文学極道 blog

文学極道の発起人・スタッフによるブログ

2009年7月選考雑感

2009-08-29 (土) 16:35 by a-hirakawa

今月も勉強になりました。
ありがとうございました。

今月は発起人であるコントラさんの投稿がありました。
3649 : マナグア  コントラ ('09/07/15 06:16:23) 

さて今月は、

3656 : 野球の規則(改)  DNA ('09/07/20 21:12:59)  

3662 : 臍の緒  はなび ('09/07/22 20:34:21)

3629 : 侘び住まい・六月  鈴屋 ('09/07/04 12:39:18 *6)  

3653 : 屋根の上のマノウさん(改訂版)  Canopus(角田寿星) ('09/07/18 22:53:58)

3623 : スカシカシパン  草野大悟 ('09/07/02 01:15:17)

3625 : 偽物の猿の目は黒い(前編)  ぱぱぱ・ららら ('09/07/03 01:05:04)

3630 : グッドバイ  チャンス ('09/07/04 15:54:04 *26)

以上、7作品が月間優良作品に選出されました。

3656 : 野球の規則(改)  DNA ('09/07/20 21:12:59)  
言葉の行間に潜む、抒情性が伝わってくる、読ませる良い詩だ、という意見がありました。上手い、作者は毎回変えているけれども病にない、健全な屈強な弱さが魅力として作品を見事に導き出している、という意見もありました。ただ冒頭の「水星の前輪と金星の後輪」だけ浮いてしまったように感じる、子盗りだけでなく最終連で拾って欲しかったとも感じる、という意見もありました。ユニークな筆が映えている面白さだ、という意見もありました。

3662 : 臍の緒  はなび ('09/07/22 20:34:21)
イメージの実体の発芽よりも、その羅列から生まれる感触の方が興味深い、良くも悪くも「昭和」、男性や若い人には書けないであろう迂回具合にも惹かれる、という意見がありました。冷静にギリギリな話者の様子が伝わってきてよい、合評内での指摘どおり、「天ぷら〜」を最終連の食事描写に繋げられたならよかったと思う(ただ、一連目は一連目で必要な導入なので削らないほうがいい)、「ながい、ながい」以外のところどころのフレーズ連呼はいま一度見直しを、という意見もありました。言葉が、自由に発せられていて、その言葉が、多様に広がりを持っていて、魅力的な詩となっている、失語的な語法も、大変、独創的で良い、という意見もありました。

3629 : 侘び住まい・六月  鈴屋 ('09/07/04 12:39:18 *6)  
 雑貨屋があるのは町の東
 ディーゼル機関車は西へ西へ
など、憂感をうまく使いこなしている、という意見がありました。新しい方向を模索している作者が伝わって来た、方向性の成功はすでに在しているので、そこからのものがもう一歩欲しい、という意見もありました。一人の侘しい暮らしから果てなく時間を空間を超えて世界が構成されている、
 平野では河が溢れ、湿地帯に草が茂り樹が茂り
 やがて石炭が出来る
は秀逸、この生活の中にこれを入れるとは見事であり凄い、ただ、一連目が上手くいっていないように思える、二連からの動に対して、一連目は模索させ過ぎているように感じる、という意見もありました。こころに汽笛と車窓からの風景を抱いて生きる孤独、必要以上にセンチメンタルにしないところも好感触、中盤以降、最終連に向けた言葉の波があってもいいかなと思ったのも正直なところだが、最終行「石炭」、ここでこれを持ってこれることに嬉しい驚愕、よい、という意見もありました。無難なく纏めている、よくある設定の詩であり、特別の良さを感じないが、比喩の表現方法が、巧みだ、という意見もありました。作者は巧い、文学的な佇まいも好感を持たれそう、ただ、どうだろう、レトリックの妙とその配置だけで成立している感もあり、オチも含め、何かしら「はぐらかされている」感もある、そこ狙いなのかもしれないが、馴染めなさ加減が半端な印象が拭えない、作者のベクトルは回顧に向かいがちな感じを受ける、いろいろ諦めるのは構わないにせよ、匠な書き手として落ち着いてほしくはない、とても好きな筆なので、という意見もありました。

