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2013年11月分月間優良作品・次点佳作発表

2013-12-25 (水) 15:29 by 文学極道スタッフ

2013年11月分月間優良作品・次点佳作発表になりました。

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2013年10月分月間選考寸評

2013-12-01 (日) 06:43 by 文学極道スタッフ

総評

ケムリ
今月は全体的に、「なんか回復の兆し?」という感じがします。
僕はいつも、一度全作品をまとめてブラウザのタブで表示して一つ一つ落とす作品を消していくんですが、今月は結構残ってめんどくさかった。

その他 選考委員雑感

・今月は特に読み応えがありました。

・10月はハロウィンの影響か?  おばけや幽霊が大活躍でしたね。  面白く勉強させていただきました。

・今月は、次点候補ばかりが多くなってしまい、困りました。その中でなんとか絞ったのですが、浅井さん、はなびさんというビッグネームにつきましては、相変わらず「趣味の良い文章」を書いているのですが、ただそれだけ、という感想を拭いきれず、選外としました。
 深街さんは実力者だとは思っていますが、言葉の組み合わせのピントが少しずつズレている(幼稚な)感じがし、組み合わせの妙を武器にして書いている現状では、次点に推すのは難しく思いました。

・いわゆる古参の方が戻ってきたせいか、一定のレベルに達しているものが多く、選考にあたってかなり迷いました。その中でわたしとしては夢野さん、お化けさん、鳥さんあたりがそういう方たちに負けず劣らずクオリティを保っていたと思います。

【優良】

7108 : 正月  夢野メチタ ('13/10/31 20:43:33)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131031_821_7108p
(1)
生活の中に根差しながらシュルレアリズムに攪拌し脱臼を繰り返していく。
語弊をおそれずに言えば「一条様式」で書かれており方言の音韻と人間の背理が様式を発展させていく。
あと何作か読んでみたい。

(2)
家族の風景。
さらさらと読ませてくれる散文詩で、長くない時間の風景を切り取っていって面白かったです。

(3)
悪くないですね。ヘタウマ感。サラっと書いて読後感を残す。崩し加減も適切で、ちゃんと書けるものを書いてる感じに好感を持ちます。ただ、もう一回同じレベルで出されると「飽きた」となってしまいそう。この人、他にどんなの書けるのか楽しみだな、と思います。

(4)
ユルくてだらだらと続く独特の文体が、「家族」の淡いようで分かち難い血縁をうまく表現していると思います。

(5)
何気なく書かれているようだけど、届かない年賀状、足りない椅子、などそれぞれの切り口から浮かびあがる作中主体の悲哀を巧みに表現しているように感じました。 ただの文体による快楽だけに終わらない作品だと思います。

7061 : THE GATES OF DELIRIUM。  田中宏輔 ('13/10/07 00:54:36 *5)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131007_419_7061p
(1)
會津八一の部分は縦書きにして欲しかったです。 
引用が多すぎでメモ帳みたいです。
独白部分にどこかもう少しあいまいなところがあったら、もっと魅力的に読めたかもしれません。

(2)
『マールボロ。』という自作の詩の批評を、引用によって行ってしまうという作者の企みに感心します。

(3)
論の展開、つまり作中で書かれた、ロマン主義的な言語観に基づいた論考については特に新たな発見もなく、ところどころ詰めが甘く、いってしまえば既視感を拭えないのですが、そこに己の実存をからませてくる方法によって読み手のテンションを保っていると思います。長さを感じさせない作品でした。

7066 : 夜行ドライブ  鈴屋 ('13/10/08 04:01:43 *3)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131008_448_7066p
(1)
相変わらず、イメージの端々にキッチリ目線が行き届いてるのは流石だと思うんですが、いかんせんなんというか…ベタというか安っぽいというか。なんでしょうか、「こーいうの書いて」って依頼されて、やる気なく5分で書いたような感じがします。こう、ここからどう見せていくかが鈴屋さんの魅力だと思うんですが、これはちょっと弱いです。

