文学極道 blog

文学極道の発起人・スタッフによるブログ

8月選考雑感(平川綾真智)

2008-10-06 (月) 16:16 by a-hirakawa

今月も勉強になりました。
ありがとうございます。

文学極道のスタッフは、この場が、良い作品が読める、評価される場所になれたら、という共通した思いを持っています。「良い」というのはとても普遍的であり、それでいて流動的なものです。ひょっとしたら、こういう作品だから入選する、とかいう傾向と対策だけで書き投稿されている方がいらっしゃるかもしれません。良い作品を書きながらも、この作品は文学極道的ではないな、と思って投稿を躊躇われている方もいらっしゃるかもしれません。「世界性」を重要視している作品、反現代詩的作品、現象学を実践している作品、など様々な作品が投稿されてきています。様々な作品が評価されているように感じます。スタッフ側として、没世界的なものでも、良いものは良いと言える場でありたいと思っています。ポエムでも現代詩でも良ければ評価される場所でありたいです。そして、「良い」という基準は人それぞれに果敢無げな華奢でもあるので、自分にとって響かなかった作品はきちんと響かなかったと言える場所であれば、と思っています。様々な評をしていく、されていく、ということは自身にある詩の情感が停滞せずに多角的な視点を帯びて、新しい感動を自作に見出す可能性があります。傾向と対策だけで書いて投稿されている方は、是非、評をしたり得たり見直したりして、詩の感動とは何なのか視点を増やされて欲しいです。そして、作品を書きながらも、文学極道的ではないな、と投稿を躊躇われている方も、是非、評を付けてみて、投稿されてみて欲しいです。大罵倒されるかもしれませんが、得るものが何かあるかもしれませんし、意外と、「良い」と言われるかもしれません。今月も選考の際、委員内で多く、意見が交わされました。

月間優良賞に推挙された作品は、先鋭で明瞭であったり、視点を追求し続けていたり、拙さを帯びながらも感動させる熱気で満ちていたりと、様々な方向性でそれぞれが優れていました。
2965 : あなたのゆくえ(1〜5のうち4・5)  鈴屋 ('08/08/16 22:23:02 *2)
には、1〜5を通しては優良と言うこともできるけれども、4、5単体では、美しさを見た場合、弱いかもしれない、という意見もありました。付記しておきます。

次点佳作作品に触れていこうと思います。

2937 : きみとともに  殿岡秀秋 ('08/08/05 05:21:47)
は、小さく良い作品だけれどもタイトルや接続詞など、もっと上に行ける部位が削いでいて、情感を膨らませていくことを怠っているように感じる、という理由から、次点に留まりました。相殺しあっている言葉同士が目立っているので、もう少し慎重に大胆になってもよいような印象を受けます。書いてそのまま放した作品が作者には多くあるように感じるので、もっと推敲していっても良いのかもしれません。一方で、私詩である作者の作品はあまり趣味ではなかったが、この作品の強度は高く評価できる、という意見もありました。自分のことを自分の枠の中だけで書いているような、ここへと世界性を帯びさせる細工や地政学、歴史の中への配置などが加われば、もっと強度を増すのかもしれない、という意見もありました。

2938 : 施餓鬼  兎太郎 ('08/08/05 12:02:26)
は、興味を惹かれたけれども、宗教観に作品が飲まれてしまい、その先へと達していないように思える、という理由から、次点に留まりました。
 燈明でうるおう子宮
 そのねばつく内壁に ぼくはそっと手をふれる  
 きみとぼくとの縁はほんのいっときむすびなおされる
ここなどはとても上手いと感じます。得てして宗教の混沌は人にあるそれを餓鬼に手向けるものでありそんな傷に膿んだものなのかもしれません。感触は良いけれども、外科治療が気になったり、感嘆詞が気になったりと、もう一歩が足りないように感じる作品に思えました。ただ、確かに惹き込む不可思議さは、作者に大切にして欲しい、独自の貴重なものだと思います。

