今月も勉強になりました。
ありがとうございます。
今月は、
4084 : THE GATES OF DELIRIUM。 田中宏輔 ('10/01/15 07:49:41 *27)
4088 : 冬の散歩 鈴屋 ('10/01/18 00:20:12 *1)
4115 : 折檻夫妻 ゼッケン ('10/01/26 18:32:19)
4121 : 初夏をどこまでも 浅井康浩 ('10/01/29 10:23:59)
4123 : 骨の王 右肩 ('10/01/30 19:19:57 *1)
4110 : 韓国人のキムさん debaser ('10/01/25 12:22:36 *3)
4102 : 梅 リリィ ('10/01/21 22:38:47)
4118 : キネマコンプレックス りす ('10/01/28 00:03:39)
4072 : 塩小路 津島ことこ ('10/01/07 22:12:53)
4119 : 帰り道 如月 ('10/01/28 11:24:59 *3)
4087 : Sun In An Empty Room ヒダ・リテ ('10/01/16 20:00:18)
4091 : SENAKA debaser ('10/01/18 14:57:57)
以上、12作品が月間優良作品に選出されました。
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4084 : THE GATES OF DELIRIUM。 田中宏輔 ('10/01/15 07:49:41 *27)
落選とする選者もいましたが、今回、最も多くの評者が優良に推薦した作品でした。
最終的な浄化へとつなげていく中間の構造はなかなかできないことだ、唸った、という意見がありました。
認識論的アプローチが存在論に切迫している、それは不可能なことであるのに切迫している、大変な集中と力技であると思う、という意見もありました。
なんて美しい展開とリズムだろうと嘆息するしかない、と、言う意見もありました。
良い作品でも記憶に残る作品でもないと思う、引き込まれたし読んだけれども、記憶には残らない、結局のところゴーストについてなにも語られていないし、作中にゴーストが降りていないと思う、という意見もありました。
珍しくネタに耽溺することなく、作者が集中して書いているのが伝わる力作、明らかに(私自身の)個人的な嗜好からは外れた作品であるにもかかわらず何度も読んだ、そうした、惹き込まれる魅力が文学極道の田中作品の中では一番ある作品なのではないだろうか、独特のリズムや印象的なリフもあり、比較的わかり易い謎の提示も示唆に富んでいて、飽きない、という意見もありました。
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4088 : 冬の散歩 鈴屋 ('10/01/18 00:20:12 *1)
行下げにここまで意味を持たせることに詩を再認識させられた、もともと行下げは意味あるものだった、形式だった、それがいつの間にかファッション的ものとして位置が下がっていってしまった、行下げの意味の復興を作品から感じた、内実と構成が実に見事、という意見がありました。
下げている連は入り乱れた脳内での静やかに走る光景であり、そこは普段の景色を下敷きとしながらもパースペクティブや時間に極端な、あるいは慎重な幅を持たせてあり、後半は完全に持っていかれる、北野監督の映画に通じるものがあるようなものがある、最終連で戻す筆の力量も秀逸だ、という意見もありました。
このささやかな旅路は、「タバコを買いに」という言葉がしめすようにあらわれるイメージがどのような新奇さや、日常からはなれた時間を描いていようとも、そしてどのように斬新に言葉をかさねようとも、あらわされたものは、いままで見たことのないものではなく、タバコを買いに行くまえまでに自らの中に宿されていたイメージのただの反復にすぎなくて、自己の中のイメージが風景に投影されただけの、それだけの陳腐さと矮小さを、どうあがいても露呈してしまう点において、良い作品になっていると思う、という意見もありました。
煙草を買いに行く、というのはありがちだけれども、巧くまとめてある、技巧オンリーで優れているとは思うが、残るものが少なく、育つものが無い、と、いう意見もありました。
荒涼の描写がよかった、その荒涼がエロスの描写に変貌するくだりは、魔術的リアリズムを駆使するなど、もっとうまく書きようがあると思うが、贅沢を言えばきりがない、現況でも十分読み応えがある、という意見もありました。
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4115 : 折檻夫妻 ゼッケン ('10/01/26 18:32:19)
不覚にものめりこんでしまった、初連のあり方を、どんどん追い越していくあり方、タイトルのフェイクも見事、という意見がありました。
サルトル、カフカ、安部公房などを思い出した、でも夢魔の世界なんだよね、だからむしろ埴谷か、という意見もありました。
オチてないのに面白い、不思議な作品です、タイトルに回収されない、そこを妄想していると更に深くなる、最近のゼッケンさんは芸が達者になりつつありますね、構え過ぎると一気につまらなくなる作者なので、深刻になり過ぎない、その軽さを失わないでほしいです、という意見もありました。
面白かったのだが途中で眠くなり残念、後半シェイプすればよかったと思う、という意見もありました。