(2)
自動車というものは小さいながらも運命共同体であり、一人で乗るには気楽ですが、助手席に誰かいるとなると、死ぬときはコイツと一緒だ、という思いがふと頭をよぎることがあります。ましてやこの作品のように、行きずりの女との逃避行ともなれば、陽の当たる生よりは、仄暗い死のほうへ思いが傾いていきそうです。
そんな情景を、描きすぎないことで描く手腕はさすがだと思います。「なっ?」という言葉の同意のない孤独な響きが印象に残りました。

(3)
活字上の証拠隠滅とでも言いましょうか、読む側のリテラシーを想定してギリギリの情報を開示するというのは結構難しい作業だと思うのですが、いかにも簡単にやってのけることに驚きを感じました。仕掛けに気付いた時に作中主体の呼びかけが異化され、抒情詩としても訴えかけるものがあると思います。

7067 : バベル  无 ('13/10/08 19:15:21)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131008_462_7067p
(1)
サルトルや安部公房などの作品を思い出す。
それらを含めて語りなおしており昇華されている。
作者は作品への物語性を求めるあまり人物像が非常に疎かになる部分があり、
時に、それが物語に則り過ぎた無臭の人間を浮き立たせ詩情を削いでしまうことがある。
その無臭性が題材の軸により活かされている。

(2)
「あたしのこと覚えてる?」を中心に展開する生まれる前の世界のような。

7094 : 丘の上の黒い子豚 un cochon sur la colline  はなび ('13/10/24 09:21:22)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131024_736_7094p
(1)
ユアグローみたいだなあってまず思いました。
他人のみた悪夢を聞くの好きで、よく聞かせてもらうのですがそんな感じ。

(2)
自分のイメージをきちんと書こうとしているし、実際書いている。それも、余計なことをせず少ない手数で。良いと思います。ただ、最初の一行が僕にはちょっと見えなかった。入り江に入り込んでいく景色って、どういう風にイメージすれば良かったかな?「じゃがいも」辺りの描写から入り込んでいきましたね。作品の最初に概念的・抽象的なものを持ってくると読み手を弾いてしまうことが多いような気がします。逆に、作品に引きずりこんでしまってからなら多少の無茶は通るもんですけど。

7072 : They talk of my drinking but never my thirst  浅井康浩 ('13/10/12 22:47:49)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131012_528_7072p
(1)
どうしてこんなに窮屈な文体で書くのだろう。
それなのに読みやすいんだろう。
人が好きなものを語っているのは良いものです。

(2)
いやいや。いやいやいやいや。いやいやいやいやいやいや。これは無い。文体に水気が全然ないじゃないですか。「敢えて」って言われればそうかな、と思うし、叙述だから文体から温度を取り去ったといわれれば一瞬納得しちゃいそうですが、いやみとめねーよ。あんたこの主題でももっと書けるだろ、と。どーしたんですか。ヒ素でも飲んだんですか?ちょっとマイナスイオン足りてないんじゃないですか?上手いっちゃ上手いっすけど、これは浅井作品と呼ぶにはあまりにもアレでしょう。カッサカサですよ。どうしました。老けましたか?あれですよ、浅井さん僕といっしょにオランダに一服しに行きましょう。あなたと僕には多分、休息と気分転換が必要だと思います。

7057 : 三つの奇妙な散文詩  前田ふむふむ ('13/10/03 23:13:23 *1)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131003_356_7057p
(1)
奇妙な散文詩という古臭くもあるタイトルがギミックになっていて、それが三連画として日常からの呼応を促している。
「洗濯物」
10枚の半そでTシャツが干されているという何も不思議ではないこと日常として実は有触れているだろうことを神経症的に深化し考慮し世界秩序までに至る。主観というものの逸脱が世界秩序など何もない状態で実は存在することが敷かれていく。
「喜劇」
犬という家族の一部への愛着は外部から見ると理解を超えてしまうことがある。平穏な日常に現れる子の死を行動を伴って外部からも解るくらいに悲しんでいる主観行動。その主観行動は客観的に狂気であり滑稽である。客観というものが主観の逸脱を捉えているが捉えられている主観は逸脱していないという関係性が敷かれていく。
「冬の動物園」
動物園という異常状態にある動物の主観への疑念を客観的に捉え、その客観性が自己を客観的に捉えさえして日常という異常状態にある主観へ主観が敷かれていく。主観が主観に出会っていく。客観と客観の逸脱は主観と主観の逸脱であり、それは呼応し続けている。
三つの奇妙ではない日常を主観と客観の差異比較から見事に描きだしている。
このジャンルの作品として、かなりの名作といっても良い位置にあるのではないか。

