文学極道 blog

文学極道の発起人・スタッフによるブログ

2016年10月分選考雑感(スタッフ)

2016-12-26 (月) 14:23 by 文学極道スタッフ

(スタッフ数名が地震被災のため作業に乱れが出ています。ご容赦ください。)

9149 : アジテーション  葵 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161001_836_9149p
(一)あえてとりました。作者の中では音楽が鳴っているのではないか、と思います。しっかりとさびが作れているので、もう少しコンパクトにすればよいかもしれません。歌詞的なものでも言葉として表される以上評価対象としますので、こういう作品も待っています。

9214 : 雨の庭  ねむのき 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161031_158_9214p
(一)空気感が綺麗。とても美しいので独自の単語選択にさらに踏み込んでも良いものが出来そう。

9217 : 2011  芦野 夕狩(ユーカリ)
URI: bungoku.jp/ebbs/20161031_183_9217p
(一)前半、移行の度合いや跳ね方が非常に良いと思ったのですが、
リタリンなどが出て来てから失速していったのが残念です。
リタリンは謎を解いてしまい詩情を削いだのではないでしょうか。
後半を推敲したら傑作になるのではないでしょうか。
(一)「2011」という題名ですが、空気感としては90年代の、南条あやとか望月花梨、魚喃キリコとかの雰囲気がそのままあるようですね。
 学校の閉鎖空間の中で分化する前の女性同士の友情/自己愛を描いた作品はわりと既視感をもたれやすいと思いますが、とても素敵に書いていらっしゃるのでもっと読みたいと思わされました。作品数は少ないし、ジャンルとして確立しているわけではないのですが、名作が多い舞台設定だとおもうんですよね。
 三連目の「アメリカ」の唐突さは指摘しておきたい所。
 もしかしたらですけど、二連目までにさりげなく「アメリカ」がどういう姿で作中話者らの生活に入り込んでいるか分かるような部分があれば、ラストももっと決まったように思いました。

9194 : 宿り  軽谷佑子
URI: bungoku.jp/ebbs/20161019_696_9194p
(一)作者の実存性と抒情の光が、いかんなく放たれている作品。主題の移ろいも非常に興味深い。傑作。

9212 : GOLD  熊谷 ('16/10/29 21:34:08)
URI: bungoku.jp/ebbs/20161029_116_9212p
(一)ほとんどの語尾が「た」で終わり、三聯に至ってはひとつ「だ」で他全て「た」
この構造だと「説明的」と捉えられてしまう危険性があり、それを超えるようなパンチラインがラストにしかない為、総じて「状況の説明」に陥ってしまっていてもったいなく思いました。

9215 : ファストフードファイター  こざかな
URI: bungoku.jp/ebbs/20161031_162_9215p
(一)薄さが良い方向へと働いていて前半は良かった。展開も薄いまま象徴性を持たせられず後半失速していることが残念に思える。
(一)三聯「撮っておき」はタイポでしょうか。
(一)特に何も言わない方がいい作品というのがあると思います。この作品はまさにそれで、なんとなくの雰囲気を貫いたところが良かったです。

9186 : 無垢  ちょび 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161015_587_9186p
(一)悪くない。詩にするまでもないような些細な日常の一断片を切り取っていて、
そこに背景も流せている。作者のレスは好ましいとは言えず態度も改めてほしいが、 作品とギャップがあり、それも驚いた。

9207 : 浴槽  ゼッケン 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161025_972_9207p
(一)タイトルで煙にまくやり方に見える。
(一)詩だからこそ許される展開で、面白かったです。長さも適切で、個人的に最後の終わり方も好みでした。

9211 : チビけた鉛筆の唄  atsuchan69 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161029_090_9211p
(一)どんどん詩情の出し方がうまくなっている。

9171 : 銀杏は散りゆく宿命なら  野良猫ニャンコ 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161010_297_9171p
(一)スラスラと読める掌作品。詩としてではなく掌小説として発表したほうが強度があるような気もしました。
詩としては、予想通りに進行し、
独自の表現があるわけでもないことに不満が残ります。

9208 : ホッピングシャワー  くるくる
URI: bungoku.jp/ebbs/20161026_007_9208p
(一)
>夜空の星々が衝突して新たな星が生まれる
ぐっときました。最終聯もとても良いです。
その前段の作中話者の苛立はたぶんとてもよく分かる気がしているのだけれど、自分の尻尾と追いかけっこしているネコを見ているような気になってしまいました。

