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作品 - 20200903_520_12087p

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10進法

  小西

僕たちはふたりとも10進法を生きていた
1→10→100 同じタイミングで桁が上がるのを楽しんだ
ただ彼女はときどき僕が知らない数字を使った
3ЖとかЦ7とか
ロシア語の文字と同じみたいだけど彼女がどういう数を表したいのかはわからなかった。彼女がそういう数字を使うと僕は何らかの印象を受けたけどそれが良い印象なのか悪い印象なのか自分でもわからなかった。 人に相談したら「プラスでもマイナスでもないんじゃない?」と言われるだろうか。
彼女が僕が知らない数字を使うことで僕は彼女のことをより好きになってるのかその逆なのかわからなかった。
小学生のときに1クラスに何人いたかみたいにどうでもいいことなのかもしれない。彼女が一人ぼっちで授業を受けようが1000人入るホールで授業を受けようが僕の彼女に対する愛は変わらない。
期末テストが返ってきて、彼女に「英語何点だった?」と聞かれたから僕は「8Ф」と言った
彼女は、私も同じだよと言って笑った
僕たちの桁が一つ上がった

文学極道

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