#目次

最新情報


なまえをたべたなまえ

選出作品 (投稿日時順 / 全5作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


詩論と詩

  なまえをたべたなまえ

世界の魔法が解ける(Die Entzauberung der Welt -Max Weber-)

 手と手に取られていく手を取っては、また、口々に、喉を赤く腫らして、ぶふう、や、ぶはあ、と、はあはあ、と掛け合わせて水を呼ぶような声という声を呼ぶなよ、ヨブ、長く名乗らなかった名前と長く伸びた髪を切っては、切られていく手と手に手を置いて、テテテ、と駆けていくような足。人と葦の、言葉、また、初夏だったものが、まだ、もの、だった頃の懐かしい喪の季節。ポリテイア、ポリテイ、「あ」、の最後の驚き、プラト、「ん」でどもる、あらゆる温められたアスファル、ト。「アスファル」、詩人を追放しなさい、そう記された古い書物と哲学と詩の子供じみた争い。キャキャ、皆、遊んでる、砂と砂と、スナト、一人影を踏み損ねた男の子、と登る、ジャングル、とジム。アメリカとロックンロールと弾丸と、ジム。ジムはまだ、黒人の女の乳房を知らない。白人の名前と、けるあっく、けるあっく、ギンズバーク、けるあっく、ヴォ、ガネット、けるあっく。汗とともに、尿が流されていく唇の中にまだただよっている幼少の頃の記憶が彼女の膝まで垂れていく。手を握って、私が貴方をこぼさない様に溺れている間だけでも、貴方が私の口を、息を、塞いでいる間だけでも、鱒釣りを教えて、詩を書くために、眼球が洗われていく感覚を知っている。貴方が、この日盛りの庭で、私を洗っていくのを、貴方が私を伝って流れていくのを、跪いたままの、溢れた私を貴方が蹴り飛ばして、倒れこむ私を、貴方が、踏みつける、足と人の、葦、の「ケンジ」。ブローディガンと、プー、または、ソクラテスと、マネーの虎、人の、限りがほしい、と、雪とともに、せき込む、妹の、死を長く見ている、目が人のようで、ようで、しゅら、しゅら、シュラトユキ、春と修羅、修羅と雪、雪のように、死んでいく、妹の、修羅と、または、春の、シュラト、異国の名前、死ぬまでの時間、夜に溶けていく、ビタミン剤とプラトン、工場を爆破しろ。


In the night time, keep me out of sight, it’s the poltergeist (ULT Denzel Curry)

幽霊と取っ組み合いのけんかをする、
手もない、あしもない、
もはや、人ですらない、
どのような、あたたかな、
かぜ、どのような、
あたたかな、よる、
どのような、
あなたたかな、あさ、
どのような、あたたかな、
し、

からあるくみち
かるあみるくとこどく、
どくどく、

果実を切る、手の、
批評的な肌触り、
季節と、秋の、
落ちていく眼差しの光度、
影に合わせて、
思想が始まるから走る、
体から血へと、血へと、
神を歌わなくなった、
英雄は全部死んだ、
心しか残らない、
可哀そうな、人の、
心しかない可哀そうな詩ちゃん、
ナンパしたい、
退屈だからそれをやんないだけ、
でも、その前に、
あえてそれをやんないのか、
そもそも、君らはこれができないのか、
その違いは大きいよね、

どのような、あたたかな、かぜ、
どのような、
あたたかな、よる、
どのような、
あたたかな、あさ、
どのような、
あなたの、あたたかさ、
そして、
あたたかな、

透明な死、と
私の、銀行、
白く、スカートと、
料理に包まれて、
雨と、群青、
死んでいく虫たち、
だから皆、やっぱり透明、
お金を預けて、
私も預けて、
引き出されたの、
右胸だけ、
心臓と電車、
東京だから、
喉が渇いて、