(2)
モチーフの取り方はスゲー良い。三つとも、モチーフそれ自体が情景を喚起させるパワーを持ってる。このモチーフは正直パクりたいと思った。その一方、文章の表現はなんというか光景を描くのに十分な腕力を持ち合わせていない印象。前田さんは以前の作品に好きなものがいろいろあって、概念的な言葉を徹底的にこねくり回す人って印象があるんだけど、この作品は真逆の方向にトライしていて、そこが興味深くはある。ただ、以前と違って手慣れは感じない。不慣れなことをたどたどしくやってる印象。逆に言えば、モチーフのとりかたがとても上手なのでまだまだいくらでもブラッシュできそう。文章の技術論は、これだけ書ける人ならすぐ最適化してくるだろうし、楽しみにしてはいる。

(3)
着想はいいですが、描かれ方がまずい。余りにナラティブであることが読者の入り込むべき余白をなくしている気がします。

7085 : ガードレール  村田麻衣子 ('13/10/21 16:02:54)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131021_692_7085p
(1)
一連目、二連目、三連目と生活の中で混濁していき昇華するリ・インストール形状生態が作者独自のものとし発火し読み手の中で育ちあがっていきます。
優良に達していると思いますが、迷子のお知らせ以降に少し作品内世界での光景が変わっていきます。主軸との混濁の配分が比喩としての明示になっていくのですが「迷子」の指し示す単語と包括された詩の主軸が比喩としての機能異常に明示条件として強調されてしまった部分だけが気になりはします。
しかし「交通整理のコーン」「アスファルトの色彩」など私自身の生活で目にする身近な物事に、こんなにも視点の違う景観が流れていることは驚愕でしたし身近なものを詩的発見に紡げてしまう(一番むずかしいことを最初から最後まで行っている)この作品の在り方には感嘆の溜息が漏れました。「わたしが 嫌いだったんでしょう好きで堪らなかったんでしょう」直情を折り挟み崩れない作品世界、単純に勉強になりました。

(2)
B級ホラーみたいにひたすらとっちらかって、なんだかカラフルなイメージだけが残りました。
「ボリウム」「ファッションショウ」を使うのでしたら他のカタカナも合わせるか、減らすかしたらまとまりが出たのではないでしょうか。

(3)
村田さんの作品は、どれを読んでも同じものを読んでいるような気持ちになります。もはや「村田麻衣子様式」と呼んでも良いかもしれません。「どれを読んでも同じ」というのは、村田さんが、そう読まれるように、何かを隠蔽しつつ垣間見せる、ことを意識して書いているからでしょう。村田作品が「言葉」主体の詩である割に、意外と派手な小道具や舞台を登場させてくるのは、「心」ではなく、モノとコトバを動かすことで、自分自身にも不確かな「ココロ」みたいなものを表現しようとしているからでしょうか。

(4)
気障で男っぽい女性の中に今にも男の胸にすがり付いて泣き崩れてしまいそうな女の子を見つけ出すことが作者の作品を読むときに感じる一方的なフェティッシュであり、願望であり、そうであってほしいという一種の偶像であったのですが。今作品においてはその不文律が壊れているというか、そのために作中の読む側のテンションが保たれていないように思います。とまれ、そういった偶像というのは私という一読者の勝手な押し付けであるのでどうぞご自由に壊していただいてかまわないのですが、今作から感じたのが濡れ雑巾が濡れているという当たり前の事柄だけであったのは少し残念でした。

