2018年3月分月間選考雑感(Staff)
22.10297 : わらいの口 あおい ('18/03/06 21:34:21) [Mail]
URI: bungoku.jp/ebbs/20180306_438_10297p
(一)抜群に上手い。恐ろしさをサラッと書く手腕に戦慄を覚えます。
(一)言葉に力があり、面白さもある作品でした。前半はあえて流すような感じなのでしょうか。後半でぐらぐらと揺り動かされるような展開があり、良かったです。
(一)新鮮なヴィジョン。口元にクローズアップし、また唇を「わらい」という表現で強化することで、シュルレアリスム的な映像が浮かぶ。
16.10318 : 自己申告 松本末廣 ('18/03/15 18:52:16)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180315_752_10318p
(一)作者が作品に自己を削り出していくパターンと完全創作していくパターンがあると思っています。ここまで血肉を通わせていく作品を見たことは、ないのではないかと思うくらいに人間が立脚しています。人間という輪郭性と更なる自己への客観的な眼差しが往還していく作品です。
9.10320 : 鉄拳制裁の詩。 泥棒 ('18/03/16 12:47:46)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180316_777_10320p
(一)ユーモアに満ちた批評性を獲得していく詩作品です。サティ作品を思わせる実験性に富みながらも現状に満足できない自身や他者に対する怒りなどメッセージもあり、作品自体で現時点を表現していく上手い詩です。
69.10288 : 引用の詩学。 田中宏輔 ('18/03/05 00:03:01 *10)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180305_354_10288p
(一)導入部の鮮やかさにはっとさせられる。美しい。
10326 : (((Echo-Noise))) NORANEKO ('18/03/19 03:40:21)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180319_827_10326p
(一)視覚的な効果が非常に上手く働いている作品。言葉の取捨選択に、もう少しだけ鋭敏になってもよいのかもしれない。
(一)タイトルと本文の((()))が全角なのと半角なのが気になる。個人的には本文の半角の方がすっきりまとまってよい視覚的影響を感じた。
歌詞のような構成を持っているが、もう少し視覚と音声的な雑音(Noise)と響きが欲しかった。着眼点は現代的でとても良いと思うし、可能性は広い作品だと感じた。
(一)かっこいいです。改善点はいろいろありますが、言葉の流れなどは才能を感じます。
5.10330 : Fixing me, messing you(Wilder than heaven) アルフ・O ('18/03/20 22:26:12 *5)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180320_850_10330p
(一)最後の要素も含めて独自のスタイルに磨きをかけていっており鋭気を感じさせます。綴り方が美しく強度に満ちています。
(一)かわいい。なんだかとってもかわいい。
女の子は甘くてかわいくて、毒がある。
29.10314 : メンヘラ いかいか ('18/03/14 19:17:48)
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(一)改行されることで、一音一音が壮絶な力を持って畳み掛けてくる。
支店の広がりも上手く、上質な一編。
51.10281 : 寂しさの領域 霜田明 ('18/03/01 23:17:50 *71)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180301_144_10281p
(一)最後の印象で弱く作品が、なってしまったため残念に感じます。序盤と中盤が非常に輝きを放っています。
7.10324 : 兵器少女とシティロマンス 渡辺八畳@祝儀敷 ('18/03/17 22:07:48)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180317_807_10324p
(一)多彩な元ネタとシリアスと装飾により無毒化されがちな現代性を示しています。シリアスをつたえきる努力を、もう少しだけ求めたいです。その課題は、ありながらも良い作品です。
12.10321 : 早朝 无 ('18/03/17 09:01:19)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180317_795_10321p
(一)初読時ピンと来なかったが読み返すたびごとに()内の作用が見事であることに気づかされ、強度を持った作品であることが分かりました。勉強にすらなります。
(一)美しい朝の情景の中に、詩人の無常が浮かんでいる。墓石に刻まれた名前のようであり、木の葉のような悲壮と儚さである。
28.10316 : 一生一句 玄こう ('18/03/15 05:20:39)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180315_746_10316p
(一)詩句の一つ一つの純度が高く、構造の上手さも際立つ。
14.10301 : 数学以前 无 ('18/03/08 16:42:55 *30)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180308_539_10301p
