がかかっている。海はいつだって同じ色をしていない。それは音楽と同じように姿形を変え、自在にうごめく。今「うごめく」と打とうとしたとき、一瞬ためらった。何か他にいい言葉がないか探してしまった。ねこぢるの作者が、遺書に葬式中の音楽を依頼していたといい、それが確かエイフィックス・ツィンだった。というわけでエイフィックス・ツィンをかけてみる。


大洪水

  はかいし

一章 血

黒人の肌からは
真夏の匂いがする

この血はどこから来たのか
それを辿ることができるのは
魂の道筋があるから
来るべき主語の行方があるから

主語のない国へ僕は行こう
僕らが誰も見たことのない場所へ僕は行こう
そこで略奪と殺戮の血を浴びて
僕の行き先が僕らにわかるようにしよう
僕の居場所を誰も行くことのない場所にしてしまおう

たった一人で言語について問い詰めよう
たった一人で思慮のない問いを追い払おう
たった一人で行く宛のない手紙を書こう
たった一人で

それらがすべて終わってしまい
残された問いがぬぐい去られるとき


二章 空転

乾いた火で空を飛ばせ、

夕陽のオレンジの色の世界と
真っ青な空の世界とを反復し、
さらにそのまた向こうへと続いていく道を
望みなさい、まだあなたには母がいるから

永遠という名の永遠を待ちわびて
一人の少年が立ち上がる
その血はどこへ行くのか
それを辿ることができるのは
過去を忘れ去った血の行方を知る人のみだ

立ち上がった少年の頬は擦り切れて血だらけで
あるいは血を浴びていて
あるいは黒色をしていて
あるいは


三章 けものたち

けものたち、
動け、動け、働け、
明日の農業のために
過去は闇を照らす
ひとつの星の中で
僕らは無感動になる

葉は摘まれ、
月は沈み、
忘れないだろう、
太陽のあったことを

さあ、僕らの茶畑だ
顔を、洗え、
眼も、洗え、
そうして、みんな
なくしてしまえ、

葉で磨かれた顔のように、
僕らは吐息のために血を流さない、
はあ、はっふん、
ふん、

そうして、僕らはみな雨だ、
ざぶり、ざぶり、
やぶれ、かぶれ、


四章 イメジの飛躍

来るべきロートレアモン、
セブンスターをランチに、
石よ飛べ、渡る世間に
鬼は外
竜は内
一つ一つのイメジが分離して像を結ばない
そんな詩を書いてみようと思う

悪魔くん、教えておくれ
誰がミダス王の名を言ったのか
それとも
女優と一緒に処刑されてしまったのか
僕は考える
考える私がいる
考える僕がある
そんなことはどうでもいい
ただもう一度会いたいんだ
笑ってくれれば僕の世界は救われる

ミューズ

石ノ森章太郎の名前を聞いて
僕はずっと静かに座っていた

ミューズ

携帯目玉焼きが開発されたと聞いて
僕は東京に文学を投げ出した

ミューズ

そこから先が続かない

ミューズ

もういい加減にしてくれ
もううんざりだ

ミューズ

神様の名前で誤魔化そうとしたのはなんだったろう
生まれてきてこのかた何も考えたことがなかった
だからミューズ、お前はやめだ
もう二度と使えない

ミューズ

しつこいなあ
しつこさだけが超一流

ミューズ

ある雨の日に僕は窓の外に出ていた/僕は窓の向こうの花火をイメージした/僕は空に関して二つのイメージをもっていた/一つは青のイメージ/もう一つは黒のイメージ/黒に花火の煌めきが放たれていくイメージ/イェフダ・アミハイが言っていた/私たちが正しい場所に花は咲かない/だから黙って魂を空に解き放とう/そして空に火を、火を、火を、/正しさのない花火を、

君の名前を呼ぶだけで
体の奥から波打って
空に吸い込まれるように
僕は心から旅立てる
いつまで温もり求めてさ迷うのだろう

よりパロディアスに、もっとパロディアスに、

黄身の名前を呼ぶだけで
卵の奥から波打って
フライパンに吸い込まれるように
僕の心は焼け焦げる
いつまで温もり求めてさ迷うのだろう

私たちには花の名前がない、

デュラン・デュランを聞いた日の夜に、
空は雨で曇っていた
次々重ねられる語彙に、
僕は心から飛び立てる、
そうして、僕は花火となって散っていく

この辺りで、振り返って後ろを見渡したい欲が出てきた
そしてすべてを見渡した後で
もう一度書き始めた

花の名前には欲がない、


四章 土くれ

土くれをいじる、
今、右手から
神、と、髪、が
虐殺されて出てきた
ガスオーブンに頭を突っ込んで死んだシルビア・プラスのように、
僕らは神を埋葬する

埋葬された神は
もう何も語らない

心理学の先生が語る
おばちゃんがガスストーブに首を突っ込むみたいに
技能をちゃんとしていれば
もう誰も死なない訳です


五章 所有

全身をつらぬく嫌悪感から身を足掻いて逃げ出そうとしてはならない……。なぜなら語ることは一つの稀有な所有であるから……。語ることは、何にも増して犯されがたい所有であるのだ。そこには破壊があり、潰えた夢があるのだ。

では破壊とは何か? 潰えた夢とは何か? 耳鳴りを起こすような問いを掻き切って、僕らの東京に茶畑を開こうじゃないか。文学が置き去りにしてきた神話を開こうじゃないか。


六章 散弾

君たちはメロウを口に開け、乾いてしまうような、あるいは血を汚す、閉じてしまうような傷口で、忙しく、忙しく、動き回る、ヘイヘイおおきに毎度あり、商売繁盛焼き芋屋さんにゃ、ええもん安いもんが名物や、一切合切面倒見るやんけ、

可能性が飛び火している、命の綱を引き合う、ナタデココホワイト、鉈でここをワイと、切ったりしてみましょうか、いいや、やめておく。

青い渚を走り恋の季節がやってくる夢と希望の大空に君が待っている暑い放射にまみれ濡れた体にキッスして同じ波はもう来ない逃がしたくない

パロディアス、に、

暑い薙刀走り鯉の季節がやってくる胸と勃起の大空に君が待っている青い放射にまみれ濡れた体にキッスして同じ涙もう来ない拭き取れない


七章 浮世絵はもう来ない

大変な名誉であった。もう名前が載らないというのは……。雨を降らせたまえ、世界が大洪水に陥るように? あの富士山の山頂までもが海に浸かってしまうような大津波を引き起こしたまえ。それにしてもひどい雨だ。水滴の一粒一粒があまりに大きく膨らんで、黄金虫ほどの大きさになっている。これほどの雨に打たれたのは初めてである。やがてはその黄金虫が飛び交い、世界を埋め尽くすだろう。

ミューズ

雨の神の名は……。ポセイドンだろうか。それともナーガルージュナだろうか。ガーゴイルだろうか。いやはや神など存在したのかどうか……。

ミューズ

雨の髪はしなだれて
ゆっくり移ろいでいきます
ホラー映画のように
あるいはゴダールの映画のように
比喩は比喩から比喩へと移ろいで
その実態を覆い隠していきます

比喩が物事を隠すためのものだとすればつまり……

ミューズ

あるいはミューズのように、デカメロンの宝石のように

ミューズ

渡る世間に鬼はなし、だ。これでいこう。

ミューズ

浮世離れして、背伸びしてみて下さい、悪魔が目覚めるとき、僕らは悪魔の羽が欲しくなる。けれどもそんなものをつけたところで決して飛べるようにはならないのだと

私はどこまで行くのだろう……

立ち止まることなく悩み続けながらさ迷い……私はどこへ行くのだろう。あるいはまた、そんな問いさえもが届かないような場所へ行くのだろうか。

ミューズ

僕は遠くない。決して僕らは遠くない。

うんうん言って苦しみながら死んでいくのに人はなぜその仕事を選ぶのだろうか。そこに人がいる限り、永遠にその仕事はあり続ける。そこに人がいる限りは。人がいなくなれば仕事もろとも風にさらわれたように消えてさっぱりなくなってしまう。

即身成仏すると言って部屋に閉じ籠ったその男はいったい何を考えていたのだろう。龍樹のように死のうとしたのだろうか。様々な想念が身をよぎりゆく。人が交差点をよぎりゆくように。

ミューズ

まだまだ十分でない。書きたいことが沢山ある。それに比べたら言葉などあまりに不十分な代物で、役に立たない。
僕は矛盾している。矛盾とは常に思惑の代行者だ。


八章 うちはテレビがつかない

テレビジォン? テレビジョン。足りないならそう言って。与えるだけでは足りないならば。バクダンジュース? バクダンジュース。メルシー、メルシー。ありがとう。ありがとう。春の楓と秋の空と女心と……。イメージの連鎖を呼び起こせ、イメージの連鎖を。呼び起こされて出てきた、机と椅子。鍔の広い巨大な帽子が机を包み込んでいる。その上に椅子が乗っている。帽子の中には一枚の皿がある。そのイメージを破壊する。愛しい人よグッドナイト。

手をつないだら行ってみようまん丸い月の沈む丘に瞳の奥へと進んで行こうはじめての僕ら笑顔の向こう側を見たいよ。

例えばどうにかして君の中ああ入っていってその目から僕を覗いたら色んなことちょっとはわかるかも。

愛すれば愛するほど霧の中迷い込んで。

ずっと忘れないいつまでもあの恋なくさない胸を叩く痛みを汗かき息弾ませ走る日々はまだ今も続く。

今日はこのぐらいにしておこう。


九章 No Title

萌木色の空に夕陽が沈み
沈み込んだ思考を融解していく
タートルネックの僕の肩を
叩いてあなたは消えていく
構造的にはどんな詩も
同じ形式をもっていて
僕は詩を書きながら鬱になる
書くことはもはや何でもない
ただの愚かな行為にすぎない
それを僕はどうしたらいいのか
考えてもまた言葉にならず
すべては消え去っていく

麻木色の空は前より青く
沈み込んだ思念をふわりと浮かす
セーターを着た僕の肩を
叩いたあなたはどこにいる
構造的にはどんな詩も
同じように見えてしまうから
どうしようもなくどうしようもないから
We Our Us Ours
魔のレコードにすべてが残り
すべては消えて去っていく


十章 空気散文

散文が放つ空気をとらえてまとめてゴミ箱に捨てた。ゴミ箱の中でも異臭を放つそれは全国各地に設置された冷蔵庫の中の霞なのだと僕に教えてくれた人は今どこにいるのだろう。教えてくれ。くれないか。


十一章 18:15 2014/06/23

雨は夜更けすぎに雪へと変わるだろう。ああ、静かな夜だ。神聖な夜だ。堕落した街だ。夢は破れて溶けていった。空が白んでいる。白色矮星でも見えそうな夜だ。僕は煙草を吸う、煙が黙々と垂れている。この一本の煙草から物語が生まれては消える。その物語は煙によって綴られた物語なのだ。煙が生み出すまやかしが物語となり、生まれ、そして消える。僕は自分にとって切実に感じられたことしか記述しない。そしてそれは脆さでもある。僕は危険なことをしている。時として。いや特に理由はない。何も僕を脅かすものはない。ただ書くことは危険なことだ。それはしばしば自分の立場を脅かす。でも今は大丈夫だ。特に問題はない。危機は煙のように消えていく。

書くことは綱渡りのように危険である、

上の命題を消去せよ。消去せよ。僕は危険だ。ああ。死ぬ。僕は死ぬために書いているのかもしれない。何も美しいものはなかった。僕は彼女に魅力を感じられなくなっていた。美しいものは何もなかった。これは本当のことだ。僕はそう言いたかった。僕は街並みを見つめていた。彼女を見つめたら怒られたからだ。僕は彼女に魅力を感じなかった。僕は繰り返す。彼女に魅力を感じなかった、と。

彼女に魅力を感じなかった、

上の命題を消去せよ。消去せよ。僕は詩人だ。僕は詩を書きたい。僕は散文家じゃない。僕は哲学者じゃない。僕は詩人でありたい。伝わらないかもしれないけど。でも伝わらなくたって本当はどうだっていいのかもしれない。もうなんでもいいんだ。僕は翼が欲しい。煙草の煙でできた翼で僕は飛んだ。僕は飛んだんだ。本当に。僕は飛んだ。煙のまやかしで僕は空に浮かび上がった。雨の日に空を見つめてごらん、何もかもが下に落ちていって、自分が空中にいるかのような錯覚がするだろう。この錯覚の中でしか僕は生きられない。そういうことだ。

雨よ。
雨よ。
落ちてこい、
錯覚の中で、
う、あ、い、い、
屈折率を計算しながら、
落ちてこい、

何度も同じ歌ばかり歌って、
きっとつまらないだろう、
なあ、スピーカーさんよ、
もっと面白い歌を歌おうぜ、

そうやって、世界を白くしちまおうぜ、
すべてのカラスは白い、
この観察命題から、
波動関数とインクカートリッジの、
不機嫌な関係について語ってしまえ、

雪は、
もう、遠く、
ない、
精神を集中させて、
部屋を発火させよう、
それですべてがうまくいくから、

(B'z、SMAP、スガシカオ、山下達郎、サザンオールスターズの歌詞より部分引用)


墓石

  はかいし

嵐が、
やって、
来たのは、
雪の日が、
明るかったからで、

石が、
軽かったのは、
なぜ、
だろう、
砂の、
呼吸が、
胸を、
締め付ける、

大地の、
方が、
より、
明るかった、
ならば、
軽かった、
ならば、
どこかへ、
側転する、
石が、
蹴られたみたいに、

幻を、
愛、
したの、
イエイツの、
詩句の、
ように、
あるいは、
ただ、
すべてが、
水で、
あって、
欲しかった、
でも、
ならなかった、
そんな、
ポップな、
日々が、
暮れていく、

土くれ、
土をくれ、
今はただ、
それだけだ、

飛び石、
それが、
明かされた、
連休、
鳥の、
言葉は、
死の、
前兆、
だから、
パーっと、
行こうよ、
どこまでも、

鳥が、
隊列を、
なして、
飛んでいく、
それは、
山越え、
みたいで、
夕陽も、
越えていき、
そうだから、
私は、
忘れない、
死に水を、
取るのを、


(01 Ceremony.wma 2010-04-24より部分引用)


祝祭

  はかいし

・祝祭

白い犬がいる。犬は座ったままじっとぼくを見ている。静かな観察だ。
()

ぼくはそれを打ち間違える。そっと立ち上がって、と書かれる。静かな観察は静かな祝祭に変わる。
(白い犬がいる。そっと立ち上がって、静かな祝祭だ。)

犬は歩いていく。どこまでも遠くへ続いている川沿いの道を。静かな祝祭がその道の彼方で行われる。ぼくはそっと立ち上がって、それを絵にしてみる。
(祝祭ではない。祝祭というよりは、坂本龍一だろう。彼の名前を口にしたのは、ぼくが初めてデイケアに行ったときのことだ。好きな音楽は坂本龍一です、とぼくは言った。皆も同じように自分の名前と好きな音楽を紹介したが、その中に坂本龍一の名前はなかった。)

そっと立ち上がって、描いた絵をぐちゃぐちゃに破り捨てる。犬は白い。道も白い。何も描かれてはいない。祝祭という言葉がもつ輝きのイメージが投影されているのだ。
(デイケアで知り合った宮武さんという人が、「太陽」と「ビフラット」と「ダイナマイト」という言葉をよく口にする。この「祝祭」という言葉を、それらに置き換えてもらっても構わない。「ビフラット」については、意味を聞いたが本人は「整備士」というだけでその説明もよくわからない。ぼくの中では、「ビフラット」は「ビブラート」に変換され記憶されている。)

ぼくはそう言って立ち上がる。川沿いの道を後にする。
(宮武さんと接するうちに、ぼくも宮武さんと同じように喋れるようになってきた。ダイナマイト、タンヤオドラゴンボール、アランドロン、ビフラット、太陽。宮武語の難解さは尋常ではない。それでも話しているうちに、だんだんどういう場面で何を使えばいいかがわかってきたのだ。例えば白い犬と言いたいときには、ダイナマイト、ダイナマイト、太陽、ビフラットと言えばいい。)



・目覚め・死・太陽

月明かりが日蝕からはじまる頃に
我々は目覚めた、あるものの死の
鐘の音によって
赤色の時が過ぎ行くとき
我々は目を背ける、そのまぶしい日の丸から

目覚めは新しい覚醒だ
光の届かないぐらいの距離を
お前はそっと行く、立ち上がって
そして万物は死に値するだけの
ものをもっているのかと自問する、

ストラヴィンスキーをお前は聞く
それがお前の唯一の慰めだ
お前の魂は魂なきものを愛撫する、
物質と記憶の平行線の彼方へ

車が遠ざかっていく、
子供の声が聞こえる、囁くような小さな声が
窓ガラスを粉々に割り砕くとき
我々はきっと死者として立ち上がる



・愛、ファンタジア

愛、ファンタジアという短編を書いている。アシア・ジェバールの小説とは違う、そんな愛とファンタジーの世界。そんなものが存在するのかどうか、存在したとして果たして意味があるのかどうか、そんなことはどうだっていい。今はとにかくこの短編を終えることに専念しよう。よろしい、はじめに地球があり、海が、川が、陸地が、山があった。ここから先は危険だ、引き返そう。山を、陸地を、川を、海を、遡った。地球、そこにたどり着いた。彼の目には地球が映っていた。我々は宇宙にいた。宇宙は徐々に冷却に向かう。我々の目は凍り付いた。我々の目は宇宙において一つの点となった。そこから、海が、川が、陸地が、山が生成した。目の中に、生成したそれらが流れ込んだ、山が、陸地が、川が、海が、消え去った。爬虫類が現れては消え、一匹の猿の姿が網膜に残った。よろしいかな、問題はそこからだ。存在は連鎖する。存在するものは連鎖する。目はすべてを吸収した。冷却に向かった宇宙を、地球を。目は一つの地球となって、世界を見渡した。ここで言われているのは新たな宇宙の軸だ。さあ、ここからはじまるのだ。ぼくたちの永遠の歴史が。そう言われると君はぽかーんとする。よろしい、世界はぽかーんとした状態からはじまったのだ。およそ宇宙の生成という観念じたい矛盾を含むものであったのだ、ということが発見された。学者たちはここでまたぽかーんとした。ええい、ぽかーんとしてしまえ、すべてよ、ええいぽかーんええいぽかーんえぽかーえぽけーエポケー、こうしてすべてはエポケー(判断停止)に陥った。学者たちはまた目の捜索をはじめた。また、と言ったのは、これは以前にもあったことだからだ。以前にもあったことが永劫回帰してまた起こるのだ。こうしてすべてはもう一度捜索され、目が、肉眼が発見された、しかしこの肉眼においては何一つ見る能力がなかった。すべては現れであってそれ以上とはならなかったのだ。ここで少し休憩しよう、読み手の理解が追い付かない。いいや、正確には書き手ですら何を喋っているのかわからないのだ。

朝日立ち上る頃に
ぼくらの理解は限界に達する
(ここで「理解」を「理性」に置き換えても構わない)
ぐらぐら、沸点に達したぼくたちの理解は
蒸発する、
朝日の現れとともに!