3653 : 屋根の上のマノウさん(改訂版)  Canopus(角田寿星) ('09/07/18 22:53:58)
マノウさんは何ものだろう、その不思議さ、メルヘン風で、とても新鮮、詩に透明感がある、という意見がありました。童話調(でもないか)の在り方が印象的、しんみりとした読後感、暑い夜に、ひんやりとした気持ちにさせてくれる、という意見もありました。巧いけれども、清涼だけれども、マノウさんに魅力が欠けているように感じた、もう一歩、連発するマノウさんに重ねるものが欲しい、解りやすい作品だからこそ細部や端をもう少し広げて欲しい、という意見もありました。作者にしては珍しく、主要人物の魅力がうすい、作者の中には充分にあるんだってことはもちろん感じるのだけど、サラリとやりすぎていてマノウさんを見上げたいと思わせる稜線をしっかり引けていない印象、という意見もありました。

3623 : スカシカシパン  草野大悟 ('09/07/02 01:15:17)
幼児性は跳ね、悲哀もある、感情の作品として爽快な部位が多い、という意見がありました。なにかポンとひとつ抜けた印象(モチーフのことじゃなく、高飛びの記録更新、みたいな感覚)最後数行の言葉運びには言いたいことが何もない訳じゃないのだけれもど、部分部分のわからなさも、わからなさのまま全体が細い糸で繋がっている、軽めかなとも思うけど、よい、という意見もありました。この味は好き嫌いに、かなり幅がありそう、という意見もありました。随分と使い古された手法で、書いているけれども、読んでいて面白く、また、読ませる詩であり、悩ましい、また、やや、食い足りないというところもある、という意見もありました。

3625 : 偽物の猿の目は黒い(前編)  ぱぱぱ・ららら ('09/07/03 01:05:04)
惹き付けつけるだけで終わったのは前編として書かれた役割からだろうと思う、この内容の無さで一文一文に期待を裏打ちさせるように書いていくテクニックは、さりげなくて、そこはすごいと思う、という意見がありました。一つの詩作品として、(前編)はつけなくても良かったかもしれない、(前編)となくても十分にこれで面白いし書けている部分が詩として補っていっている、わざとなのだるけれども、もう少し彼女とのベッドシーンなど、淡白過ぎる部分を切り出していっても良いのかな、とも感じる、最初の連と最後の連の使い方は絶妙、という意見もありました。題材は、とてもユニークで、良いけれども、説明的過ぎる、良質な詩とは、少し違うような気がする、という意見もありました。前編と銘打っている以上、後編(若しくは中編なり何なり)を拝読するまで保留したい、という意見もありました。

3630 : グッドバイ  チャンス ('09/07/04 15:54:04 *26)
平仮名表記から零れる詩情は散見されてしまう、もったいない、という意見がありました。
 ポテトだって食いたくはないのだが
 明日を生き抜くために言うのだ

 いっぽん、くれ、と
ここへの重量は持っていかれるものがあった、その後、安室さんの歌と混ざる部位はそこまで成功していなく、足を引っ張っている様相さえ見えた、もう少し別の展開のほうが面白く広げられたかもしれない、
 ぽて、、と、
ここは、もっと効いてもよいのかもしれない、全力でスベッても良いのかもしれない、と思いもした、という意見もありました。3656 : 野球の規則(改)  DNA ('09/07/20 21:12:59) と共に、今月頭ひとつ分とびでていた印象を持った、変なのだ、という意見もありました。

さて、次点佳作作品について触れていこうと思います。

3647 : AIR  mei ('09/07/14 02:49:35)
ライトノベル的な読みやすさと展開がある、この詩ではないもので代用が効く範囲にあるように感じる、内容の中核がパロディ/オマージュにも満たない使い古されたものに感じる、そのままと言っても良いかもしれない、ここから、どう書くかに感じた、という意見がありました。主題は買いたいけれども、アプローチには大いに疑問あり、という意見もありました。リズムや、詩の切り口としては、面白いが、内容が、陳腐だ、という意見もありました。詩人以外に詩を読んでもらう為には、或いは、ティーンエイジャーにアピールする為にも、この方向性は強く支持したい、何年経っても錆びないタイプのテキスト、文学オタク以外相手に、これを読ませなくて何を読ませるんだ、という思いがある、という意見もありました。

