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発起人バトル

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21 : オマージュとしての習作 「とり」  ケムリ '07/01/19 01:12:30 *2

今、そらへと開かれたろっこつ
前触れもない口付けのように、ふりつもる羽根
のう、の中心の路地裏は灯りを消して
微かにしみる電線の揺れを残して、飛び立っていく

 姿をけしていったもののために。格子の向こうには未だ朝は
訪れず、わたしは古い靴を履いてさかみちを登っていく。すべ
てのでんせん、がひそやかに揺れて、羽ばたきの音色からこぼ
れたものだけが、ぴりぴり、と耳たぶを引っ張る。空がこれほ
ど区切られていることなんて知らなかった。とり、とりは電線
のふるえ、だけを残して。

飛び去ったあとの
せきりょう、と名づけたくて仕方ないこと
いみ、の中で飛び回ること
きおく、と名づけられたそれを、いま、のくびきから外すこと
振り返るとき、もう手を繋げないと気づくこと
さかみち、は空へとつづくしかなく、けしてそらには続かないこと
よるとひるを糾って、わたしはとりを追う

 わたしはかつて、とよぶべき時間もこれまで、とよぶべき時
間も、ひとしくこのさかみちに立って、ふるい靴をずっと履き
替えずに、電線で区切られた空をにらみながら。いつまで、に
は常にふるえだけが残り、わたしはただ歩いていく。ろっこつ
を開くように、わたしは歩いていく。とり、とりはふるえだけ
を残して。言葉にすればかすみ始めるような、遠い日のうたげ
の残り香を嗅ぐように、とり。とりはふるえだけを残して

窓を開ける頃に、眠りにつく子ども達がいるよ
旧い時代のおり、のように朽ち始めた格子を
遮るもののない朝日のなかに、とり、とりの影がよぎる
ふるえの中に伸びたさかみちの、先に

ふるえの中に静かに浮かんだおり、のようなきおく。
飛び立っていったとり、の軌跡のこと。
みしらぬとり、としか語れないこと。
ふるえのなか、死んでいくきおくを反芻すること
ただ、まえぶれもなく
羽根だけを洗う

いま、さかみちに立って
開かれたわたしのろっこつに
とりよ
とりよ
とり、としか語れないものよ
静かに
舞い降りてくれよ

>> permanent URI: http://bungoku.jp/pbbs/20070119_211_21p

  • ケムリ :
    流離いジロウ氏の「にじゅう年の熱帯の鳥」オマージュ。  ('07/01/19 01:21:29)

  • 流離いジロウ :
    私のような新参者が、どの程度くつろいで意見を言っていいものか、当惑しています。が、まずは感想から申し上げます。あの詩を書いていたときに、確かに私の脳裏に去来したイマージュの水子に、再会してしまった不気味さ、というのが、第一印象でしょうか。それはあの瞬間には選択されず、確かに、殺すか、表現の背後に沈めてしまったものであるはずなのに、再び、目の前にあらわれ、脳裏に蘇ってきた異物感。。
    ケムリさんの読みが鋭いのか、ケムリさんの表現(この習作というか、作品です)に力があるのか、思い切って言ってしまうと私の詩にたまたま力があったのか、たまたまケムリさんの資質と私のそれとが部分的に似ているのか、これらのうちの二つか一つが、該当するのだろうと思いますが、こういうのは初めての経験です。掲示板を私物化するなと、誰かに怒鳴られそうなので、びくびくしています。私はこういう掲示板を管理、運営していく苦労も、意気込みも、志も、何より価値を、私なりに理解している積りですし、本当に敬意を持っていますので。

    とにかく、光栄です。有難うございます。  ('07/01/21 01:11:33 *1)

  • ケムリ :
    勝手な宿題を出してしまってすいません。いや、なんと言ったらいいんだろう。このモチーフは、是非ぼくも書きたかったんです。レスの内容からして、「とり」というモチーフのいちばん重要な場所は外してなかったようで、ほっとしてます。
    >思い切って言ってしまうと私の詩に力があったのか、たまたまケムリさんの資質と私のそれとが部分的に似ているのか
    この両方かな、という気がします。だから、勿論あの作品は良い作品だったけれど、ぼくがオマージュを書きたかった理由のもう半分は親和性にあったような。結局、通底するものが似てた気がするんですよ。

