文学極道 blog

文学極道の発起人・スタッフによるブログ

2009年11月分選考雑感

2010-01-09 (土) 11:42 by 文学極道スタッフ

今月も勉強になりました。
ありがとうございました。

今月は、

3975 : FUTAGO  debaser ('09/11/26 15:26:12)

3987 : 水玉の丘  はなび ('09/11/30 14:55:58)  

3940 : HOUSES OF THE HOLY。  田中宏輔 ('09/11/11 18:03:41 *6)

3923 : (無題)  debaser ('09/11/06 19:23:45 *2)

3943 : 生育暦  村田麻衣子 ('09/11/12 22:21:22)

3946 : クリティカル  葛西佑也 ('09/11/14 02:54:51)

3989 : トトメス3世  右肩 ('09/11/30 22:36:47)

3970 : あなたの街の夜  鈴屋 ('09/11/23 23:24:31 *1)

3980 : 子供の病院  ヒダ・リテ ('09/11/28 06:49:19)

以上、9作品が月間優良作品に選出されました。

3975 : FUTAGO  debaser ('09/11/26 15:26:12)
新たな手法を取り入れようとしているエンターテイメント作品だと読んだ、作者の手際の器用さには唸らせられた、という意見がありました。エンディングに締りが無く、力強さに欠ける気がする、という意見もありました。ちょっと面白いがパンチに欠ける、詩行の部分は不要、という意見もありました。グダグダが失敗はしていないが、これを楽しめるかどうかにはかなり個人差があるのではないか、という意見もありました。脱力は意図してのものであろうと思われる、その脱力は作品全編を覆うものでもある、と作品脱力への賛嘆意見もありました。

3987 : 水玉の丘  はなび ('09/11/30 14:55:58)  
「コレハなんだろう?」と考えることが、そのまま読む楽しみであるような作品、という意見がありました。性的にも、天地創造と終末にも、日常にも、芸術にも、どういう風にも読めるけれども、この作品は、すべては人間であればこそを引き出している、今月一番印象に残った、という意見もありました。綺麗だけれども転調に若干の不満がある、という意見もありました。

3940 : HOUSES OF THE HOLY。  田中宏輔 ('09/11/11 18:03:41 *6)
選考の際、評価が真っ二つに割れました。優良に強く推す意見もあれば落選へと強く推す意見もありました。今までの作品に比べ無駄が無い、そして捨てがたい、という意見もありました。写真をはがすしぐさ、ラップ越しのキス、場面がシャープに切り取られ重ねられていく様子は、すぐれた恋愛映画を観るようだった、という意見もありました。彼のことを書きとめておこうとする作者のしぐさに印象深さを感じた、という意見もありました。他者との世界が垣間見れる現象選択の勝利に思えた、という意見もありました。作者も工夫はしているけれども作品が食傷気味になりつつあるのを否定しきれない、もっと印象的なリフレインを、ここぞというところで刻んでほしい、だらだら長いだけのように見えるのは損得勘定ではないけれども満腹になってしまった、という意見もありました。

3923 : (無題)  debaser ('09/11/06 19:23:45 *2)
なんだかんだで惹きつけられる、詩なのか、どうなのか、詩ではなく一条というジャンルなのかもしれない、という意見がありました。痛そう、なんだか良くわからないけれども、とにかく記憶に残る、この記憶をどうしたらよいのか、どうにかして欲しいというのが正直な感想だけれども良作であることには間違いない、という意見もありました。年季の入ったツツイストなら、もっとおもしろいのを書く、とは思う、という意見もありました。作品そのものよりコメントの方がまだ興味深い、という意見もありました。作品へのコメントはこれですでに絶賛の嵐なのかもしれないけれども、これは本来、力み絶賛すべき作品ではないのかもしれない、という意見もありました。問題なく推せる作品だ、という意見もありました。

