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ちぎった耳のような暦の頁があり「もう自分は大丈夫、と微笑むけれども通り過ぎる風の縁にふれると沈黙してしまうのは「まだ 傷がなくなったわけではない水面(みなも)に和紙がすべり落ち 白い影を浮かべる(いえ、受けた傷は痕として残ってしまうのです正しさとは何なのか少なくても「自分は間違っていないといくら訴えても だれも耳をかたむけてうなずいてはくれないのは夜中の電車が走り去る音と風の音が 胸に共鳴するからかあなたは そんなとき書斎の机に向かったまま聞こえないふりをしたり 怒ったり 理屈を言ったりでも わかるのはあなたも傷付いているということ目を合わせないのがその証だとしたら(だとしたら どこに この思いをぶつければよいのでしょうかあなたは過去というけれどわたくしにとっては 現在とおなじこと胸の皮を一枚 いえ 暦を一枚破り捨てる破り捨てたその一枚の肌に いえ 一枚の紙に水面にまた和紙がおちるあなたは そっと 拾い上げ 自分の胸の奥のわたくしには見えない 深い暗がりに 落としてしまった白い暦がちいさく舞いながらやみに消えていった「お別れはいわないのですか「苦しめ続けるのであれば もう お別れしてください「わたくしを染めないでください白い和紙が 幾枚も水面に浮かび 赤紫に染まっていく(そんなわたくしを あなたは おさえつけおさえつけ(なにを熱く叫んでいるのですかどうして (どうして 出会ってしまうのですかあなたの声は聞こえないあなたのこころがわからずにちぎった暦があり ちぎった傷がありちぎった写し絵があり ちぎった布がありちぎった文がありそして あなたは叫び(つもる紙が海を覆い尽くしていきましたいつまでも わたくしは あなたを見守りつづけ(つもる紙が海を覆い尽くしていきました「あなたはなにをみて どこにいるのですかわたくしのとなりにあなたがいることがわからないのにあなたはずるさ故に眠っている
壁にも 空いた、うすぐらい あることに気づかれず 探せば見つけ出すことができる 半ズボンが壁から抜け出してくる 小学校のひび割 ...
はがれた爪のように 水面に言の葉を散らしていきます 白い光の底として たゆたう ...
そのうしろ背の壁に 白い顔が浮かびあがっている まっすぐ見ている眸に 群れのひとたちの歩き出しに くすむ羽をすぼめている 行 ...
とかげの足音を拾っていくと 「かげろう」と呼ばれる庭で行き詰まった 兄さん あれは生き別れの兄さん いいえ 姉さんだった ...
― 楽あれば苦あり 苦あれば楽あり そう呟いて生活を、な 描き続けた。ずっと、ずっと。 まぁ、はっきりと解ったんだ ...
悪魔の子どもが生まれたって、言わないで欲しいんだ。カシミールで毛皮を売っている彼の、その柔らかい頬に浮かんだ笑顔みたいな、そ ...
こんにちは こんにちは いつのまにか そう いつのまにか わたくしは しろい光の表にて 目覚めるようになっていた なまえは 知 ...
ちぎった耳のような暦の頁があり 「もう自分は大丈夫、と 微笑むけれども 通り過ぎる風の縁に ふれると 沈黙してしまうのは 「ま ...
放棄された埋立地を 一体の透き通った者と 連れ添って歩く 雑草に覆われはじめた アスファルト面のそこここに 立ち昇る無の陥没 ...
シルビアは恋人の兄のマルコスに「デブだ」とからかわれても、黙って 顔をそむけるだけだった。雨上がりの日曜日。表通りのアスフ ...
風の強い夜だ 下弦の月のまわりに 虹色の光の輪を作っていた薄雲が通り過ぎる 窓辺に焼きついた油色の日々が ガラス板から流れ落ち ...
はじめに くらやみがあって (ここまでくるのにながい夜をくぐってきた 一枚いちまい重ねられていく 生まれるまえは まったくの ...