文学極道 blog

文学極道の発起人・スタッフによるブログ

「2018年7月分選考雑感」(Staff)

2018-08-29 (水) 17:26 by 文学極道スタッフ

10596 : (無題)  ゼンメツ ('18/07/16 01:48:59)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180716_529_10596p
(一)怒りと焦燥感の中で日々を生きていく感覚がリアルに描き出されている。リーダビリティに富んでおり読みやすく作者の内面に近い部位で書かれている。最後の投げやりな部分も効果的に働いていると思う。本の部分、更に発展させられなかったのか気になった。このリーダビリティと詩情は、まぐれなのかコンスタントに書けるのか今後の作品で見極めていきたい。もっと作者の作品を読みたいと思わさせられた。
(一) 最後にかけてのありきたりな死への思いをそのまま吐き出す作品であって良いのだろうか。悪くない作品だ。(無題)であることも含めて見直せる部分がある。詩への本気をもっとぶつけて欲しい。
※本作品への評価は非常に割れました。

10579 : 文学をブレイクスルーする、コアのように、  いかいか ('18/07/10 14:40:48)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180710_218_10579p
(一)主張やメッセージが時たまストレートに顔を覗かせる様は、隠しきれない率直さを思わせ、文学への情熱も感じられます。地の筆力や手癖に甘んじている部分を感じなかったかと言えば、これは嘘になります。

10573 : 君の井戸  いけだうし ('18/07/09 00:52:47)  [URL]
URI: bungoku.jp/ebbs/20180709_167_10573p
(一)作品として、まだまだかもしれないが力に溢れている。これからも読んでみたい。
(一)これは選者としては己の想像力の問題を考えさせられました。語り口は素朴で好印象です。何かに対して批判的な意味を感じるのと裏腹に、自虐的な部分もあり、そういった様々なことを想起させる筆致には力を感じますが、もっと突き刺さるような言葉を配置して良いのでは、という気持ちがしました。

10572 : Your Song。  田中宏輔 ('18/07/09 00:12:20)  
URI: bungoku.jp/ebbs/20180709_163_10572p
(一)圧倒的であると共に、こんな新たな形式があるとは、と驚かさせられてしまう。下地を活かしながら作者独自の作品構築を更なる先で創出していく見事さがある。
(一)興味深い内容だけでなく、筆者の文章を見るときの純粋な視線を感じる文章で、これはもしかすると術中に嵌っているのかもしれないと思わされるほど巧いのですが、素直に読んでも穿って読んでも、楽しい文学となっております。

10561 : 抒物と叛抒情  鷹枕可 ('18/07/02 19:22:44)  〇
URI: bungoku.jp/ebbs/20180702_983_10561p
(一)手法を信じて、やり続けていく姿勢が見事なまでに詩人。手法から先の展開を獲得している。
(一)一見すると読者に難しい印象を与えそうですが、内容は至ってキャッチーで、この詩に関しては良いバランスで収まっているのではないかと感じます。 内容も核心を突こうとする目論見が感じられて、好印象です。

10610 : 密告  あやめ ('18/07/20 21:07:24)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180720_755_10610p
(一) 静謐な空間を一つひとつ浮き上がらせていき詩情を獲得していく。お手本のような綺麗な出来の作品。
(二) 一行空白など余白を出さないで余白を書ききることも重要なのではないだろうか。十分に上手い作品だと伝わる。最後の賞のことも含めて作品なのだろうか。作者の推敲に迷いがあるようにも思える。
(三) さすがの世界観である。空行に関して気になった。改行に関しても更なる工夫があっても良いかもしれない。素晴らしい作品なのは明瞭である。
※本作品は非常に評価が割れました。

10570 : さん  いけだうし ('18/07/07 17:23:28)  [URL]
URI: bungoku.jp/ebbs/20180707_103_10570p
(一)イメージするにはまだ足りず、感情的に読んでもどう受け取って良いのか悩まされる作品でありました。個人的にはもう少ししっかりとした背骨のようなものが欲しい作品です。

10554 : Sweet Thing。  田中宏輔 ('18/07/02 00:02:21 *9)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180702_959_10554p
(一)作品に関しての分解などもありながら構成されていく新たな世界に驚いてしまう。作品性の高さに圧倒されてしまった。
(一)詩の論考として読んでも非常に興味深く、詩としても成立しているという非常に面白い作品です。これだけの長さを以ってして読み手の興味を惹きつけ続けることは、かなりの力量がないと難しいでしょう。

