22 : 暖かい感触 平川綾真智 '07/03/15 15:32:13 *2 [Mail] [URL]
― 楽あれば苦あり 苦あれば楽あり
そう呟いて生活を、な
描き続けた。ずっと、ずっと。
まぁ、はっきりと解ったんだが
ありゃぁ 、 嘘だ。
描いた年数を観つめたら、
苦しかモチーフなんて無く
楽なんざ何処にもありゃしない。
うん。だけど、だな
描ききった苦の先に 見つかるんだ
言い難い色が。
塗り込めたい色を手にして
私は、筆を止められやぁしない
顔に叩き付けてみた湯は 脳裏に恩師の言葉を被せる。
露天温泉に浸かる今日 見上げた薄く延びる紺へと
上る乳白の雲を描けず、あえぐ私の脳裏には
恩師の言葉が流れ続けた。
土が寝呆け、欠伸し吐き出す 朝もやいに包まれて
霞んでいった私の中身。
昨日までの生活が熟む、こびりついた汚れは重く
あえぐ筆の動きを鈍らせ 紺に雲は上らない
身体を静かに湯で擦る。
もやいの中で、霞むことない恩師の言葉
そうだどうして 土の寝呆けた欠伸などに
恩師の言葉が霞むものか
立ち上る脳裏へ私はますます、静かな擦りを太らせる。
擦れば中身に霞みは消えて あえいだ筆は軽く動き
再び見上げた延びいく紺。私が描く乳白の雲は
見事なまでに上り行き、そうか
全ては擦れば落ちるのか なんだ
心の汚れは 、 水性か
薄い紺へと乳白は 色彩を変えて上り続ける。
私が描くこれからの日々は 言い難い色に全て、満たされ
決して筆が止まることはない。
まだまだ包むもやいの中 いつか空の先までも
必ず描きあげる私。
伸ばした筆へ湯を叩きつけ 私に私は、期待を上塗る。
描き出された未来へと、浸かる
恩師がくれた暖かい感触。
これから熟み来る苦が全て
楽しく 、 私は仕方ない
>> permanent URI: http://bungoku.jp/pbbs/20070315_225_22p
凪葉 :
読ませて頂きました。
題名の通り、暖かさが残る作品だなと感じました。
文はとても掴みやすく、素直に言葉が入ってゆきました。
下手な言葉で流れを崩さす、ラストまでゆったりと流れてゆきました。凄いな、と感じました。
衝撃は
心の汚れは 、 水性か
です。
この言葉はクリーンヒットしました。思わず、「そうか水性かっ!」と言いたくなるくらい。
そこからラストへ向かう辺りもとても好きです。
読んでいて、込み上げるものを感じました。
私が描くこれからの日々は 言い難い色に全て、満たされ
決して筆が止まることはない。
まだまだ包むもやいの中 いつか空の先までも
必ず描きあげる私。
この文の、真っ直ぐさに心打たれました。
決して揺るがないであろう、力強い意志を感じました。
違和感を感じた部分は、ラストです。
これから熟み来る苦が全て
楽しく 、 私は仕方ない
仕様だとは思うのですが、どうも違和感を感じてなりません。
これから熟み来る苦が全て
楽しく
までは良いのですが、やはりその後の
私は仕方ない
だけが浮いている気がしてなりません。
かといって、
これから熟み来る苦が全て
楽しくて
とするとありきたりにも感じますし。
そう考えるとこれはこれでいいのかなぁとも思ったり。
時限の低い感想ですみません。
では。
あ、あと、恩師の言葉が気になりました。
気になって、もう今夜は眠れないかもしれません。 ('07/03/17 23:26:36)池中茉莉花 :
わかりやすい言葉なのに、選び抜かれた言葉。
そして語られる場所の設定。
平川さんがいつもおっしゃっている「作品にする」ということの意味が
この詩の中にもあらわれていると思いました。
わたしの場合、苦しいから、生きるために書き続けています。
まだまだ作品にはならないわたしですが、そこの部分が平川さんと
もしかすると共通するのかと思い、少し嬉しくなりました。
(わたしと一緒にされるのは失礼なこととは存じつつ。)
「恩師の言葉」についても、わたしもいま、詩にしてみようと模索して
いたので、びっくりしました。
わたしも、凪葉さんとおなじで、「恩師の言葉」がとても気になります。
読ませて頂きありがとうございました。 ('07/03/21 17:42:46)匿名 :
僕がかんじたのは、ホワイトロリータです。
ブルボンの甘くさくさくしたおやつ
バターじゃなくマーガリンが代わりに主張する。
本当は青いんです。