    「技術」については、ぼくが初めて文学極道を訪れた時、全く同じことを考えていました。「無題」って詩を投稿したときに「推敲はしたくない」って叫んでましたし(笑)そんなぼくが、いまや「技術第一主義」を標榜するんですから、面白いものです。でも、技術っていうのは、まず「最低限これだけ」っていう、とにかく日本語としてダメって作品もたくさんあるから、言葉をある程度上手に使いこなせること。そして、その先は独自性も技術の範疇に包まれる気がします。表現を工夫すること自体が既に技術なわけですし。なにしろ、ある程度書けている人には何をいわんや、です。伝達には技術が必要であるけれど、それは「伝えるべきこと」をどうやって伝えるか、の二次的なものである気がします。大事だけど、それだけじゃない、でも大事。くらいのところでしょうかね、ぼくとしては。「小声で囁く」とか「大声で叫ぶ」とかそういう程度のものだけど、狭い部屋の中で大声で叫んだら煩いだけだよ、みたいな。

    >高いレベルの抽象化と、言葉と表裏一体での結像化
    そう。これなんです。これが出来ていないと、良い作品にはなりにくい。文学極道でもキーポイントになり得る概念だと思います。(全く違う方向性で切り込んでくる人もいますけれど)勿論、この先にも工夫の余地はありますけれど、これがないと、ぼくの言葉で言えば読み手に「灯らない」。羨ましがられても、この作品はオマージュに過ぎないわけで、原作は十分それが出来ていましたよ。むしろ、ぼくが羨ましがりたいくらいです。ついでに言うなら、ぼくはこれこそが『技術」だとも思います。

    身内褒めですけれど。文学極道は、読む価値のある作品が次々出て来る場です。そりゃあ、争いは耐えないし内ゲバもしょっちゅうだけど、力のある場ってのはそういうもんじゃないですかね。だから、思いっきり寛いで遊んで行ってください。出来が悪ければ叩かれるし、良ければ評価されます。評価に対して真摯であることだけが参加条件だと思ってますので。「にじゅう年の熱帯の鳥」については絶賛しましたけれど、次が酷ければ当然ぼくは罵倒します。でも、それも楽しんで行って欲しいと思ってます。これは誰もに言いたいことですけれど。罵倒してくれる読み手って、考えようによっては凄く親切な読者ですから。罵倒を正面から受けて、思いっきり痛い思いが出来るのもここの良さで、罵倒を受け流してる人は勿体無いなぁ・・・とか思うくらいに。

    最後に。
    一条さんって書き手の「黒い豆」とか「鴎」って作品が凄まじいので、是非一読をお勧めします。既に断筆してしまった書き手ですが、ぼくはこの人は本当に凄いと思う。  ('07/01/21 16:09:51)

  • 流離いジロウ :
    ケムリさん、本当に有難う。有難うございます。  ('07/01/21 19:06:59 *1)

  • :
    この間は本当に申し訳ありませんでした。

    シを観てそして聴いて
    全身のナニかが吐き出ました

    シとはこんなにも…もぅ言葉にはあてはまりません
    なんと言えば伝わるでしょうか…この感情は
    私の頭のなかに語呂がないのか出てこないのです

    大変失礼な事をして申し訳ありませんでした

    魂を削り肉を削り
    内いずるものに生の躍動を与えられる…
    そんなものに私はなっていきたいと思います。

    よろしくお願いいたします  ('07/02/09 12:10:52)

  • かんな :
    とてもやさしい歌ですね。  ('07/03/03 01:55:12)

  • ガリレイ :

    なんというか、うまいですね。他の方とはレベルが違う気がします。
    極道の方たちは僕にとって詩の解釈が難しくてなかなかコメントできなかったのですが、発起人の方々はやっぱりすごい。とても言葉を大切に扱っている感じです。
    とりを、鳥としてイメージしながら人間の巣立ちのようなイメージにも繋がってとってもスムーズに読めました。
    電線のふるえって言葉が妙にリアルです。
    言葉が見せるイメージってのがどの行にもあって凄すぎです。
    ケムリさんの極道での辛口な批評にも納得です。凄すぎです。  ('07/04/20 03:36:49)

  • 田崎 :
    どうでしょうね、これ。こんばんは、ケムリさん。

    >今、そらへと開かれたろっこつ
    >前触れもない口付けのように、ふりつもる羽根
    >のう、の中心の路地裏は灯りを消して

    >姿をけしていったもののために。

    >すべてのでんせん、がひそやかに揺れて、羽ばたきの音色からこぼれたものだけが、

    >とり、とりは電線のふるえ、だけを残して。

    >せきりょう、と名づけたくて仕方ないこと
    >いみ、の中で飛び回ること
    >きおく、と名づけられたそれを、いま、のくびきから外すこと
    >振り返るとき、もう手を繋げないと気づくこと
    >さかみち、は空へとつづくしかなく、けしてそらには続かないこと

