文学極道 blog

文学極道の発起人・スタッフによるブログ

2013年11月分月間選考寸評

2014-01-04 (土) 04:28 by 文学極道スタッフ

【優良】

7115 : 三つの具象的な語彙の詩  前田ふむふむ ('13/11/04 09:49:29)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131104_869_7115p
(1)
幽霊を見てしまったみたいな、なんだか悲しい、これ以上読むと泣いてしまうような気持ちです。
いいものを読ませてもらいました。

(2)
意味の変遷というものを寓話的な手法を使って巧みに表現していると思いました。けれどもその転換に刻印された詩情というものを確認はできても、発見はできない、なんとも言えないもどかしさがありました。

(3)
悪くないんだけれど、作品の構造や内部をどうこういう以前に、文体がなんというかみずみずしさがないなぁ、と。前田さんが書ける人なのは知ってるつもりなので、ここらで文体変え時なんじゃないかと思います。なんか、作品の方向性と文体の方向性がいまいちマッチしてないんじゃないかと。

7141 : てのひらの秋  夢野メチタ ('13/11/18 02:56:51)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131118_078_7141p
(1)
行分けの合間から産まれる意味贈与が絶妙であり古めかしい単語いちご一語を情景と同化し溶かしあう心象に燈火していく。
意識と肉体をほどいていく五感が肌寒さの中にある時間性と無時間性を吸着させ背理を手渡してくる。
前作と全く違うようでいて生活に根付いているが超越している同体もあり、
あと何作か読んでみたいと思わせられる。
作品単体が魅力的なのは勿論として。

(2)
秋は好きな季節です。こういう意味のないものに詩が宿るってこと、世界の暗喩が隠されているってことを思い出しました。
雰囲気に頼った造語については好き嫌いの分かれるところ、すこしもったいない気もします。私は好きでした。

(3)
んー、力のある書き手なので期待したのですが、今回の作品に関しては風景はあっても情景が無いというか、リズムがあっても旋律が無いというか。確実に巧いと思うのですが、どこか消化不良な印象を拭いきれませんでした。

(4)
良い書き手だなー、と思っている人ですが、今回の作品は佳作に入れるかどうかちょっと悩みました。読みやすくリズムもよくて楽しいんですが、イメージがなんとなくブツ切りで。もう少し、作品の中のイメージを丁寧に追ってもよいのではないかなー、と。

7112 : WHAT’S GOING ON。  田中宏輔 ('13/11/01 08:45:49)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131101_831_7112p
(1)
深読みをしようとせず、すらすら読んでしまっても、とても面白く、いつのまにか
言葉の新しい側面に触れている、そんな不思議な作品でした。

(2)
良いですね。方法論と書き手の作者性が噛み合ってる。久々にこの書き手の作品で楽しめました。優良にしようかちょっと悩みましたが、冗長さを感じた点でここに留めます。
7151 : 森の心象  前田ふむふむ ('13/11/21 17:30:44)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131121_132_7151p
(1)
勝手なもので、読んでいて「真面目すぎる」という感想がふっとよぎりました。

7165 : 泡に関するノエマ  かとり ('13/11/30 01:00:14)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131130_317_7165p
(1)
マイクロポップが提唱されている再提起への構成。
充分な良質さと詩情を確保し創造しているが、最終連などでの言葉選びが少しだけ平均的作品世界となってしまっているので冒険し自己のみしか探りあて得ない言葉にしてみると、もっと良質な作品になったように感じる。

(2)
読点による文章の断絶があまりうまく効いていない印象を持ちました。文全体がすでに完成しており、あとから便宜的に読点をうったような感じで、読点の持つ断絶と接続の合間を縫うような緊張感を持たせることが出来たら、と思います。「」に入れられたわたしなどの思わせぶりな表記もそこまであまり惹きつけるものがないので「ふーん」で終わってしまいます。

7114 : ℃。℃。℃。  田中宏輔 ('13/11/04 00:47:33)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131104_867_7114p
(1)
表記が怖いです。●表記は何の喩えなのか、拒絶なのか?
もったいないと思ってしまいます。

