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発起人バトル

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63 :   みつとみ '16/07/16 20:28:10

ちぎった耳のような暦の頁があり
「もう自分は大丈夫、と
微笑むけれども
通り過ぎる風の縁に
ふれると
沈黙してしまうのは
「まだ 傷がなくなったわけではない
水面(みなも)に和紙がすべり落ち 白い影を浮かべる

(いえ、受けた傷は痕として残ってしまうのです

正しさとは何なのか
少なくても「自分は間違っていないと
いくら訴えても だれも耳をかたむけて
うなずいてはくれないのは
夜中の電車が走り去る音と
風の音が 胸に共鳴するからか

あなたは そんなとき
書斎の机に向かったまま
聞こえないふりをしたり 怒ったり 理屈を言ったり
でも わかるのは
あなたも傷付いているということ
目を合わせないのがその証

だとしたら
(だとしたら どこに この思いをぶつければよいのでしょうか

あなたは過去というけれど
わたくしにとっては 現在とおなじこと

胸の皮を一枚 いえ 暦を一枚破り捨てる
破り捨てた
その一枚の肌に いえ 一枚の紙に
水面にまた和紙がおちる

あなたは そっと 拾い上げ 自分の胸の奥の
わたくしには見えない 深い暗がりに 落としてしまった
白い暦がちいさく舞いながらやみに消えていった
「お別れはいわないのですか
「苦しめ続けるのであれば もう お別れしてください
「わたくしを染めないでください
白い和紙が 幾枚も水面に浮かび 赤紫に染まっていく

(そんなわたくしを あなたは おさえつけ
おさえつけ
(なにを熱く叫んでいるのですか
どうして 
(どうして 出会ってしまうのですか

あなたの声は聞こえない

あなたのこころがわからずに
ちぎった暦があり ちぎった傷があり
ちぎった写し絵があり ちぎった布があり
ちぎった文があり

そして あなたは叫び
(つもる紙が海を覆い尽くしていきました

いつまでも わたくしは あなたを見守りつづけ
(つもる紙が海を覆い尽くしていきました

「あなたはなにをみて どこにいるのですか

わたくしのとなりにあなたがいることがわからない
のに
あなたはずるさ故に眠っている

>> permanent URI: http://bungoku.jp/pbbs/20160716_696_63p

  • :
    前作とテーマも展開もにてますね。双子のような作品。
    前作では生と死の話が絡んでて、ややこしい感じがして入り込めなかったですが、
    この作品は心地よいイメージの連鎖に酔うことができました。
    情感をがっつり織り込むことで、難解な表現に頼らずに作品の強度を保っているように見えます。  ('16/07/17 03:48:49)

  • みつとみ :
    ね様

    お読みいただきありがとうございます。
    わたしのなかでは、わりとシンプルなテーマとスタイルかと思います。
    お気に召していただいたようで、よかったです。  ('16/07/17 08:19:41)

  • アラメルモ :

    うすく、消え入りそうな文字の、和紙を手に瞼をそっと閉じ、綴じれば白線を流すわたしがたたずんで、のような情動から描かれていますね。
    記憶の詰まった歴を川辺に流そうか、そこで歴が問いかけるわけです。
    和紙に浮かび上がる言葉たちが語り手に話しかけてくる。
    (もう~お別れですか、これまであなたが胸にしたためた思い、あなたの遺した傷、歴に挟んだまま、綴られた栞たちから~)
    これはまさに追憶が語らせる詩への思いからですが、ずるいなあ、泣けてきますね。笑。
    女性にもならないとこのようなスタイルで書こうなんて思わないな。
    夏休みに入ればお盆も近くなり、いやあ清涼まさに清涼です。  ('16/07/17 12:20:09 *2)

  • 玄こう :

     はじめまして、みつとみさん。どうぞ、よろしく。

     諸感を付すことが、詩を書かれた方に直ぐ様伝えられるため、たいへん効率がよいですが、テクスト的に読み、たいへん躊躇もいたしますが。上から



    >ちぎった耳のような暦の頁があり

     独白する調子で記述します、まずはこの一行について。みみ、こよみ、こう、という音の連鎖が耳に残る。“ちぎった耳”が千切った和紙を暗喩している。

    >自分は大丈夫、と/微笑むけれども/通り過ぎる風の縁に/ふれると/沈黙してしまうのは/「まだ 傷がなくなったわけではない

     作中の主人公の内面を語らせていますが、『今・ここ』で何を言っているのか、自覚できない、心の迷いや不安が、詩の全体でそうした語りが執拗なまでに続く。思いやる相手を、疑心暗鬼になりながら自己本意に「……、(……、詩全体で執拗なまでに語らせていく。繊細に移り行く葛藤を、恋歌歌謡曲、和歌演歌、日本古典文学などにある、以下スルー。