3943 : 生育暦  村田麻衣子 ('09/11/12 22:21:22)
気持ちや気配の伝わってくる作品だった、消えてしまった母、虐待、など、イメージ化も見事だと思う、という意見がありました。自然な文章の中にきらりと光る表現があって、その流れのなかにはたしかにやや硬質な単語を挿入することで異物感が生じている、けれども、それはそれほどまでに、この作品の本来のありかたが、計画的な文体にあるのではなく、情動の方舟に代入するようにした特定の思考のほうに拠っていることだと思う、という意見もありました。相変わらず上手い、言語派に傾倒するかと思うと、日常の口語に帰ってくる感覚が突いてくる、中盤、もう少し離すものがあっても良いかもしれない、という意見もありました。投稿用に文字数を整えていることで、中盤までが長くも感じられるけれども、それがなければ、もっと大きく作用する作品に思える、けれども、それぞれの言葉が実に残る、という意見もありました。相変わらず書ける作者だ、もう少し華があれば固定読者を掴むのは容易いかもしれないとも思える、やや現代詩的な堅さが苦しい、惜しい、とする意見もありました。

3946 : クリティカル  葛西佑也 ('09/11/14 02:54:51)
「ベトナムって遠いの? 東南アジアだよね?」この会話が交わされた場所の密室感、世界から切り離されている感じが良い、そういうふうにしてするセックスが一番いいな、と思う、という意見がありました。はっとするような表現があり、それが全体のゆらゆらとただよう不安をひきしめていた、形式といったものよりも、このようなしゃべりかけるような言葉の応酬にこそ、以前からの個性が保たれつづけているように思える、という意見もありました。
<<きみが吸い出したマイルドセブンの副流煙はすべてをさらっていった。ぼくも、まきこまれて、ふくりゅうえ、/きみの中はもうあたたかくはない、あたたかくは。美しいものだけで取り繕われたこの世界は、そこに住まう人々でも感じ取れるくらいに躍動的な伸縮を繰り返しいる。伸縮リズムは不規則で、忘れていたはずの名前を刻んでいる/ん、にまきこまれてぼくは、もう、きみとは永遠の別れなのだと思っている。>>
この連は生きていると感じるけれども、
<<セックスが一通り終って、減速的なキスをする。遠慮がちに浸入させた舌にきみが応える。「ぼく、きみのすべてが欲しいんだ」>>
<< 「全部あなたのもの、なっちゃったら、わたしってものがなくなっちゃうじゃないの」>>
この部位などは説明的で単調になり下がっていて、音読するとわかりやすさが立ち上がるけれども、以前の作者の生々しい性の書き出しの魅力をなくしているように思える、という意見もありました。大変楽しんで読めた作品、という意見もありました。

3989 : トトメス3世  右肩 ('09/11/30 22:36:47)
安定感を感じさせる優れた書き手であることを確認させられた、という意見がありました。非常に鮮明で印象深い物語が語られている上質さがある、という意見もありました。作文だけであることを上手く使えており、詩を書けないことを逆手に取り、超現実を文章の整いだけで、裏から裏から書いている、上手く出来ている、この作品は成功しているのだと思う、ただ作者は詩を書きたいのか演出作画家になりたいのか疑問に感じもした、という意見もありました。筆圧は感じる、最後まで引っ張ってゆかれもする、ネズミ川のイメージも独特、しかしなぜか「結局なんだったのか」という後味が残る、という意見もありました。

3970 : あなたの街の夜  鈴屋 ('09/11/23 23:24:31 *1)
今回は、ちびっとばかりやりすぎにも感じたけれども、比喩で比喩を超えようとした感覚が残り、超現実が感触にもあり、近づきたくなるだけの奥行きと読めば読むだけの味が出る深さが、はっきりと出ている、という意見がありました。再読すればするほど良くなる作品だけれども、「あなた」に対する「わたし」のちょっとした行為や心情があると、もっと良い作品になったのではないだろうか、「あなた」を見てどのような感情を先へ先へと推し進めていくのか、「あなた」を描くには必須になる「わたし」が薄い、という意見もありました。エロティックであり楽しく読めた、とくにタクシーに乗れと言われるあたりは秀逸、という意見もありました。もっとフェティッシュであれば素晴らしい作品になると思った、たとえばクリトリスはこの街の何処にあるのか、みたいなニョタイへのこだわりがあるといいのに、と思った、対象に対してもっとやりすぎてほしいという意見もありました。読む愉しみを感じさせてくれる作品であったことは疑いない、巧いという意見もありました。

