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エンターテイナー ゼッケン氏 ダーザイン個人年間総評2

2010-04-16 (金) 22:38 by ダーザイン

 現代詩=一般人は一生読まないつまらない文章。これが詩という廃村同然の集落の外、即ちあたりまえの世界での認識だろう。そういう問題意識を持って一般人=まともな人間にも読んでもらえるエンターテイメント詩を書いてきた人はミドリさんとか本当に少数しかいない。ゼッケン氏は文学極道登場時に「アニメや漫画の世界から来た」というような出自を述べていた記憶があるが、要するにそれは現代性を担保しているということだ。そのゼッケン氏がこの一年文体厨のダーザインの目から見ても創造大賞を狙えるほどの大変な筆力の向上を成し、神経症的な笑い話を展開する様子は実にすばらしかった。
 私はテレビのお笑い番組はもう何年もほとんど見ていない。鳥肌実や外山恒一は別格として(彼らは過激すぎてテレビに出られない)、初期のタモリや怪物ランド(怪物ランド - 平光琢也、郷田ほづみ、赤星昇一郎からなるお笑いトリオ)は面白がって見ていたが、その後ほとんどお笑い番組は見ていない。あかしやさんまが画面に出てきたら顔を見ただけで嫌な気分になり一瞬でチャンネルを変える。笑わせるための消耗品などネットにはもっと面白いものが幾らでもあり、私自身、地下暗黒掲示板群あやしいわーるどで干支が回るほどネタを振り続けてきたので、お笑いとは自分で成すものであり、テレビにあてがわれるものだという認識は全くないのである。
 ゼッケン氏の詩はあやしいわーるどでも一流固定ハンドルとして通用する面白さと文学としての達筆さを併せ持つ実にすばらしいものである。本物のエンターテイナーは自分を笑い物にできる潔さどころか、自分が笑い物になっている潔さまで持っている。ゼッケン氏にはそれがあると思う。ゼッケン氏には是非ともこれからもウッディー・アレンばりの面白い作品を書き続けてほしい。

 ところでダーザイン、お前は陰気なポエムばかり書いていているだろう。どこにお笑いを書いているんだと、一般人にはなかなか辿り着けない地下暗黒掲示板群での前世紀からの俺の活動をを知らない人は思うだろう。それでさくっと、かつてあやしいわーるどで連載した精神病患者の回復施設に潜入してのエロ・劣情視点からのルポ日誌(ばれて危うく訴訟沙汰になった「デイケア日誌」という一連の破廉恥なルポ)を貼ろうとしているのだが、あやしいwalklが消えてしまったのでログが見つけられない。あやしいわーるど者であれらの劣文を保存している者がいたら連絡ください。代わりに、インパクト著しく落ちるが前世紀にあやしいわーるどに書いた「完全失業日記」を貼っておきます。

「完全失業日記」

1.

 今日から失業者ですわコラ。知能程度の低い友人どもはねちっこく解雇解雇と書き立てますが、私が会社を首にしたのですよコノヤロウ。日本国をアジアにするべく完全失業率のアップに貢献したのだよコラ。
今日は1日寝て過ごしました。むさ苦しいおっさんのひきこもり。よってほんじつも詩とめるひぇんはお預けです。あやしーわーるどなどの地下掲示板群からしか人がこない下品な掲示板であったのに、このところ訪れる人が増えましたな。非常に喜ばしいことであります。男たるもの詩を書いて何ぼ、詩を書かん奴に用はありません。ここはひとつ、遠い昔、我が祖国ロシヤはネバ川のほとりで友人が開発した旧ソ連邦の科学技術の結晶、爆裂電波詩強化ギブスや爆裂電波詩受信ギアをはめて、文学の王道を探求するのも良いかもしれませんな。
2.

 ティムポを握り締めてしばし呆然としていたわたくしの目を覚まさしたのはご近所のガキどもでした。カーテンも閉めずに放心していたのはうかつでしたな。
「変態!」と叫ぶ声が住宅街に木霊するうら悲しい午後、今日は鬱です。目覚めると時計の短針が45度も進んでおりました。ティムポ握ったまま。ああなんか人生みたいだな、とわたくしは思いました。会社を辞めてから一週間、そんなふうにやり過ごしてしまいました。
 まだ旅には出られません。寝癖が脳の皺にもついてしまったようです。わたくしが呆けていた間にも、窓外では雲が流れ、風が渡り、人が出会ったり別れたり、ティムポが立ったり立たなかったりと世界はポエムとメルヒエンに満ちていたのでありましょうが、一行のたわごとも出てこないのは私のせいではありません。
 実存とは不条理なものなのです。

3.