9200 : I l t (アイエルツ)を受けたときのこと  kaz. 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161022_826_9200p
(一)構造とアイデア自体はありふれていて平凡だが、一文一文が丁寧であり問いが美しい。最後の平凡さに組み入れたこともわざとに思えてくる。丁寧な詩情。タイトルも良い。

9198 : 死にたがりボーイズ 脱ぎたがりガールズ  泥棒 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161021_788_9198p
(一)上手いです。計算されつくしている。さらっと書いてあるようで緩急が素晴らしく勉強になる。

9203 : 左と右  黒崎 水華 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161024_936_9203p
(一)鏡文字的な作りの作品というと珍しくなく数多くあるけれども、それを踏まえて構成の力が力を持っており魅力的に読めた。タイトルの平易さは少し読者に優しすぎるかもしれない。もっと作者の剥き出しで十分、魅力的になると思う。反転する際の「正しい〜」の部分が一番、意識がいく部分なので、ここを、もっと工夫するとさらなる傑作へ進んでいきそう。

9188 : 水を抱える(botanique motif)  村田麻衣子
URI: bungoku.jp/ebbs/20161017_626_9188p
(一)さらっとした言葉が力を持つ瞬間に惹きつけられる。

9201 : 三浦果実賞〜村上春樹さんへ捧ぐ  三浦果実
URI: bungoku.jp/ebbs/20161024_913_9201p
(一)タイトルは詩という言語藝術の一部なのに、なぜこの詩にこのタイトルなのでしょうか。中身は面白く粗いけれども推敲すると秀作になりそうにも思えました。

9185 : キッチン  ユーカリ
URI: bungoku.jp/ebbs/20161014_575_9185p
(一)この後味の悪さは成功なのだと思います。丁寧な前振りが効いています。
(一)やや訛のある文体は好き嫌いが分かれる所か。

9197 : 屈折した詩人たち、出逢った友に、捧げる  玄こう
URI: bungoku.jp/ebbs/20161021_762_9197p
(一)小詩集として非常に出来が良い。心を動かさせられる。作者の生きにくいだろうものが作品へと昇華されている。

9189 : た、ど、る、  花緒 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161017_637_9189p
(一)面白いのですが、基礎ができていないうちに装飾に凝ってしまった感じです。基礎にこだわればきっちりできる方と思いますし、まずは言葉で勝負してみてはいかがでしょうか。

9199 : 息子よ  朝顔 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161022_797_9199p
(一)DV家庭の問題顕在化の過渡期。出口が見えないが生活を前に進めなければいけない。不登校になり暴力行為も壁にするだけで、これから更にひどくなりそうな問題を抱えているようでもある。父は対話をしておらず精神論で息子を立たせたいと思っているため、これから問題が大きくなっていくだろう。その過程の途中が書かれている。「私」であり「父」である自分を「君」とすることによって客観視を生んでいる。よくある手法だが客観的にみれなくなる状況が描かれているため非常に効果的。他にも作品を読みたいと思った。

9195 : 凍える蝶  桐ヶ谷忍 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161020_727_9195p
(一)上手なので、あと一歩を丁寧に紡いでほしい。
(一)説明しすぎで損なっている部分はあります。それでも美しく、素晴らしい作品でした。  

9191 : 彼方  牧野クズハ 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161018_650_9191p
(一)丁寧に書かれています。そして美しいです。最終連が息切れしているようにも思えました。最後もっと着地できなかったか。

9180 : 妻の夫  祝儀敷
URI: bungoku.jp/ebbs/20161011_423_9180p
(一)表現の甘い箇所もありますが、一貫した世界観があり読みごたえがありました。

9178 : 自由へと  鷹枕可 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161011_396_9178p
(一)めずらしく世界観は、そのままに、まとまっている。

9166 : 百日紅  金曜日 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161007_122_9166p
(一)綺麗な文章。けれども書かなくてよい部分が多いので、もっと行間を大切にしても良いのかもしれない。

9141 : 六花少年  アルフ・O
URI: bungoku.jp/ebbs/20161001_799_9141p
(一)になる作品です。更に分量を増してストレスをかけると詩情が開いた気がします。

9175 : 明け方の夢  fiorina 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161010_330_9175p
(一)文章は上手く美しく、単語が違えば抒情として傑作なのだけれど。

