葉脈をちぎると太陽がこぼれる。
夏が破壊されていく。
凍っていくアイスクリームと、
小さくなる海。
満月が見えない雨の夜。
靄がかかる自転車には蛹ができていて、
春生まれの君が、
聴力を失っていくようだ。
「夏は嫌い」
そう口にしていた君。
先日海に行ったって聞きました。
君は知らない。
水平線はもう、
海水で出来ていないこと。
君は知らない。
瑠璃鶲はもう、
地面に降り立たないこと。
ちぎれて残るのは、爪の温度だけ。
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選出作品
作品 - 20200706_445_11996p
- [佳] 春と夏 - 月屋 (2020-07)
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春と夏
月屋