・そしてまた、祝祭

頼りなさげな肩を
叩くぼくの心の扉は
開きっぱなしで
ひっきりなしに目が覚めて

/一つ、二つ、三つ、星を数えるうちに、いつの間にか宇宙の歴史について考えていた、宇宙はぼくから何一つ意図的なものを取り去る、何一つとして意図的なものをぼくに残さない、

//ケープタウンについたとき、ぼくは一挺の銃をもっていた。今ではそれがどこだったのかもはっきりと思い出せないが、確かにケープタウンは存在した、

(ケープタウン? どこだ、どこだ、そうだググって見よう、のっそり、No Sorry)

///悲しみは宇宙へと消え去った、今やぼくは世界を見渡せることを楽しんでいる、おお、グーグル、Google、星を数えよ、すべての運動体の波動を監視するため、

////のっそり、ぼくは出現する、湿地帯から、カスケード、ガスケー土、ぼくは永遠のガラパゴスケータイ族、

/////ウヒョヒョヒョヒョ、アッハッハッハ、ハッピーバースデー、ハッピー、ニューイヤー、さあすべてのものよ終われよ、追われよ、裂けよ、星屑となれ、輝け、届け、その終わりなき美しさよ、届け、そして消え去れ、祝祭日だ、今日は、鳥は空を飛ぶ、そのことでさえ奇跡、

/そして/そして/それでも
 鳥は空を飛ぶ、
       飛ぶ、
   飛ぶ、
        飛ぶ、
 飛ぶ、
         飛ぶ、
飛ぶ!

下るな、下がるな、魔性の月よ、日蝕を起こすな、魔性の太陽であれ、

/海が、川が、陸地が、山が、さらばを告げる、サラバガニ、タラバガニ、宇宙の収縮、Goodbye!!

//サルモネラ菌の繁殖を抑えられない、猿も寝りゃ、猿も、寝りゃ、いいんだ/そんなことはわかっていたさ、わかっていたさ、わかさ、若さ、美、若さは活力だ、

月よ/太陽を食らえ、食らいつくせ/暗い、尽くせ、暗い尽くせ/闇の中で駆けずり回る俺たち、闇から抜け出るために駆けずり回る俺たち、ビブラートの意味を知らない俺たち、祝祭の意味を知らない俺たち、死者として立ち上がる俺たち、///沢山の俺たちを抑えきれない俺たち、俺、たち、オーレ、チーター、速い、稲妻よりも速く、神の目玉よりも速く回転する、



・最後に、太陽

じゃ。またね。種まき。種が手からこぼれ落ちていく。これはさよならの合図だ。Goodbye。Dogbye。犬。白い犬。Oは飛んで、消えてしまった。

 おはよう。おー、早よう。Oh。早よう。酔う。太陽。ビフラット。種まきを宮武語で言うと、そうなる。種まき。太陽。ビフラット。

  おやすみ。親は隅の方へ行きました。眠りました。夢を見ました。体が動かなくなる夢でした。縛られて身動きが取れなくて、大変でした。そのままどこかへと運ばれていくのです。Oh。どこへ行ったんだ? Oよ。Oもどこかへと運ばれていきます。

   Oはどこへ行くのでしょう。Oに聞いてみます。もしもし、あなたどこへ行くか知ってる? 知らない。太陽とビフラットの境界線に沿った並行的な道のりを行くんです。その先には死が待っています。でも怖くはありません。自殺しようとしてがんじがらめに縛られるよりマシです。あれは本当に怖かった。これは自殺ではないんです。深い安息の道のりなんです。

    Oよ、Oよどこへ、ここだよ。ここ。


and so on

  はかいし

ヘシオドス、砂洗い、体が八つ裂けたときのために、臨界点を超越する、コマ送りの前に、隕石、焦土より先に、
常識的ヘシモバッタの自家発電、地下に撒いたガスが原因で爆発した、

雨、八つ裂けた雨、rain、down、rain、down、カモン、rain、down、from the great hight、god love his children、god love his children、Yeah、ギタギタにされた散文の雨が降る、ギリタンジャリ、ギリタンジャリ、と音を立てて、

kiss me baby、

無限に累加された最大の責、

小梅、小梅ちゃん
君に会えたら百年平和だ
砦という砦をぶっ壊せ

火という火が
名前を
欲しがっている
くれてやれ!
ほら、土だ、
これで名前を
書けるだろう?

名付け親がいなかった、
ことが、
その人を不幸にしたならば、
グリム童話のように、
世界は暗転する、
足元に立って、
名前を呼び続けなさい、
あるいは、
死神のいない方向に寝かせなさい、

雷鳴が、
飛び降りた、
      飛び降りた、
      雨が、
      rainが、
張り裂けそうな、
        心の、
           パロディーナ
ここで立ち止まるような時間はない

詩の季節、
僕は、歩け、歩け、
行ってしまった遠くの海さ、
太陽の彼方まで行ってしまった、

詩の季節、
僕は、ホモロジー、の話がしたい、
誘われてあなたはやってきた
決断を吹き掛けるため
穏やかな笑顔作りながら
出会いを悔やむことはないと
言い聞かせグラスを開けたとき
これが最後だと頷いた

Rain down.
Rain down.
白い雪 さよなら告げた後 車に乗り込んで行くとき
振り替えるあなたを抱き寄せてもう一度キスしたかった
Snow down.
Snow down.

雨は夜更けすぎに雪へと変わるだろう

Oh heaven knows Im miserable now
in my life

サトウカエデがしなだれる頃に
秋はめぐる
雪を待ちわびていた人々が
火の中に消えていく
文字通りに
なると思えば大間違いだ
まずは大間違いからはじめた
キルへ・ホッヒの管から伸びた
朝焼けを穏やかに笑え

「クラムボンは、笑ったよ」
「クラムボンは、かぷかぷ笑ったよ」
「知らない」
「クラムボンは、死んだよ」
「クラムボンは、殺されたよ」
「なぜ殺された」
「知らない」

一回一回シャワーを浴びて
児童虐待の悲鳴が聞こえる

モノリスフィア、種々の声が聞こえる日に、
僕はコンタクトに詩を書いている、
明日がやってくるかどうかは定かではないから、
雨の日に僕は一人濡れる
ブナ帯の憂鬱のように、
雨の日に僕は一人濡れる
それから最後は皆雨だ、

詩句が詩句を呼び、飛ぶ、
何も知らないふりをしてみよう、
イマージュ
名を呼ぶのは誰か、

(こんなんだったら、
ポケモンの名を150匹
覚える方が簡単だ)

ああ小動物よ かわいいやつめ
小さくて かわいらしいやつめ
だけどお前と同じくらい
かわいいやつがいる
中くらいの動物と
大きい動物がそれだ
それなのだ
(ギャグ漫画日和9巻から引用)

I know its over
just like dream
well I dont know less I can go
over over over over...

love is natural and real
Its so human life

知らんぷり、
Sit down please

こんななんとなく帰ってきていいんだろうか、
僕は不安になる、

its so honey
why you sleep for tonight

飛び石に、
された、
アラフォー、
女の、
気持ちが、
わかる、
気がする、

翻る、
蛭と蛙、
山登り、
散々だった、
それでも、
どこか、
楽しかった、
気がする、
二度目で、
もう、
弱くは、
ない、

気がする、
三度目、
強い、
かぷかぷ笑ったよ、
クラムボンが、

Oh heven know I mizerable now、
鳥肌が立つ、
Oh heven know I mizerable now、
鳥肌が立つ、

泣き石、

焼け石、

飛び石、

さらば、
三つの光、

ヤツメナシの花が咲く、
青白い炎のような花だ、
辺りに飛び火していく、
その速さを、
止められない、
誰にも、

ナツツバキの幹のように、
あなたは美しかった、
あの汚ならしい花のように、
君は震幅する、
黄身は、

抑圧されたものの回帰、
そして少年、
今ここにいない男の魂、

指を無数の指先を差し出して消えゆく無数の指先を泡になって消えゆく指先を止めて誰か止めて止まらない鳥のように羽ばたいてゆくみんなどこかへ行ってしまった遠くの海へ行ってしまった山の向こうに海が見えるその海の向こうにまた山が見え雪がぱらぱら散っているそこに指先が差し出される指先は雪に触れて冷たいと感じ震えるつんと済ました顔で君は帰ってくる君は震幅する君は、

君は増幅する、
君は、
雨上がりの道はぬかるむけれど、
今ここに生きている証を刻むよ、

暗騒音、
and so on、


(Radiohead、L'Arc〜en〜Ciel、B'z、山下達郎、The Smith、コブクロの歌詞より部分引用)


続・銀の雨

  はかいし

木の上で生活し始めてからもう三日も経つというのに、兵士たちの姿は消えない。消えた、と思ったときには、また別のところから、姿を見せている。鳥たちの羽ばたき、猿の鳴き声のリズム。私の走りはちょうど重なる。私の木の葉を踏む音を隠してくれる。どうして逃げ出したのか、少しも記憶にない。頭に浮かんでいるのは、脱走兵は射殺される、という指示だけ。どこまで追ってくるのか見当もつかない。追い掛けと逃げの単調な繰り返しではなく、他の音に紛れた足音に対し、照準を合わせるようにして取り囲む準備が、兵士たちには出来ている。

銃を構える音。野生の小動物のリズムにはない足音。その方角から動きを捉える。脳裏に浮かぶ微粒子は、明らかに口を縛っていない袋の形状をなしている(ぶつ切りにした輪ゴムのように世界は広がる)。まだ私の身体の中にも物理学が残っていたのだ。微粒子の動きが波紋を作り、木々がそれを反射しつつ音を伝える(私の耳の中にしか世界はない、すべての音が私の中にある)。正確に彼らを定位する音の群れ。待伏せが銃を構える。前方に微粒子が出現(人)。待伏せを避けて、微粒子の網を潜る方向へ。右という名だったか、左だったかは、とうに忘れた。微粒子のパターンから逃れるのに、できるだけ猿のいる方に向かう。猿は近づくとざわざわと怪しげに動き、兵士たちの気を紛らすのに一役買ってくれる。最後に、木の上から手榴弾を遠方に投げ、爆発を起こす。あとは火が確実に兵士たちを追い払う。

煙の中で、眠っていた。そのときから、夢を見ることを、思い出した。思い出した後は、それが夢という名前だと、名付けるのを忘れた。忘れはしたが、それがそういうものだと知っている。鳥が飛ぶ姿が、私の世界を上空に打ち上げてくれる。先に燃え出した山火事に散水する車の群れ(消防車)。あれが何という名前だったか、もう呼ぶことができない番号を掛けて、そこから連れ出してくれるなら嬉しい。110、119、0120、数の記憶は、それを辿る方向とは常に逆向きに、流れていくのだが、その形だけが浮かび上がり、名称を思い出すことはない。何と呼んでいたか、呼んでいたのは誰だったのか。問いが、失われた記憶を浮き彫りにするが、骨格はなく、意味を与えようとする行為には、喪の作業という、新しい名前を立ち上げることも、ままならない。破り捨ててしまおう。くしゃくしゃにして。夢の描かれた紙片(ゴミ)を収めた、円筒状の金属製容器(くずかご)の表象の、名はどこにも存在しないばかりか、視界を覆う不純物として現れ、それをも片付ける身体の部分(掌)、その名を、どこかへ捨てていく。何も残らない。何も残らないということさえも。

山火事は辺りをすっかり焼いてしまった。炭になったところに、わずかにまだ光っているのは、猿の瞳(または、星たちと呼ぼう)。何と形容したらいいのか、私にはわからないばかりか、むなしく光るばかりの夜の星を目薬にして、あなたは光っているのだと(あるいは、猿の涙の輝きが空に上がっている)。彼らに接吻し、ただ愛に浸る。身体の部分(性器)を、そこに含ませてくれたとき、安堵して、もう胸が張り裂けそうになっていたのを、散々、ぶちまけていた(射精、繰り返される前後運動、ないしは排泄)。その後の記憶は、未来でできている。生き物たちが見ているのは未来ばかり。希望と恐怖に満ちた未来を経て、死に向かって生きているのだと、思ったとき、何かであることをやめていた。何であるかは覚えていない。


腐れ外道(憂鬱の愛撫)

  はかいし

もう遅い。君は叫ぶだろう、倒れていく数々の唇を、燃えていく語尾の散らす火花を前にして。辺りに飛び火していく頃、君の眸の向こう側には、死人が出ているのさ。言葉を奪っていった魂が、私の中の無限の回廊を駆け巡って、輪廻をくぐって顔を出す。朝、君の顔は日焼けして、太陽に染み着いた黒点のような黒子が映え渡っている。冴え冴えしい、君の栄光を称えて! 誰もが口々に告げ、夢の中でぶちまけた、罵詈雑言の雨を飲み干す。ああ、喉が渇いた。君のせいだ。最初から、分かっていたんだろう。それなら何故、もっと速く水をよこさない。


21:19 2013/08/24

  はかいし

簡単だけど、これせこいだろ? なんて言っている場合じゃないんだ出版社さんが父さんするとかじゃなくて本当にまずいんがこれはそうどんな本を読んで何を得るのかってことは人それぞれなんだでもその人それぞれだからこそいいものができあがるだ日本人は職人型だろうでもそうじゃない西洋は反復系なんだ複雑なんだとにかくこれが日本語として読めなくたっていいんだ勢いだけあればいいんだサリンジャーがなんで受けたのか考えて欲しい要するに純粋だったからなんだピュアーだからなんだとかそういう問題じゃねえんだピュアーって言葉だってどんどん疑い尽くせるんだそうおれはこれで書くのは最後だとにかく●は勘弁してくれあれは本当にまずいんだあれを読んでは断じていけない俺がどこまで疑ったかなんて関係ないつまりあれをやるともう何もできなくなってしまうってことだから頼む偶然だろうけど俺はカナダで哲学の授業を受けて先生が頭を指さしてくるくる回してそれで気づいたんだけど頭がしびれてもう何もできなくなってしまうとかもうそういうことじゃなくてこれを読んで散々ダメ人間っぷりを発揮しているだなんて言うかもしれないけどそういうことじゃなくてとにかくこれだけ言ったらわかってくれるかなあと思うんだけどでもやっぱりわかってくれなくてとにかくこれだけのものは必ず芥川賞を取らなくちゃいけなくてなぜかっていうとぼくは疑うってことがどこから生まれたのかを発見したからででも疑うってうたをガウンでしょうそうでしょうそもそもすべてを疑うっていうのはそういうことじゃないんだそもそもすべてなんだからすもべもてもなくなるんだねえそうでしょうねえと問いかけても誰も跳ね返ってこないとかそうじゃなくて本当にこれやばいよ頼むノーベル賞カモンそう古典文献学者さんのうっかりでこれが済ませられるってことはないはずなんだとにかくこれを提出してルーク先生を殺してしまうかもしれない彼があんまりに頭を働かせすぎてそれでお腹を壊して頭をねじ込んでしまうかもしれないでもどこにどこだろうとにかくまずいんだこれは止めなくちゃいけないんだねえ日本人目覚めてくれよ新しき人よ目覚めよとかそういう話じゃないんだ別に新しい新人なんていっぱいあるはずだけどただこれだけはまずいってことを言っておかなくちゃいけないんだ禅とか哲学とかそういうことじゃなくてもうとにかく●主義だけは本当にいや主義じゃなくて●は一行足りとも読んじゃいけない●主義でわからなければ●からとって新しいで●からとって知恵でいいからもう頼むから●主義はやめてもしこの本のせいで●がバカ売れになってそれでもし第三次世界大戦が起こってしまったらどうするんだとかそういうことはいいからお前たち●が何を告げようとしているのかを理解した気になったらぜんぜん違うから頼む別にファイヤアーベントの影響とかそういうの関係ないんだだってあれ村上陽一郎の訳だしあの人原発賛成派らしいしでもそれでもぼくはあることに気づいてしまったんだそしてそのあることが●だったんだっていうか●じゃなかったんだっていうかまあとにかくなんでもいいけどなんでもよくない、別に俺がノーベル賞取らなくちゃいけなくてというわけではないけど業績的にはまあノーベル賞に間違いないだろう何しろなんで書くのかってことについて考えてるわけだからそれで結論はさまあ単純に金のためなんだでもそこで気を落とさないでくれだって書けなくなったら死んでしまうんだというよりは人間は生きている異常言葉を使うのが当たり前でそしてそれだからしゃべるわけででも喋れなくなったら死んじまうだろうそうそれがまずいんだぼくがきちんと考えられているかはわからないでもそもそもきちんとっていうのが付くこと自体やっぱりまずいんだこれはそして別に俺じゃなくっても他の作家が繰り返すことなんだそう何かしら進歩のための方法論みたいなのを立てようとすればいつだってぶつかる壁なんだ物語なんか捨てちまえ何もかも捨てちまえでも捨てたら何も残らない何も残らないってことは何かが残るってことではないんだ頼む本当にわかってくれそう実はこれは本当は断じて隠しきれないことなんだ別に永井均が間違っているとか中島がまずいとかそういうことではなくて本当にただこれだけはなんとかしないとなっていう問題でとにかく死ぬのはまずいんだ死なないで欲しいんだ書いてくれそう書くんだ何か言いたいことがあったら溜め込んじゃだめだそう書くんだ進歩なんかかなぐり捨ててでもそれはなぜなら進歩なんてことを本気で考え詰めてしまったら死んでしまうからだあの三島の異様な真面目さとかもうちょっとよーく考えて欲しいんだもちろんそのことについて考えて欲しいってことなんだけどおいこれだけ言ってもわからないかお前ら文体がどうとかそういうことじゃないんだ文体なんて概念にすぎないんだからしかもどっかのおっさんが勝手に批評のために作ったそれにすぎないんだどんなに死にたくなったとしても死んじゃダメだって言ったら伝わるだろうかネット上で知識人気取りが●を読めなんてことをつぶやいているのは一番危険だというかそもそもニヒリズムというのは文体の問題なんだというのがぼくの考えだけどそれもまたバラバラになっていくねえ古典文献学者さんとにかくアメリカの人でもいいけどカナダの人でもいいけど俺んとこに来てくれよそしたら話をしてあげるよ拙い英語だけどぼくはあることを知っているんじゃないというより知っていると知っていないとの違いじゃないそしてこれはもう一回しか出来ないことだとわかっているんだねえ君たち自分の真面目さそのものを疑ったことはあるかな真面目さは何でできているでしょうかって考えたことあるかなそう、そこなんだってことを言いたいんだけどもうその辺に科学とか宗教とかそういうテーマの固まりになりそうなものがいっぱい転がっているせいでそっちの方に目が行ってしまうんだよねそれでさ別に俺が書かなくたっていいんだよねでも俺が書かなくても確実に俺以外の誰かが書いてしまうことができる話なんだよねこれなんか素晴らしい才能を待っているとかあんたがた言うかもしれないけどとりあえず哲学書ってのは素人が手を出しちゃいけないってことをちゃんとわかって欲しいなそれを読んで厨二的な妄想にふけるのはあるかもしれないけどでも正直日本では●主義に対する注意がすごく薄れているよねそれは別に俺と同じ方法を取ればあっさり片付いてしまう話なんだけどでももし俺と同じ方法で書く奴がいたらさそれでわかっちゃうじゃんみんな生きるために方法ばっか探してるじゃん快楽を得るための方法それで例えば昔の人が書いた難しい話ってのはさもうネット上から消しちゃうべきなんじゃないかと思うんだあんまりやりすぎると危険だからそうきちんと哲学を勉強している人は●が危険なものだって知っているけど一般の人にはわからないからさだからネットで●を読めなんて言うやつぁ死んじまえばいいんだハイデガーを読めなんて言うやつぁお前らは言語の変遷というものを考えたことがあるのかあんなもん読んだってさっぱり理解できねえよいいかお前らと違って俺たちは認識の方法が全然違うんだよだってすぐにネットから情報引っ張ってこれるじゃないかああそう別に認識という言葉を使わなくたってできるんだもっと他の言葉に置き換えたっていいんだそれでもやっぱり●が野放しになってるのはまずいよねその辺に「●の言葉!」なんて本が老いてあるじゃない置いてあるけどさまあそれは●の安全な部分だけ取り出して使う分にはいいけどでもそれには限度があるってことを関節的にじゃない間接的に●は教えようとしているわけでとりあえずネットのみなさんあと文学をやっているネットのみなさん進歩なんてものはガセなんでやめましょうぼくが言ったやり方といってもぼくはやり方を説明するために何通りかの方法を使いましたがうんでも方法という言葉は疑えるからもう一回やり直そうと考える人はいないかもしれないとりあえずルーク先生本当にありがとうでも俺こんなの書いていいのかなひょっとするとルーク先生あなたには二度と会えないかもしれないぼくがこんなものを書いたせいでそしてまたルーク先生あなたもまた虚無の闇の中に落ちてしまうかもしれないぼくが悟ってしまったせいでそう簡単に言えばまあ繰り返しっていうのを認識するっていう方法論には限界があるっていうことなんだけどでもそれだけじゃなくてだって俺はこれを書く中でそもそも限界にぶち当たっているわけでとりあえず文学者さんぼくの考えの奇跡にじゃない軌跡に注目するべきだそして哲学書を読むべきではない専門家の指導なしにでもひょっとすると読んじゃった人がいるかもしれないそれである段階で「俺は神になれる」ってことに気づいてしまった人がいるかもしれないでもそれってやばいんだよね俺が言いたいのはそういうこといいかい言語は移り変わるんだ今日本では神という言葉を使っているけどネ申にわかれてどんどん離れていくかもしれない最終的に日本人が何かとてつもない言語を生み出して概念を生み出して世界の知を追い求める人々をこちらに呼び込むことになるかもしれないそうぼくが言った発展の方法というものをあらためて認識すればねでもダメだちゃんと言えない発展にあるパターンっていうものがあるでしょうそれを認識するそしてそれを取り出すそしてどうすれば次にいけるか考えて自分の国のところに当てはめてみるっていうパターンは延々と繰り返していくとまずいことになるんだどこかで行き詰まってしまうんだそこで書くことが終わってしまうんだでもなんで書くかって言ったらやっぱり自分の中に言葉を貯めときたくないからでしょうそう●もカフカも別に危険ではないんだ扱いさえ選べばただ何の考えもなしに読むのは本当に困る今ネット上にそういう人がいるんだ多分そのせいですごく右翼化するんだあれそもそも翼ってどこにあったっけ右だっけ左だっけていうかぼくが言いたいのはさ書くってことは宗教だってことなんだマジでメタメタフィクションとか言っている場合じゃないんだ俺は別に古今東西の詩を集めることもできるけどそういうことじゃないそしてこれは別に詩が危険だとか言いたいわけじゃないとりあえず田村隆一が言いたかったことをすごくよく考えた末ぼやっとしてるなっと思ったらいつの間にか見つかってしまったんだ要するに相対化ってのを押し進めていくとつまり客観視点つまりクールつまり真面目つまりクールそれをずっと続けていくと本郷にじゃない本当にクールになって完全に冷え切って死んでしまうってことなんだ何しろ書くことについて疑うってことはずっと書き続けるってことだから印刷機を使えばいいって言うかもしれないけどやっぱりそれも無理ね実験的なものがぼくたちに示してくれるのはさそう例えばレイモン・クノーとかもう名前からして苦悩の固まりっぽいけど俺はとりあえず最大までやってみるからその先へ進めってことなんだよ大事なことに気づかせてくれるんだよあのフライの批評理論だって同じことだ物語のパターンがあるだからそれを繰り返せどうしてかって言ったら本当は人間は物語なしには生きられないからなんだお前たちどうしてそのことに気づかないボルヘスにしても誰にしてもその時代を必死で生きてきたんだ目が見えなくなりながらも彼らが口にすることから何かを学ばなくちゃいけないでも学びすぎちゃうんだぼくたちはそうそしてすぐに限界がくるんだ本当はこれどこまで書き続けてもいいんだよね何故なら書くことについて疑うとはそういうことだからでも限界に近づいたときにそこから何かを学ばなくちゃいけないんだそしてぼくが得た結論は書くこと、これは人々を生かすためなんだってことそれは人々を喜ばせるってことただそれなんだでもそれだけじゃないねえネットのみんなもしすぐれた小説家というものを考えるなら例えばガルシア・マルケスの円環構造を考えなくちゃいけないあの円環構造はそれだけでじつは円環には限界があるってことを意味しているんだ今ぼくは物語を書いてはいない今ぼくは論理を書こうとしているそしてそこに限界があるということを教えようとしているでもそれだけじゃないぼくは全世界のみんなにこれを教え広めなくちゃいけないなぜって俺が言おうとしているのはある種の宗教だからね


