#目次

最新情報


村田 麻衣子 (村田麻衣子) - 2013年分

選出作品 (投稿日時順 / 全3作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


commercial

  村田麻衣子

食べる≠吐くであると、それは賑やかな孤独から見つけ出す ややくすんだ光のようで
郊外のコンビニから漏れ出している 駐車場に宛てられているコマーシャル的なネオン
ライトは 消費される欲望から消費する欲望へと変換されるたびに書き殴られた文字ら
しくにじんで アスファルトの上に散らばった個包装たち。運命を弄びすれ違う人たち
がこんな時間まで起きている事に 安堵し 巡る運命または転がり続け その人たちと
目が合い逸らされるたびに周期的に涙を流す日はそう遠くないのだと予感している。並
べられた雑誌のページには死んだ虫が 潰れたままうごめいていて悲しかった 時計を
眺めてみたが、目がかすんでよく見えなかった。
運転席から見た雨と写真を見比べて、いつか会った彼と彼女を蘇らせ。その影響につい
て、感じながら運転席で膝を抱えてみた 誰かを思う隙はなかった聴衆的には美しいも
のを、「美しい。」そう叫びそれを匿名化してまで 聴衆でいたかったのはどうしてだ
ろう。

わたしはそれを食べる=吐くであると それをソロプロジェクトだと費やしたものは、
時間と身体的消耗。ファッション誌には書かれていない 残響室の騒音で温もりある胎
児の大動脈を身体測定して それを嘔吐する商業的な行為。単純に退屈がやってくる
もしくは、目の前の景色を過剰に感じて酸味の強い柑橘の果実を半分切って からだに
流し込み そのはんぶんをルーズリーフの書きかけの記事に乗っけたまま 仕事に出か
けた。冷蔵庫は、きらいだった あるいは好きだった 
そしてわたしはそのマイナスへ振り切れたエアコンディションを 
半強制的な行動すべてを
からだを流れ出す冷たい水滴を
常温での過呼吸は常軌を逸している。誰のゼリーかわからないまま溶けだしたその果実
を見て。その強迫のスピードを感傷的に言うと、愛していた。

多目的トイレに駆け込んで吐こうとしたら雨の雑踏から 男女がそのビルの1階の一角
に駆け込み、男が女の手を引くようにして入って行った。入ったことがあるトイレの個
室はやたら、広かった記憶が蘇る でも一人でこんなところに立たされている 気分っ
たらなくて わたしはその扉を思いっきり蹴った。
センター街の路上では、店内BGMが漏れ出して、イントロダクションからそれはもう聴
けたもんじゃないのに 2つの店舗から融合してダブルイントロとなり あんたたちの
主題歌みたいだって。沸々としていたからか、肌蹴たウィンドブレーカーの下にはなに
も着ていなくて
首にかけてたヘッドホンから深夜 周波数を合わせないで録音した ノイズが流れっぱ
なしだと気づいてはっとする 目の前の景色はわたしが経験した夜の浅ましい記憶より
もずっと現実的で優しかった

明け方は、闇を争いながらかき消すそのグランジの始動みたいに 扉から出てきた彼女
はサンローランのクリエイティブディレクターに就任したばかりのエディスリマンの20
12秋冬コレクションを身につけ その清楚な顔立ちを狂わせながらワンピースは肌蹴す
ぎていて 男の子に借りたかのような クラブ帰りのシャツを身につけて わたしの顔
見て顔を赤らめ走って どこかに帰ったのだろう。

彼とわたしは残されて、タイル張りの多目的トイレはやたら寒々しく冷気を放ち、ギタ
ーケースを担いだ彼は薄着でシンプルな白シャツにディオールのパンツらしきものを身
つけて 色白の笑顔が不潔だと思っていたら、漂白剤がまかれた室内で彼は眠りだした
。わたしもそこに横たわっていたら、ケースから腐食したフローズンバナナを取り出し
てわたしにくれた。数字的に期限切れなわたしたちの接点は 感傷に無神経だった頃の
わたしと時間軸をあわせ そう 融合させる=いとおしい とはさらに違っていると理
解するまでかなしかった 気分的に不潔なのでわたしは服を着たまま この部屋のベビ
ーベッドと一緒で セックスはわたしたちにとって対象外だった

これらの鮮度がたまらなくいとおしいのは中指にも親指にも耐えられなかったから。嫌
いではなかったけれど彼は、はんぶんの約束でわたしにくれた。はんぶんはとっておく
ようにわたしにただ渡した
プールの外に溢れているオーバーフロートに紛れた双生児みたいに触媒は穏やかな空気
に接しながら溺れている