(一)数学ということを支点に全世代対応型の比喩性でリーダビリティにも富んでいる作品。
10349 : 蜘蛛 山人 ('18/03/29 22:17:03)
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(一)「きちがい」という強い単語の繰り返しの短さは再考しても良いのかもしれない。描写が非常に心地よいので、もう少しだけ分量を読んでみたいという思いがある。
(一)比喩の丁寧さに欠ける気がします。推敲が必要な作品。
8.10341 : 神の名前 atsuchan69 ('18/03/27 02:03:37) [URL]
URI: bungoku.jp/ebbs/20180327_991_10341p
(一)中盤が少しダレている感が、ありました。ただし強度が高く作品として神々しい位置にあります。
19.10331 : 深まりゆく春の日に 宮永 ('18/03/21 07:19:18)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180321_860_10331p
(一)中盤を、もっと締めていると作品が更なる地平へと羽ばたきそうです。実に惜しい感触を得ます。前半や後半は独立させると素晴らしいです。
(一)冒頭から突如として降って湧いてくる「ジュリアン」。誰やねん。気になる。マラコイデスとオブコニカまで出て来てやっと春に咲く花の名前であると思い至る。これは狡い。 この吸引性の高い導入部から一転、一気に詩的な情景が立ち上がってゆく。それは長い冬に沈黙していた命が一斉に噴き出すよう。
22.10329 : 区別 松本末廣 ('18/03/20 13:52:44)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180320_847_10329p
(一)人間の形成が丁寧に音調の中に昇華されている。
(一)テーマがしっかりと伝わってくるか書き方です。ただ、全体的に穏やかすぎるかもしれません。
50.10284 : 白桃の缶 山井治 ('18/03/03 17:20:55)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180303_231_10284p
(一)しっかりと描かれていて比喩も意味性を保っています。しかし説明的な部位は排除してよいとも思います。
(一)構成が完璧です。そして、物語と作者との距離感もよいです。
(一)桃の缶詰から宇宙へと広がってゆく。壮大でありながら軽やか。
10348 : ゆびきり 榎本いずみ ('18/03/29 15:18:08)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180329_105_10348p
(一)詩としての綴りが鮮烈でありながら書き慣れている印象も受ける。不可思議な作品である。
「Eureka」を入れたことによる効果が、いかんなく発揮されている。
(一)途中集中が欠けたように感じることもあるが、全体的に熱量が高い。ハッとさせられる表現も多く、詩的表現に長けていると感じる。
16.10342 : 潮騒の耳鳴りとChimeraの紅い羽根 竜野欠伸 ('18/03/27 22:16:01)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180327_015_10342p
(一)作品として浮いてしまっている部位が多々あります。それでも一つの世界観を大切にして、まとめ上げている手腕に唸る部分がありました。
(一)比喩へのこだわりが素晴らしい。東日本大震災の事を描いていることは容易に読み解くことができ、原発問題とChimeraという異形の存在(錬金術、人の業により生み出されるもの)を上手く融合させることが出来ていると感じる。
11.10304 : Bijou in a beehive アルフ・O ('18/03/09 22:49:02 *7)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180309_561_10304p
(一)創作の上で破壊されていく衝動と創出のエネルギーが、そのまま眼前化されています。
(一)SFの要素を基盤に、人間の脳へ疑問を投げかける良作だが、ファンタジックな世界観が強すぎて、詩的情感の中でリアリティが薄れてしまった気がする。
29.10306 : ホトトギス考 北 ('18/03/10 12:02:13 *3)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180310_575_10306p
(一)ユーモアたっぷりの作品。読みごたえもあり唯一無二の感触です。
(一)冒頭でいきなり筆者そのものが死んでいる、というショッキングでコミカルな出だし。これだけでもう十二分に面白い。「これを書いているのは私であって私ではない」という芸術的提示も同時に行われ、あくまで客体として北さんの生き方を描かれている。めちゃくちゃ面白い。
46.10277 : sukuware 田中恭平 ('18/03/01 08:30:37)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180301_137_10277p
(一)息遣いと言葉への距離感、姿勢が見えてくる改行。もう少し、このスタイルで書いて欲しいと思う。
28.10295 : 人格攻撃の詩。 泥棒 ('18/03/06 13:35:51)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180306_428_10295p
(一)調子が悪いのかユーモアが想定内です。
(一)1〜2連までの美しい隠喩から一転、第三連での急激な提示にはっとさせられる。人格攻撃とタイトルで示しつつ、最後の連では愛を提示する。