9182 : 狂気  岩満陽平 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161014_520_9182p
(一)狂った様子を短めで終えるのは勇気がいると思います。この作品は短めに切り上げたことで、言葉の濃度が上がり、より迫ってくる感じがします。「アルファベットの」が冷静さを感じさせて、その点もよかったです。

9174 : 炎上焼肉 あおり屋  葛原徹哉 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161010_325_9174p
(一)先生は詩だけを書いているのでしょうか。なら生活できないので本職が何かが気になりました。

9169 : 叙利亜とサネ  山田太郎 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161008_156_9169p
(一)作品を書く前に取材に行ってほしい。取材に行った上で未だ揺れていて被害が続き死人が出ている被災地のことを、このようにファンタジー化してしまっているのなら悲しい。福島県のことに関しても調べきった上で本当に書いているのか。安全な場所からポエム化してしまっているようにしか読めない。

9165 : クズどもの残暑  泥棒 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161007_119_9165p
(一)素直な言葉で書かれていて、それを直球で勝負しない照れもきちんと織り込まれていて惹きつけられました。こういう作品は、なかなか書けない。

9161 : #02  田中恭平 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161006_034_9161p
(一)途中が素晴らしい。最初と最後の文が果たして作品を本当に高めているかどうか。気になるところです。

9162 : ハゲと酒乱  野良猫ニャンコ 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161006_083_9162p
(一)小さな嫌悪感を抱いた。嫌悪を僅かでも抱いてしまったということは成功なのだろう。ただ、
ふりきれていない。やるならやるで、とことんやってほしい。

9157 : ア ベースメント  西木修 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161004_962_9157p
(一)最初の二行が全てですね。惹きつける力があります。それだけに、その間で力が落ちてしまうのが残念です。意図的に普通の言葉にしているのかどうか怪しいので、読んでいて不安になります。
(一)最終行の大切さについて考えさせられました。途中まで、使用する単語は平凡ながらも良かったので最後が勿体ないです。 

9152 : 薄紅の雨  桐ヶ谷忍
URI: bungoku.jp/ebbs/20161003_890_9152p
(一)情景を伝える能力に長けている文章。時折、説明的になるので、そこを削いでいくとさらに良い作品になると思う。才能に満ち溢れていると思う。最後の連は、どうだったか。

9167 : 「JIN - SEI」  湯煙 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161008_125_9167p
(一)きちんと読める文章です。ただし冠したものが、よいと思えない。もっと相応しいものがあったのでは。

9172 : ばく  北
URI: bungoku.jp/ebbs/20161010_300_9172p
(一)悪くないと思った。独創性があるわけではないのだけれども。

9153 : Lonely  桂
URI: bungoku.jp/ebbs/20161003_898_9153p
(一)美しいですし、書き方を変えずテンションを保っているのが良いです。特に目立つ表現はないですが、次作につながる芯の強さを感じるものでした。
(一)文章が流れがよく世界観を提示出来ています。けれども一作品読んだ後に詩としての補える部分や書きすぎている部分、さまざまなところが単語の既視感と共に目についてきます。作者の世界観は連作として評価するべきなのかもしれません。タイトルと共に、もう一歩はじけたり丁寧になったりしてほしいと思いました。

9147 : #01  田中恭平 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161001_828_9147p
(一)作者の作品には人間という本質的にダサさを抱え込んだ原罪にあふれた生命の精一杯の抵抗と現実が同居しています。決して洗練しているとは言い難い言葉選びと文章が内界をダイレクトに伝えてくる面白さが時折、心を揺らします。
(一)読んでいて、ゆっくり味わいたいと思う作品でした。柔らかさに貫かれていて、とても気持ちが良いです。

9145 : 罪を食む  三浦果実 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161001_806_9145p
(一)書き始めて間もない筆致と、まだ何を書きたいのかと方法を模索中の文体。
それでも難しいことをしようとしているため、引用が作品化できていない。
最後の感謝の弁も作品化できていない。
上記が作品化できたら傑作になるのかもしれない。
まずは、たくさん書いて読んでいくこと。たくさん書いて、
ここから作者が、どんどんうまくなる姿を見ていきたい。

