文学極道 blog

文学極道の発起人・スタッフによるブログ

2009年3月選考雑感

2009-05-02 (土) 16:12 by a-hirakawa

今月も勉強になりました。
ありがとうございました。

今月は、

3417 : マザー  宮下倉庫 ('09/03/23 21:39:07 *1)

3423 : 「一条さんがやってくるわよ」  一条 ('09/03/30 01:12:03 *2) 

3427 : 給水塔  黒沢 ('09/03/31 00:14:15 *5) 

3377 : RJ45、鈴木、  一条 ('09/03/06 18:10:07 *1)
 
3373 : 種グマのヘンドリック  ミドリ ('09/03/06 00:03:51)

3428 : 海想癖  苺蝶 梓 ('09/03/31 03:46:10 *1)

3384 : 平原II  田崎 ('09/03/12 00:17:39)

3396 : 東京オールナイトの夜  がれき ('09/03/16 21:14:06)

3390 : 「市ヶ谷物語」  吉井 ('09/03/14 01:49:48)

3395 : 駅  鈴屋 ('09/03/16 19:44:22)

3376 : アノレキシア  ゆえづ ('09/03/06 09:19:09)

3381 : 馬の死  木下 ('09/03/09 23:46:54)

以上、12作品が月間優良作品に選出されました。

3417 : マザー  宮下倉庫 ('09/03/23 21:39:07 *1)
これまでの作者の作品とはまた少し異なり、スタイリッシュでありながら実存的で、浮遊した言語様式とは対極にある手触りのある体感的情感が印象的だ、という意見がありました。きっちりと進化してきている、素晴らしい、敬意を。内面を捨てて表層を追うこと徹する作品が多い中で内面も組み込むことに成功した、今もっとも先端にある作品なのではないか、という意見もありました。

3427 : 給水塔  黒沢 ('09/03/31 00:14:15 *5) 
隙間が開き過ぎだが、力作である熱量は確かに押し込まれてくる、という意見がありました。この給水塔はもう少しまとまったのではないか、という疑問が熱量の奥からにじんで来もする、あまり上手過ぎるということがない文章それぞれが、振れ幅を大きくしていて、そこが魅力に感じられる、という意見もありました。

3377 : RJ45、鈴木、  一条 ('09/03/06 18:10:07 *1)
毎回、変えてくる手が一条様式を高めていて、読後の一文が轢いていく力の大きさが昇華を確かにしている、という意見がありました。
 
3373 : 種グマのヘンドリック  ミドリ ('09/03/06 00:03:51)
書き様によってはどうしようもない下品な話になるのだろうけれども、飄々とふざけている筆致の見事さを思わさせられた、という意見がありました。切り取り方が上手い、意識のずらし方がアッケラカンと凄絶だ、という意見もありました。

3428 : 海想癖  苺蝶 梓 ('09/03/31 03:46:10 *1)
突いてくる言葉の一つひとつが過剰でないのに吸い上げられている点が面白い、タイトルのハードルの低さも良い、身体性を重ねているところと関係性を織り込んでいることで巧い具合に客観的になっているように感じる、素晴らしい、という意見がありました。もう一歩を思わせながら伸びていく足跡の確かさは今月一番だったのではないか、という意見もありました。

3396 : 東京オールナイトの夜  がれき ('09/03/16 21:14:06)
技巧のむっつりスケベさが実に立っている、という意見がありました。作者の作品は、選考の際にかなり意見が割れています。圧倒的に推すか全く推さないか、中間がありません。それは良いことだと思います。ガンガン書かれて欲しいです。

3390 : 「市ヶ谷物語」  吉井 ('09/03/14 01:49:48)
この作者は下ネタの挟み方が芸術的で誰にも真似できない知性と下衆な本能の狭間をキッシュに描く不思議さがあります。最後も上手いですし、黄色が想起させてくることの刺激を存分にはみ出してきています。もう少し遊びがあっても良いのではないか、という意見もありました。

