雑感(平川綾真智)
七月選考は、とにかく割れに割れました。
そんな中、
積み上がる子供 辻
は、満場一致で群を抜いた得点をたたき出しました。明記しておきます。
さて、優良作品はどれもレベルの高いもので、次点佳作作品も非常に上手く、現代詩病の蔓延も感じましたが、勉強になりました。
次点佳作作品に選出されました、
rainy,rainy はるらん
は、決して上手くはないのですが、描く本質というか、中核をきちんと持った作品に感じます。技術に走りがちな投稿作品の中で、ひょっとしたら芯をしっかりと示した唯一の作品なのかもしれません。良い部分は残したまま、合評で受けた指摘を汲んで伸びて言って欲しく思います。
[ sister(s)/石の視線 ] 枷仔
は、はるらんさんの作品とは対極にあるのですが、個人的にとても好きな作品です。次点に留まったのは作品と読み手が浮き出す差異があまりに顕著だったからなのかな、と思っています。優れた書き手なのは間違いがないことなので、作品をあまり客観視しすぎずに、自分の言語世界にもっと溺れ、その上で読み手を引き寄せることが必要なのかもしれません。次も楽しみにしています。
さて、惜しくも選には漏れてしまいましたが、
ウィリー、ウィリー、きみの名は、 Canopus(角田寿星)
が私はとても好きでした。エンターテイメントとしての詩はもっと書かれるべきだと思うし、その多くの可能性を提示した見事な作品だと思います(中間集中を途切れさせたのが難点なのかもしれません)。
林檎 灰人
も、詩としての芯を捉えているという点で、注目しました。
書き手としては、ワタナベさんにかなり注目しています。富んだ詩情の今後が気になります。