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かぐら

選出作品 (投稿日時順 / 全3作)

  • [佳]    (2012-06)
  • [佳]  茶花  (2012-07)
  • [佳]    (2012-08)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


  かぐら



「なんてこった」

卯の花に、精子をふたつ落とす。ここには、認識するものの、瞳がある。
それは、烏細工であり、この夜から、浮いている。答えを二つ、刺し割っておく。

もし明日、塵を持ってきてしまったら、きみが切れたらどうしよう。
グリーンの黒い砂糖、流れてゆく。始点は黒い髭の先き、自転車に載る。濡れて、グレイプ。

24センチのノコギリ取り付ける。品と川の間に、肺に溜まったんぽぽ。
白いラジオの音量を、絞って、すべてを終える。
頓走した、生を棄てた、鳥になれた。人が、また消えた。

 18禁
(アメリカン・ティーン・スピリット)
「この女、茶葉が腐っているものだと思っている」
汗の匂いは、あなたの頭の後ろからしている。唇の象形。そのまま口づける。

しいたけ、つちのこ、そして罷免された歌人、恋愛
枕詞、少し高いから、センテンスも喉を通る。
ダッシュ、する、 白浜に残された、もっと白い鹿の骨




倒れたTORIS瓶
叫びのりこし

もし明日、腰をひとつしか、持ってこなかったことを きみが切れたらどうしよう。
右手を見つめる。白い糸が立っている。この街の霜焼も近く
警察介入、独立ということばを盗ったアメリカ、ちまきのなかの菜。
「ヒロイズム」
「丁稚の政治家」
ほこらないから、好きなんだね、ねっからの飛行士、


 チョコレート色の煙草を持つきみはもしかして
 僕の大好きな猫を殺すの。
 でも猫は、殺されていることを 知らないかもしれない。
 猫は、失っている。
 猫は、失っている。
 季園を。
 混血は、もう戻せないということ。受けいれること。梅の匂いがする。
 あなたの木製下着から。


卯の花、ひとつ、咲く。
 

 


茶花

  かぐら

 
 
 夜の戦士。夜の千紙。禁色の千枚。指をかじる。僕らは上を向いてやってきた。桝は天米一粒。竜骨から漏れ出すしろいけむり。わたしは新聞の重ねを結んだものを持ってきた。長野の葉は、震えているだろうか。わたしは竹を貰った。白蟹を吐き出す。白桐の箪笥がもう歩いていってしまった。指なしが歩いてゆくと、あじさいが手をかけてあじさいに捕まった。
 人魚が白いかを食べている。すると竜骨の陶器のけむりが黒く澄みはじめた。一行の白さが、まだ人間を騙していると思われた。田と心が殺人を侵し合っている。私はまだ田と心である。*******灰燼に帰す、病人の思想、俳人の常識、キスを先にしないでくれない?、男のわたし、朧の左側は確か水片では無かったか。水の充ちる上に既にある、卵の黄身に煙を流し込み、鶴は雨の中に消えてゆく、死んだ内臓を銜えていて、亀は内臓の一瞬を、夢の中から抽出する。わたしはまだ眠い。まだ竜骨の中にいるからだ。そして誰かが、地震によって卵をふたつ守ってくれたことを、示唆して、鴈に画けた鶴は瘠せてゆく。それは角と角が、層になった埃によってでしか釣り合うことがない。荷は沢山の幻滅によってでしか、羽ばたきの先の白さのかすりを、出現することができなくなった、回転するインディアカのようにさらさらと、燃えている猫の額。句は亡くす、尽きる、忘れる、銃器は音もなく、山に火を点けた。そして雨を待つ、しょうがなく、端役の純粋な拍手の無さは、暴力に酔っていた千手の仏の、涙も出せなくさせてしまった。
 日本擁聾したし安い歯医者も安い歯医者の飼育係も*******終わりあらえば津に来たロシア人も、雨の中で芋を洗える。風はしっかり四つの瓦を伐跋と落とした。
鼠が一匹しかいない。客も私しかいない。行間が多い。文字が少ない。あとひとつ。発。
土から離れて文字をとりにゆく。わたしは飛行士として裏切らず、ルイ=フェルディナン・セリーヌを背中に乗せている。黒い夜の中に、チュニスの星が瞬いている。ランチは裸で、僕ときみは、トリコロールの旗を取りっこする。二冊の雑誌で、わたしは短歌を作れる。***只、五七五七七、二つめの五で神という字を使いたくない。(ゆり菩薩かぐわしきかなきみひとり窓を下げればふたりの男)着々。