初空のゆめ

  はかいし

グリーン、ブルー、レッド、イエローが空を飛び、ブラックになって着陸する瞬間、飛行機雲は空を突き破り、粛清(パージ)されて戻ってきたレッドが、クールなブラックに変わる、代わる代わる空を見上げ、今はまだオードブル止まりでしたか、ええそうですねと言って空を飛び、軌跡を描いて戻ってきた、ゆず色とみかん色とが混ざり合って夢色に染まった紅葉の、並木道をゆくそのまた軌跡を追いかけて、そんな色つきの夢を、見ていた僕は酔っ払い、夢に酔っ払い、朝日も見逃して、冴え冴えしい朝焼けを、昼に見る。


キャラメルポップコーンの冒険

  はかいし

ポンって跳ねてポンって跳ねて電子レンジから転がり落ちてポンって跳ねて椅子の上に上がってポンって跳ねて机の上に上がってポンって跳ねてパクッと食べられてむしゃむしゃもぐもぐ胃の中でポンって跳ねて腸の中でポンって跳ねてドレミファソラシドを歌いながらポンポンポンポンポンポンポンポンって跳ねて溶けてドロドロになってぐしゃっとなってうんこになって出てきて(一部は細胞体として吸収された)それでもまだポンって跳ねてポンって跳ねてるから下水管の中でポンって音がする(僕の細胞の中でもポンって音がする)さてとごちそうさまでした


De'tente

  はかいし

窓を閉め切って
小鳥は飛び立てない
部屋を出て世界へ 止まり木のない林を見てみたい 武力がわたしを束縛する 抗生物質の魔法の弾丸 何発胸に受けても治まらない咳が 軋む窓を勢いよく閉じてしまう あの金属音が鋭い痛みとなって わたしを冷たくしていくの


孤島は燃えている
浜が崩されて
堆積した鉱物は陽射しを返す
遠くを臨むなら
目を凝らさなければ太陽にも見えてしまう
何千トンの水と 何万匹の海洋動物を沸騰させて
今まさに海に落ちてきた太陽は
頭痛がするほどの光と水蒸気の爆音を
窓に響かすのだ



羽が 拡げられ
翼の内側の皮膜も
よく見えるようにばたつく
小鳥の身体は温かく
瞳を落ちていく羽にもまだ残っている質量が
加速していく
聞こえるのだ この煩わしい陽の中でさえ
雪解けしていない一室に舞う羽毛が床に落ち
カツン、
ようやく始まった


熱で
窓は軟らかくなり
溶けていく
ガラスの気体は青く
空へと続いている 潮風を運ぶひとつの道ができる
きっともう二度と戻らないことを祈りながら
私は小鳥を見送る


会ったこともないのに、よく知ってる感じ

  はかいし

すべてをはかいし考えるありのままの姿で蟻のままの姿見せるのよほら蟻たちが無数の列をつくって並んでいる被着体表面に塩化セシウムを塗布してみたその甘い甘い塩化セシウムにつられて沢山の蟻たちがやってきたのです何を仰るうさぎさんそんなことよりやらないか(!)ということですよ、会ったこともないのによく知っている感じというのはこういうことですよつまりそんなことよりやらないか(!)を連呼するうさぎさんのような片耳をピアスにふさぎ込んだ僕の背中を拭っていく雨のつぶつぶをかき集めて窓の外に垂れ流してやろうどもこのままでいいのかこのままじゃダメだ何がダメって情緒的で不安定でもっと片目に集中しなければならないかのアーサー・コナン・ドイルが冤罪事件を解き明かしたときのような清々しい世界へ僕たちを連れ戻して行かなければならない新世界よりが見たい新世界よりが見たいなら見ればいいドヴォルザークのようにカッコよく生きたいまやかしのない人生のように減少する日本の人口を次第に緩やかな流れの傾きを目にして立ち会った人々の心を底からひっくり返すように僕ももう少しデレク・ジャーマンのウィトゲンシュタインを見ていたい


連想記

  はかいし

「女」というものは存在しない。

わたし、から始まった
坂道の緩急を
響き灘よ、裂け、破滅へのクオーク、
シリンダの内から、高層ビルの最上階で
わたしは忘れられた、
響き灘、シェリングの老眼でも見える、追憶者の轟き、どよめき

土曜は既に暗くない、
陸奥を飲み干せ、
関東平野に咲いた幾億の花が、発話が、
海底の通りを渡る
それが、ここからの夢の墓所

憂鬱の有袋類、
オポッサム、安寧を祈って、
援交しろ、
下等生物の苦悶、
吐き出された精子と卵子が、
子宮の区画を抜け出して、
新たな都市をつくる、
楽園という、イヴの名を死の象徴の電波塔へ、
また追憶、

緩急、濃暗の暗い街へ、
ウォール街の月曜日を、
スキップして、越え、声、声、
翼、なき
マバタキナキ、

象徴交換、わたくしのか細い鶴の首先から、
羽、落ちる
銀河は捨てられた、ゴミ袋の中で、
イメージを連鎖させる、
かの温かい襞のような暗黒物質の表面を、
スキーヤーが滑った跡は青白い、

枯れ葉を踏んで、また枯れ葉を、
ビスケットに変える、
その方が多くの人々が温まるから、

街に、帰っていく二つの影を、
わたくしは見送るだろう、
キナギ、タバマ、

伝染病の章を、
再び象徴交換と死

(ここで、排泄する、)

道具連環 ハイデガーの肺の中へ逆流する銀河
大気は鏡となって空を宇宙に押し出す
こうして延々と続く光の経路に
一万の壁を

重力が割れる
エラン・ヴィタル
生の躍動
躍動する神神
山火を引き連れて
痙攣する

パサージュ転移の原因は
谷崎潤一郎の夢のせい、
毒を飲め、
タモリ、自負の

司書だ、
おお、恐ろしい

まずは、すべての引用から詩を、初めてみる



山脈が、湧き出てく
木漏れ日のにおい、お前を愛したために
わたしは破滅してしまう、宮崎さん



パターン、パリ、自負の梱包
こん棒、
ガジェットを喰らう営み

帝のお目見えになる時刻、魂は辟易なさって、退社した

春は彼方から散文のリズム、秋は痩躯に欝して、ああ、ああ、エラン・ヴィタルの肺呼吸、これは詩ではないのだ、詩ではないのだよ!

狂気! すべては歴史のため、命懸けではい出てきた革命児。散文よ、散文よ、咲けよ、裂けよ、SAKEYO! うつぼ舟の中に垂れた庭先の薔薇が、青く、空模様を吸い込んで、蕾は開いていく。目の前で回転する機械、この辺りで既に重複があるのだろう、それを量産するのだ。

フロイトの大義派へ告ぐ

直ちにここから退去せよ ここから ここそこから あちらから どちらから? 退去せよ
天神は午睡した 夢よ、Dream、Maerd、その辺にしておけ


ふっかつのじゅもん

  はかいし

『詩をやめる』

ランボー、ランボルギーニ、ごますりの回数だけ、
僕は詩をやめる、僕は詩の部屋から出て行くのだ、
カーライル、ソードマスター、あんたの額には、
かすかな傷跡が残る、腐海の底から泣き出したような、
明暗の地を行くうちに、果てのない海に漕ぎ出した、
ゲームオーバー、そこでだ。

詩ができる、僕っちの勃興を見てくれ、
なんて可愛いんだろう、カーライル、奥さん、
反逆者、そこに詩が生まれる、
詩は生まれてから光のようになり、
辺り一面に積もっていく、
勃起したみたいに、光の山ができる、
そこで伝説の言語は途切れる、
ゲームスタート。


『生きる気力がない』

生きる気力がない
だから眠る
眠ることは死の代補
その深遠なる道を
どこまでも降りていきましょう

秋がやってくる、
亜紀がやってくる、
白亜紀がやってくる、
ライフガード、ライフセービング、
かの男のいかれた頭では、
果たして美人と美人でない人のどちらを先に助けるのか、
しつこいなあ、もう
やめてくれ! もうやめてくれ!
勘弁してくれよもう!
な、感じで書けるぜ、
亜紀が通り過ぎた道のにおいを嗅ぐ、
すると春の雨のにおいがする、
亜紀なのに、秋のにおいじゃない、
亜紀のにおいじゃない、
白亜紀の恐竜たちの休息が解かれ
僕たちとなって前進する、
僕は僕でないものたちに生贄に捧げられ、
春は雨となって前進する、
存在が存在でないものと衝突する、
だが存在でないものとは?

雨は使い古された素材だ
今や語るのにも値しないだろう
プロコフィエフ、プロコフィエフ、
美しいミサイルとともに、
僕らは発射される、
厭う、痛うてならん、
あの闇の中で、ポエニークを掻き分けて、
僕が鎮座した、夢の通路を、
林に例えながら、木々を抜け、
通り雨のように、あるいはまた、
雨のように通り、
ペトルーシュカ、ペトルーシュカ、
存在の彼方に、
その青い目を差し出す、血だらけの目を、
あの人形のことを考える、
そして憂鬱になる、僕は、僕は、
生きる気力がない、
だから眠る、
眠ることは死の代補、
その深遠なる道を、
どこまでも降りていきましょう、

生きる気力がないものたちへ、
僕は君と同じ感情を共有してなどいない、
君はただそのけだもののような感情を、
抑え込まず、ただ吐き出しさえすればよいのだ、
だから眠る、
眠ることは死の代補、
その深遠なる道を、
どこまでも降りていきましょう、
そして夢を見ましょう、
時間と空間が分離せず一緒になった世界の夢
カントを読んで音楽がただの快楽に聞こえるようになる夢
垂れ流しの青い空のような何かを掴み取ろうとする夢
愛と平和と鳩と手品が順番に繰り出される夢

生きる気力がない、
だから眠る、
眠ることは死の代補、
その深遠なる道を、
どこまでも降りていきましょう。


『』
まどかマギカのブレスの音が聞こえる、
アルヴァ・ノトの音楽のように、
あるいは〜のように、と言い表されるすべてのものたちに、
捧げられた愛と愛の無効と、そ
して彼らははかなく閉じた、とい
うことは無効とは思われず、すな
わち伝説は電設となってしまう。

クラフトワークを聞こう、機構のような音楽、
音楽のような機構、アンビエント、電気、機
械屋、村雲、叢雲、雲の村に住んで、わたし
はわたしではなくなる、青の洞窟に入り込ん
で、わたしは瞑想してゆく、心の隅から隅ま
で青くなる、さらに青さへと向かう、アオサ
の茎のように、目も青くなる、顔も青く、
胸の傷を隠したまま(「夜明け生まれくる少女」より引用)

血を、
青く染める、あお、あお、
ああ、おおい、ああ、おおいおおい、
あおいあおいあおい、葵ちゃん、

殿下、電化製品を制圧致しました、電荷を
電解しながら、天下統一へ向かいましょう、
向山先生、むらさきのケムリが暴れていますよ、
返して、返してよ、
ね、ね。

ニーソックスはknee-socksと綴る
膝まで続く星の流れのように、いやこれは比喩ではなく
異次元のように魔界を見渡したのだ、いやこれも比喩ではなく
ではなんなんだ? さあ知らない、さあこれからだ、これから始まるのだ

ロックは死んだ。
神は死んだ。
は死んだ。
ハシンダ、ハシンダ、

ように、ように、
月に向かう髪のように、紙のように、

「のーくにー」
「おお、イイぞぅ」
byドラゴン桜


『Windows』

窓ども
が砕け散る


のように
ノイズを祝う
のい

っと好きだよ
のように
     ばら


ばら。         の

ふらん        したい

     のように
  腐乱

したい。

     あい

  それは    何?

      それは    悲しみ?     憎しみ?
  できれば
遠ざけて     おきたい
                          反射の

ように

       (ように)

               (ように)

夢を
語るとき
いつも
一人だった
僕は
窓ガラスを
粉々に
砕き
その破片で     (飛沫で)
血を
流しながら
       ふく         しゅう
              を
誓うのだった


眠れる宮崎さん

  kaz.

犬たちが今朝を踏み荒らして
僕は足跡の上の
潰れた学校へと
忙しく歩く

明日は早いから寝なさい、
僕のシーツで発火して
朝になっても残っている、宮崎さんの
差し向けた犬たちが遠吠えし、
足跡に沈んだ学校では
授業開始を告げる

宮崎さんは
靴の泥を原稿に包み込み
窓の向こうに投げ捨て
校庭の砂の上にたゆたわせ、

昨日触れた雨に
明日も触れるのですか、
ええ、明日の洪水確率は
百パーセントです、
克明に描かれた影たちの、
鼓動、ざわ、つき、
なので明日の学校はありません、と
宣告すると
雷が落ち、
身体はさめ、夢はさめ、
もう二度と戻っては来ない

またいくらでも眠りたいときが来たら、
寝ても構わない、
だから授業を受けて欲しい、と
宮崎さんが、僕の肩を
やさしく叩いているうちに、

校庭の砂の上に
僕の新しい原稿は
折り畳まれてだまし船になり、
道中、
握り締めたセイルは
舳先に変わり、
溺れ死にそうになったところで
目がさめ、濡れてさめ、

家のベッドに送還されると
雨の日の犬たちが横たわり
朝食のにおいが
窓に滲んでいる


夏美 has a lot of poetry

  kaz.

