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∧ ∨ 12182 : 猫のしっぽ 湯煙 '20/10/28 05:54:44
猫の声
猫の顔
猫の爪
猫の眼
鼻から耳へ
舌から喉へ
次から次へ
流れてくる
タイムライン
ねこ
ネコ
猫は
食べ散らし
舐め上げ
どうにか
はりついた
肉球を
ぽちぽち
生きていく
明日もまた
どうしたって
更けていく
夜でしょう
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20201028_126_12182p
∧ ∨ 12183 : 石畳の道 st '20/10/28 11:05:12
秋色に染まった街の
坂の上の教会へと
つづく道は
きみが教えてくれた
思い出の道
枯葉が舞い落ちて
石畳の道を飾り
きみは枯葉をひろって
とってもきれいね
でもすぐに色あせるのよ
といっていた
色あせる
という言葉が
気になって
きみの横顔を
じっとみていた
あのとき
きみはもう
変わっていたのだろうか
いま枯葉を手にしても
吹き抜ける風のなかに
きみの香りはしない
いつもきみが開けてくれた
教会の扉を開き
ステンドグラスから差し込む
やさしい光のなか
ひとりで手を合わせ
きみの幸せを願いながら
秋の日は暮れてゆく
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20201028_131_12183p
∧ ∨ 12178 : ヤモリ ウトイ '20/10/26 12:16:26
物置部屋にヤモリが出た
逃そうとして捕まえると
手の皮を噛んできた
だれのでもない部屋から
ヤモリを出した
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20201026_086_12178p
∧ ∨ 12174 : 答えのない数式 ローゼ・ノイマン '20/10/26 00:01:00 *2
原初に還る感覚 人や生物、原子から抜け出す瞬間
やがては枯れて消えてしまう花の様に夢を観る
フリージャズの9th不協和音 歪んだ心に共振する
私はきっと暗闇の内(なか)から生まれたと思う
紫色の空を観る 廻る空に思いをはせて
僕は宇宙(せかい)に溶けていく 雲の様に 雨の様に
自戒の様に自分のなかの自分が重荷になる
答えの数式は出ているのに運命はそれを許しはしない
原初に戻るように 自分という概念という枠を抜ける
そこにある感情は愛、それとも産みの苦しみ
Starless Dark まるで胎児の様に空回る
歴史を観て来た 古い書物を紐解いた
星々が隠れみれない街の空 私は相変わらずだけど
誰かが言ったように残った自分が愛しい
運命の数式を解こうと科学者と革命家が動いている
常に神は我々を試そうとするのか、レールをしくのか?
運命論者になる度 私はハデにころんだ
父の記憶、その記憶は曖昧で その血が流れている事を知る
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20201026_072_12174p
∧ ∨ 12176 : エンプティチェア 滝本政博 '20/10/26 02:03:28
テーブルには二脚の椅子があり
その一つに座っている
対面する椅子には誰もいない
何処にいるのだろう
椅子に座る人は
誰かのベッドに入り込んでいたり
ひとりで町を歩いていたりしているのか
椅子に座ってわたしは待つ
何処にいるのだろう
わたしの周りから消えていった人たち
みんな最後には何処かに行ってしまう
あの人 と よべる人が一人いて
今でもわたしを悩ませる
はるか遠い昔に
別れた人だ
何処にいるのだろう
あの人を椅子に座らせて 対面する
言わなければいけない言葉があった
はずだ 遠い昔 あの時
いまでもなかなか言葉になってくれないが
どうか幸せであるようにと願うばかりだ
眠りから覚めても自分が自分であることの不思議
何処にいるのだろう
わたしはずっと愚かなままだ
いつのまにか時は過ぎ
またこの椅子に座っている