7131 : 最後の人々について  鈴屋 ('13/11/11 03:10:09 *5)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131111_974_7131p
(1)
モチーフのとりかた、出だし数連の滑らかさに期待したけれども、スパークしない。

(2)
観念的なものと情景描写が上手く噛み合わなかった印象。

【次点佳作】

7166 : La Pensee sauvage  WHM ('13/11/30 11:41:43)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131130_321_7166p
(1)
こういう形式の詩としては出来は悪いほうだと思います。( 以降の文章が前の文章にどう繋げるのか、というのが計算され尽してないので、よく言えば読み手の自由だけども、現状では読者置き去り感が否めないです。ある種の法則性などの枠を用意することによって逆説的に読者の想像力を喚起させることもあるかと思います。

7158 : 妻の近況♯髄膜腫術後  草野大悟 ('13/11/27 20:01:32)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131127_297_7158p
(1)
これは評価にとても迷う作品でした。
この状況を作品にするということ、言葉を失う瞬間を言葉でどう現すのか? の一つの答えだと思います。
計画書でねた切りという表記は見た事がありません。均縮は、拘縮もしくは強縮の間違いではないかと思うのですが、診断書にそう書いてあったと言う事で医師が間違えたのか、字が読み取れなかったのか、現実感を伴って作品に引き込まれます。

7128 : 拝火抄  あのん ('13/11/09 20:09:01 *4)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131109_929_7128p
(1)
センター街てのは、渋谷の? あすこはバスケットストリート、か何かに名前が変わったのではなかったでしょうか。
固有名詞の使い方が素敵です。刹那の風俗がスケッチされて、心象風景と撓んだ混ざり方をしています。

(2)
かっこわるい男をここまでかっこ悪く書くことによって、何かしらの効果を生み出しているような気はしました。

7140 : 偏執した批評のような独白  NORANEKO ('13/11/18 00:55:04 *14)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131118_075_7140p
(1)
相変わらず自己陶酔の枠の中から出ていない印象を持ちましたが、今回の作品に限ってはフレーズ単位で読者を引き込む努力が現れているように思いました。

(2)
作品の体裁を整えようとせず、湧き上がる言葉を吐き出すような粗さに魅力があります。そこに自己陶酔は無く、どうしようもないニヒリズムを感じます。聡明な書き手だと思います。
今後、どのように詩、言葉に対峙するのか、注目したいです。

7122 : 飼育法  織田和彦 ('13/11/07 22:20:27 *4)  [URL]
URI: bungoku.jp/ebbs/20131107_898_7122p
(1)
生命という尊さと筆致の軽さが裏切り続けていきます。
一行目からの脱臼を残しながら繋がっていく在り方と読み手の心を乱していく在り方(それは嫌悪であったりしますが)、
その方向が薄さと硬骨さを逆説的に獲得していく。

(2)
面白かったです。唐突な告白に笑っちゃいました。
ここまでフィクションだと安心して殺せ! と叫ぶ事ができます。
レスされたコメント群も面白かったです。

7156 : Je sais que je ne sais rien  はなび ('13/11/26 18:41:00)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131126_280_7156p
(1)
「わかること」と「わからないこと」についての考察?はユニークだと思います。
呟きのような詩。

7147 : 紙飛行機(ステルスエアメール)  イモコ ('13/11/20 14:08:54)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131120_104_7147p
(1)
タイトルの括弧はルビってことでしょうか。ちょっと世界観がありすぎるかもしれません。
他者への希求をSF的にまとめておもしろく読ませてもらいました。

(2)
悪くはないんだけれど、作りこみに不足を感じました。もっとゴリゴリ作りこんでいけばその分良くなる作品だった気がします。

7154 : おしどり十姉妹  海月 ('13/11/25 01:19:08)  [Mail]
URI: bungoku.jp/ebbs/20131125_241_7154p
(1)
とてもリズムが良くって読んでいて楽しかったです。

【落選】

7163 : 楽園の午後  黒髪 ('13/11/29 18:33:00)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131129_309_7163p
(1)
全体の流れは悪くないです。単語一つひとつを作者にしか思いつかないような驚きのあるものに変化させると良い作品になるのかもしれません。
まずは単語に対する感覚を磨くことが黒髪さんの課題なのではないでしょうか。