夏美 has a lot of poetry but she didn't write it. な罪が♪降り注ぐファンが回るまわる♪パワヤラを引いたことはあるかい?♪グワットモールを引いたことはあるかい?♪俺はその一人だ、みんなも引こう♪そしてぐわっともーるbotの存在を確認しよう♪夏美な罪が何度も繰り返されて、僕は狂った男の隣、頻繁に北に回帰していく時刻、♪は今まさに飛び出そうとしている。
生態学の生態を調査せよ。
ポスドクの毒を搾り出せ。
毒を以て毒を制するとはよく言ったものだ。
入れ♪ないことができる。他の先生が教えてる中で余裕で帰っていく。

♪今朝話しかけた女の子は元気だろうか。今頃技術の実習でもしているのだろうか。困ったときは先生に相談だ!

♪そして失敗だ。もうどうしようもない。魂の呼吸を、整えて、数をそろえる。0315。それで一万通りが減ったよ。リグナン生合成に成功したらいいなあ。Can you feel it?

♪ポストポスドクになりたい。しまいには変な研究発表したりして、色々楽しみ体温計。太田胃散の宣伝の曲を聴いて、僕は心から感動している。

♪現代にも姥捨山を復活させ、高齢者をどんどん山へ捨てに行きましょう、山は感謝の気持ちでいっぱいだ、ヤマハ。ピアノのように歌う、これが気持ちいいのなんのって、何しろ歌を遮るものは何もないのだから! ダカラを飲んで僕は気が狂ったようになる。大企業に就職できたらいいな、でも中小も面白そうじゃん。ジャン・コクトーちゃん黒糖なめなめ、なめたけの表面のように静かに僕はアトリエ化していく、タイマーが鳴っているのに気が付かなかったらどうしよう。そういうときは仕方ない。タケイ・リエ。カニエ・ハナ。カニエ・ナハだっけだっこ抱っこしたいんです負んぶに抱っこに子どもがついてうっかり鬱病になってしまいました。そういうときは相談だ、先生に! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹解虫。これでどうだ! 面白いだろう。へへ。ら。へ。ら。へ。ら。へらへらしてんじゃねーよ天使じゃねーよ自転車ねーよ帰れねーよふざけんじゃねーよ。減らねーよでも減らず口を叩きまくる今日この頃。ゴロゴロしております。喉が。お陰さまでゴホゴホしております。木を食べる魚について考えていた。セルロースを高密度に圧縮し分解して栄養源にしてしまうのです! 素晴らしい! ベクターを導入して我々にもその遺伝子を身につけるようにすれば、我々も木が食べられるようになる! 味覚? 遺伝子操作で麻痺させればいい。そうしてゴミばかり食べる人間を生み出せばゴミ問題と食糧問題は解決さ! 隊長! その方法ではかえって人口が増加してしまいゴミは増える一方です! なるほど。確かにそうだ。というようなことを魚は考えているのかもしれない。というようなことを僕は考えているのかもしれない。かもしれないかもしれない。かもしれない運転でいこう。朝吹さんに会いに行く日に、僕は心から凍えるようだった。ピピピピピピピピ。体温計が鳴る。体温は37.5℃です。軽い微熱ですね。それでも寒いということはこれから熱が上がるということですね。寝よう。そして体温を下げよう。

ひつぜつにつくしがたいかなしみが
かなしみをかなしみつくす
つくしになったぼくらの
ともだちのともだちのこともわすれ
ぼくらは熔融していくのでしょうか?
大いなる誤植を、今

まさにその通り。
ニュートリノに質量があるというのは昔から言われていた。でもなかなか証明ができなかった。それをスーパーカミオカンデで紙を噛んで髪を掴んで、証明したから偉いノア。の箱舟。ノヴァ。ノアズアーク。アニメの見過ぎだベイベー。米兵による射殺事故が起こりました。犠牲者は0にんのもよう。もようがえしたへやのなか、なかなかでてこれない、だからたまりかねてでていったのです。どっちだ? おんがくのしゅうえんに(さいしゅうえんそう? いいえ、ケフィアです。ライク・ア・ローリング・ストーン)になりたい、になりたいになりたいになりましたよかったね、あのやろう出席してたのに低い成績付けやがった、音楽に歌が入っているとつい僕も歌ってしまうま、らいくライク雷句誠の夜明け前を読み終わった。ほしがたのゆめをみて、ぼくはなにかんがえてるんだろう、なんてめいそうしてる、らしい。



♪  ♪

  ♪   ♪    ♪

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   ♪    ♪    ♪     ♪


語る死す、語る生まれる

  kaz.

2011/11/14 23:47
夜道、ひっそりと息吹く新芽のことを思いやる。手のしわから生え出た薄緑の突起が、寒さで枯れてしまわないよう温もってやる。ポケットに突っ込んだ手の握りは優しい。握った手の隙間から漂う新芽の甘い香り……殴られたときの痛みを知らない人たちのように、という例えを使う。そうすれば世界が血の気に満ちているのが分かるだろう。ただ一つ、安息があるとすれば、握り締めた拳の中の汗くささだけだ。

(……沈黙。「香りは、闇のなかで最も多くのことを語りたがる。どうやって語るのかを、最も知らずに。」という一節を挿入する。その隣に、月の出る晩の澄み切った空気ほどに張り詰めた気迫を描こうとして、放射状の線分を描く。)

「さらに続けて、太陽の輪郭を描こうとするが」
「皿に続けて、血の滴る獲物を載せようとするが」
「さら、さら、さらり、」
「懐を掠めた」
「封筒から手紙が落ちた」
「中身がこぼれ落ちた」
「ぱさり」
『ぼくは、語ろう』
『ぼくは、で語ろう』
『ぼくは、という代名詞を添えて』
「ぼそり」
「ひどくやせ細った」
「と連想した」
「という連続」


K先生「これは失礼、自意識過剰に見えたかね。生憎、代名詞では言及しえないものを、君たちはもっているのだが。むしろ、代名詞という存在そのものが、言及しえないものを指示するために存在しているのだと、君たちは」

レタス「はーい、キャベツみたいに、シャキシャキ動いて!」

爆弾犯「みんな、徒党を組んで、人生設計をエンジョイしよう。計画は実行しないことに楽しみがあるのだから」

K先生「……と、このように、口にされた途端、本来言及していたはずのものを失って、本来指していたものとは全く違う意味を抱えてしまうかもしれない。だから……」

(世界の憂鬱を語り尽くしてしまったのだという崇高さが降り立ち、獣の嗅覚で月夜をかぎ分ける。ハイエナの孤独。)

今日はここまでにしよう、と君たちは言う。ぼくは壁掛け時計を回転させて(そこには文字盤がなかった)、もう少し今日の時間が増えないかどうか試してみる。それからは、いつも決まった時間に眠る男が、定刻前に時計が止まってしまって眠れないときにどうすればいいか、延々と議論するように言われる。ぼくは、時計から数字を引きはがすコツについてくだくだと説明する。チャイムが鳴る。帰宅の号令が終わり、いっせいに君たちは走り出す。窓の向こうには夕陽が照り映えている。グラウンドを走る生徒たちはみな夕陽に向かっていく。

(「君たちは一つの誠実さに向かっているのだよ」。夕陽だけが、時間に嘘を付かない。教室中に太陽の香りが充満している、飢えたハイエナだけだ、光から誠実さを感じられるのは。)


2011/11/15 22:39
「方陣は裂け、語が流産する」
「生まれたのか、そいつは」
「死んだのか」
「いいや、食われたのさ」
「聞いていたのか」
「いいや、開いていたのさ、口が」
「奴の最期の一言はこうだ。」
『ぼくは、何かを伝えたい』
『ただ語りたいだけ』
『ぼくは、何を伝えるべきか知らない』
『語るべきことがないと語りたい』
『ぼくは、何を伝えるべきか知らないということを伝えたい』
『語るべきことがないと語ることもない』
『何を伝えるべきか知らないということを伝えたいと伝えるべきかどうかを知らないということを……ぼくは、語りたいと語ることもないと語るべきということを……』
「知ることと語ることが交雑している」
「あてもない混雑」
「あられもない交接」
「醜態」
「糞、糞、糞、どいつもこいつも、俺の言いたいことをみんな言ってやがる」
「俺の言いたいことをみんな言ってやがるということを言ってみやがれ!」
「糞が更に増える」
「呪文で」
「蘇生しちまえ!」
「あんちゃん、奴はソーセージから、自分の身体を作るのさ」
「腸詰がねじれて蝶に」
「蝶がねじれてつがいに」
「蝶つがいがねじれて」
「扉が開く」
「扉は背中に」
「花開く」
「花びらがあそこのビラビラに」
「紙吹雪」
「くす玉」
「くすくす、笑い声が」
「魂が繁茂して、裸に降り注ぐ」


映画が始まる。皿、皿、皿、と並べられる。続けて添えられる、サラダ、サラダ、サラダ。格闘家が手刀でかち割り、破片ごと喉に流し込む。格闘家の首は皿の破片で膨れ上がり、血を飛ばしながら炸裂する。「桜だ。桜」君は言う。飛び散った皿に血糊がついて、レタスとアボカドの混ざった濃い緑で、君は死体の首に接吻しながら、「私のほうが、ずっと美しく啜れる」。いつの間にやら花開く、君は。

(……見れば、いつの間にやら「桜だ。桜」という一文を挿入している。ぼくが呼びたかっただけだ。冷たくなっていただけだ。あの惨禍を、華と、花と、鼻と、……味わいたかった。そしてハイエナは肉を漁る。)

『ぼくは、語れるが、綴れない』
『ぼくは、騙れるが、揺すれない』
『ぼくは、嗄れる、啜れないせいで』
「口の隣で、夏が閉じる。いいや、口が閉じれば、夏が隣。口の隣で、頬は赤らみ、重く垂れる」
「秋が待っているよ」
「空きができたよ」
「ほうら開いた。口が開けば、飽きが来る」
「紅葉し、枯れ落ちる頬」
「熟れ切った果実」
「その果実に描かれた、顔」

(……ぼくは続けて、「鼻の中に、家。答えは?」と書き込もうとするが、露骨すぎてやめる。彼らは繊細なのだ。いつだって、死体と友達でいたいから。)

「桜が、『く』の一文字をかかえ」
「桜が、『くの一』文字をかかえ」
「鼻の中に、家をかかえ」
「とっかえとっかえして」
「ハイエナが逃げ出す」
「逃げ出すことからも逃げ出す」
「おかげで、ぼくはいつも……」
「秋の隣にいる」
「夏の隣に」
「いいや、秋の傍にいる」
「孤独と飢えの季節に口付けされる」
「じゃあ、キスをしたのは?」
「冬」
「春」
「秋」
「くの一」
「さくら」
「それとも、かおり?」

「ハイエナが、答えを漁っていく」
「明後日いく」
「と言い残した日に」
「彼女はいなくなり」
「いなくなり、と書き残した日に」
「戻ってくる」
「きっと、キスするんでしょう」
「好きなんでしょう」
「でも明後日にしよう」
「今日はここまで」


(友達といえば、ぼくの知り合いはいつも裸だった。見ていて恥ずかしい顔をしていた。少しも隠そうとしない裸の顔。言ってごらん。「踵を返し、踏み込んだところから腰を返して蹴れ」って。ほうら、地面に奴の鼻の跡が残ったろう……。)

「あそこに芽があった」
「目が合ったときには」
「まぶたが閉じていた」
「開いたときには」
「芽はなくなっていた」
「手のひらの中に」
「あったはずのものは」
「掻き消されていた」
「光のようだ」
「あることがわからない」
「手をかざしてみれば」
「真っ赤に流れるぼくらの血潮」


地面には足跡が続き、そこから草が生え、生えては枯れていく。枯れていくのを見送るあいだに、どれほどの時が経ったろう。時が経ったことを感じようとすれば、かえって感じることができないものだ。夜、夢を見ようとするが、見ようとすることでかえって見ることができない。という夢を見たような気がする。夢を見たのかどうかさえ、ぼくには分からない。分からないということが夢の中身であるような気さえしてくる。

「眠りたくなる」
「眠りたくなくなる」
「眠りたくなくなくなる」
「眠りたくなくなくなくなく……なる」
「眠りたくなくなくなくなくなく……泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く泣く……ことなくほどなくわたしとおしていた糸をこちら側に引っ張ってくると、歩いていた足が攣って、ルアーになっていた耳が引き千切れそうになる。そう、お前は百足だ。電子の群れにムニエルを食わせて、三半規管の様子をずっと中継していふ。if.素早い走りを始めた指先がノーパソを〓き毟る。かどうか。竈馬。ハルヒ。長門との対峙。エスパー襲撃。oui, oui、お疲れ様。ミレニアム群れになるオムレツカツレツ交渉決裂高所から僕は僕はボカロいだ。Yes, yes, Joyce. のノートを引き裂いて足元に置くのだ。僕らは、わたしらは、そこから掻き出すだろう。さあ!→

(どっちでもいい。どっちだっていい。いいわけない。いいわけないわけない。もう、どうだっていい。ぼくは、そこで筆を折る。「そのときの怪我で、彼はピアニストとしての資格を失う」という一文が挿入されて、主題は変わってしまう。本当に折ったのか、あるいはただ書くのを辞めたのか、もう区別できない)


2017/1/24 18:57
なーんてな。
無の創造だ。
激しい雨が降り出す。
上下線を香水で塞ぐ雨だ。
息が詰まりそうだ。
言葉通りに。


2017/1/24 18:58
「病んでる村上」なんて歌詞をどうしてブッダブランドは挿入したのだろう。鍵盤検便叩けば潰れるのは痔なんです。だから長男威張ってるんです。走り書きした。新幹線の中を。手袋をはめたまま、わたしは書いている、描いている、海底を、改定を、かいていいんですか? かいていいんですよ。そうして僕は腹の底を掻き出して、ハイエナを羊水の丘から引っ張り出した。だからここからは未来の言葉になるだろう。


2018/1/22
今日僕は25歳になった。昔は聴こえなかったミリカノールの電荷音が聴こえる。ω。死んでみたまへ、屍蝋の光る指先から、お前の靈がよろよろとして昇發する。その時お前は、ほんたうにおめがの青白い瞳を見ることができる。それがお前の、ほんたうの人格であつた。というのが。ω。の瞳からの引用だ。作、萩原朔太郎。否。サクサクパンダ。
窓の向こうには彗星が見える。君の名は。


2118/1/22
今日『紙の名は。』を見た。紙には、名前がない。鉛しかない時代の物語で、鉛を削って訛りを記録するのに紙を使っていたはずが、紙に名前がないということが理由でできなくなっている。窓の外には合衆国国旗が舞える。いや? よく見ると日の丸と融合して、世界国家になっている。今日も彗星が降ってくる。あの彗星の分裂が紙の名前を奪い取り、紙の民の一員であったサルバドール・ダリを打ち倒し、『パン屋再襲撃』が道行く本屋の文庫本として出され、電子書籍はもっぱら人工栽培された人工知能の生命体であるキュリアス・ライバーが担っている。「そんなことを書いている新幹線は雪のために遅れて、空飛ぶバイクの市場占有率がもっぱら支配的だ。トランプタワーはビル管理人が失踪して以来誰も入らなくなり、『わけがわからない ってことですよ』と言っていた友人が托鉢のために出入りするようになった。韓国人の恋人と結婚したアリスは大丈夫だろうか。飛ぶ」

っっっっっ
     っ
      っ○ ←新しい生命の誕生の図
     っ
っっっっっ

僕はアリスの腹に出た性液を紙で拭い取り、ゴミ箱に捨てた。それが最後の紙の民の末裔だった。しかし漏れ出たうちの一匹が鏡の国に逃げ込み、ハイエナとなってアリスの腹から産まれる。
ハイ、エナ
杯、衣奈
はい、エナ
肺、胞衣
灰、絵凪
吹き飛ばさなきゃ、吹き飛ばさないで、皿を、さらに攫う風。
キュリアス・ライバーは我々のDNAを修復して老化も防いでくれる。しかも地面から個体を構成するのに必要な金属類を自ずと吸収する人工知能生命体だ。
今日、僕は125歳の誕生日を迎える。


声のみの声――起草

  kaz.

【1】無垢の果実

怜徹の無風で纐纈の進行を留めておきたいという意味では強いのにところでふと気がつくといいよ中として水子冬の空に私の眠りを支える影になってそっと縮んでいくみちのくの旅の途中まですぐはかなきちがい

私の中の私何度も何度も強く激昂のソーダを振りかぶる私水のこと静けさを思いやるようにしてお腹私に何かを残してくれましたかというあなた自身があなたであるが故に声の音が寂しく静けさ思いやっていました

ため息とともに言葉は無実の罪を吐き出し恋に譲り渡す陰嚢の印籠の高温と奇術せよ私が私であるがゆえにゆえにがゆえにであるが故に無実の果実にあなたを捧げますか巫女の魂の絢爛たる揚々たるものを

【2】原野

人間の意思とは裏腹に
人の目を追い抜く鳥たちよ

言葉よ
そなたは美しい
罪を
この大いなる秘跡よ
我に力を与えたまえ

【3】睦

春風がそうすると吹くさなかに
私の春がはるかしい思いを寄せている
そっか
しかしこれは
至難僕には分からないかもしれないけど

【4】橋

文体の悪魔の怜悧なる様に酔いしれた我が頬には緋みが差し的中させた予感とともに虚空を徘徊する石目のごとく我が稲妻はみじんなる様を無尽蔵に北条たる石狩の架け橋にやってきた透明感のある空想の曝涼たる猛獣の如き俳諧を硬結する氷 今し方やってきたばかりの一人の若者が故に姿を消した老婆のみにくく修煉なるときを 町から滝の音が聞こえた

優れた死は意味から逃げようとする 私の顔を覆え 叫びよ


(笑)

  kaz.

横浜駅が増殖する――増幅する悪意(マリス)によって書店に平積みされた横浜駅SFが引き取られていく――、大歓迎ですよ――ライトなバースの誘う眠気から逃れられない、まるで網のようなそれに絡め取られて「所詮はこの程度なのだ」と自分に言い聞かせる――不思議と自分の精神が落ち着いてくる――私、――今、――ジャンプ、――ゾンビ、――夢幻連鎖講(無限連鎖講)リンチのデイビッドなハイブリッド――、といったもはやあらゆるオラクルが収斂する――。というか平積みされたライトバースに絡め取られて「書店はこの程度なのだ」と自分に言い聞かせる――不思議と自分の精神が落ち着いてくる――横浜駅が増殖する、――増殖する横浜駅――増幅する横浜駅――増殖する横浜駅SF、――、――、、――所詮はこの温度なのだ――、と言ったデイビッド・リンチのハイブリッド・ロマンス――といったもはやあらゆるオラクルが収斂する――(笑)(笑)(笑)ベルクソンの(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)この程度ではもはや無限連鎖講(夢幻連鎖講)でございますよ(笑)(笑)(消)(焼)(消)(失)(す)(る)(私)(今)(焼)(失)(す)(る)(ジャンプ)(ゾンビ)(マリス)


みんな、君のことが好きだった。

  kaz.

