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作品 - 20201102_232_12194p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


わからないことばかりなので

  滝本政博

眠っているあなたがいる
きれぎれの眠り
泥濘んだ眠りの道を歩く
曇天 空は撹拌され濁りを増す
夢は何層もの思い出の重みに発熱する
あなたが触ってくれる時
どんな顔をしていいかわからない
二人で抱き合ってきれぎれの眠りを眠る
あなたとわたしは千にも分断されて
朝が来るのを遠くに引き延ばす
何度も目覚めては抱きしめ合う

あなたのスカートの中で暮している
というのは比喩だが
すべてはメタファーである
だが何の?
わたしの放った鳩が
あなたの胸まで飛んでゆき白い花を咲かせる
理解するのではなく到達するこころみ
だが何処へ?

そこにいるのですか
雨がなにもかも濡らしてゆく
流されてゆくだけの感情があれば
また感情が戻ってくるのならば
あなたの腕のなかで
どのような雨も心地よかった
雨の音を聞いていると
血管のなかを幸福の種が巡るようだ

あの日
日が暮れて
夜になっても捜しに来てくれたあなた
わたしだって捜していたのだ
どこにいたのですか
あなたは
あなたが救ってくれるはずだった
差し出される白い手にすがりつきたかった
帰って行くのはあなたの湿った匂いの中だ

文学極道

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