だれでもいい。
人と話をすることで、
また雪をふらせるとおもった。
またそのさきの、花を。
花のつぎには海をね。
海がふってくるこの世はどんなふう?
ついこのまえ、
そんな季節だったじゃない。
きれいなことはなにもないよ。
ひとびとの、
くるぶしはおもくひきずられ
ひじが、砂にいつもぬれ、
このときばかりは、祈られる。
神?
そんなわけないだろう。
ひとを、
おぼれるにんげんの、
手をひくことで、)
在りし、すさまじくあつい日。
すさまじく、まぶしい日。
そこかしこにうまれた
おおきな、ひかりのつぶが
ぽん、ぽん、と二度はずんでから
高く。
空までを、ひきずって、
のぼっていく。
声、どこにもみえないものと
おなじように、
高高度の虚空の
すきまにすいこまれて、冷えていく
と、
(順接のやさしさは、)(いつもわすれられている)(すべてのひとびとの眠りを)(さまたげないように)(空は、)(神話のいきづく時代から)(規則をやぶったことがない)
ひとびとは着込みはじめ、
こえを、まぼろしみたいに
白く見とがめるようになる
(がらんどうの現象、接続しない)
やがてそれが雪になるだろう。
あつく、あがめられ、
しんぜられているから、
話をすることで、
(または、
視点がない風景、など。
わたしは、(呼び名はいらないのだけれど)
今にもくずれおちそうに
ななめに傾いだ空ろな塔の上にたつ。
はだが白かったり、黒かったり
そぞろな印象の建造物で、
「いまはひとりしかいません。」
一つしかない
わたし、が、きえさったあと、
岬となったいしづくりの杜に
すいこまれそうなおとだけ
ひろげていく、
雪が。
「ゆきが、ふるはずなのだけど、」
だれか。わたし、でもいい。
話をしてくれませんか。
いつかかならず。
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選出作品
作品 - 20191105_739_11544p
- [優] 季、順にうつるから。 - HN (2019-11)
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季、順にうつるから。
HN