「こんな場所で迷子になったらいけないよ。腕も、首も、太腿の内側もこんなにうつく
しいのだから。」
「うん。わたしは、帰ってこれを冷蔵庫にしまうの。だから、さよなら。」
「ママに食べられないようにね。」
「そうね。」

ソウダネ
わたしが呟いたのは添い寝から経過した3日間。蝉はうつぶせで死にかけ新たなニュー
スソースとなる。それをモデルにしたチョコレートが発売されたという斬新で美しい事
実を耳にする。北欧では希少らしい彼らの騒々しさは あの時のわたしのかなめになっ
て夏日をたちのぼらせ 今日からの始動らしきテーマソングとなりうる スピーカーの
前で眠った記憶 それは、紛れもなく彼の影響だった 気候に左右され 気が振れてい
く神経を静める高らかに そうして静寂へと帰って行った。


ガードレール

  村田麻衣子

オルガンの鎮静を始めますが ちょうどいいボリウムが、 わからない
からあ あ 通る声 は拡声器で顔が覆われて誰だか わからないけれ
ど笑って迷子のお知らせをするまえに 買い物をしないと 笑って 神
経がばらばらに剥かれ る料理を始めた午後になった、あたりから ね
え 魚をペーストに してあげた 助詞を なくして」 つなぎあわた
ら あ あ ああなたにはしてほしく ないことばかり あるで だか
らあなたのからだがだめにされる前には 冷めようがあたたまろうが 
どうでもよかった

たべさせられる フードプロセッサーで砕かれた骨 はあなたの裸を憶
いださせてくれる湿度と匂いといなくなってから咲いたベランダのヒヤ
シンスの事を まだ常温であたたかいけれどだんだん冷たくなるんでし
ょう外気の影響を受けやすいから、彼は気候を気にしているその影響で
わたしはテレビをつけて天気予報の放送を流してやっと 眠りについた

あらかじめ笑っているマネキンが 手首をわたしにくれたからわたしは
抱きしめてあげた して欲しいことがわからない わたしのからだのほ
うにかなしみがたまりつづけていった 誤って変換されてそれは、あな
たに対して怒っていたり、笑っていたりそうね、愛している、というの
だけが違った感情の流れにはっとするからすべてを包みこんで 手首を
遠くにやらないようにからだに縛りつけてあげた 救急車のサイレンが
騒々しくてたまらない あなたは切断された手首だけを見つめていたか
ら かんかくのすべてを麻痺させないといけなかった

迷子のお知らせをします

記憶のなかのあなたとわたしの知らないあなたをつなぎあわせる 対象
を失ったきのうのわたしからそうして迷子だらけが生まれたんだ スー
パーマーケットはの駐車場は夜の 教会の室内を、破壊したみたい 
やさしさにはモザイクをかけてまじまじ眺めて 朗らかな風すら 常温
を上昇し続ける くちうつしで甘みを映しとるエアコンディション 鼓
動を左側から開放されていて鋭利につきささるほど 交通整理のコーン
がばらばらになっていた プールサイド 水中に顔をおしつけたら目が
痛くて見えないものが見えるみたいアスファルトは色彩を濁らせ、かた
くてやわらかい

目をあけてたら目が痛くて 洩れた声を遠くに感じた しゃべる声より
吐息がまじって呼吸みたい
聖書が読めないわたしたちは感情を離脱して しゃべっている。
マイゴノオシラセヲシマス

感情を離脱したような話し方をする あなたは、アナウンス通りに行動
するわたしが 嫌いだったんでしょう好きで堪らなかったんでしょうオ
ルガンが鳴ってからわたしは
迷子の子供たちを順番にならべて番号をつける
顔のないそのこたちが帰れるように家に暗幕を張っていたら
部屋は海みたいに 漣のBGMをザーザー振りの、雨の音が
そこに帰っていいのとわたしに問いかけ、放送様の口調で帰っ
ていいよという
寄り添うことを否定された誰かを否定してやっと
わたしは懐かしさを否定して抱いた悲しみと新しい感情を
あの頃にもどることはできないけれど、必ずここに帰って来るから

ただしい 反応が もたらせれず かなしいのに笑ったり、怒りたい
のにかなしそうな顔をして疲れきっているせいにするけれどそれは、
疲労に左右されて、中二階にある植え込みの色彩ごとに鎮静をかけ深
いところの色にやっと届くから駐車場にやけに響いてしまう
表情の乏しい女性 ランウェイで歩く距離より遠くにいけない 悲し
みがあらゆる角度から押し寄せてきたのを、敏感に感じて彼女は睨み
つけたファッションショウ。浮遊力が足元にあってね、それが嘘みた
いな生きている感覚を、じゅうりょくをさかさにしてそうね、生きて
いるというのは自分自身への命令に過ぎないんだわ