2970 : きみは国境線という概念をもたずに、それをこえていった  K,y ('08/08/18 22:09:34)
は、鮮度と痛みに長けているけれど、もう一歩踏み込み凌駕するだけの破片が足りないのではないか、という理由から、次点に留まりました。作者を主張しきってある、羅列的な中に密に過渡期が詰まっている興味深い作品でした。虚飾的言語の使い方も、不安を押し込めている内実に合っているように感じます。もっと書ける作者なのではないか、作者の作品としては程度が低い部類なのではないか、という意見もありました。

2959 : Tシャツ  ミドリ ('08/08/14 16:10:29)
は、読みやすいけれども足りなさ過ぎる印象を受ける、という理由から、次点に留まりました。文句なしに巧いが、命を感じない、今月のミドリさんは良いと思ったけれども、相変わらずの寸止め空手だ、などの意見がありました。とても読みやすいので、もう少し話を足しても良かったかもしれません。

2968 : 皿を拭う  右肩良久 ('08/08/18 14:25:36) 
は、解りやすい説明がどんどん魅力を遠ざけている、という理由から、次点に留まりました。過去作とのことでしたが、作者の長所が如実に出ていて、無機的な、あるいは有機的な極論が、しなやかに融合を見せている、という意見もありました。

2960 :  ビー玉として  殿岡秀秋 ('08/08/15 06:09:25) 
は、最終三連がとても素晴らしいけれども、事象が上手くいっていない部分があり、眩い部位を高めていないように感じる、という理由から、次点に留まりました。ビー玉というモチーフを核にしてナラティヴを展開していく良作だ、という意見もありました。一点、ラスト手前、構成に大きな難があると思う、という意見もありました。もう少し強度のある余情に溢れた作品へと仕上げられるように感じたので、細かな部位にもこれまで良作を紡ぎだしてきた作者の筆を是非とも、より先へと活かして欲しいと思いました。

2964 : en voyage 旅行中  はなび ('08/08/16 22:01:57 *1) 
は、温かで可愛らしい作品ですね。程よい描写があり、色の直接配置から作品をはじめたのも効果ありに感じた、という意見もありました。突出している圧倒的な傑作ではないかもしれませんが、良い作品だと思います。アルファべ、は実に印象的です。ただ、感触としても、もう少しかもしれません。濁点が入ると幸せは大きく読んでいてとても膨らむのだけれども。

2945 : 小夜  雨宮 ('08/08/07 08:17:31) 
は、柔らかくて素朴な素敵な作品です。薄味ではあるが、今後の期待が膨らむ作品だ、という意見がありました。地味に良く、緩やかな気持ちになった、という意見もありました。三連がもう少し動いていれば、優良でも良いのかな、と感じました。膨大な世界を小さい自己が確かに証明していて、素敵な世界観だと思います。

2984 : 給水制限の朝(Mr. チャボ、正義と友情と愛とナントカと)  Canopus (角田寿星) ('08/08/26 10:40:26)   
は、構成が展開を支え切れていない、という理由から、次点に留まりました。ちょっと長ったらしく感じた、という意見もありました。チャボは、もう多くの方が愛するシリーズなので、とてもハードルが上がっているのかもしれません。この作品、人間性は描き出せているのですが、サイドストーリーの一人歩きが過ぎるようで、まとまっていないようにも感じました。平面的な感情的で、児童的な負荷で、清潔に書かれすぎているような気もするので、もう少し惨殺な血流は拭えなくてもよいような人間くささが、あっても良いのかな、と思いました。取り合えず、チャボシリーズは大好きです。皆もそうだと思います。ファンを魅了し続けるチャボシリーズであって欲しいです。原点に戻ってもよいような。

2966 : 飛行機とポテトチップ  はるらん ('08/08/16 23:30:46 *2) 
は、構成やストーリー展開はよく、独特の力がある作品だけれども全体として表現の質が低い、という理由から、次点に留まりました。作者がこの方向性でいくのは大歓迎だけど、ちょっと洗練が足りない、という意見もありました。描く人物、キャラクターにもう少し人間くささを加味しても良いのかな、とも感じました。

2940 :  八十八夜語り ー夏嵐ー  吉井 ('08/08/05 22:32:43)  
は、悪くない作品だとは思います。しかし、強く推される魅力に溢れた作品には一歩届かないようにも思えます。「た」で毎回途切れ、並列になっていることが、惜しいと感じさせるのかもしれません。