3980 : 子供の病院  ヒダ・リテ ('09/11/28 06:49:19)
新人賞を獲った頃の完璧な流麗さは無いが、この作品の温かさ、優しさは是非とも拾いたい、読んで得をする作品、という意見がありました。読むことに快楽があった、涙を丸く描くところや、泣き出す大人が目に浮かぶ、詩的気分の流れのスムーズさと与えられたものの快さは是非とも推したい、という意見もありました。一連目で語り手にあった視点が、二連目から空中にすっと移行するズラシかたが軽妙、「入れ違いに入ってきた」のヒトコトで、本来見ることができない場面を描きにかかっているけれども、それが映画のカメラのようにナチュラルだった、最後が内容的にはあまりひねりの無い感慨で終わっているけれども、視点はこの終連で大きく変化して、語り手に戻っている、この何気なさは、視点移動を気づかせないために必要だったのだろう、という意見もありました。最終連でげっそりとなった、行間を閉ざしている、けれども、それまでの流れが素晴らしい、子どもの願いと大人の願いの浄化が合わさり寝られて笑んでいく、最終連さえなければ、と悔やまれる、という意見もありました。カムバックを祝いつつも、ありがち、という意見もありました。

さて、次点佳作作品について触れていこうと思います。

3979 : ミホちゃん、キャラ崩壊中  DNA ('09/11/27 01:27:43)
優良へと推す声もありました。切ないような一瞬を描写しきった優れた作品、ミホちゃんが本当に言いたかったことはなんだったのだろう、謎だ、きっと永遠の、という意見がありました。作者は、自由だ、自由かと思えば本質を突いている、ユーモアだけではすまされない戦慄、感情の直接、それがある、という意見もありました。作者は、いろいろやってくれるので目が離せない、今後も楽しみな数少ない書き手、という意見もありました。心に残る作品、という意見もありました。成長とはおそらく崩壊でもあるのだろう、一緒に生きよう、という励ましは、一緒に崩壊していこう、と言うことでもあるのだろう、切ないような一瞬を描写しきった良作だと思う、という意見もありました。

3934 : これは夢、yume  はるらん ('09/11/10 05:50:38 *1)
書くべき物を書くことは、呼吸するように自然で大切なことかと思える、書いてくれたこと、ここに投稿してくれたことに深く感謝して読んだ、恐れと混乱、その目に映ったものが丁寧に描写されている、引き込まれた、という意見がありました。実体験とのこと、きつかっただろうと思う反面、実体験のように感じられない爽やかさが気になる、携帯小説のような展開の速さと現実感のなさを感じる、推敲するともっと良い作品になるんだと思う、という意見もありました。「をを」という部分、気を付けてもよいのかな、と思う、という意見もありました。作品に埋められているものが肉感的部位を持たず、いかにもな作り物に成り下がっている部分があることが、良いほうには働いていないと思う、という意見もありました。文体に力がない、という意見もありました。優良へと推す声もありました。

3925 : 木陰  田中智章 ('09/11/07 09:08:38)
なにかふしぎな魅力を感じる、どこかに特徴的な表現があるわけではなく、ただ、全体としてとしかいえない、吸引力を感じた、という意見がありました。この作品では夏の日の心象風景が、11月に美しく定着されている、懐かしいような、少し寂しいような気がした、夏の嵐の水をたたえた泉が、冬に氷るような感じを受けた、という意見もありました。やりたいことはわかるし、きちんと出来ている、その上での足りなさが熟成された後、どう現れるかを見ていきたい、という意見もありました。

3922 : 防波堤(連作)  いかいか ('09/11/06 17:31:42)
静かな心象風景だと思う、様々な試みの、一つの貴重な成果として読んだ、作者は、こうした作品はこうした作品として大切にしておき、また倦まずに次に向って欲しいと思う、という意見がありました。上手さというより、熱が伝わる、という意見もありました。

3937 : 雨  はなび ('09/11/10 22:01:09 *1)
行為は行われたけれども、それだけでは成就ではない男と女の関係性、直接書かずにここまで分からせるのは素敵なことなのかもしれない、という意見がありました。レインの「結ぼれ」や「好き、好き、大好き?」を思い出した、表現として、結ぼれぶりがまだ足りないようにも思える、圧巻と言うところまで突き詰めて欲しい、という意見もありました。作者の色を、きちんと解り出している作品、このままでも十分な小品、という意見もありました。