3395 : 駅  鈴屋 ('09/03/16 19:44:22)
進化と呼ぶべきか大いなる過渡期と呼ぶべきか躊躇われる作品だが、悪くない、という意見がありました。作者の作品としては決して良い位置にあるとは言えないが、これだけ面白いところのあるものを、完璧な物に完璧でないところがある、というのもおかしな話なのかもしれない、という意見もありました。監督ばんざいを最高傑作とする人もいれば、しない人もいます。その中間にある中間の中間の中間感覚を思わせたのも事実です。もっと感情を壊させても良いのでは、この作品はこの作品で良質なのだけれども、という意見もありました。

3376 : アノレキシア  ゆえづ ('09/03/06 09:19:09)
今ひとつ、作文として足りないのだけれども、巧稚を超えて伝わるものがある素材のこなし方だ、という意見がありました。言葉が作者なので、引きずり込まれもするけれども、最後は少し直情が過ぎ、それは寄り添いたくなる直情の書き方ではなく、言葉選びの粗を極端に出してしまっている筆致に思える、という意見もありました。優劣は別にして、作者は確かに詩を書いているので選考委員内での評価は非常に高いです。

3381 : 馬の死  木下 ('09/03/09 23:46:54)
粗いが見まごうことなき詩だ、という意見がありました。引っかかるものは確かだが、今はまだそんなに形になっていないかもしれない、という意見もありました。作者の奥からの魅力を感じさせる作品なので、何作品か続けて読んでいきたい、これからも作者の作品を読み続けたい、という意見が賑わいました。これからも是非、よろしくお願いいたします。

さて、次点佳作作品について触れていこうと思います。

3398 : 帰還  ぱぱぱ・ららら ('09/03/18 17:27:09)
目新しい言葉は帰還兵以外ないけれどもエッジの効いた良作だ、という意見がありました。優良へと推す声もありました。
 「帰還」

 還ってきた
 帰還兵の
の「還」を最初に重なり合わせていることで三連目が心もとなくなってしまったのではないか、受け取りやすい巧さがある作品だけに勿体ないのではないか、という意見もありました。

3406 : ケセランパサラン  はなび ('09/03/20 00:06:15 *1)
エロさが陰美な方向ではなく傾き通していて、軽さとリズムと勢いと読みやすさとの狭間が上手い、巧くないところがまたよい、という意見がありました。

3383 : (無題)  CGあゆみ ('09/03/11 18:18:11)
原石的な良さがある、できれば優良にしたい、という意見もありました。それぞれの言葉は特に印象的ではないけれども、魅せ方によっては良作になる可能性はなきにしもあらずな作品だ、この書き方というのはポエムポエムしていて、それはそれのよさがあるけれども、まとめすぎている部分や、この文章、綴りを見て欲しい、という部分があからさまな点などが、どうしても削いでしまうように思えた、という意見もありました。思いつきやすい比喩なので構成の妙など、または破壊的なものを吸い込んだら柔らかく良質な作品を書く方向へ作者は変貌するのかもしれない、という意見もありました。

3405 : 朝の風景  ミドリ ('09/03/19 21:33:19)
抜いた肩の力がよい方向に働いた印象を受けた、という意見がありました。今までのスカシッ屁具合や寸止めに感じられていたところから、登場する者の背後を窺わさせる断片に移行していて、その部分の切り抜き方が調度よくなってきた作品に思える、という意見もありました。

3418 : un murmure ささやき  はなび ('09/03/24 23:06:21)
こんなどうでも良い詩がどうしてきちんと読めてしまうのか、これは凄いことなのではないのか、という意見がありました。作者にしては素直すぎるが、その分、最終連の素朴さが純に届いている、という意見もありました。落選でも良い、という意見もありました。