9144 : 或る生活  西木修 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161001_803_9144p
(一)あえてこのような形式に挑戦したのはいいと思います。私個人の好みもありますが、連を繰り返すのは力が試される形でもあり、この作品ではうまく行っていると感じました。また、重たい主題に対して、適切な距離感を保ちながらも、きっちりと主張を表現できていると思います。

9148 : 時計  山田太郎
URI: bungoku.jp/ebbs/20161001_829_9148p
(一)読ませる技術が段々とついてきていることにも驚いた。

9156 : この場所にいる奴等はみんな敵  5or6 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161004_957_9156p
(一)後の一行が全て効果的に働いています。優良とか、そういう評価は、どうでもよい作品なのかもしれない。賞とか関係なく上手くできている作品。粗が目に付くのも良いと思える。

9154 : 君の売り買いしているものは__  紅茶猫 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161003_909_9154p
(一)ショートショートとして楽しんで読めた。けれども様々な単語に独自性がないことが既視感につながり、これまでの作品に埋まるもったいなさも感じた。前半の未来が見えることの詳細も削って充分に詩情で伝わると思った。

9158 : かめ  石ころ 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161005_972_9158p
(一)もっと比喩に頼ってよい。説明的になっていてショートショートの面白さに詩的面白さが加味されているか疑問。

9151 : 詩の日めくり 二〇一六年九月一日─三十一日  田中宏輔 
URI: bungoku.jp/ebbs/20161003_888_9151p   
(一)一作いっさくが出来ていくごとに嬉々とする作者の様子に共感してしまう。詩の中で詩作を語り、こんなにも面白く魅力的に書けることに改めて衝撃を受ける。

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2016年11月分月間優良作品・次点佳作発表

2016-12-25 (日) 23:43 by 文学極道スタッフ

2016年11月分月間優良作品・次点佳作発表になりました。

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2016年10月分月間優良作品・次点佳作発表

2016-11-22 (火) 11:40 by 文学極道スタッフ

2016年10月分月間優良作品・次点佳作発表になりました。

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2016年9月分選考雑感(スタッフ)

2016-11-04 (金) 00:30 by 文学極道スタッフ

(スタッフ数名が地震被災中のため作業に乱れが出ています。ご容赦ください。)

9069 : 岩手七号  山田太郎 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160902_222_9069p
(一)もう少しだけ上質な部位を足したり引けたりしたら優良に推したい傑作に近いものを内包している可能性もある作品だと思います。何度か読み、初読時はズレて いく詩の感覚にばかり目がいきましたが、実は一貫しています。悲哀、孤独、それでも生きていく生活。その中には笑わなければいけないような一人での夢想も あるでしょう。なんでもない一日の生活を(詩にはならないかもしれない一日の生活を)まっすぐに見つめ感情の揺れを、そのままに描いている異色作です。他 者の色に傾倒しすぎておらず作者自身の色が出てきそうな部分が特に良いと思います。独自の作品を、ひょっとしたら書ける方なのかもしれません。
(一)言い訳に終始しているところに人間味を感じました。

9140 : 七月  中田満帆
URI: bungoku.jp/ebbs/20160930_797_9140p
(一)
 短歌連作。
 bloodthirsty butchersというバンドの「七月」へのオマージュですよ、という詞書。

 一首目から誤字??(唇ちを)
 二首目、寺山の「売りにゆく柱時計がふいに鳴る横抱きにして枯野ゆくとき」のオマージュでしょうか。
 三首目、良い。「少女のひとり」としたところにマクロの視点を感じる。黒髪のひらきはやや好みがわかれるか?
 四首目、フォーカスがあいまい。
 五首目、この韻律では帰れないかも。
 六首目、やさしさ、は違うと思う。
 七首目、「見つむれば」は造語だろうか。
 八首目、魅力的な下77に上575がかみ合っていない印象。
 九首目、麦藁帽子出してしまうと、すてきな少女の出現が待たれるところ。
 十首目、「去られり」古語では「去ねり」? 自分は文語も 雰囲 気があっていれば良いほうだと捉えますが、違和感があります。
 十一首目、「がげ」は「かげ」で読むとまだわかる。
 十二首目、七・九首目に対応しているのであろうか。
 十三首目、良い。韻律無視ですが、このリズムはすてきだ。
 文語ー口語そして造語、ゆるい韻律意識、自称のゆらぎ、誤字(?)、詞書の必要性などが気になったポイントでした。
 連作としての感想を述べるにはまだ早い印象です。

