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作品 - 20200606_821_11940p

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あせび

  玄こう


 天地の雨は さしものもなく いのちのちのりはいのりのり 落陽の青光する輪郭に 乾いた生地が揺れている 風に流れた御影の顔が 水面せせらぐ縁と縁との 友と伴とのうたがいい  ひのひのひとのいのりのみちのり 賢しきもののふ 流れるこぶし 祈りが歌になるとき 歌がコトバになるとき 言葉が馬酔木になるとき 天地の雨は遠ざかり チビて駆ける足裏の 冷たい汗の匂い 歩者の解に解に ひとのひのひは明るくはずむ 声も顔もものみな川床 にて魚の玉石の玉梅の玉 足の下を流れて濡れ落ちた 歩者 はふる 流れる拳の降る雨が怒りに満ちて歌になるとき 歌がコトバになる言葉が馬酔木になるとき 歩者の孤独の背なかにも ほら其処にもあ其処にも やぶれ さばかれた一枚の紙が はふれ ほらあの時もあの時も しそのかわをばせとせに はふれた人の玉 うおの玉 ひしの玉 … … 川床逆さにうつける影が 流れる 

                                 
 

文学極道

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