この物語が退屈なのはアンパンマンの着ぐるみの中にひそんでいる「わたし」が、書かれることがないからだ、拉致られたのは、「わたし」ではなく「アンパンマンのぬいぐるみを着たわたし」であって、アンパンマンのぬいぐるみは、「日常」の「意味」を変容させる力をもってかかれている、それなのに「小倉あんぱんを乗せたぼくの首から下の全裸の身体は/鎖を引きちぎり、口がないのでくぐもった唸り声を上げながら地下室から飛び出していった」というピンチになっても「アンパンマンの傷んだ頭部」から、「わたし」性の記述が漏れ出してくることが一切ない、着ぐるみのバイトをしているひとのイメージは、学生やフリーターというものだろう、おそらく「わたし」もその一員だろう、そのような社会の中に確固とした自分の居場所をもたない「わたし」は、既存の「社会」に自分が参入できない主体でありつつそのことが猶予されている存在であるはずなのだが、アンパンマンのぬいぐるみを着ることで、超人的な力を持つのではなく〈奴隷的な「同化か排除か」という圧力を強いる「社会構造」自体の歪みや不公正〉(関廣野)を特徴とする社会へと、猶予を消去され無理やり参入させられてゆく、その過程の中で、「わたし」性がでないで、外部からのジャムおじさんの救出で幕が閉じるのは、「アンパンマン」の物語の枠の中で語られてしまいすぎており、退屈だ、という意見もありました。
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4121 : 初夏をどこまでも 浅井康浩 ('10/01/29 10:23:59)
やわらかく優しく温かく、実に心地良い、まさしく言葉の花束、という意見がありました。
巧い、散文でありながら切れているところが、改行を感じさせるところが感覚的なものだけではない地点と技巧だけではない柔らかさを噴霧していく、美麗さの中に、覆いたくなる醜さも欲しく思いったが、巧すぎるようにも思ったが、それは作者の作品を多く読んできている読み手側の問題なのかもしれない、という意見もありました。
一方で、よく出来ていると思うのだが、既視感がある、という意見もありました。
このところタイトルが再び冠され始めたことは歓迎しますが、浅井作品としては、かなり弱い部類かと、同じようなところをゆったりとした筆で旋回しているので、ややくどい、あとは、まぁ、なんせ初夏ですので、ジャムを煮るよりも冷菓としてのデセールを召喚した方がスムーズだったかもしれません、変な汗を感じてしまう向きもあるでしょうから、という意見もありました。
如月さんのコメントに、ほぼ同意、というか、料理として具体的にせよ抽象的にせよ「おいしそうではない」イメージしか湧かないところが一番の問題、なにがしかの達成感とリンクしなくてはならないはずでしょうから余計にね、にしても、毎回ながら、最終着地の見事さには、やはり敬服します、あれだけでうっかり全部許しちゃいそうになる、油断ならない書き手ではあります、という意見もありました。
携帯から読んだ場合に改行が崩れまくっていて、たいへんに読み難いです、文学極道には携帯ユーザーも少なくないと思われますので、御一考いただければ幸い、という意見もありました。
詩集の話などもあるようですが、個人的には、浅井作品は横書きでこそ読みたいと願っております、という意見もありました。
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4123 : 骨の王 右肩 ('10/01/30 19:19:57 *1)
正確な叙述、ストーリー展開の機微、読後に残る余韻、素晴らしい、という意見がありました。
これぞ文学極道だと胸を張って推せる作品、と、言う意見もありました。
作者は巧いので、巧いなりに、もっと読み手を信じてもよいのではないだろうか、「彼にはもうその実体を検証する方法はない、永遠に。/そして現実に世界の何処かで、今も多くの犬が路上に骸をさらしている。」など、その後にとても良い綴りがあるのにそれを削ぐに十分な役割を果たす説明文が気になる、面白い素材満載なのに、それが活かせているとは思えない、という意見もありました。
この作品の最大の魅力の一つは、断定が起伏と余韻を巧く造り出しているところでしょうか、歪み方も絶妙、時間の操作も巧い、もう少し縁取りが、すべすべしていたら更に佳かったのでは、1月投稿作品の中で最も良いと感じました、という意見もありました。
作品として機能するには、骨格だけすぎてふくらみが感じられない、「それでもいい。わたしも他の人もみんな苦しんで死んでいく。)」ということばが、説得力を持つためには、母と子のみではなく、その周縁に位置する人たちの(血縁、という言葉がぴったりくるような)、怨嗟やうわさ話を各所に散りばめ(むしろそれだけで構成するような)ふさわしい場所に配置するなどの作業が必要ではなかったかと感じる、という意見もありました。
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4110 : 韓国人のキムさん debaser ('10/01/25 12:22:36 *3)
虚無芸人の道を極めている、という意見がありました。
「スチロールが発泡している/若者は公園の/噴水から放出され/農業用トラクターのミニチュアが/坂道をどこまでも無人で転がっていく/それで植えられた稲が/本当に実るかどうかは誰も考えなかった/それから行く場所のない/住所不定の若者は/こぞって/次々に廃棄される電動自転車のバッテリーの/電気残量を丹念に調べ上げ/まったくのボランティアで/各自パソコンに入力している/その数値の合計は/裏通りの出版社が昨年出版した書籍の売上部数に/リンクしている/若者の仕事は/ヘンなとこでそんなものにもつながっているこの連は非常に印象的、痛烈、その他の部位は、政治的風刺にも読めるし肩の力を抜いた一条節にも読める、迫るものはなくても良いけれども、えぐるものは、もっと欲しいと求めてしまう、という意見もありました。