2977 : フテクサレテモカオハマエニツイテイルノダ  はなび ('08/08/20 22:37:29) 
は、面白い作品で、気になりました。未完成な部分が、まだまだ粗削り的なところが魅力として働いている、不思議な作品だと感じました。もう少し滅茶苦茶でも良かったかもしれませんね。

惜しくも選からは漏れましたが、その他、

2976 : ヒートアイランドの娘  ともの ('08/08/20 20:02:30) 

2969 : 朝日  羅針 ('08/08/18 15:27:17)  

2944 : 秋虫の見た世界  黒沢 ('08/08/07 00:55:53 *6) 

2991 : あの夜の思い出  霞 ('08/08/29 21:15:13)

2947 : 星  こはる ('08/08/07 19:31:02 *4) 

2979 : Nemo  四宮 ('08/08/21 19:23:18 *2)

2952 : (無題)  犀樹西人 ('08/08/13 05:13:26 *1) 

2953 : 月曜日   寒月 ('08/08/13 15:44:16)  

2957 : Hallelujah   はらだまさる ('08/08/14 02:30:32 *1) 

2980 : 猫背  吉野 ('08/08/22 01:20:39)  

2975 : 花火  如月 ('08/08/20 17:31:54) 

2985 : 物思い  祝祭 ('08/08/27 02:11:41) 

2973 : 夏草や  落穂拾い ('08/08/19 13:19:48 *3) 

などが、注目されていました。

以上です。

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一次審査結果発表! 第1回 21世紀新鋭詩文学グランド・チャンピオン決定戦

2008-10-01 (水) 00:18 by 文学極道スタッフ

「第1回 21世紀新鋭詩文学グランド・チャンピオン決定戦」
一次審査通過作品名および作者名発表

月刊 未詳24・文学極道 連携企画第1弾として開催中の「第1回 21世紀新鋭詩文学グランド・チャンピオン決定戦」において、一次審査を通過した作品のタイトルおよび作者名が発表されました。

一次審査通過作品は以下の通りです。

「幽食」 ヨルノテガム
「子供のこと」 吉田群青
「こぼれおちる中にたったひとつだけ残されるものがある」 ホロウ
「六月の海」 プラスねじ
「でたらめ」 泉ムジ
「水を捨てる」 宮下倉庫
「君は害虫」 しもつき、七
「臆する」 殿岡秀秋
「ベッドタウンの印象」 宮下倉庫
「ラスト・モニュメント」 いとうかなめ
「海が見たくなった時のこと」 吉田群青
「いくつかの夜」 Ar
「蟻」 淡島
「before dark,before daylight」 いとうかなめ
「リボルバー」 万条クレ葉
「ぷかぷかうかぶ」 次松大支
「終息」 藤本哲明
「[私たちは素晴らしい箱の箱の箱の箱の箱の箱の箱の中にいる。] 」 香瀬行鵜
「マッスル・ドッグ」 七瀬俚音
「ららら」 七瀬俚音
「リハーサル」 木葉揺
「帰路」 島野律子
「六月を雨に少女の祈る」 森下ひよ子
「終わらない夏」 流川透明
「ただいま」 流川透明
「コスモポリタン」 時渡友音
「ヘルタースケルター」 he
「一杯」 イエローのこねこ
「針の風、凪の檻」 鈴川夕伽莉
「無題(1)」 たなか
「Soundscape」 はらだまさる
「オーケストラ」 水瀬史樹
「淫れ NO.1」 藤本哲明
「白昼夢」 しもつき、七
「百日紅」 中村めひて
「潮」 中村めひて
「水葬」 谷竜一
「無題(2)」 たなか
「木陰」 田崎智基
「笑うもの、嘘つくもの、帰らなかったもの」 白石アンコール
「卵を、」 ブリングル

(応募日時順、敬称略)

なお、本企画の詳細、今後の審査と発表の予定については上記リンク先のページをご参照ください。
とくに一次審査を通過された方は、注意事項等もありますので、必ずご覧の上ご確認ください。