抜群に上手い。
39.10299 : やぶにらみ改善体操 たなべ ('18/03/07 12:24:35)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180307_514_10299p
(一)タイトルが良すぎて作品本文が、それを超えられていない。
4.10327 : Dear.Rock star 白犬 ('18/03/19 15:17:16)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180319_831_10327p
(一)熱量が伝わって来ます。そして独自性もあります。そこを踏まえて全体の構成を詳細に推敲していって良いかもしれません。
10344 : nico 白犬 ('18/03/29 02:23:30 *1)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180329_069_10344p
(一)格好よく作品世界が続いていきます。一辺倒な勢いにも感じるので、少しだけ客観していく箇所が必要かもしれません。
44.10305 : 朝の街灯 朝顔 ('18/03/09 23:46:22)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180309_564_10305p
(一)これこそ、女性にしか書けない美しい抒情詩だと思います。丁寧語で書かれている、いわゆる回顧録のような独白が、秀逸な修辞で際立っていると感じました。
描くべき対象を、極度にわかりにくくする必要はなく、リアルをつかみ取ってこそイメージは実体を持つのだと感じました。
10334 : 森の売人 kale ('18/03/22 07:33:14)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180322_887_10334p
(一)分量と熱量に関しては抜きんでています。もう少し破砕していく前に詩の構成をメモ書きしても良いのかもしれない。
(一)長いが飽きることなく一気に読めた。冒頭の情景の説明箇所はもう少し丁寧に書いてほしかったと思う。
19.10309 : 贄 宮永 ('18/03/12 05:48:26 *2)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180312_643_10309p
(一)前半部分と後半部分は別作品として発表した方が良かったのかもしれない。
2.10328 : 女 鞠ちゃん ('18/03/19 22:29:49)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180319_834_10328p
(一)一連目が非常に良質です。それを超えるだけのものがあるのか、どうか。
20.10317 : (無題) 鈴木 歯車 ('18/03/15 10:29:30)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180315_748_10317p
(一)書き始めの楽しさが伝わってくるようでした。更なる飛躍を見ていきたいです。
52.10276 : (163・67・21)×(179・93・42) 田中宏輔 ('18/03/01 01:03:50)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180301_118_10276p
(一)新たな形態でのコラージュ。作者の内面をすべて発露していく中での接続による力動の働きがポップに作用していく面白さ。
23.10294 : haru 田中恭平 ('18/03/06 09:55:39 *2)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180306_423_10294p
(一)目指したい方向は分かります。具現化できる時を待ちたいです。
(一)静謐な空間がり、沈黙とそれに付随する祈りのようなものが至る所に散乱している。
それが冒頭にある「霊性」の本質であるとは感じられるが、もう少し描写を丁寧に磨けば美しい詩文になったのではないかと感じる。
13.10336 : 報復 ねむのき ('18/03/24 05:17:01)
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(一)短い文章の綴りの中で一行一行の裏切りが見事。最後まで緊張感を持続させていて文中速度を操りきれている。
27.10282 : 猫 渡辺八畳@祝儀敷 ('18/03/03 07:53:09)
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(一)作者の作品の中で一番よいと思う。傑作かもしれない。なかなか出来ないことを軽々とやっている。
(一)短いセンテンスの中で、猫を通した命の在り方が立ち上がる。哀愁を含みつつ、客観性を忘れない見事な筆致。
13.10319 : 穢れ凝る蝶のように アラメルモ ('18/03/16 05:12:56 *5)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180316_763_10319p
(一)わかりやすすぎる比喩を、もう少し深められそう。
67.10275 : 生の賭博師 lalita ('18/03/01 00:16:12)
URI: bungoku.jp/ebbs/20180301_110_10275p
(一)生きることへの皮肉を込めつつ、命そのものへは純粋なまなざしを向けているように感じる。
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