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12136 : ワークス  自由美学 '20/10/01 07:13:26

親父のメッシュキャップには
きまって球団のロゴ刺繍か
「漁協組合」って文字が入っている
野球も観なけりゃ漁師でもない
なんでもないただの親父なのに
あのキャップの主張がなんなのかは
いまだによくわからない

いくつもの鋏ケースを腰からぶら下げ
親父は今日も庭いじり
公道に自慢のワークスをめいっぱい広げては
日がな一日チョキチョキやっている
そんな親父の横顔が
時々JISマークに見えてしかたない

庭の片隅でひん曲がっている親父を
せむしの懸崖五葉松が笑う
サビた一斗缶から垂れ下がる枝は
バカになったマジックテープのようだ
安全靴がゆらりと転がって
苔のうえにあっさり投げ出される親父
まばゆい日差しは
ありとあらゆる主張をひっぺがしていく

野良猫はすぐにのりしろをはみ出したがる
我が家の玄関マットにどっかり乗っかって
目には縦長の切り込みを入れ
胴は山折り
しっぽは谷折り
おでこをお腹にのりづけして
やがてはマットの毛になる

テンプレートでくりぬかれた宿命
そいつを俺にしっかりと貼っつける
瓶詰めにしたそれらを
会社と役所に
そして実家に送付したら完成だ
紙パッキンできっちりホールドされながら
俺は社会になる
なんでもないただの親父になるために

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12162 : 絵夢  玄こう '20/10/14 21:17:10


朝に夕、夢うつつが醒め
控えめな気持ちで
今日見た夢のこと
わたしを見つけたこと
それに昨日、
財布を無くしたこと
何度も振り返り
手足をぶらぶらさせて
人さし指の先からのびる道
視界の奥に見え隠れする穴
呼吸する、足裏が
↑↓ 開いたり、
閉じたり、開いたり、している
それに今日、
また同じ夢をみた
朝(あした)も
また同じ夢をみる
絵・詠・花歌しながら
落ち葉をカラコロ鳴らして
同じ夢が何度も
わたしを、見つけた

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12154 : ランドスケープ  GROWW '20/10/09 20:18:43

河の水底を擦る黒い藻、黒い魚
水面に飛び込むアマサギ
暗い夜のひとときに
目覚めと痛みがひとつになったのを感じる
風は高木の枝を鳴らし
洞窟の天井を磨り減らす
そのあいだも塔はガスの灯りとともに
北極星へと伸びつづけ
頂の工匠たちは鐘を鋳出し、壊し、それを繰り返している
枯れ枝を敷いた寝床からは、そう見える

がらくたみたいな葦舟で
向こう側の河岸へと渡り
紫の朝靄や
木の葉の露を売る市を通りすぎ
緑に濁る沼の、きらめく光の網に
囚われているアオサギの死骸を
願いをこめて両手で掬う
山を焼く音の後に、
あらゆる真水が遠のいて、
見える限りの沃野が海と砂漠に覆われるように、と
儚い願いは泥炭のうえに積もり
石灰岩の露頭が照り返す静謐に
ありふれた和声を見いだしてしまう
そうして世界は奥行きと色彩のない紙版画になる
秋の空に名詞と動詞を撒き散らしては

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12155 : (平屋に住んでいると)  田中恭平 '20/10/10 17:02:44

 
平屋に住んでいると
背が縮みます
秋雨が身に染みる、とは
このことなのですね

安心を得る為に骨を捨てました、
しかし法悦には満足しております
ぜんしん、が脱臼して
髪は煙草の灰のように白いです

満ち欠け、と
いえば月 けして年齢によりませんが
一度、礼に向かいますので
そのときに その不思議なお尻をお見せください  敬具


味のしないガムのような念仏、
法悦はもう無い、くすりの服用によるさっかくか
副作用は日々強くなる
さいきん 嚥下ができなくなった

ペヤング ペヤング ペヤング 週五
胃袋から全身へペヤングソース焼きそばが送られ
わたしはもう人間ではない
かといってダイナマイトにはなれない


平屋に住んでいると
背が縮みます
秋雨が身に染みる、とは
このことなのですね

また 手紙を書き直している。自然法爾に、放流、

  