7084 : 浮遊する夢の形状  前田ふむふむ ('13/10/21 08:50:18)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131021_686_7084p
(1)
非常に真面目な作品だと思います。自分の感受性を余すことなく言葉にしようとする強い意志を感じます。このような真面目さを、多くの書き手が見習えば、多くの佳作が生まれてくることと思います。
作品の内容については、特段に目を惹くものはないように思いました。作者の幻視を読者がうまく共有できる工夫が足りなりように思います。

【次点佳作】

7073 : 朝顔の花  市井一 ('13/10/14 22:09:23)  [Mail]
URI: bungoku.jp/ebbs/20131014_562_7073p
(1)
パーレーンルビの使い方が不思議。強調なのかしら。

7079 : 比喩としてのパイが気になる  お化け ('13/10/16 15:25:59 *90)  [Mail]
URI: bungoku.jp/ebbs/20131016_593_7079p
(1)
読めば読むほど君と私と彼とあなたとあなたたちを自分はきちんと読み切れているのかと不安になります。
お化け さんの作品はペンネームにぴったりだったり、じゃなかったりするのですが、これはぴったり。

(2)
あんた多分、余計なことしないで長物の文章キチンと書いた方がずっといいもんになると思うよ?ってのが最初の感想。どちらかと言えば既視感のある内容で、かつオーソドックスな文体をこんだけ読ませるというのは、地力のある書き手なんだろーなぁ、とは思う。なんにせよ、飾り気のない文章がいいですね。みんなこーいう文章とりあえず書けばいいのになぁ、って思う。いや、自分の文体を確立してる人は別だけど。

(3)
9月の『以下の話はフィクションです、あるいは幽霊的なものです」の出来が素晴らしかったので、お化けさんには注目していました。この作品は、後半にいくに従ってテーマが雑然としてきて、なにについてての話だったかな?とわからなくなりました。

(4)
正直に言って正確に意味を捉えきることができなかったけれど、読み物として一定の面白さを提供しているのは感じました。線に関する章、区分に関する章からどうもあやふやな印象を受けます。

7049 : I FEEL FOR YOU。  田中宏輔 ('13/10/01 00:04:38)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131001_260_7049p
(1)
twitterはあの形式だからいいのかなって。
スマートフォンで、togetterなんかで見たら、また評価は変わってくるのかもしれませんが、投稿詩として見た時は間延びした、目が滑っていく印象。

7099 : Re:  WHM ('13/10/26 23:54:20)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131026_771_7099p
(1)
断片的なイメージの奔流が、昔、背伸びして観た外国の短編映画のようでした。
漂いっぱなしなのは悪い事ではないのですが、比喩に溺れているような印象。三連目の続けて出てくる手のイメージのところ、好きです。これって言葉でしかできない提示の仕方だと思うんですけど、その後が捻り過ぎていて少し難しかったです。

(2)
良い作品です。技術がギュっと詰まった、お手本のような作品。決して派手ではないけれど、イメージの連鎖、横滑り、意味―物語との接続。色んな技がシームレスに繋がれていて、素晴らしい。ただ、非常に傲慢かついい加減なことを言うと、「ただ、これらの技術は大体僕も使える」ってのが佳作に留まった理由になります。解析不能な箇所がなかったんですね、これはあくまで僕の身勝手な読みによるものですが。次回作辺り、すごいの来るんじゃないかなーって期待してます。もっと飛んだり跳ねたりしても大丈夫な書き手だと思います。次作は失敗上等で大冒険してもいいんじゃないですかね。文句なしに上手いんだし。

7052 : 煙ノ街デ  鳥 ('13/10/01 22:03:24 *13)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131001_282_7052p
(1)
先月といい人間がただ生活していたりすることに特化することで背景と内観を打ち出していけている。
作者は、この作法に相性がとても良いように思える。

(2)
レスにも書きましたが書きたいことと書き方が一致した良い作品と思います。

7082 : コキュートスの襞のための独白  NORANEKO ('13/10/19 06:29:49 *23)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131019_628_7082p
(1)
―――――(暗転)――――――