さようなら、なみだ

  なまえをたべたなまえ

瞼から落ちていったものが音を立てない朝と舌に泊まる湿度と言う羽虫が柔らかいからパンを食べる手を伸ばしてどこまでも弔う道を振り向かない横顔。声とライオンの深い谷。鬣と少しの震えが伝わる足もまた伸ばして。鳥のように群生している雨と鉱石、心拍数とベランダから見下ろす人の数。呼吸と孤独は虫と鉱脈に似ているから許さない。体を庭に降ろす神の些細な一手が羊みたいなハンドクリームだね。ここで猫が鳴きます、世界が一度滅びます、敬具。だから、果実を向いてね、台所から繭と麻の世界へ、霧と1回だけね、忘れていたことを思い出して。瞼を落として、床に手を伸ばして、死んだふりをして魂を逃がさない。台所では産卵しないでお母さん。兄弟は皆死ぬ。生きることは辛い。だから、天気予報を裏切りたい。硬質な電話、カタツムリみたいな人、話しても咲かない花と魚。料理はすること、また私みたいな人が出来て、落ちていく視線。きらきらしたら全部ぶっ殺す、だから、列に並んで、手を洗って、また、髪を梳いて、携帯電話が私を着信しない夜は、私を見ないで、機関銃と現代詩、皆、死んで、さようなら、なみだ。


沈黙を集めた鉱物の名前と人の息の長さ

  なまえをたべたなまえ

覚える

 白、と、雪の単語を覚えた口が白くも冷たくもならない事に気づいた子供の手に触れて、体温、と、温かい、と単語を教える私の唇が、子供の頬と同じように赤く、繋がりは常に赤に象徴される。血のように。言葉には色がない。だから、私と言葉はいつも繋がらない。言葉がなくても、私と子供は繋がる。いつか詩を教える。きっと、それは、彼が大人になる前に。

砂糖

 子供の頃、死んだ蛙に塩を盛るつもりが、間違って砂糖を盛った事があった。母が、それは砂糖だよ。舐めたらわかるよ、塩を盛らないといけないよ、と私に言ったので、私は、母がいなくなった後、蛙に持った砂糖を舐めた。甘さに死は混ざらない。死を知るのに、味覚では足りない。概念を舐めることはできない。だから、未だ、人を舐めたことがない。

鉱物性植物

 通勤中に突然浮かんだ。そうだ、鉱物性植物の図鑑を作ろう、と、いったいその植物がどんなものかも検討がつかなかった。いつもこうだ。まず、単語やフレーズが浮かんでからすべてが始める。鉱物のような硬度を誇るのか、土中に生育しているのか、花は宝石か、根は鉱脈の様に、輝いているのか。即身仏―永遠の瞑想のために、衆生救済のために、生と死の狭間で弥勒を待つ姿―が植物性鉱物のイメージの元にあることをその後気づいて、図鑑を作るのをやめた。生と死、植物と鉱物、混ざらないものが混ざって、どちらでもあると同時にどちらでもないものを編纂することは、どちらでもあると同時にどちらでもあるものを、何かにしてしまう気がして。



 白く吐かれては消えていく。凍えている間は見える。生きていることと死んでいくこと、どちらも白で象徴される事がある。相反する二つがどうして、白で?。生は白、死は黒、死神は黒、死装束は白、砂糖と塩は白、で、腐敗は黒で。私の肌は黄色で、白人は白く、黒人は黒く。私の書くものは、何色?息の様に、凍える時にだけ白く、見えるものがいい。

賢治

 妹との別れは、永遠、永劫の別れだ。法華経の世界では、死後、人は輪廻を繰り返す。私たちは私ではない何かに生まれてまた死んでいく。それを永劫繰り返す。まさに輪廻の世界だ。私は輪廻すれば母も父もすべて忘れてしまうが、また、輪廻し続ける限り、私ではなくなった私が、母ではなくなった母や父ではなくなった父ともしかしたらまたこの世界のどこか出会い、出会い続けながら死に続け、生き続け。では、今いる私は?今いる私の母は?死に続ける、生き続ける、どちらも重なり合って続いていく永劫に。私は一体誰だ?生きているのか、死んでいるのか、生き続けているのか、死に続けているのか、私は私でないものを続けているのか。

