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作品 - 20200522_372_11910p

  • [佳]  詩論と詩 - なまえをたべたなまえ  (2020-05)

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詩論と詩

  なまえをたべたなまえ

世界の魔法が解ける(Die Entzauberung der Welt -Max Weber-)

 手と手に取られていく手を取っては、また、口々に、喉を赤く腫らして、ぶふう、や、ぶはあ、と、はあはあ、と掛け合わせて水を呼ぶような声という声を呼ぶなよ、ヨブ、長く名乗らなかった名前と長く伸びた髪を切っては、切られていく手と手に手を置いて、テテテ、と駆けていくような足。人と葦の、言葉、また、初夏だったものが、まだ、もの、だった頃の懐かしい喪の季節。ポリテイア、ポリテイ、「あ」、の最後の驚き、プラト、「ん」でどもる、あらゆる温められたアスファル、ト。「アスファル」、詩人を追放しなさい、そう記された古い書物と哲学と詩の子供じみた争い。キャキャ、皆、遊んでる、砂と砂と、スナト、一人影を踏み損ねた男の子、と登る、ジャングル、とジム。アメリカとロックンロールと弾丸と、ジム。ジムはまだ、黒人の女の乳房を知らない。白人の名前と、けるあっく、けるあっく、ギンズバーク、けるあっく、ヴォ、ガネット、けるあっく。汗とともに、尿が流されていく唇の中にまだただよっている幼少の頃の記憶が彼女の膝まで垂れていく。手を握って、私が貴方をこぼさない様に溺れている間だけでも、貴方が私の口を、息を、塞いでいる間だけでも、鱒釣りを教えて、詩を書くために、眼球が洗われていく感覚を知っている。貴方が、この日盛りの庭で、私を洗っていくのを、貴方が私を伝って流れていくのを、跪いたままの、溢れた私を貴方が蹴り飛ばして、倒れこむ私を、貴方が、踏みつける、足と人の、葦、の「ケンジ」。ブローディガンと、プー、または、ソクラテスと、マネーの虎、人の、限りがほしい、と、雪とともに、せき込む、妹の、死を長く見ている、目が人のようで、ようで、しゅら、しゅら、シュラトユキ、春と修羅、修羅と雪、雪のように、死んでいく、妹の、修羅と、または、春の、シュラト、異国の名前、死ぬまでの時間、夜に溶けていく、ビタミン剤とプラトン、工場を爆破しろ。


In the night time, keep me out of sight, it’s the poltergeist (ULT Denzel Curry)

幽霊と取っ組み合いのけんかをする、
手もない、あしもない、
もはや、人ですらない、
どのような、あたたかな、
かぜ、どのような、
あたたかな、よる、
どのような、
あなたたかな、あさ、
どのような、あたたかな、
し、

からあるくみち
かるあみるくとこどく、
どくどく、

果実を切る、手の、
批評的な肌触り、
季節と、秋の、
落ちていく眼差しの光度、
影に合わせて、
思想が始まるから走る、
体から血へと、血へと、
神を歌わなくなった、
英雄は全部死んだ、
心しか残らない、
可哀そうな、人の、
心しかない可哀そうな詩ちゃん、
ナンパしたい、
退屈だからそれをやんないだけ、
でも、その前に、
あえてそれをやんないのか、
そもそも、君らはこれができないのか、
その違いは大きいよね、

どのような、あたたかな、かぜ、
どのような、
あたたかな、よる、
どのような、
あたたかな、あさ、
どのような、
あなたの、あたたかさ、
そして、
あたたかな、

透明な死、と
私の、銀行、
白く、スカートと、
料理に包まれて、
雨と、群青、
死んでいく虫たち、
だから皆、やっぱり透明、
お金を預けて、
私も預けて、
引き出されたの、
右胸だけ、
心臓と電車、
東京だから、
喉が渇いて、

文学極道

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