橙色の((H))光る、罪名

焼き鏝の先の煙りと、焦げる肉と脂の臭い

―――――(それは、あたたかな、黒だった。)―――――
 ここが素敵。

(2)
今回の投稿作の中で、一番のエネルギーを感じました。と同時に、非常に冷静な書き手であるとも思いました。今後に期待したいです。

7083 : おばけのはなし  熊谷 ('13/10/19 23:08:45)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131019_647_7083p
(1)
二連の三行目からなど惹きこまれるだけの綴りで哀切な感情が痛いほどに渡されてきます。
そう読んでいくと、もう少し焦点を絞りこめそうです。
「おばけになりたかった
 地に足がつかず
 人が人として生きていくなかで
 当然のようにともなう
 欲求や義務をすべてひっくり返した
 あの宙に浮いた存在に」
ここまで「おばけ」を説明してしまうと削されてしまう部分が、どうしても出てきます。説明せず伝わることは詩に昇華される方に力を注いでもよいのでは、と思いました。
震災が出てきてしまうと作品内での「おばけ」が比喩していた自体の哀切な恋の感情がぶれていき、
それまでの作中内での綴りすべてが失われていくように思えてしまいます。
焦点がブレテしまい、とても良かった部位がある前半が飲み込まれていってしまっています。
どこに焦点を当てていくか、そこを考え説明的になっていないか、
そして綴りなおすと良作として輝くのでは、と思わさられる可能性を感じさせられました。
作者は、とても上手なので推敲しなおした作品を是非また読んでみたいです。

(2)
ガールミーツボーイで書ききって、無理に綺麗な着地をさせる必要はなかったのではって思います。
創作に向き合っているその姿勢を見習いたいです。

(3)
この内容でこの場所に投稿して、かつ僕に佳作推挙を悩ませた、って点が面白い。いや、基本的に「おまえの話はいいよ」ってなりがちな僕ですが、この作品はなんとなく読んでしまった。弱点を言えば「最近の自分の話を比喩的に膨らませてみた」(もちろん、作者=作中主体ではないとは思うんですが、そういう風に読める)というところから脱せなかった点じゃないかなー、と。まぁ、でもそういう形だからこその読後感や共感もあると思うので、趣味の問題と言われればその通り。このやり方でもっと先があるのかなぁ…とは思いました。ごく普通の女性のごく普通の日常を、ほんやり膨らませる感じというか。ごく普通であるということに敢えて価値を見出していく戦略というか。

7080 : 点子が、行く。  点子 ('13/10/18 09:04:00 *2)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131018_612_7080p
(1)
おもしろく読ませてもらいました。

(2)
作者は上手くなっていると思うし、自力もあると思うので、こういった形で肩の力を抜いて書くと、必然よい作品が生まれるのだと思います。

7100 : 夢よりきれいなところ  深街ゆか ('13/10/28 08:36:54 *3)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131028_779_7100p
(1)
文章の流れなど他の作品の音韻などを大変学びながら書いている真面目さが浮かんでくる。
言葉の脱臼も過渡期だけれども、だからこそ内実に合っているのかもしれない。
作者のすべての作品に関して、いつも思うのだけれども最後がいまいち昇華されていかない。
作中の重要な綴りの反拍であったり一番重要なことを、そのまま書き置いたりしていて、
それが共通した作法になりつつあるので、それを脱却してみると、
とても良い作品を書くようになるのではないか、と思えてくる。
期待し学ばさせられています。

(2)
段落分けや空白、ひらがな/カタカナ/漢字の使い方が少し雑な印象を受けました。
1〜3連、すべてに詩的飛躍と解釈しがたいイメージの断絶があり、なんていうか、惜しい、と。

(3)
エモーショナルだなー、と。あ、なんかなんか聞きかじった言葉を使ってみたんですけど、使い方合ってますかね?相変わらず、フレーズ単位ではいい感じのものが多いです。それだけでも評価には値するとは思います。しかし、作品総体の評価としては前作と変わるところなし、というのも正直な感想になります。おそらく、作品総体を貫くものがある種の作者性に依拠しているのが弱いんじゃないかなー、と。ガジェットやフレーズの単位では良いけれど、総体としたときに弱いなーって気がします。歌詞なら良い、しかし音楽が足りない。僕、若いころこういうの好きだった気がします。でも、なんていうか読み手としての熱狂みたいなものが失せてしまったんでしょうね、この作品のエモさにノリきれない。

