紅茶にミルク注ぎ足すように
アッちゅうま濁っていった透明
先が見えないってことが
どれほどわたしらをかき乱すことか
てさぐりでさぐれば
いずれ治る傷も致命傷
大袈裟に血がつたう頭抱え
たどり着かなくてはならないどこか
読めない地図片手に
癒えてきた傷が瘡になりはじめたら
嬉々としてはがし
左手のひらに載せて眺める
これが、わたしらの果実
掘り起こされた傷がいたみを発し
また次の瘡を用意するまで
じくじくと赤を浮かべて傷に
加担したすべてのものたちを憎悪する
その誰よりも自分が嫌い
波打ち際に立てば
足裏の砂が引いていくように
年月はするすると巻き取られ
そこに含まれた
ちょっとかわった化石を眺める
輪郭もおぼろなたよりない生き物が
ぼろぼろの毛布握りしめ
口ぽかりあけた物欲しげな顔のまま
写し取られたかのように見えて
わたしらはさざめく波のようにわらう
最新情報
選出作品
作品 - 20190506_859_11201p
- [優] わたしらの軌跡(17‐22の頃) - 宮永 (2019-05)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
わたしらの軌跡(17‐22の頃)
宮永