10574 : 揺り籠  田中修子 ('18/07/09 01:23:51 *17) 〇
URI: bungoku.jp/ebbs/20180709_169_10574p
(一)力作である。作者自身が向き合いにくい事象に向き合い魂から削り出した作品であるように思えた。作品の中での比喩の用い方と熱量が見事に実存的世界を構築している。過去からのもの親子関係、宗教観、さまざまな文学的哲学、そこから縛られた自分との闘いと脱出する過程にある時間。圧巻である。
(一)筆力があり、最後まで読ませることの出来る作品ではありました。描写に怨念のようなものが籠り過ぎており、バランスを欠いているのが一つの魅力とも言えるのかもしれませんが、台詞の部分の方が詩的であったり、グロテスクな部分については、この筆者はもっと読者に吐き気を与える程の表現が出来るのではないかと感じました。

10555 : サバンナの光と液  渡辺八畳@祝儀敷 ('18/07/02 04:24:07)  〇
URI: bungoku.jp/ebbs/20180702_964_10555p
(一)作品強度が非常に高い。作法と技術に関してのことが飛び抜けている。

10609 : プラネタリウムについて  芦野 夕狩 ('18/07/20 06:49:29)  [Mail]
URI: bungoku.jp/ebbs/20180720_733_10609p
(一)言語のプラスティック化と表層化に特化していて、だからこそ逆転的に内因を獲得していくスタイリッシュさ。ジャンルとして現代詩に対しての皮肉も効いている。

10559 : 朱夏の塔  田中恭平 ('18/07/02 10:55:11)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180702_973_10559p
(一)力作ではある。更なる一歩が作者なら出来ることが作品内から浮き上がってくるため判断に迷う。
(一)非常に優秀な詩だと感じましたが、技を感じ過ぎてしまったためにこの筆者は実力のある方であると判断して注目作品とさせて頂きます。非常に煌めく単語、印象的な単語が散りばめられており、感覚の研ぎ澄まされるようなインパクトを感じます。イマジネーションの確立のためにきちんと言葉選びが出来ています。

10592 : あなたのせいという、陽だまり 二編  本田憲嵩 ('18/07/14 12:25:02)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180714_404_10592p
(一)作者の成長を、まざまざと見せつけられます。同人誌などに参加しないのだろうか。どんどんと活動領域を広げていって欲しいと思った。
(一)二編目の陽だまりが良過ぎたために、一編目が要らなかったのではないかと思うほどです。もしかするとそれは、一編目から二編目に移行したときの無意識に訴える効果もあるのかもしれないとも感じるのですが、一編目からハードルを上げて来て欲しいと感じました。二編目などは最後になるにつれイメージが炸裂しておりました。

10629 : 未然  霜田明 ('18/07/31 19:05:19)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180731_104_10629p
(一)構成が非常に上手い。このような作品を書き強度を出すことは非常に難しい。それを、やってのける稀有な作者だと思う。

10590 : 天と地  渡辺八畳@祝儀敷 ('18/07/14 05:33:37)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180714_377_10590p
(一)薄くアプロぷリエーションとキャッチ―な言葉の断定とを加工している興味深い作品です。タイトルの重厚さと作品内容の軽さが対比性を生んでいて良い方向へと進んでいます。

10611 : 月の花  あおい ('18/07/21 14:57:48)  [Mail]
URI: bungoku.jp/ebbs/20180721_771_10611p
(一)視覚的にも音的にも美しい世界を創造出来ている。平易な言葉を用いて強度のある作品に仕上がっている。

10619 : e2.(黒スグリを擦りつけた壁に映える一輪の。  脈搏 ('18/07/24 11:48:17)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180724_891_10619p
(一)作品の中での言語配列が圧倒的であり見事としか言いようがない。

10624 : 随行  玄こう ('18/07/28 19:25:10)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180728_048_10624p
(一)この作風は、ありだと思った。フォルム的にも日常感と生活の深度を情感に渡している。

10576 : 誕生  无 ('18/07/09 17:05:59 *2)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180709_180_10576p
(一)物質性と生命体のヌメリが見事であり詩情の立て方も上手いです。