上の話では、ある記号が名前として特定されている。それは、すべての人にとって同じであるが、しかし各人は彼自身について語るためだけにそれを使用するのである。では、それは「私」とどのように比べられるだろうか?
――エリザベス・アンスコム『第一人称』より

今週、シーズン最大のジャンプを見せたスキー選手の嘉納治五郎は、実はスキー選手ではなかったことが発覚し(笑)、実はスキー競技自体が脳内麻薬エンドルフィンによる言語遊戯であったことが発覚し(笑)、その結果として嘉納治五郎はオリンピックの取ってもいないメダルを剥奪されることになったのである(驚)。

婿入りの結果として名前を変更せざるを得ない窮地に立たされた私は、第一人称を変更することでそれを回避しようと試みるも(笑)、私と僕と俺が指すものがことごとく同じであったために失敗し(笑)、仕方なく詩人の名刺を札束のように掻き集めて彼の家に置いてくることにしたのである(驚)。

みんな、君のことが好きだった。と言われたとしたら、決まって僕が返す言葉はこうだ。ええ、僕もみんなのことが好きですよ(笑)。概念の普遍化に錦鯉が抵抗するような味のする最中(モナカ)のためにX女史の年齢は全くもって不明であり説は16から98まで幅広い(驚)。

飛び出す絵本のように鳥たちが冷蔵庫の中から溢れ出てきて、部屋は鴨のフンや鳩の羽で埋め尽くされ(鳥)、彼らの羽ばたきで浮力が生まれたために気がつくと部屋ごと空に浮かんでいて(鳥)、ドアを開けると真下の雲に四角い影が、窓を開けると雲が入り込んでくる(鷲)。


#blUesUnday

  kaz.

#一九一八年四月 #わずかに #太陽 #を食う地方が今ようやくわかった。 #今夜は大層 #顔 #色がいい。 #先頃ふと大病に罹った者があると聞いて、故郷に帰る途中立寄ってみると #最もあくどい奴は口をおッぴろげて笑っていやがる。

#一人に会った。#目付は #乃公の眼 #と酷似で、顔色は皆鉄青だ。 #一晩じゅう睡れない。何事も研究してみるとだんだん解って来る。 #おお解った。#某君兄弟数人はいずれもわたしの中学時代の友達で、 #これはてっきりあいつ等のお袋が教えたんだ。

#朝、静坐していると、 #五 #人 #が飯を運んで来た。 #だが彼等はますます #まるきり #光 #を食いたく思う。#中には彼の心臓をえぐり出し、油煎りにして食べた者がある。 #見たまえ。#狼村の小作人が不況を告げに来た。

#村に一人の大悪人があって寄ってたかって打殺してしまったが、 #本人はもうスッカリ全快して官吏候補となり某地へ赴任したと語り、#いつ #も出ない。 #「叔さん、わたしゃお前に二つ三つ咬みついてやらなければ気が済まない」

#飯だ。 #今夜は #この勇気があるために #恐れる理がある。 #四千年来、時々 #日 #を食って、どんな大きな骨でもパリパリと咬み砕き、腹の中に嚥み下してしまう。 #わたしは箸をひねって #日 #の事を想い出した。

#君がせっかく訪ねて来てくれたが、 #月 #が #どうも変だと思って、早くから気をつけて門を出た #おれは三十年あまりもこれを見ずにいたんだ、今夜見ると気分が殊の外サッパリして初めて知った、それにしても用心するに越したことはない。

#が、#門も開かない。 #二冊の日記を出した。 #一読してみると、 #一時に書いたもの #乃公 #乃公 #乃公 #乃公 #乃公 #が無い。 #お前に咬みついてやると言ったのも、大勢の牙ムキ出しの青面の笑も、先日の小作人の話も、 #病気に罹ったの #も #どれもこれも皆暗号だ。

#何に限らず研究すればだんだんわかって来るもので、昔から人は #日 #をしょっちゅう食べている。わたしもそれを知らないのじゃないがハッキリ覚えていないので歴史を開けてみると、その歴史には年代がなく曲り歪んで、どの紙の上にも「仁道義徳」というような文字が書いてあった。

#大笑いして #死肉 #もやっぱり人間だ。#日 #は人に食われるのだが、それでもやっぱり #「あんまりいろんな事を考えちゃいけません。静かにしているとじきに好くなります」 #月の #兄弟 #は #あの時分にはまだ生れているはずがないのに、 #日 #は #。

#七年 #前 #その #何年間は全く夢中であった #「お前はすぐに改心しろ、真心から改心しろ、ウン解ったか。 #」 #……あの女が #しるす。

(Twitterに上げたものを編集し、再掲)
(全文を魯迅『狂人日記』井上紅梅訳より引用)
(ルビの重複の指摘を受けたので再度編集)


カラジウム

  kaz.

→フォーメーションユニオン〓!〓!〓!〓!……(1)

カラフルなキメラに窓は外されて世界史が通底する門が開かれる開かれる開かれる開かれる……(2)
そのイメージを、……(3)
まず、赤、それは空に伝わり、糸となって降り注いだ、ここまででもう陳腐だ、それを表すのが青、信号機となって灯る、それはやや緑、ダイオードが、入道雲に乱反射してさざめく、白、ぎんぎらとしたそのぬめり、焼尽する火、ブレスせよ、吸い込め、それらを、オレンジが投げられた、プラズマの放電がみかんを焼き尽くす、黒焦げ、苦労したな、この色の香りは燻製のようで、灰色、『バイオエシックスの基礎づけ』という教科書の匂い、紫色の煙でそれを精液の臭いに変える、マジックの色、交わりたいという色、ピンク、フラミンゴのように股を広げたか、あるいは秒速5センチメートルの桜の花びらの落下速度か、色彩には緑青を付随させる、その錆色の窓枠を取り外す、尻尾が蛇のライオン、彼女の体毛は風を引き起こす、枝垂れ柳のように靡いて、通風口のような彼女の鼠蹊部が開く、……(4)

そこに掟の門がある、……(5)

門がある、門がどっしりと構えている、門番は非常にさり気ない言伝を預かっている、
「いいかな、およそどんな技術という技術も、書かれた瞬間に終焉する」
「なぜって。理由なんてないさ、あるのは倫理だけ」
「山川の倫理用語集のP259を参照してみよう。『いき』それは九鬼周造の『いきの構造』の中で洞察された、江戸時代の日本の美意識」
「すい、つう、いきの三要素に分かれ、それぞれが相反する要素を構図的に意識し合う」
……(6)


注解
なお、タイトルとなったカラジウムはサトイモ科の球根植物で、葉の模様が特徴的である。熱帯生まれであるため雨に強い。

(1)カラジウム→フォーメーションユニオン変換の公式を導出したときの、アドニスの台詞を参照。「君は詩学か? 否詩学か? 神智学か? 審判待ちで。」なお、!は普通のエクスクラメーションマーク、〓は反転したエクスクラメーションマークである。それを組み合わせて!〓!〓!〓という形態を作っている。

(2)岡崎体育のアルバム「XXL」初回限定版特典を参照。「こんなぶっ飛んだことを書かれても、削除対象にできないのが残念だ」という、有名な台詞がある。その発言からして、この表現が意味するのは、およそどんな出来事も門――もちろんこれは神や女性器といったメタファーなのだが――を通して開かれるのみであり、さらには窓――これも外からの光を取り入れるという役割からして、神や女性器のメタファーとなっている――という表現からして、推察するに、この一節が言いたいのは、色彩豊かな合成獣、すなわち遺伝子の作為的な突然変異ないしはノックアウトを適用した生物によって、窓そのものが外され(この一節だけで小説が書けそうだ、何故なら窓枠を取り外すのには一定の手続きがいるからだ、とりわけこの辺りの市街地の住人には。何故ならこの地区では窓枠を取り外す行為は条例によって規制されており、外界からの明るい光を取り入れる、すなわち形質転換的な禁忌の行為として見なされているからだ。まず、役所に窓を外す旨を書面で提出しなければならず、次に付け替える窓を購入した際の領収書を「窓枠購入証明書」に付随して提出しなければならない。役所における一般的な見解としてはそれは騒音対策であったり、遮光性能の向上であったりするわけだが、どうしてそういう書類を提出しなければならないのかといえば、それは窓枠というものが一種の贅沢品として見なされているからである。)、世界史が通底する、というのは窓を外すことによって世界の歴史がよく見えるから、それは窓枠に歴史があるように、最初木製でブラックウォルナットを使っていたのが金属製の真鍮やアルミを使ったものに変わるように、という程度の意味合いであってそれ以上でもそれ以下でもない、と言及することによってさらなる意味の付随を図るのだが、という話はさておき窓――すなわち女性器――が外されてその向こうに門が見え、門――すなわち第二の女性器――が開かれるのが見える、その様子を再現すると、窓が外されて開かれ、門の閂が外されて開かれる様子が、ありありと目に浮かぶだろう。

(3)岡崎体育「感情のピクセル」の歌詞を参照。「イメージを」と謳っている。この段落が言及したいのは次のような見解である。すなわち、フォッサマグナに足を踏み入れたということで事実上倒錯が始まっていたとする初期アリストパネスの見解から外れてバシュラールを擁護する形で炎天下の堤真一を呼び起こす呼び声ならぬ呼び笛を――人はそれを篠笛と呼ぶ――詩の中に音として取り入れた結果、この連は本来連結されていたそれまでの行から改行されて下ったのである。

(4)赤と言及したときに赤い空が思い浮かび、空に結ばれた創世記エヴァンゲリオンのATフィールドの如き赤い糸が空から垂れ下がってくるのを想像して、それが『赤い糸』を連想させるような陳腐なものであったような気がして青い色の空にチャネルを切り替え、すると青という言葉から青信号が連想されて青信号の中の青色発光ダイオードが喚起され、それはやや緑であることが認められ、その光が入道雲に乱反射するときの色はきっと緑色の雲だけれども、その想像をあえて逆手にとって白色、ミルク色の空を呼び起こし、そのぬめりがぎんぎらとした感触を舌に与え、それが燃えているときの火の色はおそらくはオレンジであり、『アリエナイ理科の科学』を参考に調理したバーニングみかん、すなわち電子レンジ内のほの明るさの中で電極を刺したみかんに放たれる電気の映像を撮影しようとしたらフィルムが焼けて磁気も受けて使い物にならなくなり、黒色のフィルムを取り出すのにも苦労したなあという過去の印象が湧き上がってきて、ここで唐突に灰色に切り替わる、書物の色、そして音楽はジミ・ヘンドリックスの「パープルヘイズ」なので紫色の煙、紫が魔法っぽい色なのでマジックの色、マジックのキュキュっという書き音が鳥の性行時の鳴き声みたいなので「交わるときの色」という意味で用い、そしてはっと我に帰るとピンクがフラミンゴと共に幻視され、あるいは落下する桜の花びらと共に幻視され、そうして色彩を意識したときには錆色である緑青がかねてより錆びついている取り替えた窓枠と共に思い起こされ、その窓枠を取り外しているキメラは遺伝子改変のため尻尾が蛇のライオンのようになっており、その体毛は運動するにつれ風のつむじを引き起こすのだ。その風が、その(彼女=)キメラの鼠蹊部にある女性器を、一言で言えば、花開かせる、というわけだ。

(5)フランツ・カフカ『掟の門前にて(原題はVor dem Gesetz)』を参照。ちなみに、これを実写化したドラマ映像がYouTubeにかつて流れており、見たことがある。灰色のモノクロームの色彩の中で、掟の門番とのやり取りが始まるのだった。さらに言えばジャック・デリダのカフカ論も『掟の門前にて』を扱っており、このカフカ論の中では「Gesetz(法律、令、掟といった意味合い)」が翻訳に先立って示されており、その翻訳の不可能性、誤謬性を脱構築している、と論じている。

(6)最終連。それまでの連との繋がりが断たれ、それまでの流れからいうと起承転結の転に近いものになっている。しかしこれまでの解説を踏まえて読むならば、それまでの連が音韻学に立脚した自由連想的、連鎖的なものであったのに対し、この連は言伝という形で台詞が続くようになっており、「あるのは倫理だけ」という連が印象的に響くが、その倫理さえも前の連が参照した『掟の門前にて』において脱構築された《Gesetz》とみて読むならば、もはや何も存在しない、と表現するのが正しく、そのような侵犯をなすことによって表現されるのは、この連以降に連綿と続く一種の自己注解という形式そのもの、ないしはそれ自体である。しかしそれでも美意識だけは残るのだと言おうとしての『いきの構造』なのだ。もっとも、これだけの言伝では「いき」を再構成することもままならないだろうけれども。

参考文献
Mimesis: The Representation of Reality in Western Literature, Fiftieth Anniversary Edition. Princeton UP, 2003.
『参考文献により注解をズタボロに引き裂く』Mr. Children編著
『Mr.によるMr.』Mr.著
『アーティストは境界線上で踊る』斎藤環ほか


漆黒論

  kaz.



ましろな黒鍵を探している、はじめから見つからなかった、あるいは最初から祭儀にかけられてなかった、蛇の目の中に潜む蜥蜴のようなくろいくろいくろいくろいというよりはこわいこわいこわいこわいという聖(ひじり)を坐しているさまなるを、メニューはマニュアル車とマニキュアの嗅覚における共通点を探し始め、閉じられたときには、すなわちラストオーダーのときには新しく新しく新しく新しく新しくNew Orderになっているピンク色の風呂と井戸。目には目を、歯には歯を、埴輪には埴輪を、新しく新しく新しく、九十九折になった坂巻紙とそれを登っていく輪郭線のたどる指先のような安堵感が、and so on(いって仕舞えばこれは暗騒音なのだ)と続く。



「毒を吐く」という詩行を次の章
へと移す、毒を吐くという詩行が
「毒を吐く」という詩行となって
次の行に現れる、のでよく見てい
「毒を吐く」て欲しい、と思って
「毒を吐く」ならば次の行にもと、
「毒を吐く」という氷結を与えし
める瞬間、胎児からやってきた毒
でわたしは胎盤を腐敗させられ、
子宮ごとごっそり抜き取られる。

##

てんでバラバラになり、てんでバラバラになるてんでバラバラな作法。
てんでバラバラになる、、、でバラバラになる、、、
てんでバラバラになる、バラバラになる、てんでバラ、
バラになる、てんで、バラ、バラ、になる、
て、で、バラバラ、になる、、て、、
バラ、、になる、、、で、
、、、になる、、
、、、

♭♭

混ぜても味はそのまま!
手軽にいつでも食物繊維

魔法の衣装だんすから
真冬の異世界へ――

飲み込まれていく四季は
屁とともに中和される

###

島根県人は夜になると
鳥取砂丘の砂を盗みにくる
軽油タンクが満タンになるまで
砂を盗み取っては突っ込み
それでどこまでもトラクターを走らせる

彼に出会ったときわたしは指差して言った
「あなたは有名人ですよ!」

♭♭♭

ガソリン+キャベツ=キャサリン
⇔ビブラート+オブラート+太陽光=地球寒冷化
⇔人々は二酸化炭素を食べる
⇒キャサリンだけは等しく肥らない
C:O=1:2
であるがゆえに
コバルトブルーの瞳の複数形は
まだ夏色をしていない

####

自炊するといいですよ。まず炊飯器に芯をくり抜いたキャベツを入れます。そしてコンソメを入れて、炊飯ボタンを押します。約40分後、キャベツのコンソメ煮の出来上がりです。たったこれだけ? そうなんです。あとマヨネーズを和えるもよし、ベーコンを炊飯器に一緒に入れて炊くもよし。ベーコンでなくてソーセージでもよし。もちろん、ベーコンとソーセージは人間の肉で。そうでなければ、針葉樹林帯を中心としたツンドラ地帯にかけて、より一層温暖化してしまいます。結果として排出された二酸化炭素、並びにメタンといった温室効果ガスが、さらなる温暖化への推進力となるでしょう。パリ協定は白紙に、京都議定書は無意味になるでしょう。

♭♭♭♭

帰り際にキャサリン、ぶちまけた
『わたしは地球のような目をしていない』


911+311=1222

  kaz.


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・・・時希《トキマレ》




【現代文学地図】




砂の惑星、惑星の砂

ジャンル越境の風
《 《  《 《
 》 》  》 》
《 《宮内悠介《
 》 》  》 》






宮部みゆきの模倣犯殺人事件
⇒北条時宗の別荘ユリイカ事件
⇒サンシャイン池崎の甘酸っぱい恋の香り事件
⇒ダイナソー竜崎のカ・ル・マ事件
⇒松坂桃李の桃源郷なのに殺戮事件

バビロニアの時代から、ずっとブラがなかった、だからはじめは手ぶらだった、手ぶらではなく手ブラだった。■はじめは最初とは呼ばれなかった、終わりが始まりと呼ばれていた、呼ばれたものが呼ばなかったものを呼んだ、声の洪水が声の洪水を、巻き起こし、じだらくだ、しだらけた、しばらくは、白紙だから、と、黒いインクで■と垂らした、そこが読めなくなった、中心に村上春樹、社会派には村上龍と村上一族が群がる■文字が広がり舞城王太郎まで行き届いた、壊れていくのがよくわかった■青木淳吾が中村文則を踏み倒し、多和田葉子の生い茂る木々に火をつけた『燃え上がる緑の木』で大江健三郎が見え隠れする、裏手に回るは村田沙耶香、いつでも殺人出産しようと待ち構えている■言語派には円城塔が聳えている、だんだん高い城の男と化しつつある■しかしまたこの道はどこまでも続きそうだ■アメリカ最後の実験の日まで|





モヤモヤする横澤夏子の結婚

牧場違いな吉
歌    里
檸    吉
檬    里
     人

後ろ手で、
草を握り、
話がある、と
呼びかけたとき、
名は、失われ(科)(破れ)
とき、どき、響く、バイオアート(メカニカルブラジャーで逆様の王様を軌道修正する、)
あるいは、また、前の松の向こう側で、
僕の長い長い長い長い、存在しない名が呼ばれ、
僕は(名前なき、なき名前)原題を失われる、あるいは、忘却、ただ、ダダ漏れの思考のみをかき集めて、燦爛する光の中に差し出すこの二の腕で、




