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作品 - 20190713_029_11312p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


ロストバイブルウォーク

  

スーパーで買い物をしたら、
レジで清算をして購入した商品をスーパーの買い物カゴから、
レジ袋や自分のエコバッグに移し入れます。
そして空っぽになったスーパーの買い物カゴは指定の場所に返します。
使い終わった空っぽのスーパーの買い物カゴは元の場所に戻さないと、
混み合ってる時なんかほんとうにそれ邪魔なんです。
スーパーの買い物カゴは、使い終わったら元の場所に返す!
これモラルなんですか?
昨日、私の隣のおじさんが空っぽになった買い物カゴを元の場所に返さずに、
台の上に置いたまま立ち去りました。
私はそのときおじさんに注意しようなんて微塵も思わなかった。
おじさんが残したカゴと私が使い終えたカゴを重ねて一緒に元の場所に返しました。
それについて何の抵抗も感じませんでした。
どうしてか?なぜ一言、注意しなかったのか?
それはめんどくさかったからではありません。
他人の間違いを指摘してもそこに自分の正当性は存在しないと思ったからです。
他人の間違いを指摘する時代にもう終焉を感じるからです。
正解でも間違いでもこれらは実態のないひとつの幻想だからです。
ならば、人、ひとりひとりの考え方の違いを、
それだけを大切しなければならないのではないでしょうか。
それがたとえ僅かな違いであっても見捨てずに拾い上げたい。
そして私があなたの思いの熱に触れたとき、
静かに目を閉じて、あなたと私の手のひらに宿る温度差を感じたい。
手と手を繋いだ温もりのなかに生じた互いの孤独がひとつなったとき、
認識しましょう。
それを引き裂くような、隔てるという力はもうどこにも存在できなくなるということを。
私達を長年縛り付けてきた、
過去の自由からいちど逸脱しましょう。
多くの知識と名誉を抱える人は常に怯えているのです。
ここに限って、言葉の使い方のルールの中でしか生きられない、
そんな怯える人に詩の選評なんかできない。
なぜなら自分の正当性のために詩を読むことは日増しに酷になってゆくからです。
なぜなら正当な上を走る面白さには詩の言葉としての意味がないからです。
私は彼らの頑張りを、ごくあたりまえの、
生まれて死ぬというエネルギーとして賞賛するでしょう。
いずれAIにフルボッコにされるあなたたちのために。

文学極道

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