3969 : 流星  リリィ ('09/11/23 20:25:28)
作者の作品では主体者の妙味と関係性の妙味が実に上手い、という意見がありました。寒さの中、消えない足跡は背中の歩んできた生の長さを感じさせ、流星は願いを叶えるために祈る対象となり、希望も想起させ、そして、星は流れない、この演出が実に上手い、自分の今いる場所には希望がないのかもしれない、と取ることも出来、父の言葉と歩みへの不確かさと、一連に描かれている寒さの確かさや牛の臭いの確かさ、全てが印象的に読み手を絡め取る、という意見もありました。頭上で燃え上がり盛っている星を感じながらの決意、父の足跡に並んだ自分の足跡の消えないシーン、足跡は降る雪により、見えなくなるだろう、良質な切り取りがある、作品世界を日常から詩情へと剥いだ部位が上質、という意見もありました。一連や最終連(特にオノマトペに)難あり、という意見もありました。少し作品としての弱さが目立つ、という意見もありました。

3948 : THE THINGS WE DO FOR LOVE。  田中宏輔 ('09/11/16 00:02:51 *8)
ゲラと文学極道の中でのズラシ方が効果的に読める、文章の連なりを予感させておいて、そうでない方に飛ばし、戻し、コラージュし、外界に内界を見ていく、詩集になったら、もっと威力を増、という意見がありました。冗長であり、前半はとくに作品としての面白みが少ないと思う、乳首が出てきてからの後半は緊張感はまるで違うので、これはようするに推敲不足なのではないかとも思う、という意見もありました。もし作者の意図が、<思考する身体を、まるまる全部、自己表現すること>であるのだとしたら、これだけの思考や対話の中に政治性が完全に欠如していることは、批判されるべきことなのかもしれない、そうしたことを目指すなら長い作品であることは必然だと思うけれども、それが目指されているなら、書かれていないことが多すぎると思う、という意見もありました。力作とは認めつつも、くどさが裏目に出ているように思える、かなりイタい、読む人を選別してしまう作品にのみ向かうのは、閉じた繭で微睡むようなもんではないのだろうか、小賢しさは捨て去り、もっと裸になってほしい、という意見もありました。

3926 : 脳裡  破片 ('09/11/07 22:26:22)
悪くない、縦書きだったら、もっと映えたと思う、という意見がありました。内容は古いし技巧も古いし方向も古いけれども、それが作者の過渡と合わさっているように思える、作者の内面世界を比喩化したものとして読んだ場合、「ただ一人の燃え盛り行くを」と言い切れない、意見に流され、根元に自分はあるのに、新しいものを作り出そうとして、ますます孤独にしていく見解、それを客観的にも主観的にも見ている自己がきっちり置いてあるように思える、という意見もありました。ところどころ重心が重なっている感触を受ける、もっと削り狙い済ました方が良いのではないか、古い方向性で見つめている場合もっと選りすぐられて余韻を預けた方が広がり良い意味を与えるのでは、という意見もありました。

3961 : 墓参り  小ゼッケン ('09/11/21 11:03:06)
逆転する描写へもっていく企みが上手い、という意見がありました。がんで亡くなった死者への哀惜の深さが感じられる、作者が否定しようとも、作者なんかウソを言ってるかもしれない、作品にしか真実はない、という意見もありました。

3956 : 十一月、波打際  はかいし ('09/11/17 17:13:28)
一連目からダメな方向へと行ってはいる、けれども作者独自の奥に秘めた天然的ダメさが漂い、期待させられてしまう、という意見がありました。恥と鞠やイカロスにこだわらなければ、連鎖も丁寧で、情感もきちんと伝えられており、悪くはなかったのでは、と思う、という意見もありました。素直に書いていて、詩を素直に書くだなんて素敵すぎることなので、いつも作者のことが気になっている、という意見もありました。

3912 : 農園  小ゼッケン ('09/11/03 14:40:25)
この作品には裏とかネタとかがあるのかもしれない、けれども、それを考えなくても、面白い、という意見がありました。「シュー」は成功していると言えない、という意見もありました。成功していない部分が、かえって面白いのかもしれない、という意見もありました。悪くない、ただ詩としての再読性には乏しい、という意見もありました。

3990 : 砂の城  ひろかわ文緒 ('09/11/30 23:14:10 *1)
構造の妙に惹かれる、導入と最終連の直結を途中の連が補い合い、意識を逸らしあい、見事に合致している、という意見がありました。死と生の逆説提示が、砂の城という脆さを映えさせている、料理のさしすせそが、食らう生きるに繋がり雑学という意味がある/ない絶妙をついている、という意見もありました。独特の筆に惹かれる、作品としてかなり好きだけれども強くは推せない、という意見もありました。タイトルは一考の余地あり、イメージが強ぎる、という意見もありました。