3663 : 花冷え  如月 ('09/07/23 02:47:42 *1)
もう一歩行けるはず、けれどもそこがまた魅力かもしれない、
 声
は、いただけない、
 てのひら
部の良質に負けすぎていて、
 あたたかな内陸
から、夜へとゆるやかに満たせていない、
 声
が何回も出てくるのも問題に感じる、けれどもそんな疑問も花冷えなんだ、という意見がありました。観念的描写のみに終始した詩という印象、そういう詩であるなら、せめて言葉運びに強烈な個性があることは必須、その点でこの作品は無個性、という意見もありました。

3642 : 街  なつめぐ ('09/07/11 09:11:00)
抽象的な手段がいまひとつ感興に結びついてこない、品のある文体だけに残念だ、という意見がありました。もう少し切れに気を付けたら香るような気がしまする、「い」で終えるのは頻発すると塗りつぶされるかもしれない、という意見もありました。無難にまとまっている、言葉も内容もわるくない、けれど突き抜けてもいない、ベース自体はかなり普遍的なものなので、(言葉が柔軟でも)強烈な個人を感じるプラスαが欲しいところ、という意見もありました。おしまい、という言葉を多用しているが、こういう言葉は、安易に使うべきではないのかもしれない、短絡的、底が浅くて、安っぽくなっている、言葉選びは、慎重でなくては駄目だと思う、という意見もありました。この作品、この作者の場合、句読点が無い方が作品に奥行きが広がるようにも感じる、あとは嗜好の問題かもしれない、好きな作品だ、という意見もありました。

3627 : 無題  ミナミ ('09/07/03 12:50:29)
くだらない、そこが凄く気になる、
 俺は同じように親指を宙に突き立てていた。
 昔の映画にこんなシーンがあった気がする。

 曖昧な視力で見るこの部屋は簡素だった。
 ベッド、テーブル、たんす、老人。
 万由子は笑っていた。泣いていた。
 もしくは何処にもいなかった。
この辺をもっと高めていけるのでは、と感じた、
 彼女の小指に小さな切り傷があった。
など、想像せざるを得ない背景の物語が効いていて、内容のどうでもよさが本当にどうでもよく、泣けるかもしれない馬鹿作に思える、という意見がありました。いろいろ惜しい作品だと思う、機微の表明や怠惰の傘を開くだけでは、なかなか届かないのも確かだ、という意見もありました。

3657 : 金色の月  野々井夕紀 ('09/07/20 21:29:49)
悪くないけれども悪くはないまま、まごついて終わっていく、もっと踏み込めるのではないだろうか、または手触りだけでも良いのではないだろうか、という意見がありました。冗長気味なところもあるけれども、メルヘンがあざとくなく素直にハマっている、という意見もありました。童話調の語り口、ややゴツゴツしているので、もう少し意外性のあるランディング等が欲しい、ジュブナイルに徹底して絵を添えれば、また違うかもしれない、という意見もありました。

3637 : 雲の瞳  草野大悟 ('09/07/08 01:44:54)
比喩のあり方は凡庸だけれども、その分文章が活かされている、凡庸さで感触をきちんと伝えるのは難しいこと、その点すごいかもしれない、という意見がありました。

3672 : フランクフルト  如月 ('09/07/31 20:43:51)
短調であるかもしれないが、普通に読みやすい、しかし優れている作品とは言い難い、という意見がありました。地味だけれども、不思議な心象を顕しているように感じる、ガマの穂をフランクフルトに見立てる、というのは少しばかり怪訝、という意見もありました。構造の雑さが目立つ、一文目など良質な部分もあるのに、もったいない、という意見もありました。きちんとした読ませる文章だ、しかし食い足りない部分がある、という意見もありました。