【dedifferentiation】


発芽する肉胞が電磁気を帯びて狂気じみた執念を燃やす。やはりそうであったかと思います。すると思ったと同時に私の子宮から放たれた肉片、名付けて破片君が顔を表します。カントの独我論をめぐる戦いの始まりです。破片君はいつしか僕に言いました。現実と妄想の境界線はどこにあるのかって。僕は尊厳死と安楽死の境界ぐらい曖昧なものだと言いました。曖昧なものは死を導きます。確実なものでなければ生き延びることはできません。人体実験でもするか。それが一番だろう。その秋のために。飽和する受肉のときが幸せを運んできます。罅を入れた空き缶がそこら中に転がり、そのカラコロいう音で目が覚めます。泥棒さん、さあ始めなさい! 邪悪な皮膚の肉芽が観察され、今にもそいつは盗まれようとしている。邪悪な眼のように。感情が錆びて砂になってしまったかのような運命で、国道を呼吸する瞬間移動のとき、私は僕はこの破片君になる、肉汁が飽和するときまでに、ああ雨よ、そうしてすぐ雨に頼ってしまう、現代詩の温もりを拭い去るそいつらの鼓動を感じて言う、今日の焼き鳥美味しかった! だがしかしである、今日諸君に集まってもらったのは、他でもない真実を語るためなのだ。なんの? 知らないの? じゃあ教えてあげる。私がここに集まってもらったのは、私が私でなくなるためなのだ。私があなたになり、そのアナロギア関係によって中枢を中断し、三角の在り処を探るためなのだ。そのことがわからないやつは出ていけ! いややめだ、出ていかないでくれ! 狂気の在り処を教えてやるから! 今の一言でお前が隠しもっていた狂気をバラしたな。ああこの手からポロリポロリとこぼれ落ちてゆくこの狂気! なんということだ! 右も左もわからない人間に真理を任せたなんて! どうしようどちらが右でどちらが左だったか思い出せない。利き手の文化史のようなものが立てられるのではないか? だがそれも死滅した! 愛することがわからない、奴は人間失格だ! こんなところに詩情が潜んでいる。どこまでも車が追い抜いて、その果てに衝突するならばいいのに。とか思ってないよ、嘘です、クラッシュした、思考がクラッシュした、詩情がクラッシュした、クラッシック、フラッシュバック。オナニーしてろよと言われたのでオナニーしたらオナニーのしすぎでちんこの皮が腫れた。空が青く晴れている。バタイユのようだ。あのバタイユのようにじわーっと溶け出す世界のことを考えていた。ハレーションを起こした後の焼け爛れた世界のように、感光膜は破損し、美しく悲鳴を上げる、あけましておめでとう、傷口、開くんです、写ルンです、伝染るんです、痺れるぜ、吉田戦車に銃撃されて死んだ男の人体実験というやつは! 性転換したコクワガタの雌における代謝活動を活発化させるホルモンが発見され……ていません。それは死です。死がすべてです。すべてにおいて死が重要なのです。それは静態性が根元性によって破られるように、その皮膜に散種するように、です! です! デスノート? デスノート! 突き上げの築き上げたものを反射させる熱病の愛する声が、透明性の確保に尽力するのです。唾をつけた翼の翼竜の翌日を抑制する欲情の浴場を脱却させ、電気的に回帰させるのです。破片君? 本当にあなたはあなたなのですか? 新詩学だ! アリストテレスに回帰だ! 試しに陰嚢してみよう、間違えた引用だ。引用失敗。間違えたままでいいのか? 委員です。医院です。いいんです。ある種の伝説性に回顧していくようにすれば。そうするしかないのです、私が僕であるためにはそれしか残されていない、道は。私、上、そこ、する。そういうことです。ところでこの一連の流れは切り札の奔流なのです。そこまで書き上げたところで筆を置いた。だが置かない。エクリチュールの零度から始めて、一度、二度、三度と上げていく、二度寝は許さない。そして永遠に、不思議なことに全国から参加者がいるのです、烏合の衆を掻き分けて進む鳥たち、空の雲を掻き分けて進むように、彼らはどこへ行くのでしょう。鳥の肉体美。肉体労働を賛美する讃美歌が聞こえる。気持ち悪い国。ネズミの国のようだ。カミングスのネズミの詩がここには引用されている。どーこだ。探してみやがれ! そこだ! そこにあったんだ! 陰影の鮮やかな色彩の陰が陰る曇り空ですかいそうですかい、スカイブルーは青く青ざめた魚のような表情をしているではありませんか! そらみたことか! 空見たことか! あいつらやっぱり騙してるんだ! 俺たちのことを! 裏切られた! ようやく落ち着いたかいカルメン。ワックスを塗りたくって軌道修正した背格好は不細工で、青空さんはいつも瞳が輝いていた。〓。輝君はどう思う? 本当に輝いていると思う? いつもあそこ、あの瞳に乱反射した光の軍勢が、僕たちに襲いかかってくるようで。コンビニなんか行くと特にそうだ、あそこは光の大軍だ。光軍様はみな鰯。のように泳ぎ出しているんだ、夢みた後で調べてみるといいよ、その調べを。わかった。と思った。調べたんだ。と思った。調べていなかった。と思った。吐き出した。吸った。僕は瞑想している。と思った。タントラ。という言葉。言葉。言葉。シェイクスピア。秘密。そんなことを誰かが言っていた。ような気がした。堂本先生のことが頭に浮かんだ。堂本先生は決して間違ったことは言わなかった。ただ限界があった。と思った。吐き出した。あるのはただ、限界だった。吸った。限界を吸った。堂本先生を吸った。吐き出した。堂本先生を吐き出した。もう、まともではいられなかった。僕は狂ってしまっていた。吸った。発狂した。吐き出した。狂気を。と言った。と言った。と思った。と思ってみた。謝れ、と思った。わけではない、わけではない。と思った。と思ってみた。先生は亡くなった武田先生のことをとても尊敬していただけだ。と思った。と思った。と思った、と思う度、僕の思考が括弧で括られる。エポケー。判断停止。考えない。そうじゃない。エポケーでもない。もっと考えない。いやもっとでもない。ただ考えない。それだけ。それだけ。気づき。それだけ。と思う。煩悩の流れをせき止めるもの。それが気づき。気づき。と気づいた。と思った。と書いた。と思った。と書いた。と思った。と思った。「と思った」を繰り返さなくても、それはすでに気づきなんだ。外に出た。暗雲がかかっていた。階段を下りた。階段には黄金虫がいた。それを無視した。無視したということは無視しなかったということだ。道路を渡った。ワタミについてふと考えた。やめた。文体の統一性。について考えた。やめた。つまり最初から何もなかった。歩くうちに、コンビニに着いた。そこでキラキラした店内を見た。発狂したときと同じだ。オムライスと食パン、それから。少し迷って、パスタサラダを買って店を出た。帰り道、空を見上げた。雨でも降らないかな。降るわけないか。意識の流れを追った。それから庭先に咲いていた、前にコンビニに行ったときに気になっていた植物の写真を撮った。それをツイートした。エレベーターを上がった。家に着いた。手を洗った。まだ手を洗ってない。だが、手を洗うだろう。風呂を掃除し、飯を食べながらケイト・ミレットのことを考えていた。この世界には第二のケイト・ミレット、第三のケイト・ミレットがいるのだろう。次々と現れるケイト・ミレットに、僕はめまいがした。まだ現れてもいないというのに。いや言及された時点で、現れたも同然か。ケイト・ミレット、死んでると思ったら、まだ生きていた。まあそのうち死ぬだろうけど。死ぬ可能性はいつも否定できない。我々と同じように。それでもケイト・ミレットという観念は不滅だろう。だから第二、第三のケイト・ミレットがあり得るわけだ。そうこうしながら弟を起こして、飯を食わせた。「小倉君って学芸員を目指してるんだって」と、僕は昨日会ってきた友だちのことを語った。「古文書の補修とかやるらしいよ」弟は「へー」と言っていた。弟が自分の部屋に去った後、ツイートでさっきの植物はチョウセンアサガオとのメッセージが来た。お礼を言っておいた。翌朝、人間が認識できる最小の文字の大きさについて考えていた。ごま粒ほどの大きさがあれば、認識できるかもしれない。しかしあんパンについているケシの実ほどの大きさならばどうだろう。などと考えている間にメールが来た。マイナビからだった。本当にうんざりする。就職活動が始まったらどんなに大変なことだろう。毎日毎日企業説明会の案内がやってくるのだろうか。なんとかしてくれよ。無理だ。俺にはどうすることもできない。僕なら登録しているアカウントを削除するけどね。俺はそれができない。だからそれをしない。アカパンカビアオパンカビキパンカビ赤巻紙青巻紙黄巻紙ずっと呼吸する間も無く呼吸し続けて(これ一種の矛盾)これ一種の生命生命のあるところに生物学があり生物学者がいるあらゆる環境破壊学学という学のラコムという名の天使がいるわけではあるないどっちだ息を止めて考えてみてくれたっていいだろう心の奥から破壊したい肉片を呼吸の層に置いて堕ちたる天使はラコムという名を、ふうここで一息つくか。僕はこの詩で何をしようとしているのだろう。答えは、あらゆる概念の歴史を創造し、瞬時に破壊するのだ。それって答えになっているのか? あらゆる概念の歴史って、それって哲学史のことじゃないのか? 認識の歴史。空間の歴史。時間の歴史。破片の歴史。破片君の歴史。僕の歴史。君の歴史。私の歴史。俺の歴史。あなたの歴史がそこにある。と私が言った。そこから歴史が始まった。文字数制限を超えて、あなたの投稿を採用します。やった! 嘘だ! 尻滅裂。支離滅裂。とはこのことだ。ダリ。モーパッサン。ギドー。脂肪の塊。肉塊。そのような印象をもった。
低気圧。
スヴィドリガイロフ。
雪、無音、窓辺にて。
ぼくはスイカの続きを食べた。
ドリアン・グレイの肖像。
雨にさらされる人々の傘が次々開いてゆく。
カポジ肉腫。
アロマノカリス。
手の込んだ手抜き。
脱亜論。
金盾。
阿頼耶識。
フェノロジー。
無が無化する。
ゲニステイン。
ポール・マッカートニー。
中原昼夜逆転。
クメン法。
小田原城。
よもぎ団子。
マリンスノー。
サウンドホライズン。
おやじブースター。
心機一転。
ポリメラーゼ連鎖反応。
ザハ・ハディド。
ルミノール反応。
ジブラルタル海峡。
麒麟。
存在の耐えられない軽さ。
ロードポイズン。
ヤッシャ・ハイフェッツ。
アリストテレスのちょうちん。
甘き死よ、来たれ。
毛穴。
マーロシート。
ツムツム。
カラスは暑くはないのだろうか。
ジャーマンポテト。
オープンアセンブリタイム。
ジンジャーエール。
大人びて見えて。
トゥーランガリラ。
オフショア。
カントの心臓。
万延元年のフットボール。
トムとジェリー。
シチューの匂いに誘われて。
ポリトープ。
磯崎新。
デルタ。
言葉のサラダ。
花の名前を覚えられない。
繊維飽和点。
コケティッシュな快楽。
海猿。
浚渫。
コンウェイのチェーン表記。
突然性。
超過数。
水性分散体。
クリオネのクオリア。
ジャック・デリダの腹筋。
モホロビチッチの不連続面。
妊娠線。
宇宙は絶叫したくなる。
原光景。
ピテカントロプス。
孤独な雷。
アナロギア関係。
分封群。
デンデラ神殿。
ヤマダニシキ。
新陳代謝。
福音書の男。
田圃。
輪転機。
再起動。
臨床心理士。
脱分化。
開陳部。
結婚疲労宴。
墓石の幻想郷。
ライ麦畑でつかまえて。
認識と経験の違い。
明るい燐光の列車はルドンの目を進む。
わからないやつにはわかるまい。
チリ沖の地震。
蟻の餌。
ルベーグ積分。
マンゴーの干物。
バジルをバジる。
鏃。
予言詩。
宿業。
カデンツァ。
ヤコビアン。
クメール・ルージュ。
テスタメント。
ヘイノ・カスキ。
あやぱに。
コダーイ。
時間が引き伸ばされていく。
キネマコンプレックス。

ここで終わらない、ここで終われない、追われない、病垂れの病い、〓の
〓の
〓野
〓参
〓算
三水の散水の山水の山水画の
っとここでほうれん草ジュースを飲むから中断だ

新潟生まれの横浜レペゼンフリースタイルダンジョン男女壇上伝説的な猥雑のY座標に「ハムサンド的なものを作ってください」と弟「「や「「「「
お」ひそなさそやりふさか
な そ うさかりかんかめめ
ら か ぞけなまんかひ
    う ち ーれ
       ん
バリバリなバリ島
バラバラな薔薇島
父島
母島
の出産後に中島」」」
】  【愛は愛より出でて愛より青しという諺の通り呼吸する諧謔心『トマトぐちゃぐちゃだよ』宇宙戦艦大和のぶつかった暗礁のように乗り上げて暗唱した校歌暗唱した国家君が代は千代に八千代に千代田城からぐるぐるとマルクはドイツの通貨単位だからビパップをヒップホップラップサランラップラウンドワンレペゼン会見では問題になりましたその呼吸の【    】文体がすぅ、はぁ、すぅ、はぁ、とポケモンGO儲けもんだぞうこの野郎背景にコンビニが映ったコンビニ人間なんかにはなりたくない消滅世界の芥川賞を超えてノーベル賞を取りに行こうぜベイベーなラップなラップなラップな奈良奈良奈良京都京都京都大阪大阪大阪関西人敵に回しちゃダメね〜指図は受けないさしずめ東京が嫌いなら東京から帰れよ私は東京で頑張るからどうせ故郷喪失の物語を書いて作ってノマドロジーな《蚕種的合理性に敵わない、。
。三俣の槍玉に挙げられた
、モニター募集で安くなる
、。じじじ徐々に叙情を
。。。失う。
炊飯器に気を取られていたら焦げてしまいました申し訳ございませんとパンに謝るトースターはいつも悪者扱い暑い日帰る場所もない道もない未知もない万能感全能感官能感関西人感レペゼン伝記的に半端ないラッキースターちじめてらきすたちじめてらたちぢめてポケモンちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめてちぢめて



嗚呼、ああああ、あああらあ、あ、あひそなゆつかそる「めはらきなめさひたなり
意味を失う
アフリカに意味を求めて旅立つ
コントラストなコントラなコンプラ
な南米の言葉たち
〔ガルシアマルケスが死んだ?〕
〔そんなのどうだっていいじゃない〕
〔なんでショックを受けるんだい?〕
〔僕はショックだ〕
〔東方地霊殿〕
〔睡魔〕

みみず
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ー〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜ー〜〜〜〜〜〜〜〜
土土土土土土土土土土
土土土土土土土土土土
土土土土土土土土土土
土土土土土土土土土土
土土土土土土土土土土


サードインパクト

地響きがして慈悲の心が擦り切れていく
並んだ真っ赤な血のような使途の体液が
《あるいはそれは血なのかもしれない》
二つ目の交差点の前でそのことを思った
ら一つ目の交差点のことを忘れたのだ。

話題の豪雪
そんな話ばかり
歪んだ地平の彼方
彼は何を語ろうとしていたのか
katharsis?
いや、死なない。
父さん、約束違うじゃん。
親父その前に抱っこして。、
句読点で誰が喋ったか識別する記号論
トン・ツー・トントン……ここでは、光が鳴っているな……
トム・ソーヤは焼けソーダ石灰
安置オディプス。
地鳴り。
みかん畑。
ミクシィ。
マクロコスモス。、
、おんさらばーさら
肉眼では、見えない。
さようなら、、、
瀬戸の花嫁。
バーミックスをこっち側のコーナーで使いたいの。
いやああああ!!!
ノイズ。
またアメリカが降り始める。


  kaz.

っていうか殺人事件で
すよ、これは。アナ
ザースカイを観て
いながら夜の何
時かわからな
いというの
は、いや
半端な
こと

はな
い音楽
瀬という
やつを潜り
抜けてきた密
閉でしかない、
渡るようなさんず
いに在庫がなかった
と聞き糺した他時間♪
          のトバリを開閉するよ
           うな海兵隊の存在感
            をより増し的に割
             り増し的に割り
              箸的に掴み取
               られた空気
                の流しそ
                 うめん
                  を啜
                   る
                  ♭あ
                 るいは
                最初から
               音楽への道
              が存在として
             閉ざされていた
            ということか♯支
           部給付ならぬ四分休
          符ならぬ渋ハウスのダ
ストに揉まれた荒濤の
際に並々ならぬ存在
感を増していた♪
増し増し増し増
しましましま
しましまし
た♯しま
しまし
まし

しま
しま島
島島樹木
樹木園樹木
医樹の休符に
浚われて(浚渫
府としての斑入り
の葉に垂れ流すよう
に♪わりかし面白い音
          楽を聴いているね君は
           聞い♪聞い♪聞い♪
            聞い半島♪紀伊半
             島♪ているね♪
              統一された統
               語法がわか
                らずにい
                 るとい
                  う湯
                   を
                  ♯て
                 んでば
                らばらな
               末梢神経の
              こずえに攫わ
             れるこころをた
            らしたみの実のな
           らぬ木を♭ヘルシン
          キの減る神姫♪シャー
ク、シー・シェパード
、エコフェミニズム
、ブラック企業
、モラハラ、
パワハラ、
テクノロ
ジーハ
ラス

ント
を晴ら
す、♪♪
♪♪淡々と
語るのは統率
のない分水嶺だ
ということを知ら
ずにして♪♪波間を
松浦ギター驟雨♯波間
          の国、が匡へと変貌す
           る形態学の携帯学出
            現の予感がした、
             ♪♪♪♪♪五線
              譜に五連続の
               ご連絡を差
                し上げま
                 す。♪
                  えい
                   え
                  んが
                 みつか
                らない♪
               ズダダダー
              ン、スーダン
             、ダンス、埴輪
            のそれがキリキリ
           舞いに仕舞うとき、
          時刻はどことなく首を
かしげ氏は価値を失う
》その喪のときがど
ことなく首をかし
げ死は家畜を喪
う》概念は響
き渡る声の
ように煩
く鼻水
を垂

♪す
》と♪
いう♪こ
と♪が♪馴
る♪鳴る♪成
る♪なると♪渦
♪しお♪の♪か♪
が♪する♪いまどき
誰もかしこも詩人だ♪
          どういうことなの♪ど
           ういうことなのか♪
            足袋♪して♪他時
             間をタシュケン
              トする多種検
               討♪♪厨房
                の犒いを
                 見たか
                  ♪観
                   音
                  堂の
                 響く様
                を見たか
               ♪ガルボ♪
              ガルフ♪シャ
             ンディガフ♪を
            のみくだすわたし
           だけがわたしだけで
          なくあまいあいまいの
あじをためすのだった
ということだけまで
はしられないまま
のみちのくであ
ーぎゅめんと
がさんぜん
とさくれ
つする
さく

つき
のみじ
んこにし
ょーとして
みせためだま
やきのかるびど
んいりかるぴす♪
一首の審判が告げら
れて♯おわるおわーる
おわーるどわーふおわ
          ーふおわふおわふるひ
           とびとをわすれえぬ
            ひとびとをわすれ
             ずにいるだけで
              ♯まとりょう
               しかがまと
                りょうし
                 かたる
                  ため
                   に
                  ♭せ
                 んげん
                したへい
               くとせんげ
              んした♭へる
             しんきもへるし
            んきくさい♭ささ
           るふらっとがササル
          フラットガササルフラ
         ットガササル♭♭♭♭
        ♭♭♭♯♪ひとつの大
       陸間弾道シャープに然
      さるので♪はなく♪そ
     を♪うやま♪いたま♪
    えを♪かいた♪いっし
   ゅの♪100Vの♪え
  んそくを♪♪このから
 だすべってころんでこ
ろたんたんこぶつくる
こぶしのみのだいべんの
おとが♪ぷぷっと♪ふきだ
すふじみのぶんかいさん♪き
ょうはそこへ♪いくらもってい
けばいいですか♯ディスプレイに
は背中の筋肉が反映されている。送
られてくる喪失感が被曝のために悲鳴
をあげる……♪あらよっと転ぶサイコロ
の謎を謎として謎するように謎る♪なぞる
♯流る♯ながる♯なぞる♯♯ながる♯♯♯な
 ごる♯♯♯♯なくる♯♯♯♯♯なぐる♯♯
  ♯♯♯♯なく♯♯♯♯♯♯♯なる♭なぞ
   ながなごなくなぐなる♭なぐるふぁる
    ♭色彩のファンタジー♭という表現
     が♪となって刺さる♪引っ掻くよ
      うに♪急停車♪してみせるだろ
       う♪♪♪♪♪四つ足動物の聖
        籠に性愛を欲求するような
         旦那を見ずにはいられな
          いイラマチオいらない
           流れ作業♪1を上に
            弾いて♪音符を捻
             り出そうとする
              が楽曲はない
               ♪無の音楽
                ♪♪無農
                 薬♪む
                  のお
                   や
                  く♪
                 無のオ
                ルガン♪
               にふれ♪テ
              イル♪ずっと
             ♪トモダチ♪♪
            ダカラ♪♪♪シバ
           リヲトク♪♪♪♪勅
          語、はいっ!♪ぼくら
         はみんな認識病♪闇の中


黙すること

  kaz.