(一)差が激しいので、もう少し選ぶのに慎重になってよかったのかもしれない。

9081 : ケレケレのはなし  花緒 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160906_380_9081p
(一)まだ、洗練されていないと感じました。面白いネタに関して面白いと思った形式を全部詰め込んだような。初めて見た人でも最後まで読みたくなるものを、心掛けてみてはどうでしょうか。
(一)読みごたえもありますし上手いです。スラッシュの形態になる部位、もう一展開あっても面白くなったかもしれません。けれども十分、面白い作品です。
(一)
 私などは「作中主体はもっと怒ってもよいだろう」と思う口です。
 こちらの作中主体は悲しみを感じ、その道徳の教科書のようなまとめ方をされてしまった感情はほんとうに「悲しみ」なのか? 考えてしまいました。

9131 : BACK TO THE ACID PLANET  花緒 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160927_611_9131p
(一)
 「五階」と「誤解」のくだらなさを通していて素晴らしい。
 体言止めの連発が興味深かったです。
(一)「それは貴方の誤解です」が必要なかったのではないでしょうか。親父ギャグ的つくりの狭さを拭えない恐ろしさがありました。社会情勢などへの提起を読めるだけのものにしているのは力がある証拠なので、どんどん書いていって欲しいです。

9136 : いすは立ったまま  北 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160928_676_9136p
(一)悪くないです。作者は、こういった作品も書けるのかと驚きました。

9137 : 郷土の愛  zero 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160929_734_9137p
(一)読み手の「郷土」の規定次第で大きくも小さくも感じて面白い。
(一)「意志されている」という言葉に惹きこまれました。よくある題材で単純な作りなのですが精緻に作られていて読ませる作品にできていることが素晴らしいです。

9115 : 雨の日の エスキース  玄こう 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160921_211_9115p
(一)作者の不器用な感覚が作品の体系になっていて読ませます。
(一)
一聯目
>街なかの匂いを揮発し浄化していた一日だっ,
 「た」はあってもよいような気がします。
 エスキース、下絵、思うままに言葉を重ねていって。.,の使い方が面白いですね。
(一)最後の連が最も美しく、よい構成だと思いました。

9127 : 呼ぶ  鷹枕可 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160926_541_9127p
(一)こういった作品をよく見ますが作品に昇華できていないのが気になります。作品へと転化しても良い強度ある主題なのではないでしょうか。

9135 : 遮る  ねむのき 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160928_667_9135p
(一)一行目と連関が中盤にあったら、もっと良い作品になったと思います。空気感が素晴らしい。
(一)言葉にならない感情を書こうとするとこうなるのでしょうか。

9133 : 小説家になる方法  陽向 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160927_642_9133p
(一)真剣に内容に関して述べると、そうして小説家になっても編集者との打ち合わせ段階で没になり続けるだけなのではないだろうか、と思いました。
(一)なんたる読者無視。

9134 : 忘れられた題名  プディング 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160927_660_9134p
(一)ちょうど良い温度でした。もう一つ深いところも行けそうですが、そうすると温度調節が難しそうです。
(一)比喩に溺れています。
(一)読ませます。書きなれていない感じが、これからの作品の背理も潜ませていて興味深いです。

9126 : 水鏡  桐ヶ谷忍 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160926_540_9126p
(一)上手いです。比喩と背理、過去と現出が絶妙に絡んで実存を描き出していきます。鳥、をあと一歩進めた種類的ものに進めたら更に作品に奥行きが生まれたのでは、と思います。
(一)
 ヒールが出てきてはじめて作中主体の性に気が付きました。
 それは作者の狙い通りだと思うのですが、そのあとあっさり終わってしまって、印象がとっ散らかってしまいました。
(一)美しい作品でした。比喩で終わらせず、展開にしっかりと意味を持たせているのもよかったです。

9130 : 峠の山道  シロ 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160926_595_9130p
(一)
 一聯
 >そして私もまだ
 また、じゃなくてまだ。なんですね。
 ダーウィンの進化樹を思い出し、全篇にわたって自然と自己への讃歌を感じます。
 余談ですがしげしげは、回数を重ねるときに使う言葉(しげしげ通うとか。)ですから、旅人の前に「幾人もの」が隠されていますね。
 自分のなかから出てきた言葉を信用している姿勢は素敵だと思います。
(一)上手い。水水しい重厚さが素晴らしい。