3413 : アポロ計画、以後  こんぶ ('09/03/21 19:39:52)
は、ダサくてダサい男子のダサいままのポエム臭が非常にダサくて素敵だと思え、バカだ、と思わせる素晴らしさが人間的で良いと感じました。伝えられていて、その伝えていることはとてもくだらないことなのですが、そのくだらなさがくだらない書き方と伴って、非常にダサいよい味を出していると感じました。

3402 : 胸のあつさも  草野大悟 ('09/03/19 00:00:16)
最初二連があることで、近作の一つしか読み方がない作品とは少し異なり良い位置に行けているように思える作品だ、そして最終連が、とても良質だ、という意見がありました。最初の二連が、草野さんの近作の視点と少し異なっても良い、多様性がある点描と、最終連の単一でありながら暴とする穏やかな柔和の感触であり、近作とは違った味わいがあって、作品の純なる良さを醸し出している、という意見もありました。

3388 : なまえ  寒月 ('09/03/14 00:03:03)
悪くはないけれども中途半端な印象を受ける、それは、最後の方がおろそかになりすぎているからだと思う、
 さみしいはいつか
 かならず電話するといってひとりで帰り
 愛はおばさんと一緒に仕事をしている

 その日会う 女の人に 花を買う
 名前と誕生をそえて
 赤い薔薇を渡し
 見つけてください
 あなたを見つけたように ぼくを

 初めて 声に出し なまえを
 言う
この三連に地下鉄や掃除、赤い薔薇をだすよりも、女性に電話を掛けたりと、何か仕掛けて欲しい、作者のやり方は間違ってはいない、その上でもう一歩丁寧に仕上げて欲しい、と感じる、という意見がありました。もう一歩先にいけたのではないか、名詞、形容詞の擬人化は詩の手法としてはかなりありふれたものだ、そこを真っ向から描く作者に何かもう一歩の期待を抱いてしまったのかもしれない、抱いても良いような作品内の好感触はあった、という意見もありました。

3424 : 前夜  泉ムジ ('09/03/30 06:01:41)
悪くない、巧い、けれども「喝采」などで既に見せた側面を緩やかに見せてしまっているのでイマイチ感が漂ってしまっているのではないか、という意見がありました。カップリング作品としてはかなり良い出来になるかもしれない、スタイルは良いので、もっと期待してしまった、内実が少し低めているかもしれない、という意見もありました。作品にも鮮度がある場合がある、この作品は少し出す時期を間違えたのではないか、この作品は本当に前夜に感じてしまった、という意見もありました。作者への期待値が高いため、厳しい意見が出たのかもしれません。あまり気にせずガンガン投稿されて欲しいです。

3420 : 火曜日の水死体  フリーター ('09/03/28 02:19:45)
悪くない、改行していないと少し読み手がだれるかな、という思いはあったけれども、最後の普通に終わってくれないところも含めて、これまでの作者の中では一番良い、という意見がありました。単純なつくりなので、強めの単語が強いまま働いているんだと思う、という意見もありました。

3412 : 秋  右肩 ('09/03/21 19:36:41)
右肩さんは力作をいつも投稿されていますね。右肩さんは自己と詩への合致の中でも、既視感とトリックを重視しすぎて、ひょっとしたら、もったいない場所へと傾きすぎなのではないか、預けすぎなのではないか、と突いているような気がします。悪くない作品だ、合評部分も非常に勉強になった、しかし皆、この作品の場合は、これ、という意思を持っていて、それが故に合評が盛り上がったような気がする、つまり、過去にあったものをそのまま足さずに引かずにやっているような作品にも思えた、皆もそう思っているように感じた、という意見もありました。

3387 : せつな  右肩 ('09/03/13 01:31:03)
悪くない、最後にやっと、どういう情景なのかもわかる詩、そこまで引き連れていくだけのものがある、という意見がありました。個人的には、右肩さんの長ったらしい作為があり過ぎる作品よりも、詩的にみたてていて、やはり仕掛けがあって作為に気づかされるこっちの作品の方がよほど良いような気がしました。