    >水面(みなも)に和紙がすべり落ち 白い影を浮かべる

     夜か薄闇時の情景を思い浮かべる。“水面”→気圏と水圏の境、“通りすぎる風の縁”→風という空気の流れさへ縁どること。
     そうした境界面やエアポケットのような(エアポケット;そこだけが周囲と違ってあるべきものが無い、あるいは何かが欠落している、といった状況の比喩的表現。;)には何か未知なるものがそこに潜んでいて、新たな創造性がそこから生まれてくる、あるいは行為する機転を与えるものに思う。
     通りすぎる風の縁に話者が沈黙する。水面に白い和紙が滑り落ちる。という情景から。

    >正しさとは何なのか/少なくても「自分は間違っていないと/いくら訴えても だれも耳をかたむけて/うなずいてはくれないのは/夜中の電車が走り去る音と/風の音が 胸に共鳴するからか

     語調が堰をきった調子で少し早口になり始まる。私が正しいと思っても耳をかたむけてくれない、うなずいてくれない、ということへの苛立ちが主人公の心の内にあり、>正しさとは何なのか、その答えにならない応えは、時間や気流に乗り、耳の音に互い共鳴し合うなかで、正しさの消息を断つ、

    中略

    >あなたは過去というけれど/わたくしにとっては 現在とおなじこと

    >胸の皮を一枚 いえ 暦を一枚破り捨てる/破り捨てた/その一枚の肌に いえ 一枚の紙に/水面にまた和紙がおちる

     主人公の独白がどんどん色濃く綴られ、同じ情景を幾度と綴る。まるで千切り絵をする智恵子のような執拗な愛情を語らせているようだ。ちょっと長い

    後半部分

    >あなたのこころがわからずに/ちぎった暦があり ちぎった傷があり/ちぎった写し絵があり ちぎった布があり/ちぎった文があり
    >そして あなたは叫び
    >(つもる紙が海を覆い尽くしていきました

     『ひきちぎった耳のような暦の紙片が(詩編)がある』→『一枚の和紙が水面にうかぶ』→『つもる紙が海を覆いつくす』
     こうした物語を、こうしたスケールの拡がりかたについてを、しかしこの詩の語り手は

    >「あなたはなにをみて どこにいるのですか

     反駁にも似た問いを投げる。海の眠りから寄り戻すかのように、

    >わたくしのとなりにあなたがいることがわからない/のに/あなたはずるさ故に眠っている

     覚醒のわたしと眠るあなたの離反した二人の間、『ずるさ』とはいったいなんだろうか。『なんで?自分だけ』という嫉妬だろうか。


    ____________

     ひととおり読ませてもらいそんな読解をしました。細かくみていくといろいろ勉強になります。後半の持っていきかたはさほど印象に残りずらく私には感じました。まだまだ叙情詩をいろいろ読み分けられないでいるためかと思います。

     前回の『光の表にて』のほうが軽快なステップを踏んでいて心地よかった。まだまだお試し批評段階なのですが、また機会あれば送ります、では。

    ____________  ('16/07/17 15:27:41 *4)

  • みつとみ :
    アラメルモ様

    「うすく、消え入りそうな文字の、和紙を手に瞼をそっと閉じ、綴じれば白線を流す……和紙に浮かび上がる言葉たちが語り手に話しかけてくる。」
    アラメルモさんのこの部分のご感想もまた美しいですね。たしかに女性を話者・主人公にしています。良く受け取っていただいたようで感謝です。  ('16/07/18 08:40:09 *1)

  • みつとみ :
    玄こう様

    「>ちぎった耳のような暦の頁があり/独白する調子で記述します、まずはこの一行について。みみ、こよみ、こう、という音の連鎖が耳に残る。“ちぎった耳”が千切った和紙を暗喩している。」等、丁寧に細かく読み解いていただき、書き手にも参考になる読解ですね。有り難うです。  ('16/07/18 08:48:29)

  • 山田太郎 :
    こんにちわ いつもお世話になっております。

    この詩についてはあまりいうことはないですね。
    もてる男はつらいですね、というしかないのですが、
    もてないわたしからみると作者がうらやましい。

     ちぎった耳のような暦の頁
     通り過ぎる風の縁
     水面(みなも)に和紙がすべり落ち

    こういった修辞のやわらかさが目にとまりました。  ('16/07/20 07:58:28 *2)

  • みつとみ :
    山田様

    こんにちは。「修辞のやわらかさ」とのご指摘ありがとうございます。
    わたしはやわらかな言葉も好きです。
    どちらかというと、若いころはむしろモテなかったですね。
    年を経てくると、生きていることの楽しさがわかってきました。  ('16/07/20 22:42:53)

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