9117 : グッドレビュー  鈴木 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160922_239_9117p
(一)この作品に書いてある苛立ちを少しわかるような気もしないでもないですが、いかんせん煙に巻きすぎています。

9129 : 無題  ミズキ 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160926_590_9129p
(一)比喩と題材が非常に凡庸なので独自のものを読みたいと思った。

9132 : メンタルヘルスディストーション  泥棒 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160927_636_9132p
(一)八つ当たりをスキルで魅せられるのはすごいと思いますが、メンタルヘルスじゃなくって、ネット用語の「メンヘラ」じゃないのかなーって。
(一)うーん。どうしたのでしょうか。
(一)出だしが最高に良いです。そのあとは手癖のようなものも見えます。技術力の高さで成立していると思います。

9098 : autome of uranus and jupiter  lalita 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160912_725_9098p
(一)タイトル、「autome」ではなく「autumn」ですかね。

9125 : せいのじ  牧野クズハ 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160924_331_9125p
(一)よく描けています。ただモチーフや流れが想像の範囲内にあり既視感があります。何かしら独自の視点で書いていたりすると傑作になったのかもしれません。
(一)タイトルから「正」についてもっと考えてる詩かと。

9120 : コントラスト  葵 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160923_274_9120p
(一)
 既視感があり私でも書ける作品です。独自性を持った言葉と比喩で書いて欲しいと思いました。
 過去に大量に書かれた既視感のある作品を記号化することもなく、作者の詩として発表してしまうのは、あまりに勿体ないです。
 コントラストの観念と想念の中にある作者独自の言語を見つけ出して書いてみて欲しいと思いました。
  詩における記号を外す作業が必要に思えました。
  もっと見たことない詩の言語で弾けて良いのではないでしょうか。

9128 : 蚊  蚊取信号
URI: bungoku.jp/ebbs/20160926_544_9128p
(一)筆名込で作品になっていて面白いですけど、もう何作品か読んでみたいです。

9123 : ももたろう  おでん
URI: bungoku.jp/ebbs/20160923_297_9123p
(一)とくに前半がもっと捻れそうな印象がぬぐえず。

9124 : 恋蟲  北
URI: bungoku.jp/ebbs/20160924_324_9124p
(一)ユニークな作りです。もう一歩深められそう。

9121 : the big water  西木修 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160923_283_9121p
(一) 『水』にまつわる名作の数々とどうしても比較してしまいました。

9112 : 形相  くるくる
URI: bungoku.jp/ebbs/20160919_081_9112p
(一)
 最終聯、ぐっときました。
 アンジョリーナ・ジョリーははじめの結婚相手と血を交換(お互いに瓶に入れてネックレスに)していたそうですね。
>体から血管だけを引き抜いて丸めて雑巾のように絞り
>バケツに溜まった血を君に飲ませれば私の半分くらいは理解してもらえるのだろうか
 君に理解して欲しい、その暴力的なまでの欲望が自分の身体を傷つけることで証明しようとしようとする。
 その切実さというものって、読み手にとってはどう転んでも「言葉」でしかないと思います。
 ひとつひとつのイメージの美しさや具体性が作中主体が言い切り、
>することしかできない
>見たくない
 確認、
>やっぱり赤黒く染まっています
 するたびに遠ざかってゆくようで した。

9110 : 空言  Kolya
URI: bungoku.jp/ebbs/20160919_078_9110p
(一)タイトルが最後まで効いています。書かれていることの、どこまでをFAKEとするか。読者は読者であるのか。

9113 : 雨序  LEK 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160920_143_9113p
(一)「背中合わせの雨」っておもしろい表現。
(一)十分かけているのですがあと一歩です。

9066 : 全行引用による自伝詩。  田中宏輔
URI: bungoku.jp/ebbs/20160902_168_9066p
(一)圧巻。

9104 : FRONT  5or6 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160915_877_9104p
(一)
 過去作http://bungoku.jp/ebbs/pastlog/75.html#20070326_161_1948pの方がずっと良いです。
 同一人物である旨も一言欲しかったです。
(一)
 読み手は勝手なもので
>欲情
>勃起
 とまとめられてしまったものや
>クローゼットの中で思いを綴った手紙
 などを読んでみたいところです。