微妙!なんかスベッている気がするのですが、すべりつつも完成度が高い、キムさんが描写されていないのに印象に残る、という意見もありました。
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4102 : 梅 リリィ ('10/01/21 22:38:47)
いい、カッチリと梅を描いている、梅についてイメージが一つ増えるくらいに、という意見がありました。
作者は突然うまくなってきている、梅の実と梅酒への想起と妊婦と夏の風景、外は、みみずのような嫌悪ばかりで、私の手にも、みみずが水脹れが既に張っている、そこへと産み出していかなければならない、羊水は甘く、食んでいく実(身)は、すっぱいばかりだ、そのような作品だと読んだ、という意見もありました。
最後が見事、「おいしくなあれ」や、「すっぺえなぁ、すっぺえなぁ/また一つ、また一つ」はもう少し寝かせても良かったかもしれない、「臍から溢れる羊水は」この一文は圧巻だ、全体として、あまり達筆でない部分が、世界観を出していて、良さに転移していると思える、という意見もありました。
一方で、端麗と褒めることも可能だが、止ませる細工が全然ない、という意見もありました。
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4118 : キネマコンプレックス りす ('10/01/28 00:03:39)
嘘は本当になれるし嘘は人を生かせるし宇宙を殺害できる、詩を本当にすることだってできる、作者は達人の域に上がっていっている、ハードルを下げさせて読ませて上手いレトリックにはめるという罠を作品に仕掛けている、という意見がありました。
意欲的なポップ詩、という意見もありました。
一方で、映画館で男と女が話をしている雰囲気が良かった、優良でもいいと思うが、他の作品と比較し、小ぶりに思えた、という意見もありました。
ふたりはどのような映画を見ていたのだろう、読む者を、作品の内容ではなくこのささいな疑問に絡みつかせることができるかが、ポイントになるように思える、たとえばゴダールの「中国女」、弓矢をスクリーンのこちらがわに照準をあわせた時のシーン、それを見終わった後にこのようなセリフが言えれば素敵だと思う、という意見がありました。
もう随分前から作者の詩を読んでも何も感じない、という意見もありました。
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4072 : 塩小路 津島ことこ ('10/01/07 22:12:53)
この作品は上手い、「大阪トランペット」を書いたのと同じ作者に思えない、という意見がありました。
それぞれの連鎖と敷いてある都会の孤独と自然の比喩が見事、幹と幹線道路がかかっていると気づいたときに、大きく比重をもたげてきた、流木と最終連のあり方は、少し疑問も感じたが、終え方が上手い、氷菓もべつの単語だと、もっと面白くなりそうだ、ただ、とかく上手い作品、という意見もありました。
評価に迷った、清潔な文章で良い印象なのだが、この人には少しだけあざとさがあってもいいのではないかと感じる、ただ、この作品の美質を素直に認められないのは、自分の感受性が鈍っているからかもしれないとも思う、という意見もありました。
巧くはありませんが、妙な味があります、長く書いてる書き手、ですよね?技巧より感覚でしか書かない、または書けない、それはそれで、という意見もありました。
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4119 : 帰り道 如月 ('10/01/28 11:24:59 *3)
意見が分かれた作品でした。
妙に良い、最終連が効いている、生活感も背丈にあっていて、人間をくらわされたような感覚だ、という意見がありました。
第6連の描写挿入が効果を成している、物足りないと思ったのは日常が平凡すぎたからかもしれない、という意見もありました。
「僕らは一斉にあらゆる支度を始めて/息子はいつも新しい/覚えたての唄を懸命に唄い続けて/廃品回収の声が鳴る道を/僕ら/手を繋いで歩いている」最終連、ここでの雰囲気をつたえようとして書きくわえられる言葉は、「帰り道」という主題を説明しようとしてなんとか雰囲気をわかってもらおうとするあまり、どこか、風景の中で寒々と浮かびあがってしまっている、という意見もありました。
詩的衝撃が不足している、という意見もありました。
ポエムで人間を描く事にとことん拘る作者の、少しだけ新境地を窺わせる作品だが、未だ習作の域を出ていないのではないか、ボルカさんが言及なさっておられた不穏さは、筆の未熟の為せる業だとも思える、成功している面と失敗している面とがあるけれども、このまま試行錯誤を続けてもらいたいとは思う、という意見もありました。
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4087 : Sun In An Empty Room ヒダ・リテ ('10/01/16 20:00:18)
意見が分かれた作品でした。