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20201026_076_12176p
∧ ∨ 12181 : いんぼう論 JPEG SQUAD '20/10/27 23:09:40
風俗街のコインパーキングに寝転んで
俺は国家になってる
首都はポリエステル製のビザンティウムで
イルミナティは一兵卒
空の傷跡 ケムトレイル
そこでは陰謀論が通貨がわり
バーが上がり 水溜まりに戦車が突っ込む
バグラチオン作戦のはじまりだ
アミメアリを食い くねくね這い 花を手折る
雲と太陽のまねごとばっかしてる男女男男女男女
三輪車に踏まれて俺の膝ンティウムが陥落
全部醒めた
こんなことならば
ジェット機から投げ飛ばされたリュックの中で腐る弁当でも見ときゃよかった
あそこのお店は薄汚いTシャツでいいらしいよ
薄汚ければ薄汚いほどに
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20201027_123_12181p
∧ ∨ 12175 : 還る光 月屋 '20/10/26 00:39:37
幻だった、青い傘。君が北の方へ旅立って行く朝に、天使が踊る夢をみた。靄が、白い靄が、私の視界を染めて、聴力を奪っていく。君を忘れさせてくれ、なんて天使に頼んだりしないけれど、足元に落ちていた美しい羽を一つ握りしめた。
君が私を忘れるのは何年後だろう。桜が散る春には、君が美しい恋をしていることを祈っています。君の歌声が聴こえる、幻のような朝は、ただ君の目を思い出している。充電器のコードが跳ねて、勢いよく壁をならした。
君の目はきっと今頃、この美しい朝日を見ているのでしょう。花が咲いていることに気づかないままで。今、去っていった一つの雲について、私はそれが月になると信じていた。雀が囀るね。鮮やかな風が君の頬をなぞる。
いつか君が泣きじゃくった記憶を、忘れることができない。あれほど酷いことが君にずっとおきないでほしい。君を守っていたかったから、ここからいなくなるのを知った日に星に祈りをこめた。私を忘れた君に会えるのなら、ただの知り合いでいたい。傘が燃えていくとしても。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20201026_073_12175p
∧ ∨ 12177 : 死んでからにしてくれ yasu.na '20/10/26 07:25:05
今や僕は誰かが描いてくれた肖像画のよう
恩師や恋人を裏切ったことの思い出に苦しみ
身代も潰れて身動きできない
トラックが通ると
道路に面した家が揺れて
図々しい肖像画も微かに揺れるが
それは心の揺れではない
若さゆえの不養生が懐かしい
心の底から揺れることができたのは昔のこと
今では後ろへ遠く離れてゆくばかりの暦を瞥見しては
億劫そうに小さな溜め息を吐く
過ぎたことはどうしても静止している
肖像画は臭くて
小さい蝶か羽虫か分からないが
よく飛んでくる
それらは僕の身体の中の
心当たりがある赤い部品のように
確かに脈動している
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20201026_081_12177p
∧ ∨ 12132 : 森へと イロキセイゴ '20/09/30 23:37:31
カンガルーとコアラが死ぬ
ムエタイでは勝てないから
笛を当てて笛を当てると
カ背の高い
屈強な男も倒した
野蝶が庭を舞い森へといざなう
騎士階級を憎んで
森で月を見ながら
マハに衣服を着せた
マハは少し微笑んだ
笛は投げつけて当てるものではなくて
吹いて奏でるものだと言う事を鳥が
間接的に教えてくれる
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20200930_269_12132p
∧ ∨ 12170 : 履歴書 滝本政博 '20/10/21 21:53:32 *2
生まれ そして 死にました
子供であり父であり祖父でした
馬に乗ってとぼとぼと歩きました
汽笛を鳴らし 出発しました
乾きと空腹のなかにいました
熱風のなかにいました
戦禍に巻き込まれてゆきました