また、審査員による選評も後日(最終審査結果の発表後)掲載される予定となっております。
そちらでは残念ながら一次審査を通過しなかった作品についても触れられるはずですので、是非そちらもご覧いただければと思います。
選評については、公開されしだいこのブログでもお知らせいたします。


# 2008年10月06日 追記(訂正とおわび)
一次審査通過作品のうち、しもつき、七さんの「白昼夢」が誤って「白日夢」と表記されていました。
訂正し、作者のしもつき、七さん、ならびに関係者、読者の皆様におわびいたします。
申し訳ありませんでした。

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8月分発表

2008-09-23 (火) 21:01 by 文学極道スタッフ

2008年8月分月間優良作品・次点佳作、発表になりました。

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7月選考雑感(平川綾真智)

2008-09-12 (金) 15:55 by a-hirakawa

今月の選考も勉強になりました。
ありがとうございます。

選考の際、様々な意見が交わされます。それは、それぞれの投稿作品単品に関してに限らず、投稿されて来ている作品の偏り方や選考委員の自戒など多岐に渡ります。今月、良い作品はもちろん多くあるのですが、選考にあたり再読を要したり判断を保留する作品が少なく感じた、という意見も出ていました。作品に臨むにあたり良い意味での悩ましさが減り、過去に入選歴があっても今月まったく拾えない作品を書いているかたが何人もいて少々戸惑ってしまった、という意見もありました。また、巷には優れた抒情詩・情景詩を書く人がたくさんいるのに、なかなか文学極道には出てきてくれない現状がある、これは、やわらかい良詩を文学極道の選者はまったく評価しない傾向が高いからではないか、という意見もありました。なんでもかんでも書き込めば偉いわけではなく、淡さの美も存在し、ありきたりでも、独創性がなくても、巷に山ほどあるようなものでも、良いものはもっと良いと評価されるべきであり、胸を打つものや、人様に伝える人間力のあるもの、書かずにはおられない何かを持っている作品をもっと大事にしていくべきではないか、という意見もありました。選考の度に毎回、意見は交わされ議論に発展していきます。それぞれの作品の芯に凝縮された濁点に応えるためにも、選考の場がより伸びやかで活気ある場であれば、と思っています。これからもよろしくお願い致します。

さて今月、月間優良賞に推挙された作品の中でも、特に、
2875 : プラタナス  黒沢 ('08/07/04 00:50:57) は、飛び抜けた点数を叩き出していました。プラタナスという、使い古された題材をうまく消化していて、『こころの弱い妻』の言葉とその扱いについては賛否あるかもしれないが、この作品が『妻のこころの弱さ』について語るものではなく『こころの弱い妻に宣告する男』についての詩である限りは、この言葉と扱いは間違っていない、など、手放しではないものの、とかく絶賛されていました。作者の苦心に添えれば、と思います。

次点佳作作品に触れていこうと思います

2912 : ミンミ十字路で、ぼくらは微笑んだ  Canopus (角田寿星) ('08/07/23 07:31:00)
は、テーマと言葉の温度はうまく噛み合っていて良いと思うが、淡さが結実しておらず、もっと多くを求めてしまう、という理由から次点に留まりました。しみじみと奥の方が伝わって来る緩やかさが作品として、確かにあるのですが、膨らませられる情感を留まらせてしまっている印象を、個人的には受けました。前に進むための過程が見えてしまうようで、文章が少しのめり込ませてくれなかったような感覚です。しみじみと良い部分が確かに存在しているので、そこへともっと誘って欲しかったのかもしれません。

2890 : 八十八夜語り  吉井 ('08/07/11 23:56:37)
は、最後まで丁寧だけれども、そこへと意識を向かわせる工夫がもう一歩必要に思える、という理由から次点に留まりました。下手ではないけれども、読み返す気に全くならない、という意見もありました。読み返すだけの魅力、そこが課題になってきているのだと思います。現代俳句的なものを感じたりもしたのですが、それは明治時代においての全く新しい感覚としての現代俳句的な感覚であり、この作品はそう考えると、停滞した詩情の中にあるようにも感じました。もっと先に行ってもよいのではないでしょうか。
2913 :  八十八夜語り ー盛夏ー  吉井 ('08/07/25 00:02:46)
も、注目されていましたが、端的に面白くなく、気になるけれどもそれだけに留まっている、という理由で選からは漏れてしまいました。丁寧に書かれているので、もっと魅力を纏っても良いはずです。いつか最先端の大傑作へと全てが昇華されることを願っています。