(4)
前作のような思わせぶりな行空けや、あまりにもウェットすぎる言葉が制御されて随分読みやすくなっていると思います。ただそれって結局これまで作者が書いてきたチープな主題の隠蔽工作にしかなってなくて。というかあらゆる主題なんてチープなもんだと思いますが、そこを自覚できていないから、どうしても大仰なそぶりだけが目についてしまいます。これに関しては白河 蓮実さんの詩についても同じことをいいたいです。

7063 : 雨が洗う  深尾貞一郎 ('13/10/07 04:32:07)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131007_426_7063p
「六月の日曜日にも
 雨の日はあって」
この二文に込められた背理は凄絶です。それを拡げていく一連、二連、三連は見事としか言いようがありません。
残りの連、特に最終連は推敲必須に思えます。最終連の、つまりこれが言いたかったんだよ、という風に取られかねない平易な置き方は少し損に思えます。
詩的拡大がなくなります。
しかし、それでも最初三連の上質さと勢いが包み込み次点として充分良い作品になっています。

【落選】

7102 : 砂漠夢想  北◆Ui8SfUmIUc ('13/10/28 21:53:42)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131028_785_7102p
(1)
三行目、四行目のあり方が非常に上手く昇華させています。
一行目や「サソリ」を、もっと疑ってみてもよかったかもしれません。
タイトルを含めて再考すると柔らかな面白い作品になりそうです。

(2)
シャレコウベが誰のものかとか、掘り下げてみたら面白そうだなって思いました。

(3)
ええと…。ミシンとこうもり傘なら「ん?」って立ち止まりもするんですが、シャレコウベと蠍と月の光ってあれです、ええとその、なにがおもしろいんですかね?えーと、なんていうかさ、思いつき一発でもいい作品はあると思うんですけど、これ書いた後「んー…ベタだな」って思いませんでしたか?「あなたを食べてしまいそうで」って言われても…。
このイメージのどこに面白さがあるのか、僕にはちょーっとわかんねえっす。あれです、絵にしたらいいんじゃないですかね。タッチ次第では恰好いいかもしんない。でも、文章で表現するんだとこれじゃダメなんですよ。もうちょい、読み手に楽しめる部分くださいよ。

7107 : 鉄橋  れたすたれす ('13/10/31 09:38:02)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131031_818_7107p
(1)
父と息子の葛藤みたいなものが感覚的に分かっていないからでしょうか、
>(毛馬の閘門にはまればよかったのに)
 とはちょっとどぎついものがありました。
ここを境に作中主体の心象にもぐる構造で、その心象風景をもう少し書きこんで最終一行にカタルシスを与えても良かったと思います。

7105 : Pain〜痛みではなく〜  白河 蓮実 ('13/10/30 12:01:10)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131030_804_7105p
(1)
読んでいる内に作者が解る力強さが秘められている作品です。
Pain Rain
の並びの大きな、ともすればイタイだけの文字になり下がりそうな部位が非常に意識的なことと作者の中での等身大と剥いてしまいたいだけの作品への破壊性、
初現性、それらが伝わって昇華されているだけの綴りになってはいます。
ただし、だからこそ散文部分の導入部位などの平易な言葉選びが気になってしまいます。
もっと作者独自の五感などを入れたら希求性を、もっと高められたように思います。
二ルバーナとコバーンは使い古されているかもしれませんが、その作者が感情移入したものが出てきてからは、とても作品の魅力が増しています。
そこを最初の部位でも出来るのでは、と思い作品の魅力を、もっと作者なら引き出せるのでは、と思ってしまいます。
最後まで集中力が続いているので非常に、そこだけが勿体なく感じられます。
英語部位は選んで意識的に作者が書いたのだから言及してはいけないのかもしれませんが個人的には再考の余地はあると思っています。
力強さと作者の方向性が次につながる強力な作品です。
次は大傑作に化けた作品が読めると思うと自分も頑張らなければ、と思わさせられます。
(2)
いろいろ調べて「You Know You're Right」っていう曲をyoutubeで聞きました。
それがこの詩を読んだ収穫で、それはすごい事だなって思いますが、思わせぶりな言葉の羅列に疲れてしまいました。

