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はがれた爪のように 水面に言の葉を散らしていきます 白い光の底として たゆたう水が満ちていきます 明るい音がしないのは 洞窟に光がこもるから わたくしの 腕から ほら 目が 生えていきます わたくしの二の腕から 目が いくつも いくつも 生まれては そう 増えていく うっすらと その目が 開かれ なにがほんとうでなにがうそで なにひとつ悪いことをしていないのに 信じることができずに あなたの指を落としていきます 音がして あかい血が水面をただよい きれいにうずをまくころ 指が くらがりの底に 沈んでいきます あなたに 知ってほしくて わたくしの肌を うすく一枚そぎます そうして あなた の 指 が しずむ とき わたくしの腕に 目がひとつ生まれます わたくしの肌が そがれるとき わたくしの脚に 鱗が一枚うまれます わたくしが たくさんの目をもつ魚となったとき あなたは ひとつの洞窟につつまれた湖となって 暗い底から光をたたえます しずかに憂いながら 泪のかわりに真っ白な微笑みをうかべて 横たわっているのです あなたは わたくしという洞窟にとじ込められた 泪をたたえた 湖なのです あなた の 指 を おとしては はだを 一枚そいで いきものの水がたまって わたくしの腕に 生えた目が濡れてひかり わたくしの脚に エメラルドの鱗がうまれて その光を底として いのちの水が満ちていきます その紅くとうめいな水をのんで 悲鳴を偲びながら 爪のような言の葉を漂わせていきます ほの暗い過去が髪の長さとなり 裸の背に月の光を浴びながら わたくしの胸に抱えられてあなたの眠った蒼白の顔が微笑み 水底から浮かび上がります*本当は縦書き中央揃え
壁にも 空いた、うすぐらい あることに気づかれず 探せば見つけ出すことができる 半ズボンが壁から抜け出してくる 小学校のひび割 ...
はがれた爪のように 水面に言の葉を散らしていきます 白い光の底として たゆたう ...
そのうしろ背の壁に 白い顔が浮かびあがっている まっすぐ見ている眸に 群れのひとたちの歩き出しに くすむ羽をすぼめている 行 ...
とかげの足音を拾っていくと 「かげろう」と呼ばれる庭で行き詰まった 兄さん あれは生き別れの兄さん いいえ 姉さんだった ...
― 楽あれば苦あり 苦あれば楽あり そう呟いて生活を、な 描き続けた。ずっと、ずっと。 まぁ、はっきりと解ったんだ ...
悪魔の子どもが生まれたって、言わないで欲しいんだ。カシミールで毛皮を売っている彼の、その柔らかい頬に浮かんだ笑顔みたいな、そ ...
こんにちは こんにちは いつのまにか そう いつのまにか わたくしは しろい光の表にて 目覚めるようになっていた なまえは 知 ...
ちぎった耳のような暦の頁があり 「もう自分は大丈夫、と 微笑むけれども 通り過ぎる風の縁に ふれると 沈黙してしまうのは 「ま ...
放棄された埋立地を 一体の透き通った者と 連れ添って歩く 雑草に覆われはじめた アスファルト面のそこここに 立ち昇る無の陥没 ...
シルビアは恋人の兄のマルコスに「デブだ」とからかわれても、黙って 顔をそむけるだけだった。雨上がりの日曜日。表通りのアスフ ...
風の強い夜だ 下弦の月のまわりに 虹色の光の輪を作っていた薄雲が通り過ぎる 窓辺に焼きついた油色の日々が ガラス板から流れ落ち ...
はじめに くらやみがあって (ここまでくるのにながい夜をくぐってきた 一枚いちまい重ねられていく 生まれるまえは まったくの ...