作者の近作は政治的な思想的なものが加わってきている、思想的なものもエンターテイメントというか柔らかに読めるようポップに仕上げている手腕は評価されるべきだ、という意見がありました。
「大型犬の 散策する/優しい 午後の マヨネーズ」この出だしの良質さ、陽射しも伝わり、生活感も浮き上がる、「マヨネーズ」の発想は度肝を抜かれさえする、最終の方、繰り返していく歴史と、これからの僅か過ぎる幸福と多大なる不幸への傍観や、また来る争いの日々を綴っているようにも思える、解りやすすぎないポイントが絶妙の匙加減に思える、という意見もありました。
面白い詩だが文章がそっけなすぎる、という意見もありました。
ツカミが素敵だ、リズムもある、作者の遊び心や茶目っ気が良い方向に顕れたら、こうなるのかもしれない、どの作品にも落ち着きがなくて読み手を選ぶとはいえ、ね、という意見もありました。
再読には向かないから、課題はそこだ、たとえば素朴でいいから謎のスパイスが欲しくなる、いや、課題は山積かもしれない、作者は単に暇潰しの趣味として楽しんでいるだけなのかもしれないとすら思うことがある、という意見もありました。
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4091 : SENAKA debaser ('10/01/18 14:57:57)
意見が分かれた作品でした。
虚無芸人の道を究めている、という意見がありました。
面白い!という意見もありました。
上方漫才と大阪商人と筒井康隆、おもしろくなくはないが、ノリだけで練りは無いので二度は読まない、瞬発力で勝負しようとしているのかもしれないが、ネタとしては文化祭レベルだ、詩としてどう評価するかには個人差があると思う、という意見がありました。
悪い意味でしつこい何かがある、という意見もありました。
漫才詩の大衆化バージョン、ただし残らない、消費される作品ではあるけれども、もっと上を望んでしまう、という意見もありました。
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さて、次点佳作作品について触れていこうと思います。
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4080 : 手 坂口香野 ('10/01/11 18:11:07 *1)
は、優良へと強く推す声もありましたが、検討の結果、次点となりました。
しじみと乾麺、がなんとなく伝わりました。「かんめんしてください」、みたいな感じかなあ。なにかに打ちひしがれず、対象化する力ということはとても大事なことであり、この作品はそれを有効に使っています。と、言う意見がありました。
きっと、わたしは、わたしのままでいる空虚にたえられない。わたしは、わたしの身体のなかから、わたしを追い出してしまいたくてたまらない。わたしの身体はスカスカになり、あなたや、瀕死のルリタテハや、スズメバチをそのなかに呼び込んでゆく。わたしが耐えがたいのは、どこまでもわたしと世界が均質に、どこまでも溶け合っていきそうな予定調和ななまぬるい感覚を感受していることだろう。たとえば、私の体温と世界の温度がちょうど同じになって、なにも感覚として残らないふわふわした感じ。 この感覚をどこまでも拒否するからこそ、スズメバチを呼び込んで刺され 「あたしは胴体まで「つめたく」なりかけて/うう死ぬっすよこのままじゃ」というような、生きている実感の声が洩れ、「枯れ枝みたいなその手は火のように「熱く」」という感覚を、あなたを通してあじわうことで、生の実感を得る。そして 「かつて、この手をぎゅっと握ってくれるひとがいて/その手をぎゅっと握り返したということを」の言葉をきっかけに、世界はやわらかなモノトーンに変容し「そんなにあわてなくたっていいのにね」というような言葉が洩れる。ひととひととの関わりを書きながら、あなたの「あたたかさ」をわたしのなかへとどこまでも同一化して、そしてあなた「らしさ」の意味そのものはどこまでも私の外側へと放棄される。必要なのはあなたがそばにいる意味ではなく、あたたかみであり、あなたのあたたかみ以外はわたしの身体の接触にとってほとんど意味をもたなくなってしまうわたしのひととの関わり方の冷酷さと優雅さが心地よい。と、言う意見がありました。
最終連良いですね。ひょうひょうとしたたたずまいも良いです。気になる作者です。前半書き過ぎなので、もう少し読み手を信じても良いのかな、と思います。と言う意見もありました。
一方で、雑です。けれど、柔らかな良い味がありますね。惹き込まれそうになる記述は散見されます、が、やはり粗い、もっと酔わせてほしい不満が勝ります。次点佳作に推すかどうか迷いましたが、迷った作品は推さない、と決めてますので注目作品に留めました。と、言う意見もありました。
エンディングは良いですね。全体に冗漫に感じられるのは書かれるべきことに対して、身の丈でない表現が詰め込まれすぎているから。孤独について、一度、冬枯れの野や空を流れていく雲の自然描写だけで描ききってみてほしい。その中で、聖痕のイメージが生きたならば。と、言う意見もありました。
ごちゃごちゃ書かないこと。と、言う意見がありました。
詩想バラバラ。展開不明。と、言う意見もありました。
4111 : une fille une feuille はなび ('10/01/25 16:15:33)
これだけの少女性分析をこれほどのやわらかい言葉で書き、そこには上品な古典美まで付帯している。唸った。選評はやってみるものだ。と、言う意見がありました。