7101 : 合わせ鏡  AKIHO ('13/10/28 16:23:09)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131028_780_7101p
(1)
文章の流れなどは悪くなく詩情も創り出している。
ひとつ一つの単語に独自性を出していくと作者独特の詩情として昇華されるのではないか。
平易で擦り切れた単語が文章の流れと創り出せた詩情を邪魔している。
共依存まで書かなくても良かったかもしれない。
そこまで書かない方が想像させ読み手の中で育つと思う。
独自の単語で書かれた作者の作品が今から、とても楽しみでならない。

7086 : 馬刺しな俺たち&ばってん  草野大悟 ('13/10/21 23:30:21)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131021_698_7086p
(1)
センスのない感想で申し訳ありませんが、焼き豚足は食べてみたいなー。

7060 : 窓開く  黒髪 ('13/10/05 15:13:47)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131005_383_7060p
(1)
「マクドナルドは静かな方舟」に拍手。
「放射能を廃棄して」はもう少し、慎重に使った方がよいと思います。

(2)
前半は安易な押韻が作品を駄目にしている印象を持ちます。後半に関しては、作者のあまり言葉を選ばずにそれっぽいものを並べてしまう悪癖が出てしまったという感想です。

7053 : 秋空  北◆Ui8SfUmIUc ('13/10/02 00:43:40)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131002_287_7053p
(1)
こういう詩も非実在どうたらこうたらになっちゃうのかな、それは嫌ですね。

7092 : エンドクレジット  飯沼ふるい ('13/10/23 21:02:17)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131023_731_7092p
(1)
等身大で紡がれているので描きたかったであろう詩情が、きちんとそこにあります。
 何かがここからなくなった
例えば、この「何か」を言い当てていってみた方が詩作品としての魅力は増すのではないでしょうか。
最後にかけて集中力が続いていっていない感覚を覚えます。
一連目と終連とを対比させてみて紡ぎの力を客観的に読み直すと、もっと良い作品に化けるのでは、と思います。

(2)
ちょっと発想が安い気がします。描写が丁寧なだけにもったいないと思いました。

7088 : コーラス  田中恭平 ('13/10/22 15:56:15)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131022_706_7088p
(1)
最初の二行でめっさ期待したのに!スタートはいいですよ。敢えて視覚を避けて、嗅覚と聴覚から始めるってのは良いです。実は、風景描写よりこっちの方が読者を引き込むパワーがあるんじゃないかと僕はちょっと思ってます。内容自体は、概念性に振り過ぎてて序盤で引き込まれたのをもう一回突き放された感。もうちょい丁寧に書いたらいい感じに仕上がる気がするんですけどね。

7074 : 自分とは・・・何者なのか?  大丈夫 ('13/10/15 00:49:16)  [URL]
URI: bungoku.jp/ebbs/20131015_563_7074p
(1)
オーケイオーケイ。まぁ、生きてると思い悩むよな?くっだらねえことにつかまってグダグダ考え込んじまうこともあるよ。わかる、すげーあるよ。わかるよ。でもな、それをここに書かれても困るんだよな。あんたが日々思うあれこれには、割と誰も興味ねーんだよな?そういう時のために、世の中ツイッターとかいろいろあってだな?日々のあれこれをダラダラ吐き出すための場所は、むしろ世の中に一杯あってだな?俺もそうしてるんだよ。ツイッターでどうでもいいこと書いてるんだよ。日々思うあれこれをな?というわけで、あなたのそれはツイッターでやれ。な?わかったろ?な?まぁ、ミクシは時代遅れらしいしフェイスブックは意識の高い社会人向けで俺やあんたには厳しいかもしんないが、ツイッターならOKだ。さぁ、今すぐアカウントを取る作業に入れ。

