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はじめに くらやみがあって(ここまでくるのにながい夜をくぐってきた一枚いちまい重ねられていく生まれるまえはまったくの やみだったとうすぼんやりとした 陽だまりの まえにすわって鍵盤を たたいているちいさな 私を 私はみた とざされた 窓をやっとの 思いで あけてもそこにはまた とじた窓がありその窓をあけても そのむこうに窓が いくつもつらなっているたゆたう くぐもった水に うかぶ 子なにもかも 信じられずに目を とじたまま身を ちぢめていた求めてみても みちたりることはなくそれでも 求めることをやめられないのはこの地に 私の 居場所がないから といつのころか うすやみが あって私のなかの まったくのくらやみが光る海の 底になってやみが あおく 輝きを はなち子 が ただよっているうすやみにもまったくの くらやみにもとうめいな 光が さすことをひとたちは 黙せずには いられないわすれさられてしまった ひとにも陽の光は ふりつもるのだから私は ついていくことにした(そのひとは ひとの 祈り だった陽の 光を みあげる祈りは しずかに みちていくそのひととの あいだに 生まれるしずまりが目と口を とじた子 となって背をまるめ 手足をちぢめて私のまえに 浮かんでいたその子が くらがりにきえたあと私は その祈りのひとをひっそりと 抱きしめていた重ねられていくのは私が生きてきた みちすじ私の 傷あとと その祈りそのひとの よこ顔を 私はみつづける(そのひとは ひとの 祈り だった
壁にも 空いた、うすぐらい あることに気づかれず 探せば見つけ出すことができる 半ズボンが壁から抜け出してくる 小学校のひび割 ...
はがれた爪のように 水面に言の葉を散らしていきます 白い光の底として たゆたう ...
そのうしろ背の壁に 白い顔が浮かびあがっている まっすぐ見ている眸に 群れのひとたちの歩き出しに くすむ羽をすぼめている 行 ...
とかげの足音を拾っていくと 「かげろう」と呼ばれる庭で行き詰まった 兄さん あれは生き別れの兄さん いいえ 姉さんだった ...
― 楽あれば苦あり 苦あれば楽あり そう呟いて生活を、な 描き続けた。ずっと、ずっと。 まぁ、はっきりと解ったんだ ...
悪魔の子どもが生まれたって、言わないで欲しいんだ。カシミールで毛皮を売っている彼の、その柔らかい頬に浮かんだ笑顔みたいな、そ ...
こんにちは こんにちは いつのまにか そう いつのまにか わたくしは しろい光の表にて 目覚めるようになっていた なまえは 知 ...
ちぎった耳のような暦の頁があり 「もう自分は大丈夫、と 微笑むけれども 通り過ぎる風の縁に ふれると 沈黙してしまうのは 「ま ...
放棄された埋立地を 一体の透き通った者と 連れ添って歩く 雑草に覆われはじめた アスファルト面のそこここに 立ち昇る無の陥没 ...
シルビアは恋人の兄のマルコスに「デブだ」とからかわれても、黙って 顔をそむけるだけだった。雨上がりの日曜日。表通りのアスフ ...
風の強い夜だ 下弦の月のまわりに 虹色の光の輪を作っていた薄雲が通り過ぎる 窓辺に焼きついた油色の日々が ガラス板から流れ落ち ...
はじめに くらやみがあって (ここまでくるのにながい夜をくぐってきた 一枚いちまい重ねられていく 生まれるまえは まったくの ...