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作品 - 20201023_012_12171p

  • [佳]  harpy - 白犬  (2020-10)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


harpy

  白犬

風切り羽根を微かに震わす
風を目を細めて視る
内蔵に絡み付く野薔薇の刺が優しい
貴方のimageは風に溶けて
もう貴方の顔も忘れてしまう

届か無いと千切った腕が
いつか貴方に
届か無いと毟った羽根が
いつか地上に

啄み(孕む)のは言葉達です
うんざりと
海に漂流するそれらを

性器を掻き回した指を
口に入れられた時
生臭い潮に似た味がした

私のお腹の中に
まだ海が居るの



求めるものから
引き千切られて
寂しく発光する
醜い寄り合いに
いつか彼らに
柔らかく命の香りがする
春の光が
届くようにと

大きな風切り羽根を1枚引き抜いた

落とす





紛れもなく貴方と





もう名前も呼びたくない





地を駆ける毛むくじゃらの私は
はちきれんばかりに尻尾を振るのです
本当に、楽しかった


内蔵が求める獲物の連鎖を
誰も彼もがその時には泣いて居て
私達と私達は殺し合い
私の嫌いな正義さえ擦り切れて
野と水と記憶が残り


記憶


私は火を飲む


内蔵も脳も
てろてろ融解する朝に
零れるものを掬い溢れるものを掬い
私は人面の鳥
火を飲んだ


私の中にしか無い空へ
羽瞬く
その太陽を突き抜ければ
また会える?

また、会いたい
貴方に
貴方達にも

空も
地も
海も

光が 溢れて

文学極道

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