 
 男は水の引きが強く、態寸に拘って肘を抱いている。コートはこのジャンボジェット旅客機の羽のように、かすんで、あなたの男の肘に掛かっている。二月、豆腐と死に花の、聞き間違いのロック・ミュージックのように、黒い煙を放っている。ローラーを退いて、ちらとパンティの忘れ物が無いのか確認する。三人はしっかり穿いている。7日と9日、わたしはまだ山葵の甘さを、残飯として食わされていた。本年の正月には、神に祈ったよ、いい詩が書きたいってさ。だから、猫が好きなのかい?って訊くのさ。猫が好きなのかい?と塚本邦雄は告げただろうか。空港にペンギンが着いているころ、損をするゴルフバックたち。スペック一本無いなんて、信じられない。取り返しにいこうぜ。猫が好きなんだよ。うん、うん。ふたりの男はわたしの国の文字が読めない。それどころか、名詞としてきみたちは、ネクタイとズボンという英語でしか呼ばれていないのであった。わたしは試験に受かったことが、一度しかない。銃は持っていないかというテストだったよ。ジャンボジェット機にくちづける。***日本留中したしシロナガス銀盤も想いの消えた口語短歌やも***つきっきりであの日、盗まれたブーツのことを、心配してくださったね。犯人はまだマッシュルームの中にいてください。荒らされた仏壇、一番とおい色が紫だとしらない。その花を直した。罪は晩年であった。まだわたしは立川らくだのテープを聴いている。田の尽きる噺を聞いていた。がらんとした客室。奥の席に置かれた、羽ふたつきられた画聖ふたり。握られた手。ディズニーランドで怒り出した思い出に捕らわれて、位もなんとか失った。そろそろ丘の上の過激派たちの絵の具もつきて、丸められるころだろう。居酒屋「かや」に行ってもいいよ。ディランがとても小さな音で流れている。星が落ちる。話者さえも文字の中に帰してしまう灰のふる。
 椰子の実の声を聞こうとしてかんきつやは、うちは金物屋ではありませんと告げた。蒲田の特設会場では、基準音を412から411に落としたアレンジのベンチャーズ、ダイヤモンドダストおぎゃあおぎゃあ、響いている。僕は中心樹のかげの猫のしら。みんな、みんにゃい。席に置かれた夜の千紙。かすりごえの中の灯る提燈にゃい。しりついているバックパッカー、あの、ちゃら白いミイラのお人形、タツノオトシゴの出す、紫の玉が目に浮かぶ。涼涼涼、しりついている女の子、中原中子の残した句集を売ってしまったんだ、***ささやかな金魚に蕗の青ひとつ***明解さのない休旧の日々、ヴァージンな天皇陛下万歳、ころがる石のように苔の蒸すまで、鼻先を濡らすしとしとと、川は京も東京だった、ふと思い立って金色の携帯電話にメモする、鯉池の中に落とそうボリスヴィアン、頸につく白いショックたち、風風風、なぜか持ってる枡田の朱印、蓮の花ひらくひらきひらけ、悲惨家族の肺さえも、運命に対して塞き止められている、僕はまた、かつかつとケンタッキーフライドチキンの二階で、詩をルーズリーフに書き落としている。この店は大丈夫のようでした。ぱさり、まだ出版されていない雑小説たち、または切られた蛇足の浮いたかげ、ちょろほと。浴衣の乙女たちが駆け抜ける、風車のように、言うのだ「京ものや、京は東だっ」
 