10557 : びしょ濡れ  甲斐聖子 ('18/07/02 09:46:41)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180702_970_10557p
(一)オノマトペを、ここまで効果的に使っていると流石に圧倒される。作品内容の寂しさと怒りを倍加させている問題作。
(一)最終行が辛辣で惹かれるものがありますが、タイトルと全体のイメージの関係性が希薄に感じられ、惜しいところです。 活字にしたときの求心力ももう少し伸ばせると期待します。

10564 : 皮留久佐乃皮斯米之刀斯  山塚愛 ('18/07/04 17:28:56)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180704_002_10564p
(一)寿限無を思わせる作品で、音やリズムが重要なのかとも思ったのですが、意味が頭に入って来ず、かといって音やリズムを単純に楽しめるものかというと、途中でリズムが変わってしまい、そこで寸断されて引っかかってしまうところもあり、感覚を掴むのが非常に難しい作品でした。

10558 : 境港  北 ('18/07/02 10:03:49)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180702_971_10558p
(一)新たな試みを行っていることが伝わってくる。最後の行が非常に上手く面白い。
(一)出だし、自分を掴みきれていないような印象ですが、後半になるにつれて、情熱と技巧のバランスの取れたような筆致がリズム良く展開されて行き、スピード感が出て来ます。作者の息づかいが感じられるような生々しさを評価します。

10627 : 20世紀少年  山人 ('18/07/31 05:07:07)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180731_096_10627p
(一)前半と後半の部位に更なる伏線と落差が欲しいと思った。非常に勿体ないと思う。一歩、前に進むと傑作だと思う。

10606 : DEAR FUTURE  无 ('18/07/19 14:25:30)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180719_706_10606p
(一)文章の流れが非常に上手く、強い部分の言語に、きちんと意識が引っかかるように出来ている。また作品の中で視覚的効果を用いていることも上手く機能している。最終連が二行ということが詩的少なさを思わせてしまうため、もったいないとも感じた。

10625 : 皮膚感覚  游凪 ('18/07/30 06:09:36)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180730_083_10625p
(一)視覚的な効果と音の混交が見事である。ただし「文字」と「コンクリートポエム」を出さずに書いても良かったと思う。

10563 : 群青  みどり ('18/07/04 03:35:54)  [Mail]
URI: bungoku.jp/ebbs/20180704_996_10563p
(一)まとまっている上手い作品である。しかし最終行などにおけるテキストへの集中力が散漫に思える。
(一)幻想的な詩として、イメージ作りには成功しています。欲を言いたくなる作品で、もう少し読者に幻想を、リアリズムを持った幻想を見せてくれると、非常に圧を持った詩になるのではないかと感じました。

10568 : ばらの蛇と少女  田中修子 ('18/07/07 13:29:30)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180707_088_10568p
(一)作品内で使用されている比喩の単語が、これまで多く使用されてきたものであるためハードルが上がってしまっている。その上で見事に綴られている。
(一)全体的にイメージというもので纏められた、絵画のような詩です。死のイメージ以外にも何か感じたいものがあるのですが、上手く感じることが出来ず、非常に美しくはあるのですが、額縁の外にはみ出てくれるような言葉を探してしまいました。

10575 : 太もも  北 ('18/07/09 16:19:49)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180709_176_10575p
(一)音が非常に良い作品で読んでいて楽しくなる。その上で文章を更に磨けそう。
(一)この筆者は本来もっとエモーショナルなものを抱えておられるのではないかという非常に主観的な感想なのですが、この詩の場合は筆者の感覚がまだ抑えられているように感じられ、直感的爆発的なものをもっと効果的に書くことが出来る方なのではないかと推測しました。

10560 : かみ、が、ががが、うまれる、  いかいか ('18/07/02 15:29:44)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180702_978_10560p
(一)音の美しさに惹かれる。
(一)全て狙いだと言えば何とでも弁解が出来る作品。それだけ匂わせることが上手な作者だと感じます。お説教のような語り口はスタイルか、癖か、判断が難しいですが、使用されている単語は衝撃的で人々の関心を惹くところがありますので、もっと内容にも衝撃が欲しいと思います。