心の汚れは水性
これじゃ、とびきれない。
心は磨くもの
ぐらいは、いってもらわなきゃ、
「汚れ」なんて言葉をぶっとばすほどの光と影を希望。 ('07/03/22 10:32:59)池中茉莉花 :
私が昨日書き込んだ、「苦しいから書く」というコメントは的はずれだと
わかりました。お詫びします。
なんとなく、「恩師の言葉」がほんの少し見えたような気がしています。 ('07/03/22 14:28:51)田崎 :
こんばんは。
自分で意識しているにせよしていないにせよ、書いたり話したりすることには何らかの意図や狙いが存在していると思うのですが。
この詩の内容だけに目を向けた場合、おそらくこの詩を気に入る人は、平川さんの「真っ直ぐさ」とか、「純朴さ」とか、「人間味」とか、「信念」とか、そういったものを作品から感じて、(恐らくは感情的に)感動するのではないかと、思うし、平川さんもそれは、意識しているにせよしていないにせよ、わかって書いているのだと思います(多分)。
表現というものに必ずと言っていいほど、付き纏ってくるこのような構造にも目を向けると、僕はこの作品の内容に感動するとかしないとかいう以前に、興醒めしてしまいます。あからさまに「感動してください」と言って出されたものに、まんまと感動する気になんて僕はならないですね。ただこういうのは、三人称を中心にして、フィクションとして出したら、恐らくそういうあざとさは幾らか、あるいは大分、消えるのかなーとも思うのですが。
あと、前にも指摘させて頂いたことですけれども、連末のリズムが余りにも目立ち過ぎて、これも興醒めしてしまいます。>紺に雲は上らない
>心の汚れは 、 水性か
>楽しく 、 私は仕方ない
平川さんは効果的だと思って書いているのかもしれませんが、6・5とか7・5とか8・5とかの韻律はあまり目立たせない方がいいのではないでしょうか。目立たせると途端に歌みたいになって、これもあざとくて僕は詰まらなくなります。古典的な印象になっちゃいますし。
古典的、と言えば、平川さんの詩にはよく感じるのですが、このような題材や「私」の感慨も、古典的というか、前時代的というか、「恩師」とか、>まだまだ包むもやいの中 いつか空の先までも
>必ず描きあげる私。
>描き出された未来へと、浸かる
とか、普通に書いている平川さんに、正直、実際の年齢差以上のジェネレーションギャップを感じてしまう僕です。
いつも生意気に酷評で済みません。それでは失礼しました。 ('07/03/31 02:35:40 *1)平川綾真智 :
取り敢えずご挨拶までに。
皆さんコメント有り難うございました。
田崎さんには 「新屋敷二丁目〜」の方を批評いただきたかったかな、と。
かなり書いたのは前なのですが、珍しく直球で好きな作品だったので投稿しました。
多く勉強になりました。
ありがとうございます。
失礼します。 ('07/03/31 22:52:31)田崎 :
なにか、ひっかかるところの指摘だけでも片手落ち、かも、と思いまして、
もちろん、比較的直情的ではない、2連目以降の、「私」の思いを導くまでの、求心力がありながらも躍るような描写は、見事だなというのは、前提として思ってます。平川さんはこういう文体をわりとナチュラルに書けてしまうのかもしれませんが(よくわかりませんが)、やはり良い意味で独自性のある文体だと僕は感じています。別にえらそうにわざわざ僕が言うことでもないのかもしれませんが・・・・・・。 ('07/04/01 03:35:32 *1)草野大悟 :
平川さん、こんにちは。
拝読
この作品は、素直に、すんなり心に染みてきました。
特に、三連の
全ては擦れば落ちるのか なんだ
心の汚れは 、 水性か
には、ニヤリとしました。
ただ
朝もやいに包まれて
あるいは
もやいの中で、霞むことない恩師の言葉
で使われている「もやい」との言葉
これ、「朝もや」「もや」のこと
それとも、「もやい」という方言を認識して
書いたのかな?
その点が、気になりましたが、
平川さんの重いがそのまま出ている感じで、
良い作品だと思います。 ('07/04/01 13:40:50)名前はいらない :
装飾過多で胸焼けがする。
自らのレトリックに対する批評がまったくない。
たとえばこの行> あえぐ筆の動きを鈍らせ
筆をあえがせ
ではいけないのか?