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12164 : LEMON BEACH  GROWW '20/10/17 11:54:52

展望台の銀の手すりに、街中の花々を円筒形に閉じ込める。冷気と霧のなかに点在する欠陥高層集合住宅を互いに繋ぐ、距離という距離を冬の空に張る弦に作りかえる。ラブホテルと高架橋が重なって見える横断歩道の真ん中に立ち止まり、遠景の山脈に在るはずのない氷河を見つけ出す。老いも若きも集団で死にゆく天体へとジョギングするついでに、電波塔のふもとで風を選び取る。そうすれば百貨店のアドバルーンは焼け跡の立木のように動かず、時の流れもそれに倣うだろうから。結果の総和として凪ぐ海岸、レモン・ビーチ(skrt skrt)

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12124 : 19歳  小西 '20/09/24 01:13:31

僕の体のどこかに東京と同じ大きさの穴が開いている気がする

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12159 : 凡庸と鬱が飽和するミッド・ナイトに俺は  澤々 '20/10/13 17:48:22  [Mail]

魔法使いとなった夢の中でさえ
消費税を払うような所業を忘却したくて
いつもより深く舌を入れる
節足動物と化した指が柔肌に蠢いて
秋なのに熱帯夜のワンルームで
地獄のような天国のような暗渠の中を
盲目の二人は殺しあうように愛し合う
生首が踊るベランダをバックに
開けっ放しのトマトの缶詰が震える
意思を司るパドルが濁流に飲まれて
脳を食われたバッタが狂気飛行の電波塔
受信せよ! 菱形の惑星から飛来する者
手のひらに「ゐ」の焼印の入った蛙の子
心肺停止のアラームと産婦人科の産声が
飽和するガイアは生きたまま凍結されて
若狭のラブホテルの受付に飾られているから
コンドームの中で踊るシルエットクイズに
答えなくても別にいいよ
友達の友達の友達の友達のバイト先の先輩の大学の後輩の妹の部活の顧問の前勤めてた高校のとある生徒の親のいとこの二番目の子どもが最近性的暴行の罪で捕まった慶応大の元ミスターだったと知ってもカラオケオールに行かない理由にはならないし録画したドラマが映ってないとちゃんとキレるし俺はお前が嫌いです@hayakushindekure.svg

「あっ、イク…!」



暑くもなく寒くもない秋夜の風俗街を
縦横無尽に走り抜けるのがタクシーなら
路肩に停車してるのもタクシーで
今まさに俺が乗り込むのもタクシーだ
後部座席のドアが開いて
誘われるがままそれに乗り込む
どこまで? と問われる前に
月まで、と答えて
え? とタクシーの運ちゃんがバックミラー越しに俺を怪訝な目つきで見ている気がする
俺はもう一度「月まで」と小さく呟いた後
「宜野湾市我如古」と返事した
がなるエンジン音が月に溶けて
凡庸な夜は凡庸に暮れゆく

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12127 : 横目でチェックインのギルマン・ハウス  菊西夕座 '20/09/28 23:30:13


読みすてるまえにあと三行だけまってくれてという肺炎のねずみ
正面のいきづまった世界にナイフでぬけ穴をこじ開けているときでさえ、
かたわらの楡の街路樹は灰色にふるえ、葉をこぼしつづけてやせほそる
青じろい月あかりは手元までとどかず、ばらまかれた落ち葉とかすれあう
三行だけ書いてまってみれば、足元にぬぎすてられたねずみの着ぐるみ

横目で見やれば、左手の暗がりのおくにはいつだって祭囃子がさんざめき、
右手の隘路のおくには、安ホテルのギルマン・ハウスが建っている
どんな地図からもこぼれおちて、横目でしかたずねられない宿泊所
きばんだ石造りの5階建てが湖上にうかぶ朝靄のようにゆらめき
くろい雨がおちた原爆ドームとおなじ円屋根に、幌の王冠をいただいている

扉のかわりに長身のドアマンがたって口をしっかりむすんでいるが
口蓋のうらとうえの歯のあいだに舌をおしあて、チンパンジー面をしている
なにか言いたげに口蓋をもりあげていてもニンゲンの言葉がでてこない
言えるものなら言ってみろと顎をつきだしてやれば目をひんむくばかり
小さな着ぐるみの皮を放り投げると、あとを追いかけて入口をあけてくれた

