創造大賞発表『輪るピングドラム』by武田聡人
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『DARKER THAN BLACK -黒の契約者-』
『DARKER THAN BLACK -黒の契約者-』はアニメ史的な傑作のひとつであるのでそのうち単品でレビューを書きます。アンドレイ・タルコフスキー監督の『ストーカー』が下敷きにされています。続編、『流星の双子』がありますが、これは『DARKER THAN BLACK 外伝』とセットで見ないと物足りないです。外伝は『流星の双子』のDVDやブルーレイに付録で入っています。
『デュララ!!』
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近年アニメ部門で「創造大賞」を受賞した作品は上記2作が最後でしたが、今年は数年ぶりに創造大賞受賞作が出そうです。まだ進行中で完結していませんが断言できます。
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◎神が筆に宿った!
2011年
☆☆「創造大賞」発表(10月から始まるアニメも多いので暫定)
『輪るピングドラム』
(まだ全24話の内12話までしか放映されていません)
不治の病で亡くなってしまった妹を蘇生させ続けるために二人の兄が「生存戦略!」
「きっと何者にもなれないお前たちに告げる」と宣告される謎の指令に従いピングドラムという何物かを探すのが前半のあらすじです。
そのピングドラムを持っているらしき人物がヒロインの荻野目苹果(りんご)ちゃんであり、可愛い女子高生だが諸事情で異常心理と「預言」に従い執拗にストーカー行為をしています。要するに異常者といえば異常者なのですが、根はとても可愛い子です。
シュルレアリスムなど前衛芸術の手法をとり謎に満ちていますが、ファッショナブルでキュート。エンターテイメントとしてもちゃんと楽しめます。
駄作が漫画やポエムなら、これは創造大賞受賞の現代詩という感じ。
今年は他にもたくさん収穫がありました。
☆最優秀ロマン賞(2作受賞)
『花咲くいろは』
アニメというジャンルには珍しく、一切跳んだり跳ねたりせずに登場人物を魅力的に描くリアルで愛おしい力作。
ヒロイン松前緒花の、どんな状況でもめげない明るく前向きな(多少先走りのドジではある)性格は、見ていて心が洗われる。
不景気や震災で暗い世の中だ。『花咲くいろは』をNHKで全国放送するようにバンバン電話をするべきです。
旅館で働く女の子の話なのだがとてもリアル感をかもす作りなので全くこのまま実写化もできる。
『へうげもの』
大作でありまだまだ終わっていませんが受賞は確実でしょう。地味で評判になっていないのでネタばれ記事を書いちゃいます。時は安土桃山、主役は織田家直臣、古田佐助(後の古田 織部)。物語が始まった当初は僅か200石ですが知略・諜略にたけ、信長にも秀吉にも重用されて大名に上り詰めます。
しかしこの男の凄いところは茶道などの芸術に現を抜かす天下一のへうげものだったということであり、武ではなく、数奇で天下を獲ったということです。滑稽な道楽者ですが、芸術家かくあるべし。他の武将もとても丁寧に描かれており、前半の山場、正義の人・明智光秀公決起のあたりでは泣かされました。
歴史事実上、古田織部にも悲劇的な顛末が待っています、、、
この作品「へうげもの」は創造大賞にも届くかもしれません。
△最優秀ロマン賞次点
「魔法少女まどかマギカ」
世間の評判ほどではない。『serial experiments lain』もどきのラストや斬新な絵は素晴らしいが、ラストに至る前が中二病的で大人の目には今一つ稚拙。
☆最優秀抒情作品賞 2作受賞
「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」
見た人間全員をぼろ泣きさせたであろう作品。ネタばれ拙いので詳細書けないが、幼少時のある事件で心に傷を負った子供たちが高校生になってその事件を追体験することになり、失われたものと共に魂の救済を求めるお話です。
創造大賞を受賞させても良いかもしれません。
30歳独身男がひょんなことから突然6歳の女の子のお父さんがわりになり子育てをする話。これを見ると子供が欲しくなります。少子高齢社会です、これもNHKで全国放送するべき作品。
絵本のように綺麗な絵柄と、純文学みたいに清潔な筆致。
☆実存大賞
「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」(二冠受賞)
☆最優秀エンターテイメント作品
秀逸なコメディー。モダンアートの手法をとるスピーディーな作品構造展開。芸術に無知なやからがポストモダンアニメだとかシュールだとか言っていますが、そんな大げさなものではありません。基本、癒し系です。
沢山の登場人物を上手く回しており退屈することはほとんどなかった。
とりわけ博士(幼稚園児くらいの女の子)となの(博士が作った女子高生ロボ)の母子のような愛情表現が素晴らしく、優しいなのちゃんをお嫁さんに貰いたいと思いますた。
ついでに。2007年に創造大賞を受賞した芸術史的な大傑作
『電脳コイル』が10月5日まで下記アドレスで全話無料視聴できます。
http://www.tokuma.co.jp/coil/haishin.html
『serial experiments lain』後、ワイヤードと現実を扱った最大の作品であると共に、死んでしまった人の魂はどうしたら救えるのかという、痛切な問いに答えようとした大作です。
これも芸術史的な傑作であるのでいずれ単品でレビューを書きます。
文責 新世紀詩文学メディア「文学極道」創造大賞選考委員、武田聡人
「文学極道」
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