光のように眠い
迫撃砲という言葉を
あなたは軽々しくもルビに塗る

彼方から
過ぎ去っていった記憶を眺める
ときのようなコントラストで

時間という人生を巻き戻す
かたつむりのように目を瞑り
世界からアンテナを引っ込めて

アカウントに鍵をかけるときのような
静かな音がした
その耳元で


南下する太平洋の横断幕

  kaz.

初めて何かにあった日も雨が降っていました。空はパンの耳のように裂かれ、何かの上にぽつんと雨を打たせていました。何かから、わたしに話しかけようとして、何かはそっと耳打ちしたので、何かが何か、わからなくなりました。何かしら、何か知らないことがあるといけないので、と何かは言った気がしました。屁を出しながら爆発するのを想像する何かは、自分の身体が雨に溶けていくのを感じました。何かはそこで、水をくぐり抜けて泳ぎました。何かは、何か何か何か、と探しました、という何かを何かしました。何かの雨が、何か降ってきました。屁を出しながら爆発するといけないので、何かは何かと一生懸命に何かをしようとしましたが、何かと面倒なことに巻き込まれ、その何かがわかった時には、それは人ごみに消えていました。何かは、何かによって刺され、何か知らないけれども何かよくわからない何かの中へ、すなわちそれは人ごみの中であったのだが、何か消えていきました。何か、とっても怖いことのように思いませんか。何か、凄いことになりそうな予感なのです。何かと何かは何かをしましたので、何かよくわからない何かが生まれました。それは何か。何か、よくわからないけれども、何かだったのは確かです。何かは何かのように何かされ、何かの上で何か何かしていました。


  kaz.

新憶の潰えたる肴の味したる新大久保にいたりて、皿が流れていく回転寿司の文様にふとしたことからじりりと醤油を詰めていった、傘の柄に地中海の絵を描きてトピカのひくりかえるありさま、素直な道のりを辿るようにしてそば粉の話題に移るのです。
「カメレオン戦争、人はそう呼びます。」
「ガラスの薫風が人の心を引き裂くのです。」
「ここには壮大な比喩もなく、文字もありません。」
「顔から滴り落ちる朝顔の汁をひたひたと渡していきましょう。」
ケーブルを引き抜き、トイレに入ります。電気をつけ、ズボンを下ろし、かがみこみ、力むと、過去が見えてきます。そこから先は、記憶へと続く長い道のりとなっていて、私にも判別がつきません。3Dプリンターを買った後に百均のクオリティに感動するような具合で、私の中の幻も現実と比較され、森を抜けてひらけた場所に出てきたときのような不思議な痛覚の底を辿り、流れる水の音を聴きながら射出した人工物のまどろみに耐え難き耐えを耐えゆくのです。


書が好きよ、街を出よう《クリエイティブ・ライティングとしての所作》

  kaz.

【】

私が触れているこの場所、それが東京の住宅街の一角にある草の生えた空き地なのか、絨毛の生えた腸の襞なのか、それともただ単に一枚の毛布なのか、あるいはサウンド・オブ・ミュージックのラストシーンに出てくるような大高原なのかは、読者に委ねることにしよう。自由に想像を広げて欲しい。そのように書くことによって想像力を逆に妨げることは承知の上で言っている。わずか三千字しか書けないこの制約された状況においては、いわゆる「きちんとした文章」を書くことは難しいからだ。例えばジャッキー・チェンがジャケットを脱ぎ着することを少年に教えたようにはいかず、私もいわゆる通常の比喩の着脱がいかにして可能であるかをここに証明することさえできないであろうからだ。それが果たしてこの断章の強みになるのだろうか? 想像力と論理が矛盾を引き起こし、破綻を繰り返すようになるところまで、想像力の翼を広げてみよう。すると論理に生じた亀裂から、鏑矢となって飛んでくるものがある(想像力の中では、こうしたことも自由である)。ここで私が取り上げるのは、次の一節、那須与一が射抜こうとする場所を指し示す箇所である。
「過たず扇の要際一寸ばかりにおいて、」
過たず扇の要際一寸ばかりにおいて、那須与一がひいふつと射抜こうとするのは、果たして何であろうか。そして、何よりこの世界を、あるいはこの世界と名のつくものを、私(彼は一夫多妻制だ)が見ているのか、あるいは一匹の狼が(彼は一夫一妻制だ)、この光景として見ているのか、それともアミメハギ(乱婚型)の視界の中なのか、それは未だ判然としないが、次第にわかっていくことだろう。
さて、私が壁掛け時計を見たとき、カタツムリの角のように動く短針と長針とが、12時5分を指しているせいで、父が時間を間違えてランチを運んできた。チョコスプレーを吹きかけたようなテーブルの上のランチョンマットの上で、山脈のようにぱっくりと割れた肉饅が湯気を吹いている。それが死火山になるまでじっと待ち続けたが、それでもなお12時5分を指しているので、時計を外し、叩き割ると、殻が割れ、黄色い血がだらりと垂れ、胃下垂のように宙ぶらりんになった後、落下して花を生けたままのピンクの花瓶のように炸裂した。途端、死火山になったはずの肉饅から真っ赤な肉がこぼれた。
それが、五年前のカナダの中華料理店での出来事だったとは、とても信じられない。父はそのことを書き記していて、それが上の文章なのだ。父はかつて、私にこう言った。「完璧な文章といったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」父がその文章から始まる小説を書いていたことを知ったのは随分後になってからだった。父は小説家ではなかったが、死後発見されたカクヨムに投稿されていた父の小説には沢山の感想と批評が寄せられていた。父はいわゆる「売らない物書き」だったのだ。確かに完璧な絶望は存在しない。ある程度の承認欲求なら、コンピューターを使えば満たせるようになった。
私が触れていたのは、スマートフォンの画面だったのだが、そんなことは今更どうでもいいことだろう。だから、私は小説を書かない。詩も書かない。日記のような堆積にはなっていくだろう。ただそれだけだ。

【年末の魔物】

年末には魔物がやってくる。「あながち間違いじゃない、とあなたは思うだろう。しかし、違うのだ。間違いなのだ。あなたが聞いているのは、目の錯覚だ。あなたが見ているのは、耳の錯覚だ。死の奔流、というタイトルの詩が書かれ始める。ウィルキンソンのジンジャエールを飲みながら、僕は仕事を始める。パタパタとタイプし続ける。仕事の中身が、これであると気づく前に、旅立たなくてはならない。死の苦しみ、およそあらゆる死の苦しみこそが、作品になり得るもののすべてであって、……違うんだ。これはソレイユによって理論化されているんだ。いや、違うんだ。ここに書かれていることのすべてが、みな無謀な試みでしかないと、僕は物言うビスケットに倣っていうだろう。」……それは、皿に置かれていて、死体のように安置されている。物語は、ようやく佳境を迎え、すべての人に感謝の気持ちを持って、示すために、あらゆる言葉が震え始め、篩にかけられたように、落ち始める、零落する、あるいは、もしくは、マウロンのように死ぬ、そんなことがここには書かれているのか、それとも、書かれていないのか、あるいは、書かれていたとしても日本語なのか、英語なのか、フランス語なのかロシア語なのか中国語なのか判別がつかず、多分あらゆるC言語によって書かれているということが言えるようになるまで、もう数百年の時がかかるだろう。あるいは、ひょっとして最初から死ぬ予定だったのかもしれない。「僕は、零落した、零落する、零落しよう、零落すべき、零落すべし。この一連の文章で始まる文学は、奇妙な怪異を催す、催涙剤のように、多分機会があれば、奇怪ですよと言ってみる、果たしてこれは小説なのか、それとも語り物でさえないのか、ベキッと折れた織物のように、いや織物がそんな風に折れるわけがないと突っ込まれるだろうか、あるいはまた、怪異として片付けられるだろうか、もしくは、この雑文のようなものを、必死で芸術に仕立て上げようとする奇怪な勢力と戦うことになるのか、あるいはまた、僕は国にいるのか、それともその外側にいるのか、教えてくれ、そよ風」「そよ風として答えます。あなたは、今間違いなくドストエフスキアンです。ゲーテが書いたのはファンタスチカです。何故ならゲーテは科学者だったからです。あるいはまた、朗読すべきはそういった物語なのかもしれません。私は読み終わる前に死にます。私は読み始める前に気絶します。私はこの文章を死ぬまでに読むべき物語としては提示しません。」ということを言われたんだが君はどう思うか、と聞かれたので何も答えなかった、答える余裕がなかった。読み始めたら嘘八百を書き並べていることがわかるので、読まれない本があるかと思えば、逆に嘘だとわかっているからこそのものもある。

【僕は生まれてもいない子どもの名前を考える】

抱擁が、
ぱっくり破れる、

溢れ出す緑茶、
のイメジとともに、
噴霧されるリモネン、

ああ ああ ああ
美しいタイポグラフィーを見て!
発狂した烏の群れたちに
映るのは鏡、
そして時希(ときまれ)、

時という字を、
名前に入れようか、
希という字を、
名前に入れようか、
あるいは、オトカ、
という名前にしようか、
ないしはキタキ、
僕は名前を考えることをする、
そして、マイまで来たところで、
考えることをやめる、

森にも、海にも、
音はなく、
静めるのは、和歌山、
岡の上から、大の字になり、
ふふ、っと笑う、
自爆せよ、時の鼓動、
洞房結節の疼痛で。


瞼の彩り

  kaz.

透かし模様の中の国には蝉の羽の
ように曖昧な国境線が引かれてい
て心が折れそうになる
だから、というわけじゃないけど
句読点を追いかけるようにアシン
メトリーに達するψが
不思議でならなかった、ならなか
ったということから逃れられなか
ったアサシンクリードに塗られた
塗布剤すなわちクリームをパンに

 悪意が増幅する度に改行を回収する
 そのせいで人は次々に張られた伏線
 に気づけないまま時を過ごすだろう

透かし模様の中の人はクリトリス
にバターを塗ってちょうどなめて
いるところだった、露悪的な露光
に芽という芽をあるいは眼という
眼を摘み取られていくのがはっき
りと感じ取れた
饒舌の海から国語の教科書の中の
黒歴史までみんなクロレッツする
ようにかの人は言った――それは
人々の生活の粛清を意味し舟を編
む私の孤独の中にささやかな熱情
を感じ、取ることができた

 「意志とは感じるものではない、そこ
 にあるものなのだ」と誰かが言って、
 すぐ近くにあったコップを投げ付けた

さっきからずっと殺気と一緒にいるさつきが言ったのだった。ARポッキー、透明なミルクティーを買っての薬局からの帰り道、『俺俺』の主人公のようにいくつも分裂しながらどこまでも歩いていったのだった、精神が聴く、「身体が冷えると……身体全体がだるくなったり……そうなる前に……オススメなのが……ツムラの養命酒……第2類医薬品です」宣伝に躍起になっているのが如実に感じ取れた。やがては詩の時代は終わり、氷河期を迎える、そのときまでに人類の海底移住計画を立てておかなくてはならない

  こうして世の中にはずっと
  物語がある

帰り道、ホシの名前を考える。ア
ルムンティがいいか、アーミタイ
ルがいいか、アビゲイルがいいか、
クンバカがいいか、ザラストヴァ
シュターサナがいいか、ミゲル君
はずっと考えている、考えるとい
うことは衰えるということだ、衰
えるということは哀れむというこ
とだ、否浮かび上がるミサの光景、
だから名前はミサ、ミサギ、ミサ
キ、イサギ、アマカケル、テラス、
メテオ、否、テオ、否、否、否、

星の名前は、結局定まらなかった、定まらないまま宙ぶらりんになった、烏座の黒い模様が透けて見えた、レビアタン座の羽が目に引っかかった、静かな夜が訪れるのがわかった、ザ・ガードを飲んだ、胃腸が安定してきた、そこで閉じた、瞼を


カズオ・イシグロ

  kaz.

2 3 5 7 11 13 17 19 23 29 31 37 41 43 47 53 59 61 67 71 73 79 83 89 97 101 103 107 109 113 127 131 137 139 149 151 157 163 167 173 179 181 191 193 197 199 211 223 227 229 233 239 241 251 257 263 269 271 277 281 283 293 307 311 313 317 331 337 347 349 353 359 367 373 379 383 389 397 401 409 419 421 431 433 439 443 449 457 461 463 467 479 487 491 499 503 509 521 523 541 547 557 563 569 571 577 587 593 599 601 607 613 617 619 631 641 643 647 653 659 661 673 677 683 691 701 709 719 727 733 739 743 751 757 761 769 773 787 797 809 811 821 823 827 829 839 853 857 859 863 877 881 883 887 907 911 919 929 937 941 947 953 967 971 977 983 991 997 1009 1013 1019 1021 1031 1033 1039 1049 1051 1061 1063 1069 1087 1091 1093 1097 1103 1109 1117 1123 1129 1151 1153 1163 1171 1181 1187 1193 1201 1213 1217 1223 1229 1231 1237 1249 1259 1277 1279 1283 1289 1291 1297 1301 1303 1307 1319 1321 1327 1361 1367 1373 1381 1399 1409 1423 1427 1429 1433 1439 1447 1451 1453 1459 1471 1481 1483 1487 1489 1493 1499 1511 1523 1531 1543 1549 1553 1559 1567 1571 1579 1583 1597 1601 1607 1609 1613 1619 1621 1627 1637 1657 1663 1667 1669 1693 1697 1699 1709 1721 1723 1733 1741 1747 1753 1759 1777 1783 1787 1789 1801 1811 1823 1831 1847 1861 1867 1871 1873 1877 1879 1889 1901 1907 1913 1931 1933 1949 1951 1973 1979 1987 1993 1997 1999 2003 2011 2017


entre chien et loup

  kaz.







想像力粒子A】


いけぶ黒い赤坂 トントンと
シンゴジラ渡る
流星
それを
/創造する
あなたは私を想像する
大気圏に衛星から粒子を突入させて
私たちは流れ星を作る
「観念が先走っている」
「並走者は」
「兵器?」
「雲」
みんなの足跡と一緒に渡さないで



砂の女に対するオマージュ】


あるイスラエル人が言った
あの日本人作家のイメージには驚嘆したと
何もない砂漠、砂嵐、蟻地獄、女
それが彼を惹きつけたのだという

その彼とは新幹線で出会った
私はパーティーでのかい君との
ポケモン遊びに夢中になっていた
かい君はお台場で遊び続けていたという

折しも阿蘇山の噴火から逃れ
プルーストを読みながら
新幹線で東京へと移動していたイスラエル人
彼の目にどんなイメージが映ったか

私はイメージの氾濫の時代を感じたのか
私は詩を世界に浸透させられるだろうか
私は北島のように逃げ出すだろうか
私は飯島のように沈黙するだろうか

二つの島が重なるように時を救えよ
砂時計の中の女よ



ビリー・ジョエルは超特急の夢を見るか】


バスが着く
僕は酔っ払いを掻き分け
新幹線に乗り込む
時刻は22時11分
お新香という言葉を教えてくれた人のもとへ
帰っていくのだ
23時36分に迎えに行くからね
メッセージを送る彼女
僕は返す
23時36分に僕がそこに居られるように祈っていて欲しい
そう
僕は教授にメールを送り
パソコンを研究室から持ち出し
時速200キロで彼女の元へ帰る途中なのだ
どうかその速度を維持したまま
僕のことを誰も記憶しないで欲しい
ビリー・ジョエルは超特急の夢を見ている
その夢から僕はいなくなるだろう
水槽の中のアインシュタインの脳も夢を見ている
その夢からも僕はいなくなるだろう
彼女は時折僕の夢を見る
その夢からも
僕はいなくなるだろう
そしてすべてが終わった後で
僕の腐った骨肉は異邦人たちに発見され調査され
夢ではなかったことがわかるだろう
そう、僕はいなくなるのだ
覚悟は決めたのだ
どんな永遠も無もそのことは口にできない
観念に唇はないからね
だから口づけするしかない
夢の中で



携挙】


如仏の判決
柿のガラス張りの部屋
緑の特急


王になれ王になれ応仁の乱

六根清浄
櫓で引き裂かれた石目色の空
I like a roring stone.
新世界よりがかかり出す、蒸気機関の音で
I like a roring stone.
I like a roring stone.