長く

 あまりにも長く人であり続ける、というフレーズが浮かんでから、ずっと、あまりにも、の意味を考えている。人の間を離れて、人でないものの間に入っている時期があった。動物達は、短く死んでいく。場合によっては、殺されていく計画的に。私たちは、人は、あまりにも長く人であり続ける、ことの重さを考え続けている間にも、また、人以外のものは計画的に殺されていくの私は知っている。人であり続ける、一瞬でも良いから、人でないあり方に、ありたい、と、思うときに、動物達の寝息が聞こえる。あまりにも長く、長く、人が人であり続ける、覚めている間に見る夢は、本当は見ることができないもので、それは現実でしかない。だから、ずっと夢を見ている。

息を潜める

 息を潜める為に、詩を書いている。息を潜めて、人でないものに出会うための、人でないものの間に入っていくために、息を潜める。人であることを忘れる瞬間のために。長く、息をついで、長く、息を潜める。鉱物の様に静かに、即身仏の様に、弥勒の到来を待って、長く息を続け瞑想のために。





2984年の悲しみと青い映画について


青い映画について、
駱駝と話す、赤い言語、
共産党員と、トイレットの、
真昼の発音、

―英語が全部学習された
 だから、編み物の、
 発音を、冬に温めて、
 夏に、水浸しにする、
 羊、と、Sheep
 の、間にひかれた、
 赤道、
 ppp、
 いえ、ぷぷぷ、
 です、
 濁点を足したら、
 走り出したね、
 オフロードは、
 詩に似合わない単語、
 いや、詩人に
 似合わない、単語、
 詩人は、
 頭が悪いから、
 優しい、数学ができない、
 優生学的に、
 死んでいる人々へ

 悲しい出来事が起こっている、
 だから戦争だ、
 悲しみを、
 餌に、
 鱒刷りを、
 アメリカと、
 カーディガン、
 ブの、音が辛い、
 ブカブカの、音が
 本当につらい、
 編まれたのだから、
 ジープみたいに、
 ブロロロ、って、

 あ、

 ブローディガン

 現代詩もまともに書けない人が、
 人の詩を読んで、
 批評してる、
 腐ってるね、
 ああ、
 腐ってる、
 
 漫画とJPOPしか知らない
 人が、人の詩を読んで、
 詩を書いてる、
 悲惨だね、
 それも、良い年した
 おっさんやおばさんがそうだ、
 可哀そう、

 映画は、まだ、
 雨を知らない、
 だから、ずっと青い、
 ケンジみたいだね、
 ずっと、あの冬の日
 から、青ざめてる
 ケンジだね、
 2984年から、
 2984匹の動物達へ、
 101号室から愛をこめて、
 
 
 かなしみと動物達は
 透明な唾液で結ばれていた
 それを、私は
 トトカカイイキキ、と
 名付けて
 叫んだ、
 皆、気が狂った、と、
 私を見て、言った、
 夢を見なさい、
 生暖かい雨に
 吐き気のするような
 人の気配、
 夢を見なさい、
 晴天だ、
 

 生活に、鉛をつけて、
 深く落とすとき、
 子供の背骨が、
 折れる音と、
 羊が
 Sheepになるために、
 焼かれていく、
 匂いがする部屋へ、
 blue、と、
 青い、つまり、
 タケシは、
 映画を、とめて、
 ケンジを撮らないで、
 
 第四次延長は、
 人が決壊する、
 地点、
 駅名は、
 ghost、つまり、
 魂は、青白く、
 熱をもたらして、
 点灯する、
 この、映画は、
 青く塗りつぶされている、

 詩を、失う、
 つまり、
 ケンジ ミヤザワ
 を失う、
 故郷は、
 映画に塗りつぶされた
 青だ、
 魂だけが、
 人の気配をもって、
 ぼんやりと、
 明滅を、
 繰り返して、
 私が、照明する、

 消灯、
 閉館の時間です、
 魂は、
 ポケットにしまって、
 貴方の顔は、
 青ざめています、
 あの、雪の日の様に、
 静脈が、青く青く、
 浮かび上がった、
 晴れた、今
 地獄だけが青くて


人の温度

  なまえをたべたなまえ

息がまた、くぎられて、
くべられていく、
動物達よ、
この、温度を、
落とす、
この、
人である、
生温かい、
温度を、落とす、
場所を探している、

死に、未だ、
宿らない、熱を、
吐いて、
生きている、
温度を、
測りなおす、
毎日を、
人ばかり、見ている、
人だかりの、
中に、落ちていく、
温度を、
まだ、確かめている、
手を、