9097 : 之繞  ただならぬおと
URI: bungoku.jp/ebbs/20160912_675_9097p
(一)前半もたついた感じがありますが、「全てを言い尽くせたことを/悟った日の呆気なさを/とてもよく覚えている」はいいですね。
(一)なかなかに締まらない文章が書いてあるようですが、その文章と感情のやるせなさ、過渡期間が痛くなるくらい伝わってきます。もう一歩、詩としての文章芸術における転化が図れたようにも思えます。作者は、その転化を成し遂げられると思っています。

9099 : ネオン  ちーちゃん 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160913_736_9099p
(一)リズムが整っている以上のものがない。新たな試みがない。

9100 : 口縄  湯煙 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160913_742_9100p
(一)
 「おまえ」がタイトルでネタバレれしてるのは効果的なのかどうか。
 5聯目はすごく効果的だと思いました。
(一)しっかりと丁寧に描き切っています。主題に目新しいものはないが読ませ再読させるだけのしあがりであることを評価したい。

9087 : 私が生きている、従って私が死に、嬰児は且て喃語を秩序とした  鷹枕可 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160907_409_9087p
(一)比喩に溺れています。

9105 : 夜明け前  ユーカリ 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160916_911_9105p
(一)説明的すぎる印象でした。
(一)細部のネタや曲が分かるので厳しい目で見てしまいます。分からなかったらもっと面白かったのでしょうか。

: 2010年を、すくうため  Kolya 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160912_657_9095p
(一)完璧でした。表現も流れも素敵です。

9090 : かのじょの肖像  あやめ 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160908_474_9090p
(一)美しく、少しずつ沈んでいくような作品でした。ただ、沈むだけだとただ読んで終わってしまうものです。作者の狙いがそこにあったのか気になります。
(一)終わりに「消灯、」の凡庸さは、それまでの秀逸さを打ち消すのに十分だったと思います。ただし「消灯。」にしていなかったことで救いもありました。作者の更なる抽象性を見たいと感じる作品でした。これからも、どんどん作品読みたいです。

9073 : ねこたちの  鮎 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160903_270_9073p
(一)ねこの背中にいろいろと背負わせすぎているかもしれません。

9080 : 痛ポエケット ブースNo.ヌ―69【百合イカエロイカ】  百合花街リリ子 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160906_370_9080p
(一)面白いです。
(一)エンタメとして読めましたが取材が足りません。ポエケットに出店してみたら、もっと面白いのが書けるのでは。

9092 : 奏淋鳥  アラメルモ 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160909_491_9092p
(一)
 無骨で上手過ぎない文章がリアルで非常に胸を打つ。良い作品。
 作者は他者にコメントで迷惑をかけずに作品を、ひたすら書いてみてはどうか。
 他の媒体にも投稿してみたりしてみても面白いと思う。
(一)推敲後はとても興味深い内容ですが、推敲しすぎです。

9076 : 詩の日めくり 二〇一六年八月一日─三十一日  田中宏輔 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160905_335_9076p
(一)作者の作品は、作品のその後などが展開していくため未来と現在の接着を見ることが出来るため惹きこまれてしまう。

9072 : キャンディ  ゼッケン 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160903_262_9072p
(一)他愛ない話のようですが、かなり引き込まれました。説教くさくなりそうなところをとぼけた感じで切り抜けており、読後感もよいです。
(一)素晴らしいエンタメ。コンビニ人間のヒットやタイトルの不和とも合わさり深淵さがある。ダサさと読後感の良さに、うっかり惹かれてしまう。

9093 : 手紙  おでん 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160909_523_9093p
(一)メッセージ性しかなく薄い希望でありふれています。作品として既視感があるので、もう一歩すすんでもよいと思います。

9094 : いつも思い出して  黒髪
URI: bungoku.jp/ebbs/20160910_579_9094p
(一)きちんと書かれているけれども、もう一歩ふみだしてほしいモヤモヤも残ります。作者が過去に見せた独特な言語感覚と融合する日を楽しみにしています。

9065 : nowhere  lalita 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160901_132_9065p
(一)作者の作品として、どんどん平凡になってしまっているのは何故なのか気になりました。

9075 : すべてのものに終わりがある、サーカスであろうと夏であろうと  ユーカリ 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160905_334_9075p
(一)イントロダクションがあるならエンディングも欲しいと思った。一つ一つでは力を持てない作品たちが高めあっていく姿は学ぶものがあった。