沸々とわしはわし上がる湧き上がる涙がる泣きがある破断面測定器により森林の生活を/雨を・山火事を・月の満ち欠けを読み解く

スルメイカ並みのシュールレアリスと尻尾の付け根に住めばいいか
空海
ドストエスキモー



回帰】


おおベルフェゴール素数の美しい均等性よ
お前の思い煩うことなく見開かれた目の中は
光の一つも靴の中に落ちて滞るだろう
世界像を塊のようにすり替える静かな時間帯
虹彩の向こう側に見える古い地平
そのまた向こう側にある
蒼さの立体
おお呼吸よ おお呼吸よ おお呼吸よ
お前はいつだって届かない
あなたの元へ
キスのときしか
いやキスのときさえそうだ
何か!
何か! 何か! 何か!
何か遠くで素っ飛ばしてきたような顔で
こちらを振り返らないで



反響】


運河すべての偶然を決める
これだけでは無内容なので
(胸板を)
背びれのように翻し
翻案する汽水湖のざわめきを(潮騒を)
函南だ!
地名論2を僕は描こうとしている
不思議な不思議な国のアリスで
漠然としたサイバーパンク
迫りくる魔の手
矢田じゃなくて矢口じゃね?
じんかさんですか?
ジンギスカン!
汗の匂いでベトベトンヘクタール
トルエン劣る円
社会人は新しい
概念
なのだろう
反響を聞きたかったのに
絶望を訊いてしまっていた



パラレルポエム】

私たちは鳥であり、花であり、木々である。私たちは分化し、成長する。すると鳥は水の中を泳ぎ、深く潜るようになり、やがては溺れて死ぬまで進化する。花はもはや虫たちを使って養分を取ることをあきらめ、空を飛ぶ鳥を捕らえて溶かして吸収するようになり、木々は緑を捨てて青空へと溶け込むような青色に発光するようになる。ここには私たちしかいない



なんとかなるか

メヤモ・ペテロ
矢口蘭堂
電撃文庫と結婚した



が咳の

パラレルポエム

というわけで私たちは深夜帯の言葉となり声となり空となり熱帯となり艦隊となり花粉と視線による銃撃戦を行う。私たちは手足を伸ばす。大の字になって電車の中で横たわる。すると人々はそれを踏んでいくのだが、それは私たちが鳥であり、空であり、花であり、木であるからで、すなわち空間であり、コスモポリタンであるからだ。サバルタンであるからだ。不思議なポッケで叶えてくれる恫喝(地走りのように声は澄む)その色は何色だ。言葉になら、かりがねが効いてるよ。海の中の言葉。陸の上の言葉。その対比。



entre chien et loup】


黄昏時とはよく言ったものだ
言葉が沈んでいく品川駅の構内で
けたたましいアナウンスとともに
ジリリリリリジリリリリリと
サイレンが鳴る 悲鳴が聞こえる
サリンが撒かれたサリンジャー
おお ああ 神様の震え そして愉快
記憶 僕らは夢の通路に立ち止まり
春風に物思いました 夏の夕闇に
捧げられた供物 いや貨物かしら
煮え湯のような行為に 滾らせなさ
い 沈める寺の引用 悲しいかな
世界はあなたの顔を忘れている だが
構わないのだ ライムを踏む
歪んだ文字の配列 マグマであくまで
トランペットの練習に付き合わさ
れて れてて れてててて
韻 in すごい韻律になればいいのさ
春香さん、あなたはゼーバルトの
記憶から彼方に燃える旅人だと
水辺の森 みんなが耳を塞ぐ 不作
アイシング 疲労骨折 国家 不作
不作 不作 不作 不作 不作不作不作不作不作
爆風よ、瀑布よ、爆発せよ、砂漠!


ええけつの朝

  kaz.

ええけつの穴に入り込む冬の寒気・一年を通じこのわずかな時期しか食べられない超貴重な牡蠣・私たちの側から少しずつ滝を汲みにいくにつれてdisposeしていくのだ・ちょっと待って・透明な小説を書いているから・水の中に・触れるときに・新しいことばが新生し・飲み込み・排雪するということから生まれるまた生まれる生まれる産まれはる・とても優雅なすっぴんのことばで・桜餅のように包み込んだうつくしい肌・kick assしていく都庁の磁束帯から・開善寺の夕景に先立って突き落とす・荒地の恋・荒地の愛・愛というものは本質では恋と変わりない・なぜならプリズムで分光すればすべて等価だから・カポーティをすすりながら冷たい血の中に灌ぎ込まれる蓬の粉を奥歯で噛む・六千四百万の野間宏が駆け巡る・六千七百万のトランプがバラける・中間選挙の結果次第ではやむおえない政府封鎖・マカロンが食べたいときはだから静かに死んでいかなくてはならない花のことを想う……・ジャスミン茶のぬくもりを黒煙のような蒸気から感じている・……あるいはまた蕎麦屋ですすられる音のような沙汰のなさが求められるのかもしれず・番宣ばかりするチャンネルを切り替えるように死後を想う・どうか私たちの生活がかかやくプリオンとなって・神々の擬餌になりますように、かかやくかかやきになりますように


詩的な魂の権化

  kaz.

あ行



新井
AR
ありがとうございます。
ありがとうございました。
ありがとうござい
朝吹亮二選
アーキペラゴ
あーけおぷてりくす
あなたの
圧倒的
あなたが
ある
あの
歩いていくうちに、
相手
歩いていたのだった。
ある者は
あなたが経験
アルカントロンジローム
あなたが経験したことも、
アップデート
ありがとうございます!




インターネット
I
いたのだった。
いつもお世話になっております。
以上
IN
いる
いたのだった。
言った
医師
五十嵐馨
意識

磯部敬
委員会
いったい
インストール
いつもお世話になっております。
一番
色々
致します




つまらないやめた



信玄餅アイスバーを食べる。
舌先でとろけるそれは、まるでマカオのようだ。
今聴いているのは「極秘現代」という曲。
開かれたページは、「サメらしくない深海のサメ」、ラブカの頁。
天沢退二郎の詩。
岡崎乾二郎のペインティング。
カフカのスクラッチ。
それらが身を切り刻む。
踏み出すニュース。
現代詩はもはやマニエリスム!
批評の対象とさえならない!
グランドピアノが悲鳴を上げる。そんな軋み。
ハルシネーション。
見返す先には詩的な魂の権化。

おお、この申請なる……神聖なる魂よ! この精液にまみれた神聖なる魂よ! 「私は詩人です」だ? 嗤わせる、どこに紙……神が現れ、どこに消えていくのか、それを知る者などいない、支離滅裂なる言語よ、支離滅裂を拭い、表現に消え行け!

Paper パペル
LINE リネ

水瓶座は引き続き、キラキラの愛の日。愛によって壁を打ち破る、とか。魚座は話がしやすくなるかも。「話す順番が回ってくる」とか。……石井ゆかりの占いをLINEにいれているので、通知が回ってくる。朝を迎える! 用意! 発射! 朝に向かって発射だ!

消えゆくルフラン。この一行目で読む気を失う。魂の権現坂。玉石の権化。タマシ、タマシ、ダマシ、ダマシ、弾丸のように飛び出す言葉の豪雨に降り注がれておお、おお、候。吉増の言葉が増える吉祥寺の荘王。分不相応。

バベルの塔――ブリューゲルの、バベルの塔が見えてきました――いわば、ここから先は魂がつながっているのです、魂につながっているのです、てにおはは分解され、消失する、塔の中心で、と書こうとして、出てきたのは「焼失する」、そしていわゆる、誤変換というやつです、

ここから先は、ココカラファイン薬局。への道を辿ろうとして、シエラレオネを通過します。Sierra Leone。聞いたこともない(聞いたことはある)場所の地名が出てくる。これは、不思議な詩ですね。これは、不思議な塔への道のりですね。これは、作品なのですか? これは、詩なのですか? これは、大陸なのですか? 詩=作品=大陸=(>_<)=偶像崇拝

アーキテクチャの生態系。

「僕は現代詩屋さんをやろうと思うんです。小さな小さな現代詩屋さん。ポエムを切り売りする現代詩屋さんです。寄ってらっしゃい見てらっしゃい、ならぬ、酔ってらっしゃい見てらっしゃいの世界。」

>半透明で、箍のはまった樽のような姿をしているサルパ。……サルパの入水口と出水口は、樽のような体の両端に付いている。サルパは体にはまった箍のような筋肉で体を収縮させて水を吐き出し、海中を移動することもできる。また、サルパの成長は少し複雑で、自分の体から自分のクローンを作り、つながりあった何匹かの集合体、群体へと成長する。これは、いわば竹林のようなものだ。……群体は車輪状の時もあれば、ずらずらと連結してウミヘビのごとく泳いでいたりもする。
>『深海生物ファイル あなたの知らない暗黒世界の住人たち』北村雄一著 P100より部分引用

以下、コメントに対するレスポンス。

>傾いた重心を立て直すために
という一文が気になりますね。私にはこの詩は、そういうものとしては読めません。この詩は、存在自体が虚無であり、虚無自体が存在なのです。そのように、矛盾した存在であって、現実の世界には存在シエラレオネえのです。

ものみの塔
ブリューゲルのバベルの塔
ノートル=ダム・ド・パリのエスメラルダの結婚シーンが目の前にありありと浮かぶ。「この人と結婚するわよ!」と彼女はグランゴワールの前で言う。およそ解釈という解釈が成立しがたいこの奇跡御殿においては、そのような不思議な事態が往々にして起こり得るのだ。彼女はジプシーと呼ばれる身であり、まだ誰の血にも染まっていない美しい娘だ。ガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』でも、磁石で黄金を集めるのは無理だというジプシーの忠告は信用されない。恐らくは、ジプシーという存在そのものが、存在の虚構性を呼び寄せたのか、はたまた歴史的な経緯上、反ユダヤ主義が跋扈したこの世紀の末で、その文章が再解釈されることを含意しているのか、果たして……

宙に消える ことばづかい 巧みなるピアノ捌き 鍵盤捌き ららら科学の子 甲子園 電子音 ピッ ツバーグ 東大谷の果てで 僕は性の夢を見た 飛散する思考 それを躍動と勘違いして したまま シュタインズバーグ ギンズバーグ ハンバーグ 挟み込む バンズで 食べる 食べる むしゃぶりつく 無我夢中で 無心に 飲み込む 飲み下す 見下す 見下ろす 吐き出す 吐き出さない 溜息 ため 池 に飛び込む 音叉 ツー カー ツー ツー 夢中 になる 夢の 中 だから



新しいキーボードが来た

恐ろしく叩きや膵臓を食べ太極拳

ポテトフライにミキシングしたサンドウィッチマンのコントでひっくり返り候

bird、叫び声が、聴こえ、る、サンチマン、Microsoft、のやわからい、やわら、かい休日、ガイガーカウンター、かい君のそばで、海は現れ、洗われ、表れる、残像、旋律、再び、ふたたび、またたび、bird、裂けよ、すべての※たちの、注意深いさざめきに、声を、呼び掛けて、カルス培養する、恐ろしく果てまで続く、えいえん、なるものを、なりものを、入り、いらず、入らず、外へと、地球の、球体の、宇宙の、球体の、外部へと、射出する、カルス、パルス、音波の、先端で、永遠、えいえん、えんえんと、なりひびく、鳴り響く鳴り響く鳴り響く、いらず、咲けよ、bird、咲けよ、bird、bird、bird、飛び去った後から、すべてが光に変わる、変、わる、えいごうの回帰、えいえんの、羽音に、耳を恐る恐るそばだてて、聴く、bird、すべてを、叫ぶ、bird、bird、bird、とうたう、うたわれる、空の、下で、待ちに待った時がやってきて、それが永遠に鳴り響いて、浦和、レッズの赤き、血潮に、ソマリ、ランド、大地、そのそばで、かい君が、叫ぶ、歌う、「人間はどうやってできたのか」、そう書き残したメモを、母親に渡す、母親はその記憶の冷たさのあまり、美しく輝く、ランド、大地のように、ウユニ、のように、ソマリ、空に、どうして人はできたのか、どうやって人はできたのか、という問いが、僕の身を裂く、花のように裂く、空気のように裂く、裂く、裂く、さく、作、作、朔太郎の冒険のように、僕らは、僕は、僕は、冒険心をたぎらせて、かつて夢見た故郷に、旅の痕跡をのこして、のこ、して、鋸、詩、手、すべての※たちの、ウユニ、ウユニ、ように、注意深いさざめく、その先に、bird、新しくたぎってくる、母親はかつて別れた男の面影を追う、どこかに少年の痕跡を残していく、その男は、男は、男、目、男め、生きている、どこかで呼吸している、その空気を吸うことさえ、嫌になる、そんな気分が、分かった気がする、そして、僕は、birds、複数形になる鳥たちの記憶から、海岸線を打ち破るようにして、波濤のその淡さ、それを吸い込むように、a birds、複数形になった鳥の単数形を、呼ぶようにして、僕の手元に、着地した、そしてその目は、どこかで見たことのある濃い緑色で、世界のように美しかった、宇宙の銀河の色をしていた、パルサー第三系が発光する美と宇宙の極致を、今、輝かせ、今、bird、もう一度、bird、bird、

                 bird、


                        bird、


とここで止まる、小休止する、息の切れない文体を維持するために、呼吸を調整する、空気を、調整する、bird,,,その目の先では瞬きが美しかった、彼の眼の中では再び目が瞬いた、その宇宙の底、庭で、憩園で、待ちに待った、人々に打ち明ける、罪の意識はそこにはなく、ただ対象という対象を見失わないように必死だった、やがて散文的に美しい世界の底で、ひび割れた地雷原を滑空する一匹の鳥に、炸裂する手榴弾、ある種の美しさ、ある種の詩的感性、それが、見失わないように、美を、美なるものとして甘受する、そのような、のようなとして言及するにも値しない、そのような美しさが、死に絶えた、詩に堪えた、

{間奏 Perspective}

 Everyday, I open the window
 Everyday, I brush my teeth
 Everyday, I read the paper
 Everyday, I see your face

 In the gleam of a briliant twilight
 I see people torn apart
 From each other

    ≪その一つ一つの響きに、しびれを感じる、≫

魅せる、ということに無自覚な詩人たちよ! みんなしびれてひれ伏してしまえばいいんだ! と言った矢先にひれ伏しながら書いているのは私だったり、私じゃなかったりする、テンションがおかしなことになっている、

途中音

ー-_ ̄―=ー-_ー-_ー-_ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―= ̄―= ̄―= ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ー-_ー-_ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―= ̄―= ̄―= ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=


{間奏曲 カルデネ}

目の前の景色を誰かと見た気がする宇宙の音のような宇宙の音のようなようなー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=というわけではないー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=時代に掻き消されたー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=音叉の音のようなー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=響きが響くという矛盾を矛盾として甘受せしめられなかったというわかりみがありまつてー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=わかりみがあるのですー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=というわけではなく、たんにそんざいろんとしてのちへいがひらけていないというにすぎないのだからー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_ ̄―=ー-_―=

{間奏曲 人生は夢だらけ}

「鍵過去「過去はかっこを表す「かっこはこっかをあらわす「逸脱と脱線の果てに「実感しれないものが実りゆくのです「たらふく味わえるだろうか「うつくしい、というひびきのわたすわたしがわたされず、わたしという存在の存在に存在する存在の存在に存在し存在したいがために存在する存在に存在せしめれないだろうかという懐疑心にひびきをゆずりわたすのです、「すなわちいつもお世話になっております。味わえる味わえる味わえる「AviUtil「あ「お前死んだな「やっとこっちの身になったな「お前はお前はお前はお前しているじゃないか「

{間奏曲 Glenn Gould Bach: Keyboard Concertos No.1 in D Minor, BVW1052:I Allegro}

遅筆 あらゆる遅筆が遅筆をゆずりわたす 紙 ペン インク のしみのような しみったれた光景に 地上波は解析不可能 地底波が公衆に放送され そして我々は地上での生活を諦めて地下で生活するようになるそんな未来世界 あるいは宇宙に行ったものが生き延びる そんな楽園的光景を幻想してみる そしてその中にひずみある地上の波を見出す 海底は美しい 海底の美しさは金科玉条を並べても間に合わないほどだ ラブカ ラフカ ライカ 慧眼なるものの火よ うるくしさのあまり、はずみをつけて死すべし! アッペルヴィエル シュペルヴィエル そんな土地に 生まれ て きた のか という妄想 カイクウ あらゆる地上に終焉を! シュペングラー おお 日をまたげ 駆けよ 日付変更線に追い付かれないように 飛行しながら どこまでも どこまでも 昨日のままでい続けていてください どこまでも誕生日に追い付かれないでいてください…… 頼むから 頼むよ おお 死すべきときが来た 終わるべき時が来たのだ これを私は待っていたのだ ダンツィオヌ おぬしの心には逆らえない アッティカの神殿まで連れていけ 私の魂を!

{間奏曲 H ZETTRIO Den-en}

耕作する畑の揺れの中で私は大地の震撼を噛み締めて歩み出す散文的なエッセンスを回帰的にテストする丘陵の霊光に蜆汁の添えものを和えて、電気信号のロカンタン
、ねらかすでのく聴をのつ立び飛の胸鳩てめしき抱を元胸、あさ、すでのく行にツンレバビンアやい、にスオュギビンアを双無クルセルベはに王の蠅の中田るす用作に
ネブラスカ州オマハート大学という架空の地名が存在したという想定のもとで我々は書き始めなければ、ん、ならないだろう、という測定値のもとで、想定外を想定す
ーラトスたっかないてし在存らかめ初たれさ記き書が物き書の事物なうよすまりなと糧の地大てえ肥てえ超てえ越を境国のブラ・ンョシーエシニイのえしにいの々人る
ヴェナという人名に従うようにして人々の人々なる所以を知りたがるのでごわす、よもや疲労感とともに倒れこむ私たちの国境のブランショを跨ぎたまえ、大いなる人
                                                                         !よ

{間奏曲 さようなら、私の本よ!}

           Goodbye, my book!
ひずみフレームから一
         網
         打
         尽に
           ベルフェゴール素数のように入り脚立っていくのが
        わかる
     そして
さようなら
     さようならのみじん切り
                さ
                よ
                う
                な
                ら
            を食らえ!
       魂の呼吸よ    !
  あらわれた
私の
  死
   それから、
        それから、
             漱石がすすがれて、声
                       他者の声さえもが、
          コンピューティングしていく
    さらばしゃ、
行く先々
    で、
      トリニティ・カレッジのことを訊かれるので、
                           そんなものは鳥の中に埋め込みましたよと
                  答える声は清々しい
           旅程は凛として
        美しい
     日々の
 日本の、
     わたす、
         わたし。


死者の日々は、
       取り留めもなく、
               流れていく、
                     記憶のはざまで流血する、
               アイシング、
            瀑布、
       アイシング
     幕府
   爆風
愛し、
   愛し、
      愛し、
         愛し合わなければ、
                  悲鳴を上げて頽れてしまう、
               だろう
             じゃ
           ない
          か
           駄洒落を言うのは誰じゃ
                      私よ
                  白根山脈
                      聞こえないふりをして
                流浪の民なう
                      しか
                    ない
                      でしょ
                         それしか。

引き裂かれた、
       音符、
          その先に、
        ある
    テノール
  バス
    クラリネット
          壊しちゃった
                いけないんだーいけないんだー
                              先生に言っちゃおう
                           という
                        地縛霊
                           タイポグラフィカルに
                    あるいはわたし
             マニエリスムで
        固めた本の
    論理武装
        する人々の気が
               知れない
                   知れない気がしない
                            懐かしい人の声
                     めざめるパワー
                でV字回復
           したという
 ことで問題ないかな?



【春の書物、書物の春、秋の書物、書物の秋、書物の遺骸、遺骸の書物、死の書物、書物の死、むくろのなかにほおばられた言葉づかいの数々を披歴したまえ】

――さてその次に何が来るか?
流星。
――君はこの質問に答えているのか?
これは質問なのか? そんな問いかけはどこから発生したのか? 君は知っているか?
――書物とは何たるものか?
あるいは、あーけおぷてりくすの離陸のように敏捷に、凛々しく振舞うべし、と極めつけは言いがかりだ、言いがかりがすべての鍵を握る。
――それが答えか?
ええ、もちろん、死であり、詩である師に、習いましたから。
――美しい死者とは?
トパアズのように香気を放つもの。
――ならばあなたの師は、必要十分的に檸檬の香りがする。
間違いありません。
――しからば、私から宣告しておきます、ここは密室、密室者であると!
――応答せよ、209号。
――応答せよ、209号。未来より、警告する、渓谷は崩れ去ると。直ちに離陸し、記憶の片隅へと去り給え。
――応答せよ、209号、応答せよ……


(中心から八〇〇メートルほどずれたところで――応答した、知られねえ俺。)

文学極道

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