鮮紅色の空が液状に溶け出し、細かな雫となって降りそそぐとやがて男の立っている意味のない地名も時間のないそのマカ不思議な場所も遠く何処までも濃く赤みがかった不吉な色に染まった。白いガンダムは、オレンジの斑な夜に背いたコシヒカリだった、それに窓もドアもない地下室には鉛筆が一本ただ転がっているだけだ。きっとヒ日常の長い線路がジュラ紀の地球から敷かれてやっと今に至っているのだと思う。男はため息をつくと仕方なくタール状のべとつく赤い大地をスキップし、両の腕を大きく振ってイメージすることの禁じられた世界へ向かって踊り歩きはじめた。途中、ところどころに【レ】のような【し】が落ちていた。それが果たして「死」なのか「詩」なのかあまりよくわからない。そんなことよりも、はるか彼方に聳える言葉の生えたマの山が崩れ始めているではないか。マの山は、マンが書いたことくらいは知っていたが、鬱蒼と言葉の生えた山が崩れると男はさっさと服を脱いで女装をはじめた。どうせマの山が崩れて言葉たちも倒れるのなら男は男である必然もなく別に女であってもかまわない筈だ。スプーンだよ! 何故だか銀のクリストフルっぽいティースプーンが登場し、納豆ごはんをかきまぜながら、「納豆はからだに良いからね」と言う。かつて男だった女は、「じゃあ、私と納豆とどっちが好きかしら?」色目づかいでティースプーンを誘った。スプーンは箸と納豆ごはんを後ろに放り投げるなり、「もちろん君さ!」そのとき突然、大地が大きく揺れて「がががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががが」という名前の、何ら意味がないようでじつは深刻でバリュアブルな終りが人でごった返す東京新橋駅のホームに到着する朝の快速電車のようにチョー素早く訪れた。とっさに、「けっ、結婚しよう!」スプーンは女の顔に、大粒の唾を飛ばしてそう言った。
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選出作品
作品 - 20190412_585_11167p
- [佳] 歩行と舞踏 - atsuchan69 (2019-04)
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