3392 : 夜の深浅  凪葉 ('09/03/14 23:39:01)
悪くはないと思うけれども、作者はもっと先に行っても良いのではないか、一連からどんどんトーンダウンしているのはいただけなかった、四連目をもう少し効かすために書いておいた方がよい断片があるのではないか、六連は無難過ぎないか、悪くないけれども、もっと進める印象だ、という意見がありました。

3374 : 09/03/05 23:34  294 ('09/03/06 00:52:34)
一気に読める、舞城王太郎的というか楽しめたけれども、最後の希望があってまとまりすぎているところは、あまりに作為的なものを感じる、最後何かもう一発欲しかった、意味なんてなくてよいと思うから、という意見がありました。

惜しくも選からは漏れましたが、その他、以下に挙げる作品が注目されていました。

3368 : 黄色い自転車  カスタネットUSA ('09/03/03 01:34:17)
こういうラブポエムbno
純度をもっと高めても良かったかもしれない、句読点や改行が効果的に思えない、それよりも良い内実があったので、そこをもっとはっきりと浮き立たせるように書いても良いように思えた、よいう意見がありました。

3403 : スクラップ・ベイビー  ゆえづ ('09/03/19 01:18:50) 
 あたしたちは産廃なんだって
は印象的だったが、その前に、
 発狂した姉ちゃんは言った
を持ってくるのは強い言葉で打ち消し合っているようにも感じられる、テンションで作者の言葉を見せていくことには興味深いものがあるが、
 あたしはスクラップ・ベイビー
は少し括りに弱いかな、と感じてしまう、という意見がありました。女の子の言語化されていない内心を文章にできているところが非常に面白かったが、理詰めというか、きちんとしすぎているような気がする、少女らしい破綻があると一皮も二皮も剥けるのではないか、という意見もありました。

3416 : 想い砂  破片 ('09/03/23 14:07:10)
後半は悪くなかったけれども、前半と中盤、意識的なのかそうでないのか、全く使いこなせていない言葉が咀嚼できていないままに浮いて存在している、その部分では作品が止まってしまっている、という意見がありました。もう少し素直な破片さんの作品を読みたい、という意見もありました。

3370 : 猫  びんじょうかもめ ('09/03/04 01:00:26)
跳躍し続ける暗喩は面白いのかもしれませんが結実していない、僅かな線で結ばれているようなはみ出しているような、書きたいことを書きすぎているような気がする、という意見がありました。

3366 : 親友へ  丸山雅史 ('09/03/02 00:56:05 *3)
最終連もう少し欲しい、一連の彼女を出すとか、全く格好良くないよさというか人間味というか、妄想なら格好良い存在に背丈を合わせたりしがちだが、妄想と解りながらダサい背丈に合わせていっている視点、目線のあり方の面白さが、ある、ように感じる、という意見がありました。

3380 : マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン  丸山雅史 ('09/03/09 00:17:47)
途中までとても良いとは言えない所がとても良い、最終連は最高必須に感じる、という意見がありました。

3393 : 早春の歌  はるらん ('09/03/14 23:55:46 *3)
作者の物語にはどうしてこうも体臭がないのだろうか、この方向性でいき続けるのであればリアリティに澄ますということは必須課題のように感じる、という意見がありました。

3386 : record_090225_0030-32@jisitsu.  藻朱 ('09/03/13 01:13:10)
こういうのもありだとは思う、わけわからない作品なわけだからわけわからないということはわけがわからない評価としてわけがわからないままにわけがわからないわけのわからなさをわけもわからずにわけをわからなせていくことに優れさせていくことがいつか、わけわかるのかもしれない、という意見がありました。

3415 : 「市ヶ谷物語」  吉井 ('09/03/23 00:29:43 *2)

3365 : ゼンマイ美女と黄金狐  Anonymous ('09/03/02 00:39:52)

以上です。

・年間選考雑感しばしお待ちください。

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