悪くないのでは。性的にも機知的に働く筆の走り方が、女性の唇の端を輝かせます。上手い分量。と、言う意見がありました。
一方で、悪くないのですが、パンチが足りないです。「ひつじへの逆行」が読み手に受け取られるかどうかが分かれ目で、私はその部分が響かなかったけど、好きな人は好きかも。と、言う意見もありました。
ガーリッシュな小品として、まずまず、でしょうか。 逐一、フランセーズで書いて対訳を併記するスタイルを定着させても面白いのではないすかね、他に適役も見当たりませんし。と、言う意見がありました。
特に注文を付けるところはないが、読んでも何も感じなかった。と、言う意見もありました。
4099 : マルタおばさんは言った 岩尾忍 ('10/01/20 21:47:49)
マルタおばさんが怖くてイカス。という意見がありました。
一方で、一連と最終連以外は心をつかまれましたし、一気に読めました。散文の構成としてなら最終連のあり方も良いと思います。絶望を語るより、感じさせる(絶望と書かずに)それが出来る作者のはずなので、少し残念に思います。という意見もありました。
達者な書き手でもあるようですが、狙い過ぎて品を落としている。惜しい。と、言う意見もありました。
「布をぜんぶ片付けてしまってから、笑うでしょう?マルタおばさんって機知とユーモアにあふれていて、おばさんの箪笥をつかって、ひとつのお話をしてくれたんじゃないかって思えたのです」というはなびさんのレスが秀逸。この部分を感じさせるようにすれば、とてもよい作品になるのでしょう。と、言う意見もありました。
筆力が無いわけではないが、つまらない寓話を読まされてうんざりした。なにが絶望だ馬鹿馬鹿しい。絶望の惨苦を味わったことが無いことは明らか。と、言う意見がありました。
寓喩と散文性への鞍替え。どんな種類の詩が書かれてもいいのだが、岩尾さんの才能からすると後退と映ってしまう。と、言う意見もありました。
4113 : 警察に通報します snowworks ('10/01/26 01:47:31)
悪夢のような詩篇。各聯冒頭に「警察に通報します」が頭韻のようにかぶせられ、それが各聯それぞれの律動をつくっている。達者だ。と、言う意見がありました。
「これまでどれだけの時間を失ったんだろう/ どれだけの私を失ったんだろう、/ 彼らの未来をも破壊してしまった」などや、一連の各部位などいらない部分も目につきますが、それよりも書きたい衝動と力量よりも大きい詩に近い、達するまでの経過を感じさせます。かなり力ずくですが。蛇や責任転嫁と殺意は詩として比喩として素材として全て珍しいものではなにのに、作者が書くと、(おそらく知識がない作者だから)新しさを感じさせられて、再構成的な雰囲気を持ち、詩に息が吹きこまれるようで不思議です。まだまだなのですが、上手い作品よりも貴重に思えました。と、言う意見がありました。
かなり謎な作品ですが、ラストの一行がやたらと迫力があります。と、言う意見もありました。
一方で、びっくりするほどつまらなくて、読んでて悲しくさえある。と、言う意見がありました。
失ってゆくことを、それそのものとうけとめ、わずかにでもその衝撃をやわらげるためにことばは、ぶつぎりとなって、つぶやくように吐かれるのだが、うしないつつあることをわずかに遅延させるように、また失われることから回復するように、という、失われつつそれを頭の片隅に置きながら、事態を回収しようという切迫感が書ききれていないことが、幅をせまくしている。と、言う意見もありました。
4067 : 鰐 右肩 ('10/01/05 00:10:51 *1)
うまい文だなあ。散文詩もこのような安定的な文で書かれるといくら散文詩ぎらいの僕でも快哉を叫びたくなる。と、言う意見がありました。
二連まで素晴らしいと思い惹きこまれもしました。「積石は厚焼きビスケットのように割れ、割れ目から星が生まれ」この綴りも絶妙だと思います。それだけに三連から毎度のごとく格言的な主張に傾倒しつつあるのは残念です。性的綴りも作者は意図的に過ぎるとわかる部位があるので、何故か平静に読ませてしまいます。カニバリズムの淡々としたあり方が書けそうだっただけに悔やまれます。と、言う意見がありました。
振れ幅に比較して作用が狭苦しい。モチーフはとても魅力的だと思うので、もったいないですね。 と、言う意見がありました。
右肩作品にしては珍しく故意に「臭う」のも、個人的にはいただけないです。と、言う意見がありました。
ひかえめな筆致がとても似合う。 「鰐の故郷、ミシシッピ川の丈高い草に覆われた川辺はとてもよいところだ。 /僕と鰐は古代の城壁に沿って延々と歩くだろう」このようなささいなところに、幸福感をかんじてしまう。 と、言う意見がありました。
一方で、鰐を「鰐くん」と呼べないもどかしさ(ほとんど自分はこれは童話だとおもっているんですが)を感じてしまうので、それゆえに相補的でなくなってしまうことの損失をおもえば、優良に押すことができないでいる。と、言う意見がありました。
しっかりした文章で読みごたえがあったのに、後半、説法になってどっと白けた。説法は控えめに、説法したいことも説法ではない描写で伝えるのが詩人の筆力だ。と、言う意見がありました。
4085 : 蒲公英の咲く散歩道 はなび ('10/01/15 21:08:01)
ある年齢を過ぎた女性の体液のにおいには、どぶ川の匂いが混じっているように思います。逆に私は暗い気持ちで色街をうろついているときなど、ドブの匂いに性的なものを感じて、心が少し軽くなったりするときがあります。冒頭、どぶ川が出てきて性交の想起がありますよね。そういう、おそらくは直感で書かれたイメージの並び方が非常に正確で、快く読みました。と、言う意見がありました。
