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この詩を読んでいることが、そのまま旅の時間となりました。この旅は「虹色の光の輪を作っていた薄雲が通り過ぎ」てから「窓辺に焼きついた日々が「油色」であるだけの重みがあるように思えます。「風の強い夜」に頭上の電線がざわめくのは、確かに人の心のざわめきに違いない。その苦しみにもかかわらず、<あなたは知っていますか つながれることのない手のぬくもりをと問い返せるだけの優しさを詩人は差し出せる。 そして、その優しさもまた、風の強い夜に自分自身を見つめるだけの自信がなければならない。<風の強い夜だ 俺のサイフには 黄色く色あせた写真が一枚入っており きっといつまでたっても 捨てることはできないんだろうと そんなことを思うこの最終行に私は詩人としての矜恃を見、励まされずにはいられませんでした。
壁にも 空いた、うすぐらい あることに気づかれず 探せば見つけ出すことができる 半ズボンが壁から抜け出してくる 小学校のひび割 ...
はがれた爪のように 水面に言の葉を散らしていきます 白い光の底として たゆたう ...
そのうしろ背の壁に 白い顔が浮かびあがっている まっすぐ見ている眸に 群れのひとたちの歩き出しに くすむ羽をすぼめている 行 ...
とかげの足音を拾っていくと 「かげろう」と呼ばれる庭で行き詰まった 兄さん あれは生き別れの兄さん いいえ 姉さんだった ...
― 楽あれば苦あり 苦あれば楽あり そう呟いて生活を、な 描き続けた。ずっと、ずっと。 まぁ、はっきりと解ったんだ ...
悪魔の子どもが生まれたって、言わないで欲しいんだ。カシミールで毛皮を売っている彼の、その柔らかい頬に浮かんだ笑顔みたいな、そ ...
こんにちは こんにちは いつのまにか そう いつのまにか わたくしは しろい光の表にて 目覚めるようになっていた なまえは 知 ...
ちぎった耳のような暦の頁があり 「もう自分は大丈夫、と 微笑むけれども 通り過ぎる風の縁に ふれると 沈黙してしまうのは 「ま ...
放棄された埋立地を 一体の透き通った者と 連れ添って歩く 雑草に覆われはじめた アスファルト面のそこここに 立ち昇る無の陥没 ...
シルビアは恋人の兄のマルコスに「デブだ」とからかわれても、黙って 顔をそむけるだけだった。雨上がりの日曜日。表通りのアスフ ...
風の強い夜だ 下弦の月のまわりに 虹色の光の輪を作っていた薄雲が通り過ぎる 窓辺に焼きついた油色の日々が ガラス板から流れ落ち ...
はじめに くらやみがあって (ここまでくるのにながい夜をくぐってきた 一枚いちまい重ねられていく 生まれるまえは まったくの ...