7077 : 序論、序章もしくは、はじめに  New order ('13/10/15 17:21:22)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131015_578_7077p
(1)
これからも読み続けたい。来年、文学極道は10年目に突入するので、
作者は傑作ばかりを投げ入れスタッフの頭を叩いてくれるのではないか、と期待してしまう作品熱。

(2)
ニューオーダーさんの今月の作品は、全然まとまりがなくはっきり言って途中で飽きました。二十歳越えてああいうの書いちゃう男の子ってどうなの?って思いました。あれです、今さら「良いところがある」とか「この辺が良い」とか評価されたいんですか?ミチっと完成させて出してくださいよー。そういう評価を今さらあなたにすると、する方もアレなんですよー。そりゃ、良いとこ探せばナンボでもあるでしょうよ。でも、今さらやんなくていいでしょ?めんどくせーんですよ。

7059 : mama  深街ゆか ('13/10/04 22:20:20)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131004_375_7059p
(1)
ありふれた題材ですが、きちんと向き合って書いていることが伝わってきます。
作者の色も出せそうです。
「生まれて間もないわたしたちを包み込むのはビロードみたいな老衰//九九をおぼえたら自給が上がるの、」
など説明的に言ってしまうと読解の際の驚きは薄れてしまうので、
注意して欲しいと思います。
もう少し作者独自の言葉で編んでいけるように感じます。
解りやすい題材を解りやすく伝えようと書いても良いのですが、
ここまで説明のように書くと折角作者の作品なのに作者の作品に触れたという気持ちが弱くなります。
もっと作者独自の視点と綴りで編んでいくと傑作になるのではないでしょうか。
作者は現時点で、それを出来るように感じています。

(2)
>君のママが君を産まなかったとしても他のママが君を産む
>だって、世界には信じられない数のママになりたい少女たちが用意されているから
これはスゲーと思った。これで短編小説くらい書けるんじゃないか、ってくらい俺はイメージを喚起された。相変わらずのフレーズ魔人っぷり。ただ、コピーライター的な才覚と作品全体をデザインする能力があまりにも不釣り合いなんですよね。惜しい。スゲー惜しい。WHMさんとフュージョンしたら世界狙える。

7062 : 不安サービス  森田拓也 ('13/10/07 00:57:13 *1)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131007_420_7062p
(1)
だんだんと読める段階に昇ってきつつある可能性を感じもする。

(2)
作品のレスで言われてることとほととんど同じ印象を持ちました。よくなっている。けれども足りたいところがあるのも事実であるし、そこを補えるように頑張ってほしいです

7076 : 幽霊が豆腐を食べる  ヨルノテガム ('13/10/15 04:28:45)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131015_568_7076p
(1)
かわいい幽霊ですこと。

7069 : 一人称に告ぐ  ゼッケン ('13/10/11 01:31:08)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131011_505_7069p
(1)
事象oに思いっきり警戒しながら読みはじめましたが、子供が「我」の発見を小難しく語っているようで好ましく読みました。

7050 : When the Music's Over  无 ('13/10/01 07:48:28)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131001_266_7050p
(1)
レスにも書きましたが、面白い表現と面白くない表現が混在している印象です。描こうとする抒情がわかるだけに少しもどかしいような気がします。

7051 : 電気椅子の電圧を上げ過ぎたために黒焦げになってしまった死刑囚の死体の精密な描写 その1  森田拓也 ('13/10/01 12:05:51)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131001_277_7051p
(1)
とっても読みやすいんですが、精密さが足りないように感じました。
野暮なようですが電気椅子は、日本では使われていないですものね。
死を前にした人間の走馬灯をもっともっと書き込んでいたら題名と釣り合いがとれるのではないかと思います。

7054 : 膨らんだ声  謝染はかなし ('13/10/02 01:11:18)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131002_292_7054p
(1)
最終二行で突然、視点と音の流れが変わります。
月を出すことが作者にとっては必要だったのかもしれませんが、もう少し水と私たちを掘り下げてみても良さそうです。
三連目も少し見つめ直し、もう少し深めてみると良作が産まれそうです。

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