地味ですが、悪くないのでは。もう少し掘り下げてもよかったと思うし、照射の具合を変えるだけで更に良くなりそうな作品でもあります。 と、言う意見もありました。
これはこれでアリなんでしょうが、ボリュームの割に中身が少なく、はなびさんにしては生っぽく偏った冒険はしているのかもしれませんが、まとめきれてませんよね?と、言う意見がありました。
一方で、心象風景の描写はそれなりにちゃんとできている。それなりにだ。美しい文章を書く気が無いのかセンスが無いのか、余計なことに走る。この詩はもっとストレートに端麗な文章であった方がいい。と、いう意見もありました。
作者の筆致はすきですが、この作品はすきになれません。比喩にしてあるところも、そのまま書いてあるところも隙間がないというか、全て書いてあり、全てが分かってしまい、花江の何も知らないはずなのに知らされてしまっている感覚に襲われ、そこから作品の奥が立ち上がってきません。連をいくつか削いだ方が良いのでは。と、言う意見もありました。
散文形部分が終わったのち一行字数の少ない行分け部分に移行してゆく。これが蛇足だとおもう。それさえなければ「月間優秀賞候補」だった。と、言う意見がありました。
4075 : 瞳の奥10センチメートル snowworks ('10/01/11 07:39:20)
非常に巧緻に企まれている。運命的な対象と出会ったのか自分自身と出会ったのかが意図的に攪拌されているのだった。と、言う意見がありました。
3つのストーリーを読みました。一つは他者とのデート(の失敗)。一つは鏡とのジゴク的会話。もう一つはそのオーバードライブ(の停止)。最後の読みには、デートに連れてきていた自問自答を潔く中断して新カノジョとの会話に戻る彼の姿がありました。試みとしても面白いし、なんか楽しいです。と、言う意見がありました。
面白かった。第一連と第3連は生活していくうえで参考になるし、笑い。第2連、話自体は面白いのだからちゃんと詩文にできたら優良になる。と、言う意見もありました。
作者の作品は、うっかり読んでしまいます。面白いような気がするような気もする不思議さがあります。このまま、あまり現代詩に汚染されないで欲しいですね。と、言う意見がありました。
一方で、アイディア倒れです。シビアに徹底しないと台無し。拾いたいけど推し辛い、あとは好みでしょうね。半端なので読んでて少し苛々しました。もったいないです。と、いう意見もありました。
4096 : リミット・オブ・コントロール ぱぱぱ・ららら ('10/01/20 00:49:18)
「1」は非常に興味深かったです。そこから、もっと飛び越えていくのかと思ってしまいました。後半は形骸の後にしても、言いすぎかもしれないですね。形式も分かりやすく乱されず、もう少し何かトリックがあっても良かったのかもしれません。作者の作品は毎回、楽しみです。と、言う意見がありました。
つかみが強い。読ませるし展開も白いのですが、ラストが小さい感じがしました。「世界全体ががロボット」は誤記では。と、言う意見がありました。
第一連、第二連、すばらしいです。後半種明かしみたいになっているのがもったいなく惜しまれる。と、言う意見もありました。
4120 : I Need It Now. ヒダリテ ('10/01/29 00:25:57)
時事ネタ満載で、思想というか、「この世は全てユーモアなんだよ、報道も自分たちの枠組みの中で作ったことを逸脱だなんだと馬鹿らしいとは思わないかい」とでも言いたそうな域で、 現世の表層化と滑稽を突き詰めた作品。押尾容疑者のメール内容が特に印象的。こういう側面があったのか、と新たな言葉の向きに驚かさせられます。ただし、最後、終わり方は感心しませんでした。と、言う意見がありました。
手法は斬新ではないけれどもそれなりには楽しめました、つまり暇潰しにはなるかな程度には悪くない出来。ただ、どうなんでしょう、ギャグのレベルがあまり高くないところで頻出過多、さながら生殺しのダルい弾が出続ける玩具の散弾銃みたいなグダグダの流れは歓迎できませんね。失笑や苦笑ではなくて、裏を突かれて爆笑するような強力な地雷ネタを仕込んでおくべきだったのでは?また、良くも悪くも下品でないクリーンな循環、それを好むであろう読み手もいるでしょうが、やはりもっと毒はあって欲しい。SS系同人誌にありそうな、質としてはそんなところで可も不可もなし。と、言う意見がありました。
下関マグロという風俗ライターのかたが青山のある地下室でやっていた「はなし屋サロン」という企画がありました。いまでもあるかも。最近の「お笑い」はあくびの出る芸ばかりがもてはやされていますが、そういうアングラなところでなら、オンエアできないものも聞けます。この作品は、風俗嬢としての経験と TBSアナウンサーとしての経験を併せ持つ美女さんとかに、そういうアングラなところで朗読させたいテキストです。そういうのが僕は好きなのですね。しかし、読むのはかったるいし、ましてや詩として評価するのはつらいものがあると思います。これは耳から聞いたら面白い、という作品じゃないかな。詩は感じませんでした。と、言う意見もありました。
娯楽作品であろうに途中で眠くなった。と、言う意見もありました。
Debaserさんの「SENAKA」は良かったのだが、これは自分的にナシ。猥雑すぎて、処理しきれなかったというのと、コンパクトでなかったことがダメだった。納得できるように書けないのだが生理的に受け付けなかった、ということで。すいません。と、言う意見がありました。
