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作品 - 20191112_814_11554p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


幽霊たち

  田中恭平

 
彼女は落ち着き払っているが
すでに幽霊たちはうごいている
ここらは色といえば黒で
記憶もインクで霞んでしまう
ことをいいことに
幽霊はわれわれを操作しようとする

怒れば地獄の釜がひらかれて
安心すれば天国の
ドアをノックする勇気もふるいたつ
ノック、ノック、ノック!
ここらは統計で無視されているし
彼女がベランダに出ないように
わたしは警戒しているんだ

巡り塔の警備員は
煙草を喫っている
あの高いところで
喉頭がんを患いながらも
煙草を喫っている

ハンドルを握ってもオイルはない
井戸から桶をあげても水は入っていない
切符はあっても行き先はない
時計はあってもそれを眺める暇がない

月、火、水、木、金
土はエスケープ
日はぐったりしてしまう
星の明かりを消して
さっき舐めたものはなんだったのか
ぐったり考えている
この文章は秘匿されている
幽霊たちにはこの通信を知られてはならない
彼らは平気で毒を薬という
お気をつけて



けさは
桃色のナフキンで口を拭って、急いで
幽霊の音楽
のような
古典ブルース

聞きました

鳥肌
鳥じゃないけれど
人間
なのに
人間の出している音が
わからない
まさに幽霊の音楽
古典ブルース

聞きました

コーヒーがシリアスに
冷えてゆき
わたしが点描図になったり
モノクロになったりするのを
「彼ら」
はのぞいているのでしょうか
そういえば
インスピレーションは
霊感が訳語です

仕事中
笑いました
わたし
ええと
何について笑ったのか
わからないのですが
これらが今朝の印象です



どんな幽霊が
この家に憑いたのか
何を
飲まされたのかわからない
眼が痛くて
涙をながす
母はパソコンのしすぎ
文字の打ちすぎだという
そもそも謎なんだ
ビートニクの連中もそうだけれど
なぜ物を書いているのか?

memo

祈り
ということばが
頭に浮かび
わたしの朝は
静謐である

くりかえされる支払い
生活とはつまりくりかえしの祈り

陽のしたに
天使としてふたり

とろけてゆくアスファルト、に
永遠になじんでゆく身体

memo終わり

一体誰がこのメモを書いたのか
幽霊としかおもえない
わたしが幽霊ならば
天使のふりをして
ひとに近づくだろう
だから書いたっけ お気をつけてと

 

文学極道

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