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作品 - 20200808_094_12047p

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予祝 / - ephemera

  kale

予祝
 
  
一一うちあぐまえから区別のつかない境目、湿りを軽くはらえば七日目だった。すぐに濡れた、上嘴の棘に味蕾の橙、夜凪ぎは濾摂され、詰込まれた、夜半にまみれるはだしの半蹼、羽根初列。はばたきは徴なのだから、風に反目する天使は「ろうあ」なんだよ。まだ浅い速度に祖母の眼球は、うごいていないのに、こごえるように、おそれている。墜落する、はやさは花に渡り損ねたおとといのこと。飛えいを、左右に、附随して、ーメーデ、メーデー、ニスイの青を、掻き毟り、ブルネットのウミネコの、へ沖、沖へ。消えない、銀の真皮に、陰火はおろされても、軽いものからいへむらと、かぎろいあそぶ、自殺者のもりのともがらが、刎ねていた、羽根無しの、口吻を、千に、縊る。かがり火の庭に咲く曼珠沙華の、なぜか赤く濡れていた、偽膚を襲る、濃色は白白、うら枯れ、乙夜に、わくらみはじめる。

 
一つずつ、千から、一を引いていく。
  
一つずつ、百から、一を引いていく。
 
一つずつ、十から、一を引いていく。
  
 
古さが、脱皮しながら、古いまま、二筋、割礼された、色彩に、光、煤けた首に、真横へ、垂れる、光、心柱の、厚い端切れ、舌の先、光、やわらかな部位と、隔絶する、また別な、痛まぬように、やわらかな、光、また、光。古い、から、一つずつ、大切なものを、引いていく。

 
一つずつ、舌から、千を引いていく。

一つずつ、百から、白を引いていく。
 
一つずつ、一から、一を引いていく。
  
 
「大事なものは『一の夜のワダツミに《一して{おくんだよ}》』」

記された あざは 栂に 緘口された 祖母の 早朝 喉に きのうを押込む 虚仮の N極 肉の削げた 線描の空 地平の半径 狂針する ウミネコの方角を あさっての海へ 差出していた 黒い 風切り羽根を 一つずつ だから 彼女に映込むもの すべて 端から 濡れていくのか
 
被幕のびらんに、一を隠して、誘う水、白いヴエルが。花のミンチを詰込まれ、百伝う。天使の時間は流刑なのだということを一一。
 
  
 
   
  
 

- ephemera


彼らは「ちいさな」嘘を隠すため、手のひらを真似ると「決めて」いた子らの静を準ってしまうから、水につつまれた手のひらは「慎ましく」音骨に身を窶す。

彼女は「言い」訳をかんがえるまでもなく産卵し、おびただしくうまれて「いた」。離散する運「動」で彼女の言い訳を邪魔していたのは誰だ「?」

水漿の卵「管」を縦横する気嚢の長濤は欠如として、昨日と今日が交わる今朝は、晨以外で「重」なっている。裏にかえる手のひらのひとつは手のひらからすり抜けた手のひらとまたおなじ手のひらに潰された「数」多の手のひらたちと直かくに「交」わり平こうする手のまたひらにまたうらかえり。

水「環」に癒着する、誰かのくちびるの硬度は、欠如の不「全」を準静する、ためだけに言い訳を、限りなく産卵する子らの「手」のひらのかたちで。

文学極道

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