2895 : 唯の夢 その四  菊西夕座 ('08/07/12 22:21:02)
は、すべての連が過不足なくまとまっていて、言葉の結晶度が高くイメージの連鎖が空間を造り出せているけれども、作品構造として、二連の無駄さ、四連、五連の事象並列が奥まらせており、素晴らしい最終連を削いでしまっている、という理由から、次点に留まりました。優良へと強く推す声もありました。立派なシュールレアル系の作品であり、たとえばキリコとかミロとかの絵を文章にしたらこんな感じになるような印象を受けた。文体に無駄がなく端正で、2、3、4、5連は、それぞれがバラエティ豊かな空間を造っていて、6連目ではこの作者には珍しく、堅固な「空間」を造ることに成功している。7、8連は、リズムもイメージ伝達も擬音表現ばっちり決まっている、という大絶賛の声もありました。個人的には、この作品、最終連だけが凛と輝いていて、他の部位は、そこを持て余しているように感じました。「幻想という世界にとらわれているとき/唯の外界はかたい卵のように/友好的でおそろしく/嘘つきな自衛のかたまりだった」ここは真に輝いている気がします。一連での表出が、三連で高まるはずなのだけれども二連が足を引き、展開の平坦さへと繋がり、最終連まで持ってこれていないように思えました。しかし、作者の超越しきっている感覚には本当、脱帽するばかりです。

2872 : 日没  鯨 勇魚。 ('08/07/03 20:17:27)
は、センスが漂っており、優良作品より美しいとさえ思える部位もあるけれども、目立つ拙さが気になる、という理由から次点に留まりました。『@依存』は、特に印象的だ、という声もありました。ともすればありがちすぎる場所へと着地してしまいがちな内容を、イメージの共有を意識しやわらかさを保ちながらも独自のことば展開で構築を試みているところに好感が持てる、など好意的な意見が多かったです。一方、「人間との関係に似ている」「能動と受動が遊泳している」など、もっと言葉選びが出来た場が大きく魅力を損ねてどっちつかずの印象を受ける、十二分に獲得している市民権ともいうべき詩的イメージに寄りかかりすぎていて中身がない印象だ、という声もありました。自己と非自己の境界をうたい、融合を切望する、という作品は最近とても多いようです。一歩先で咲いて欲しい、作者なら先を咲かせてくれるのではないか、という期待を確かに感じる作品なので、これからの作品も楽しみにさせていてください。

2877 : 屋根の上のマノウさん  Canopus (角田寿星) ('08/07/05 08:10:36)  
は、導入部分のふくらみが素晴らしいけれども、後半にかけてしぼんでいき、そこに難がどうしても見えてしまう、という理由から次点に留まりました。この作品は、今月最も美しい詩情を描き表している、という声もあり、優良に推す声もありました。全体の静かな詩情を壊すほど悪くはないけれども陳述が唐突に感じられたり、少し詩を意識しすぎているように感じられたり、少しの引っ掛かりがふくよかさの足を止めている印象があったので、細部までもっと惹き込んでもらえると、傑作としてより包んでくれたのかもしれません。

2927 : 風底  DNA ('08/07/30 02:26:46)   
は、十二分に巧いけれども、読み手を説得する要素がなく、単なるモノローグに留まっている、という理由から次点に留まりました。内容と書き方が調和はしています。情感も確固としてあります。ここから雪崩れ込んでくる内実が少し滑りが悪く、それが効果的ではない気がしてもどかしい印象を持ったのかもしれません。