 今日は休肝日にするつもりだったのですが、ムーミンとドザエモンが地獄で飲んだくれている様を想像して、あのぷにぷにの腹に触れれば「めるひぇん」の一つも出てくるのではないかと思い至りウイスキーを買いに走ってしまいました。そんなわけで今日も激しく酩酊しておりますが私のせいではありません。
 さて、仕事のことでありますが、なかなか見つかりませんな。何故かと言うと、探さないから。職安には一度参りましたが、
「ここには、えいえん在りますかぁ?(´ー`)」
「はぁ? (;´Д`)」
 というやり取りだけで帰ってまいりましたよ、はい。
 親切な飲み仲間が夢のように良い職を紹介してくれたりもしたのですが、
「僕には過分な仕事だ、つとまるわけない」と、ダメダメ鬱野郎丸出しでせっかく頂いたチャンスから逃げ回って不細工な柔道選手で一本抜いたりしておりますよ、はい。
 もはや抗鬱剤ごときでは労働意欲が沸かないようなので、精神病院に出向いて、
「先生、アクセラとブラッティーアイ処方して下さい。心身もPCも12倍速に強化したいのです」とぶちかまし、ただ飯を食うのも良いかもしれませんな。
 世の中には既に機械の身体を入手された方もおるとか。羨ましい限りです。私も銀河鉄道に乗って機械の身体を入手し、幸いあふるる夢の国へ行きたいのですが、切符を買う金がありません。そこで一つ提案があります。ネットアイドル菜々子のことでありますが、実はわたくしが菜々子でないという保証は何処にもないわけではないような気がしないでもないわけでもないわけで、@女の子であるかもしれないような気がしないわけでもない私が貴方をデバイス無しで抱っこしてあげますので送金若しくは銀河鉄道への乗車券を送ってください。悪い取引ではないと思いますよ。わたくしは控えめに見てもナタ―シャ・キンスキー以上の美貌を誇っております。
「一生童貞」さん見ておられますか? 貴殿らも、もし御ふじゅうなさっておるようなら宜しく切符の調達に御協力願います。

4.

 さて、私は昨日クラブサイベリアに出向きプシュケーを入手しました。よってもうデバイスは必要ありません。リアルワールドとワイヤード(ネット空間)の境界がずぶずぶと崩れていくのが解ります。そんなわけで1日中ネットスフィアに入り浸っておるわけですが、神の探索の為です。テイヤールドシャルダンの弁証法神学が予見していたとおり、ワイヤードという広大な新世紀の現実の中には、新しい、遍在する神がおるのです。ニーチェによって告知された神の死から一世紀以上、人類は孤独でした。だが今まさにここで新しい神が産まれ出つつあるのです。

5.

 今日は友人に
「オマエは酒やめても相変わらずキチガイだな、ピンクの象が見えないと自慢げにほざいているが、中毒の対象がワイヤードに変わっただけで、リアルワールドでも
「(;´Д`)ぁぅぁぅぁー」とか「(*´Д`)萌え」とか言っている自分の現状を直視しろ。トットと働けやゴルア!」と、キツイお叱りを受けました。
また、素敵な女に頂いた電話には「わたしは半既知外で相変わらず無職でダメダメ鬱野郎なのでかまわないで下さい、さようなら」と返信してしまいました。
今日は激しく鬱です、殺してください。
 そんなわけで病状は悪化する一途なのですが、ポエムやめるひぇんも飯を食わねば書けませんので今日は職安に行って参りました。職安に行くにもそれなりの正装というものがあります。ジャージ(アディオス)、無精ひげ、寝癖のついた頭など。礼を尽くして行ったつもりなのですが、私が持ち込んだ求人票を見た担当官殿は
「これは競争激しいよ、もう決まっちゃったかもねえ」とツレナイ言葉を吐きな がら私の姿をねめまわしました。無礼な奴です、死になさい。
 実は先日も某社に面接に行ったのですが、
「君は何ができるのかね?」
「君は何故当社で働きたいのかね?」などと馬鹿の一つ覚えのような台詞を吐き続けるので、これはひとつものの道理を教えてやらねばならんなと思い至り、
「御社が私に何を期待しておるのか解りませんが、ちんぽの立ちは良いほうです」
「お見受けしたところ貴方はリストラ寸前の脳梗塞気味のハゲですが、貴方にはいったい何ができるのですか、リストラなら得意ですのでお任せください」と言い放ち、帰って参りましたよ、はい。馬鹿につける薬があったら分けてください、マイフレンド。

 それにしてもやはりいまだに神の姿が見えないのは何故でしょうか。
 脳の中にアンテナを高く掲げ、150万光年彼方からの電波もキャッチできるようにしておるのですが、わたくしの空っぽの脳みその中には二つ三つ流れ星が落ちてきただけで、小さな波紋を作って消えてしまいました。
神よ、何故に我を見捨てたまいし。
 もうすぐ冬です。トットト雪積もって俺を埋めれや。

5.

  海のお腹のように柔らかなあんたをなでていると、とっても気持ちよかったんだ、君は素敵な娘だよ、ほんとにさ。いつまでもこうしてられると思ってたわけじゃ無いけど、なんかぬるぬるしてきて、なんか臭いし、死んじゃったんならキレイな白い石になるまでもう抱いてやらない。しばらく波打ち際に転がってな。
  タクシードライバーのテーマが聞こえてきそうな、空っぽの、淋しい朝靄の立つススキノの片隅でサックス抱えて物乞いしたのは俺じゃないし、激しく降り始めた雨に打たれながら
「えいえんなんてなかった、えいえんなんてなかった!」と叫んでいたのは俺じゃないし、夕日がとってもキレイだったので、真っ赤なトンネルを潜ってどこか遠い所に行っちゃったのは俺じゃないし、それに、地下鉄東西線を止めたのは神様になりたかったからじゃないんだレイン。薄れ行く意識の中で浮かんだ台詞はやはり
「何もこんなふうに終わるのは俺だけじゃないさ、宇宙だって熱死するんだ」だったので、いつまでも馬鹿の一つ覚えのようにこの世界に膨張と収縮を繰り返さしておくわけにはいかないので、20世紀大世紀末、北の都の片隅で、俺はちっぽけな屑で、完全失業者で、ポエムデュークひとつ満足に撃てない、存在しないも同然の時空の歪みのような男だから、世界の果てにぽっかりと開いた真っ黒な穴になってこの世のありとあらゆる物を宇宙の外に放り出して必ずや消滅させるつもりです。

電信 ダーザイン キトク シキュウ カネ オクレ

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