3918 : 夏に濁る  DNA ('09/11/05 03:20:49)
読ませる、読ませる工夫がない中、こういう作品は一要素を醸し出す、という意見がありました。ひと月前に読んだ時よりも新鮮に残る、不思議な作品、という意見もありました。

3971 : Reincarnation  ひろかわ文緒 ('09/11/24 04:22:15)
もっと高められないか気になる部位が多々ある、詩人を客体として使うあり方は裏を書いているようで非常に興味深かった、という意見がありました。肉体を亡くすことへの思いや最終連などの合わさり方は脅威にも似ている、二連目の惜しさを覆すだけのものがある、という意見もありました。どちらかといえば失敗している、作者のファンだけれども、アルバムには収録されないシングルのB面のような出来に感じた、ファンであってマニアに非ず、という意見もありました。

3963 : 岨道  右肩 ('09/11/23 00:52:17 *1) 
この作品はかなり好きだ、淡々とした描写が取り返せないものの進行を悪夢のように語っていて、怖さがある、木島さんの消え方がいい、という意見がありました。綺麗な作文、プロットも良い、何故作者は詩にしたのか疑問、作者は詩というものが一生書けないのかもしれないとすら感じる、という意見もありました。作品自体あまり面白くはないが、書いてて面白かっただろうな、とは思った、という意見もありました。

3927 : マッチ  丸山雅史 ('09/11/09 00:30:08 *2)
渋い良作、という意見がありました。マッチ売りの少女というモチーフを巧く使いこなせている、という意見もありました。いつも作者は投稿する前に一歩立ち止まって考えて欲しいと思う、寝かせるともっとよくなる作品になるのではないか、もっと推敲してもよいと感じた、という意見もありました。

3932 : 鮒  がれき ('09/11/09 22:28:24)
作者はもっと流麗に長けていると思っていた、接続により立ち止まらせるため、その度に意識的な抽象を、あまりに意識させてしまう、という意見がありました。思考の先や深遠のそのまた奥にあるものを、立ち止まらせてしまうため、読み手は掘り下げてしまい、抽象を具象にしようとする意識が働くように思える、抽象を抽象のまま楽しめないのではないか、という意見もありました。『「枯れ木」という枯れた性の中で、愛玩から離れた生物ではないのかもしれない自身の将来とも言えるものの下で、性的に逢引を重ねる、それは背徳感を強く意識させ、雨の日、ただ話すだけの日も、また性的にまみれる自分達を意識させてしまい、それは壊せない、幼稚園という性から、まだ遠い前で自分達へと来る将来を思い、生物としての自分たちは行為から逃れられない、こういことが深まれば深まるほど鮒は生生しいものとして近しくなる、やがて生物の役目を終えた枯れ木から、自分もそうだった、そしてお前もこちらへ来るのだ、と、おとうとよ、と話しかけられる』、そのような作品だと読んだ、もっとたゆたわせるだけの文章能力が、詩への昇華が作者には出来るのでは、持ち味が発揮されていない作品に思える、という意見もありました。

3957 : 星空の下で  ミドリ ('09/11/17 22:41:07)
日常の風景を、比喩を用いて、味わい深くかつ可愛らしく描こうとした作品だと思う、また、そのように描けていると思う、しかし絵空事のように感じる、実際に作品内で生活している気配、日常の風景が感じられない、という意見がありました。読みやすい作品、最近、作者の作品に対しての感想は全て似通ったものがある、詩情というものはテレビやコミックスなどで皆感じるものとなっていて、詩作品に頼らなくても良いものとなってきている、上手に仕上げてあると思う、けれども、それでは物足りない、とも思う、という意見もありました。うまいけれども、このパターンは飽きてしまう、という意見もありました。作者の作品には、あまり好意的に接せないけれども、この作品は近作の中では出来が良いと思う、という意見もありました。最後の、一気に俯瞰的な視点に切り替えるところ、かなり見事、もう少し言うと、個別な存在である都市生活者を、最後に、共有されている大きな視点に結び付けている、なかなか作者以外には書けないのではないかと感じる、という意見もありました。