この行は最悪の部類。
名詞にかかっている形容詞が動詞と同語反復しているので、「筆」の状態は動詞がかかる以前とまったく変わっていない。 ('07/04/02 18:10:48)平川綾真智 :
コメントありがとうございました。
草野さん、好評で何よりです。引っかかった点を明確に書いてくださり勉強になりました。
名前はいらないさん、指摘ありがとうございます。もう一度距離を置いて読んでみます。推敲の際への勉強になりました。
ありがとうございました。 ('07/04/03 15:36:17)池中茉莉花 :
再レスです。
詩作に限らず、何かをやり続けるうちに自分の限界かと思うようなことに向き合うこともありますね。でも、恩師の言葉を
いつも思い起こし、文極にあつまる人々の成長を望むのと同様に、ご自分の成長を常に求める平川さんの
真摯な姿勢が伝わってきます。
生きることそのものも書くこととおなじですし、この姿勢を胸に深くきざみたいと思いました。
なんだか、力をいただいたような気がしています。ありがとうございます。 ('07/04/06 21:43:12)ICE :
平川綾真智様こちらでは初めましてです。失礼します。
当方の詩に批評を頂いたときにも書いておりますが、全く食わず嫌いの多い当方の意見ですので浅い意見とは思われますが‥。
一読しまして、共感出来ないのが個人的に致命傷です。。
引用でしたらとやかくいっても仕方ないのですが、>描いた年数を観つめたら、
苦しかモチーフなんて無く
楽なんざ何処にもありゃしない。
うん。だけど、だな
描ききった苦の先に 見つかるんだ
言い難い色が。
全く当方のようなひねくれ者ですと、『希望』でなく『日々乗り切る為のあきらめ』に感じてしまい、少し悲しくなりました。(自分の黒さとみにくさに 笑)
引用で全てを語ってしまう気もしたので、最後に持ってきてもよかったのでは、などとも感じました。
主人公は素直に恩師の言葉を受け入れる風ですが、裏は無いのかなぁと、>これから熟み来る苦が全て
>楽しく 、 私は仕方ない
の部分が極端に綺麗事か、もしくは開き直りに思えてしまい、平川さんの人間性を存じません当方は、皮肉の詩かと勘繰ってしまいました。(やな人間ですが)しかしそれは個人的な考え方の差ですね‥。
雰囲気については、古風でやさしい印象で、教科書に載せられそうな感じがします。>朝もやい
>薄い紺へと乳白は 色彩を変えて上り続ける。
ふわりと霞む情景がありあり思い浮かび心地良かったです。
素人感想で申し訳ないのですが、やはり描写がとても巧いと感じました。
共感できる方には、本当に心に沁みて「うんうん、」と唸る詩なのだと思います。
失礼致しました。 ('07/04/14 09:58:13)シロ :
文章のうねりを感じました。
韻を意識されているのでしょうか、文章全体がとぐろを巻くようで楽しめた。 ('16/04/12 17:38:57)山田太郎 :
こんにちわ いつもお世話になっております。
「熊本地震3ヶ月目・連続震度7と1900回」関心をもって読ませていただきました。
最後の、「私は今回、自分が被災して初めて阪神大震災や新潟中越沖地震のこと、
東日本大震災の時に胸を痛めながらも何もわかっていなかったことを知りました。
自分を恥ずかしいと思いました。今、いろんなことに感謝する日々です。」
という発言がいちばんうれしかったし、ありがたいとおもいました。
さすがだなともおもいました。
わたしはおそらく唯一だろうと思いますが、阪神淡路大震災直後の大阪から神戸まで
を徒歩で歩いた男です。
途中、カメラを抱えた外国報道クルーやプロ写真家とも出会いましたが、神戸に近づくほどに
たったひとりになりました。
テレビでは神戸の惨状をばかり伝えていましたが、ほんとうの地獄はそんなところになかったのです。
決してテレビでは伝えられない、顔をそむけるしかない地獄はむしろ甲子園口から神戸へと至る
国道上に延々と続いていたのです。それをいまここで語ることもはばかれるほどに。
さて、神戸淡路大震災ほどの地獄ではないにしても、熊本での大震災を経験された作者が
いま、この詩をどのようにみているのか。わたしとしては、
これから熟み来る苦が全て
楽しく 、 私は仕方ない
という前向きな気持ちでやっていかれればいいなと思いました。 ('16/07/23 09:31:54 *1)玄こう :
>― 楽あれば苦あり 苦あれば楽あり そう呟いて生活を、な 描き続けた。ずっと、ずっと。・・・・
はじめまして、批評ができるよう、こちらで訓練させてください。
冒頭の恩師の言葉と、湯船に浸かるご自身と、この詩を綴るもう一人のご自身とが、ひとつの短い詩のなかに居てて、読者は彼や彼女の語りや想いを聞き分け、読みわけることができ、渾然とした三つ巴のパート、ソプラノ(湯船の彼女)、テノール(詩を執筆する現場の彼女)、アルト(恩師の忘れられない言葉)。詩のなかで歌われている、そんな想像を巡らしながら読む。
『過去、今、未来』をも、ひとつの短い詩のなかに、読む人の心の内に『現在化させていく』こと。
けっこう気を使っています。私は詩においてかなり意識しながら書いたりしますのですが、なかなかできない。だから、そんなところを読んで感じとれて、そういうふうに詩が書ける人を尊敬し学びたいところです。>心の汚れは 、 水性か
という詩句が面白かった。
湯舟に浸かる腕を私は
筆のように叩きつけて
ながら師を思い出して
詩をこうして書いてい
るんだぞ。そんな内実
そんな情景が、
伝わってきました。
あと
2016-07-19 (火)
(平川綾真智)さんの記事
読ませてもらいました。
今は、たいへんかもしれないが、乗り越えてください。あなたのこれからの執筆活動もよろしくお願いいたします。
読ませていただきました。 ('16/07/24 19:06:23 *6)
- ealis 3.0.10 + BUNGAKU GOKUDOU -