16 : 彼方の先へ 平川綾真智 '06/09/29 20:09:39 [Mail] [URL]
猫が上げた鳴き声は 月の欠けた光に跳ねて
この今日をまた
揺らし続けた
開けた窓から網戸が濾過し
濃い夜が部屋に満ちて来る。
布団にはみ出る 外へと泳いでいく視線
それは声をぶら下げた、欠いた光にただ滑り
私は顔を枕に埋めて はみ出、泳いだ線を折る。
埋めた枕が突いてくる 寝汗のだしだし染み入る臭気
何も起こらずいた今日へと 、二本
吸い込み尽した煙草の残り香、それは汗の嫌悪と混じり
枕の中に 紛れ込む
明日の姿が脳裏へと
。 ポつり
覆い被さった 。
満ちいく濃さに 吸い尽くした今日、
灯した一本に 、 全て焼き焦げ
吐き上げる二本に 、 捻れた煙
揺れる記憶が奥へと去り行き 、 網戸は益々濾していく。
姿を増して来る明日 。 私は爪を鉤曲がり立て
夜へ焦げ付く煙の奥底 、 去り行く日を掻き 滑らせ 、 喘ぐ。
曲がる爪に灰と散り
濃さへと舞い行く 、 溶け入る全て
布団の上から被さるポつりが
紛れずその身をぶら下げる。
今夜は、
朝の来ない夜で良い
臭気が鈍く 、 鼻を突く。
紛れる嫌悪は喘ぎに殴られ
枕を投げ捨て、起き上がる私
くわえた三本目に、吸い込むものはもう 何も無く
灰を抱える闇の中 灯した火が照らす輪郭
確かに満ちいく明日の姿は 爪の鉤に、寄せられて来る。
私へ全てぶら下がる 染み出る寝汗の嫌悪感 網戸の向うに響く、声
欠けた月の光の先に 鳴き上げる猫が跳ねていく
。
彼方の先へ 吐き上げた煙に
三本目はやがて 、 灰を落とし
押し捻りながら拾った枕 突くものが纏う汗に滑って
脳裏を焦がす 目覚める寂しさ
抱き揺れ 、 私は
濃くなる夜と 。 添い寝 する、
>> permanent URI: http://bungoku.jp/pbbs/20060929_174_16p
平川綾真智 :
結構前に書いたものです。
よろしくお願い致します。 ('06/09/29 23:13:33)相田 九龍 :
独立した印象を受ける。僕には関係がない、と。単独では芸術と呼ぶのは難しいと感じる。
しかし秀逸さを感じる。秀逸っていうのは誰にでも書けるようなものではないと思ったから感じたのだと思う。まず、僕にはこの詩は書けない。
いくつかの別の詩(夜について描かれた詩、或いは時間軸で繋がる詩)と繋がると価値が出てくると思う。
なぜか>布団にはみ出る
で少し引っかかった。でも、枕への伏線として必要だったのかもしれない。わからない。しかし想像しにくいのは確かだ。
読後感はいい。次に繋がる詩を読みたいと思わせられた。 ('06/10/04 21:51:18)平川綾真智 :
相田 九龍 さん、
ありがとうございます。
独立した印象を受けるとの言葉が印象的でした。
単独では芸術と呼ぶのは難しいと感じる視点があまり無かったので、繋がる詩との作用は、
なるほど、面白いな、と感じました。
うーん。
布団にはみ出る
が引っ掛かるのは思っていなかったので、この点勉強になります。
この後、秀逸さという言葉と、読後感がいいというのは単純に嬉しかったです。
ありがとうございます。
想像をつつくという点を考えさせられ、勉強になりました。
相田 九龍 さん、ありがとうございました。 ('06/10/05 21:38:09)Toat :
こんばんは。
読み込めてないですが、気になったところを少し。
視点がブレないのはいいとして、移動もしない。(例えば、苺森さんの「うたかた/通勤風景に」は移動している)移動しないのに、これだけ描写を連ねると、詩を書くために描写を"作っている"みたいな印象を受けました。描写が嘘っぽく見えて、引き込む力が弱いと感じます。少なくとも、僕は。
それと、連末の音数が気になりました。1連目、七七。2連目、七五。4連目、七五。読んでいて強過ぎるというか。効果的というより、あざとい、あるいは(少し)古い、と感じて、悪い意味で浮いていると思いました。
描写は独創的で、練りこんでいるのだろうな、と感じさせるものでした。 ('06/10/08 02:43:54 *1)平川綾真智 :
Toatさんありがとうございます。
うーん。
描写は練り込むというよりもそのまま書いていたので
嘘っぽいとの視点が新しく作品を見直せました。
リズムがあざといとの視点も、なかったものなので(言いたい部分を効かせたいだけなので)、新鮮でした。
これからも頑張ります。
私は私の詩が結構好きみたいです。
批評読みながらなんとなく解ってきました。
変えない私って部分はあるんでしょうね。
色々と勉強になりました。
ありがとうございました。 ('06/10/08 10:33:09)コントラ :
お待たせしました。
いい意味で、とらえどころのない作品という気がしました。苦しみだとか、喜びだとか、なんらかの意志だとか、そういうものをダイレクトに持ち込むのではなくて、すべて感覚器官が感じ取るようなレベルに還元されていて、読み手としては、ただ、そんな「感じ」を追体験すると、いったところでしょうか?
湿度の高い夏の夜は、往々にしてこんな感じだったのかな、と思います。その当時はいろいろ考えていても、何年か、何十年か過ぎて、残っていくのは、この作品に描かれている「感じ」なのかもな、と思います。
半睡の自分の「言葉」と、現実の世界が動くスピードには差があって、この点や、マルの感覚を空けたりする書き方は、いつか、僕も使わせてもらいたいです・
では ('06/11/08 11:52:10)平川綾真智 :
コントラさん、ありがとうございます。
五感がもしも感じていただけたら嬉しいです。
私は自閉性をこの作品で指摘されたことがあったんですが、とらえどころがない、というのもそういうことかな、と感じました。
多くの視点を身につけながら、好きな作品で五感を刺激していけたらと思っています。
かなり嬉しい批評でした。
頑張ります。
句読点による狙いと感覚への働きかけの可能性に関して、勉強になりました。
コントラさん、ありがとうございました。 ('06/11/10 20:38:39)アルフ・O :
こっちも賑わって欲しいと淡い願いを抱きつつレス。何でこれにかってーとこれが一番書きやすかったから。
官能の、と云うと語弊があるかもしれないけど、ひとつの書き方として今後の参考にしようと思った。登場人物は結局一人だけなんだけど、散らばった単語の効果か、プラスアルファ0.5人分の、いや0.4〜0.6人?そんな気配が感じられた。
新鮮味のないコメントで恐縮ですが。
スタッフももう此処は見てないのだろうか。気づいてくれるといいけど。 ('15/11/21 22:16:31 *1)
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