今月も勉強になりました。
ありがとうございます。
今月は、
3333 : マリエロの海 ミドリ ('09/02/10 20:15:04)
3330 : (無題) 一条 ('09/02/10 00:35:36 *1)
3319 : 我儘なスイートピー その翻り加減 はなび ('09/02/06 20:50:34)
3361 : 六月の景色 がれき ('09/02/26 23:14:48 *2)
3324 : 詩人 ぱぱぱ・ららら ('09/02/09 04:30:07)
3352 : 暁の、flims DNA ('09/02/20 15:25:57)
3349 : 恋歌連祷 11(仮題) 鈴屋 ('09/02/19 01:51:16 *1)
3323 : だんぜつの雨 ひろかわ文緒 ('09/02/09 04:00:05 *1)
3313 : 月の見えない夜に羊は消える ぱぱぱ・ららら ('09/02/05 0:58:52)
以上、九作品が月間優良作品に選出されました。
3333 : マリエロの海 ミドリ ('09/02/10 20:15:04)
別段描写しているわけでもないのに、背景の海や港町の様子が伝わる不思議な詩であり、実存大賞を取ったときの完璧な流麗さ鋭利さとは違う道を模索し続けている作者の久々の傑作なのでは、という意見がありました。ゆっくりと可燃されていく不幸せと続く生活を抽象と具象との五感をつなぐ、手繰り寄せる単語の選択を愛らしいものにすることにより読み手を掬いあげていく見事さがある、という意見もありました。
3330 : (無題) 一条 ('09/02/10 00:35:36 *1)
この類の作品は通常、大変な瞬発力とエネルギーが必要で長続きすることが非常に難しく、一作品内でも続かず最後まで読ませることすら困難な場合がある、この作品はそういった印象を微塵も感じさせない凄絶さがある、特に最後の綴りが強烈に残る部分は唸らずにはいられない、という意見がありました。イマジネーションの炸裂による、イメージの飛躍の連続性の保持、これは作者でなければできないことであり、100年後の人達も面白いと叫ぶ作品だと感じさせるものがある、という意見もありました。
3319 : 我儘なスイートピー その翻り加減 はなび ('09/02/06 20:50:34)
目の付け所の鮮度も、作文立て組みも充分であり、新人としての良質さを確固としている、という意見がありました。一方、テーマも素材も今までに出尽くしているものであり、書き方も突き抜けているわけではないので、その上での魅力をもう一歩加味しても良いのではないか、という意見もありました。
3361 : 六月の景色 がれき ('09/02/26 23:14:48 *2)
最先鋭に埋め尽くされている中で古い様式の部類に入る作品だけれども、それだからこその良さというものが在って、剥離がない、素晴らしい、という意見がありました。連鎖の中で僅かにずらしていったり先にあるまたは内側にある言葉で範囲をくるめていっている再構成や言語化の跳躍は目を見張るものがあった、という意見もありました。一方、硬質的言語が鮮度ある視点を引っ張っていて、全面に作品の良さを出し切れていないのではないか、という意見もありました。
3324 : 詩人 ぱぱぱ・ららら ('09/02/09 04:30:07)
この作品は傑作中の傑作なのではないかと思わせられるものがありました。形骸の奥にあるもの、比喩も擦りきったものを使うことで見えてくるもの、消費の中に潜んでいるもの、多くをわざとやって高めた新時代の作品のように感じました。言葉が綴りが届くだけではなく、今まで見つくしてきたと思っていた綴りの中にまだ潜む角度があるという発見を作品で証明してしまった。素晴らしい。コンセプトを持って書いたのかどうか解りませんが、この作品が読めたことは大きかったです。説論は特に面白い、彼女のことや豚殺しのことや文学論は十分楽しめる、難を挙げるなら最初の連だろうか、最初の連の粗雑さで読むのを止められてしまう危険性があるのではないだろうか、という意見もありました。海辺を僅かで良いので、描写しても良いのではないだろうか、という意見もありました。が、選考委員が全員唸った作品でした。
3352 : 暁の、flims DNA ('09/02/20 15:25:57)
この作者は質がブレルことがない、読ませる、とにかく好き放題に書いて欲しい、という意見がありました。
3349 : 恋歌連祷 11(仮題) 鈴屋 ('09/02/19 01:51:16 *1)
前に進んでいく作者の貴重な過程であり、結果を出せた作品だ、という意見がありました。作者の覗けない裏と読み手を繋ぐ力のある眼からの情報ではない新たな感触は実在を再認識させる力が少し弱いかもしれないけれども、作品として非常に成就を新たにしている不可思議さを持っていて、鋭い、という意見もありました。過去の作品と比べた場合どうだろうか、もう少し面持ちを成功させても良いのではないか、という意見もありました。
3323 : だんぜつの雨 ひろかわ文緒 ('09/02/09 04:00:05 *1)
作者に対しての評価は非常に高いです。作品に関して、途中までの美意識を
/きこえますか?