端的にいえば作者が面白がっているものが笑えない。読み進めるのも辛い。と、言う意見もありました。
4081 : ダンス ぱぱぱ・ららら ('10/01/11 23:55:29)
は、意見の分かれた作品でした。優良に非常に強く選者もいたのですが、概ね不評でした。
この作品は実に素晴らしいんですが、その素晴らしさをどう言葉にしたものか迷います。これは、一見どうでもイイ、すかした作品に見えるかもしれませんが、ここで交わされる会話は、架空の会話とは思えない濡れた質感を持っています。私に踊り子さんとの恋愛経験があるからそう感じるのか。いや、たぶんもっと一般的なものでしょう。こうしたテーマに取り組むことは見た目ほど安易なことではありません。ロマンチックで好きです。と、言う意見がありました。
一方で、形骸の先をやろうとしていることは解ります。舞城さんのように、それは可能性を生み出すかもしれません。この作品は、わかりませんでした。と、いう意見もありました。
ダメと、言う意見もありました。
そっけな過ぎ。それがこの人の持ち味で、効果を醸すこともあるのだが。と、言う意見もありました。
4079 : 人の名 荒木時彦 ('10/01/11 17:42:35)
非知の領域では逆に「記憶」されるものの実体に近づく、と作者は歌っている。奇異ともとれる「スレート」の効果が重大なのだった。と、言う意見がありました。
一方で、四行は佳い。ここに関する「人の名」という比重が、私には場違いに思えました。という意見もありました。
これはちょっとないんじゃないか。 「これで遊んでくれよ」みたいなのは先月だけでノー・サンキュー。と、言う意見がありました。
悪くはないが、たったこれだけの物量で唸らせられるほど研ぎ澄まされてはいない。と、言う意見がありました。
4104 : 雪夜 凪葉 ('10/01/22 00:30:11)
りすさんの返信の言葉が良質のすべてを語っている「「受容体」としての「わたし」の意識の流れとして読むと、光と影、黒と白、といった色彩を契機とした反応がまず第一にあり、次に方向の感覚が生まれ、歩行が始まり、温度を感じ、降り積もる雪の中で、それらが次第に遠のいていく感覚が丁寧に描かれています。」このりすさんの言葉に付け加えることはなにもない。と、言う意見もありました。
文学極道の散文作品に触れてきたんだな、と分かる作品。作者の持ち味を、もう少し大切にして欲しいです。 良い素材です。静やかさが際立つので、もう少し文章に気をつけて欲しいと思います。書きすぎてはいないか、伝わる部位まで念押しして下げてしまっていないか、どうか。 呼吸は本当に、これで良いのか。過去、何人もの人が挑んで来た詩情が全篇にあるので、そこから一歩先を。なんだか作者には、もっともっとを望んでしまいます。多分、それは良いことだと思います。と、言う意見もありました。
一方で、これがなぜ詩であることを目指して書かかれなければならないのか、私にはわかりません。小説にすべきでは。と、言う意見がありました。
浅井さんとりすさんのレスに付け加えることは特に思い浮かびません。期待はしています。と、言う意見もありました。
別途ブログに掲載されているとおり、阿部氏より、これみよがしな文体が気持ち悪い。ところどころ修辞に甘さ、ほころびもある。と、言う意見がありました。
それに対し、ダーザインからは、以下のような意見が述べられました。
「凪葉さんに対する阿部さんの評価はどうかしているんじゃないか、恣意的に貶そうとしているのじゃないかと思うほど客観的でない。自己疎外ポエム、つまらん自分語りだと阿部さんは言うが、私(人間)のいない作品など最初から読むに値しないし、そのようなものを書く者は最初から書くべきでない人間であり、またこの作品はリスさんが詳細に美質を述べているとおり、私語りに終始するものなどではなく、私のいる世界を描いている。凪葉さんの良作は常に世界内存在として、存在そのもの光源に照らされている。次点にしか推せなかったのは、浅井さんのコメントと同じ理由です。浅井さんが「飛躍」と述べた凪葉さんの成功時の立体感の仕込みが無かった。また、修辞上の細かい荒も多々見られます。繰り返しますが、私は凪葉さんを本来的な詩人だと認識しており、阿部さんのおかしな評にめげないで描き続けてください。」
4095 : 水たまりに 荒木時彦 ('10/01/19 20:43:41)
は、総合するとけしてよい評価ではありませんでしたが、推薦する評者が複数ありました。
一聯、二聯はすごく喚起力がある。と、言う意見がありました。
悪くないです。なので、凝縮のあり方をもう少しだけ変えてみても良いのかな、と思います。荒木さんは、もう自分の書き方をきちんと知っている方なので。と、言う意見がありました。
一方で、いや、わかりますけど、読者に委ね過ぎ以前に、ボリュームの問題ではなくしてこれは平坦。順列と組み合わせで見逃しがちな美や機敏を描こうとする、その姿勢までは悪くないにせよ「負けない戦法」を殊更に評価したくはないです。と、いう意見もありました。
短詩は完璧でなければならない。些細な荒が致命傷になる。とても涼やかで透明感のある美しい詩だが、第3連、もっと書きようがあったと思う。と、言う意見がありました。
「カーテンのすきまから射す光線を手紙かとおもって拾おうとした 早坂類 」という作品の透明度にはとても及ばない。 透明感の表現にもっとふみこんだ表現がほしい。と、言う意見がありました。
4083 : (無題) マキヤマ ('10/01/13 02:43:38)
