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読み。タイトル「空無通信」。「「空無」とは全く何も存在しないこと。空を否定的に捉える表現。」と辞書にはある。「通信」とはひとや手段によって、音信、意思、情報などを伝えること。とすれば、「何も存在しないことを、伝える」という意味だろうか。ペンネーム「ダーザイン」。ハイデガーからの影響の「現存在」。一般的には、ものが現実に存在すること。ハイデガーでは、「他の存在物から区別された実存としての人間。その自己の存在を認めるあり方」というぐらいの意味合いだろうか。ちなみに実存は、現実に存在するという一般的な意味合いと、自己の存在に関心をもつ主体的な存在という哲学的な意味合い。正確に詳しく書くともっと言わなくてはいけないのだろうが、このくらいで読めると思う。1連。捨てられた埋立地を透明な者と連れ添い歩く、という意味合いの出だし。読む手を引き込む良い出だしではないかと、思われる。がれきな地、そこには捨てられた物がそのまま残骸として残っているのかもしれないし、あるいは何もないのかもしれない。ただそれは空白のような地。「一体の透き通った者」とは「一人の透き通った者」というより、より物体あるいは存在するものというような印象を受ける。普通の人間と並んで歩くという感じはすこししない。2連。その埋立地の描写。そこでアスファルトの場所で、雑草があり、陥没した穴がある。「立ち昇る無の陥没痕」「ほつれた放心の縫い跡」など、いかにも生硬といったら失礼か現代詩的あるいは哲学的な感じの印象を受ける。ごつごつしている。1連の「放棄された埋立地」がどんな感じなのかここでわかるはずだったが、やや抽象的なほうへ逸れたか。3連。1行だけの「死の語り部たる永久凍土」。永久凍土からは、たとえばマンモスのミイラが発見されるように、死んだものをそこに閉じこめている。そこから過去の生きていたもののことを知ることができる。それは「死の語り部」と言ってよいのかもしれない。この1行は評価したい。4連。「遺跡化した新造建築物」というのは、どういう意味だろう。遺跡、過去の建築物の跡。新造建築物、新しく作られた建築物。たとえば、卑近な例でいえば、役所(なんとか庁とか)かどこかが、国民の税金を流用・私物化して作ったレジャーランド施設が破産し、そのまま放置されているのに等しい状態のものとか。住み手のない新築マンションとか。そういうものが現実的な例としてある。とすれば、「放棄された埋立地」にある「新しいけれど住む者がいない建物・廃墟」のようなものだろうか。その合間から、「コーラ缶の放擲軌道」。つまりコーラが投げられた、その弓なりになる放物線と缶が地面(あるいはアスファルトやコンクリート)とぶつかったときの音がした、ということ。を、詩的に表現したものと受け止める。5連。埋立地かその付近の下りの坂道に中央基線があり、それは片道三車線もの広い道であると察する。「三位一体の/空無」というのが一読すると何のことやら、このひとは、という感じだが。三位一体、キリスト教では、神とキリストと聖霊の3つ(三柱)の神のことをいい、それに優劣はないという見方もある。と、3つの要素が互いに結びつき、あるいは協力しあい一体ということ。で、3つ何がそれにあたるか探さなくては、この連の意味はとれない。まさか三車線のことではないだろうから。話者と、「透き通った者」といわば廃墟のような埋立地・遺跡化した新造建築物か。あるいは次に訪れるだれか。6連。3つの草花。作者は「3」という数字にこだわっているようだ。5連、6連、あとにある8連に「3」は出てくる。ちなみに「3」という数字は物事が安定する数字である。たとえば三角形、三角関係はせんぜん違う(マイナスの方向に力が働くが)が、3人トリオなどひとが作るグループの最小単位としても、バランス・調和がとれるので、この数字は重要である、と解釈できたりする。この草花に何か重要な意味があるのかないのかはわからない。ちょっと寄り道をしてみると、いら草:刺草、イラクサ科の多年草、山野の陰地に自生。コスモス:秋桜、キク科の一年草。また草の名前ではないほうの、コスモス(cosmos):秩序・宇宙・世界もかけているかもしれない。二番草:田植えをしたあとに2回目に行う除草。で、ここでは何の草花かは知らない(雑草?)。刈り取られた草の茎というぐらいか。季節は知識がわたしになくてわからないが、夏ぐらいか。けれども、2連では「冷気が放たれる」とあるので、冬ぐらいか。(ちなみに5月ころが田植えをする時期らしいが、地域や気候により違うのだろう)夏でも、冷気を放つ「陥没痕」はあるかもしれない。また作品が書かれた世界、虚構であるとするならば、別段不審に思うほどでもない。狭い現実に無理矢理作品を当てはめる必要もないだろうから。放棄された埋立地に、二番草?(本題に戻る。)7連。「おまえが通りを行く」の、「おまえ」はだれか。これまで登場してきているのは、話者と、謎めいた「透き通った者」という2者である。3番目の登場者は「透き通った者」とは別の存在だろうか。「空無」:何も存在しないこと・ものが、通り過ぎると、風が吹くという場面。風という目には直接的には見えない存在が、「野を分けていくのだ」で、風もまた「透き通った者」のようでもある。風が吹くそのあり様は、孤独な感じや、空虚な感じを現すことができる。「おまえ」イコール「風」かどうかは不明。8連。