    >とり、とりはふるえだけを残して。言葉にすればかすみ始めるような、遠い日のうたげの残り香を嗅ぐように、とり。とりはふるえだけを残して

    >窓を開ける頃に、眠りにつく子ども達がいるよ
    >旧い時代のおり、のように朽ち始めた格子を
    >遮るもののない朝日のなかに、とり、とりの影がよぎる
    >ふるえの中に伸びたさかみちの、先に

    >ふるえの中に静かに浮かんだおり、のようなきおく。
    >飛び立っていったとり、の軌跡のこと。
    >みしらぬとり、としか語れないこと。

    >舞い降りてくれよ

    と個人的に引っ掛かった箇所を漏れなく挙げてみましたが。
    まぁ美意識の違いっていうのは確かにあるんでしょうけれど。

    まずひらがなに対する感性、いまいち、という感じがします。
    もちろん、これはオマージュということですから、慣れないことをしてらっしゃるんでしょうけれど、浮きまくってるんじゃないでしょうか。これでは折角込めたらしい情感も、書き手の大袈裟なポーズ(表記)にひたすら我に返ってしまい、空回っているように思います。
    大袈裟なポーズ、っていうのはもちろんひらがなの遣い方だけではなく、
    「ために。」「だけを残して。」「と名づけたくて仕方ないこと」「いるよ」「、先に」「くれよ」
    こういうどこか自己陶酔的で、前時代的で臭い言い回しからも感じるんですけれど。
    好みの問題でしょうか。
    それに読点による区切りのポイントも、個人的な意見を言わせていただければ、間違ってるような気がします。特に顕著なのは、この辺の、
    「せきりょう、と」「いみ、の中で」「きおく、と」
    響かせたい(らしい)語を読点で体言止め的に浮遊させる、という、「あまりに単純じゃないですか?」とか言いたくなるやり方ですけれど(というかたぶんやり方の問題というより、そのやり方を生かせていない全体的な問題だという気はするのですが)。どうでしょうね。僕は寒かったですが。

    なんか上手く言えてるかわからないですが。
    いつも感じるのは、ケムリさんの文体や表現が纏っている雰囲気って、どこか借り物臭いというか、ある種の定型としてすでに周知されている叙情、哀愁の雰囲気を、そのまま拠り所にしている印象がかなり強いです。「歌謡曲だ」と言われて、それでいい、というようなことも以前仰っていたので、いや、まぁ、それでもいいのかもしれませんけれど(そして評価する方もいるようですけれど)、こんなにどこかで見たような叙情、哀愁って、そんなに良いものかなぁと、僕は不思議に思ったりはします。  ('07/05/03 01:50:10 *1)

  • ケムリ :
    「借り物くさい」っていうのは、実にそのとおりで、それを隠し切れないぼくの大問題です。ぼくは、オリジナリティーの書き手じゃないし、才ある書き手でもないことを、結構強く実感してまして、ぼくの詩作に対する基本姿勢は「パクリまくる」に尽きるんです。そして、もっと言えば現在既に認知されている感覚、要するに抒情、哀愁を持って来て、そのまま使う傾向は多分にあります。先鋭ではなく歌謡曲的な、って言い訳をすることも出来るかもしれませんけれど。

    カリッカリの現代詩の難解さ、あるいは解釈を要請するような書き方に、ぼくは凄く嫌悪感があって、どんな読み手にも等しく伝達されるような文章を目指しています。ただ、やっぱり凡庸さは後ろを追って来る。「小器用にまとめただけ」って批判を結構食らってて、特にこの作品はオマージュって立居地からしても、その批判を逃れられないと思ってます。自己陶酔的言い回しも含めて、やっぱり既存の定型「コレどっかで見たことあるぞ」って感覚からは離れられていないのかもしれない。歌謡曲的な感覚を与えることに関しては、「それでいい」とぼくは思ってるんですが、それが作品への入り込みを阻害するならば、直さなければならないと思ってます。ありがとうございます。  ('07/05/10 08:11:38)

  • ケムリ :
    お褒めに預かってることにも感謝を。
    レスがついていることに全く気づかず、放置していて申し訳ありませんでした。それにしても、田崎さんはキツい。かなり、痛いところをつかれる。凡庸な作品を小手先でゴマかしてる人間は、そこ突かれるとかなり堪えます。

    ガリレイさん
    ぼくに関しては、「解釈」をあまり求めてないんです。愉しんでいただければ、それでいい。もちろん、「解釈して愉しんで」もらえればそれも嬉しいんですけれど。もし、ガリレイさんがこの作品を「解釈」して、それがぼくの意図から大きくずれていたとしても、それはぼくの書き方が悪いわけで、ガリレイさんが悪いわけではありません。読んでいただいて感謝します。  ('07/05/10 08:14:08 *1)

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