7139 : 母性によせる思慕  大丈夫 ('13/11/16 23:15:41)  [URL]
URI: bungoku.jp/ebbs/20131116_067_7139p
(1)
うーん、言葉を絞ってきた印象はありますが
「愛、そんなものにかけてみたいな。」
こういうことを読者に伝えようとして、千や万の言葉を費やすのがある意味で詩なんじゃないかな、と思います。
作者の思想を否定するわけではなく、安易にこういう表現に頼って欲しくないです。

7143 : 私の中の小さな親友へ  umeka ('13/11/18 11:29:06)  [Mail]
URI: bungoku.jp/ebbs/20131118_080_7143p
(1)
メッセージ性の強い詩ですね。あなたの言いたいことはわかる、痒いほどわかる。
けど、この作品あなた以外の人が読んだとしてどうでしょうか。果たして作者がこれを書いたときに思ったようなことを読者が感じますでしょうか。問題は何を書くか、ではなく如何に書くか、です。

7149 : 永久陽射  森つかさ ('13/11/20 17:46:21)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131120_107_7149p
(1)
 痛みを感じる心や
以降の連が全て、それまで書かれていて行間に込められている言葉を再度書いてしまっているように思えます。
最終連にかけて削ったり行間に耳を澄ましてみる作業をすると、それまでの連の良さや、
もっと含めてみたい感慨が作者自身に見えてくるのでは、と思いました。

7142 : 彼の病棟でないならば(「 」)と(「***** **** ***** ***** **」)の間 ⇔ (「 」)と(「***** **** ***** ***** **」)の間でないならば彼の病棟 ⇔ 彼の病棟あるいは(「 」)と(「***** **** ***** ***** **」)の間  お化け ('13/11/18 04:50:32)  [Mail]
URI: bungoku.jp/ebbs/20131118_079_7142p
(1)
この形式は、まだ共有されていないのではないでしょうか。
読者を教育しなくては。

7133 : 犬  鳥 ('13/11/11 14:13:12 *51)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131111_978_7133p
(1)
コメント欄が盛り上がっていて、とても勉強になりました。

7123 : 水  水野 英一 ('13/11/08 10:40:14)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131108_908_7123p
(1)
なにやらアダルトだ、という事は伝わってきました。
文語のたゆたうリズムがなんとなく惜しい、ような。

7136 : 光  伊東 忠 ('13/11/13 04:37:40)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131113_009_7136p
(1)
書きたいことを、とても素直に書いています。
それぞれの綴りの流れは悪くないです。
単語ひとつ一つを熟慮してみて比喩としての面白さや綴りの幅広さを、
より可能性ある場所へ引き出すためには、どうすれば良いのか、
作者独自の言葉を、もっと突き詰めてよいと思います。
「光」「大地」などを独自の言葉に置き換えるだけでも、
もっと産まれていきそうに思えます。
これからどんな独自性を出していくのかが楽しみです。

(2)
最初の一行、とても響きました。それだけに後半が尻すぼみに見えてしまいます。

7116 : 静かなキラ星  繭彦 ('13/11/04 19:43:31)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131104_876_7116p
(1)
最後は、「自信」じゃないんですか?

7119 : 愛は野放し  北◆Ui8SfUmIUc ('13/11/05 15:47:36)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131105_883_7119p
(1)
田村隆一のオマージュでしょうか?
なんというか、足りないピースが多い印象を受けました。
二連目の転換が三連目で機能していないような。。こういう読者もおりました。

7113 : ハナ ヲ テワタシタヒ  鳥 ('13/11/02 11:59:47 *20)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131102_852_7113p
(1)
日常風景ではあるのですが、美しい幻影を見たかのような読後感でした。

7111 : 悪と光  黒髪 ('13/11/01 00:24:22)
URI: bungoku.jp/ebbs/20131101_830_7111p
(1)
この世界観はどういう流れででてきたのでしょうね。
自分を不完全であると感じる、皆と違うものだと思う、恋愛至上主義の世の中に打ちのめされている作中主体の独白の二連目が予想外で構造がおもしろかったです。

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