 
 鶴はまた白い浜からそっと頸を伸ばし、ぱらぱらと宿酔のランボーの頁で欲劣をして、まだこの世はあまいアルチュール・ランボーは柳のなかでしっとり、枯葉の中埋められた。きらんきらりらんすりん、きらんきらりらんすりん、その土地へ漏れる夜のひかり。散乱するラインマーカー、懸命にひろうおれたち。鶴はそのとき誰からも恨まれず、白い樹を足すことのできなくなった絵画のような心持ちだった。また、猫。猫の達観、また失った。なにを?おれのらっかん、きみの缶々、あめんぼう、強姦されたおんなたちに、また汁を出していただくなんて最悪の謙譲語、森森森、夜という字はひかりに似てるって、七尾猫の悲しみと、こころなしが多い産婆、そのみせの飴のような灯りと底に落ちる雑本、きみの零した牛乳の香のなかに、おれの菖蒲に、市を叩くキリストに、想像力より勝手に呼ばれている亡霊は、決してチャンスなんかじゃない。ふざけるな。耳をつかんでいるんじゃねえぞ。吊り下げられたアップライトピアノ、注文なんてしなけりゃよかった、そこに漂う馬鹿のエッチ。EとAしか使わないロックミュージック、蚊蚊蚊、***、雲雲雲、ライオンか熊か分からないやつのギターで弾くペンタトニックスケール、おれの身体には水と電気がっ。ジャンプ。スピーカーから流れてくるゴッドファーザーのテーマ、アイヌ語でポアルは元気だよ遺影はまだ隠されている。***忍ぶれど夢にみていないわが父の成月したとき失くて失く失く***はらり。落ちかけた葉ものに差し出す指もない。チューイングガムをまわした連中たちは、草のなかで匂りに混じる。ほら、白い顔に赤い血が。カリバニズム人と椰子の木の夕暮れのなかでの、婚姻書作成のように苛立たしい。白い頬から赤い血が、九官鳥を銜えたお前が、喉あたたかいお前らが。暗い詩を書いている奴と人生が聖句になった奴。どっちも嫌いさ、ひとごとみたいで。その脚のピンク・パンツが好きだよ、なぜってピンクパンツを履いているきみが好きだから。慌てたい連中ばっかりだ。結局、喀血、月光堂。空クジばかりで困ることがない。だって当りがないと、面白いから、好きだから。狐の神のライス・シャワー、パープルライスを飲んじゃった女の子、田中さんと石川くん、ふたりは幻燈会に行けました?きみのことを想っているのはアイディアしか持ってないからなんだ。すーっと伸ばしたチューイングガム、巴里の地下でのおっぱいぽろり。おまえはジョン・コルトレーンと仏頂面の方が好きだったな、ぶくぶく太った白肌の「はい」、絵本作家と呼ばれていたり、私の涙は銀になり、平衡に流れる。女優だね。もともと女優。乱暴だね、防弾だから。7曲しか持ち歌がないロックミュージックバンド、のってくれたひとりの青年、腕をぐるぐるまわす運動、これはリストカットに我慢する曲です、違った、リストカットに反対する曲です。ため息しかない街で居酒屋チェーンが浮いている。いっそ下着でもまわしてみようかしら、後ろのジーンズに、稲垣足稲をさしこんで、エレクトリックギターを鳴らすまで緊張しかない。バンドの腕は瘠せてゆく、死んでしまった有月王、生きてしまった無日牛、そんじゃそこらのはっかじゃないね、どっちのはっか、ハッカ飴。季節ジャンキー、みたいなベイビーは彼女、みたいな日本人がそっとケーキを運んでまいりました。おれの甘さも食べやがりますか?