9085 : 蚕の絹糸  イロキセイゴ
URI: bungoku.jp/ebbs/20160907_389_9085p
(一)よい作品として読めます。ひょっとしたら決定的に賞向けではないのかもしれません。

9082 : 長い間思っていたあのなんかスーっとしていく感じとか云々  5or6
URI: bungoku.jp/ebbs/20160906_381_9082p
(一)タイトルが違う気がしました。
(一)とても中途半端に思えます。最初のほうは期待しましたし読み込めたのですが、
タイトルも含めて、どっちつかずになっていると思います。

9079 : 街  西木修 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160906_364_9079p
(一)距離感が素晴らしいと思いました。対象との向き合い方が良いのでしょう。
(一)面白く比喩に富んでいる部分が多くあります。そのため無駄なのではないかという部分も目につきます。推敲して再投稿しても良いかもしれません。

9086 : 言の葉は…言の葉を…言の葉よ  月うさぎ 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160907_405_9086p
(一)書きたいことや、やりたいことは分かります。「詩というのは、これ」という思い込みと脅迫観念から狭い世界で書いていて、新たな世界の構築へと無関心すぎ るように思えます。もっと自由に書いて良いと思いますよ。自分の言葉で自由に書くことは、とても難しいことですが、だからこそ創作の意味があると思いま す。

9096 : 微睡み  宮永 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160912_661_9096p
(一)流れもよく全体として感情と情景が浮かんできます。最後の「気がする」を書かなくて書くのも手かもしれません。

9064 : 『Pronunciation【au】』  あ 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160901_131_9064p
(一)悪くないのでタイトルとのギャップをさらに広げるか意外性を出していくと良いのではないか。

9063 : 書くことは思い出ならずや  田中恭平 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160901_125_9063p
(一)どうしたのでしょうか。きちんと対象化しきれていません。文章として読んでいけますが作者の魅力を伴った作品でしょうか。新たな作品として幅を広げていけそうなので、さらに推敲して対象化してまた投稿して欲しいです。多分もっと良い作品であり傑作なのでは、と思います。

9071 : 四の月になると  牧野クズハ 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160903_260_9071p
(一)上手です。跳躍も良く言語の破砕と重力が心地よい。最終連の「六の月」から凡庸になっていきます。最終連は、もっと飛躍して雨から離れて行っても良かったかもしれない。

9084 : バカモノ論  三浦果実 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160907_387_9084p
(一)論は作品で体現し分からせてこそ意味あるものとなるのではないでしょうか。 書きたいことや跳ねたい方向は十分わかるので、それを既視感のない独自の方向性で出来ているかどうか一作いっさく大切に書いて欲しいです。書き始めて間もない気力の充実も感じます。たくさん書いて読んで欲しいです。粗くても良いので、もっと自分を剥き出しにして書いてよいと思います。何かを感じるので、もっと読みたいかもしれません。作品での実践を読みたい。

9088 : 2010年をころせない  田中恭平 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160907_439_9088p
(一)
 とても惜しい作品です。タイトルを含めて更なる凝集性を持っていくと傑作となるのではないでしょうか。
 非常に惜しいです。もっと良い作品になってからの姿を読みたいです。

9106 : 批評  山田太郎 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160917_923_9106p
(一)作品の中にある孤独と怒りに興味を持ちました。そこからの展開を更に今後おっていきたいです。
(一)批評ではなくて改作のような……?

9074 : 午前3時  三浦果実 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160903_276_9074p
(一)目指している理想的なものが書いてあり、そこに新しい創造的ものが本当にあるのか不思議に思いました。書き始めて間もない感が伝わるので、もっと自由に自分の言葉で書いてみて欲しいです。飛ぶ瞬間を見れることを楽しみにしています。作者には作品での実践が出来ると思っています。

9062 : 悪目くん episode3 Tomorow Never Dies  ヌンチャク 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160901_122_9062p
(一)最後の痛い告白は読んでしまうものがありました。途中の薄さと作者の介入しすぎに色々と考えさせられました。

9070 : 死なない蛸の殺し方  より 
URI: bungoku.jp/ebbs/20160902_226_9070p
(一)お説教的な人生教訓が書いてあります。そのように詩作品として体現してみたらよいのではないでしょうか。

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2016年9月分月間優良作品・次点佳作発表

2016-10-20 (木) 15:13 by 文学極道スタッフ

2016年9月分月間優良作品・次点佳作発表になりました。

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