文学極道 blog

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2007.06雑感(ダーザイン)

2007-07-19 (木) 21:57 by ダーザイン

気になったこと。

圧倒的な筆力で四天王の一角に入れるだろう宮下倉庫さんが一条化したりコントラ化したりしていること。天才的な連中が似通うのはしょうがないのかもわからんが(リルケもトラークルもツェランもヘルダーリンと似たようなもんだよな)。
詩情を否定すると宣言したり、色々試みておられるのだろうが、 先ず上等な文章が書ける人だし、
「Million miles away」にも、「スカンジナビア」にも、宮下さんの作品には詩情がありますよ?
昔の現代詩人みたいなこと言われてもね。個体発生は系統発生を繰り返すものだが、現代詩病なんぞにかかっても痰つぼにはまり込むだけ。
何年か前、詩のボクシングの全国大会のテレビ中継で、端麗に美しくリリカルな詩を読んだ人を「今時抒情詩ですか?」とあざ笑ったのがねじめだったか誰だか忘れたが、糞みたいな詩を書いている現代詩人さんだ。その、ねじめだか誰だかを、俺は殴りつけてやりたい衝動にかられた。
宮下さんには独自のファッショナブルな文章をありのままに、こだわらず、追求して欲しい。

黒船さん「鶏鳴」エリ、エリ、レバクッタカ(エリ エリ サバタクニ)
この前の風の谷のナウシカネタの時も推したが、この人には独自のセンスがある。この人、ネガティブではない人間面白く書けてる数少ない詩人の一人だよ。上手ではないかもしれないけれどもね。ナウシカネタのが次点にかからなかったとき、僕はとてもがっかりした「鳥になった少女」

はじめさん。べたでまだまだだが、良い方向に進んでいるし、書き続けてくれれば上等な文章を書く人になると思う。5月度の海で桃缶を冷やす話など、惜しかったと思う「港にて」。丁寧で緻密な描写、それから、べた であることからの脱出を期待する。

田崎さん「雪の交信」。意味など無くとも、ただ圧倒的に美しければそれで良い。この作品はラストの交信する機械で、J・G・バラードの掌編のような荘厳な美を演出した。
ただ、平仮名の多様に必然性が感じられず、即ち美しくなかったのでこういう結果になったと俺的には思う。こういうのには完璧さが求められると思う。水晶に罅。その罅に味わいなし。 バーミリオン・サンズへの道は険しい。

原口さんの「途中まで」 。端麗で儚い美しさで素晴らしいが、物足りないとも感じた。
もうちょっと上等なものを出して欲しい。書ける人なのに、くだらない現代詩や、
このようなちょろっと書いたようなものばかり出されると頭に来る。

りすさんの「箱」はもう少し親切な方が良いのじゃないかと思った。
両作とも優良作品になったが、りすさんにしては雑かなと思った。

一条さんの「ポエムとyumica」選者の一部でもレス付けている人からも不評だが、何故不評なのかまったく私には理解できない。真に受けるべきナイーブな文章じゃないですよ、「ポエムとyumica」は。

葛西裕也さんきみが生まれるずっと前から、ぼくはその国境線を知っていた
母体回帰願望とか、変執狂じみた文章を物凄い迫力で書いているが、その迫力と、いのちを描いたその手腕を高く評価したい。

辻さんキャベツ畑
俺は罵倒したが、他の選考委員の評価は高かった。次、どんなものを出してくれるかに注目(7月度は既に傑作を出しているもよう)。

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