以降が割礼してしまい、位置を救済しすぎているのではないか、という意見と、
/きこえますか?
以降がないと、それまでの冗漫な文章が読後に芽吹かなかったのではないか、という意見がありました。
3313 : 月の見えない夜に羊は消える ぱぱぱ・ららら ('09/02/05 0:58:52)
あえて既製のポエジーを廃してぶっきらぼうな言葉しか使わず、少し荒んだ生を書いているのではないだろうか、悪くない、という意見がありました。今日読んで面白い詩作品ではなく、明日読んで面白い試作品なのかもしれません。全ての言葉が手垢にまみれ過ぎていて、普通は避ける言葉ばかりを敢えて選択しているやり方は、よほどの根性がないと出来ません。形骸化の面白さ、現代詩の先を提示しているのかもしれないな、と思いました。二次創作から大傑作を紡ぎだすような新たな発見があるような気がして、今月は少し熱くなりました。思い過ごしかもしれません。楽しい誤読かもしれません。その可能性を持ち合わせた興味深い作品なんだと思います。
さて、次点佳作作品について触れていこうと思います。
3302 : 愛と歩いて、町を行く 一条 ('09/02/02 00:26:15 *2)
罠というべき張られた仕掛けは、読めば読むほど深読み出来、付随してくる情感の薄さを一蹴する立ち方が、タイトルと一文一文のループが意味を持ちもしないこともないようにあり、消費の中に埋める作品の形は、視点の疑いを早めさせていく熱がある、という意見がありました。タイトルに負けてインパクトを小さくしているのではないか、という意見もありました。
3335 : 「 トカゲの日。 」 PULL. ('09/02/11 22:51:33)
文章のもつれは全くなく、空気感の醸し出し方も見事、ただし、どうしても最後にかけて想定内にある部位は削いでいて、先への余韻は突いていかないのではないか、もう一歩の盛り上がりを作っていうともっと引き込めたのではないか、という意見がありました。もう少し作品に遊びがあっても良いかもしれない、少し今回はまとまりすぎていて余波や別方向への働きかけが全くないかもしれない、それでも良いのかもしれないが、空気感の作り出しが見事なだけに先を期待してしまう、という意見もありました。
3347 : リリーフ れつら ('09/02/17 17:16:33)
地味な作品であり、珍しくもないけれども、実はかなり高度な技術を駆使して軽妙な物にしている部分が印象的だった、説教されたように痛かったが読後感は良い、という意見がありました。
3353 : ヒヤシンス 丸山雅史 ('09/02/20 22:52:42 *8)
修正されて、かなり良くなったが、まだ伸びしろがあるのではないか、という意見がありました。感動できる作品なので、もっと時間をかけても良いのではないか、という意見もありました。
3318 : 街灯が途切れたさきには 犀樹西人 ('09/02/06 03:16:19)
特にいうことのないポエムだけれども、ちゃんと読ませうる方向へ仕上がっている、という意見がありました。改行した方が良質さが伸びた作品なのではないか、という意見もありました。全く新しさは無いですし、とある自由律俳句に詠われた感受そのままだったりもするのですが、小ささが作者の手の中にある燈芯へ共感を惹きつける重量を得ているようにも思えます。視覚を押し出していながら聴覚に記憶があり、時間の経過と感情の変化を数で遠のかせていく哀寂は、それなりのものがあって、それなりでそれなりのそれなりさがそれなりにそれなりを伸ばしていると思えます。ここから踏ん張って欲しいです。伸びやかに壊しても良いのかもしれません。
3358 : 枕返し 右肩 ('09/02/25 02:51:53)
乱れはないけれども、評を書く作者に感じられる魅力というものが作品になると影を潜めるのは何故だろう、頭で書きすぎなのではないか、という意見がありました。
3329 : 鶏頭 ゆえづ ('09/02/10 00:24:14)
指していることに対してタイトルが悪すぎるのではないか、という意見がありました。作者の綴りはいつも舞っています。鈍色に再構成していきながら感触の通じるものを絶対とするあり方は、汚物の中にも必ず救済と純白を入れるような白濁を醸しています。これからも楽しみです。
3337 : カセット(4:06+∞) 丸山雅史 ('09/02/12 03:43:59 *2)
悪くはなく、下手だけれども読んで損した気分にはならない、ただしそこに留まってしまう、という意見がありました。自嘲気味でありながらも自己への愛が切なく伝わり、文章のあまり巧くない部分がダサさを加味しているように感じ、作者にしか書けない独特な作品という意味ではとても貴重なもので寄り添いたくなるような感動さえ起こります。「サンデーモーニング」を読み返してみてください。一体誰があの詩にここまでの物語が付随していると気付いたでしょうか。