 
 月の言葉を解析できる少女、猫は失っていく、この席を。あなたの膝を叩けるよ、ベイビープリーズドントゴー、ノン、いいや、彼女は行かないでくれたんだよ、観てってよ。おもしろいよ。届いてる?わたしのエアロスミス様、アメリカ製の奴よりいい感じ。うん、メロンの方が大分小さい、しかし西瓜はみっつで、メロンと釣り合う。おれはまた思い出す、こんな風に***日本脱出したし安いベニヤも高い農業飼育係も***今日の一等を決めます。レザーシャープを穿いても見たき沈半花、折られた花から烏瓜り、烏瓜りから、声出し屋、声だし売り子が卵やいったら、病院へ、病院いったら、揉めてる方、揉めてるほうなら黒着物、揉めてるほうなら親の肩、親の肩からみたされて、みたされるのはギロチンまんこ、ギロチンまんこは空にある、河瀬でいったら、腕をくむほう、既にあるのは願いあるほう、愛足されるは歌詠みのほう、歌詠みならば、ツグミがつくほう。夜夜夜、ぼくらは***季節と解散した。



 


  かぐら

 

 
 
初春の滓のかす
交じる祈りの輪の中で
わたしたち家族は
青い空から降りかすれ 春の雪
そして細雪
わたしたち家族は
冷の一酒を獲得した
森林は万象
ペリエの瓶らしく
その名称ラベルを剥がされ
弱々しいまま
白せきの湯へうずいている


こほっ こほっ
今日
獲得した
身の魚の甘いこと
あなたの肌のあさ黒いこと
おまえは未だ
夜を獲得できないと
おまえはもう片恋を獲得していたと
寿醤へ
やきおの尾をひたして
パクつく私の娘
肌を剥がされ
痛々しいまま
白せきの湯へと
うずいている廃家のようやきお


父さん
またあなたともみじを比べ
池へと苔むす私を ボシャンと落としてしまう


紙一枚
いちげんさんって
面倒もなく
したいことをしている
乳糖のような父と母
少し毛筆の匂いがして良かった
そう思い直すこと
期待に触れ
わたしの指は痺れる
わたしの指は 痺れて する
字義と児戯は錯覚されない
雪から緑色の性欲が発露され
白髪たち何もいえない


父さん
またあなたともみじを比べ
池へと苔むす私を ボシャンと落としてしまう


さあっ 
もう全部すてたんだぞ
初めて新宅に電源が開通し
夕方
まだわたしは姉という存在を灯す
神はまだ
玄関の前で兎のように跳ね
石から歌を捻り出そうと
ひょうきんな猫のふりで終わらなかった
軽すぎる靴についた傷を
愚者と
呼び止めてもらう程の死もないから


雪で痛んだ車の鏡に
安全守りが揺れている
なにも揺れているのは わたしたちだけでないのだ
首の骨のように痛みは鈍く
しかしこの首は歴史の集積であった


父さん
またあなたともみじを比べ
池へと苔むす私を ボシャンと落としてしまう


治らない指
ついに焼けた首の系り
そこを温かい指で撫でられた
わたしたちはことごとく運ばれてゆく
スッと眼球に 安易に被せられた桃色が好きだ


この街ならば
この空気を夕暮れと呼び
血の管の中へ家族は侵入して 弾ける
ふとぶつかっても
砕かれることのない砂糖菓子みたいな旦那の話を
とろんと舌に溶かしながら かゆとしたいと思った
山葵の香りが あなたのしろい耳の苦味が浮かび
宛名のない手紙のように降りそそぐ


ボシャン


わたしたちの存在 降りそそぐ存在と軽く留められる 小さい髪のおりらしさ
あなたには 忘れないでほしかった
万象は 季節の旅行者でしかないのに 黒い星の終わりから進入した
あなたもいたということ その季節の軽さと あなた自身の重さ その目眩が
つづいていってほしかった


また降り出した 雪
また降り出した家族たち 



 

文学極道

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