受けつけのカウンターには、青あざがのこる皮膚を瓶詰にしてならべている
生ける肉体からきりはなされてなおも、色あせないあざが悲哀を物語る
フロントマンから428号室の瓶詰を手わたされてきしむ階段をあがる
にぶい電灯のひかりに瓶をかざすと、あざからほこりのように気泡がうかぶ
まだなにか言いたそうなドアマンに瓶をかえし、しめった着ぐるみの部屋にはいる

ギルマン・ハウスが泊めている客たちは夜空にはみえない星々だった
部屋のなかでは小さくなって正体のつかめない色で発光している
窓から目をのぞかせると、正面のほうきでたたかれ隅へとおいやられる
ちっぽけなギルマン・マウスというレッテルを貼られて瓶にとじこめられても
横目ですぐに逃げだし、闇にかざ穴をあけて祭囃子の管楽にひげを供す

ギルマン・ハウスでひげをつま弾けば、階下から異形の雲がたちのぼり、
いびつなからだをもった肉の塊となって着ぐるみをもとめ殺到する
星々はあわてふためいてジッパーをおろし、あと七行もちこたえろとドアマンに言う
正面のいきづまった世界にぶちあたり青あざを抱えこんでいるときでさえ、
かたわらの夢の街路樹はうたいつづけ、一歩もうごくことなく悲哀をぬぎすてる

「ここではないどこか」を遠くへもとめずとも、横目でさぐれば穴をとおって隣にいける
シニヤしません、そういってフロントマンから瓶詰を手わたされてきしむ階段をあがる
にぶい電灯のひかりに瓶をかざすと、ぎっしり詰まった肉塊が鬱血している
口をつぐむドアマンに瓶をわたすと、蓋をあけて「そら」、いちめんに彗星をちりばめた
夜空にすぐ目をはしらせても、視界のはしにしか尾をとらえることはできなかった

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12163 : スイミングスクール  小西 '20/10/16 23:37:34

俺は体も硬くて泳ぐのが下手だった
エミリは上手かったよな
スイミングスクールの帰りによくふざけて君は俺のパーカーのフードに物を入れて、
俺は背中に手が届かないからそれを見て笑ってたな
俺もやり返したりして楽しかったよ
なあエミリ、
君が最後に俺のフードに入れた手紙に最近やっと手が届いたよ

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20201016_779_12163p


12128 : しずむ  土曜日の午後 '20/09/30 00:01:18

あなたの頬のそのくぼみに

しずむ 
     しずむ 
           しずむ

あなたの褐色光るその肉感の脚に

しずむ 
     しずむ 
           しずむ

こころは鳴き、頭は雲がかかる

しずめど、しずめど、計り知れない奥行きに

落ちる 
     落ちる 
           落ちる

体は反転し、止まる場所もない

落ちて 
     落ちて 
           落ちて

落ち着く底はどこにもない

私を拾い上げて
        
              
              私を照らして
        
        私を温めて

私は沈みます。

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20200930_252_12128p


12158 : 弔い  ネン '20/10/13 16:20:37

改めた所で
夜は生き返らないと
分かってるけど
思い出の中に蘇る夢を
抱き締めては
永遠について考えた

悲しみが打ち寄せて
涙が止まらない
悼んでいる
故知らず決別した
私と羊達との弔いを
世界は肯定した

死に思いを馳せた
先人の道のり
人差し指で100光年
辿って笑うから
子を捨てる底無し沼

お腹が空かなくなった
むやみに強い愛を
再びの旅路と迎えて
荒天をことほぐ神様の歌
また生きてしまう
新しい昨日の繰り返し

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20201013_693_12158p


12160 : せんたんが欠けていく  アンダンテ '20/10/14 11:59:40

かなしいほど
お天気なのは
ユーミンだけ
じゃないから
かんじょうは
ちりぢりにも
一線をこえる
よそものたち

おらだけれど
おらでない
おらでないけれど
おまえでもない
あしたの午後はあるのだけれど
おらはいない
あたいをゆらして
あしたにどんどんやせてくる

方法よ

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20201014_709_12160p

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- ealis 3.0.10 + BUNGAKU GOKUDOU -