3670 : (無題)  debaser ('09/07/30 18:20:52) 
着地の失敗、出だし2行・5〜8行目それぞれの矛盾で成された詩のふくらみの予感を、説明的な最終行が潰してしまっている、という意見がありました。肩の力が抜けていて、地味に、いい感触がある、という意見もありました。

・惜しくも選からは漏れましたが、その他、以下に挙げる作品が注目されていました。

3631 : 月  ゼッケン ('09/07/04 16:57:07)
ここまで、どうでも良い内容を硬質に書くことが出来るものなんだ、と妙に頷くものがあった、自動販売機をもっとねちっこく異形の存在として描いてもよかったかもしれない、それなりだけれども、それなりに過ぎないとも思える、という意見がありました。言葉が堅い、それだけが先に立ってくる、という意見もありました。

3661 : 独裁者  んなこたーない ('09/07/22 14:48:28)  
返信を付けられないまま流れてしまいました。申し訳ありません。おもしろかった、けれど例言の数の多いこと、無駄に挙げ過ぎている気がする、という意見がありました。やりやすくありふれている、良い部分もあるのでそこだけ抜き出して拡げて欲しい、最後の一行は、良いと思った、という意見もありました。独り繰り言を街宣しつつ、あれこれと混濁している様が、痛々しくも笑える、照射の仕方は類型的だけれども、オマケが沢山なので相殺されている、即興気味な感触はあるけれども、よく考えられているのではないか、とも感じる、という意見もありました。

3660 : shiki  mei ('09/07/22 12:25:56)
需要がある作品なのだろうとも思う、ただ「大衆性」というよりも詩の延命策の方向に感じる、という意見がありました。借り物の世界観を借り物のままにそのままに書いていて、そこに吸引力があれば良いのだけれども、過去のものばかりに感じる、どうも二次的なものしかなく、詩情が書き手にあるのは分かるのだけれども、それをどうやって出すのかは別問題に感じてしまう、大衆的顔色を窺って書いているような感覚を持った、という意見もありました。豊か、だとはおもうのだが、言葉の選択に大風呂敷な感が抜けない、という意見もありました。ヨーロッパの近代詩の翻訳詩みたいだ、天使、地獄、永遠、ダイヤモンド、など、あまり馴染まない言葉が多い、それから、「君を愛している」は、直接的過ぎる、ポップス歌詞用語、もはや、詩を書く以前の姿勢の問題に感じる、という意見もありました。

3652 : 唯の夢 その八  菊西夕座 ('09/07/17 01:44:06 *1)  
初めて唯の夢に近づけた気がした、構成の勝利で最初の二連を起にし夢を通して何だったのかの手渡しが為されている、ただ、もっと暴走して良いというか、説明口調で、淡々と静かなので、突き抜けていかない印象を持つ、という意見がありました。これまでの作者のなかでは、わりと描けているほうだとおもう、ひょっとしたら改行はいらなかったかもしれない、という意見もありました。

3655 : 賞味期限  伏樹 ('09/07/20 18:43:14) 
表面はうまく書いているわりに、芯の部分が不得要領、という意見がありました。比喩の使用の仕方が範疇にあって、それは今までに書かれているものだ、それでも詩がある、そう思う、もう少し独自のものや比喩の別の視点を手に入れて欲しい、作者に期待したいものを感じさせる作品だった、という意見もありました。

3648 : ある朝の走馬灯  イモコ ('09/07/14 23:02:49 *1)  

3621 : 土の碑  かとり ('09/07/01 21:29:05)

3638 : 飯田橋ホッピー/ハッピー/ラッキースター  蛾兆ボルカ ('09/07/08 23:43:25)

さて、また、

全体として、基本的にやや、レベルは低いように思えた、私は、こういうことを書いている、あるいは表現している、という言葉のなかの熱気みたいなものが全く伝わらない作品も、いくつかあった、もっと筆力のある詩を、読んでみたい、そういう方が投稿されるのを期待する、という意見もありました。

以上です。

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