12月選考雑感(平川綾真智)
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
12月の選考はそこまでの難航がありませんでした。月間優良賞に推挙された作品は何度読み返しても素晴らしく、読み手としても書き手としても刺激を受けるものばかりでした。
さて、
2513 : フィーバーがとまらない 菊西夕座 ('07/12/22 18:24:19)
URI: http://bungoku.jp/ebbs/20071222_298_2513p
は、私は優良に達していると思いましたが、荒削りな部分が評価を邪魔して次点に留まりました。「脈は一分間で百はっ回もフィーバーしていた。」など12月という題材と作者の瞬発力が上手く作用している面白い作品だと思いました。 「賽銭箱が、潮吹き女のスプリンクラーといった具合で小銭の産卵をおっぱじめ、」のような奇抜な独創性も満載で勉強にもなりました。 菊西さんは初投稿の頃から作品を読む力や作品に対して面白い評を書く力は抜きんでていて、それが作品にも活かされ始めたのかな、と今後がほんの少しだけ楽しみになりました。ただ、甘い部分はとことん甘いので気を付けてほしいです。
2519 : 馬頭星雲 黒沢 ('07/12/28 14:10:00)
URI: http://bungoku.jp/ebbs/20071228_357_2519p
は、選考委員全員が得点を入れているのに優良に推す声がないという不思議な作品でした。熱量と雰囲気は投稿作品中一番だと個人的に思います。 とにかく大傑作になるはずの作品なのであまりにもったいないです。 黒沢さんの作品には皆が期待しているようです。
2514 : 新月の下 仲 ('07/12/24 00:09:29 *7)
URI: http://bungoku.jp/ebbs/20071224_313_2514p
は、4の自虐性が実に良かったです。長さが自虐にからんでいく軽妙さは作品として面白かったです。ただ、魅力が持続しない損もあります。連の区切りも雑に感じます。皆が、あと一つ秀でたものが欲しいと感じたようです。
2508 : 道が暗い 月見里司 ('07/12/20 00:14:33)
URI: http://bungoku.jp/ebbs/20071220_269_2508p
は、しみじみと良い作品で、実に印象的だったとの声がありました。ただ、悪い部分が目立ちすぎ、全体を高めていないように思えます。作品としてもっと強度を帯びることができたのではないかな、と思いました。
2492 : 小さな町 ミドリ ('07/12/08 11:51:25)
URI: http://bungoku.jp/ebbs/20071208_087_2492p
2484 : しみこんできたものでいっぱいよ naka ('07/12/03 15:27:05 *9)
URI: http://bungoku.jp/ebbs/20071203_925_2484p
はどちらも細かい点が雑に感じます。
2489 : 黒いコート ためいき ('07/12/06 21:13:44)
URI: http://bungoku.jp/ebbs/20071206_058_2489p
は、単独の作品として十分ではないという意見がありました。
惜しくも選からは漏れましたが、その他、
2509 : ファラウェイ 苺森 ('07/12/21 18:20:27)
URI: http://bungoku.jp/ebbs/20071221_280_2509p
2504 : 世界の軸 緋維 ('07/12/17 10:37:52)
URI: http://bungoku.jp/ebbs/20071217_239_2504p
2486 : 根の国 リーフレイン ('07/12/04 12:29:15)
URI: http://bungoku.jp/ebbs/20071204_007_2486p
2480 : 例えば、みんな持ってるフエルトペンが怖かったりとか 青木龍一郎 ('07/12/01 22:41:17)
URI: http://bungoku.jp/ebbs/20071201_885_2480p
2506 : 雪の川岸 丘 光平 ('07/12/18 19:02:37) [Mail] [URL]
URI: http://bungoku.jp/ebbs/20071218_255_2506p
などが注目されていました。
傾向みたいなものから逸脱した作品が先月よりも多かったことは嬉しく感じました。
枠に全体的にはまってしまうとどうしても停滞するしかないので、それだけは避けてほしいです。
冬休みにもかかわらず去年よりも変なポエムの投稿が少なかったのも良かったと思います。
ただ、何度も読んでみたくなるような作品や忘れられない作品、勢いや実験のみに頼っていない作品はほんの一握りだと感じました。
じっくりと落ち着いた根を生やした作品の投稿も増えて欲しいと思っています。
以上です。
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