は、総合するとよい評価ではありませんでしたが、推薦する評者も複数ありました。
シャープで良い。と、言う意見がありました。
作者の中でも一番のできなのでは。連鎖とズレが、それに伴う語彙のわざとなまでのありふれ方が配分を印象づけます。と、言う意見がありました。
一方で、だが何回も同じことを言わせるなっつーの。もうお前の思わせぶりなパターンには飽きたから、スタイル変えてくれ。 描きこんでみてくれ。という意見もありました。
夏を迎える海が叙景されているようだが、伏流する「情」がなく書かれた言葉も実際は残骸だ。と、言う意見がありました。
4109 : 砂抄‥ 或いは冬浜の枯れ木 常悟郎 ('10/01/23 17:36:27 *3)
は、評者の意見を総合するとけしてよい評価ではありませんでしたが、推薦する評者も複数ありました。
古風だが地味に良い詩です。と、言う意見がありました。
オムツが完全に浮いています。レスを読むまでなんだかわかりませんでした。脳から出して海に流すって、忘れるとか、表現するとかいうことですね。海に向ってバカヤローと叫ぶ、みたいな。そこは設定としても安易ですし、この表現では父のオムツであること自体、伝わりません。にもかかわらず、良い作品だと私は思いました。読むことが楽しかった。私も四国の生まれですが、瀬戸の寂しげな風景もなんだか目に浮かぶように書かれています。と、言う意見がありました。
一方で、「‥命はすべて /冬の海へ /帰依してゆく‥ 」と言いきってしまう感性に、言うべきことはなにもない。という意見もありました。
別の詩サイトに発表したギャグっぽいものを下敷きに大幅リライトしてますね。まぁ、二点であれ三点であれリーダーは詩作品との適性がよほど工夫しないと、作品そのものが劣化して見えます。これも酷いですね。もっともっともっと誠実に努力してほしい、それがいつまで経っても作品からは見えない故の苦言です。感傷の上っ面だけを適当な字面で撫でても、詩情は、けして灯らない好例というか悪例。また、良し悪し、面白いかどうか、それら以前に、酔い過ぎていて見苦しく話にならない。レスの中二病的情熱を詩作にこそ注ぐべきです。と、言う意見がありました。
言葉が硬い。それと作者が詩法と信じているもの、それ自体が気持悪い。何もいう気がしないのだが、僕が悪い意味で鳥肌の立った修辞を適当に列挙してみよう。《‥命はすべて/冬の海へ/帰依してゆく‥》《‥幸せは零れゆく》《こころの歳磁器》。こういう修辞を読まされることが拷問になる、とこの作者は考えないのか・・・と、言う意見がありました。
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惜しくも選からは漏れましたが、その他、以下に挙げる作品が注目されていました。
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4112 : 消える WHM ('10/01/26 00:30:24 *1)
大方の評者が落選としましたが、優良に推す人もいました。
すごくすっきり読めた。長さも寓喩の質もよい。カラフルで魔術的。と、言う意見がありました。
一方で、だからどうしたとしか言いようがない。という意見もありました。
4108 : ワイルドの部屋 びんじょうかもめ ('10/01/23 16:45:24)
大方の評者が落選としましたが、優良に推す人もいました。
平滑な文体。乾いていて良い。寓意詩とも生の断片を切り取ったものとも読める。と、言う意見がありました。
作者の作品の中では一番よいと思いました。乾いた感触が良いですね。 それを高めていくためには、中間部が語り過ぎで、読み手に寄り過ぎに思えます。最終部も。空気感は良いです。と、言う意見もありました。
一方で、下手ではないが胸に残るものが無い。すれ違いについて書きたかったようだが、言葉遊びに終始し、重篤な生が無いので、読んでも何も感じない。と、言う意見がありました。
4058 : 太古の秘密 ナツイロ ('10/01/01 00:53:10)
大方の評者が落選としましたが、優良に推す人もいました。
感銘に値するのは、聯が衝突性をもって並べられてスパークを放ち、同時に聯の理路が繊細につくられているということだ。力が健康・幸福に拡散拡大してゆくような措辞だけで詩行がつくられている。詩行がそれ自身でみちている、といってもいい。と、言う意見がありました。
プレヴェールの最上の詩篇と似たようなものを感じた。と、言う意見もありました。
一方で、わかり安さに傾き過ぎている。と、言う意見がありました。
まともな作文書いてから出直してくれ。と、言う意見もありました。
4073 : one love 白い黒髪 ('10/01/08 11:25:39)
大方の評者が落選としましたが、優良に推す人もいました。
タイトルが秀逸。タイトルだけで映画になります。とても表現できないような蜻蛉の羽のような記憶を、丁寧に描いています。ラストの開いたり、閉じたりというところも、胸に迫りました。と、言う意見がありました。
一方で、何か、「まったくつかめない詩」。と、言う意見がありました。
花火、いじめられた記憶、そして一つの終わり。記憶を閉じたり開いたりする遊び。から何か良いものが書けそうな。単純に諸々が下手です。と、言う意見もありました。
文章になっていない。筆力のある人の小説なり詩をたくさん読んでほしい。と、言う意見もありました。
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以上です。