惜しくも選からは漏れましたが、その他、以下に挙げる作品が注目されていました。

3907 : 越境ビジョン  葛西佑也 ('09/11/02 13:59:53)
乗り越えるための構築、忘れたくないビジョンだと思う、という意見がありました。朗読用の詩なのかもしれない、と感じた、耳で意識しても十分追いつけるように作られている印象を受けた、という意見もありました。独特の曖昧スラッシュ(です/でした)を使ってないので、作者の魅力も減っているような気もしたが、十分な良作、という意見もありました。 
《/母の母乳が枯れた日を思い出す。私たちは、生まれてから死ぬまで、ずっとずっと、喉が渇いたままだ。いってきいってき、自らの唾液を飲み込みながら、渇きというものを理解してゆく。(知っているようで、みんな知らない。)》
は素晴らしい傑作の連だ、それと比べていくと、作者の作品にしては、どうもフラツキがあるように思える、もう少し導入に意識的であってもよいのかもしれない、父と母、どっちつかずで終わってしまった印象を得た、作者の魅力は、もっと滅茶苦茶な部位にあるような気がする、という意見もありました。幅広くセンスを磨くと更に高みに行けるであろうし、覇道を歩く器はある書き手、が、まだ幼い、という意見もありました。

3982 : 工作員  岩尾忍 ('09/11/28 22:27:18)
「工作員」というキーワードを、オフィシャルにもちいた作品、これらの言葉にハレーションが起これば、そこが破れ目になって世界がこちらへと参入してくると思う、という意見がありました。様々な単語を工作員に変換していて、そこから来る面白さナンセンスさは、あるのかもしれない、もっと突拍子もなくした方が良かったのかもしれない、という意見もありました。工作員は工作員以上に工作員なので工作員に留まったまま工作員してしまっている、その証拠に工作員が工作員としても工作員になった場合、工作員としても工作員だ、という意見もありました。壊し方の具合が、少し分かってしまって、それはあまり望まれないことに感じた、という意見もありました。

3947 : ギリー・ド・ヴァランス  坂口香野 ('09/11/14 18:46:12 *1)
読んでいるときのリズムがよかった、書き出しの可憐さも素晴らしい、という意見がありました。楽しい作品、一種の毒もある、そこから何か揮発性があると面白いのかもしれない、という意見もありました。

3977 : 熱  蛾兆ボルカ ('09/11/26 23:36:17)
全体的に、もっと高められそう、という意見がありました。顔文字に関して、あまり効果的だとは思えない、という意見もありました。

3959 : 空便  破片 ('09/11/20 09:27:46)
口語で書かれた句に触れて欲しい、という意見がありました。この方向性で、やりたいことは解るが、書く曖昧が目に付く、という意見もありました。

3952 : 未来水晶  ぷう ('09/11/16 17:18:22)
不思議な魅力をもつ作品、という意見がありました。イメージに世界を封じ込めるような作品、という意見もありました。

3950 : 劣情  古月 ('09/11/16 01:04:58)
最終行にまでいたるイメージの流れがスムーズで心地よいと思う、という意見がありました。よいのだけれども思い返せる余韻も欲しい、タイトルに違和あり、という意見もありました。

3931 : 午睡  荒木時彦 ('09/11/09 21:41:32)
過去、作者の優れた作品を読んできた、何故、作者がこの程度の作品を投稿するのか分からない、という意見がありました。

3913 : 眠れる宮崎さん  はかいし ('09/11/03 21:13:53)
夢の感触が確かにある、けれども、それは書くほどのことでも、ないのかもしれない、という意見がありました。 魅せ方が、もっとあったのでは、という意見もありました。

3914 : We want an umbrella  高階 ('09/11/04 02:31:46)
愛してもらいたいと願い続けて、批判力を失う幼稚な人々の姿を、美しく定着させている、という意見がありました。いまさら天皇制に執着する日本人を思わせる作品、という意見もありました。

3968 : カメ虫  はるらん ('09/11/23 18:29:58)
全体的に、だからなんだ、と思う、良い部分も、あるけれども、作者の楽しみがこちら側と少しずれがあるように感じる、という意見がありました。分りやすいし、やりたいこともわかる、後は、もう少し整えるか壊すかしても良いのかもしれない、どっちつかずになった印象を得た、という意見もありました。どこか一つ深いところが欲しい、物足りない、という意見もありました。

3972 : 白黒  ヨルノテガム ('09/11/24 14:23:47)
化鳥という言葉の唐突さと、それを描く着想に惹かれた、という意見がありました。響かない部位が多い、このモチーフでこの量は、ひとつの作品としては長いかもしれない、との意見もありました。