2870 : アカリ  みつとみ ('08/07/02 22:35:34 *7)
は、選考委員全員が点数を入れている作品でした。しかし、優良へと推す声はありませんでした。描写は相変わらず秀逸で、推敲後、確かに作品強度を増した素晴らしい作品だと思います。弱っていく狼や倒れている青年の俯瞰な描写の手触りは作者独自のものが確かに醸しだされているのですが、「この魅力は詩全体の構成のなかで目立つ結果になっていない、それが難点」という声がありました。初め「一作品」としては弱いと感じたが、推敲後は、強さを獲得しかけるところまで来ているような気がした、という意見もありました。連作でこそ真価が発揮されるだろうことは承知だが、単体でも充分魅力に溢れている作品だ、という声もありました。選考委員全員が、もっと上へと確かに行ける作品であり、そこへと到達させることが出来る作者である、ということをこの作品から感じ、もっと多くを求めたようです。改稿版、読みたくて読みたくてたまりません。

2876 : コントラスト・サンダーマン  ぱぱぱ・ららら('08/07/04 17:15:53)
は、巧いけれども、冷めてしまう薄さが気になる、という理由から、次点に留まりました。アイデアも平凡なので、もう少し情感や距離を活かしていって欲しいです。

2915 : (無題)  マキヤマ ('08/07/25 12:10:04 *1)
は、器用だけれども、他の作品の、こじんまりとした真似事のような印象を受ける、という理由から、次点に留まりました。詩作品としてはありきたりなものですが、それなりの情感はあると思います。何かこの作品ならではのものが一つで良いので欲しいような感覚に包まれました。

2917 : 海と天ぷら。  おっさん ('08/07/26 17:12:18)
は、ダサい良い味わいを出しているけれども、変な行分けや決して巧くはない部分が気にはなる、という理由から次点に留まりました。個人的には、作者から素直に出てきている詩、だという点に魅力を感じました。苦しみからの解放を決して望んでおらず、一人になっても苦しいままであるところを書いてある部分や、幸せが天ぷら程度っていうところも、ダサくてよいな、と感じました。深読みすれば、意外と現代社会を痛烈に書いてある作品にも思えます。考えすぎなのでしょうが。

2869 : 月影の出口  殿岡秀秋 ('08/07/02 22:10:15) 
は、五連の切断が勿体無く、成功していない、という理由から次点に留まりました。それぞれ良さそうな文章が膜の上で漂っているだけに止まっていることが気になります。もっと惹きつけることが出来るはずの作品に思えます。

惜しくも選からは漏れましたが、その他、

2868 : 本家にて  祝祭 ('08/07/02 07:50:28 *1)    

2888 : 焚書坑儒ネオ  宮下倉庫 ('08/07/11 20:56:26 *1)  

2891 : ロックスクリーマー  黄色い花 ('08/07/12 01:21:12) 

2866 : 星は巡る  ミドリ ('08/07/01 14:04:24) 

2925 : 木乃伊の人魚姫  右肩良久 ('08/07/28 20:59:48)  

2880 : 赤城 君 Apres quoi...  はなび ('08/07/07 14:25:47)  

2864 : 野球の規則  DNA ('08/07/01 02:35:37)  

2885 : 下呂袋  蒲田のお狼 ('08/07/09 22:03:09)

2903 : モンスターハンター  蒲田のお狼 ('08/07/16 08:29:10 *1) 

2914 : 豚汁  ともの ('08/07/25 11:34:54 *1) 

2902 : 朝のしくみ  凪葉 ('08/07/15 15:14:37)

2919 : 食事  田崎 ('08/07/26 23:13:45)

2886 : 「ハンプティダンプティ」  桐ヶ谷忍 ('08/07/10 17:24:47) 

2911 : 帰路  犀樹西人 ('08/07/22 15:32:05)  

2924 : 島原  no problem  寒月 ('08/07/28 18:42:10) 

2918 : 唯の夢 その五  菊西夕座 ('08/07/26 21:58:43) 

2897 : 芝刈り男  ハント ('08/07/14 00:04:53 *2) 

2909 : 三番目の小さな月  ぱぱぱ・ららら ('08/07/19 04:44:30) 

2908 : 重要な岩  りす ('08/07/18 23:37:44) 

2910 : お父さん  カノン ('08/07/19 07:34:05 *1)

などが注目されていました。

以上です。

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7月分発表

2008-08-25 (月) 20:11 by 文学極道スタッフ

2008年7月分月間優良作品、次点佳作発表になりました。

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