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作品 - 20201009_538_12153p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


塩サラダ

  自由美学

カリフラワーそっくりな白いボアブルゾンを
あなたはところ構わず脱ぎ捨てて
その上にいつも
どかっと逆さまにしたヘルメットを置くんだ
かぶり口に若草色のグローブを引っかけてさ
それがなんだか
サラダボウルからはみ出たレタスみたいだねって
二人してけらけら笑ったね

笑った/のに

アボカドのたね、
くりぬいたところにダイストマト
赤々と散りばめて嘘
かさねてしまう面影をジップロックして

わたしたちはいつだって
逆さの手にナイフを隠し持って
つま先立ちで歩いてた

すがったり投げたり
ちぎれちぎれのクルトンがもう
ばらばらとこぼれ落ちては
沈んでくサワークリームのなかに
ラディッシュの赤/赤に
忘れたふりの笑いかた
ああ情感過多の朝だ
二人乗りで混ぜあった夏のハレーション

//とおくなる

秘密基地で指切りした/のに、
ふと閉じ込めたはずの声と
抜けるような孤独が
白ワインビネガーにつんと染みて

わたしはまた
キッチンで一人泣きながらサラダ作ってる

文学極道

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