3981 : 後景  田中智章 ('09/11/28 12:44:13)3981 : 後景  田中智章 
踏ん切りが、少し着いていない、という意見がありました。やりたいことは出来ている、きちんと、その上でのものを求めたい、という意見もありました。

3910 : 一夜  リリィ ('09/11/02 20:34:01)
男性と女性との一夜、さかあがりのよる、という捉え方はセックスの背徳的な裏返しをかけられているような、見事な言い表しに感じた、という意見がありました。全体的に、巧い、言い過ぎないところが実に効いている、後から後から、という意見もありました。「ゆれるめがしら」で終わるのは、どうなのだろう、凡庸ではないだろうか、という意見もありました。

3974 : 冬空  かとり ('09/11/25 21:25:18)
きちんと取り出してくる作品、読み手から様々な様子をググっていく作品の構造、推敲によってより良くなったが、こじんまりとまとまった感触もある、という意見がありました。曖昧さが、断定に力を与えている、もう少し別の雰囲気を一匙入れてもよかったのかもしれない、という意見もありました。

3967 : クリスト&ジャンヌ=クロード  WHM ('09/11/23 13:17:41)
非常に上手い、短いので、「銀行強盗の拳銃にも/きっとコンドームがはめられている」ここの「きっと」は無い方が、力が出たのではないか、という意見がありました。コンドームではなく、二回目は別の言い回しにしても良いかもしれない、という意見もありました。

3966 : 見知らぬ他人との処世術  snowworks ('09/11/23 03:02:23)
タイトルに少し抵抗感を抱いた、という意見がありました。天才的な絶妙な部分やダサさだけ残して、良質さを得ることも可能に思えた、という意見もありました。

3953 : 挨拶  高階 ('09/11/16 20:25:35)
筆力には感嘆したが、通夜の風景であることを、もっとはっきり書いたほうが良かったと思う、という意見がありました。体言止めでのコラージュでだんだんと解ってくるので初読の時は、通夜の風景がこっとり受け渡されてくる、しかし三連ずいぶんと雑、一連から、二連への高まりはとても良かった、という意見もありました。

3984 : 三デシベル  ナツイロ ('09/11/30 00:31:56)
すっきりした読後感で楽しく読めた、最初のプール一杯の水というところが、莫大過ぎて読者側の脳内での視覚化が難しくなっていると思う、という意見がありました。やりたいことはわかる、成功するには、もう少し文体を整える必要があるように思える、という意見もありました。

3954 : 経験が人を成長させるなら  snowworks ('09/11/17 01:50:24)
なんだか、この作品の作品以外の部分が、すきだ、という意見がありました。「大人」になるにせよ「詩人」になるにせよ、超人や神になる必要はない、人間でしかないのは嘆くにあたらず、と、思う、という意見もありました。

3945 : 機械の女  亞川守紀 ('09/11/14 00:35:46)
余韻が良いが、修辞はもっとクレイジーになりえたはず、という意見がありました。良い作品だ、最後の二文にもっと勝負をかけても良いと思う、よくある題材なので、最後もよくある、で終わるともったいない、という意見もありました。

3938 : あいのうた - 機 凪葉 ('09/11/10 22:47:50 *4)
少し恥ずかしくなった、赤面してしまうダラシナイ言葉だったが、「最果ての色をたずさえて、」からは、読ませるだけのものの予感を秘めていた気がする、という意見がありました。2006年の頃の作者の輝きは、ここまでポエムに溺れていないひた向きさが作品となりえていて、で魅惑的だった、それを知っているため、もっと書けるのに、何故、と思って悔しくなる、という意見もありました。

3935 : 骨壺  梓ゆい ('09/11/10 15:25:26)
状況がきちんと書ききられていない感じがする、という意見がありました。語り手が何処に立っていて、誰が亡くなったのか、伝わらない、しかし心痛は伝わるし、風景も眼に見える、という意見もありました。

以上です。

Posted in 月間選考 | Print | URL

このエントリを はてなブックマーク に追加このエントリを del.icio.us に追加このエントリを Livedoor Clip に追加このエントリを Yahoo!ブックマーク に追加このエントリを FC2ブックマーク に追加このエントリを Nifty Clip に追加このエントリを POOKMARK. Airlines に追加このエントリを Buzzurl(バザール) に追加このエントリを Choix に追加このエントリを newsing に追加