「風は三度現われる」という出だしは良いと思う。「放擲と/放心と/今再びの放擲と」、これは、「コーラ缶の放擲軌道」もそれに当たる部分かと推測できるが、具体的にはどれに対応してのことかは不明。探してみるのも面白いかもしれないが、ここでは省く。そして「降り仰ぐと/身を捩る陽光」という展開は鮮やかと言ってよいかもしれない。9連。さて、ここまで、わたしの読みを読んでいるひとはいるのかどうか、うんざりしてスルーしているのではないかと、思いつつ。さらに読む。この連は重要な場面・転換・展開であると思われる。「とりわけ巨大な陥穿の底」、の、「陥穿」という言葉はわたしは知らない。穴のことだろうか。陥:おちいる、不足の意。穿:穴を掘る、あばくの意。イメージ的には、たとえば爆心地(たとえば核爆弾・核弾頭の爆心地とか、企画されたが後に放棄された経済的政策・建造物・工事物の穴とか)の中心、クレーターの底から見上げた空に積雲の輪郭があった、というぐらい。意味的には、もっと批評的な事柄が隠れていると思われるが。すこし計りかねる。何らかの事件・事故のためにできた「放棄された埋立地」の中心点に着いたのだろうか。10連。「一条の冷光がお前を射る」という詩句も鮮やか。3連の1行の詩句もそうだが、センスの高さはうかがえる。まさにこの1行は、「一条の冷光」となって、「読者」を射る、かもしれない。「お前」は、だれか。7連の「おまえ」とおなじく、だれか。11連。その「お前」だろう「光の剣に貫かれた者」が、「焦点位置へと/浮遊する」とある。たとえば実体のある人間は浮遊するだろうか。肉体をもった人間が、幽体のように、かすみのように、透明な者のように浮遊するだろうか。まるで肉体の重さを持たない者のよう。「立ち昇る」、蒸気のように、肉体が死に魂が抜けでるように。「脱自する」、造語なのか、哲学的な術語・用語か何かなのか、不明。自らを脱する、か。存在を抜け出るのか。肉体から魂が抜け出るのか。自我のようなものから、解放・開放されるのか。12連。「球面収差」:レンズなど球面を組み合わせ、光線が集束しないで、像が不鮮明となること。により、「歪む視界に/現われる」で、再び何かが現れる。それはなにか、それは「一本の線」であるという。10連の「一条の冷光」と重なるイメージ。陽光であろうか、希望であろうか、再生であろうか。なんらかの存在を示す一筋の光り。13連。最終行。「待機する場所/空無通信」。何を待機、何を待っているのか、次に来る登場者はだれか。次の時代・舞台の主役を待ちたいところ。ラストの落としかたは良いと思われる。通して見ると、哲学的・科学的な抽象的な言葉を使いながらも、詩の詩情である部分を表せていて、よくよく読むと、いい詩ではないかとは思う。が、どうもごつごつとした不器用・無骨にも思える部分もあり、初読は読みづらく、いい印象ではない。背景としては、哲学的な存在についての部分や、文明批評なようなものも、うかがえる、スケールの大きさが察せられる。わたしがいまざっと読めるのはこのぐらいで、作者の意図や世界観や哲学観・文学観・芸術観をうまくくみ取ってはいないかもしれないが。誤読を恐れず、読めたことを書いてみた。それから、1連の連れ添った「透き通った者」はどうしたのか。ずっとかたわらにいたのかな。それとも比喩か。タイトルの「空無通信」は、良いネーミングだと思う。「放棄された埋立地」・世界の何もない、いわば残骸・遺跡から、つぎに訪れる者を待っている、そこからの通信だ、とも受け取れて、秀でているのではないかと。この作品をわたしの世界観に引き寄せると、わたし自身の抱える、世界の空白感、とこの「空無通信」とは通底(べつものだが、底ではつながっている部分もあるということぐらい)している部分があるようにも思え、それはそれで個人的には読むという作業が楽しめた。ではながながと失礼しました。
壁にも 空いた、うすぐらい あることに気づかれず 探せば見つけ出すことができる 半ズボンが壁から抜け出してくる 小学校のひび割 ...
はがれた爪のように 水面に言の葉を散らしていきます 白い光の底として たゆたう ...
そのうしろ背の壁に 白い顔が浮かびあがっている まっすぐ見ている眸に 群れのひとたちの歩き出しに くすむ羽をすぼめている 行 ...
とかげの足音を拾っていくと 「かげろう」と呼ばれる庭で行き詰まった 兄さん あれは生き別れの兄さん いいえ 姉さんだった ...
― 楽あれば苦あり 苦あれば楽あり そう呟いて生活を、な 描き続けた。ずっと、ずっと。 まぁ、はっきりと解ったんだ ...
悪魔の子どもが生まれたって、言わないで欲しいんだ。カシミールで毛皮を売っている彼の、その柔らかい頬に浮かんだ笑顔みたいな、そ ...
こんにちは こんにちは いつのまにか そう いつのまにか わたくしは しろい光の表にて 目覚めるようになっていた なまえは 知 ...
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シルビアは恋人の兄のマルコスに「デブだ」とからかわれても、黙って 顔をそむけるだけだった。雨上がりの日曜日。表通りのアスフ ...
風の強い夜だ 下弦の月のまわりに 虹色の光の輪を作っていた薄雲が通り過ぎる 窓辺に焼きついた油色の日々が ガラス板から流れ落ち ...
はじめに くらやみがあって (ここまでくるのにながい夜をくぐってきた 一枚いちまい重ねられていく 生まれるまえは まったくの ...