付随した作品の方が面白いような気がするのはどういうわけでしょうか。卑怯な気もしますが、嘘でも、この物語が詩作品的な感情を成り立たせる作者の迷い、その迷える揺らぎがそのまま伝わるので、真似できない変な作品になっているような気にさせられます。自分のことを書くリストカットとしての詩作品が多い中で、リストカットとしての作品投稿が多い中で、そういう場所にはない自分を見つめた自分の作品、これは貴重なものだと思えます。そんなに貴重でもないようにも思えます。どこへ行きたいのかよくわからないところがまた良いのかもしれません。
3307 : ままごと 古月 ('09/02/02 18:16:38)
遊びという有限に無為の枠だけがありどこまでも高みへ押し上げられていく中での僅かな感触は「飴玉」という無くなる物質で味という不確かさを記憶に残し包んでいくが、
もしかしたら名前なんて 最初からなかったのかもしれない
/そんな遊びです
最終二連はあまり必要に感じられない、もっと良い先があったかもしれない、という意見がありました。
惜しくも選からは漏れましたが、その他、以下に挙げる作品が注目されていました。
3357 : gloom3 5or6 ('09/02/25 01:05:15)
読み物としてまとまっているけれども、残らないことと後をひかないという欠点は大きすぎるのではないか、という意見がありました。
3343 : 人間恐怖 古月 ('09/02/16 15:46:02)
作りは純粋で良質な部位もあるが、過渡期を作品の中で魅力を削ぐ方向でやっているように感じられる、魅力の加味と塩梅をもう少し考えて欲しい、タイトルは最低の部類に感じる、という意見がありました。
3327 : 世界の涯 Anonymous ('09/02/09 22:23:51)
物語れる過去の一切を忘れてきてしまっていた。
あたりまえだ。
すべてをすっかり覚えたままだれが世界の涯、
に辿り着けるというのか。
だけに焦点を当てて書いても面白かったのかもしれない、作者は説明的で輪郭を作って中身がありふれすぎている、掴めそうな良質は、しかし確かにある、という意見がありました。
3345 : 怠惰 菊西夕座 ('09/02/16 21:21:37 *2)
この怠惰感は貴重、もう少しコントラストを出しても良いとも思う、悪くはない、怠惰なわけだし、という意見がありました。もう少し肩の力を抜かれても良いのかもしれません。もっと怠惰でもよいのかもしれません。跳躍力というか暴走癖のある作者の良さがもっともっと伸びやかに魅せられる箇所は確かにあるはずです。
3310 : カンナ 結城 森 ('09/02/02 23:26:20 *1)
作者は上手くなっている、けれども構造と情感の足りなさが後半にかけてどうしても目立ってしまう、惜しい、という意見がありました。内容は悪くないのに文体の冗漫さで損をしている、全編に渡り、手直ししたくなる、という意見もありました。実際に選考の際に、こう書けばよかったのではないか、というリトライが為されたり、注目を集めはしていました。
3332 : 聖レイン 榊 一威 ('09/02/10 14:59:08 *1)
作者の作品はいつも、次点にしようか迷う、今回の作品はエンディングが寸足らずだったのではないか、という意見がありました。
3304 : 赤い実 桜井 ('09/02/02 02:16:59)
悪くない、表現の細部に気を配り、瑞々しさを心がけていくともっと良くなるのではないか、
天の方では
雲一つなく見ていたが
小さな赤い実
少しはそれに 気付いたろうか
この連で終えるのはあまりに勿体無いのではないだろうか、三連目まで適度な緊張感もあり写実的でありながら精神に刺さる棘を確かめていく作業が捉えられていてとても良い、だが四連目突如として視界は開け、自身の身から赤い実への思いへと転化しすぎていて、裾を広げるのではなく投げ捨てた印象すら殴っているように思える、という意見がありました。
3355 : 沈丁花 はるらん ('09/02/23 15:41:17)
ひとつおき、咲かぬもの
またその先の
沈丁花は花ひらき
同じ場所で
同じ陽射しを
浴びながら
花ひらくもの
咲けないもの
どうして?と
瞳で聞く私に
振り向いたあなたは
それには答えず
みんな連れてゆく、と
静かに笑ったのでした
良質なので、もっと絞って表出させ奥まで誘うことは可能に感じる、もっと素晴らしい位置に辿りつけたのではないだろうか、という意見がありました。
3336 : 八雲神社 吉井 ('09/02/12 01:45:18)
3348 : 崩れゆく輪の中で 京 ('09/02/18 09:03:28)
3356 : 青空は蝶の羽根のように 草野大悟 ('09/02/23 21:09:04)
以上です。
#年間各賞、ほぼ決定しています。現在微調整中ですので、もう少々お待ちください。