舌の上で息を区切っていく速度が温度に変わる地点を走っている
私たちは未だ、動物達だ

人、や、
魂、では、
語れなかった、
ものを、息で、区切っていく、
この速度は、
体温「だけ」を上げる、

温度が体中をめぐっている感覚だけが生きている
粘性を帯びた生活が
息を切らすたびに、
床一面に広がる、
温度を落とす、
人の気配が漂って、
匂いが、
人の匂いが、

焦げていくこともない、
この、体から、
熱だけが、
続いて、
もう、ただただ、
長引いていくだけの、
息、

動物たちの季節、
この温度は、
私たち以外を、
燃やし尽くしてしまう、
そして、私までも、

生きていくことを、
徐々に、
落としていく、
速度、

温度が、
人から、
動物へ変わる、
速度、

生きていることを、
死んでしまった、が、
超えていく速さで、
温度を、
人の、温度を
落としていく、


積年と積雪

  なまえをたべたなまえ

冬を迎え入れる、
雪が降れば、
歳をまた、
戸棚から取り、
写真を撮る、
手が、余る、
手に余る、
人の、あまりにも、
大きな口に、
受けられていく、
雪の、積もる、
積雪と、
積年、と、
咳を、重ねる、

また、都市を、
窓口に、
手の戸を立てて、
捨身(しゃしん)の、
行方を、文(ふみ)に
当てる、

野が雪に、
焼かれている、
中で、余る、
手を、踏み、当てる、
あの、感触を知って、
咳がまた、重なり、
雪が、都市に、
そして、
寒色の中へ、

影を伸ばす、
陽の内に、
畑仕事を終え、
炉を切って、
事を終える、
事切れる
この床で、
陽を短く、
息をつなぐ、
息継ぐことを、
また、戸に立て、

とにかく、と、
急き立てる、人に、
咳を、また急ぎ、
ゆっくり、と、
息を切らして、
事を、反対から、
床に、置いて、
炉から、戸を抜いて、
火を、田、
そして、畑、
戸に書く、
人の声、

雪が生きている、


塩と水をたくさん詰め込んで、今、私。明日、JPOPは絶望する。皆、皆殺しにしてやる、と、彼氏が言ったの。彼氏は、三回、「NO.NO.NO」といって、NYは燃えているか、と言って、HIPHOPを信じていたわ。「信じていたわ」が引用される回数が100と3回飛んで、今、私が、JPOPを皆殺しにするとき、Twitterが叫んだわ。「おいそこの、黄色い猿達を全員歌わせるな」、って。

JPOPに降る雨がTokyo

肺に冬を植える。びしょ濡れなのはスネアだけでいいね、と、trapは

BoomBap

と、言いながら低く旋回している。この夏、私は。JPOPに人を植える。

山を登る、足が遅れてついてくるのを私の汗だけが感じている。私は、ずっと先に、本当はいるはずなのに、と、この体から抜け出ていく息や汗、そして、匂い。この匂いはJPOPで本当にうんざり。こんな夢を見た。
アメリカでは子供と銃弾が交換される時代が来たんだって、赤毛の彼が笑顔で言う。歯はもちろん真っ白で、今朝、洗濯したみたい。漂白剤ーいつも飲んで嘔吐するだけの飲み物、南部では今これが流行ってるんだって、特に奴隷をぶん殴った後にのむのがね。奴隷ー花を摘むようにいつも笑顔だ、その汗が特に、甘くてJPOPみたいだね、って笑いあう。歯が白いと、生きてる実感がする、って彼は言う。だから、私はいつもいのる。ずっと歯が白いままで、そしたら、ずっと彼と一緒だから。結婚して、私が生んだ子供が白くて。

枕元でぼんやりと宿る病が花のように咲いているのを見ている眼を外へ追いやる。階下では、未だに、生きている者達がせわしく食器を鳴らしている。私の内部で割れる音がする。懐かしい音だと、口にすると水が運ばれてくる。病が水に口をつけて、あーくだらねぇな。やめた

文学極道

Copyright © BUNGAKU GOKUDOU. All rights reserved.