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作品 - 20200606_816_11939p

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少年よ、卵は鳥だけじゃない

  ゼッケン

世界はおれにすべてを準備した。おれはそれを見ていた。おれはおれも舞台の上に立っていると思っていて、人間のときのおれは観客の役に徹していた。舞台の上のおれもまたあんたがたに見られている。あんたがたの視線をおれの視覚野に接続すると、おれは舞台の上に這いつくばった蜥蜴だった。夢を見たと思う。ありがとう。世界は観察されるために在るのではなく、蜥蜴よ、世界は消化されるためにある。おれは顎を大きく外して、あんたがたの方を向くだろう。細い血管が網のように走る濡れた粘膜で頬張り、咀嚼はしない。少しひんやりとした感触が銀河を覆う。蜥蜴の血は温かくはない。それは冷たさを意味しない。膨らんでいない脳では血は多く要らない。おれはおれの立つ舞台をおれごと丸呑みするために粘膜ごと裏返って痙攣する袋だ。さよなら、三次元の視覚たち。おれには時間が理解できないので音楽が恐ろしい。ちぃ、と袋の中で鳴いてみる。べたべたに濡れた肌の集合がいっせいに揺らいで、あんたがた、おめでとうございます、宇宙は続くのだと、蜥蜴の僧正が託宣を垂れる。ああ、そうかい。おれは痙攣している、卵から次の宇宙が孵る日が来たとしても。

文学極道

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