銃を担ぎどこまでも歩きました
ほら 空はこんなに薄っぺらい蝶の翅
開閉し 反転する影絵だね
鳥影は擦り切れた音盤の中を飛びました
歳月もぐるぐる回って過ぎて行きました
収穫の秋に子供が生まれました
子供は春には走りまわりました
子供は犬を飼い
何処に行くにも一緒に連れまわしました
生き そして 死にました
あの人を愛しました
あの人にあうときは なにごともうわの空
駆け出して 胸に飛び込みました
あの人は毛並みにそって撫でてくれた
ひっくり返ってみる
でんぐり返ってみる
あの人の胸の中で
ほとんど眠れませんでした
病院のベッドにいました
病院を抜け出して映画を観にゆきました
サーフィンの映画でした
スクリーンに海が映りました
盛り上がる波を乗りこなしました
ああ なんという美しさでしょう
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20201021_964_12170p
∧ ∨ 12165 : わたしはゐない 鷹枕可 '20/10/19 21:23:47
喉が渇き、その手を差し出す、しかしだれに、その手を差し出せというのか、
愛を唄ったかのような歌手達の陶酔に、まさか精製糖の微結晶に、さもあらず、
猟銃を選る詩人達、
猟銃を選る詩人達、
喧噪にしか詩人達は静物を溶解できないだろう、
それだからこそ比喩という帆を、舵を切る様に、散りばめなくては、壊れた眼の花束を、凝らしみつめなくては、
入口はある、しかし出口はない、坂道を堰き止める果物の、そして血肉の、骨の、最期が訪れるなどだれもが夢にも思わなかった、
腐敗は歴史の、人間どもの目抜き通りからやってくる、世界を逃れなくては、扉がない、裂傷がない、果てへと発っていった、鉄道列車がもう、ない、
逃げ遅れたのだと気づいた、だが時計は容赦無く長針を、その肌へと刻み止まない、誰もが何処かに行けるものと思っていた、愚かにも、誰もが、
晩年の証明写真、ただ一つの涯へ投げられた検死室、精神病院階下より、もはや終ってしまった私小説の石の花がほころび、心臓へ至るすべての道は絶たれていった、
だれが知るだろう、英字に飲まれていった人々を、唇のかみそりを、不健康な癒着の関わりにかつて慈しみの充ち満ちていた病窓を、
だれもが自分自身を探せないだろう、あらゆる蔑称の絶え間ない鄙びた地方国家、実象は現実生活のただならぬ呵責に病みやつれ、その貌はあたらしい墓石の様になめらかであり、
傲岸であり、そして表象の、粘土、ぬかるみの薄ら寒さをたたえ、アポロンへのきだはしに落ち窪んでいるのだ、
だが人々を、侵犯するものたちが皆、貝殻を聴く薪の断面に、創世記という書かれてはならなかった後悔に、
弔鐘を打ち揺らし、そして人々を見送ったかの一日に、
諸君は覚めていることすらも叶わなかったのだ、峰には鷲の、繊毛にはペストの鼠達の歴史をかかげよ、個室には鍵をなくした螺条殻が渦巻く、
その絹の壁には埋められた塑像の肉が馨るだろう、理由もなく目は裂かれ、理由もなく声は塞がれ、そして私達にはもどらぬ未来が、彼等という私達が、
俟つだろう、どうか願わくばその後刻へ、
人生どもの応接間に、一脚の黒い椅子を築いてくれ、
それが訣別のかわりだ、
それが訣別のかわりだ、
舵を、
鐘楼に
旧る
球体鏡へ、
花を鏤めて紙の少年を新しい明日などへ誘うな
憤懣の海――地下階段
羚羊と移相――比喩掌紋のあざとくも有れ
釘の痕や風洞――絶対‐無の光芒に驕り
醜い蝶の腹腔――閂を已むなく、
潮時計――豚とし豚なせるものの挨拶に翻し
肉親に薫るもの、日食
一対 恒星の
雌雄
嘗て楕円に
偏執を――いもうとの飽くるなき真鍮花‐市民、磨鏡を紛うなき血染史に漬し
螺旋する もの
ナルシス――鏡像の静物
人体、終世を孤絶する花冠に敢えて
崩壊しゆく
城の絵葉書を宵夜爾後、松葉杖に健忘し
土地の砂時計、
正負の幾何学 意志潤うを堰止め
いろくづ、うつそうそのみにしもふりなだるらむと
曰 生膚を剥し
地球史に一刷の定款、を
企まずしてわかたれた途よ
人は人を知らずして触れ合いこともなげにそのゆびをすら離し
帰らぬ帰途を振りかえり已まない
だが敢て
兆すものがあるならば
撃て、と命じる意志をこそ撃て
