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発起人バトル

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58 : 悪魔の子ども  ケムリ '12/02/10 23:26:55

 悪魔の子どもが生まれたって、言わないで欲しいんだ。カシミールで毛皮を売っている彼の、その柔らかい頬に浮かんだ笑顔みたいな、そういうところで生きていこうよ。僕はスリーポイントシュートもあまり上手くないし、タップダンスも上手に踊れないけど、いつまでも林檎の皮を剥いているみたいな顔をして生きていたいよ。

 ねぇ、そんなに人生に期待をしなくなったんだ。そういうことはおきてしまったんだろうし、おきてしまうだろうことだったんだ。それはそういうことだ、と思うことにした。そうじゃないと、自分も他人も許せなくなっちゃうからさ。いいかい、キー・ポイントはこういうところだ。君の身の上に起きたことはぼくの身の上にも起きるかもしれない。だから、君は独りじゃないよ。

 向き合うべきだ、と思うこともある。例えば、リビアだかどっかその辺りで罪もない市民が撃ち殺されたとか、名前もそんなに有名じゃないアフリカ大陸のどこかで、今日も小さな女の子が飢えて死んだとか。そういうことを悲しむのは、歳を経るとずいぶん簡単になった。だから、僕はムガベさんを責めたとしても、君のことは責めないよ。ハロー・ハロー・聞こえますか。どこまで生きても寂しかったんです。だから、色んなことがそれでいいと思えるようになりました。

 悪魔の子どもが生まれたって、風の噂で聞いてしまったんだ。それはきっと生まれたんだろうと思うし、君の空っぽの子宮の中を吹き抜けているその風には、ぼくだって覚えがある。誰も責められない、それどころかどこにおいていいかもわからないような荷物が、突然背中に乗りかかるんだ。ぼくだってそれくらいのことはわかる。だから、君のことを僕は責めない。出来ることなら、世界中の誰のことも責めたくない。そういうことは、サダムさんに任せておきたい。カダフィさんはきっと、煙草の値上がりを気にしたりはしてないだろうから。少なくとも、ぼくは煙草の値上がりを気にしたり、税金が上がって落ち込んだりするような人のことを責めたりしたくない。

 空っぽの冷蔵庫しかない部屋で生きてるみたいだよね。ドアを開けて、溢れた光の中でさ、何かが何度か羽ばたいたんだ。そういう夜を、みんな越えていくんだ。空気の粒がぶつかりあう音が煩くて、眠れない夜だってある。でも、君は夜を越えたんだろ。悪魔のことは誰かがきっとどうにかしてくれる。大量破壊兵器だって見つからなかったけど、世界は結構なんとかなったじゃないか。君は新聞の一面をみて、ちょっと気の重い月曜日で生きていこう。ぼくもそうするよ。

 君は独りじゃないよ。だから、ぼくも一人にしないで欲しいんだ。だって、ぼくはフリースローが入ったことがないくらいの男の子で、踵の潰れていない靴の一足も持ってない。きっと何かが間違ってたんだ、やるべきことをやらずに過ごしたんだ。寝過ごした日曜日の午前中に、ロケットは発射されてしまった。そんなことはわかってるんだ。悪魔の子どもは生まれてしまった、なにもかもがどうしようもなく掛け違ってしまった。そんな風になるべきじゃなかった、でもそんな風になってしまった。だから、君も独りじゃない。ぼくの好きなタイプの神様は、空気と同じ色をしているから誰にも見えやしない。彼の肌の色はよくわからなくて、でも彼は悲しくて、悲しくて、気がくるってしまったんだ。遊園地のメリーゴーランドで、いつまでも独りくるくる回っている。でも、これだけは大きな声で言わせてくれ。彼は、君のことが、大好きだった。

 
 気持ちよく晴れた昼下がりのことを考えよう。悪魔の子どもが生まれたとき、君はもう独りじゃなくなったから。いいかい、ぼくは牡羊座のあいつは好きじゃないから、まるで正しい人間みたいな顔をして、石を投げるんだ。泣きながら、笑いながら、いつまでも君は白人ではなく、黒人ではなく、ぶぅん、と鳴る冷蔵庫のうなりの中で、君たち、いつまでも空っぽの子宮で、どこまで生きても寂しかったんです。彼はいつまでもくるくる回りながら、それでも君たちのことが好きです。ねぇ、君は夜を越えるんだろう。ロケットは行ってしまった、津波が何もかもさらっていった。でも、ハロー・ハロー・ハロー、聞こえますか、聞こえますね、ぼくも独りじゃない。ハロー。

>> permanent URI: http://bungoku.jp/pbbs/20120210_635_58p

  • 榊蔡 :
    ありがとう。
    ここにある言葉の全てはいま、外部に機能しない自分たちだけに落ち込んだカタルシスのなかにあると思うんですよ。

    外部にはまるで栄養を与えない。
    そんな言葉を突き詰めることって、
    自己陶酔以外にありえない。

    外部に栄養を与えましょう。
    それは自らの存在価値に繋がります。

    ありがとうといったのは、見捨てきれないでその労力を割いた言葉の美しさです。
    ストレートで感じました。  ('12/02/17 00:21:43)

  • lalita :
    血と鉄がない。ペンは卑猥だ。ペンで書かないでくれ!  ('15/04/02 15:29:16)

  • たま :
    この作者はネットの普通の方ですか?
    何か作れてしまいそうな方ですが。  ('16/01/03 03:03:24)

  • 光冨 :
    たまさま。
    ケムリさんは前の文極の代表ですね。最近は顔出ししていないけれど。才能はあるのだから、書くことを続けるべき方でしょうね。  ('16/02/24 23:16:15)

  • 中田満帆 :
    大したテーマもないのに長々と。苦しい醜男だな。  ('16/04/02 23:56:07)

  • アルフ・O :
    腐っても元代表だし筆力があるのはわかるけどさ。これに限らずこの人の作品はなーんか全然好きになれないんだよねー。うざったいと云うよりは「いけ好かない」って表現がいちばんしっくりくるかな。
    そういえば前に評者って名乗ってた時のレスも拾い読みしたけど、筋通ってるなと思いつつ自分の中のどこかで猛烈に拒否反応が出てるの感じたことあったんだわ。なんだろ、ある意味良くも悪くもまっすぐな人なんだろうね。とりあえず今は「もう休んどけ」ってくらいしか云うことがない。  ('16/04/10 08:50:49 *1)

  • 山田太郎 :
    どうしょうもないのひとこと。
    すこし歳をとっておもいきり赤面するとおもう。
    もしそうならないなら、いまもそうだが、
    自己欺瞞のかたまりみたいな金儲け主義の
    そろばんおやじになっているだろう。
    文学に縁のない人間が文学極道の代表って、
    あまりにも無残なギャグではなかろうか。  ('16/07/24 08:21:14 *1)

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