10567 : 例えば自己確立(黒猫先生)  コテ ('18/07/07 13:05:02 *5)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180707_086_10567p
(一)決して上手な作品ではないけれども、丁寧に人生の背理が染み出しています。もう少し読んでみたい。
(一)出だしから惹き込まれる率直な書き出しです。失速せずそのまま丁寧な言葉選びをし続け、且つ感情的にもなり過ぎない冷静な書き口、主観的であることを恐れない堂々とした態度も感じられ、その筆致は情熱的であります。

10613 : appearance & reality  Out of the blue ('18/07/21 18:20:36)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180721_777_10613p
(一)三行という作品の構造性が効果的。上手く作用している。

10589 : neoteny & night harmony  白犬 ('18/07/13 23:16:14)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180713_367_10589p
(一)現代詩の関係性において柔和な言葉と緊張感を持った作品へのテクスト性がギリギリの所で均衡を保っています。書き続けて欲しい。

10562 : モノクローム  ネン ('18/07/02 21:43:58 *1)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180702_986_10562p
(一)悪くない方向性で綴られている。まだ未完成な状態に思える。完成した時に詩が、どのようになるのか読んでいきたい。
(一)メッセージ性を含んだ単語の選択やテーマの絞り方には成功していると思います。
イメージをもう少し膨らませることが出来る詩だと感じました。

10623 : D  霜田明 ('18/07/27 19:09:59)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180727_029_10623p
(一)作風と行間が非常に上手い。しかし更なるものを求めてしまうかもしれない。もう一歩、先へといけないか、と思ってしまう。

10581 : X  紅茶猫 ('18/07/10 23:20:07)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180710_254_10581p
(一)「」がないと、やはり情感が半減してしまうということを実感しました。更なる作品を読んでみたい。

10585 : 天命の御子  襟野貞良 ('18/07/12 21:49:28 *1)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180712_327_10585p
(一)作者には相当な期待をしながら毎回、読んでいます。いつか期待に応えてくれると思っています。本当に、あと少しの筆量を身に着けたら傑作ばかり書くのではないか、と思ってしまいます。

10571 : 晴れの日  トビラ ('18/07/07 17:40:39)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180707_105_10571p
(一)良い作品だと思う。薄いので、どんどんと書いて欲しい。書き続けて更に作品を読んでいきたい。

10556 : 4分27秒  玄こう ('18/07/02 06:16:43)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180702_965_10556p
(一)時間内に読まれた即興的な文の書き起こしとして読みました。更なる変化が生まれると面白いかもしれません。
(一)形式は関心をそそられるものがあります。単語も美しいものが散りばめられていて魅力的ですが、狙った感じが出ているように感じられたりもし、読者によっては魅力が半減する展開の仕方かもしれません。

10600 : 太陽  宮永 ('18/07/16 15:42:33)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180716_556_10600p
(一)作者は作品の出来にムラが多いと感じます。だからこそ良いときは大変良い。色々と書き続けて欲しいです。

10614 : 汚れた手で君を綺麗にする  白犬 ('18/07/21 21:38:10)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180721_789_10614p
(一)行間だけが印象として今一歩という印象を得ます。作者は上手くなって来ています。

10586 : 不思議だ  トビラ ('18/07/12 23:53:52 *3)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180712_331_10586p
(一)個人的で申し訳ないのですが非常に好きでした。瑞々しさが爆発しております。
イメージが纏まっており、展開と思考の流れがスムーズに繋がっているところに、無理のない自然体を感じます。

10565 : contorted  本当の詩人 ('18/07/05 20:51:05 *11)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180705_035_10565p
(一)状況と心情の想像を上手く読者に促すことが出来ている詩なのではないでしょうか。何も問いかけなどなされてはいないのですが、主人公の感覚を淡々と記すような筆致によって、時の流れや状況の変化によってヒトの感情が変わってしまうという大きなテーマを考えさせることができる良作だと感じます。

10597 : 哺乳類  same ('18/07/16 06:03:10)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180716_531_10597p
(一)一読目、スタイルに気を取られて内容が頭に入って来ず、最後まで「スタイルで損をしているのではないか」という疑問が頭を離れませんでした。詩そのものというよりはリズムなどを考えても、歌詞とした方が合っているような作品です。しかし歌詞にも文学的なものはたくさんありますので、このスタイルでしたらもっと強めの言葉選びをして冒険しても良いのではないかと思います。

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