ピアニストよ
玻璃の様に逞しき
空は梁
ひばりひばりと鳴くな故国を
不慮の偶然
憎しみもいやましにいてつきやまねばこそ
賤しき自が
蠅のその寵児たるを知りそむるを
_
醜い蛆よ
かばねのはてよりつきぬちもひもとかれ
印章‐史
結紮性紫斑、
そのかみがみの死府を差ししめしては
雲母などとみまごうを
鋳られたる潮はつかのはて且て曝されたる天主そののちの血飲児をうるうとも
十字格子を工廠は混めて
水銀蒸留法
塔
クロロフィル置換壜にしも地球燈を鋳れば
実にも實る虚血こそあれ
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>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20201019_931_12165p
∧ ∨ 12143 : 詩の日めくり 二〇一九年一月一日─三十一日 田中宏輔 '20/10/05 00:08:00
二〇一九年一月一日 「ウルトラQ」
元旦からひとりぼっち。ウルトラQのDVDを見てすごす。やっぱり、ウルトラQの出来はすばらしい。ちくわを肴に、コンビニで買ったハイボールも2杯のんで、いい感じ。ウルトラQ、涙が出るくらい、いい出来だ。
二〇一九年一月二日 「調子ぶっこいてバビロン」
そういえば
きょう、仕事場で
このあいだの女性教員ね
そのひとに
「田中さんて
なんで、そんなに余裕のある顔してるの
つぎの仕事を探さなきゃならないっていうのに。」
なんて言われました。
べつに余裕のある顔してるんじゃなくって
そういう顔つきなのっていうの。
ああ
調子ぶっこいてバビロン
きょう
20数年ぶりにあったひとがいてね
そのひとに
さそわれちゃった、笑
ぼくの数少ない年上のひとでね
相変わらずステキでした
二〇一九年一月三日 「卵予報」
きょうは、あさからずっとゆで卵でしたが
明日も午前中は固めのゆで卵でしょう。
午後からは半熟のゆで卵になるでしょう。
明後日は一日じゅう、スクランブルエッグでしょう。
明々後日は目玉焼きでしょう。
来週前半は調理卵がつづくと思われます。
来週の終わり頃にようやく生卵でしょう。
でも年内は、ヒヨコになる予定はありません。
では、つぎにイクラ予報です。
二〇一九年一月四日 「卵」
あなたが見つめているその卵は
あなたによって見つめられるのがはじめてではない
あなたにその卵を見つめていた記憶がないのは
それは
あなたがその卵を見つめている前と後で
まったく違う人間になったからである
川にはさまざまなものが流れる
さまざまなものがとどまり変化する
川もまた姿を変え、形を変えていく
その卵が
以前のあなたを
いまのあなたに作り変えたのである
あなたが見つめているその卵は
あなたによって見つめられるのがはじめてではない
あなたにその卵を見つめていた記憶がないだけである
二〇一九年一月五日 「リサ・タトル」
イギリスSF傑作選『アザー・エデン』さいごに収録されたリサ・タトルの「きず」を読んで寝よう。ギャリー・キルワースの掌篇3篇は笑った。質の高いアンソロジーだった。むかしはじめて読んだときも、アンソロジーとして、質が高いと思ったのだけれど。
リサ・タトルの「きず」を読み終えた。おもしろかったという記憶通り、おもしろい作品だった。内容は憶えていなかったのだけれど。きょうから、イアン・マクドナルドの『火星夜想曲』を読む。まあ、きょうは、後書きと冒頭の作品の一部で眠りにつくことになるのだろうけれど。楽しみだ。これは初読だ。
二〇一九年一月六日 「創卵記」
神は鳥や獣や魚たちの卵をつくった
神は人間の卵をつくった
卵は自分だけが番(つがい)でないのに
さびしい思いがした
そこで、神は卵を眠らせて
卵の殻の一部から
もう一つの卵をつくった
卵は目をさまして隣の卵を見てこう言った
「おお、これこそ卵の殻の殻
白身もあれば黄身もある
わたしから取ったものからつくったのだから
そら、わたしに似てるだろうさ」
それで、卵はみんな卵となったのである
二〇一九年一月七日 「朗読会の準備」
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