泣くことで肯定していた。ちからいっぱいなくと目が腫れて 顔中か
ら液体が流れていたかなしんだとしてもうつくしくもなんともない 
それをまた考えていたら 交通整理のネオンライトをもっているひと
が いつもと違うひとだったようにも見えて安心してわたしは、対象
をもたないから迷いこんだ色彩や熱線に 力を奪われて眠る
国道に抜けていく私道から、その色に支えられても ガードレールの
白さには伝わないように
家に帰っていった


愛とはからだに投げ込まれた包帯

  村田麻衣子

 
コンビニの駐車場で眠っているとあっちの世
界に連れていかれそうで、いらっしゃいませ
って言われてよかった 有線BGMを聴いて 
悲しい音楽が激しい音楽を、癒すからわたし
歌いながら店先に入ってく。光に迷いこんだ
蝶みたいに心の中で唱えた言葉で誰とも話し
かけられない 飲んだミルクでくらくらする
みたいにからだに撒き散らかし からだの浅
はかなの翳に反比例して。液体は、水族館の
内部みたいに水生動物をはんぶんにして 展
示するかなしみがある固形に鎮められて肌色
に塗り固められた わたしという生臭い自己
があった

変な目立ち方をする若者のファッションショ
ウが始まる。目の前にいるひととおしゃべり
できないから いつも有線の音楽は心地よい
し、いとおしい それなのに触れることがで
きない センスを違えた他人まさに セック
スできない人たちで こころのなかは充たさ
れていた
埋め立てられたアスファルトの下に 希望が
あったでも、得体がしれないわかちあえない 
それに触ることはできない。

胸にふくらみきらないフラスコが胸の中にま
たぶつかって 軋んでしまうから 呼吸がは
やくてくるしそうだし空気が破裂して溺れた
 もう誰か早送りしてくれって心の中にしか
いない 人と話している
 誰 誰 誰もいない内に、朝になりその気
配に負けて冷え切った朝がすごいスピードで
わたしを通り抜けていった

あっちの世界にきみはいる、その曖昧な位置
から飛び降りようと 変な格好をしている 
騒々しい 気配でコンビニのオレンジかグリ
ーンの光に包まれるのは、蝶になったみたい
と肌の色を錯誤するじぶんの事ばかりか じ
ぶんは理解できない対象となり それでもこ
とばでしか扱えないあなたのことを わたし
とすることのない行為でわたしを包むことが
できるのか セックスをしないひとをあいす
ることが生きていく意味なのだ 愛とはから
だに投げ込まれた包帯だ 血塗れになって包
囲されて 言葉で理解されたことだけ 一方
的な表現であった ぐしゃぐしゃのカセット
テープが飛んできて、黒いセンサーは でた
らめな聴覚を愛されて アナウンサーの声は
 愛されていますか 淡々と今年最後の放送
になりますとか、言われるたびにうんざりだ
から


色とりどりのそれを眺めている光に ただれ
そうになりながら、顔についたそれは切り傷
だったり 剥がし切れないティッシュの擦加
傷みたいだった
着ている服をぬがせてやれ、ティッシュで覆
われ 三角巾でつるされるままに浸されるわ
たしたちの水位。たくさんの傷を覆いなおし
て、破れたそれを、後部座席から 助手席を
抱きしめるようにもたれかかり駐車場で待ち
合わせた客にもらったお金をスタッフにわた
し 小銭はもらったことがない札束だけ 子
供のころは、小銭のほうがお金って感じがし
てた 本物を知らずにあつめたおもちゃのコ
インの軽さが気に入って遊んだずっと遊んで
いた そのコインが擦り切れてプラスティッ
クが見
えても使い古びたら、母はほかの遊びもしな
さいって、公園にわたしを放って いなくな
ってしまった

公園のアスファルトは転んだら痛かったでも 
それを誰にも言えなかった 言わなかったん
だ駐車場で目が覚めて映るレジの子のつまん
なそうな顔とか、たまらなくいとおしいとき
が、ありませんか。 温めた方がおいしいで
すと必ず温めてくださいの差に埋められない
 希望みたいなものに埋め尽くされて いま
す そのからだが温かだったとき ヒーター
で温まり過ぎたとき生きているのか死んでい
るかわからない違いを区別され いきてるの
を 明らかにできないよう 会計を済ませた
のに、まだわたしのものにならない感じ
手を停めるレジの彼女の 手持ちぶたさを待
って 沈黙に温め終わるまでの間 「電子レ
ンジ もういいんです 」話したときのはっ
としたような 笑顔。

包囲されているエアコンディションに、愛さ
れてあなたまだ ここにいるね。
わたしまだ 昼休みの常温がわからない 夜
分ここにいる

文学極道

Copyright © BUNGAKU GOKUDOU. All rights reserved.